Coolier - 新生・東方創想話

幻想郷最速決定戦~ラウンド2~

2006/03/22 00:42:17
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「ほ、本当にやるんですか紫様!?」

「無論よ、そのためにこの服を着てるんじゃないの」

「そうそう、あなたも早く来なさいな」

真白いスーツに身を包んだ紫と輝夜が、同じ格好をした藍を特設ステージ上に引っ張り上げる。

「あいつら、一体何を始める気だ……?」

「さぁ、どうせろくな事じゃないわよ。運命を見るまでもない」

「なんていうか、今回ろくでもないことばっかりな気が……」

「ろくな事が起こってないからね……。姫様まで何するつもりなの……?」

出場選手一同首を捻る。
もうすぐ第二レースが始まるというのに、こいつらは一体何をしようというのか。

ちなみに、この大会は一日一回レースを行うようになっている。
選手の疲労を考えてのことなのだけど、お陰でレースの反省を行う時間も充分にあった。
特に、前のレースでかなり痛い目を見た文とか妖夢は、かなり反省を入念に行い、今日のレースに備えている。

文曰く

「突出しすぎたのが悪かったようです。このレースは先行しすぎているとアイテム攻撃の的にしかならないようですから」

妖夢曰く

「アイテムを拾ったら、できるだけ即使わないと……。出し惜しみは良くない」

チルノ(宇佐耳)曰く

「今日は耳着けてきたもんねー! 今度こそ一位をとるぞーっ!」

約一名間違っています。
参考までに、チルノに耳を渡したのは、某詐欺師だというウワサあり。

「それじゃあ、レース前にちょっとブレイクよ」

「わたし達幻想郷エンジェルの一発芸をご覧下さい」

「そ、それではいきます……」

ノリノリの紫と輝夜に対し、真っ赤になって緊張する藍。

「幻想郷エンジェル……。あいつらアホだろ……」

「自分の年を考えろって話よね……」

「姫様……」

「紫様……、藍様……」

「まぁ、元気だしなよ二人とも……」

ミスティアがフォローするけど、鈴仙も橙も心配そうに、っていうか気が気じゃなさそうにみている。
一方ステージ上でもまだもめていた。

「こっ、ここまで来て何ですが、これはちょっとやばいと思うんですが……」

「もう、藍ちゃんったら。いい加減覚悟を決めなさい」

床に腰を下ろして両足をピーンと伸ばしている輝夜がたしなめるような視線を送る。

「ら、藍ちゃんはないでしょう……。やめてくださいよ輝夜さん……」

「あら、わたしは可愛いと思うけど? っていうか藍いつまでも突っ立っていないで早くポーズポーズ」

「ううう……、分かりましたよ……、やればいいんでしょう……?」

立位体前屈するようなポーズの紫にせかされ、藍はきれいな倒立をした。

「「「それじゃあ、いきまーす!!(そっそれじゃぁいきます……)」」」



はいポーズ。



次の瞬間、全員唖然……。
開いた口はもはやふさがらない。

輝夜のポーズはV字バランスに酷似しているけど、両手を揃えて真上に伸ばしているところが違う。

紫のポーズは体をくの字にして両手を前に出している。
いわゆる、「キャ○ーン」のポーズだけど、これは両手を組んでいない。

そして藍のポーズは倒立したまま前後に足を大きく開いたものだ。

左から順に、輝夜、藍、紫。

勘の良い方はすでにお気づきかと思いますが、それではここで3人のセリフを。

「レ・○・ク!! レ○ク!!」




















第二コース チルノレイク

「今日はど初っぱなから最悪なものを見たぞ……」

「おかしいおかしいとは思っていたけど、これはもうダメだわあいつら……」

「ううう、藍様可哀想だよぅ……」

「あの狐はまだいいわよ……、姫様なんてノリノリでやってたわよ!? しかもわたし達が見てる前で!!」

「あ~……、何て言うか……、ぼんぼやーじゅ……?」

ここまでくると、もはやミスティアにはフォロー不可能だ。
レース前からほぼ全員壊滅的ダメージを負っている。
そして、藍はあの後すぐに控え室に引きこもってしまったので……、

「結局わたしが後始末するのか……。紫と輝夜はあとで十六夜咲夜流・改・エクスターミネーション千日通しの刑に処す」

司会兼レースクイーンは急遽霊夢が引き継ぐことになった。
ふわふわ浮く謎の雲に乗った霊夢は釣り竿を持ったままぼやく。

「お払い棒でなく釣り竿を持った霊夢とは、なかなか新鮮だね」

「霖之助さん、他人事だと思って……」

「あぁ、それから話は変わるが、今回のチルノレイクは、名前で想像が付くと思うが、紅魔館周辺の湖を舞台としたステージだ」

「ただし、春と冬の境界はわたしのものだから、この周辺とても寒いの」

「そして、この寒さで凍ってしまった湖上でのレースということになるのよ」

「またしょうもないことに境界を操る能力を使うし……」

「…………さぶい(蒼白)」

「……橙ちゃん、元気出しなよ……」

ミスティアの声にも元気がないんだからそれは無理だろう……。

「は~い、いいからさっさと位置に着く」

全然やる気なさそうな霊夢の声と共に、一同スタートラインに。
皆、絶対に落ちるものかと必死の形相である。

ぴっぴっぴー!!

全員一斉にスタートしていく。
このコースは前回よりも距離は短く創られており、一周がマリササーキットの半分ちょっとくらいしかないのだ。

「とはいえ……、これは飛びにくいぞかなり……」

「おっとっととっ、な、なんかバランスが……」

「す、スピードが出せないよ~……」

「ううう……、さぶいよぉ……」

あっちこっちに亀裂があるので思うように飛べないのだ。
まぁ、違う理由で思うように飛べないのもいるけど。
そんな中、約2名何でもないような顔で爆進するのは、

「はっはっはー、ここは氷精のあたいのホームグラウンドだーっ!!」

「この程度、お師匠様から氷上歩法を賜ったわたしにはなんてことない!!」

チルノと妖夢は、とても氷の上とは思えないバランス感覚であっという間に先頭集団を作り、後続を引き離していく。

「あ、お前ら待ちやがれ!! って、おおっとぉっ!?」

急いで追おうとした魔理沙の足下に突然亀裂が走る。
そこだけに超重力がかかっているかのように吸い込まれる。
危うく落ちそうになる魔理沙だが、根性で飛行高度を上げてやり過ごした。
しかし、それは減速という形で魔理沙に降りかかる。

「くっそ……、やりにくいぜ、つか本当に寒いぜこのコース……。何とか対策を考えなきゃな……」




















「えっと、今の順位はこうなってるわよ。

 トップ チルノ
 二位 妖夢
 三位 文
 四位 鈴仙
 五位 ミスティア
 六位 レミリア
 七位 橙
 ドベ 魔理沙

ってまたチルノがトップなのね」

「それは彼女の本拠地だからだと思うな」

「チルノレイク、だものねぇ」

「そうこう言っている内にアイテムエリアよ。このコースにはエリアが一カ所しかないから貴重なのよね」

「あ、チルノちゃんはまた「ぶれいじんぐすたー」を取ったみたいよ」

「早速使っているわねぇ、だけど……」




















ツルーッ ガンっ!!

「おぅああああああっ!?」

「あなた本当に馬鹿ね。こんな滑りやすいところで急にスピード出したら転ぶに決まっているでしょう?」

「むそーふーいん わび」でバリケードを作った妖夢は、カーブを曲がりきれずに氷の壁に大の字を作って目を回しているチルノを尻目にさっさと先を急ぐ。

「じゃ、お先に失礼」

「……ま、待てぇ……っ」

チルノはフラフラ状態になりながらも妖夢を追っかけ始める。
その後ろからは、

「逃がしませんよ!!」

天狗シューズで壁を蹴りつつ文が追いかけてきた。
どうもこのコースの勝手が分かってきたらしい。

「氷が滑るのは、滑るまで足を乗せているからなのです。滑る前に足を離してしまえば、例え足を使っていても大丈夫です!」

「そうそう、それにわたしみたいにジャンプ力があれば距離を稼げるし」

「そうそうって、鈴仙さん!?」

「白い兎は雪の兎。兎は冬でも元気いっぱいよ!」

兎さながらに(本当に兎だけど)ピョンピョン飛び跳ねながら鈴仙は文の後ろにぴったりと張り付く。
二人はアイテムを着地と同時にかっさらって左カーブを曲がる。

「げっ、これ「てんせんめいどー」じゃないですか!!」

「てんせんめいどー」はターボカード(一発)。
チルノの交通事故を見ていた文は露骨に嫌な顔をした。

「わたしは……、「えんしぇんとでゅーぱあ」……。てゐのカード……?」

早速使ってみた鈴仙だが……

「って、何も起こらないじゃないの! くっ、騙された!!」

しかし、鈴仙は気づいていない。
鈴仙が通った場所、アイテムエリアのど真ん中に、新たなカードが出現したのを……。

四位まで通って次に来るは五位争い集団。

「夜雀! 待ちなさいコラ!!」

「へへへ~、ここまでおいで~」

レミリアが怒りの形相でミスティアを追いかける。
その後ろから寒さのせいで今ひとつスピードが乗らない橙と魔理沙。
何でそんなにレミリアが怒っているのかというと、スタートしてすぐに起こった事故が原因なのだが、ミスティアが足下に走った亀裂を避けたそのとき、勢い余って隣を飛翔するレミリアに激突したのだった。
そのせいでレミリアは現在六位、ミスティアは五位、そりゃあレミリアの性格なら怒りたくもなるだろう。

「そーれ、アイテムもーらい!」

「逃がすか! 夢想封印で打ち落としてやる!!」

それぞれ、ほぼ同時にアイテムを拾おうとする。
その瞬間、七色の箱がピカッと

ズガーンッ!

「きゃああっ!?」

レミリアの小柄な肢体がが上空高く吹っ飛んだ。
レミリアが取ろうとしたアイテムカード、それは、鈴仙が先程使った「えんしぇんとでゅーぱあ」で生み出されたニセアイテムなのだった。
一体何が起こったのか分からないレミリアを尻目に、さっさと先を急ぐミスティア。

「ニセモノをひくとはついてないねぇ~」

「あ、レミリアだ、お先~」

「いや、見事に吹っ飛んだなお前」

橙や魔理沙もアイテムを拾って先を急ぐ。

「ゆ、ゆるさん……。待ちなさいよ待ちなさいつか待て待てってのこらぁ!!」




















「騒がしい吸血鬼もいたものねぇ……」

「いやはや、本当に見てて飽きさせないね、コレ」

「あの空回りっぷりは称賛に値するわね」

「今のレミリアが聞いたら不夜城レッドでも飛んでくるわよ……?」

わざわざマイクのスイッチを切ってクスクス笑う解説陣に、霊夢はただただ呆れるしかなかった。

「さてさて、もうすぐ妖夢が二周目にはいるわけだけど、ここらでわたしからの難題のプレゼントといこうかしら」

「難題……、またやるの……?」

「勿論。難題はわたしのアイデンティティですもの」

「迷惑なアイデンティティここに極まれり、ね……」




















難題「赤と黄色のスラローム」


スタート地点にこんな看板が立っていた。
またしても月の姫の難題だ。
その先には、何だかよく分からない赤と黄色のボールが浮いている。
そして赤いボールにはR、黄色いボールにはLと書いてある。

「意味が分からない……」

まず、スラロームと言うのは何だろうか……?
それに、あのRとかLって一体……。
そして、何故に赤と黄色……?

よく分からないので、とりあえず赤いボールを左に避けて進んだ。
とそのとき、

オーノー!

…………。
天の声がしたような……。
すると、どこからともなく大きな×が飛んできた。
そのままわたしの背中に……

「えっ、ちょっと何これ!?」

「ぎゃははははっ!! 何それ、変なのーっ!!」

後ろから飛んでくる腹の立つ馬鹿笑い。
確認するまでもなくチルノだ。

「Rは右! Lは左なんだよ! そーんなこともしっらないのー?」

な、なんてこと……。
そんな簡単な……。

「何でそんなことをあんたが知っているの……!?」

「あたいは氷の妖精チルノ! 妖精はナンバンジンだから知っててとーぜん!!」

「くっ……」

っていうことは、まさかわたしはこのバッテンをこのレース中ずっと……

「な、なんていう屈辱……!」

チルノがボールを避けるたびにナイス! グッド! オッケー! オーケー! マキシマムパワー! とか響いてくる声がよけい腹立つ。
しかも、

「お、何かちょっと体が軽くなってきたかも!」

さりげにスピードアップしてるし!

「ぶっふ……」「ぷぷ……」「くぷぅ……」

後ろを見ると、文さんや鈴仙、ミスティアまで口を押さえてる……。
は、恥ずかしすぎる……!

「うあああああああん!!!」

何で! わたしだけ! こんな目に!
いたたまれなくなって全力疾走するわたし……。
惨めすぎる……。




















「今の……妖夢には難しかったんじゃない? 白玉楼って何から何まで純和風だし」

「知力体力時の運だよ、霊夢」

「そうそう、大体難しくなければ難題とは言わないわ」

「一部の人間にだけ極端に難しいのも難題に入るわけ……?」

すっかり突っ込み役が板に付いている霊夢。
ちなみに元から突っ込み役だという説も、逆にボケだという説まで玉石混合、素敵

「まぁ、でも妖夢の爆走でトップは妖夢で固定になっちゃったみたいね」

「でも、あれじゃ確実に三周目でバテるだろうね」

「バッテン見られるたびに全力疾走するでしょうし」

「鬼かあんたは。あぁそれから今の順位だけど

 トップ 妖夢
 二位 チルノ
 三位 文
 四位 鈴仙
 五位 ミスティア
 六位 魔理沙
 七位 橙
 ドベ レミリア

って感じね」




















「さぁ、お待ちかねのアイテムエリアだぜ!」

魔理沙は、寒さで震えながら飛んでいる橙をかわして現在六位。
亀裂を的確に避けながらアイテムを取得する。

「さあて、なぁにかなぁ? おおこれは!」








「ますたーすぱーく」








「わたしの十八番か。こりゃいい、あの夜雀・兎・天狗をまとめてぶっ飛ばすか」

前方で三位争いをしている集団にばっちり狙いを定める魔理沙。
不穏なこと言って、目がマジだ。

「覚悟しな、恋符「マスタースパーク」だ!」

箒の上に片足立ち、腰に手を当てカードを高々と掲げ、ウインクして宣言。
よくまぁ高速飛行中にそんなポーズして落ちないもんである。
そして次の瞬間

ピシャーン ゴロゴロゴロゴロ

「ありゃ?」

魔理沙以外の全員に雷が落ちた。
晴れてるのに。
イッツせーてんのへきれき。

「何だよ、電気(スパーク)だけに雷ってか? 安直だなオイ……」

極太レーザーのつもりが、実は全体攻撃と知って、かなり複雑な表情の魔理沙。
と、その時後ろから……

「うえぇん……」

あらゆる邪気も抜けていきそうな愛らしい泣き声が聞こえてきた。

「……何だ何だ?」

振り返った。
思わず心情が口から出てきた。

「絶句……」

「さくやー……」

色んな意味でびっくりして右往左往する橙(ミニマム)の横でシクシク泣いているのは、普通に考えればレミリア(ミニマム)なのだが……。

「ね、ねぇ魔理沙! この人どうしちゃったの!?」

「おい! なんだってここで「あれ」が出てくるんだよ!?」

『ごめん、なんかアクシデントっぽいわね。そっちに保護者おくったからそろそろ……』

「れみりゃ様ーっ!!」

れみりゃ、すなわちれみりゃ・すかーれっと。
普段の超然とした面持ちは何処へやらすっとんでいってしまうけど、全く別の意味で泣く子も黙る。
一体どんな条件でそんなになってしまうのか、最も有力な説といえば月齢の変化らしい。
しかし、ここに、新たなる条件が加わった。
即ち、

「わたしのマスタースパークはこういうこともできるのか……」

魔理沙、何感心しているんだ。

「パワーばっかりに気を取られてたけど、盲点だったな……。これは使えるかもしれない……」

何に使うつもりかな?

一方こっちは、

「うええええん、さくやー、こわかったよぉ……」

「さぁ、あなたのさくやがきましたからもう大丈夫ですよ、れみりゃ様」

雷鳴におびえて泣きじゃくるれみりゃと、パッと見まるで慈愛の化身の如き優しい表情でれみりゃを抱く十六夜咲夜。
まるで聖母の描かれた聖堂壁画のような雰囲気だけど、そこはかとなく漂ってくるダメ臭さは気にしちゃ、ダメダメ。

魔理沙はそんな主従を眺めた後、三位争いしていた連中をみやる。

「あっちも混乱してるなぁ……」

引き金引いた本人が何を言う。




















「な、何ですかこれは!? わ、わたしの体が……」

「雷よ! さっき雷に打たれたからきっとそのせいで突然変異が」

「そんな!? 雷に打たれると体が縮むんですか!?」

「雷に打たれたことなんてないけど……、そんな秘密が……」

「っていうかさぁ、アイテムカードのせいだって気づこうよ……」

「「はっ……」」

ミスティアのしらけたような声で我に返る文と鈴仙。
数刻、静寂。

「……な、なんて巫山戯たアイテムでしょうか!」

「どうせこれもあの八雲紫の悪巧みに決まってるわ!」

その場を取り繕うようにわざと大声で話す文・鈴仙。
そして、口々に紫への文句が飛び出してくる。
そんなことしてるくらいなら走った方がいいんじゃないのか? という突っ込みは受け付けません。

「う~ん、そろそろ元に戻るかな」

そんな文仙にはかまわず時間を計っていたミスティアは走り出す準備を進める。

ぐにぐに~

みょんな音……。

「あ、戻った。じゃあお二人さんお先~」

「って、あ、戻ってる」

「あぁっ! ミスティアさんずるいですよ!!」

慌てふためき追いかけようとする文&鈴仙。
で、その後ろから。

「どけどけー!」

魔理沙登場。
後、元に戻った橙とレミリアも。
ちなみに、元に戻った時、レミリアが咲夜に熱く抱擁されているのに気づいて一悶着あったのは全く別の話。

それから、何で戻ってすぐに行動開始した三位争い勢に対し、一悶着していたはずの六位争い勢が同時に来てるのかという質問にはこう答えよう。

気にするな。

…………嘘、ちゃんと説明します。
簡単に言えば、このアイテムは順位が上がれば上がるほど効果時間が長いのですよ、ハイ。

とにかく、これで三位争いは混沌としてきました。








恐るべし、恋色マスタースパーク。








「順位発表よ

 トップ 妖夢
 二位 チルノ
 三位 ミスティア
 四位 文
 五位 鈴仙
 六位 魔理沙
 七位 橙
 ドベ レミリア

オッケー?」

「ハプニングってあるのねぇ」

「封筒に入れて投稿したい気分だわ」

「どっちかというと今のはNGに分類されるような気がするのは僕だけかい?」

「安心して霖之助さん、わたしもそう思う」

「いやいや霊夢、NGはNGでもいい意味でのNGだよ」

「…………、もう何もつっこめないわよ」




















押し合いへし合い、はしてないけど、とにかく今回のレースはそんな感じだ。
三周目後半、全員がトップを狙える位置についている。
でも、ということは……

「あああああっ!! もう見ないでぇっ!!」

「いや、あんた見ないで走るのは無理だし」

「っていうか、これだとまるで、わたし達が危ない奴みたいじゃないか……」

一人だけ背中にバッテンつけた妖夢は、もう泣きながら走っている。
別に、一同泣かせてるつもりはないんだけど、まぁこれはしょうがないだろう。
後続が見えなくなるくらい引き離せば、とりあえず選手からは見られることはないけど、でも観客の皆様からは丸見えなのであんま意味ない。
第一、妖夢にそんなスパートかけられる体力はもう残っていない。
アイテムも使い果たし、それでも一位を死守するにはもはや気合いのみか。

「本当に妖夢さんは余裕が無いですね……」

「言わないであげて……、わたしあの気持ちが何となく分かるから……」

何気に涙を誘うセリフを言う鈴仙。

「とはいえ、ここまで来たんですからあとはスパートかけるだけですね」

「おっと、そうは問屋が降ろさないもんね」

「今度こそわたしが勝たせてもらうわよ」

「いいや、勝つのはわたしだ」

「何言ってんのよ! あたいよ!」

「兎をなめるな!」

「はやくこたつで丸くなりたいよ~」

「もう許してぇっ!!」

八者八葉、それぞれの言葉と共に気合いを込める。
気合いが逆に抜けそうなのもいるけど、それはご愛敬。

と、そのとき、ミスティアが懐から取りだしたのは、

「へへっ、切り札は最後の最後までとっておくものだよね」








「さんこんバナナはく」








その瞬間、ミスティアの手の中に、何故かバナナの房(勿論皮だけ)が現れる。

「みんなごめんね~!」

そんな言葉と共に、ミスティアは周囲にその皮を撒き散らす。

「ぬぷっ!?」

「ぶっ、なっバナナの皮だと!?」

「きゃんっ! あいたっ」

「え、中身無いじゃんこれ」

チルノやら魔理沙やら鈴仙やら橙やらがバナナの皮にひっかかる。
っていうか橙は動くモノを見て本能で手を出しただけだけど、チルノと魔理沙は顔面直撃、鈴仙はバナナの皮を踏んだ。

「チャンスチャーンス」

「おっとそうはいきませんよ!」

「逃がすか夜雀!」

「まてまてーっ!」

バナナの洗礼から逃れた文、レミリアと共に、ミスティアラストスパート。
あと減速はしていない橙もそのあとに続く。

「いやああああああっ!! 来ないでぇっ!!」

「そんな無茶言っちゃダメ!」

「往生際が悪いよ妖夢!」

「おとなしく抜かれれば、少なくともわたし達には見られませんよ」

「それもいやああああ!!」

「じゃあ心ゆくまで見られてろ。勝手に抜かせて貰うから」

まぁ、あれです。
ここは幻想郷で、とても平和な世界なのです。
だから、こんな一見危ない会話も、レース片手間で出来ちゃうのが幻想郷の住人なのです。

遂に妖夢と四人が並んで走る。

そしてゴールが見える。
紫色の

「「「「「騙されるかぁ!!!」」」」」

五人全員で一丸となってゴールって書いてあるアーチを殴り飛ばす。

「あら残念、見破られちゃったわ」

「紫様! いーかげんにしてください!」

「あら、橙に怒られちゃったわ」

「今は藍様がいないからわたしがしっかりしないと」

とかなんとか言ってる内にゴール。
本物のゴールはアルファベットです。

「はい、今度こそ正真正銘のゴールよ」

「やっと終わった……」

「わたしですよね!?」

「いやわたしだ!」

「わたしだよね!?」

「わたしだといいな」

「あ~、一位はね……、文」

「ほんとですか!?」

「くっ……」

「あ~負けちゃったぁ……」

「あんなに全力疾走したのに……」

「ま、しょうがないかぁ、次がんばりましょう……」

「んで順位はね

 トップ 文
 二位 レミリア
 三位 ミスティア
 四位 橙
 五位 妖夢
 六位 魔理沙
 七位 チルノ
 ドベ 鈴仙

よ」

「まぁ、これが実力の差ですね」

「またしても一位を逃すとは……」

「あっちゃ~、文さんにバナナぶつければ良かったなぁ」

上位三名のコメントでした。

「けど、残念だわ」

「そうね、霊夢の一本釣り見たかったのに」

「お前らもう何もするな……。もう突っこむのにも疲れたわ……」

「いやいや霊夢。まだあと三レースもある。頑張ってくれたまえ」

「霖之助さん、性格変わってない……?」




















第二コース チルノレイク

 トップ 文     +10(+10)
 二位  鈴仙    +10(+0)
 三位  レミリア  +9(+8)
 四位  ミスティア +9(+6)
 五位  チルノ   +9(+1)
 六位  橙     +8(+4)
 七位  魔理沙   +8(+2)
 ドベ  妖夢    +5(+3)


















残り3コース

まだまだ続きます
アーケード版はやってないのでそっちのアイテムとかよく分からないので現在調査中です。
使えそうなのがあったら出すかもしれませんです。

今回もこれでもかとばかりにネタ出しています。
かなり問題あるのもありますが……。

「さんこんバナナ」は本当に……どうなんだろこれ……
MIN
http://twinkle88.hp.infoseek.co.jp/index.html
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コメント



0.1760簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
十六夜咲夜流・改・エクスターミネーション千日通しの刑

…??

なかなかステキそうな罰で
5.60名前が無い程度の能力削除
混沌として来たなぁ。全く予想がつかないや。
6.80名前が無い程度の能力削除
ウエーブレース吹いたw
9.80CODEX削除
カード効果ピッタリで吹いた。

しかし、第二レース一番の見所は、れみりゃ様降臨かと。

大・爆・笑
27.90名前が無い程度の能力削除
れ み り ゃ 様 降 臨 !
47.80名前が無い程度の能力削除
まさかここでウェーブレースが出るとはw
次のレースが楽しみです