Coolier - 新生・東方創想話

消えたプリンの謎を追え!

2014/03/21 01:01:33
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「咲夜ーーーっっ!!」
ある晴れた日、紅魔館にその幼い主の叫び声が響いた。
「お嬢様、どうかしましたか?」
咲夜が駆けつけてレミリアに問いかけると涙目になりながら空の皿を指さしながら
「どうかした? じゃないわよ! なんで私のおやつのプリンが無いのっ!!」
と、叫んだ。
「はぁ…? お嬢様が食べたのでは?」
「私がそんなことをすると思うの!? 私はそこまで落ちぶれていないわ!」
「と! に! か! く! こんな事が出来るのは時を操れる咲夜だけでしょ! 認めなさいっ!」
「いや…私には動機が無いのですが…」
顔を真っ赤にしながら咲夜にまくし立てるレミリアの前に咲夜は一応反論したが戸惑うしかなかった。
「そんなのはどうでもいいのっ! 」
犯罪においての動機をどうでもいいと吐き捨てる自らの主に咲夜は黙っていたことを言った。
「あの…プリンならまだありますが…」
「えっ」
能力を使っていないにも関わらず時が凍りつく場で見つめ合う二人。
「多めに作りましたので…いくつか残っていますが…お持ちしましょうか?」
「…それを先に言いなさいよ。
………出来るだけ早く持ってきてね」
バツの悪そうに顔を逸らしながら消え入りそうな声で呟いた。
「はい」
それを聞き咲夜は今度こそ本当に能力を使ってプリンを取りに急いだ。








「―――ということが昨日あってですね」
「ふーん…それで?」
紅魔館の図書館でパチュリーにプリン事件について話す咲夜。その顔には疲労が色濃く浮き出ていた。
「えっと…お嬢様が、突然『犯人は美鈴よ!』と言い出して美鈴を呼び出したんです。そこで美鈴に犯人なのだろうとか早く謝りなさいとか言うのですが美鈴は完全否定してて。それでお嬢様は『なら裁判よ! 法廷ではっきりさせるわよ!』と仰りまして」
「裁判? でも幻想郷に裁判所なんであったかしら」
「いや、ありませんので、ここでやることになりました」
「ここで…? 検事も裁判官も弁護士も居ないのに?」
「はい、なので検事はお嬢様が、裁判官はパチュリー様…という予定だったのですが、美鈴は自分に弁護士が居ないのはおかしいと言ってパチュリー様に弁護士になって頂きたいと言っています。なので私がパチュリー様にとってはお手数ですが、どうか引き受けてくださらないかと」
「はぁ…引き受けるしか無いわね…
良いわよ。やるわ」
溜め息をついて、本をパタンと閉じたパチュリーは咲夜の方を向き
「検事はレミィよね? 裁判官はどうするの? 咲夜?」
「いえ、私はお嬢様の補佐になりまして、裁判官は小悪魔にやってもらおうと思います」
「小悪魔にね…まあ、大丈夫ね」
「パチュリー様がそう仰るのなら安心です」
「ん? でも何でレミィは裁判なんてものに思い立ったわけ?」
「あぁ…それは多分これのせいです」
そう言うと咲夜はどこからか、あるケースを取り出した。
そこには何かを指指している男性と『逆○裁判』という文字が書かれていた。
「全く…レミィの影響の受けやすさったら…未だに変わってないのね…」
「今回はタイミングが悪かったですね…」
「ええ…」
二人の間に重い空気が流れた。
「まぁ…行きましょうか」
「はい」
気分を変えるように言うと二人は図書館から立ち去った。
「ふぅ…やっと来たわね」
咲夜とパチュリーが大広間に入ると(何時の間にか裁判所のようになっている)レミリアが待ちかねた様子で声を掛けた。
「ごめんなさいね」
「パチェ、今回は敵となるのね。容赦しないわよ」
「こっちこそ、やるからには徹底的に無罪を勝ち取ってみせるわ」
「ふふん、楽しみね。では始めましょう」
「待って待って。私はまだ美鈴から話を聞いてないわ。それじゃあ駄目でしょ」
「むぅ…確かに。それじゃあ30分だけあげるわ」
不服そうにしながら許可を出したレミリアにパチュリーは目で感謝を伝えると美鈴を連れて廊下に出た。





「で、貴女はやっていないのよね?」
廊下に出たパチュリー達は早速、美鈴に質問した。
「もちろんですよ!」
憤慨そうに答える美鈴。まあ、当たり前だろう。
「それは証明出来るかしら」
「証明ですか……あっ! 出来ますよ!」
「えっ、出来るの? 」
「はい、館から出てきた魔理沙さんと暫くお話してましたからね」
「仕事しろ門番。ん? 魔理沙?」
「ええ、魔理沙さんです」
「なんで魔理沙?」
「さぁ…? でも大きな包みを抱えていたので、また、本を盗んでたんじゃないですかね」
「小悪魔ったら…また取られたのね…全く…」
頭を抱えて項垂れるパチュリーを美鈴が哀れみの視線を向けた。立場が逆になってしまっている。
「まあ、後で説教しておいて…魔理沙を証人として呼ばないといけないわね」
そう言うとなにか手元を動かして魔法陣を出したパチュリー。美鈴がきょとんとしていると魔法陣を消して
「さっ、証人が居るなら大丈夫よ。安心して臨みましょうか」
と、言い、大広間に向かった。
「あら? もういいの? 時間はまだあるわよ」
その言葉に小さく頷いたパチュリーは自分の席に座った。
「えー…それじゃあ『消えたプリン事件』の裁判を始めます。開廷です。被告人は前へどーぞ」
「(ラフすぎる裁判官ね…)」
と思いながらパチュリーは美鈴に行くように促した。
「…どうすればいいんですかね。取り敢えず言いたいことあります?」
「(裁判官それでいいのかしら)」
そう思うが声には出さない。面倒ごとが嫌いだし、とっとと終わらせたいからである。
「私は兎に角やっていません! 私は無実です!」
「それは違うわね。犯人は似非チャイニーズよ。認めなさい」
「誰が似非チャイニーズですか! 私は紅美鈴です!」
「そんなのどうでもいいわ。とっとと罪を認めなさい。今ならまだ、グングニルで許してあげるわよ」
「やってないですから認められませんっ!」
「フランの遊び相手かしら…?」
「ひいっ!?」
これはどう見ても検事と被告人のやり取りではない。てか止めろ裁判官。
「あー…私からいいかしら?」
舌戦を繰り広げる両者に気圧されながらも裁判官に伺いを立てて発言許可を得るパチュリーは常識人に見える。
「どうぞ、パチュリー様」
「ん。レミィ、被告人、美鈴ね。美鈴がやったという証拠はあるの?」
「証拠ね、この特徴的な色の髪の毛よ!」
そう言うと袋に入った髪の毛を見せるレミリア。そこには確かに美鈴のものと思われる髪の毛があった。
「ふむ…」
「どう? これで分かったでしょ、犯人は美鈴で決まりよ」
「そうはいかないわよ」
誇らしそうに胸を張るレミリアにパチュリーは冷ややかに言い放った。
「どういうことよ」
「こっちには無罪を証明する証人が居るのよ!」
「証人? どこに?」
「それはね…」
そこで句切ると窓を見るパチュリー。すると、
「おー、待たせたな! 魔理沙様の登場だぜっ!」
窓を破壊しながら魔理沙が突っ込んできた。
その影響で小悪魔が突き飛ばされたのは誰も見なかったことにした。
「証人は…魔理沙よ!」
「パチェ、お金はパチェ持ちね」
「ええっ!?」
「貴女が呼んだんだから責任取りなさい」
「まあ、勝ちが決定したら美鈴に払ってもらうわ。成功報酬の代わりね」
「なんだなんだ、どういうことだ」
「えっとね、魔理沙には昨日、美鈴と一緒に昼間、主に午後三時過ぎに話していたわよね」
「ああ、したがそれがなんだ?」
「どう? これでも、まだ、美鈴が犯人だと言うのかしら?」
「ぐぅ…でも…」
「これだけ決定的な証拠よ。まだ言い逃れがあるる?」
「うぅ…」
「なぁ、どういうことだ?」
「まぁ…色々ありまして」
「そうか…大変だな」
「ええ…」
「でも、それなら誰が犯人なのよっ!」
「そうね…咲夜、貴女じゃないの?」
そう言うと咲夜を見つめるパチュリー。すっかりノリノリである。
「私ですかっ!?」
今までボーっとしていたところに突然犯人扱いされて驚く咲夜。無理もない。
「ええ、誰にも気付かれることなくプリンを取れるのはこのメンバーでは時を操れる咲夜しか居ないわ。どうなの?」
「いやいや、私じゃないですよ。第一、動機がありません」
「動機ね…貴女、レミィに心酔してるでしょ? 私は知ってるわよ」
「し、してたらどうして犯人になるのですか?」
完璧で瀟洒なメイドが慌てて否定する様を見つめるレミリア。その目には不信感が少し含まれている。
「貴女…結構前だけどレミィの泣き顔見て興奮してたわよね? 私は覚えているわ」
「な、何故それをっ!?」
「咲夜……」
突然のカミングアウトに動揺する咲夜と自分の従者に対して冷ややかな視線を送るレミリア。滅多に見れない光景である。
「ふふん、さあ、認めなさい」
「私は…違いますっ…」
涙目で否定する咲夜にパチュリーは
「いつまでも嘘は吐いてちゃ駄目よ?」
と、詰め寄った。
「ですからっ…違います…」
「んー…すまん、少しいいか?」
「魔理沙? なに?」
「うん、美鈴から概要を聞いたんだが、犯人はパチュリーだろ」
「なっ、なんで…?」
「これだよ」
そう言うと懐から一冊の本を出した魔理沙にパチュリーの顔は凍りついた。
「そ…それはっ…」
「パチュリー、お前の日記だ」
「何故…それが…」
「昨日借りてきた本の中に混ざってた」
「魔理沙、それを渡して黙っててくれたら…好きな本をいくらでもあげるわ」
「おっけぇぇぇぇぇい!!」
そう叫ぶと日記をパチュリーに向かって投げつける魔理沙。
「待てぇぇぇぇぇぇぇい!!!」
それに叫びながら日記を奪い取る咲夜。
傍目から見ると変人の集まりにしか見えない。
「これはっ…!」
奪い取った咲夜はペラペラとページを捲ると顔を驚愕の表情に染めてパチュリーを見た。
「見たのね…私の…負けだわ」
諦めたように呟き崩れ落ちるパチュリーを見つめ「あちゃぁ…」と呟き顔をしかめる魔理沙。
それを訳が分からないといった表情で見るレミリア、美鈴、小悪魔。
「お嬢様…この事件は無かったことに…」
「さ、咲夜?」
「無かったことにしましょう」
「で、でも…」
「無かったことにするんです!」
「う…うん…グスン」
咲夜がレミリアに事件の消滅を依頼し、受け入れられると日記をパチュリーに返した。
「咲夜…?」
「これは…パチュリー様が持っているべきです」
「そう…ありがとう…」
「いえいえ」
その会話を交わした二人は固い握手を結んだ。
その様子はまるで永遠の相棒を見つけた時のようだった。

「……美鈴さん、どういうことでしょうか」
「さぁ…?」
パチュリーの日記

○月○日
「今日はレミィのプリンを消してみた。泣いてるレミィ可愛いあぁ…もうハスハスしたい! もふもふしたい! いっぱい可愛がりたい! レミィ可愛い可愛い! 食べちゃいたいくらい可愛い! レミィ最高っ!!!!!」
R.I.P
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コメント



0.530簡易評価
3.30名前が無い程度の能力削除
美鈴かわいそう、疑われた挙句有耶無耶とか
5.80オチカ削除
こういう好きです。
軽いので読みやすいです。
9.90暗闇の騎士ルゴス削除
容量が軽いし読みやすかったよ( 'ω')b
しかしまさかパチュさんがレミィhshs魔法使いだったとは...
文法がおかしいところが一つほど見つかったため90点にしました
12.60名前が無い程度の能力削除
勢いがありました。
13.70奇声を発する程度の能力削除
勢いは良かったです
14.80非現実世界に棲む者削除
今日も紅魔館は平和です。
作者名であの曲を思い出しました。
うん、納得。