Coolier - 新生・東方創想話

さくやにっき13.5

2008/05/17 01:01:48
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この小説はさくやにっき12の、#月◎日、◇日、%日並びにさくやにっき13の裏話です。
先にその辺を読んでねおにいちゃ・・・じゃない、読んでいただけると幸いです。












#月◎日


「ん・・・もう朝か・・・」

んーっと伸びてみて不図気づく、どうやら外は大雨の様子。
今日は気圧が下がりっぱなしかしらね。
カーテンを開けてみればやっぱり生憎の大雨。
これは外に出るのは億劫になるわね。

何はともあれ着替えて朝食の用意、そして妹達を起こさなければいけない。
今日の家事当番は私だし放っておけば妹達は何時まで寝ているかわからない。
もう一度一伸びしてから私はベッドから立ち上がった。



やはり洗面台にもリビングにもキッチンにも誰もいない。
当然といえば当然の光景ではあるけれど。
今頃二人は夢の世界でも奏でているだろう。
今日のメニューはどうしょうか・・・とりあえずクロワッサンとヨーグルトは決定として・・・

「おふぁよぉねぇ~さん」

「おはようリリカ、今日は自力で起きれたのね、偉いわ」

でもちゃんと起きれてるのか微妙だけど。
眠そうに目を擦りながらいつも座ってる席に座るリリカ。
頭は爆発でもしたのかというくらいの凄い寝癖になってるけど言わないでおこう。
とりあえず牛乳とクロワッサンを出してあげる事に。
今日はベーコンエッグとサラダにしよう。

「ふにゅう・・・」

牛乳片手にうつらうつらするリリカが危ない事この上ない。
牛乳から手を離してやると机に突っ伏し始めた、まったくマナーの悪い子だ。
出来上がったベーコンエッグとサラダを人数分テーブルの上に置き、まずは一人でいただきます。
相変わらず突っ伏したまま動かないリリカの頬をつんつんと突いて見るが反応無し。

「仕方ない子だ・・・」

友人、十六夜咲夜から頂いたハリセンを持ってくる。
念の為食器類を全て非難させておく、これで準備完了。



後は・・・・・・・・勢い良く後頭部へ振り下ろすのみ・・・・・・・・・・!
















プリズムリバー邸にそれはそれは大きいな何かを叩く音といったぁ!という声が響いた。















「さて・・・毎度の事だけど」

涙目で睨んでくるリリカに見送られて私はある部屋の前に腕を組みながら立つ。
ドアには「メルランの部屋、勝手に入ったらあなたの鼓膜頂きます」と書かれた紙が貼ってある。
頂きます、というよりか破りますだと思うけど。
念の為2度3度ノックをしてみるが反応は無い。
はぁっ、と溜め息をつきながら部屋に入った。
途端に聞こえる大きな鼾、家の防音は完璧ね本当に。
ベッドの上には相変わらず寝相の悪いメルランの姿が。
騒霊とはいえ人様に見せられる姿じゃないわよね・・・

「ほらメルラン、起きなさい。もう朝よ」

揺すってみるが効果無し。
仕方ない、とリリカを叩き起こしたハリセンを用意。
目標、メルラン・プリズムリバーといったところかしら。

勢い良く顔面目掛け振り下ろした。



「・・・・・・おはよう、姉さん」

「おはようメルラン、毎朝毎朝起きてるなら早く下に降りてきてくれると嬉しいんだけど」

ハリセンによる一撃はメルランがしっかりと白刃取りのようにガードしていた。
最近毎朝こんな光景になっている気がする。

「起きてる、というより姉さんの殺気で起きた、かな~」

「・・・どうやら今日は朝食の前によぉく話し合う必要があるみたいだね」

その瞬間メルランは下へ早々と逃げ出した。
あれで起きてなかった、って言われても信じられないわよ。






「最近姉さんったら酷いのよ~いっつもハリセンで叩いて起こそうとするんだもの」

「叩かれてないだけマシよ、私はさっきだって叩かれたんだから」

ぶーぶーと不満いっぱいにクロワッサンを齧るリリカ、あ、喉に詰まらせた。
空だったコップに牛乳を淹れてあげると一気に飲んで事無きを得た様子。
喋りながら食べるからよ。

「でも姉さんは変わったわよね~半年前だったらそんな事しなかったもん。
 やっぱりあのメイドの影響かしら」

半年前、か・・・・・・あの件では本当に咲夜には世話になった。
あの件が無ければ私はこの子達を大事に思うあまりこの子達に遠慮し続けていたと思う。
家族なのに、姉妹なのに、ね。
それに彼女と友人になれたし料理研究会で親しい知り合いも増えた。

咲夜には本当に感謝している。

「うんうん、あの性悪極悪最悪メイドの影響を受けたせいで
 私達の大事なルナサ姉さんがやさぐれちゃったわ、どうしてくれ・・・いたぁ! 」

安全を確認してハリセンで引っ叩いた。
世話になった人間を悪く言うものじゃないわ。
でも確かにこのハリセンは咲夜から貰ったもの、影響を受けたのは間違いないかしら。

「駄目よリリカ、姉さんの前であのメイドの悪口なんて言っちゃ。
 姉さんとあのメイドはお友達なんだから」

「うぅぅぅ、あのメイドのせいだぁ、あのメイドのせいでルナサ姉さんが酷い姉になったぁ」

「馬鹿言ってないで早く食べなさい。
 今日は昼からライブでしょ?用意もあるんだからね」

はーいとこういう時ばかり息を合わせて朝食を取る妹二人。
いつも、といえば然程変わらないいつもの光景。
依然とは少し違ったいつもの光景。






そして私が知らないところでまた変化が起きる事を、私はこの時知る由も無かった。









#月◇日

朝起きて厨房や居間を覗いて見るがやっぱりいない。
今日の当番はリリカとメルランだっていうのに、まぁいつもの事だけどね。

「うぅ・・・おはよう姉さん・・・やっぱり姉さんのほうが早いか」

「おはようリリカ、とメルランは・・・まだおはようじゃないわね」

まだ眠そうにしているものの頑張って起きた感が否めないリリカが下りてきた。
そして未だ夢の中なのかなぜかリリカの左肩に噛み付いているメルラン。
どんな夢を見てるのかしら。

「とりあえず取ってルナサ姉さん・・・いい加減痛いしおもっ・・・いぎゃあ!噛み度アップ!? 」


放置したほうがいいのかなぁこの光景。







結局リリカの左肩にはくっきり歯形が残った。
涙目でメルランを睨むリリカに対して鼻歌歌いながらトーストにイチゴジャムを塗るメルラン。
我が妹ながら大した根性だわ。

「それにしても当番じゃない日までルナサ姉さんは早く起きてこなくてもいいのに。
 今日、何もないはずでしょ? 」

全く動じないメルランに呆れたのかリリカが私のほうを向いて話しかけてきた。
確かに今日の予定は特に無い、精々練習をするくらいだろう。

「まぁ確かに何も無いけど・・・起きてしまうんだからしょうがない。
 それに朝食くらいなら私が毎日でもいいんだよ?二人とも朝にはとても弱いし」

朝に強い霊ってどうなのよ、とか言われた事があったなぁ、そういえば。
私って変なのかしらとしばらく思い悩んだのを思い出した。

「それじゃまた前みたいにルナサ姉さんにおんぶしたまんまだよぉ。
 今でもあんまり変わってないような気がするけど」

「こっちとしては心配でもあるんだけど、まだ卵の殻を混ぜちゃうんだから」

まさか卵焼きを作るのに1ヶ月かかるとは思わなかった。
二人とも本当に素人だったとはいえそんなにかかるとはねぇ・・・姉さん心配だわ。
二人の当番の時は私が教えながらやることにしてもらっている。

そうじゃないとまだ何が出てくるかわからない怖さがあるから。
特にメルランが暴走して何を入れるかわかったもんじゃない時もあるし。

「姉さんには頭が上がらないわね~本当に。
 ・・・あぁ、そうだ、姉さん、明日から1週間くらいの予定教えて~」

また唐突ねメルラン。

「今の所一週間に一度のライブ以外予定は無いが・・・
 何か近いうちにあるのかい?」

「ちょっと手伝ってもらう事があるかもしれないから聞いて見ただけよ。
 そう、つまり恒例行事以外は姉さんは暇なのね、ありがと」

ニヤニヤと何かを企んでいる様な笑みを浮かべているように見えるけど気のせいかしら?
隣のリリカが気持ち悪がってるわよメルラン。
あ、リリカの顔が痛そうな顔に変わった、大方テーブルの下でリリカの足抓ったわね。
妹いじめは止めなさいメルラン。










3時過ぎにリリカが出かけていった、練習にでも出たのかしらね。
何かメルランとこそこそと何か話してたみたいだけど。

また何か悪巧みでもしてるのかしら・・・

まぁまだ何をするのかわからないし放っておいていいかしら、ね。












#月%日

私が朝食を作っていると珍しくリリカがしっかりと起きてきた。

「あらリリカ、早いわね」

「ふっふっふっ、もう今までの私じゃないよ姉さん。
 明日の朝だってちゃーんと起きてやるんだから。
 ん?今日は和食なんだね」

リリカが鍋を覗き込んだ。
中身はじゃがいもと豆腐の味噌汁、中々いい出来だと思う。

「あぁ、昨日いい魚と野菜が手に入ったからいいかなぁと思ってね」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふーん、そっか」

リリカの答え方に少し違和感を感じるもの私は向き直り、料理を再開した。
しばし鍋をじーっとリリカは見ているようだった。









・・・・・・・そんな馬鹿な。

目の前の状況を私は信じられなかった。
メルランが、リリカが、私を責める目で見据えてくる。

「姉さん・・・いくらなんでもこれはないわ」
「これじゃあ私達のほうがまだいい味出せるわよ」

うぐっ・・・食べただけに何もいえない。

なんで・・・どうして・・・?信じられない・・・
味見をした時にはこんな味じゃなかったのに・・・










今日の朝食はそれは酷い味だった・・・
その時の妹達の目を私は忘れそうに無い。
















「いけないいけない、失敗に囚われすぎるのはよくないわ」

ダメージを負いながらも私は掃除をすることにした。
掃除くらいは、と思ってやっていたら。

「ねえさーん!埃溜まりまくりよぉ~!ちゃんと掃除できてないじゃなーい」

居間からメルランの声。
行ってみれば掃除したはずのテーブルも床も埃を被っている。

なんで・・・?

「ちゃんと掃除してないからこうなってるのよ。
 姉さん、もしかしてたるんでるんじゃないの? 」

「た・・・たるんでる・・・?」

私が・・・たるんでる・・・?

「そ、そんなわけないじゃない。
 私は一生懸命やってるわよ」

うん、いつも通りやれていたはず。
ちゃんと確認もしたんだし。

「でもねぇ・・・あのルナサ姉さんがこんなにへたれてるのは事実だし」

いつの間にかリリカまでもつーっとテーブルの上を指で撫でる。
その指には埃がついている。

「姉さん、やっぱりここは言うべきかしら」
「えぇリリカ、ここはどーんと言ってあげるべきね」

え・・・何を・・・?










「「こんなへたれた姉さんなんて要らないわ!紅魔館で修行してきなさい! 」」












私は家を追い出された。
しばし呆然と家の前に立ってしまった。

我が家なのに・・・


















「そ、それじゃあメイド長のところまで案内しますね」

「あぁ・・・頼む」

結局何度ノックしても妹達は入れてくれず、紅魔館で少しの間修行してこいの一点張り。
仕方なく言われた通りに紅魔館へ、また咲夜に助けを求めてしまうことになるけど・・・
あぁ、さっき通った湖に身投げでもするべきだったかしら・・・
久しぶりに思考がどんどん暗い方向へ沈んでいく。

「いらっしゃ・・・どうしたのよその暗いオーラと顔は」

やっぱりわかる?

「いや・・・妹達に『こんなへたれた姉さんなんて要らないわ!紅魔館で修行してきなさい! 』って・・・」

あぁ、また思い出した、欝になるわ・・・
あんな事言われたのは初めてだもの・・・

「今日の朝食と掃除当番は私だったんだがなぜか失敗続きでね・・・
 不甲斐ない私に妹達が怒ってしまったというわけさ」

そこまで言うと咲夜の表情が苦笑混じりになってきた。

「まぁそういう時もあるわよ、匙一つで味は変わるんだし。
 それにあなたがいない間あの子達は二人で頑張らなきゃいけないんだし、
 その内すいませんでした、って謝りにくるわよ」

そして私を心配してか慰めてきてくれた。

「そうかなぁ・・・」

友人に心配させるのはいけないと思いつつもちょっとまだ立ち直れない。
あぁ、でも何時までもウジウジしてるのも駄目よねぇ。
しっかりとまた出来るように修行をしたほうがいいかもしれない。
うん、これはチャンスなのよ。

「それじゃあ数日紅魔館に滞在でいいのかしら? 」

話題を変えるべきと思ったのか紅魔館に客としているのかと咲夜が聞いてきた。
しかし、私はまた客としているわけにはいかないわね。
ここは、リリカの言われた通りに紅魔館で修行させてもらったほうがいい。
幻想郷内でも凄腕と言われる紅魔館のメイド長、十六夜咲夜の下で働けばいい修行になるはずだ。

「いや、言われた通りに少しの間掃除と料理の練習をさせてくれ。
 咲夜の下で働けば色々と学ぶ事も多いと思う」

決意を新たに咲夜に頼み込む。
それを聞いた咲夜は逡巡せずに、

「こちらとしては大助かりだから構わないわ。
 それじゃあお嬢様に説明した後、メイド服に着替えてもらうわ。
 ちょっとの間だけど、よろしくね、ルナサ」

と快く了承してくれた。
ん・・・?いくらなんでも早いような・・・あぁ、でも時を止めて考えたのかもしれない。
そんな事を考えていたが咲夜が手を出してきたので私はその手を取った。
私の考えすぎだろう。

「あぁ、こちらこそ世話になるよ、咲夜。
 いやメイド長と呼ぶべきかな? 」

さて、今日からメイドとして家事修行を頑張るとしよう。










「お嬢様、少しの間ですがルナサ・プリズムリバーがメイドのバイトとして入ります。
 妖精メイドと比べるのが失礼なくらい優秀ですのでよろしくお願いいたします」

紅魔館主、レミリア・スカーレットの所に案内された。
相変わらず優雅に紅茶を楽しんでいるようだ。

「あらあら、また咲夜のお節介でも発動したのかしら。
 まぁいいわ、咲夜が認めた腕前、見せてもらうわ」

お節介、という言葉に咲夜が苦笑した。
また色々な方面に親切や世話をしているのかしら。

「よろしく頼む」

咲夜同様了承してくれた紅魔館主に頭を下げた。



早速メイド服に着替えるために更衣室に案内された。
さすがメイド妖精がたくさんいるだけあって色んな色やサイズのメイド服があった。
私は好みの黒のメイド服を着させてもらった、うん、サイズも問題無いわね。

「ふむ、当然だとは思うけど色々なサイズがあるのね。
 ん?こんなサイズのを着るのがいるの? 」

見ればどう見ても女性向きとは思えないほどサイズの大きいメイド服が。
男性ならば着る事ができそうかしら、でも男性がメイドをするなんて事は無いと思うけれど。

「気にしないで、というか見なかった事にしてくれる? 」

苦笑する咲夜に何か触れて欲しくない感じがした。
?何かあった品なのかしら。

「あぁ、まぁ、わかった」

釈然としないところはあるけれど触れて欲しくないのなら仕方ない。
嫌がる事を好んでする趣味は無いわ。







「それじゃあここの区画を頼むわ。
 何かわからないことあったらその辺でやってる妖精メイドにでも聞いてちょうだい」

「わかったさく、じゃないメイド長」

仕事中はメイド長と呼ばせてもらう事にした。
上司と部下という関係になるわけだし、その方がいいと思ったから。
メイド長と呼ぶと当人はなんともいえない顔をするけれど。
咲夜が時を止めたのだろう、一瞬にしていなくなったのを確認した後、
モップと雑巾を持っていざ、初仕事っと。













「ふぅ・・・これで大丈夫かしら」

仕上げは上々、調子に乗って他の区画まで手を出してしまったけどたぶん大丈夫、のはず。
念の為よく確認してみる、今朝のような失態は2度はやりたくない。
ましてや仕事に妥協をしない十六夜咲夜のいる紅魔館、
自分の出来うる限りの完璧な仕事をしなくてはいけない。
それが雇ってもらった事への感謝の証にもなるだろうし。

「お疲れ様」

気が付けば後ろに咲夜の姿が。
時を止めながら仕事ぶりを見回っているといったところか。

「これで、大丈夫だろうか?本職の目からすればまだまだかもしれないが・・・」

毎日この紅魔館を掃除しているメイド長からすればまだまだ及ばない仕事かもしれない。
咲夜のチェックに私は緊張する。
少しして・・・

「ルナサ・・・」

咲夜が私を呼ぶ。
何か、至らない点があったのだろうか?

「な、何か? 」

緊張が続く。
果たして・・・どうなのだろうか?











「・・・・・・このまま紅魔館のメイドとして働かない? 」

少し困った顔でそう言ってくる咲夜に緊張の糸が一気に切れた。

「な、なんでまたそんな事を・・・ここにはメイドならいっぱいいるじゃない」

尤も、ここでしかメイドを見た事がないけれど。

「妖精メイドだけじゃ私の仕事が増えるばかりなのよ・・・」

疲れたように溜め息をつく咲夜にそういえば、と思い出す。
紅魔館が機能しているのは十六夜咲夜のおかげだと聞いた事がある。
メイドとはいえ妖精、仕事がそう上手くできるわけではない。
その穴を埋める為に咲夜がそれこそ時間を止めて紅魔館内を四苦八苦しながら掃除していると。
その話が本当だという事を今知ってしまった。

「・・・心中察するわ」

心の中からそう思う。

「でもルナサのおかげで少しは楽ができそうよ・・・
 さすがルナサ、しっかりとした仕事だわ、ありがとう」

本職に褒められるとは、ね。
少し自信が戻ってきた、後はこれを毎日ちゃんとできれば大丈夫ね。

「でも本当にメイドにしたいわ・・・」

「家の妹達だけで私の手はいっぱいだわ、申し訳ないけど」

わかってるわ、っと咲夜が苦笑した。
断られる事をわかっているようだった。























「さて、と。厨房はここだな。
 メイド長、手伝いに来たぞ」

夕方から夜に差し掛かってきた頃、ちょっと迷いながらだが無事厨房にたどり着いた。
外観と中の広さが一致してないのも紅魔館の特徴の一つ。
おかげでどこがどうなっているのかまだ少しわかっていない。
早目にしっかり覚えないと仕事に支障をきたしてしまうので今日中に覚えないと。
そして厨房を見るとやはりそこには咲夜の姿が。
おそらくスカーレット姉妹の夕飯作りだろう。

「あらルナサ、手伝いって・・・あぁ、料理もだったわね。
 それじゃあそうね・・・スープのほうやってもらえないかしら。
 今日のメニューはビシワドスープにしようと思うの」

「わかった、任せてくれ」

さっそく手を洗って調理を開始する。
料理研究会で厨房を使わせてもらっているので勝手知ったるなんとやら、というやつね。
大体何がどこにあるかは知っている。

「しかしあなたの妹達がそこまで言うんだから余程大きなミスをしたみたいね」

「あぁ、何であんな事になったやら・・・バターはここだったかな? 」

「えぇ、三段目に入ってるわ」

あぁ、あったあった。
ケチャップの横に置いてあるバターを取り出す、うん?ケチャップ・・・?
そういえば今朝のお味噌汁の味、ケチャップが入っていた気がする。

いくらなんでも私がそんなものを入れる・・・?
味付けどうこうの問題じゃない、故意にでもない限りありえないことよねぇ。

「どうかした? 」

「い、いやなんでもない」

今は料理に専念しよう、考えるのは終わってからでいい。
鍋を暖めながら私は自分の疑問を振り払った。













「・・・・・・この味、咲夜がやったものじゃないわね? 」

さすが咲夜の料理を食べ続けてる紅魔館の主、スープを一口飲んだだけで直ぐに気づいた。
咲夜は美味しいと言ってくれたけど紅魔館の主の口に合うかしら・・・?

「はい、スープはルナサが作ったものです、お味は如何でしょうか? 」

再び緊張の瞬間が訪れる。
どうだろうか・・・?気に入ってもらえただろうか・・・?
さらにもう一口レミリア・スカーレットがスープを口に運ぶ。

「・・・・・・さすが咲夜が認めた奴ね」

その言葉に私は安堵の溜め息をついた。
どうやら気に入っていただけたようだ。
咲夜も心なしかホッとしたように見えた。

「お姉様は素直じゃないんだから~美味しいなら美味しいって言えばいいのに。
 うん、咲夜のとは味が違うけど美味しいよ~」

にっこりと笑いながらフランドール・スカーレットが感想を言ってくれた。
これで姉妹二人に認めてもらった事になる、幸先のいいスタートね。

「なっ、フ、フラン、私は紅魔館の主としての立場ってものが・・・!」

「美味しいものは美味しいの、お姉様見てればすーぐわかるもん。
 お姉様もこのスープを気に入った事くらい」

何だか空気がおかしな方向に行っているのだが止めなくていいのかと咲夜に目配せするが
咲夜はいいのよ、という感じに微笑んだ。
これが普通なのか。
フランドールさんの言葉に顔を赤くしながらも黙り込んでしまうレミリアさんが少しおかしくなってしまい、
笑うのを我慢していたのは内緒だ。
















「うーむ・・・やっぱりいくら考えてもありえない」

ミスをしたとするのならば度合いが違う。
味噌の入れすぎ、材料の火の通り具合、その辺のミスならばわかる。
しかしあそこまで味が変わるような事をするだろうか・・・?いや、しない。

「まさかとは思うけど・・・」

今日のリリカが引っかかる。
珍しく当番でもないのに早起きをしてきたのもそうだが
お味噌汁の側をしばらく動かなかった。
今になって思えばもう少し注意しておけばよかったかもしれない。
でもリリカがそんな事をする理由がわからない。
いたずらだったらここまでする理由が無いし・・・
そういえば掃除の事も考えるとメルランも加わってるみたいだし・・・

もしかして私を家から出すのが理由?
それに紅魔館に行けっていうのはここに咲夜がいるからだけかしら?
考えても考えても答えが出ない。

でも、もしかしたら咲夜が何かを知っているかもしれない。
ここで働くまでの過程がスムーズ過ぎていた気がする。
まるで私が来る事を予め知っていたように。


確かめる為に私は咲夜の部屋に行き、ドアをノックしてみた。
直ぐにどうぞーという咲夜の声がしたので私はドアを開けて中に。

「ちょっといいかなメイドちょ・・・じゃない咲夜」

今はもう仕事は終わっている。
それに真面目な話だ、メイド長と呼ぶのは躊躇われる。

「何かしら? 」

「単刀直入に聞こう。
 妹達が何をしようとしているのか知ってるんじゃないかしら? 」

咲夜の反応を見る、とても驚いた表情を浮かべていた。
やはり今回の事の裏を知っているのね。

「一応知ってるけどどうして気づいたのよ? 」

「最初は料理を食べた後の妹達の言葉がショックで忘れてたんだが
 ここに来てよくよく考えてみるとどう考えても入れるはずがないものが入ってたんだ。
 それこそ納豆にオイスターソースが入ってるくらいのものが。
 これでも結構な年数を作ってきたからその辺はちゃんとわかる。
 それで料理中、リリカが鍋の中身を見たりしてたからまさかと思ったんだ。
 紅魔館で修行して来いって言って私を家からここへ向かわせるのが目的みたいだったからね。
 ということは紅魔館側に根回しをリリカがしてると思ったの。
 一体何をしようとしてるの?あの子達は」

そこまで言うと咲夜がはぁっと溜め息をついた。
おそらくリリカの甘さに呆れた、といったところかもしれないな。
しかし咲夜が何もしなかったところを見ると悪い事をしようとしているわけじゃないと思う。

「大丈夫、あなたにマイナスは無いわよルナサ。
 しばらく前とは違うけどバイトって感じでいてくれないかしら?
 あの子達もあの子達なりに頑張るでしょうから」

やっぱり私が家にいると困る事なのね。
それにしても頑張るって何をかしら・・・?

聞いても咲夜の事だ、たぶん教えてくれないわね。

「うぅーん・・・そう言われると余計に知りたくなるんだけど・・・
 仕方ない、妹達が心配だけど私は知らなかったという事にしておいて」

妹達が私が邪魔だと感じたりしたわけじゃないことがわかっただけでいいのかもしれない。
でも何か危ない事をしようとしていないか心配ではある。

でもあの子達も何時までも二人で何も出来ない子じゃない。
掃除も料理もなんとかではあるが頑張っている事は近くにいる私がよく知っている。

今は妹達を信じて待っているのが姉なのかもしれないから。


「わかったわ、私は何も聞いてないということにしておくわ。
 では・・・・・・改めてよろしくね、ルナサ」

また咲夜が握手を求めてきた。
今日、もう既にしたことだけれど、
お互いに憂い無く仕事をするには必要な事なのかもしれない。

「こちらこそ、よろしく頼む」

私は前と同じようにその手を取った。

いつもとは違う暮らしにはなるけれど、

妹達とまた少し離れ離れになるけれど、



私はここで一生懸命働く事を改めて決意した―――






▽月○日

いつもとかわらな・・・変わってるわよね、どう見ても。
嫌でもわかる、ここが私の部屋ではない事を。
そう、ここは紅魔館、昨日から私はここのメイドとして働いている。
ちょっとまだ違和感があるわね、やっぱり。
メイド服に着替えて厨房へ、朝の習慣は場所が変われど忘れないものね。

「あら、早いわね」

厨房の前で咲夜と鉢合わせ。
軽く挨拶を交わして中へ。

「家でもこのくらいの時間に朝食を作ってるのよ。
 白玉楼も朝は早いらしいよ?」

「幽霊亡霊騒霊揃って朝が早いというのも妙な話ね・・・」



・・・・・・そうなのかしら?









「あぁ、ルナサ、ちょっと提案があるのだけど」

朝食の準備も一段落すると咲夜から提案を持ちかけられた。
何かというと食事当番を交代でやらないかという話だった。

「いいの?他の手伝いのメイドや主人達にとってはあまりいい話じゃないと思うんだが」

新入りのメイドに命令されながらやるのも、
3食のいずれかとはいえその中の一つを私だけが出すのもあまりいいとは思えないんだけど。

「あまり手伝ってもらいすぎるといなくなった時の事が、ね。
 それとその心配事だけど大丈夫よ、あなたの事は既に誰もが知ってることだし、
 腕前も昨日の時点で誰も文句付けられるものじゃないのは証明済みなわけだし。
 それに・・・お嬢様と妹様も期待しているところもあるみたいだしね」

そこまで言ってもらえるとは光栄だね。
私は承った、とその提案を了承した。
修行というか、料理の練習にもなるだろうし、それに咲夜もこれで少しだけ楽になるのならばそれでいい。

働いてみて思う、十六夜咲夜は本当に働きすぎだと。
今日は私が両方やるわ、と言っていたが昼は私がやると譲らなかった。
少しは時間を止めなくても休みをとったほうがいいと思う。
この前調子を崩したと聞いたしね。


ちなみに今日の昼食は食べた事がないであろうジャンバラヤを披露。
少々辛さを抑えたのがよかったのか、主二人からは好評だった。








▽月×日

壁を一生懸命拭いている咲夜を見つけたのでどうしたのか声をかけてみた。

「ちょっと・・・妹様の落書きを、ね」

見れば帝印という文字が・・・テイイン?あぁ、レーヴァテインと当て字で書いてあったのかしら。

「まったく、誰がこんな当て字教えてるんだか・・・」

お互いに苦笑した、まったくね。
そしてたぶんメイドの誰かでしょうねぇと二人で同じ事言ったのにおかしくなってお互い笑った。
なんともわかりやすいというか、なんというか、かしらね。





2階の左端の区画をやっていると急に地響きと爆発音が。
音の方角は図書館側・・・十中八九図書館の魔女、パチュリー・ノーレッジが何かやったのだろう。
その辺の妖精メイドもまたか、という感じに見える。
おそらく今頃咲夜が説教しに行っていると思うが懲りない魔女というのは本当だったのね。
あぁ、でも懲りてたら前の宴会での吸血鬼成長事件とか起こさないか。
あれには当初驚きはあまりしなかったけど今となっては驚愕の事件ではあったわね。
あれ以来時折成長した姿が確認されてるらしいけど気に入ったのかしらね?

それと薬を狙って博麗の巫女と霧雨魔理沙が強盗に入ったなんて事件を聞いたが
まだ諦めてないとか、幻想郷には懲りない奴が多いわねぇ・・・

あぁ、それを言うなら毎度毎度無駄な悪巧みを考えるうちの妹も一緒かしらね。






▽月△日

最近雨続きで中々洗濯ができなかったのだがようやく日が差してくれた。
スカーレット姉妹もまだ晴れている方が好みらしい、結局駄目なのには変わらないらしいが。



「これでお仕舞い、と。
 午前の仕事はこれで終わりかな? 」

手伝いとして洗濯物を干すのを手伝わさせてもらった。
自分の服もあるわけだし、丁度いいしね。

「えぇ、これで終わり。
 あぁ、その籠持つわ」

「ありがとう・・・・・・しかし悪いね。
 本当ならば昼食はそっちの担当だったのだが」

今日は昼は咲夜、夜は私がが担当する事になってたのだが
夜にライブが入ってしまい作ることが出来ない状況に。
ならば入れ替わりで私が昼を担当しようと言ったら快く承諾してくれた、ということだ。

「いいわよ、このくらい。
 お嬢様も妹様もあなたの料理を楽しみにしていらっしゃるし。
 メイド長としてちょっと複雑かもしれないけど」

「大事な主人を取られた感じかい?」

「まさに、って感じかしら。
 まぁ相手が相手だし、仕方なしかしら」

そこまで認めてもらっているのは何ともむず痒いものがある。
あの十六夜咲夜に認められるというのがどういうものかを思うと、特に、ね。

「まだまだ咲夜には敵わないよ。
 さすが紅魔館を仕切るメイド長、年季が違う」

「それって私が年食ってるみたいであまりいい感情を持てないわね・・・」

「それは失敬、そういう意味で言ったわけじゃないんだけどね」

「わかってはいるけど仕方ないわよねぇ・・・っと、厨房過ぎるところだったわね」

話しながらだったせいで危うく厨房を通り過ぎるところだった。
長い廊下だがこうして歩くと距離をあまり感じさせないものだ。
さて、今日はどういったメニューで出そうか・・・

「話しながらだと長い廊下も短く感じるものだね。
 最初は端から端まで行くのにどれ程かかるのかと思ったけど」

「そ・・・」

おそらくそうね、と言おうとしたのだろうが突然の爆発音に咲夜の声は遮られた。
いつも、といえばいつものことではある。

はぁっ、と咲夜が盛大に溜め息をついた。

「私も行ったほうがいいかな? 」

「いえ、今は先にお嬢様と妹様の昼食を作っておいて。
 とりあえず説教が先になると思うから」

私が了解した、と言うと咲夜は消えた。
これからお仕置きタイムといった感じかしら。
被害次第では応援に行かないとね。







「失礼します、お食事の御用意が・・・・・・あれ? 」

部屋に入るとそこにはフランドールさんしかいなかった。
レミリアさんはいずこへ?

「お姉様だったらパチュリーのところに行ったよー」

あぁ、先ほどの事で行ったのかしら。
待ったほうがよさそうかしら。

「お姉さまを待つ必要は無いよ、先に持ってきちゃって。
 今日は何が出るか楽しみー」

いいのかなぁとは思うがこう言うのだから大丈夫なのだろう。
私はシーザーサラダをフランドールさんの分だけ分けた。
そしてメインのトマトの冷製パスタを持ってくる。

「わーい、いっただきまーす」



そして私とフランドールさんだけの奇妙な昼食が始まった。





「それにしても今でもちょっと不思議な感じ。
 咲夜以外の奴が作る昼食を食べるのが」

うーん、と言いながらサラダを食べるフランドールさん。
まぁ長い間咲夜の作る料理を食べているからそう感じるのも不思議ではないし、
私は1週間程度のメイド、それでいいと思うけどね。

「やはりメイド長のほうがよろしいですか?」

「それはそうよ、咲夜のほうがいいのは当たり前。
 咲夜以上の奴なんて考えられないもん」

本当に信頼されているのがよくわかる。
十六夜咲夜が紅魔館に本当に必要な人間なのは一緒に仕事をして改めてよくわかる。
誰からも信頼されていて、その信頼を一身に受けてきっちりと仕事をしている、
そして他にも本人やレミリアさんが言う「お節介」をしている。

これ程の人間を私は他に知らない、いや、人妖問わず知らない。

「それはそれは、咲夜の友人としてはそのお言葉は嬉しいかもしれません」

「?そうなの?変な奴」

そういうもんです、はい。
やはりメイドは咲夜が一番適任ですから。


「うーんおいしい、さすが咲夜が認めた奴ね」

サラダを全て平らげてトマトの冷製パスタにフランドールさんがとりかかった。
うん、好評のようで何よりね。

「まだまだですよ、まだまだメイド長には敵いません」

本心からの言葉を言うとまた爆発音が、今度は悲鳴と怒声付き。
聞いた事のある声で、怒声の主二人と悲鳴の主二人から状況が多少読み込めた。
フランドールさんは興味無さげに、いや、食べる事に集中していた。

これは説教長引きそうね・・・
私は空になったフランドール様のカップに牛乳を淹れる。

手伝いは必要ないかもしれないわねぇ・・・






▽月&日

今日で私の紅魔館での家事修行は終わりとなる。
1週間だけの滞在となったけど本当にためになる事ばかりだったし楽しかった。
時折咲夜がルナサ程なんて贅沢言わないけど少しは出来るメイドが欲しいわぁとかぼやいてたのには
苦笑せざるを得なかったけどね。
そんなに人材難なのかしら、紅魔館て・・・皆頑張ってるとは思うけど。


「一週間もありがとうねルナサ」

咲夜に呼ばれ、部屋で給料を渡された。
私は悪いからと受け取りを拒否したのだが、感謝の気持ちよ、と強制的に持たされた。
うぅむ、こういうつもりで働いていたわけじゃないんだけど。

「いや、こちらこそ貴重な体験をさせてもらったよ。
 それに妹達の件もまた世話になってしまったし」

本当に咲夜には頭が上がらなくなってるかもしれない。
また世話になってしまったわけだし。

「それを言うならこちらも妖精メイドの世話してもらったからお互い様よ。
 まったく、あの子達もいい加減ちゃんと覚えて欲しいのだけど」

確かに物覚えは悪いかもしれないね。
でも皆、頑張ってはいると思うわよ?時々だけど。

「毎日大変だということがよくわかったよ。
 従者というのは大変な仕事なのね、どこでも」

白玉楼や八雲の式を思い出す。
どこでも従者は大変忙しそうである、むしろ忙しい、か。
大変な仕事ね、従者って。
そういう意味じゃ私達はかなり気楽な生活をしているわね。

「まぁお手伝いでも欲しくはなるわね。
 メイドが手伝いを考えちゃお仕舞いではあるけど」

「違いない・・・おや、こんな時間か。
 では、そろそろ戻らせてもらうよ。
 本当に今回も色々と世話になったわ、咲夜」

最後に頭を下げた、今までの礼を伝えるために。
咲夜は苦笑していた、まぁ逆の立場だったら私も苦笑していたかもしれない。

明日からはいつもの状況に戻る。
私はプリズムリバー家に戻り、紅魔館から一人のメイドが消える。

短かったけれど、私はとても充実した一週間を過ごす事ができた。
そういう意味でも、私は頭を下げないといけないと思った。










さぁ、明日からいつもの生活になる。

あの子達が何を考えて私を家から出したのか、たぶん明日わかる。

あの子達が何をしたかったのか、何だろう、何かとても楽しみな自分がいた・・・












▽月%日

「世話になった」

「咲夜の主人として礼を言うわ、ありがとう、咲夜の為に色々と手伝ってくれて。
 今度ライブでも客でも来た時にはそれ相応の礼をするわ」

バイト終了を主に告げ、私は紅魔館の外に出ていた。
門では門番の美鈴さんがこちらを出迎えてくれた。

「どうも~お食事美味しかったです、これからもお元気で」

「えぇ、ありがとう。あなたも元気でね」

私は手を振る門番に軽く会釈をして紅魔館を後に。
さて、早く家に帰らないと・・・

「そんなに急ぐと危ないわよ、たぶん」

声をかけられてびっくりして振り向くとそこには咲夜の姿が。
時を止めて背後に立たれるとびっくりするから止めてって言ったのに。

「何か用?」

「あの二人がちゃんと出来てるか送りがてら見ておきたいってところかしら」

・・・・・・・・・・・・・本当にお節介な人だね。

「ありがとう、妹達の心配をしてくれて」

「頼まれたからには最後まで見届けたいのが本音よ。
 別にあの子達の心配なんてしてないわよ」












「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


家に着いた、のはいいのだけど・・・

『ルナサ・プリズムリバー以外入る事禁ず』

と書かれた立て看板が玄関前に置いてあった。
何これ?

「ぷっ・・・ふふふっ、またあの子達も面白い事をするわね」

耐え切れない感じで咲夜が笑い出した。
私は笑おうにも笑えない、第三者の立場が本当に羨ましい。

「さて、と」

咲夜が消えた、帰ったのかと思ったら直ぐにまた戻ってきた。
何をしてきたのだろうか?

「ふふふ、状況確認終了、後は家族水入らずってね」

それじゃあね、と咲夜は飛んで帰っていった。
な、なに・・・?何があるの?この中に・・・

自分の家なのになぜ入る事に躊躇しなくてはいけないのか。
手に汗が・・・ごくり、と唾を飲み、ドアノブに手をかけた。

すると回してないはずなのに勢い良くドアが開かれた。


「「姉さんお帰りぃぃぃぃぃぃぃ!!! 」」



瞬間、妹達に家の中に拉致された。
自分の家なのに拉致とはこれ如何に?









「えーと・・・リリカ、メルラン、その格好どうしたの・・・? 」

見ればリリカの顔はクリームで酷い事になってるし
メルランの服はボロボロだし、いったい何が・・・・・・ん?
居間に案内されるとそこはいつもの光景ではなく、


「「姉さん」」


いっぱいのご馳走と、


「「いつもありがとう!!! 」」


大きなケーキが、そこにはあった・・・・・・

「ルナサ姉さん感謝パーティ」と書かれた横断幕が全てを理解させてくれた。

あぁ、この為にこの子達は私を家から出して頑張っていたのか。

こんなに、顔も服も酷い有様になりながら。

そして咲夜もそれを知っていて私を紅魔館で仕事させていたのね。



まったく・・・本当に・・・


「え?ね、姉さん!? 」



私は頬を伝うものを感じた、だが止まらない。
止め処なく涙が、流れてくる・・・





「もう・・・こんな、の、わたしは、いいのに・・・」










それでも、嬉しくて、嬉しくて、私は涙を流し続けた。
















今日の夕飯は、今までの中で一番美味しく感じた。










そして何より、楽しかった。














ありがとう、リリカ、メルラン、そして咲夜。














そして・・・・・・・・・・・・・これからもよろしくね。
小悪魔「銀色のニャイフー、メイド長の印ー」
パチュリー「・・・・・・」
小悪魔「お嬢様愛する咲夜さんがーわーるい美鈴ぶっ飛ばすぞー」
パチュリー「・・・・・・」
小悪魔「レッツ、ゴー、ゴー!スキマはつよぉぉいぃー」
パチュリー「・・・ねぇ、何その歌」
小悪魔「ミスディー・・・レクショォン!(黒龍レノ(以下略)(レクショォン!)・・・え? 」
パチュリー「その妙な歌は何ってこと」
小悪魔「メイド妖精の方から教えてもらいました」
パチュリー「・・・・・・ちなみにその妖精メイドは今どこに? 」
黒龍(以下略)「ただいまお仕置き中です」



外伝のメイド「メイド長!どうか慈悲を!慈悲をぉぉぉぉぉぉ! 」
咲夜さん「駄目に決まってんでしょうがこの駄メイドォォォォォ! 」
外伝のメイド「いぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」



どうにか今作品集に間に合ったかな?とか思ってるのは内緒。
あー1週間に一回がここまで辛くなるとは、ネタの有無が問題なのか、とも思ってるのは内緒。
だが、まだだ、20まではまだ・・・!とも思ってますがね。

とりあえず咲夜さんが野良犬は捨てられないわ だって飼えないからって言ってた。
黒子
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コメント



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1.70名前が無い程度の能力削除
ごちそうさま
2.90名前が無い程度の能力削除
ルナサかわいいよルナサ
4.80名前が無い程度の能力削除
なんという姉妹愛
6.90名前が無い程度の能力削除
ちょっと泣いたのは秘密(何

嬉し泣きしているルナサの笑顔が脳内再生されましたw





あとV3は俺のど真ん中ストライク(年がバレル
13.80煉獄削除
こういう外伝の話も良いですよねぇ。

しかし、とても暖かくなるような姉妹愛ですな。



外伝のメイドがお仕置き受けてるのも良かったですw

慈悲をもらいたいのなら最初からやらなければいいのに・・・・。

次回はどんな話かな~。
16.80名前が無い程度の能力削除
コメントのカオスっぷりが最高です。
21.80名前が無い程度の能力削除
外伝のメイドw

美しい姉妹愛に目から汗が出そうになった。
22.100ぽへ削除
仕事中に無事プリバ話に癒されました。
39.80名前が無い程度の能力削除
最後のノリダークソワロタwww