Coolier - 新生・東方創想話

あの夜に

2021/07/25 16:30:39
最終更新
サイズ
1.73KB
ページ数
1
閲覧数
1197
評価数
5/8
POINT
600
Rate
13.89

分類タグ

#1重い雨
人気の少ない森。暗くジメジメとした重い夜。土砂降りの雨の音と香り。そして、心に深く染みる雨粒も。何もかもが最悪だ。私はそう考えるごとに、ぬかるんだ地面を強く擦らせながら進んでいた。その姿は、目的地のない旅のようにトボトボと彷徨っていた。
家もなく
家族もいない
仲間もいない
自分の性格も良くない
ましてや、自分の能力でさえもうまく扱えない。
だから私は誰かから好かれたり、拾われたりしない。
だって、私とつながりを持ったその時はいいのかもしれないけれど、その後に「破滅的な結果が待ち受けている」ということが知れ渡っているから。

だから、私の周りは誰も人がいなかった。

「――ッ!」
足元にあった石につまずき、体制が雪崩のように崩れた。
泥が飛び散り、土の味と匂いが口の中に広がる。
自分がまとっている服にも泥が染み込んでくる。
私の身体は冷たい感触と倒れた時の衝撃に襲われ、自由に動けなくなった。

目の前に広がるのは、水しぶきをあげる土砂降りの雨と、暗く重い森が広がっている。
なぜだろう。
とても懐かしく感じてくる。
だけれど、そんな景色もだんだん、と、ぼやけてきた。
重い瞼に抵抗できるはずもなく、私は私の舞台に幕を下ろした
……はずだったのだが。

急に身体が持ち上がり、一瞬のうちに私は空に飛ばされた。
何があったのか分からない。
何が起きたのかが分からない。
ただ、一つだけ分かったことがあるとすれば、

星のように輝く人に抱えられていたこと……。


#2思い星
「飯綱丸さまー……龍さまー……」
トトトッと小走りで家の中を駆け回る。今日は月虹市場の日だ。あれほど準備をしていたというのに、なぜ今日に限って出てこないのだろうか。
私は毛を逆立たせながら飯綱丸様の寝室に入った。
「もうっ、飯綱丸さ……ま?」
そこには、乱雑した部屋が広がっており、その中に飯綱丸様が埋もれていた。
あわてて近づいてみると、寝息の音が聞こえた。
今日のことを忘れて寝ているその顔は、とても笑顔で温かいように見えた。
私は顔を近づけ、ゆっくりと身体を横にした。
誤字脱字、感想などがありましたらコメントなどにてお知らせ下さい。
中学生が書いたので大目に見てください。
雪月風斗 - Fuhto Setsugetsu -
[email protected]
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.130簡易評価
2.90サク_ウマ削除
もう少し詳しいところが読みたいなと感じます。それはそれとして、この短い中に対比を組み込めるのは上手いな、とも。次回作も楽しみにしています。
3.100名前が無い程度の能力削除
菅牧可愛い
5.100南条削除
面白かったです
自分のことをよくわかったいる典がよかったです
6.90Actadust削除
冒頭の詩のような文章が綺麗で好きです。だからこそ出会いから今の関係になるまでを読んでみたいなとも思いました。楽しませて頂きました。
7.90モブ削除
とても綺麗な書き方をされているなあと思います。

ご馳走様でした。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
文章に特に問題はなく、読みやすい為に色々と勿体なく感じてしまいました。
こちらとしてはシーンの切り抜きのみでは、おそらく、典が報われた話なのでしょうけど、彼女の感情の動きや変化が伝わりにくいんですよね。過程がないからこそ、その話のネタバレだけを見させられたように、読者側が得る感情が薄くなってしまうと言うか。だからこそ、短くてもいいので起承転結、まあ最低でも起承くらいまでは欲しいところです。雰囲気の出し方はとても良かったと感じたので、展開の出し方など頑張ってほしいと感じました。