Coolier - 新生・東方創想話

大切な日常

2008/09/19 21:18:37
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    この作品は作者の妄想によりかかれたものです。
     過度な期待はしないでください。
     それでもいいというかたは、どうぞ。

















日常はその人その人によって違ってくる。

 
    その日常を楽しむものもあれば、「平凡だ」と面白くもなさそうに毎日を生き続けるものもいる。
 
   この話は、そんな、ある二人の日常を描いたものである。




         




         日常とはなんだろうか、
              「平凡」   「退屈」
      その言葉しか浮かばない人物こそ、本当の日常にたどりつけていないのかもしれない。

















    ―――雪の日に、
    ザクザクと雪の音を鳴らして歩く二つの影。
    一つは白黒の衣装にトンガリ帽子。
    もう一つは人形を傍らに飛ばせて、その白黒の手を握っている少女。
    どこからどう見ても、恋人同士に近い形で二人は寄り添っている。
    

    こうやって、二人で肩を並べて、手を握り合って歩くのが、彼女たちの「日常」だったのだ。

    そう、「だった」
 




    








   「なあ、アリス」
    傍らの白黒がアリスという少女を呼ぶ。
   「ん?」
    その少女の頬はほんのり赤く染まっていて、それは寒さのせいだけではないことが伺えた。返した言葉こそそっけないものだが、内心は嬉しいに違いない。と、白黒の――霧雨魔理沙は思った。
   「……少し、座って話でもしよう」
    そのいつもとは違う声色に、アリスは驚く。
   「うん、まあ、いいけど」
    驚いて、はっきりとした返事ができなくなる。
   「じゃあ、この辺でいいや」
    雪がかぶって岩肌が見えないところを指差して、魔理沙は手で雪を払い、そこに座る。
    アリスも、誘われたことによりその隣に座った。
   「どうしたのよ、いきなり」
    アリスが先に口を開く。
   「魔理沙から誘うなんてめったにないじゃない」
   「あー……うん。まあ、な。たまにはこうやって自分から誘うのも悪くはないと思って」
    アリスはその言葉にますます不信感を募らせた。
    
    どうも様子がおかしい。
  
    アリスの知っている魔理沙は、強引で不真面目で発する言葉にどうしても疑いしか残らなくて――でも、
    でも、こんなにも憂いを帯びた顔は見せたことがなかったはずだ。
 
   「………………」
   「………魔理沙?」

    返事は帰ってくることがない。
    魔理沙はただ、地面に積もった雪を見つめて、言葉を捜しているようにも見えるし――何かを決意したようにも見えた。
    そして、そのときは訪れる。
    日常は、一言で、ガラリと世界を変えることができる。

   「アリス……」

    そして、魔理沙はもう一言、
  

   「もう、終わりにしよう……?」


    「日常」は「そうでないもの」に切り替わった。
    それは、あっけなく、もろく、
    崩れていった。
   「どういう、意味よ……」
    声が震えて小さくしか出せない。こんな質問をしたとしても、自分の心の中でわかっている答えが返ってくる。
    
    そんなこと、わかっている。
  
    わかっているからこそ、「もしかしたら」という希望を一つ見つけ出すのだ。
    それが、崩れるということも、知っているのに。

   「そのままの、意味だ」
 
    魔理沙は、冷淡な声でその質問に答える。
   「冗談でもそんなこと言わないでって――」
   「冗談じゃない」
    その一言だけで、場の空気は切り替わった。
   「…………………」
   「…………………」
   「………………ねえ」
    ポツリとそう漏らしたのは、アリスだった。
   「何でいきなり、そんなこと言い出すのよ……?」
   「……私がもう、いいと思ったからだ」
    帽子のつばを軽く下げて、魔理沙が言う。
   「この二つの季節を通り越すときに思ったんだ。もう十分だって」
    魔理沙の一つ一つの言葉に、なぜか心の奥底からふつふつと湧き上がるものがある。
   「だから、もう終わりにしよう。こんな関係は」
   「………や」
   「え?」
    それは、アリスの声の大きさによってわかること。
   「嫌よ、嫌! やっと、やっと二人で想いあえたのに! やっと、やっと……嫌、嫌よ!」
    そこにはすでに涙を瞳に浮かばせているアリスの姿。
    普段見せない弱さがそこにあった。
    ああ、やはり、私は。
    それでも――。
   「アリス……」
    魔理沙は、アリスに一言。
    終わりを告げる、言葉を紡ぐ。
   
   「多分、私が持っていた感情は、アリスのものとは違うんだ」
   
    瞬間、アリスの「世界」と「日常」は目の色を変えた。
    こみ上げる。
    気持ちが、
    気持ちが、
    気持ちが。
   「だから、怒っているのなら気が済むまで殴ればいい。それで、関係が断ち切れるなら」
    魔理沙は、俯いている。
   「もう森の中でも会わないようにしよう。もし会ってしまったのなら、関係ないように通り過ぎて欲しい」
    アリスは立ち上がり、魔理沙を見下げている。
 
      悲しい?

       寂しい? 

        また一人になるの?

         また、私は一人なの?

          友達であり親友であり。愛する人。

            私を一人にする気?
    
   「………そう」
    結局口から漏れた言葉は、これだけで、
   「風邪とかひかないように、元気でね………」




    ザクザクと雪を踏み鳴らし、雪道を駆けていくアリスを一人、魔理沙は見送る。
   「……やっぱり、いつまで経っても」
    

    独り言を呟くと、なぜか目元がにじむ。


    ああ、私は、今すごく、
    君に謝りたい。
  
   「今のは冗談だったんだ」と、
    そういったら君はどんな顔をして怒るだろうか。
    そして、どんな顔をして許してくれるだろうか。
  
   「もう、いつもそうなんだから。次ぎやったらぶん殴るどころじゃないけど、今回は許してあげるわ」
   
    そう、言ってくれるだろうか。
   
    ああ、今ならまだ間に合う。
    後姿を追いかけて、後ろから抱きついてやれることもできる。
    今なら、
    今ならば。
    
  

    でも、できない。
    それが、私の出した答え。
  
   「アリス――」
    






























        
         「――私を、嫌いになってくれ」

   



   

   












    帽子から少しだけ見える肌に、
    一つ、涙の筋が光る。
初めまして、wikiと申します。初投稿です。
今回、書かせていただいたのは魔理沙とアリスのお話です。
  マリアリが好きで好きでもう一晩中マリアリ動画を見てしまうくらい好き過ぎてこんなものを書いてしまいました。
  元々一本のものにしようと思ったのですが、完成品を見て「長ッ!?」と思ったので分割させていただきます。ごめんなさい。
  次は何故魔理沙がアリスに別れ話を切り出したのかを書こうと思っております。
  大体はできてきているんですが、ほら、色々と妄そ・・・ゲフンゲフン。あれも書こうこれも書こうと思ってしまうのでできる限り早めに書いておきたいと思います。
  できる・・・よね・・・?
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コメント



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1.70名前が無い程度の能力削除
今までにないような雰囲気ですね。
続きを待ってます。
2.無評価名前が無い程度の能力削除
もう少し長くして分割したほうがいいと思いますよ

まぁ冒頭だからって意味もあるのかもしれませんが