Coolier - 新生・東方創想話

散る花咲く華

2005/04/07 09:08:20
最終更新
サイズ
3.43KB
ページ数
1
閲覧数
689
評価数
0/14
POINT
500
Rate
7.00





 相変わらずだ、と、入った瞬間に思った。
 神社の境内は片づいているようだが、掃除まではできていない。よくみるとあちこちに埃がたまっている。
「・・・・あの子達は。祀られる方の身にもなったらどうだい」

 ま、祟り神はそんなこと気にしないけどね。怪しげな理屈でまとめてしまい、私は上がり込む。その時、
「大きなお世話だぜ。魅魔様んとこだっていい荒れっぷりじゃないか」
 奥から声が。いないと思いこんでいたので、ちょっと驚いた。
「まったく・・・・しばらく見ないうちにいろいろ言うようになったね・・・・魔理沙?」

「・・・・は?魅魔様、何言ってんだい?」
 しかし返ってきたのは間抜けな声。奥から出てきたのは・・・・
「霊・・・・夢・・・・?」
 思わず口から出た言葉に眼前の──紅白の巫女はますます変な顔をする。

「だから違うって・・・・。ったく、もしかしてもうボケたのか?」
 誰がボケたって、と怒鳴ろうとした瞬間。ああ──と思った。こんな大事なことを、なんで今まで忘れて
いたのだろう。
「ああ、来た早々で悪いけどさ、用事ができたから帰るよ」
「・・・・へ?ちょっと魅魔さ・・・・」
 巫女が慌て始める前に、私は神社から飛び去っていた。





































「ここも──相変わらず、だね」
 神社の周りにはいくつも山があるが、それでも幻想郷中を見下ろせる山はそう多くない。私はその一つの
上にいた。
 かっぱらってきた・・・・もとい、借りてきた箒で、あたりを掃く。落ち葉があまりに積もり放題だ。期待は
してなかったけど。

「──自分の子と・・・・弟子のしつけぐらい、きちんとやってからにして欲しかったね」
 口から自然に愚痴が漏れる。わかってるんだけど・・・・つい、ね・・・・。
 ひととおり終えると、半ば埋もれていた二つの石が上に出てくる。持参の酒を出した。口をつけてみる。
少し、甘い。
 ・・・・ちょっと待った。こんなに甘い酒があるのかい?
「・・・・変わったもんになっちゃいないはずだけど、まあ気をつけて飲みなよ」
 そう言って、酒をその石の上にかけた。それからもう一つに。酒で表面が洗われ、刻まれた文字が浮かぶ。

「・・・・なんだい、嫌そうな顔だね。顔を見に来ちゃダメだってのかい?」
 文字を見ながら話しかける。相手なんていやしない。それでも私には、口をへの字に曲げてるあいつらの
姿が見える。
「ふん、あたしだってそう何回も来やしないよ。今日は特別だろ?」
 憎まれ口を叩いても、目の前が滲んでしまいそうになる。ったくかっこ悪い。でも仕方ないか、とも思う。

 だって・・・・。
「魔理沙だってそう思うさ。あっちで聞いてみな。霊夢はあたしにつれなすぎるって」
 だって・・・・。石に刻まれてるのは、「あの二人」の名前なんだから。





          口をつけた酒は、少ししょっぱくて──苦かった。










































「あら、魅魔じゃない。ついに祭殿から追い出された?」
「言ってくれるねえ、そう言うあんたは完全に場違いじゃないか」
「部下の弟子を悪く言うといいことないわよ」

 そういってずず、とお茶を飲んだ。そんな彼女の格好は──白黒。
「あ~!魔莉紗、なに私のお茶飲んでるんだ~!!」
「いいじゃない霊玖。細かいこと気にすると成長が止まるわよ」

 出てきた巫女にしれっと返す。・・・・この性格は誰に似たのかねえ。なんというか、心当たりがすっごいあ
るんだけど。
「お前には言われたくないな。お師匠さんと同じぺったんこのくせに」
「あら?あなたとあなたの母親よりは成長してたと思うけど?」

 ぴき、と音がした気がした。ああ、こんなときは大抵、
「弾幕らないか?」
「上等!あんたが負けたら夕食寄越しなさいよっ!!」

 聞き慣れた──懐かしい──セリフとともに、二人は空へと上がっていく。私はそれを見送って、そっと
呟いた。






















「二人とも・・・・見てる? あの二人、昔のあなた達みたい・・・・」







 見えない向こうから、あの子達の苦笑いが流れてくる──気がした。




 魅魔様支援SS、だったはず。 ・・・・支援になってねーよ(涙
 というわけで初めまして、ALFEという者です。再萌で何度か投稿させて頂きました。
 今回はそれをいくつか、気に入ってるのだけでも転載いたします。微妙な分量ですが。

 霊夢&魔理沙がいなくなった後、跡継ぎ達のお話です。魔莉紗は魔理沙の弟子、霊玖は霊夢の娘で。
 魅魔様は霊夢と魔理沙を見守る、母親のようなポジションだと思うんですよ。創想話で以前、「霊夢と魔理沙は代替わりしている」っていう内容のSSがありましたが、そうだとすると彼女達を見守り続けた魅魔様の心中は、という感じで。
 ・・・・いえ、わたし旧作やってませんけど。なんとなくね。おかげで別人くさいっつーかなんつーか(死ね
 ・・・・あ!人の文章力がないのを哀れげな目で見るなぁっ!!

 というわけで以上、小悪魔バンザイなALFEでした。(・・・・あれ?
ALFE
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.500簡易評価
0. コメントなし