<注意>
このSSには、オリジナルキャラ、設定、要素、その他色々とオリジナル分が含まれております。
お気に召さない方はスルー推奨です。
それは、突然起きた。
誰にも気付かれずに、起きていた。
「くー……」
マヨヒガは、八雲邸。
八雲紫は、いつものように睡眠ライフを満喫していた。
「……48時間経過、未だ目覚めず…か」
「容疑者がこれだもんね…」
傍らには、紅白の巫女、そして黒白の魔法使い。
他でもない、博麗霊夢と霧雨魔理沙である。
昼だと言うのに、辺りは深夜のような静寂に包まれていた。
魔理沙は「いつもの神社のようだ」と形容したが、言い得て妙と言うべきか。
―白夜にまどろむ世界。
そもそも何故彼女達が八雲邸を訪れたかと言うと、この状況自体が「事件」だからだ。
異変に最初に気付いたのは、紫の式神である二人だった。
夜が来ても、紫が目覚めない。
彼女が「寝坊」をする事は特に珍しい事でもなかったため、藍も橙もあまり気にしていなかった。
それが災いしたのかどうかは不明だが、何時しか二人はそれを気にしなくなり。
そして時を同じくして、幻想郷から「光」が失われた。
光があっても、それを「明るい」と感じる事も出来ない。
影があっても、それを「暗い」と感じる事も出来ない。
朝が来ても夜が明けたと分からず、夜が来ても日が沈んだと分からない。
昼も夜も問題なく活動できる一部の人間や妖怪(ココにいる二人はその部類であるが)にとっては別に何の問題も無い。
しかしそんな彼女達にとっても、その他大勢が眠った状態は、つまらない事この上なしなのだった。
状況から考えて、今霊夢と魔理沙の前で眠っている紫の力がどこか間違った方向に働いたと言う事が一番の可能性として挙げられる。
とは言っても、この状況でその真偽を確かめるのは不可能に近い。
そこで、その方法を考える傍ら、魔理沙が紫の睡眠時間を測定しているのだった。
ちなみに魔理沙曰く「私の行動全てに動機とか理由とか言うものがあると思ったら大間違いだぜ」だそうだ。
その頃、人間界。
街には人通りがない。
こちらも、夜のような静寂を湛えていた。
「蓮子…この状況、どう思います?」
メリーことマエリベリー・ハーンは太陽を睨む様な眼つきで見ながら蓮子に問う。
いつもは見える境界線が、見えない。
「んー…やっぱり、昼でも星が見えるこの状況は、正常だとはとても言えないね」
宇佐見蓮子は空をいつものように見上げながら答えた。
いつもは見えない星空が、見える。
―全てが停止した街、逆転する時。
別にこの程度の事は、幻想郷ではあまり驚きを以って迎えられる事ではない。
八雲紫の性質を考えれば、それは驚くべき事では無いからだ。
霊夢と魔理沙だって、これが人間界や、その他の異世界にまで波及しているのでなければ、わざわざ行動は起こさないだろう。
「幽々子さま、この異常は何とかなされた方が…」
「いいんじゃなーい、今のままでも。ゆっくり寝ていられるし…」
「それじゃダメだから言ってるんですよ!お化けにゃ学校も試験もなんにも無いから夏休みも無いんです!」
「んー、あと五分……」
「だからそれが出来ないんですってば!学校が無いから!」
「お嬢様…やはりこれは…」
「ええ、誰かの力が働いているとしか考えられないわね」
「眠れないのは嫌だし…」
「こっちとしても通常業務に差し支える」
「……」
「……」
「やりますか」
「やっちゃおうか」
「私にもやらせてー」
「妹様は留守番…していて欲しいのですけど、どうします?」
「相手の力が不明だし…今回くらいは大目に見てもいいか。パチェもいるし…」
「わーい♪さーて、どうやってたたきつぶそっかなー…」
「…しゃれになってない…」
多種多様の思惑と少しの遊び心をもち、それぞれが動き出す。
「……眠った街、か…元凶はこの世界にいる事は間違いなさそうだな。さて、これからどうしたもんか……」
―無人の十字路は、因果と運命の交差点。
これは、幻想郷を中心として起こった、珍しい「非日常」の物語である。
このSSには、オリジナルキャラ、設定、要素、その他色々とオリジナル分が含まれております。
お気に召さない方はスルー推奨です。
それは、突然起きた。
誰にも気付かれずに、起きていた。
「くー……」
マヨヒガは、八雲邸。
八雲紫は、いつものように睡眠ライフを満喫していた。
「……48時間経過、未だ目覚めず…か」
「容疑者がこれだもんね…」
傍らには、紅白の巫女、そして黒白の魔法使い。
他でもない、博麗霊夢と霧雨魔理沙である。
昼だと言うのに、辺りは深夜のような静寂に包まれていた。
魔理沙は「いつもの神社のようだ」と形容したが、言い得て妙と言うべきか。
―白夜にまどろむ世界。
そもそも何故彼女達が八雲邸を訪れたかと言うと、この状況自体が「事件」だからだ。
異変に最初に気付いたのは、紫の式神である二人だった。
夜が来ても、紫が目覚めない。
彼女が「寝坊」をする事は特に珍しい事でもなかったため、藍も橙もあまり気にしていなかった。
それが災いしたのかどうかは不明だが、何時しか二人はそれを気にしなくなり。
そして時を同じくして、幻想郷から「光」が失われた。
光があっても、それを「明るい」と感じる事も出来ない。
影があっても、それを「暗い」と感じる事も出来ない。
朝が来ても夜が明けたと分からず、夜が来ても日が沈んだと分からない。
昼も夜も問題なく活動できる一部の人間や妖怪(ココにいる二人はその部類であるが)にとっては別に何の問題も無い。
しかしそんな彼女達にとっても、その他大勢が眠った状態は、つまらない事この上なしなのだった。
状況から考えて、今霊夢と魔理沙の前で眠っている紫の力がどこか間違った方向に働いたと言う事が一番の可能性として挙げられる。
とは言っても、この状況でその真偽を確かめるのは不可能に近い。
そこで、その方法を考える傍ら、魔理沙が紫の睡眠時間を測定しているのだった。
ちなみに魔理沙曰く「私の行動全てに動機とか理由とか言うものがあると思ったら大間違いだぜ」だそうだ。
その頃、人間界。
街には人通りがない。
こちらも、夜のような静寂を湛えていた。
「蓮子…この状況、どう思います?」
メリーことマエリベリー・ハーンは太陽を睨む様な眼つきで見ながら蓮子に問う。
いつもは見える境界線が、見えない。
「んー…やっぱり、昼でも星が見えるこの状況は、正常だとはとても言えないね」
宇佐見蓮子は空をいつものように見上げながら答えた。
いつもは見えない星空が、見える。
―全てが停止した街、逆転する時。
別にこの程度の事は、幻想郷ではあまり驚きを以って迎えられる事ではない。
八雲紫の性質を考えれば、それは驚くべき事では無いからだ。
霊夢と魔理沙だって、これが人間界や、その他の異世界にまで波及しているのでなければ、わざわざ行動は起こさないだろう。
「幽々子さま、この異常は何とかなされた方が…」
「いいんじゃなーい、今のままでも。ゆっくり寝ていられるし…」
「それじゃダメだから言ってるんですよ!お化けにゃ学校も試験もなんにも無いから夏休みも無いんです!」
「んー、あと五分……」
「だからそれが出来ないんですってば!学校が無いから!」
「お嬢様…やはりこれは…」
「ええ、誰かの力が働いているとしか考えられないわね」
「眠れないのは嫌だし…」
「こっちとしても通常業務に差し支える」
「……」
「……」
「やりますか」
「やっちゃおうか」
「私にもやらせてー」
「妹様は留守番…していて欲しいのですけど、どうします?」
「相手の力が不明だし…今回くらいは大目に見てもいいか。パチェもいるし…」
「わーい♪さーて、どうやってたたきつぶそっかなー…」
「…しゃれになってない…」
多種多様の思惑と少しの遊び心をもち、それぞれが動き出す。
「……眠った街、か…元凶はこの世界にいる事は間違いなさそうだな。さて、これからどうしたもんか……」
―無人の十字路は、因果と運命の交差点。
これは、幻想郷を中心として起こった、珍しい「非日常」の物語である。
会話を見るに白玉楼、紅魔館、秘封倶楽部、マヨヒガとかなりの人物が出てきますね。
これだけ多くの人が関わるとなると、結構大きな話になりそう。
体験談から言わせていただくと、メインキャラクターが5人以上出てくるお話は難易度が存外に高いです。
さあ事件はどうやって始まるのか。
その手腕に期待しています。