Coolier - 新生・東方創想話

月夜にて、或る従者と主の会話

2014/09/12 00:43:00
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 ねえ咲夜、貴方は月について何か思うことはあるかしら?

 ……ふふ、貴方ならそう答えると思ってたわ。確かに私は月を美しいと思う。貴方がそれに共感してくれることは、素直に嬉しく思うわ。でも、私はね、咲夜。お前がどう思っているのかを聞きたいんだ。
 私はね、咲夜、時々思うんだよ。あの日、あの時にお前を私の僕にしていなかったらって。意味のない仮定だと笑うか?でもね、あの日確かに、私は2つの運命を見たんだ。そして、自分んがより幸せになることができる運命を選び取った。今となってはどちらが自然な運命だったのかは分からないが、捻じ曲げたと言ってもいい。私は自分に都合がよくなるように、お前の人生を弄んだんだ。そして、私はこの眼で見たとおり、お前を従者にして、幸せな運命に辿り着けたと思っている。
 でも、それはお前を踏み台にして、食い物にして得た幸せだ。お前は私に出会わなければ、もっと幸せな人生を送れていたかもしれない。多少特異な能力を持ってはいても、普通の少女として、普通の人生を送って、普通に死ねていたかもしれない。それでもお前は、私のことを主と仰ぎ、慕い、付き従ってくれる。
 そんな忠実なお前だからこそ、本当の気持ちを知りたいんだ。お前は月(ワタシ)のことをどう思っているんだ?

 ……そう、変なことを聞いてしまったわね、ごめんなさい。どうやら私は、この空に浮かぶ紅い月にあてられてしまっていたみたいね。

 ええ、ありがとう、頂くわ。……これからもずっと私の傍にいなさい、瀟洒で完璧な、私の愛しい従者。
友人とお題を交換し合って書きました。
貰ったお題は「月夜」。600字程度で纏めようとしたら、少しかけ足気味になってしまったかもしれません。
羽田行
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コメント



0.380簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
完結なのに綺麗にまとまっていて素晴らしい。
5.90奇声を発する程度の能力削除
良いね、素晴らしかったです