Coolier - 新生・東方創想話

静かな読書の一風景

2011/01/24 01:55:04
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その広大な図書館の蔵書の海を紫を羽織った少女が漂っている。

「……」

ぺらり。

「……」

ぺらり。

「(落ち着く……)」

一枚、また一枚と本をめくり、物語を進めていく。

「小悪魔」
「はい」

からのコップを指すと、側に立っている使い魔が追加の紅茶を注ぐ。
注ぎ終わる音が聞こえたら、本に目をやったまま取っ手を掴み、コップを口元に寄せる。
するっ、ごくり。温かめの水分が喉を通っていく。ややぬるいが、ゆげがでると本が湿るので、ここではこれでちょうどいいのだ。

「小悪魔」
「はい」
「本は、いいわね」
「ですね」
「読めば、別の世界に行ける。書けば、別の世界を創れる。考えれば、世界を旅することができる」
「はい」

パチュリーは本を閉じ、突然立ち上がって窓の方に向かって口を開く。

「私は、この小さな小さな、世界全体と比べれば塵芥のような、そんな空間に閉じこもり、なおも世界全体を感じ、世界全体を語り、世界全体を旅している。素晴らしいことではないか! いつでも読め、すぐにでも書ける――それがずさんなものであろうと、評価されぬものであろうと――あなたはそれを書いたんだ! 読んだんだ! そして、その世界にいて、旅した! これが重要なんだ!」
「しくしくさめざめ」

小悪魔が両手を目の上に仰々しく添えて棒読みで泣いている。

「どしたの、小悪魔」
「パチェ様がとうとう頭がおかしくなったと思いまして。ヒキコモリ怖い」
「……わかってないわね。つまり、私が言いたかったのは、文章は楽しいってことよ。……さて」

パチュリーは数枚のA4紙と羽ペンを取り出した。

「そろそろ書き始めようと思うわ」
再開です。
逢人
http://
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コメント



0.370簡易評価
4.10名前が無い程度の能力削除
短小ですね!で、続きは?
5.無評価名前が無い程度の能力削除
おけおけ。ラス行のセリフに作者さんの想いが集約されてるのがわかる。
これから期待してるぞがんばれよ。
8.50名前がない程度の能力削除
これは…続くのでしょうか…
10.無評価名前が無い程度の能力削除
あれ?名前変わりました?
14.50幻想削除
期待します。