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×月×日
今日も藍様はいつも通りです
ふと、他愛ない事を考える
言うに、幻想郷とは紫様と博麗の力によって成っていると私はその昔から紫様から聞いてきた。
外の世界において幻想となった事柄を受け入れる結界、博麗大結界。それが幻想郷と外の世界との境界線になっている事を知ったのはその後、私が結界の見回りを任せられた時だ。
大昔、今から数十代前の初代博麗と共に紫様が構築し創り上げた博麗大結界。
その構築に携わる二つの鍵が八雲と博麗だと自慢げで、どこか誇らしげな顔をしならがら話していた紫様はとても嬉しそうだった。
紫様は博麗と共に世界を隔離する結界を作り上げ、博麗が代々それを維持させてきた、私はそう何度も教えられた。
博麗の方は怠慢をそのまま人間の形にした様な存在だがあれはあれでまだ幻想の結界を維持させているので仕事をしているといえるだろう、寧ろ博麗が仕事をしなくなるというのは本来そういう博麗大結界を維持しなくなると言う意味なのだ、大事である。
あれは妖怪退治をしたり誰にも縛られずにそこら辺をふらふらしていればいい、彼女は何人たりとも縛れないし彼女自身もまた然り、それでいい。
博麗の巫女が死んだところで実の所、博麗大結界にさした脅威にはならない。
あくまで“博麗大結界には”であって“幻想郷の勢力バランス上は”大いに影響を与えるのだが、それはさておくとして。
先代も、その前の代も、更に前も、初代博麗以外博麗の巫女の選別は全て八雲家が担ってきた。
博麗としての素質がある人間を生前から見つけ出し、神隠しし、博麗として然るべき修行と知識を身に着けさせ、巫女の任に就かせる。
無論最低限の知識をと修行しか彼女たちは行わないがそれでもああなるとは、流石博麗と言った所か選別を行う紫様が凄いのか分からないが。
畏れ多くも私はその選別に立ち会った事があるし、八雲の性を頂いた者として将来的にはその任を任すとも言われている身だ、そこらの知識はすべて頭の中に納まっている。
だから、だからこそこんな事を考えてしまうのだろう
紫様がもし居なくなったとしたらと
無論、そんな事があり得ない事ぐらい知り過ぎるほど知っている。
紫様は強い、紫様は賢い、紫様は何もかもを持っている
だから、居なくなる筈は無いと信じている。
本当にそうだろうか、本当に居なくなってしまわないのだろうか
時々、不意に恐ろしくなることがある
世界の崩壊を招くかもしれない、それ以前に私には紫様が居ない世界が想像できないのだ。
もし紫様の能力が何らかの理由で失われたら?
もし紫様が突然どこかに行ってしまったら?
もし紫様が寝たきり動かなくなってしまったら?
もしも、もしもそんな事があったとしたら
私はどうなってしまうのだろう、どうしてしまうのだろう
紫様がもし、もしもその力を保っている事が出来なくなってしまったとしたら、それは幻想郷と言う世界の崩壊に繋がるだろう。
幻想郷の崩壊、それは私の大切なこの些細で幸せな日常の崩壊も意味する
私にはそれが怖くて仕方が無い
昔はよく怖い夢を見た時に紫様が慰めてくれた
優しくて、暖かくて、それでも力強く私の事を包み込んでくれたあの嬉しさは忘れない。よく覚えているし忘れた事は無い、今までも、そしてこれからも。
だが、今私は紫様に頼る訳にはいかない。
いつの間に後ろに橙が立っていた
そうだ、今日は橙に数学を教える予定だった
主人たる私がこんな調子で良いと思っているのか、不覚。
出来る限り笑顔で迎え入れよう。
将来はこの子も八雲の一員となる時が来るのだ、八雲の、紫様の名に泥を塗るような子になってはいけないのだ。
■□■
吾輩は猫又である 名前は橙と言う
この名は我が誇り高き主、金毛白面九尾八雲藍に付けてもらった大切な物である。
思うに、名前とは生まれてから親に貰う最初にして最大の贈り物である。
少なくとも私にも猫としての親は居たのだろう、動物にしても何にしても狐から猫が生まれることなどありえないと慧音先生が言っていた、鳶が鷹を生むなんてありえんと妙な所に激昂していたがその所は割愛する。
だが、今の私に生み親は関係ない
ただ藍様と、紫様を見習い追いつき追い越せと―――無理に決まっているがそんな心意気で頑張るのみだ。
ところで周知の通り我が主、八雲藍様は大変に美しく、頭が良く、性格も良く、尚且つ強いスーパーウーマンである。
大事な所なのでもう一回詳しく言うが才色兼備で頭脳明晰、尚且つその能力をひけらかさず優しい、それに頭だけでは無く妖力や体力も十分すぎる程に備えている、九尾の狐ときたら妖怪としての格も十分だ、普通の妖獣程度なら勿論、その辺の山をしめている程度の妖怪なら直接見るまでも無く逃げ出すであろうことは確定的に明らかなのだ。
素晴らしい、全くもって素晴らしいスペックだ おっと思わず鼻から忠誠心が。
藍様の昔話は聞いたことが無い
どれだけ酔っぱらっていようと紫様はその部分だけには固く口を閉ざすのだ、前にしこたまお酒を飲ませて聞き出そうとしたから覚えている。
だが私の中では藍様があの“傾国の美女”である事はほぼ確定的になっている、そうに決まっている。
だってあの美貌を持ってすれば国を傾けるのなんて余裕だろう、私が王だとしたらものの数分で陥落する自信がある。
出る所は出て引っ込む所は引っ込む抜群のプロポーション
時折見せる艶やかな笑み
おまけに普段のおさんどんモード
これらの濁流の前にはどんな理性もたちどころに押し流されてしまうだろう、寧ろ耐えられる奴がいたらそいつの正気を疑うレベルだ、枯れてやがる。
待てよ、私の主藍様その主、つまり私の主の主たる紫様も藍様に匹敵するか一部はそれ以上の高スペックを持っている、その気になれば男を落とす事なぞ容易いに違いない。
八雲家と言うのは抜群のプロポーションを遺伝するらしい、ならば私の将来は明るいに違いない…そう信じたい、昔一緒にお風呂に入った時のあれは凶悪すぎた、劣等感的な意味で。
うむ、この面子なら面白い様に国が取れるに違いない、考えうる限りで最高の組み合わせだ。私がその中に居ない事が残念無念だがマネージャーにでもなればいいだろう
さて、こんなとりとめのない事を妄想しているのには訳がある。
完璧超人たる藍様はいつだって物腰が落ち着いていて滅多な事では動揺しないし自分の感情を前面に表す事なぞ滅多にないどころか稀だ。
しかし、それは一年の中でただ一時期だけを除く
「橙?どうした、今日はオイラーの公式を証明すると言っていたじゃないか」
「藍様、それは私ではありません、狸の置物です」
そう、紫様の冬眠時期の後半戦だ
先程から藍様は一向に動かない私、と言うよりも藍様から見て私に見えているだろう置物を首を傾げながら引っ張っている。
後半戦、この時期の事をそう私は呼んでいる、無論戦っているのは紫様では無く藍様の方なのだが。
例年にとって例年の如く、この時期になると藍様は精神的にかなり追い詰められているらしく奇行に走ったり幻覚を見たりしているらしい。
最初の頃はただただ怖かった、紫様曰く「毎年の事らしいわ、起きたら家の中が茸だらけになっていてダンボールを被った藍が飛びついて来た時はどうしようかと思ったわ」だそうで。この時期の奇行は昔かららしいが普段見慣れている者、それも普段は落ち着いて腰が深いだけにその不気味さと言ったら無かった。
今?今はもうすっかり慣れてしまった、それどころか若干楽しんですらいる
この時期の藍様は本当に憔悴しきっているらしく、ある物無い物が見えたりするようだ。事実今の藍様の目の前には私が居るらしい事からそれが分かる。
では、本当の私は今一体どこに居るのか。答えは八雲亭の屋根裏に作られている秘密部屋内部で藍様を観察している最中なのだ。
この部屋の内部には食料のストックや寒さに弱い私用に暖房器具が設置されていて万全の体制が常時整っている。秘密部屋と言ってもその広さは家の上部丸々覆ってしまう程まで大きいので家の中に藍様がいる限り私は常時見張っていられるという訳だ。
私は今現在そこで藍様の行動を手元のメモに記入していく、大体一冬で一冊程度のメモ帳を書き上げる事になる。
数年前からこの続けられている冬ごとの監視作業
何故私が主たる藍様を監視しているのか。始まりは数年前、私が紫様に個別で呼び出されたことから始まる。
■□■
「そこに座りなさいな」
その瞬間場に緊張が走った気がした
私は注意の外からやって来たまさかの言葉に思考回路が一瞬ショートするような感覚になる。
そもそもあの藍様の主人である紫様に呼ばれる事すら稀だというのにその上藍様に内緒でとの条件が加えられたならこれはもう、汗だく大盛りねぎましましの大ボリューム丼だ、盛られているのはプレッシャーとストレスだが。
藍様に普段から耳にタコができる程その比類無い強さと並ぶ者が居ない頭脳について聞かされていれば私の紫様に対する感情は一つしかないだろう、無論畏怖と恐怖、憧れなんか持てない。
そんな紫様がいきなり目の前に出てきて「今日八雲亭へのパスあげるから私の部屋に来なさいね、でも藍には内緒よ」とか言われてしまった時は出て来た時と同じように唐突に出て行ってしまってから数秒は放心する位の有様だった。
なんだろう、私は何か悪い事をしたかな、それとも私は不要になるとか?要らないとか?
否定できない絶望的な考えに考えれば考える程思わず悲しくなった。
弱気になっちゃ駄目だ、そう藍様が言っていた事を思い出す。
そうだ、何も嫌な話題じゃないかもしれない。「藍がいつも作る酢豚に入っているパイナップルって無いよね!」的な話題かもしれないじゃないか。
うーん…でも紫様って考えている事よく分からないしなぁ、ひょっとしたら粗を探して付けこむみたいな事をされるかもしれないし。う~ん…
そしてこの発言だ
「席に座って」、この発言をどう見るかが紫様が私に与えた「試練」だと確信したっ!
藍様が私を叱る時、必ず「橙、そこに座りなさい」から始まる。普段の温厚な藍様とは思えない烈火の様な説教の始まりであるその一言は私の中で確かなトラウマとなっているのだ。
それを紫様が知っていて仕掛けたとしたならばどうだろう、この何気ない一言は良く考えれば明らかな罠っ…!ここでうっかりでも踏んでしまう事は八雲として失格だといわれかねない致死的な棘が仕込まれた落とし穴っ…!
無意識に生み出された冷や汗がどろりと私の肌を撫でる、流石藍様の主であり師匠である紫様だ、恐ろしい罠を仕掛けてくる。
そうか、これは私の成長を確かめる試練に違いない。
ならばこれを潜り抜け、胸を張って藍様の元へと帰れるようにしよう。張った所で大した量は無いけどまだ成長期だ!
脳細胞を叩き起こし、必死にこの罠を掻い潜る隙を探す
私はどうすれば成功なのか、そこに行き着く為には何をするべきなのか
まずは緑茶を淹れるべきなのか、それとも茶菓子をお持ちすればいいのか、世辞を言えばいいのか、買い物か?家事か?厄介な事でも起こったのか?まさか庭に芋虫が出た?蜘蛛か?それとも猫が何かやらかした?炬燵の季節だから炬燵出すの手伝って?それとも鍋か?
駄目だ、考えれば考える程に迷走していくのが目に見える様だ、ぐるぐるとありもしない事が頭の中を駆け廻る。
そしてすっかり沸騰してしまった脳みそに突如として電流が走る、それは正に光明、夜明けの光の様に神々しいこの窮地を脱するたった一つの回答。
前屈みになりながら両手を平にして畳に張り付ける、深々とそのまま礼を行き過ぎたと思える程に頭を垂れる。
「投了です」
降参だ
これこそ日本が生み出した美、DOGEZAのポーズだ。
「いや、何の勝負してるのか分からないんだけど」
「流石紫様です、参りました」
「どうでもいいけどともかく座りなさいな」
「はい」
どうやらこの失態は許されたようだ、次こそは紫様のご期待に添えるようにしたい。
大人しく座布団に正座する、博麗神社のそれとは違ってぶかっ、と良い音がする最高級品だ、「こういった所に金をかけるのが権力者だよ」と藍様も言っていた。
「ねえ、橙」
隙間から二つ緑茶と茶菓子を取り出し自分の前と私の前に置いた紫様は憂鬱そうにそう切り出した。
なぜ憂鬱そうなのだろう、ひょっとしたらやはり厄介事ができたか。
「藍って可愛いわよね」
うむ?藍様が可愛い?
確かに藍様は可愛い、間違いなく可愛い。
普段はしっかりしているが時々ドジをやらかしてしまった時など可愛いにも程がある、ギャップ萌えと言うジャンルを地で行っていると思っている。
だが可愛いか、否かと言われると私は反論せざるを得ない。
「凛々しいでしょう」
可愛いより、凛々しい
格好いいと言った方が良いか分からないが藍様にはドレスよりもスーツが似合うと思っているのは私では無い筈だ、寧ろドレスが似合うのは紫様だと思っている。
想像してみるがいい、スーツの藍様とドレスの紫様が連れ立って歩いている姿を。
それはまさしく一撃必殺、見た者は七孔出血した挙句その場に倒れ伏すしかないであろう事は間違い様も無い。
プロポーション良いし、顔良いし、仕草良いし、いつもジェラシーを感じるのは私だけでは無い筈だ。
「どうしたのかしら、目が緑っぽいわよ」
しまった、橋姫に精神をのっとられかけていた。
おのれ橋姫め、藍様と紫様への羨望と嫉妬を糧にするとは卑怯な奴め。祟っちゃる
▼△▼
「へぶしっ」
「パルスィでも風邪をひくんですね」
「誰かが噂してんのよ」
「いいえ、風邪だとしたら引き始めが肝心です。急いで看病しないと悪化するかも」
「なんでそんなに積極的なのかしら、そしてその縄はなにかしちょ」
「口封じ等護身術を教えてくれたのはパルスィですよ、ありがたく使わせてもらいます。よし、これで看病し放題やり放題」
「家族が増えるよ!やったねお姉ちゃん!」
「こいし、それはやめなさい。あと居るなら運ぶの手伝ってください」
▼△▼
何故かは知らないけどすっきりした
だが紫様は不満そうな顔をしてぶすーっとこちらを見ている。
「いいえ、藍は凛々しいより可愛いわ」
「スーツの藍様を想像できないですと!?」
「スーツだと着せ替え出来ないじゃない!」
「藍様は着せ替え人形じゃなくエスコートしてくれる方が似合ってると思います!」
「それもありだけど!ありだけど弄りたいのよ!」
「紫様がドレスを着て藍様に弄られる方が絵になります!」
「弄られっ――!?ドレスなんて…ドレスなんて柄じゃないわよ」
「似合います」
「似合わないわよ」
「普段フリフリの服着てる癖にですか!?」
「言う程ふりふりじゃないわよ!」
「そんなに可愛いのにですか!?素材の無駄使いだとは思わないんですか?自分の素質に気がついていないんですか?」
「可愛いっ!?……そんなこと無いわよ!」
「可愛いです!」
「買い被り過ぎよ!」
「ふんだ!紫様なんて藍様に着せ替え人形にされてしまえばいいんです!」
ぜえぜえ はあはあ
いつの間にか立ち上がってしまっていた様だ、私と紫様は揃って座布団に座り直す。
「……とにかく、藍は可愛い事に異論はないわね」
「ええ、可愛いですね」
藍様は格好良い事に定評があると思うんだけどなぁ、その言葉は胸の内に納めておくことにした、今ぶり返したところであの応酬が再開するとしか思えない。
「橙、あなたにお願い……否、命令があるわ」
その言葉で弛緩していた場の雰囲気が一気に最高潮まで緊張する。
ぞわっと背筋が震えたかと思ったら冷や汗がまただくだくと出てくる、喉がからからに乾ききり、言葉が出せなくなる。
そうだ、目の前のこの妖怪は幻想郷の賢者にして藍様の主人、八雲紫様なのだ。私程度では太刀打ちできないどころでは無く八雲の庇護を受けていなければ目に賭ける事すら敵わない存在なのだ。
思わず居座りを正し、紫様の真正面を向いていた。視線を逸らす事が出来ない。
こんな存在がこれから修行していくうえで私がついて行かなければならない壁、この圧倒的な威圧を放つ妖怪が、私がこれから従っていく存在。
「橙、冬の間私の式である藍を監視して行動を大体で良いから書き留めなさい」
「私の主人を監視しろと…?」
「あなたの主人だろうが私の式よ、縦序列だとしたらあなたは私の部下な事に間違いは無いでしょう?」
「間違いは、無いですけれど」
「それともあの子に式の何たるかを教えた私を信頼しないと?」
「いえ、滅相も無い」
そう、その言葉だけで話を締めくくった紫様の口調はやや不機嫌そうに感じた。
しかしなぜ藍様の監視を私に言いつけたのだろう、紫様なりの思慮があるのかもしれないが、私は藍様の行動を紫様が不信がったのだと思っている。
私は冬の間も勉強をしないといけない為度々八雲亭のパスを貰ってこの家にやって来る、対応する者は当然藍様なのだけれども、言動が不安定にも程があるのだ。
ありもしない事を言ったり、物忘れをしたり、時折ぼーっとして動かなくなったり
突然泣き出した事もある、そう思っていたら急におかしなテンションになっている、所謂情緒不安定という訳だ。
その原因ははっきりと判別することはできないが紫様はどういった理由かは知らないけれど紫様が眠っている間の藍様の行動に不審な点を見つけ、そこを報告するように仕掛けて来たに違いない。
私は頭を垂れて紫様の次の言葉を待つことにする、どちらにせよはっきりしないままに行動するのは危険すぎる。
「して、その理由をお聞かせください」
途端紫様の目と、顔とがふるふると揺れ出した
失言したか、私はとっさにそう判断し紫様の次の行動を待つ。
しかし、すぐに動くと思われていた紫様は動く気配を見せず、動揺するような仕草をするのみだった。まるで何かを恐れている様な、考慮しているかのような息の乱れを感じる。
「藍が…」
「藍様が…いかに?」
すると紫様がかっと目を見開いて、防音対策がしていなければ家じゅうに聞こえそうな程の大声で叫びをあげた。
「私が不在の間に藍が悪い虫につかれていないか心配じゃない!」
…………ふむ
どうやら私は考え過ぎだったようだ…では無く紫様の発言がいかさか斜め上過ぎた様だ。
紫様は未だに興奮している様に肩で息をしている。
「藍様に、虫がつくと」
「寧ろ寄ってこなかったらその男は枯れてるわ」
「同意ですが、藍様に悪い虫がついたとしても藍様の実力なら振り払えるのでは?」
「それぐらいの実力は当然与えてあるわ、でも私が不在の間どんな不備が出るか分からない。もしも不備が出たとして、それを放っておいたばっかしに藍になにかあったら?私は把握するどころかその前段階も判別できなくなるわ、あの子は調子が悪くても我慢しちゃうから尚更危険だわ」
成程、悪い“虫”の中には文字通りバグも含まれているという訳か。
「だから、私がそのストッパーになれと」
「そう、私には藍のソフトとハード、どちらも必要なのよ」
「溺愛してますね」
「当然でしょう、あの子は式以前に私が手塩にかけて育てた子供同然の存在なのよ、可愛いったら可愛いったら」
完全に親馬鹿の思考に陥っている賢者 八雲紫に先程までの威圧感は全く漂っておらず、代わりに発生しているのはこちらがげっそりする程濃厚なピンク色の濃霧だった。
紫様はいつの間にPAD(パープル アンディティレーション ディスクの略称らしい 悪意を感じる) を取り出して藍様の観戦を始めてしまった。
「うん、橙の言う通りいつの間にか随分格好良くなったわね。今度スーツを着せてみましょう、森の人形師らへんが作ってくれるでしょうてか強引にでも作らせるわ」
「紫様?紫様?」
「ああもう、最初はだめだめな子だったのに今となってはもう、残念な藍も勿論可愛いけど、それにしてもいい子に育ったわよね、素質も勿論あるけど教育の賜物だわ…ん?どうしたの?」
もう駄目だ、この賢者は完全に自分の世界に入ってしまっている。
話題を引きずり戻さなければまともな解答は聞けないだろう、そう考えた私は多少強引にでも話を聞きに行く事にした。
「紫様、藍様って可愛いですよね」
「無論ね」
「いい子ですよね」
「判断力あるし、能力アベレージ高いし容量も膨大、おまけに学習能力優良ときたらもうチートクラスね」
「紫様、私にお願いするより藍様に直接注意した方が早くないですか?」
実際そう思う
藍様はどんなにブレーキが利かなくなった時でも最後の最後で理性と、冷静さが勝つ。
私は言えた立場にないけど、藍様は絶対に他に傾くことは無い事は自信を持って言えるのだ。
でもその根拠を言い出す事が出来ない、そうしたらもう一つの“命令”に違反することになるから。
でも、それでも信用できないなら。紫様が藍様に直接言えばその信用は確固たるものになるだろう。
しかし、紫様は暫く押し黙った後、ゆっくりと首を横に振った。
「……それは、できないわ」
「なぜです?なんで…」
「橙、藍の式には本来の式の役割から外れる様な物を織り込んであるの、何だかわかるかしら」
「……………分かりません」
「“生物としての成長性”よ、つまり藍は式神と言う役割を持っているのにもかかわらず“生物”としての精神的進化、成長を遂げる事が出来る様にしてあるの。その中には“思春期”は勿論“反抗期”も勿論組み込んであるわ、これがどういう事か分かるわよね?」
「今の藍様は、反抗期だと?」
「多分ね、だって私が近寄るたびに何だか辛そうな顔をするもの」
嫌そうな顔をする?まさかそれだけで紫様は判断するというのか。
紫様は勘違いしているんだ。
藍様が紫様を避けていると思い込んでいるんだ。
それに、なぜ藍様が避けるからって気を使う必要があるのだろうか、紫様は藍様の主ではないか。
紫様は自分の話の破綻に気が付いている。
しょうがないわね、そう言ってにこりと微笑んだ紫様の顔は、私にはなぜだか憔悴しきっている様に見えた。
「本当はね。怖いのよ、面と向かって命令して藍に嫌われる事が」
普段の飄々としたつかみどころのない紫様はどこに行ってしまったのか、先程までの楽しそうな笑みはどこに消えてしまったのか。今の紫様は何かに耐える様に歯を食いしばっている。
「ずっと藍と一緒に生きて来たわ、一人だった時を忘れられる程一緒だった。だから怖いのよ、藍に嫌われる事が。また一人になってしまう気がしてしまうから。式とはいえ、私はあの子に家族としても見ているのよ」
違う
紫様は勘違いをしている
でも、私にはそれを打開し正す程の、それ程の頭も無い、紫様の傍に居られる程強くも無い。
私が“八雲”でない事がこんなにもどかしかった事はなかった
私が頼んだ事は藍に秘密ね、そう言って隙間に飲み込まれつつ微笑む紫様は先程までの楽しそうだったり悲しげだったりしていた紫様とはまた違った表情で。
「じゃあ、藍も知らないパスを渡しておくから、よろしくね」
「…はい、分かりました」
それが私の混乱を誘う
誰も居なくなってしまった部屋で、私はこれからどうすればいいか困り果てていた。
妖怪の賢者と言われるものでも計算ミスを犯す時がある事を、私は知った。
僅かなミスも許されない思考に入り込んだのは一体何なのだろう。
育ててきたという庇護欲か
同じ八雲としての共有感か
孤独を嫌うあまりの恐怖か
それとも、情愛か
そのどれだとしても、紫様にとって藍様と言う存在が大事である事は悠に分かる程で
「困ったなぁ…」
私以外誰も居ない和室応接間に、苦々しい溜息が響いた。
■□■
がらがらと家の扉を開けても誰もいない事は分かりきっていた事なのに、どうしてこんなにも胸が空っぽな気持ちになるのだろう。
どさりと机の上に袋を置き、中身を直ちに選別してそれぞれの場所にしまっていく。
冬の昼は短い
夕に出かけたと思ったらもう夜だ
ものの数分の内にこれらの作業が終わらせられるようになったのは私が熟練しているからだろう、今では目を瞑っていても物の配置が分かるようになった我が家も、昔は異世界のようだった。
買い物は済ませた、掃除も終わらせた、橙に勉強も教えて、結界の見回りもミスなく行った。
「紫様、私は今日も頑張りました」
そうだ、私は今日も言われたことを忠実に、確実に、微塵の邪魔を許しはせず排除した。
私は紫様の言われたことを徹底的に実行して、家に帰って来た。
「ご飯も食べましたし歯も磨きました、お風呂にだってちゃんと入りましたよ」
ぎしぎしと僅かに鳴る廊下を踏みしめつつ、私はすっかり暗くなってしまった廊下を歩いてゆく。
灯りは点けない、この辺りに灯りを使っても無駄だし普段私はここに近寄ることが無い。
それに、灯りなんてつけてしまったら起こしてしまうだろうから。
「ゆかり様、らんが今日やる事はあと一つだけですよ」
やがて廊下の最奥に位置するその部屋が視界に泊まる。
薄暗い廊下の中に、その障子の白だけが薄ぼんやりと光って見えた。
「ゆかりさま?」
音も無く障子を開くとそこには紫様が居る。
否、居るという表現にはやや語弊があるかもしれない
紫様は、ただ目を瞑ったきり動かない。ただ穏やかに眠り続けている。
敢えて言うのであれば 在る、だろう。
紫様はただそこに在るのだ、今はまだ居ないだけで。
白磁の様な肌も
金糸で出来た湖も
なだらかな山脈や、緩やかな谷間を思わせる様なその輪郭も
今は、全てその存在価値を忘れてしまったかのように静かに佇んでいる
この私しかいない狭く薄暗い部屋の中でその価値はどれほどの物となるのだろうか
「う、ふ」
そうだ、この部屋には私しかいない
これを見る事が出来るのは後にも先にも私だけで、私しか居ない
ざまあ見ろよ、誰に言うでもなく嘲笑と哄笑と冷笑とが織り交ざって押し潰され、どす黒い何かに変わってしまった様な笑い声が込み上げてきた。
それを向ける相手は誰と言うでもなく、誰でも無いかもしれない。強いて言うなれば紫様を狙う奴にだろう、そんな不届き物は紫様の目に止まるまでも無く私が始末するが。
この紫様らしい物は私の物だ、昔も、今も、無論未来ですらも渡しはするものか。
たとえこれが紫様でないとしても
紫様の形だけが抜け殻の様に残ってしまっている物だとしても
私は その残滓を護り続ける。
「紫様、お体を洗いに来ましたよ」
ぼうっと蝋燭の灯を僅かばかりに点けると部屋が万遍なく淡い世界に照らされる。
昨日私が紫様に着せた衣服は、黒を基調として淡白な柳の柄をあしらった涼しげな浴衣だった、今は冬だが妖怪である私達にはそんな事は全く関係が無い、寧ろいつも厚手で覆っていたら紫様の体が圧迫されてしまうじゃないか。
脱がす前にまず布団を剥ぎ取り、万遍なく見回す。やはり紫様はどんな服でも似合う、その中で特に似合うのを探すのが一苦労だがその時間も楽しいものだ。
紫様から頂いた給金は大抵こういった事に当てている、大抵は自作だが中には私をも唸らせる職人技の賜物の様な物もあって、それを探し当てるのもまた面白い。
普段はそれとなく進めているが紫様は一向にこういった物を着用してくださらない、「似合わないわよ、恥ずかしいし」とか言っているが似合わない訳は無いだろう。
数十年は続くこの趣味のおかげで結界術を駆使して作り上げた隠し部屋がもう一杯になってしまいそうだ、そろそろ拡張か新しい部屋を作る必要があるだろう。
いそいそと浴衣を脱がし始める、運動がてらひっくり返したり担ぎ上げたりそのまま走り回ったりしなくてはいけないのが辛い所だ。
無論着替えるから下着も変えねばならない、ちゃんと新品を持ってきた。
桶に入れた水で濡らしたタオルで少しの拭き残しも無く、かつ紫様の肌に傷がつかない様拭いてゆく、まるで絹の様な肌触りに触っている私の指先が時々ぴくぴくと痙攣する。
今日の召し物はあの太陽の畑に住んでいるモンペ妖怪の衣装にアレンジを加え、かつフリルを多めにしたものだ、色合いは淡色の暖色系に統一、スカートは薄く縦のストライプを入れてある。
「紫様、似合ってますよ…うふふ、素敵です、可愛いですよゆかり様」
やはり紫様には何でも似合う、身内目かもしれないがそれがどうした、今の紫様を見る事が出来るのは私きりだと言うのになにを躊躇するというのか。
「紫様」
返事をしても、返って来る声は無いと分かっているのに。
「ゆかり様」
呼んだら返って来るのであれば、幾千回でも呼び続けるのに。
「ゆかり さまぁ」
意味の無い呼びかけをしたところで、それはただの振動に過ぎないのに。
着せ替えの為に紫様の背中に回していた腕がみしみしと悲鳴をあげた
ぎりゅぎりゅと嫌な音をあげながら体のあちこちがまるで痛みの為に悲鳴をあげている様だ。
洗ったばかりの紫様の体から発される匂いが鼻孔を擽る、念の為に部屋には香を炊いているがそれだけではないだろう。
妖しい香りがする
獣を惑わす女の匂いがする
艶やかで、甘くて、さもすれば食らいついてしまいそうな魅力的な香りだ
「ん、はぁ、ゆかりさまぁ」
理性を保つ為に、歯を立てないように紫様の首筋に食らいついた
毎日の様に咥えこまれている其処は今やすっかり痛々しい青痣ができてしまっている、そろそろ永遠亭の薬を使って消さなければならないだろう。
だが、もし消さなければどうなるのだろうか
そのまま気が付かずに日々を送るのだろうか、もしくは犯人は分かっているが獣程度にしてやられたことを言いだせずに何も言えなくなってしまうのだろうか。考えると歓喜で背筋がぞくぞくする
それとも気が付いてしまうだろうか。気が付いたらどうなるのだろうか、私は殺されてしまうだろうか。主人を辱めた不忠者として首を掻き切られるのだろうか、それともへし折られてしまうのだろうか。
構わない、紫様に殺されるのならばなんだっていい、強いて言うのであれば心の臓を握りつぶして、ぐちゃぐちゃにして食らって貰えればいい。私が紫様の力となって息続けるのだ、これほどの幸福は無い。
しかし、そうもいかないだろう
紫様はいつもの通りに冷たい顔をして私を軽蔑し、どこか遠い所に追放するのに違いない。
そうなれば私は容易に発狂してしまうのだろう。
私は何もしない。私は紫様には何もしていない、そう装って生きている。
気が付けば紫様を締め上げる様に抱いている腕は赤く染まっていた、力を込めすぎて皮膚からはうっすらと血が滲んでいる。
このまま紫様の背骨を手折ってしまえば、紫様が動けなくなれば、紫様は私の元から逃げられないかもしれない、私の元に居続けてくれるかもしれない。
馬鹿げた話だ、そんな事をしても何の利益も生み出さない。私はただ紫様の従僕であればいい。
そろそろ 限界かもしれない
去年の秋の日に紫様が式を書き換えるよう提案した、なんでも私の式の劣化が通年よりも早い様で、耐久性の高い式のプログラムを作り上げたそうだ。
きっと、それでは効果が無い事が分かっている
すぐにまた式が焼き切れてしまうだろう、そうすればきっと紫様は不振がるに違いない、色々聞かれるに違いない。
紫様は動かない
いくら求めても、答えてくれない
求めれば求める程に腕から零れ落ちて行き
後には僅かな虚しさが残るのみ
「ゆかりさまぁ…さみしいよぉ」
寂しい
寒い
ゆかり様ここには藍の好きな人がいません
らんが欲しいものがありません
ゆかりさまが居ないのなら、私も空っぽになってしまうのです
「さみしい、さみしいです…」
早く春になってください
私の心が擦り切れてしまう前に
早く、速く
この部屋には誰も居ないから、とても寒いのです
だから
■□■
「橙、頼みがある。いや、これは命令だ」
藍様にそう呼び出されたのは、私が紫様に呼ばれる3年前の話だった。
当時の私にとって主人である藍様は畏怖と恐怖の対象でしかなかった、そんな妖怪に呼び出されたら冷や汗たぷたぷ程度の物ではないだろう、がくがくしながら藍様が待っている部屋へと行った事を覚えている。
結果として何も注意なんて言われなかったけれども、私はその日一つの命令を受けた。
「橙、正直に話して欲しい。冬の最後の方の私を見た事があるか?」
「ええ、まぁ」
「どうだった、話してくれ」
「……正直に、話しても良いんですか?」
「構わない、寧ろ変に湾曲をさせないでほしい」
「正直に言うと、引くほど変です。見たら泣きたくなります」
「成程」
その時の藍様の顔があんまりにも真面目だったから、私は何事だろうと今更ながらに考え始めた。
なんだろう、藍様はただ私に自分の素行について調べるつもりで尋ねて来たのだろうか。
いや、違うに違いない。藍様はそんな理由の無い行動に“命令”なんて大仰な言葉は使わない、きっとなにか別の要件があるのだろう。そう判断した私は緊張を緩めずにその続きを聞く事にする。
「橙、命令だ」
「はい」
「私の異常を紫様に報告するな、以上」
「はい?」
その命令は、つい私が質問口調になってしまう程突飛な物だった。
慌てて非礼を謝ると藍様は許してくれたし、それだけではもやもやするだろうとも言ってくれた。
流石にその命令の理由は私には分からなかった、報告しろならば喜んでするだろう。しかし異常を報告するなとは一体どう言った事なのだろうか。
私が待機の姿勢を崩さないでいると藍様は重い口を開くように少しずつ話し始める。
「橙、紫様は賢く、強い」
「はい」
「きっと私の異常の原因と対処法を織り込んだ式をすぐさま作り上げ、叩き込む事が出来るだろう、私はそれをして欲しくないのだ」
「と、言うと」
「橙、紫様は強いと同時に厳しいお方だ。私の事を常に厳しい目で見ているのはお前も知っているだろう」
確かに、紫様は厳しい。よく藍様の仕事の不備を叱っている紫様を見ている。
理由は分からないけどなんだか怖い人、私がその時紫様に抱いていた感情はそんなものだった。
「きっと、この不備の理由は私の物だ。私はこの程度の異常を自分で治せるほどに強くならねばならないのだ。故に紫様を頼る訳にはいかない、この異常は私一人で処理する」
「分かりました。しかし、一つ質問をしてもよろしいですか?」
「む、なんだ」
「紫様は強いです、藍様も十分お強いと思います、ですがなぜまだ強くなろうとするのでしょう?別に藍様一人で抱え込むつもりは無いのではないでしょうか」
一瞬の沈黙の後、「それでは、駄目なのだ」と回答が帰って来る。
私はそれでさっぱり分からなくなってしまった、なぜ紫様を頼らないのか、もしその異常が危険な物であれば寧ろ 紫様を頼らなければいけないのではないだろうか、もしかして藍様は紫様を信用していないのか?
様々な思考が入り乱れ、危うく式が暴走しかけた私を藍様が救い上げる。
「橙、私はどうしても強くならなければならないのだ。紫様と並べる程に、紫様を追い越せる程に」
「藍様は紫様の敵になる気なのですか?」
「馬鹿者、だれが紫様の敵になる為に強くなると言ったか」
そこで藍様は一旦言葉を切り、疲れ切ったかのように笑った。
「橙、私は紫様が居なくとも自分で何でも解決できるようになりたいんだ」
その時の藍様の顔は、今になっても忘れる事が出来ない。
自分が何をしたいのか分からない様な、ぐちゃぐちゃな笑みだった。
「そうすれば、きっと紫様は私の事を認めてくれるに違いない。それだけが私の望みなんだ」
そう、ですか
私は、もうそれ以上言う事が無くなってしまった。
■□■
仕方が無い事なんだろうと思っている。
それが、数年間こんなことを続けている中で変わらず考えている事だったりする。
どうあっても藍様は自身の異常を直す事が出来ないだろう、その気になればものの数刻で治せるのだろうその異常は、今も藍様を苛み続けている。
紫様も辿り着くことは無いだろうと思っている。紫様は藍様をきちんと見ていない、見ていたならばすぐに気が付いてしまうだろうから。
双方が双方とも勘違いをしているし、それに気が付こうともしていない、本当にそっくりだ。
困ってしまったのは私の方だ、主人の命令には従わないといけないし、その主人から言う事を聞くように言われている主人からは全くもって矛盾した命令を受けている。その上双方に秘密にしろと言われているから泥沼だ。
正直言って、見ていると辛い
きっと私が知っている事を話してしまえば事は残らず解決するだろう、だけど私はこの中で何よりも何もかもに縛られているから動けない。
溜息をつきたくなるような迷宮の中で、私は今日も一日で起こった事を手元の用紙に書き入れる、正直言ってこんな物はあっても無くても良い。
さて、いつになったら変化が訪れるのだろうか。明日か、来年か、数年後か、それともいつになっても追いかけ続けているのだろうか。
分からない、全く分からない
終わりの無い事を考えるのは辛い、考える事が無駄だと分かってしまうから。
だから、今日も私は何も考えず記録し続ける、明日も明後日もその先も
この家が、長く冷たい冬から目覚めるその日まで
×月×日
今日も藍様はいつも通りです
.
この終わり方はありですけど、ぜひともハッピーエンドにしたいですね。
だからはやくみんな幸せになる続きを!
ギャグとシリアスのバランスが良かったです。
だが作者のコメントに全て持ってかれたwwwwwww
もしも橙が紫に正直に報告したとき、紫はどう対処するのだろう...
発狂してもおかしくなさそうだw
さとり南無。
負かす → 任す
私様 → 私用
こんなにももどかしかった事はなった → なかった
ああこの八雲家橙がダメなというかアレな人役なんだなと思いきや全員アレな人だったという
珍しい橙の固めな口調と内容の乖離が完全にツボりました。そして後書きに大体同意
素晴らしい…が、続きはまだかね?
あまり待たされては我慢が出来なくなってしまうよ
ハッピーエンド、バッドエンド
どちらも棄てがたいね
そりゃさとり様も卒倒しますわな
ハッ、まさか、緑色のジェラシーも伏線だった・・・
読者に結論(オチじゃなくて)を出してない感じで投げっぱなしな気もしますがよく書けてます
インフルエンザの身に響いた…
ハッピーエンドになって欲しいものですね