朝起きたらそこは摩耶観光ホテルだった。
隣には何故か秋姉妹が寝ていた。
ああ、きっと夢か。よし寝る。
落ち着いてもう一度隣を見てみると、紛れもない穣子様の寝顔が……。
……何がなんだかわからないがそういう事だ。
これは夢か現実か。とうとう夢も現実もわからないほど精神が薄弱してしまったのか。昨日の夜に飲んだ薬はリタリン。医者から貰った精神安定剤だ。
これを飲むといつも幸せ気分になれるというのに最近気づいた。依存するらしいから多様は禁物と言われていたけど。まさかこんな作用が出るとは。いや、作用なのかどうかも怪しいが。
まず、摩耶観光ホテル。通称マヤカン。これは憧れの場所だ。某県の山の上に位置する人の訪れる事のないホテル。つまりは廃墟。廃墟スキーな自分にとっては言ってしまえばヒルトンホテルに匹敵するくらい憧れのホテルだ。廃墟だけど。
いや畏敬の念を込めてあえてこう呼ぼう。遺跡であると。
そして次は……その遺跡の大広間で寝ている神様達。これは自分が好きなキャラクターである。
秋姉妹。まさか実在していたとは。いや、信仰すれば神様は生まれるのだから存在して当たり前か。
別に彼女達に恋愛感情を持っているわけじゃない。それでも好きなのだ。好きなのに理由なんか要らないよね。これは定説です。
さてそれはそうと姉妹である。まだ寝ている……あれ? いない。
さっきまで寝ていた場所に彼女達の姿がない。そうかあれは幻だったんだな。と、その時だ。
「あんた誰よ!」
背後から投げかけられた言葉が胸の奥に突き刺さった。これは痛い。死にそうだ。
それにしても、レディー。人に名前を聞く時は自分から名乗るものだってママンに教えられなかったかい?
って違う! 僕はこんなキャラじゃない!
「……あ、そうね。私の名前は秋穣子よ」
って普通に名乗ってるし!?
「何よ。名乗れって言ったのあんたでしょうが! で、あんたの名前はどうなのよ」
穣子様に向かって自分の名前を名乗る。
「ふーん。変な名前ね」
変な名前って言われた! 昔いたいじめっ子にだって言われた事なかったのに!
そりゃあまり聞かない名前だけど、神社の神主様が授けてくれた名前なんだぞ!
「何よ。そんな怒る必要ないでしょ。それよりここはどこなのよ」
ここはマヤカンです。と答えると案の定彼女は意味がわからないと言った感じの表情で訴えかけてきた。
さて、どうしようか。ここでこのマヤカンの素晴らしさを滔滔と語っても良いのだが、って神様に向かって流石にこれは失礼過ぎるか。
「……ま、あまり深く気にしない事にするわ。とにかくここはマヤカンって場所なのね」
あ、正式名は摩耶観光ホテルです。ってどうでもいいか。
あれ? そう言えば静葉様はどこへ……。
「ねえ穣子。大変よ。ここは……ってあら?」
ああ、噂をすれば麗しのお姉様!
「この人誰?」
「ああ、ええとね……」
穣子様は静葉様に私の事を説明してくれた……。
「……ってまだあんたが何者か聞いてなかったわね。教えて頂戴」
そう言って恥ずかしそうにぺろっと舌を出す稔り神様。
って、なんだそりゃ。仕方なく自分はニートで精神病を患っていて目が醒めたらここにいたと言う事を彼女に説明する。すると静葉様が一言。
「奇遇ね。私達も目が醒めたらここにいたのよ」
なんと、二柱ともそうであったというのか。これはいったい誰の陰謀だ!
「困難を打破するためには、まず状況を見極め行動に移す」
そう言いながら静葉様は何やら紙切れを。
「これはこの建物の詳細が載ってるものよ。これでここがどこなのかは把握出来るわ」
ああ、自分が説明するまでもなかったか。流石は姉様。
「これによるとここは小曲園という場所らしいわ」
ちっがーう!! なんで小曲園!? いや確かに好きな廃墟だけどさ。もう既に幻想入りしてしまってるんだぞ。あるわけないじゃないか!
「でもこれには書いてあるわよ?」
と、静葉様の見せてくれたパンフレットには確かに小曲園と。何でこんな所に小曲園のパンフレットが!? 紛らわしい。ああ、そうか。ここは自分の好きなものが具現化している場所なのかもしれない。
即ちここはまぼろしの世界。まったくジム・モリソンもびっくりだぜ。
さあ、尻尾を立てろ! ついでにハートに火を付けろぃ!
「姉さん。この人が言うにはここはマヤカンていう場所らしいわ」
「あら、そうなの?」
あったり前田のクラッカー! てやんでえ! ベラボーマン! ここがどうあれば小曲園だというのだ。
「ま、ここの名前なんてどうでもいいわ。大切なのは今どういう状況かって事ね」
……姉様。そりゃねーっす。思わずORZ!
「それで今確認してきたけど、どうやらこの建物に閉じ込められているみたいね。面倒だけど出る方法を探しましょう」
「本当面倒ね~」
いや、まったくだ。きっとこの建物から出るには各フロアにいるボスを倒して封印を解かないといけなかったりするんだぜ。
んでもってラスボスはきっとチョチョンガチュンとか言いながらちゃぶ台の上で踊ってるんだぜ。
しかし何だ。大好きな廃墟を大好きなキャラと探索だなんて、ぼかぁ幸せだなぁ……。
「めんどくさいから天井に穴を開けてそこから脱出しましょう」
「それがいいわね」
身も蓋もねぇ!?
「無駄は徹底的に省く。競争社会を生き抜くための掟よ」
ああ、幻想郷の住人らしからぬお言葉です。しかも耳が痛い。
しかしスペルカードが生で見れるってのはいいかもしれない。物は考えよう。気の持ちよう。
「じゃあ穣子。任せたわよ」
「おっしゃー! いくわよー!」
颯爽とスペルカードを取り出す穣子様。ああ、なんて神々しい。神様だから当然か。
「恋符マスタースパーク!」
ってスペル違ぇえし!?
「細かい事は気にしない」
そういう問題じゃ……。これじゃ魔理沙のアイゼンハウアー……じゃなかったアイデンティティーが……。
そう言っている間にも穣子様は尻から光の束をぶっ放された。
って尻!?
「ただし魔法は尻から出る。一度やってみたかったのよ」
やってみたかったってあんた一応神様でしょ。いいの? それで。
「神様はあなたが思っているよりお茶目なのよ」
静葉様がすかさず続く。ああ、もうなんかもう、夢も希望もありませんって感じ。
ともかくこれで出口への血路は開けた。後は脱出あるのみ。
さあ、夢と希望と厳しい現実世界へとわくわくしながら突き進むのだ。
そして僕らは屋上へ。その時だ。
「あら、私達はどうやら大きな勘違いをしていたようね」
「え? 姉さんどういうこと?」
見渡す限り緑の山、山、山、山。川もある。正に山川豊といったところか。
ってこれじゃただのおやじギャグだ。
「ここ幻想郷だわ」
その言葉に唖然とするのは自分。
ちょっと待て!? 僕はまだあっちの世界には未練があるのにこれからどうすればいいの?
「ここは幻想郷よ。常識に囚われてはダメなの。これからはあなたの生きたい様に生きなさい」
そう言い残して神様は去っていった。
さりとて特にやることはない。別に未練があるわけでもない。僕は屋上からまっ逆さまに飛び降りた。
目を覚ますとそこは病院の一室だった。窓の外からは雪景色が見える。
なんでもベランダから飛び降りたらしい。
つまり今までのは全部夢だったのか。
夢オチか。なんと安易なんだろうと呆れながら近くの物入れの上を見ると綺麗な紅葉が置いてあった。
その紅葉はまるで僕に「生きろ」と告げているようだった。
僕は涙が止まらなかった。
隣には何故か秋姉妹が寝ていた。
ああ、きっと夢か。よし寝る。
落ち着いてもう一度隣を見てみると、紛れもない穣子様の寝顔が……。
……何がなんだかわからないがそういう事だ。
これは夢か現実か。とうとう夢も現実もわからないほど精神が薄弱してしまったのか。昨日の夜に飲んだ薬はリタリン。医者から貰った精神安定剤だ。
これを飲むといつも幸せ気分になれるというのに最近気づいた。依存するらしいから多様は禁物と言われていたけど。まさかこんな作用が出るとは。いや、作用なのかどうかも怪しいが。
まず、摩耶観光ホテル。通称マヤカン。これは憧れの場所だ。某県の山の上に位置する人の訪れる事のないホテル。つまりは廃墟。廃墟スキーな自分にとっては言ってしまえばヒルトンホテルに匹敵するくらい憧れのホテルだ。廃墟だけど。
いや畏敬の念を込めてあえてこう呼ぼう。遺跡であると。
そして次は……その遺跡の大広間で寝ている神様達。これは自分が好きなキャラクターである。
秋姉妹。まさか実在していたとは。いや、信仰すれば神様は生まれるのだから存在して当たり前か。
別に彼女達に恋愛感情を持っているわけじゃない。それでも好きなのだ。好きなのに理由なんか要らないよね。これは定説です。
さてそれはそうと姉妹である。まだ寝ている……あれ? いない。
さっきまで寝ていた場所に彼女達の姿がない。そうかあれは幻だったんだな。と、その時だ。
「あんた誰よ!」
背後から投げかけられた言葉が胸の奥に突き刺さった。これは痛い。死にそうだ。
それにしても、レディー。人に名前を聞く時は自分から名乗るものだってママンに教えられなかったかい?
って違う! 僕はこんなキャラじゃない!
「……あ、そうね。私の名前は秋穣子よ」
って普通に名乗ってるし!?
「何よ。名乗れって言ったのあんたでしょうが! で、あんたの名前はどうなのよ」
穣子様に向かって自分の名前を名乗る。
「ふーん。変な名前ね」
変な名前って言われた! 昔いたいじめっ子にだって言われた事なかったのに!
そりゃあまり聞かない名前だけど、神社の神主様が授けてくれた名前なんだぞ!
「何よ。そんな怒る必要ないでしょ。それよりここはどこなのよ」
ここはマヤカンです。と答えると案の定彼女は意味がわからないと言った感じの表情で訴えかけてきた。
さて、どうしようか。ここでこのマヤカンの素晴らしさを滔滔と語っても良いのだが、って神様に向かって流石にこれは失礼過ぎるか。
「……ま、あまり深く気にしない事にするわ。とにかくここはマヤカンって場所なのね」
あ、正式名は摩耶観光ホテルです。ってどうでもいいか。
あれ? そう言えば静葉様はどこへ……。
「ねえ穣子。大変よ。ここは……ってあら?」
ああ、噂をすれば麗しのお姉様!
「この人誰?」
「ああ、ええとね……」
穣子様は静葉様に私の事を説明してくれた……。
「……ってまだあんたが何者か聞いてなかったわね。教えて頂戴」
そう言って恥ずかしそうにぺろっと舌を出す稔り神様。
って、なんだそりゃ。仕方なく自分はニートで精神病を患っていて目が醒めたらここにいたと言う事を彼女に説明する。すると静葉様が一言。
「奇遇ね。私達も目が醒めたらここにいたのよ」
なんと、二柱ともそうであったというのか。これはいったい誰の陰謀だ!
「困難を打破するためには、まず状況を見極め行動に移す」
そう言いながら静葉様は何やら紙切れを。
「これはこの建物の詳細が載ってるものよ。これでここがどこなのかは把握出来るわ」
ああ、自分が説明するまでもなかったか。流石は姉様。
「これによるとここは小曲園という場所らしいわ」
ちっがーう!! なんで小曲園!? いや確かに好きな廃墟だけどさ。もう既に幻想入りしてしまってるんだぞ。あるわけないじゃないか!
「でもこれには書いてあるわよ?」
と、静葉様の見せてくれたパンフレットには確かに小曲園と。何でこんな所に小曲園のパンフレットが!? 紛らわしい。ああ、そうか。ここは自分の好きなものが具現化している場所なのかもしれない。
即ちここはまぼろしの世界。まったくジム・モリソンもびっくりだぜ。
さあ、尻尾を立てろ! ついでにハートに火を付けろぃ!
「姉さん。この人が言うにはここはマヤカンていう場所らしいわ」
「あら、そうなの?」
あったり前田のクラッカー! てやんでえ! ベラボーマン! ここがどうあれば小曲園だというのだ。
「ま、ここの名前なんてどうでもいいわ。大切なのは今どういう状況かって事ね」
……姉様。そりゃねーっす。思わずORZ!
「それで今確認してきたけど、どうやらこの建物に閉じ込められているみたいね。面倒だけど出る方法を探しましょう」
「本当面倒ね~」
いや、まったくだ。きっとこの建物から出るには各フロアにいるボスを倒して封印を解かないといけなかったりするんだぜ。
んでもってラスボスはきっとチョチョンガチュンとか言いながらちゃぶ台の上で踊ってるんだぜ。
しかし何だ。大好きな廃墟を大好きなキャラと探索だなんて、ぼかぁ幸せだなぁ……。
「めんどくさいから天井に穴を開けてそこから脱出しましょう」
「それがいいわね」
身も蓋もねぇ!?
「無駄は徹底的に省く。競争社会を生き抜くための掟よ」
ああ、幻想郷の住人らしからぬお言葉です。しかも耳が痛い。
しかしスペルカードが生で見れるってのはいいかもしれない。物は考えよう。気の持ちよう。
「じゃあ穣子。任せたわよ」
「おっしゃー! いくわよー!」
颯爽とスペルカードを取り出す穣子様。ああ、なんて神々しい。神様だから当然か。
「恋符マスタースパーク!」
ってスペル違ぇえし!?
「細かい事は気にしない」
そういう問題じゃ……。これじゃ魔理沙のアイゼンハウアー……じゃなかったアイデンティティーが……。
そう言っている間にも穣子様は尻から光の束をぶっ放された。
って尻!?
「ただし魔法は尻から出る。一度やってみたかったのよ」
やってみたかったってあんた一応神様でしょ。いいの? それで。
「神様はあなたが思っているよりお茶目なのよ」
静葉様がすかさず続く。ああ、もうなんかもう、夢も希望もありませんって感じ。
ともかくこれで出口への血路は開けた。後は脱出あるのみ。
さあ、夢と希望と厳しい現実世界へとわくわくしながら突き進むのだ。
そして僕らは屋上へ。その時だ。
「あら、私達はどうやら大きな勘違いをしていたようね」
「え? 姉さんどういうこと?」
見渡す限り緑の山、山、山、山。川もある。正に山川豊といったところか。
ってこれじゃただのおやじギャグだ。
「ここ幻想郷だわ」
その言葉に唖然とするのは自分。
ちょっと待て!? 僕はまだあっちの世界には未練があるのにこれからどうすればいいの?
「ここは幻想郷よ。常識に囚われてはダメなの。これからはあなたの生きたい様に生きなさい」
そう言い残して神様は去っていった。
さりとて特にやることはない。別に未練があるわけでもない。僕は屋上からまっ逆さまに飛び降りた。
目を覚ますとそこは病院の一室だった。窓の外からは雪景色が見える。
なんでもベランダから飛び降りたらしい。
つまり今までのは全部夢だったのか。
夢オチか。なんと安易なんだろうと呆れながら近くの物入れの上を見ると綺麗な紅葉が置いてあった。
その紅葉はまるで僕に「生きろ」と告げているようだった。
僕は涙が止まらなかった。
好きで書いてる作者さんと、そういうのが好きで読んでくれてる読者さんに失礼だろ?
すべての作品が自分の趣味に沿った形で世に出てるなんて思うなよ?
ともあれ改良の余地を残しながらも、読んでいて作者さんのひたむきさが伝わってくる作品でした。
次の作品にも期待しています。
作者が省いた部分を読者側で「自明な部分」として補完することが出来るからです。
では、全くのオリキャラを主人公に置いて、独自のキャラ設定と世界設定を雑な描写で表現したとき
穴だらけで生まれた作品は
補完されることなく穴だらけのまま死んでいくのではないですかね?
本文については、厳しく言えば単なる書き散らし。ずどんと一本テーマが欲しいが、それが無い。
いや、あるのかも知れないけど、読者に伝え切れてない気がする。
あとはキャラが稀薄だね。秋姉妹である必然性が感じられず、読んでても感情移入できなかった。
なんか文句ばかりで申し訳ない。次回作に期待します。
でもこういう作品は嫌いではありません
次回作に期待しています
ただギャグは面白くない 男いらない