Coolier - 新生・東方創想話

お嬢様教

2010/09/24 23:43:33
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 紅魔館の何も変わりばえのしない日常だ。
 私は紅茶を入れる、それをお嬢さまが飲む、ただそれだけ事だと思う。
「……咲夜のいれる紅茶は美味しいわね。咲夜がいなくなったらどうしようかしら?」
「いちごミルクを飲めばよろしいかと?」
 お嬢様の顔が歪んだ、カタカタとティーカップを持つ手も震えている。
「笑えない冗談ね。そんな生意気な口を聞く人間なんて、人間なんて……人間?」
 思い浮かばないみたいだ。無理もない、私いがいの人間だと霊夢、魔理沙、守矢の巫女ぐらいのものだろう。
 霊夢と魔理沙は、いつも生意気な口を聞いているし、守矢の巫女とはあまり接点がない。 
 いつだったか一度、布教活動のために紅魔館に訪れた。
 巫女の話を聞く前にお嬢様は……
「私はレミリア・スカーレット!! 私は、わたくし教の教祖様よ。貴方の方こそ私を崇め奉りなさい!!」
 ……と言った。守矢の巫女は、ぽかーんと呆れた顔をして、こちらを見ていた。
 言いたい事はわかるが、ここは「私もお嬢様教徒なので……」と言って、お引き取り願った。
 それ以来まったく音沙汰がない。おそらく神に見放されたのだろう悪魔の館にはぴったりだと思う。


「それはいいとして咲夜!!」
 どうやら生意気な口をきかない人間は、思い浮かばなかったみたいだ。
「なんでしょうか?」と答えたが、これはいつものパターンだ。
「吸血鬼にならない?」
「いちごミルクはお嫌いでしたか? 妹様がお嬢様の分も飲んだ時に、あれほど……」
「うー、いちごミルクの話はもういいのよ!!
 咲夜はどうして吸血鬼になりたくないの? 吸血鬼は素敵よ、私をみればわかるでしょ?」
「確かにお嬢様はステキですわ」
「……なにかトゲのある言い方ね。人間のどこいいのかしら? とても人間に愛着があるようには見えないけれど」
「それでもですわ……」


 私が吸血鬼にならない理由は単純、人でいたいからだ。
 人でいたい、そんな当然の事ですら叶わなかった。
 能力のせいか、環境のせいかはわからない。
 私は、化け物、鬼、悪魔、ひとでなし、人外の呼び名をつけられた。
 なぜ人間でいたいのか? それは私にもわからない。
 私を蔑み、拒んだ人達の仲間入りしたいわけじゃない。
 記憶のどこか片隅にある温かいものが、人でいたいとつぶやき続ける。
 何の根拠があるのかわからないが、それだけが頼りだった。
 なんど失望し、幻滅した事だろう?
 愛想笑いに磨きがかかり
 しぐさや動作は、人形のように
 心は冷たく硬く、ナイフのように尖ってゆく……
 完璧? 瀟洒? どれも不幸の産物だ。
 そんな事より私を人として見てほしい。


「そんなに人間がいいなら、紅魔館から出てゆけばいいのよ」
「私を人間扱いするのはお嬢様ぐらいですわ。それに生きている間は死ぬまで仕えますから、ご安心ください」
「今のうちに、いちごを育てておこうかしら?」
「紅茶を飲むよりお似合いですよ、お嬢様」
 私を人として見てくれる。それだけでお嬢様に仕える理由は十分なのだ。
 人外にかこまれて初めて私は人でいられる、ここの生活は好きだ。
 初投稿です。面白いといいのですが……
 それとSSの基本があまりわかってないと思うので、間違いやおかしい所があれば、教えてくれると嬉しいです。

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コメント



0.630簡易評価
15.100名前が無い程度の能力削除
人として見られるというトピックが面白いです!
16.無評価削除
>16
 読んでくれて、ありがとうございます。
 咲夜さんは幻想郷でもよく「人間か?」と言われるので、こんなSSを書いてみました。
18.90名前が無い程度の能力削除
これは良いね。
20.無評価削除
>18
 コメントありがとうございます。
23.90名前が無い程度の能力削除
人として見られる
それがなんなのかは人によるから難しいんだよなあ