私こと射命丸文は新聞記者だ。自慢じゃないけど嘘の記事は書いたことがない。
まぁ、多少の誇張ぐらいはするけど……。
そんな私は新聞のネタを求めて日々幻想郷を駆け回っている。
一部の読者の方からはガセ記者とか言われるが先ほども言ったように嘘は書いてない。
それに私も私の良識に従ってちゃんと封印指定にしているネタもある。
そうですね、丁度いいですし今日は取材をお休みして封印指定のネタの整理でも行いますか。
ちなみに主に封印指定にしているネタは深くプライヴェートなことに関わるものである。
~少女整頓中~
あ、これは……霊夢さんのものと思われる日記の一部を書き写したものですね。
ネタになるものがあるかと思って書き写したんですけど……。
これは、見なければ良かったと今でも後悔してます。
けど……これは忘れてはいけないことだと思っています。
例えそれが信じ難いものであっても。
読み直しましょう。読み直せば新たな発見があるかもしれませんし。
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○月×日(晴) 訪問者:魔理沙 お賽銭:たくさんの0円
今日も魔理沙がやってきた。来るたびに突風を起こして折角掃除した境内をまた汚すのは止めて欲しい。
そして縁側に座る私の横にちょこんと座り
「れいむー、お茶くれー」
あなたはそれしか言えないの?って思うぐらい魔理沙はうちに来ると最初にそう言う。
けど膝のあたりに手を置いて足をぷらぷらとさせながらお茶を待つ様子は見た目以上に幼くて可愛い。
そして、そのあと他愛のないことを1刻ほど話して魔理沙は帰ってった。
その後は夕食を作ってお風呂に入った。
夕食のお味噌汁は会心の出来だった。
今日はここまでにして寝る事にします。
おやすみ、魔理沙。
○月△日(晴) 訪問者:レミリア・咲夜さん お賽銭:いっぱいの0円
今日は魔理沙がこなかったがレミリアがやってきた。
日傘を差せば日光をものともしないあたり本当に吸血鬼かどうか疑わしい。
いつかニンニクの匂いをかがせてみようかしら?なんてことを考えてたら
「霊夢、ニンニクはやめて。生姜はいいけどあれは駄目なの。あの匂いを嗅ぐと私、吐き気をもよおすの」
って言った。人の考えを読むのはいけないことだと思う。
というか吐き気をもよおすだけなのか。やっぱり本当は吸血鬼じゃないのかもしれない。
レミリアと咲夜さんは今日、泊まりだ。お布団を出さないと。
さ、二人がお風呂から戻らないうちに今日の分は終わらせましょう。
おやすみなさい、二人とも。
○月□日(曇) 訪問者:レミリア・咲夜さん お賽銭:いっぱいの0円
朝ご飯にオーソドックスに納豆を出したらレミリアが食べ方がわからず咲夜さんに尋ねていた。
どうやって食べればいいのかわからず咲夜さんに聞きながら嬉しそうにかき混ぜている姿は見た目通りの幼さがあってとても可愛らしかった。
咲夜さんもそんなレミリアを微笑ましそうに眺めながら一緒に食事をした。
最初のころはメイドは主人とともに卓についちゃいけないなんて言ってたけど郷に入れば郷に従えって言葉を徹底的に叩き込んで一緒に食べるようになった。
けどね、レミリア……納豆にフォークはどうかと思うの。
朝食をとった後は3人で談笑をした。女三人よれば姦しいと言うが私達の場合そうでもない。
なんだかんだ言ってレミリアはお嬢様だし咲夜さんはメイド。それに私も魔理沙ほど積極的に話すわけでもない。
けど、それは嫌な感じになることは無くとても心地よい時間。
そして二人はお昼ご飯を食べた後に帰ってった。
とりあえずその後は境内の掃除をして夕食を食べてお風呂に入った。
いつも通りの作業が少し寂しく感じた。やっぱり誰かがそばにいるほうがいい。
レミリアが羨ましい。けど無いものねだりをしてもしょうがないから寝る事にします。
おやすみなさい、レミリア。
○月◆日(曇) 訪問者:アリス お賽銭:いっぱいの0円
今日は珍しいお客がやってきた。
どうも和服の構造について聞きに来たらしいんだけど生憎のところ私もよくわからない。
そういうわけであやまったら少し残念そうにしたあと慌てて
「あ、謝らないでよ! 元からアンタになんて期待してないんだから! むしろ私が訪ねてきたことを誇りに思うぐらいしなさいよね!」
って。どうもアリスは妖怪のわりに人間くさくって可愛い。
こんなに必死で言い繕わなくても嫌いにならないのに。けど、それでも偉そうにしようとするのがまた可愛い。
私もこのぐらい自分に素直な表現が出来たら違うことになってたのかもしれない。
その後、アリスは少し談笑したあとに慧音の所に行った。
今日はこのぐらいにしてアリスが和服の構造の事を教えて貰えたことを祈りながら寝ることにします。
おやすみ、アリス。
○月▲日(雨) 訪問者:なし お賽銭:無し
今日は雨が降っていた。
なので境内の掃除もしなかったし特に変わった事もなかった。
日記の中ぐらいは素直で、ありのままの自分でいようと思って書いてきたけど今日は誰もこなかったから書く事もない。
一人は寂しい。口に出しては絶対に言わないけどね。
やることは無いし明日は晴れる事を、誰かが来ることを願いながら寝ることにします。
おやすみなさい。
○月■日(雨) 訪問者:紫 お賽銭:いっぱいの0円
今日も雨が降っていた。洗濯物も出来ないし誰も来ないだろうから暇になるだろうと思ってたけど紫が来た。
相変わらず唐突にやってくる。スキマって便利だと思う。
で、紫に頂戴って言ったら呆気にとられてた。新鮮なものを見た気がする。
こうやって見ると紫って凄い美人なんだけどね。いつもは眠そうだったり胡散臭いからその魅力も失われてる。
まぁ、そんなこと絶対言ってやらないけど。言ったら絶対調子に乗るもんね。
それに紫はこうやって雨の日に暇をしてるとよく来る。もしかして覗き見してるのかな?
もしそうだったらお仕置きしないと。けど、まあ、暇を潰せたのは感謝してる。
さて、今日は気持ちよく眠れそうだ。ありがとね、紫。
おやすみなさい、紫。
○月▼日(晴) 訪問者:なし お賽銭:いっぱいの0円
今日は2日ぶりに晴れたので特にあてもなく空を散歩した。
けど、飛んでるのに散歩って変な気がする。散飛って言えばいいのかな?
まぁ、それはともかく適当に飛んでたらいつぞや月の騒ぎの時のウサギと偶然会って話をした。
どうも彼女はあの月のマッドサイエンストの魔の手から逃げているらしい。
あまり話せないうちに彼女は逃げてしまったけど結構楽しかった。
今度はこっちから出向いてみようかな?
ちょっと幸せな気分で今日は寝れそうだ。
おやすみなさい、ウサギさん。
○月▽日(晴) 訪問者:なし お賽銭:無し
3日も溜めてしまった洗濯物を片付けた。
とは言っても私、一人だけの量だからたいした量じゃないんだけど。
今日は特に変わったこともない平穏な日だった。
明日も何事もなく平和で誰かが来て騒がしくて楽しい日であることだろう。
おやすみなさい。
○月◇日(晴) 訪問者:魔理沙 お賽銭:とてもたくさんの0円
久々に魔理沙が来た。どうも最近は研究をして引きこもってたらしい。
そして縁側に座る私のやっぱり横にちょこんと座り
「れいむー、お茶くれー」
いっつも私は溜息をひとつ。そして、しょうがないといった風にお茶を出している。
けどね、魔理沙。本当は私、あなたが来てくれることが嬉しいんだよ?
あなたが私のことを親友だって言ってくれることがとも嬉しいんだよ。
あなたがいつも私の所に来てくれてるから博麗霊夢は完全に博麗っていう機械のような存在にならないでいれるんだから。
だからね、魔理沙……私のこと嫌いにならないでね?
勿論、レミリアも咲夜さんもアリスも紫もみんなも。みんな、私のことを嫌いにならないでね?
おやすみ、皆。
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無造作に居間に置いてあったこの日記。
霊夢さんの書いた字を見た事が無いから本当に本人が書いたのかを確かめる術が私には無い。
もちろん、この日記の内容は他の誰にも伝えない。
けれど、私は必ず気に留めておこうと思う。この日記が本物にしろ、偽物にしろ。
本物だったら私も彼女の支えになれる。
偽物でもきっとその漢字の示す通り人の為、彼女の為になれると信じて。
さぁ、こんな記事に出来ないものは仕舞ってしまいましょう。
私がやるべきことは使えるネタ探しなんですから。
しかし3000点を超えるほどまでに皆さんから点数を入れてもらえるなんて少しも思いませんでした。あらためて有難う御座います。
言葉に現せない感情が押し寄せてくるものからだと私は思います
素晴らしい作品を読まして頂きました。
人の日記を見るのは良くないですね。
ああーーみんなーーーいくなーーーー
なんか凄くかぁいいよ♪
あぁ・・・素晴らしき幻想郷
可愛いよ~霊夢~。
博麗の巫女であるが故に内心寂しさを抱えているのでしょうね。
素敵な物語をありがとう。
アリスかわいいよアリス