「もしもし、何をしてるんですか?」
「青娥か。見て解らない?」
「残念ながら」
「そうか、不貞腐れていた」
「なるほど」
「キョンシーだけに」
「え?あぁ、そうですね」
「わーらーうーとーこー」
「はい、芳香が楽しそうで何よりです」
「うわっとと」
「大丈夫ですか芳香」
「やっぱり関節が曲がらないと歩きづらいな」
「でしょうね。ケガでもしたら大変です。柔軟体操とかしたらどうですか」
「それはどうやれば良いんだ?」
「こうやって、自分の体を自分の限界までで良いですから曲げるんです」
「なるほど、でも私いつでも限界だよ青娥」
「じゃあ毎日柔軟体操してるってことですね」
「知らない間に私も頑張って居たということだね」
「そうですね、偉いですよ芳香」
「えっへん」
「いい子いい子」
「ねぇ青娥」
「なんですか?」
「寂しくなったりしないのか?」
「なんです突然」
「青娥はいつも一人じゃないか」
「芳香が居るじゃないですか」
「そりゃ私は居るけど、居るだけだ」
「えぇ、それだけで良いと思いますよ」
「よくわからないな」
「でも私はそれで満足です」
「そうか、それなら良いんだ」
「あれは何だ?」
「桜ですね。春になると綺麗なピンク色の花を咲かせるんですよ」
「へぇそうなのか。それであれは咲くのか?」
「残念ですが。もう少し暖かくなってくれば咲くんじゃないですか?」
「それじゃあ、いつまで経っても咲かないんじゃないのか?」
「なんでです?」
「だって私はいつも寒い」
「頭の中はいつでも春爛漫なんですね」
「ん、やっぱり春なのか?」
「いえいえ、今度暖かい服を用意しますね」
「青娥ぁ…」
「なんですか。死にそうな声を出して」
「私は夏が嫌いだ」
「なんでですか?体温と相まって調度良さそうなのに」
「この季節は…腐敗が…」
「あぁ、なるほど」
「それに臭うじゃないか」
「別にいいですよ。他に誰か居るわけでもないですし」
「青娥はいやじゃないのか?」
「なんでですか?ひんやりしてて気持ちいですよ」
「余りギューってしないで青娥」
「いいじゃないですか、減るものでも無いでしょう」
「まぁ…青娥が良いなら良いけど」
「♪」
「お月見をしよう青娥」
「あら、良いですね。今夜は月見と洒落込みましょう」
「秋はやっぱりこれだな」
「へぇ、意外です。芳香がこういうことするなんて」
「団子もあると良いんだけどな」
「良いですね。持ってきましょうか」
「あれ、青娥おかしいぞ」
「どうしました?」
「月がない」
「あぁ、今日は新月でしたか、これではしょうがないでしょう、また今度に」
「冬は割と好きだぞ」
「そうですか?私は少し苦手です」
「なんでだ?」
「冬場は朝起きるのが辛いです」
「あぁ、それは私もわかる気がするな、でも今日は頑張って起きた」
「そうですか」
「明日も頑張って起きる」
「それじゃあ、私を起こしてくれますか」
「任せて」
「青娥、起きて。朝だ」
「あら、おはよう芳香。本当に来てくれたのね」
「どうだ、起きれたぞ」
「早起き、早起き いいこ いいこ」
「でも青娥私は今とても眠い」
「どうしてですか?」
「早起きをしすぎたようだ」
「何時くらいに起きたんですか?」
「わからないけれど、多分1日前くらいだ」
「なるほど、それじゃあおやすみなさいな」
「うん、おやすみ」
「おはよう青娥」
「もうこんばんはという時間ですよ」
「そうか。こんばんは青娥」
「はい、こんばんは」
「青娥」
「どうしました?」
「なんで私と居るんだ?」
「貴方が可愛くて愛おしいからでしょうか」
「恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいですけど、私は欲望には忠実なので」
「私腐ってるよ?」
「そこが可愛いんですよ」
「本当に私でいいのかな、青娥」
「私が良いんだから、良いんですよ芳香」
「やっぱり、私が居なくなったら青娥でも悲しい?」
「はい、とっても悲しくて、しばらくは立ち直れません」
「そっか」
「はい、ですから一緒に居てくださいな」
「うん、じゃあとりあえず私が死ぬまでは一緒にいてあげるよ」
「あなたの場合は、死んでも一緒に、のほうが正しいんじゃないですか?」
「どうだろう?一緒ならどっちでも良いんじゃないかな」
「なるほど、違いありませんね」
洒脱な台詞たち、そして場面のチョイスの仕方もいい感じ。
長編書けたら読みたいですね。
青娥が気に入るのも分かる気がします
よしかちゃん、微妙に頭脳の塩梅に困りますよね。加減が地味に難しい。
3作目と同じで、世話焼きなお姉さん青娥はGOOD!