(前回のあらすじ)
うどんげ「懲りずに本を強奪しようとした魔理沙でしたが」
てゐ「でしたが~」
うどんげ「喘息魔法使いの陰謀によって」
てゐ「よって~」
うどんげ「夢見る魔法の実験台にされてしまいました」
てゐ「しまいました~♪」
うどんげ「さあ魔理沙は、生きてこの修羅場を」
てゐ「しゅらばを~」
永琳「うどんげ~、てゐ~、ご飯よ~」
うどんげ「師匠、もうすこしですから」
永琳「今日はにんじんカレーよ~」
うどんげ&てゐ「いまいきまーす!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「で、私はいまから、夢を見るんだよな」
「そうよ?先ほど言った通り」
「だったら、なにも手を縛ったり足を抑えたりする必要はないんじゃないか?」
「だめよ。また逃げ出さないとも限らないもの」
魔法の儀式しだいでは魔砲ぶっぱなして逃げようと思ってたんだが、どうやらその
望みは費えたらしい。ああ、こんなことなら遺書を書いておくんだったぜ。私が死んだら
魅魔さまは悲しんでくれるかな・・・嗚呼
「さて、これで準備は完了。パチュリー様、準備は整いましたよ」
「こちらも万端です・・・あっと、私はこれで失礼します。
お嬢様をお起こしする時間ですので」
「うん、ありがとう咲夜」
手は見事にベッドに縛り付けられちまった。足にはパチェの司書兼秘書が乗ってる。
非力な私にはこいつを払いのける事もできない。ん?私は非力で、か弱いんだぜ?
「さて、それじゃ始めるわよ。ワム・タロド・シム・トペロッド・マム…」
「ちょっとまて!そういえば私、夢の内容とやらを書いてないぞ!」
「リヌ・サラキヌ・ハクパラクック・ラロクロ…」
「ご安心を、魔理沙さん。それはパチュリー様がご用意なさってます」
「そうか、それは一安心…って、一体何を書いたんだ!むらさきもやし!」
「ブレ・ラタラマソンド・ブラハック・スヌ・イラカ…」
「ご安心を。こちらの『ハーレクイン・ロマンス』とやらの主役の名前を
パチュリー様と、魔理沙さんに差し替えただけだそうですから。夢が
破綻する心配はございませんし、また悪夢を見ることも、ございません」
「そうか、それは…って、なんで私とパチュリーがロマンスを繰り広げなきゃ
ならないんだ!おい!放せ!聞いてるのか、病弱喘息万年引きこもりむらさきもやし!」
「ゲム・ユクトロット・マリサノゴキブリ・クル・クル・パァ…」
「パチュリー様いわく、それが魔理沙さんにとってもっとも幸せな夢なのだそうです」
こりゃなにをいっても無駄だぜ。パチェの野郎は普段落ち着いてる分、暴走しだすと
止まらないからな。しかし、まあゆめを見るだけだ、ゆめを見るだけ。べつにゆめが
現実になるわけじゃ…なるわけじゃ…む?
「おい、まさかこの魔法、現実に影響があったり、はしないよな」
「レヒ・スクルドモンド・ハラカラ・イヌ・ヤヌ・ゲマクック…」
「現実ですか?そうですね、多少以前より本が片付いてた気もしますが…
まあ気のせいですよ」
気のせいなんかじゃない気のせいなんかじゃない。私だって一端の魔法使いだ。
夢の魔法については調べてみたことくらいはある。というか目下絶賛研究中だ。
私が調べた文献によれば(といってもここで読んだんだが)夢の魔法というのは
被施術者の意識の中に世界の構成粒子を微量ずつ混入させる魔法だ。そして夢が覚めると
粒子は元に戻る。つまりすこしだけ、夢に影響されてしまう。そりゃパチェは嫌いじゃないが、
だからといって女とラブロマンス…いや、私にそんな趣味はない、ないはずだ、ぜ。
「パチェ!覚えてろ!夢から覚めたらっ、目の前でマスタースパークぶっ放してやるからな!」
「ヤイバラ・ウム・アンマリ・ウルサイト・マホウヲ・サイレントセレナニカエルワヨ・クム…」
「ってそもそも詠唱中に雑談かましていいのか?」
「タラヤラ・ゲロイ・スコシ・クライハ・モンダイナイ・イロット・ケル・スル…」
「ますます持って不安だぜ…お?」
足音がした。それも元気な。まわりの迷惑なんぞこれっぽっちも考えない、子供の足音。
「魔理沙~!遊ぼ!遊ぼ!」
遊ばなくてすむ…のは不幸中の幸い…なのか?ひょっとすると、フランと遊んでやったほうが
ましかもしれない。
「あ!フランドール様、いま魔理沙さんは少々お忙しいので少々お待ちいただけませんか」
この子悪魔、フランを説得しようとするとは、以外に大物やも。
「駄目!魔理沙は私と遊ぶために来てるの!ね!そうでしょ!魔理沙!」
「ああ…フラン。私もお前と遊びたいぜ…遊びたい、遊びたいのはやまやまなんだが、
あいにくとそこのわるいわる~い魔女につかまっちまったんだ。なんとかしてくれないか?」
「ユムユム・ガリツッチ・ケリ・コイ・スル…」
と、フランのやつ、パチェをじっ とみつめだした。ずっと小悪魔に乗っかられてる足が、
右だけしびれてきた。
「パチェ、魔理沙をはなして」
「フランドール様、これからご本をお読みになりませんか?今日は新しい絵本が入っ」
「嫌」
「アラヒリ・ケム・アトスコシ・ジカンヲ・カセイデ・ヨイヨイ・エラサッサ・スル・スル…」
「ではお人形さんごっこはいかがでしょうか。アリスさんにいただいたこの」
「嫌」
「それではわたくしと弾幕ごっこはいかがでしょ」
「嫌!嫌嫌嫌!私は魔理沙と遊ぶの!あんたなんか、よわっちくて、全然だめよ!」
「トイ・トイ・ケト・ケト…夢よ」
ずしーん!
フランが一発、拳で壁を思いっきり叩いた。とんでもない音がした。それでも壁が壊れないのは
咲夜かレミリアがなにか細工をしているからだろう。しかしこの館はすべてがフラン用に
なってるんだ…な、…ああ…意識が遠のいてきたぜ…魔法が、効き始めてるんだな…なかなかいい気持ちだぜ…
これなら、私も、眠れない夜のために、使えるようになっても、いい、か、
パサ
パサ…?
「あ!パチュリー様!ストッp」
「遥かに変われ!ドリームジャック!」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
詠唱が終わると、パチュリーの眼前の魔法陣から無数の淡く輝く星と月があらわれて、魔理沙の顔に吸い込まれていった。
「よし、これで呪法は終了っと…どうしたの?リトル」
リトルと呼ばれた子悪魔は、魔法陣の中心に落ちた、一冊の本を、震えた指でさす。顔は、口開きっぱなしで、
目もまん丸に開いている。
「ど、どうしたのよ一体…え゛」
むらさきもやしも目を丸くして、目の前を指差す。目線の先には魔法陣、自ら徹夜して改作したハーレクインロマンス、
そしてその上に載る一冊の、色使い鮮やかな、本。
「二人ともどうしたの?急に黙っちゃって。この本?この本がどうかしたの?」
とフランは手にとって題名を、読み上げてみる。
「えーと、なんとか、かんとか、すぴりっつ?」
今、東方最大の戦いが始まる。
うどんげ「懲りずに本を強奪しようとした魔理沙でしたが」
てゐ「でしたが~」
うどんげ「喘息魔法使いの陰謀によって」
てゐ「よって~」
うどんげ「夢見る魔法の実験台にされてしまいました」
てゐ「しまいました~♪」
うどんげ「さあ魔理沙は、生きてこの修羅場を」
てゐ「しゅらばを~」
永琳「うどんげ~、てゐ~、ご飯よ~」
うどんげ「師匠、もうすこしですから」
永琳「今日はにんじんカレーよ~」
うどんげ&てゐ「いまいきまーす!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「で、私はいまから、夢を見るんだよな」
「そうよ?先ほど言った通り」
「だったら、なにも手を縛ったり足を抑えたりする必要はないんじゃないか?」
「だめよ。また逃げ出さないとも限らないもの」
魔法の儀式しだいでは魔砲ぶっぱなして逃げようと思ってたんだが、どうやらその
望みは費えたらしい。ああ、こんなことなら遺書を書いておくんだったぜ。私が死んだら
魅魔さまは悲しんでくれるかな・・・嗚呼
「さて、これで準備は完了。パチュリー様、準備は整いましたよ」
「こちらも万端です・・・あっと、私はこれで失礼します。
お嬢様をお起こしする時間ですので」
「うん、ありがとう咲夜」
手は見事にベッドに縛り付けられちまった。足にはパチェの司書兼秘書が乗ってる。
非力な私にはこいつを払いのける事もできない。ん?私は非力で、か弱いんだぜ?
「さて、それじゃ始めるわよ。ワム・タロド・シム・トペロッド・マム…」
「ちょっとまて!そういえば私、夢の内容とやらを書いてないぞ!」
「リヌ・サラキヌ・ハクパラクック・ラロクロ…」
「ご安心を、魔理沙さん。それはパチュリー様がご用意なさってます」
「そうか、それは一安心…って、一体何を書いたんだ!むらさきもやし!」
「ブレ・ラタラマソンド・ブラハック・スヌ・イラカ…」
「ご安心を。こちらの『ハーレクイン・ロマンス』とやらの主役の名前を
パチュリー様と、魔理沙さんに差し替えただけだそうですから。夢が
破綻する心配はございませんし、また悪夢を見ることも、ございません」
「そうか、それは…って、なんで私とパチュリーがロマンスを繰り広げなきゃ
ならないんだ!おい!放せ!聞いてるのか、病弱喘息万年引きこもりむらさきもやし!」
「ゲム・ユクトロット・マリサノゴキブリ・クル・クル・パァ…」
「パチュリー様いわく、それが魔理沙さんにとってもっとも幸せな夢なのだそうです」
こりゃなにをいっても無駄だぜ。パチェの野郎は普段落ち着いてる分、暴走しだすと
止まらないからな。しかし、まあゆめを見るだけだ、ゆめを見るだけ。べつにゆめが
現実になるわけじゃ…なるわけじゃ…む?
「おい、まさかこの魔法、現実に影響があったり、はしないよな」
「レヒ・スクルドモンド・ハラカラ・イヌ・ヤヌ・ゲマクック…」
「現実ですか?そうですね、多少以前より本が片付いてた気もしますが…
まあ気のせいですよ」
気のせいなんかじゃない気のせいなんかじゃない。私だって一端の魔法使いだ。
夢の魔法については調べてみたことくらいはある。というか目下絶賛研究中だ。
私が調べた文献によれば(といってもここで読んだんだが)夢の魔法というのは
被施術者の意識の中に世界の構成粒子を微量ずつ混入させる魔法だ。そして夢が覚めると
粒子は元に戻る。つまりすこしだけ、夢に影響されてしまう。そりゃパチェは嫌いじゃないが、
だからといって女とラブロマンス…いや、私にそんな趣味はない、ないはずだ、ぜ。
「パチェ!覚えてろ!夢から覚めたらっ、目の前でマスタースパークぶっ放してやるからな!」
「ヤイバラ・ウム・アンマリ・ウルサイト・マホウヲ・サイレントセレナニカエルワヨ・クム…」
「ってそもそも詠唱中に雑談かましていいのか?」
「タラヤラ・ゲロイ・スコシ・クライハ・モンダイナイ・イロット・ケル・スル…」
「ますます持って不安だぜ…お?」
足音がした。それも元気な。まわりの迷惑なんぞこれっぽっちも考えない、子供の足音。
「魔理沙~!遊ぼ!遊ぼ!」
遊ばなくてすむ…のは不幸中の幸い…なのか?ひょっとすると、フランと遊んでやったほうが
ましかもしれない。
「あ!フランドール様、いま魔理沙さんは少々お忙しいので少々お待ちいただけませんか」
この子悪魔、フランを説得しようとするとは、以外に大物やも。
「駄目!魔理沙は私と遊ぶために来てるの!ね!そうでしょ!魔理沙!」
「ああ…フラン。私もお前と遊びたいぜ…遊びたい、遊びたいのはやまやまなんだが、
あいにくとそこのわるいわる~い魔女につかまっちまったんだ。なんとかしてくれないか?」
「ユムユム・ガリツッチ・ケリ・コイ・スル…」
と、フランのやつ、パチェをじっ とみつめだした。ずっと小悪魔に乗っかられてる足が、
右だけしびれてきた。
「パチェ、魔理沙をはなして」
「フランドール様、これからご本をお読みになりませんか?今日は新しい絵本が入っ」
「嫌」
「アラヒリ・ケム・アトスコシ・ジカンヲ・カセイデ・ヨイヨイ・エラサッサ・スル・スル…」
「ではお人形さんごっこはいかがでしょうか。アリスさんにいただいたこの」
「嫌」
「それではわたくしと弾幕ごっこはいかがでしょ」
「嫌!嫌嫌嫌!私は魔理沙と遊ぶの!あんたなんか、よわっちくて、全然だめよ!」
「トイ・トイ・ケト・ケト…夢よ」
ずしーん!
フランが一発、拳で壁を思いっきり叩いた。とんでもない音がした。それでも壁が壊れないのは
咲夜かレミリアがなにか細工をしているからだろう。しかしこの館はすべてがフラン用に
なってるんだ…な、…ああ…意識が遠のいてきたぜ…魔法が、効き始めてるんだな…なかなかいい気持ちだぜ…
これなら、私も、眠れない夜のために、使えるようになっても、いい、か、
パサ
パサ…?
「あ!パチュリー様!ストッp」
「遥かに変われ!ドリームジャック!」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
詠唱が終わると、パチュリーの眼前の魔法陣から無数の淡く輝く星と月があらわれて、魔理沙の顔に吸い込まれていった。
「よし、これで呪法は終了っと…どうしたの?リトル」
リトルと呼ばれた子悪魔は、魔法陣の中心に落ちた、一冊の本を、震えた指でさす。顔は、口開きっぱなしで、
目もまん丸に開いている。
「ど、どうしたのよ一体…え゛」
むらさきもやしも目を丸くして、目の前を指差す。目線の先には魔法陣、自ら徹夜して改作したハーレクインロマンス、
そしてその上に載る一冊の、色使い鮮やかな、本。
「二人ともどうしたの?急に黙っちゃって。この本?この本がどうかしたの?」
とフランは手にとって題名を、読み上げてみる。
「えーと、なんとか、かんとか、すぴりっつ?」
今、東方最大の戦いが始まる。