「それでは、よろしくお願いいたします」
ペコリ、と首を垂れられる。
「別に、子守りでそんなに重々しくならなくってもいいわよ。藍」
「で、でも・・・」
「それとも、私故に心配とか?」
「そ、そんなことは・・・」
「幽香さーん!早く行きましょー!」
風見 幽香は丘の方で自分を呼ぶ子猫の方を見る。
「あなたの可愛い式がお呼びだから、私は行くわね。あなたも、手早く済ませてくるのよ?」
「本当にすまない。幽香。お前には助けられっぱなしだよ」
八雲 藍は耳の裏を掻く。彼女の照れ隠しである。
原因は何でもない。最近幻想郷の結界の容態が悪化したので集中治療しなければならないのだとか。その 間橙を見てほしいというのだ。
なぜ私が?心当たりがないわけでもない。
あの子猫―橙はこの周辺で迷っていた時に幽香は保護したのだ。それ以来懐かれてしまっている。
「幻想郷の中でも光りものの危険度を持つお前にうちの可愛い式が懐かれたとあると、心配でもあるが な」
「いくらわたしでも子猫を嬲る趣味はないわよ」
「そうだな、お前は蟻をいじめるようなことはしないもんな」
じゃ、と藍は言うとスキマの中へと消えて行った。
「主を散々待たせる式ってのもどうなのかしらねぇ」
そう思いつつ、丘の方へと向かった。
風が冷たいが、それ位である。視界良好。お天道もご機嫌の晴天。
「幽香さーん!こっちですー」
橙が丘の上でぴょんぴょん跳ねながら幽香を誘う。
「やれやれ、あなたも少しはこの天気を楽しみなさいよ?」
日傘をさすほどでもないので杖のように地面に突きながら橙にゆっくりと追いついていく。
「幽香さん幽香さん」と幽香の空いた腕に絡んでくる。まさに子猫そのものである。
幽香にも自然と笑みがこぼれる。
タンポポが丘一面を黄色い色彩に染め上げんとしている中、橙は何本か抜いて冠を作っている。幽香はそ れをただ見ているだけである。
今年はタンポポの咲きは速いようにも思う。もう少したったならここ一面を占拠するタンポポの黄色いお 祭り騒ぎを見ることが出来るだろう。
「幽香さん!」
橙が後ろに何か隠したようにした位にして幽香の方にとてとてと歩いてきた。
「あら、どうしたの?橙ちゃん」
橙の髪についた土埃を払いつつ尋ねる。
「えへへ~。はい。プレゼントです」
そう言ってタンポポの黄色い王冠を幽香に被せた。
編みあげられたタンポポはまるで純金の王冠のように太陽の光を受けきらきらと輝いていた。
「ふふふ、ありがとう。橙ちゃん」
そう言うと、ぎゅーっと橙の後ろから手を廻して抱き締める。
「あははははは、幽香さん苦しいですよ」
そう言う橙の顔は笑っている。いやではないらしい。自然と幽香の顔にも笑みがこぼれる。何となく、藍 が橙に入れ込む気持ちが分からなくもないような、そんな気がした。
「幽香さん、向こうに行きませんか?」
そう言って橙が指さしたのはヒマワリ畑の方であった。
幽香と橙が手を繋いで歩いていく。
風見幽香という妖怪が本来どれほど恐れられているものなのかはいうまでもない。しかし、ここでは風見 幽香という個人はいれとも、妖怪としての風見優香など何処にもいない。今の彼女は花を愛でると同じよ うに橙を愛でていた。
「なんか、さみしいところですね」
橙が発した一言であった。まぁ仕方はない。
ヒマワリは夏の花である。今は春とはいえでもまだ山の方には雪が残っているような季節である。いい 所、芽が出ている奴がいるかどうかである。
だから、「そうねぇ」と相槌を打つ。
「でもね、橙ちゃん。ここにはヒマワリが植えられているの」
「ヒマワリ・・・、あぁ、あの大きなお花ですか?」
「そぅ、そのヒマワリ」
「へぇー。そうなんですか」
橙の目がきらきらと輝きだす。まるでいま彼女の目の前にはもう視界を占拠しかねん位に成長した立派な ヒマワリが咲き乱れているのだろう。
「夏になったら、またいらっしゃいな。そうしたらヒマワリと一緒に歓迎してあげる、ね?」
「・・・・ッハイ!そのときは藍様も、紫さまもご一緒でもいいですか?」
「えぇ、一緒にいらっしゃい」
近いうちに、日傘とテーブルを用意する必要があるかもしれないな。と幽香はちょっと遠いティーパーテ ィーの計画をたててみたりした。
「おいしいです!このパンすごくおいしい」
「ありがとう。ラスクっていうのよ。この料理は」
「さっくりとして、甘くて・・・モグモグ」
「橙審査員長さん?料理は逃げませんから食べ終わってから評価してくれてもかまいませんよ?」
風見優香の家にて、幽香と橙は小さなティーパーティーを始めた。
幽香には無糖のジャスミン茶を。橙には角砂糖3つも使った甘めなアールグレイを。
テーブルの真中には砂糖をまぶしたラスクをお供に。幽香が住むログハウスの中は落ち着いた雰囲気を醸 し出す一方で、最近やってくるかわいらしいお客さんのためにかわいらしいインテリアがぽつぽつと待機 している。
幽香もお手製のラスクを一口、齧る。
「うん、我ながらいいお味」
そう言ってお茶を一口。
「いいなぁ、私もお料理出来たらなぁ」
齧った後の歯型が残ったラスクを眺めつつ橙が溜息をつく。
「八雲家のお料理事情ってそんなに大変なの?」
「はい、お料理はいつも藍様がやってくれるんですけど・・・もし藍様がいないときに、例えば今回みた いに橙一人になった時とかにお料理作れた方がいいのかなぁと思ったり・・・それにそれに、藍様にエラ イエライしれもらえるかもしれませんし!」
幽香は頬杖をついて橙の独白を聞いていた。成程、八雲一家の台所事情を垣間見た所でお茶を一口。
「そうね・・・橙ちゃん」
「ふぇ?」
「おねいさんがお料理の指南をして上げましょうか?」
自分のことをおねいさんということに少し恥ずかしくなったりしつつ、橙に提案してみる。料理位なら自 分にも教えられるし、八雲一家の台所事情については全く興味無いがいつも頼られてもいいと言える自信 はない。まぁ、何よりもいい暇つぶしであり、橙と一緒にいれる機会が増えるというのは悪い話ではな い。自分も橙という子猫をいつか藍と取り合う日が来てしまうのではないか?と思う位瞳の中に自分が見え る位透き通った目をした橙に入れ込んでいる自分がいた。
「幽香さんが、お料理教えてくれるんですか!?」
ヤッター!と橙は大手を振って喜びを現わしてくれた。これ位嬉しがられるとさっき自分ことをおねいさ んなんて言ったこっぱずかしさなんてどこかへと飛んでしまった。
「まぁ、今日の所は何も用意してないから次来た時にでも、ね?」
橙の口元についたラスクの破片を取りつつ幽香は言った。
「・・・・っと。家にいたとは意外でした」
スキマ音と共に中から藍が出てくる。どうやら今日はここまでのようだ。
「結界の方は、どうなったの?」
「あはは、御蔭さまでなんとかなりましたよ。・・・全く気持ちよさそうに寝てしまって」
幽香の膝枕ですーすーと寝息をたてて橙が眠っている。近くに本が置いてあることから読み聞かせでもし ていたのだろうか?
「本当、可愛い寝顔だこと」
「幽香にも遂に橙の可愛さが分かってくれたみたいで何よりです」
「べっ、別にいいじゃない。可愛いものを可愛いっていう位。事実なんだし」
自分では分かっているが、どうにも図星なことに対しては否定的になってしまう自分がいることを最近幽 香は知った。
「それより、あなたの方はどうなの?勇儀と上手くいってるの?」
そう言った途端藍の顔が赤いチューリップみたいに染め上がった。
「べべ、別に、今まで通りですよぉ~?」
そういいつつ、藍の9本の尻尾は上下左右東西南北。ぶんぶんと荒らぶっている。
「とりあえずあなたは照れ隠しの仕方を学んだほうがいいんじゃないのかしら?その反応からすると、何か 進展があったようね」
藍は何も言わず、こくりと肯くと。
「・・・今度、行きつけのお店に連れてってくれる」
か細い糸のような声で藍は言った。
「良かったじゃない。お食事に誘ってくれるなんて、進展ありねぇ」
「・・・・・・・・・」
遂には何も言わず俯くだけになった。
「頑張りなさい?あいつは真っすぐだけどその分鈍感よ?」
そういいつつ、橙を起こす。
「起きなさい橙ちゃん。保護者がお迎えに来たわよ?」
「・・・・ぅん?・・・ら・・ん・・様?」
「良く寝たかい?橙」
「・・・・・お仕事はもういいんですか?」
まだ眠いのかまだふらつく足で藍の腕にしがみつく。そのまま、また寝てしまいそうだ。
「・・・・・藍様?お顔紅いですよ?」
「ゔぇっ!?そ、そうかい?」
「・・・・・」
「気のせいだよ。気のせい。さぁ、帰ろう」
「じゃぁね、橙ちゃん」
幽香が手を振る。
「バイバイ、幽香しゃん」
目をこすりつつ、手を振り返してくれた。
そのまま、二人ともスキマの中へと消えてった。
「・・・さて、と」
すっかり広くなてしまった家を眺めつつ幽香は鼻歌交じりにお茶会の後片づけを行う。
料理の話を藍に話したとき、藍や紫はどういう反応をするだろうか。作るとなったら何を教えようか?ケーキ?お菓子?それともパンの焼き方やご飯の炊き方?そんなことを考えつつテーブルを拭いていく。
幽香の鼻歌がいつになく上機嫌なのを感じてか、部屋に置いておいた鈴蘭が控えめに咲いていた。
そんな ある日の一幕。
fin
ペコリ、と首を垂れられる。
「別に、子守りでそんなに重々しくならなくってもいいわよ。藍」
「で、でも・・・」
「それとも、私故に心配とか?」
「そ、そんなことは・・・」
「幽香さーん!早く行きましょー!」
風見 幽香は丘の方で自分を呼ぶ子猫の方を見る。
「あなたの可愛い式がお呼びだから、私は行くわね。あなたも、手早く済ませてくるのよ?」
「本当にすまない。幽香。お前には助けられっぱなしだよ」
八雲 藍は耳の裏を掻く。彼女の照れ隠しである。
原因は何でもない。最近幻想郷の結界の容態が悪化したので集中治療しなければならないのだとか。その 間橙を見てほしいというのだ。
なぜ私が?心当たりがないわけでもない。
あの子猫―橙はこの周辺で迷っていた時に幽香は保護したのだ。それ以来懐かれてしまっている。
「幻想郷の中でも光りものの危険度を持つお前にうちの可愛い式が懐かれたとあると、心配でもあるが な」
「いくらわたしでも子猫を嬲る趣味はないわよ」
「そうだな、お前は蟻をいじめるようなことはしないもんな」
じゃ、と藍は言うとスキマの中へと消えて行った。
「主を散々待たせる式ってのもどうなのかしらねぇ」
そう思いつつ、丘の方へと向かった。
風が冷たいが、それ位である。視界良好。お天道もご機嫌の晴天。
「幽香さーん!こっちですー」
橙が丘の上でぴょんぴょん跳ねながら幽香を誘う。
「やれやれ、あなたも少しはこの天気を楽しみなさいよ?」
日傘をさすほどでもないので杖のように地面に突きながら橙にゆっくりと追いついていく。
「幽香さん幽香さん」と幽香の空いた腕に絡んでくる。まさに子猫そのものである。
幽香にも自然と笑みがこぼれる。
タンポポが丘一面を黄色い色彩に染め上げんとしている中、橙は何本か抜いて冠を作っている。幽香はそ れをただ見ているだけである。
今年はタンポポの咲きは速いようにも思う。もう少したったならここ一面を占拠するタンポポの黄色いお 祭り騒ぎを見ることが出来るだろう。
「幽香さん!」
橙が後ろに何か隠したようにした位にして幽香の方にとてとてと歩いてきた。
「あら、どうしたの?橙ちゃん」
橙の髪についた土埃を払いつつ尋ねる。
「えへへ~。はい。プレゼントです」
そう言ってタンポポの黄色い王冠を幽香に被せた。
編みあげられたタンポポはまるで純金の王冠のように太陽の光を受けきらきらと輝いていた。
「ふふふ、ありがとう。橙ちゃん」
そう言うと、ぎゅーっと橙の後ろから手を廻して抱き締める。
「あははははは、幽香さん苦しいですよ」
そう言う橙の顔は笑っている。いやではないらしい。自然と幽香の顔にも笑みがこぼれる。何となく、藍 が橙に入れ込む気持ちが分からなくもないような、そんな気がした。
「幽香さん、向こうに行きませんか?」
そう言って橙が指さしたのはヒマワリ畑の方であった。
幽香と橙が手を繋いで歩いていく。
風見幽香という妖怪が本来どれほど恐れられているものなのかはいうまでもない。しかし、ここでは風見 幽香という個人はいれとも、妖怪としての風見優香など何処にもいない。今の彼女は花を愛でると同じよ うに橙を愛でていた。
「なんか、さみしいところですね」
橙が発した一言であった。まぁ仕方はない。
ヒマワリは夏の花である。今は春とはいえでもまだ山の方には雪が残っているような季節である。いい 所、芽が出ている奴がいるかどうかである。
だから、「そうねぇ」と相槌を打つ。
「でもね、橙ちゃん。ここにはヒマワリが植えられているの」
「ヒマワリ・・・、あぁ、あの大きなお花ですか?」
「そぅ、そのヒマワリ」
「へぇー。そうなんですか」
橙の目がきらきらと輝きだす。まるでいま彼女の目の前にはもう視界を占拠しかねん位に成長した立派な ヒマワリが咲き乱れているのだろう。
「夏になったら、またいらっしゃいな。そうしたらヒマワリと一緒に歓迎してあげる、ね?」
「・・・・ッハイ!そのときは藍様も、紫さまもご一緒でもいいですか?」
「えぇ、一緒にいらっしゃい」
近いうちに、日傘とテーブルを用意する必要があるかもしれないな。と幽香はちょっと遠いティーパーテ ィーの計画をたててみたりした。
「おいしいです!このパンすごくおいしい」
「ありがとう。ラスクっていうのよ。この料理は」
「さっくりとして、甘くて・・・モグモグ」
「橙審査員長さん?料理は逃げませんから食べ終わってから評価してくれてもかまいませんよ?」
風見優香の家にて、幽香と橙は小さなティーパーティーを始めた。
幽香には無糖のジャスミン茶を。橙には角砂糖3つも使った甘めなアールグレイを。
テーブルの真中には砂糖をまぶしたラスクをお供に。幽香が住むログハウスの中は落ち着いた雰囲気を醸 し出す一方で、最近やってくるかわいらしいお客さんのためにかわいらしいインテリアがぽつぽつと待機 している。
幽香もお手製のラスクを一口、齧る。
「うん、我ながらいいお味」
そう言ってお茶を一口。
「いいなぁ、私もお料理出来たらなぁ」
齧った後の歯型が残ったラスクを眺めつつ橙が溜息をつく。
「八雲家のお料理事情ってそんなに大変なの?」
「はい、お料理はいつも藍様がやってくれるんですけど・・・もし藍様がいないときに、例えば今回みた いに橙一人になった時とかにお料理作れた方がいいのかなぁと思ったり・・・それにそれに、藍様にエラ イエライしれもらえるかもしれませんし!」
幽香は頬杖をついて橙の独白を聞いていた。成程、八雲一家の台所事情を垣間見た所でお茶を一口。
「そうね・・・橙ちゃん」
「ふぇ?」
「おねいさんがお料理の指南をして上げましょうか?」
自分のことをおねいさんということに少し恥ずかしくなったりしつつ、橙に提案してみる。料理位なら自 分にも教えられるし、八雲一家の台所事情については全く興味無いがいつも頼られてもいいと言える自信 はない。まぁ、何よりもいい暇つぶしであり、橙と一緒にいれる機会が増えるというのは悪い話ではな い。自分も橙という子猫をいつか藍と取り合う日が来てしまうのではないか?と思う位瞳の中に自分が見え る位透き通った目をした橙に入れ込んでいる自分がいた。
「幽香さんが、お料理教えてくれるんですか!?」
ヤッター!と橙は大手を振って喜びを現わしてくれた。これ位嬉しがられるとさっき自分ことをおねいさ んなんて言ったこっぱずかしさなんてどこかへと飛んでしまった。
「まぁ、今日の所は何も用意してないから次来た時にでも、ね?」
橙の口元についたラスクの破片を取りつつ幽香は言った。
「・・・・っと。家にいたとは意外でした」
スキマ音と共に中から藍が出てくる。どうやら今日はここまでのようだ。
「結界の方は、どうなったの?」
「あはは、御蔭さまでなんとかなりましたよ。・・・全く気持ちよさそうに寝てしまって」
幽香の膝枕ですーすーと寝息をたてて橙が眠っている。近くに本が置いてあることから読み聞かせでもし ていたのだろうか?
「本当、可愛い寝顔だこと」
「幽香にも遂に橙の可愛さが分かってくれたみたいで何よりです」
「べっ、別にいいじゃない。可愛いものを可愛いっていう位。事実なんだし」
自分では分かっているが、どうにも図星なことに対しては否定的になってしまう自分がいることを最近幽 香は知った。
「それより、あなたの方はどうなの?勇儀と上手くいってるの?」
そう言った途端藍の顔が赤いチューリップみたいに染め上がった。
「べべ、別に、今まで通りですよぉ~?」
そういいつつ、藍の9本の尻尾は上下左右東西南北。ぶんぶんと荒らぶっている。
「とりあえずあなたは照れ隠しの仕方を学んだほうがいいんじゃないのかしら?その反応からすると、何か 進展があったようね」
藍は何も言わず、こくりと肯くと。
「・・・今度、行きつけのお店に連れてってくれる」
か細い糸のような声で藍は言った。
「良かったじゃない。お食事に誘ってくれるなんて、進展ありねぇ」
「・・・・・・・・・」
遂には何も言わず俯くだけになった。
「頑張りなさい?あいつは真っすぐだけどその分鈍感よ?」
そういいつつ、橙を起こす。
「起きなさい橙ちゃん。保護者がお迎えに来たわよ?」
「・・・・ぅん?・・・ら・・ん・・様?」
「良く寝たかい?橙」
「・・・・・お仕事はもういいんですか?」
まだ眠いのかまだふらつく足で藍の腕にしがみつく。そのまま、また寝てしまいそうだ。
「・・・・・藍様?お顔紅いですよ?」
「ゔぇっ!?そ、そうかい?」
「・・・・・」
「気のせいだよ。気のせい。さぁ、帰ろう」
「じゃぁね、橙ちゃん」
幽香が手を振る。
「バイバイ、幽香しゃん」
目をこすりつつ、手を振り返してくれた。
そのまま、二人ともスキマの中へと消えてった。
「・・・さて、と」
すっかり広くなてしまった家を眺めつつ幽香は鼻歌交じりにお茶会の後片づけを行う。
料理の話を藍に話したとき、藍や紫はどういう反応をするだろうか。作るとなったら何を教えようか?ケーキ?お菓子?それともパンの焼き方やご飯の炊き方?そんなことを考えつつテーブルを拭いていく。
幽香の鼻歌がいつになく上機嫌なのを感じてか、部屋に置いておいた鈴蘭が控えめに咲いていた。
そんな ある日の一幕。
fin
内容は面白かったです。
早くシリーズを書いてもいいのよ?(チラッチラッ
情景の表現は良かったけど、それを描写する為の文章が妙に見辛い気もするし、もうちょっと磨くともっとよくなるヤカン
ほのぼのとしていてとても良いと思います。