Coolier - 新生・東方創想話

第十回博麗大法螺合戦

2007/03/31 20:28:01
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春です。
幻想郷にも、ついに春の陽気が訪れました。
ふくよかな冬は過ぎ、陽気な春がやってまいりました。

春に入って…間もないでしょうか。
ええ、間もないですね。
そんな間もない幻想郷。
そしてこの場所は―――博麗神社。
幻想郷の結界そのものであり、外界と幻想郷をつなぐ唯一の空間。

私の目の前には。
具体的にいうと、ちょっと私の目の前で、私の両側でお互い向き合って。
巫女と、魔法使いが正座をしています。
年がら年中炬燵が出ているはずのこの社の茶の間のはずですが、
しかし今日はそういった物が出ておらず、この二人を邪魔する障害物は一切ありません。

しかしこの二人、いつものような呑気な雰囲気ではありません。
いつもであれば互いに縁側に座り、『緑茶ドゾー』『頂くぜ』な会話が繰り広げられるはずです。
つまりこの二人かなり仲がよい。
普段からこうやってお茶を飲んだりしている辺り仲がよい。
お互いに死ぬ気で弾幕ごっこをできる辺り仲がよい。
一緒にお風呂に入っているという報告もありますが、それはさておき仲がよい。
なんかお肌すべすべだって言ってましたよ、ブン屋さん曰く。

しかししかし、仲がよいはずのこの二人。
今のこの状況は、とても仲良く談笑という雰囲気ではありません。
いやむしろこの雰囲気、非常に静寂かつ緊張。
風に音が付くほどに、静寂。
生命の息吹が聞こえないほど、緊張。
余りにもこの二人に似つかわしくない空気がこの神社に広がっています。

何故か?
そう。
それは、今日と言う日のせい。

さぁ、社の茶の間で、ある物体に目を向けましょう。
この緊張張り巡らされたこの茶の間にある、重要な物体に。
桐ダンスの隣、掛け軸の近く。
寝室の障子の傍で、起きてから簡単に目に付きやすい。
そこには紙束が壁に貼り付けられている。
そこに書いてある文字は…『四月一日』



理知的な貴方がたは、もうお気づきでしょう?
そう、素晴らしいまでに想像通り。
純粋に言ってしまえば、『四月の⑨』





イエス。
四月一日は『嘘つきの日』

即ち、エイプリルフールと申します。







第十回博麗大法螺合戦







私の名は、稗田阿求。
現在博麗神社にその身をおいております。

いえいえ、身を置いているといっても別にここに暮らしているとか
博麗の巫女と私が夫婦であるというわけでもありません。
そこ、需要少ないとか言わない。
ていうかなんですか需要って。

ああはいはい、私がここにいる説明が必要ですね。
基本的に私、神社と全く関係ない生き方してますからね。
何故ここにいるのか疑問に思っている方もいるでしょう。
はいそこで大きく首を縦に振った人。
そう簡単に人の言った事を受け入れるものじゃありませんよ。
人に対する礼儀がなってませんね。

え?
年下にそんな礼儀はいらない?
あっはは、全くですね。
いや素晴らしい。

あなたの家に腐ったイカを送りましたよ。

ま、それはさておき。
今私は神社の社の中の茶の間にいます。
座布団の上でしっかりと正座をし、落ち着いた雰囲気を全身からかもし出しています。
…今の状況を説明いたしましょう。
私の目の前では、巫女と魔法使いが向き合っています。
ええ、皆さんもご存知の通りかと思われます。

かたや、現代十三代博麗の巫女こと、『永遠の巫女』博麗霊夢。
秋から冬、そして春にかけてずっとその腋を世間の荒波にさらけ出し続けた美少女巫女。
サラシ一枚、人生ドロワーズ。
どれほどまでにその無重力にて空を支配しようとぱんつは見せず。
多くの人間の里の男性諸君が涙を流しました。
でも人生の価値ってそんなんじゃないだろあんたら。いやそれが嬉しいのは聞きましたが。

そして、普通にして普通にあらず、『魔砲使い』霧雨魔理沙。
『紅魔図書館もってかないで事変』の実行犯にして、世間の役に立たない方向で美少女魔法使い。
三角帽子にエプロンドレス。
仕上げは航空兵器『タケボーキFinal-Edition』
どこからどう見ても空飛ぶ姿は魔女そのもの。
さぁ叫べ!『借りるだけだぜ、私が死ぬまで』

ううむ、美少女二人を前にするとこの頭脳明晰も興奮が止まりません。
このまま全員でお泊り会と行きたいところですが、残念な事にそんな状況ではありません。

さて、この二人が何故向き合っているか―――。
おっと、そんな事を話している間に始まってしまいそうです。
では―――先手、霧雨魔理沙!

「なぁ、知ってるか霊夢」
「…何かしら?」

霧雨魔理沙、ぎこちない笑顔です。
対する霊夢も、どうにか対応して笑顔でいようとはしていますが
しかしそこにはやはり何か動揺が見え隠れしております!



「レミリアって…実は外見年齢と実年齢が一緒なんだぜ」



き、
き、
来ましたぁーーーーーーーーっ!!!
まずは霧雨魔理沙、次のコンボに繋げる為の左フックの如く!
実にわかりやすい方向から攻めてきましたぁぁぁぁーーーっ!!

対する博麗霊夢は…おっと!
緊張の糸がまるで解けてしまったかのように普段どおりの笑顔に戻ります!
若干勝ち誇ったようにも見えるその笑みは、一体何を意味するのでしょう!

では博麗霊夢…どうぞっ!





「馬鹿ねぇ魔理沙…あいつはフランより年上なんだから500歳はいってるわよ」





神社に、僅かな緊張。
静寂が辺りを包み込みます。
そして博麗霊夢の返答後、私は僅かに間をおいて―――言います。





…博麗霊夢、正解ですっ!





「ま、この程度じゃあねぇ」

勝ち誇りもせず、さも当然のような笑みを浮かべる博麗霊夢。
しかし霧雨魔理沙も「この問題は正解して当然」といった強気の笑みを浮かべます。
やはり彼女にとってはこの一撃はジャブ…ってはい?

マジ意味わかんない?
あーごめん説明しないとですね。

毎年四月一日。
エイプリルフールと呼ばれるこの日は、俗に言う「嘘を吐いても良い日」となっております。
まぁ嘘を吐いても良いからといって洒落にならないのは勘弁な!

そしてその日。
博麗神社にて二人の少女が戦いを行います。
嘘を嘘と見抜き、真実を真実と見抜く戦い。
そう、その名を。



博麗大法螺合戦と、誰かが名づけました。



~ここからルール説明~

けーねさん「さぁ、きょうは「はくれいおおぼらがっせん」のるーるをせつめいするぞ」
あっきゅん「わぁたのしみ!けーねさん、どうやるのー?」
けーねさん「まずはせんこうとこうこうをきめるんだ。じゃんけんでもなんでもいい」
あっきゅん「じんせいげーむでもいいんですかー?」
けーねさん「もちろんだ。でもそっちがめいんにならないようにな」
あっきゅん「あ、こどもがさんにんめだー」
けーねさん「そうか、よかったな。でもいいかげんせんこうとこうこうをきめようなもうさんじかんだ」

けーねさん「じゃあせんこうとこうこうをきめたら、せんこうがまずうそをかんがえるんだ」
あっきゅん「どんなうそでもいいんですかー?」
けーねさん「うむ、だがひとのいのちにかかわったりするたいへんなうそはだめだぞ」
あっきゅん「おまえんちかじだぜ」
けーねさん「それはだめだな」
あっきゅん「でももこうさんがけーねさんのいえをもやしてました」
けーねさん「あのばかずつきかましたる」

けーねさん「うそをついたら、あいてはそのうそがほんとうかどうかみぬくんだ」
あっきゅん「それがほんとうだったらどうするんですか?」
けーねさん「まずうそかほんとうかこたえるかだな。とにかくほんとうにたいしてうそといったり、そのぎゃくだったらこたえたほうのまけがけっていだ」
あっきゅん「あたってたらどうするんですか?」
けーねさん「つぎはこうこうがうそをかんがえるんだ。ほんとうでもいいけれどな」
あっきゅん「しんぱんはひつようなんですか?」
けーねさん「もちろんだ。あいてのこたえがうそかどうかをはんだんするのがしんぱんだ」
あっきゅん「わーせきにんじゅーだいー」
けーねさん「これでるーるせつめいはおわりだ。みんなたのしいおおぼららいふを」
あっきゅん「しんぱんはうそついていいんですかー?」
けーねさん「おまえもうしんぱんやるな」

~ここまでルール説明



※いまいち理解できてない方の為に箇条書きでルール説明
 ・先攻後攻をまず決める
 ・先攻が最初。嘘か本当かを言う
 ・後攻はそれが嘘かどうかを見抜く
 ・当たった→後攻の手番
 ・外れた→ゲーム終了
 ・正否の判定は審判が行う
 ・プレイヤーはあくまでその嘘の正否を当てれば良いだけであって、事実を出す必要は無い。
 ・これを本人たちが飽きるまで繰り返す
 ・博麗神社ルールでは、両者三回行う。また、挑戦者は必ず先攻とする(つまり現王者は必ず後攻)
 ・(続き)なお、三回の間に決着がつかなかった場合は引き分けとする。
 ・(続き)敗者には屈辱的な罰ゲームを執り行う。



~ここから再び本編

さて、ルールの説明も終わりました。
上のがほんとにルールなんですね。

あっきゅん、ウソつかない。

つまり私は今回の審判を勤めさせていただきます。
理由はなんか、知識たくさんあるからとか。
ちょっと嬉しかった。

次は―――後攻、博麗霊夢。
先ほどと同じように、気楽且つ少々強気な笑みを浮かべております。
おっと…口を開きます。
さぁ、一体どんな言葉が飛び出してくるのか!

「ねぇ魔理沙…知ってる?」
「…なんだ?」



「霖之介さんのお店にあるストーブの燃料…原子力って言うんだって」



な、
な、
なんとぉーーーーーーーっ!!!
博麗霊夢、これまた凄まじい方向から矛先を向けてきました!
香霖堂のストーブ!冬には欠かせない一品!
外界から来たせいで、量産されていないというのが非常に惜しい!
これを見つけるためには今は香霖堂に行く以外に方法はありません!

しかし!
しかしかといってこのストーブがそんなエネルギーで動いていたら大変です!
下手したら店主が死にます!
幻想郷もただではすまない勢いで死にます!
ていうか外界すらも巻き込んで幻想郷滅びます!
それはまずい!
本当だったら大変ですが、こんな事を鵜呑みにする奴はいねェーー!

…ですが、それはあくまで『原子力』という言葉を知っている人のみが思うこと。
目の前の霧雨魔理沙は…厳しい表情です。
香霖堂に入り浸っているものの、ストーブというものは道具でとしか見ておらず
しかもそれの燃料の名前なんて興味ありません。
あれは部屋を暖かくするものだと、そういう認識だけでしょう。
…厳しい勝負です、霧雨魔理沙。
チャレンジャー霧雨魔理沙!
今年もまたディフェンディングチャンピオン、博麗霊夢に敗れるのかー!?

…おや?
霧雨魔理沙…ふっと、唇の端を歪めまし…笑っている!?
この状況で、笑っていられる!?
まさか、霧雨魔理沙勝機を見出したのか!?

霧雨魔理沙…口を開いた!
さぁ、その答えはぁッ!





「何言ってんだよ霊夢。
 ストーブの燃料は…『石油』だぜ?」





…一瞬の静寂の後に、私は大声で叫ぶ。



…霧雨魔理沙、正解ッ!!!

「ふぅ、危なかったな。香霖に聞いたのを思い出してなけりゃ負けてたかもな。」

素晴らしい!
いつの間にこんな予備知識を得ていたのか霧雨魔理沙!
しかしまさか得た知識がこんなところで役に立つとは本人も思ってはいなかったでしょう!
さすが勉強好き、魔導書好き、努力好き!多くの知識を得ることにかけては貪欲だぁー!

さて、対する博麗霊夢の表情は…
お、「これぐらい正解してもらわないとねぇ」といった、余裕の表情。
確かに、まだ第一ラウンド。
ここよりまだ二回、博麗霊夢にも…当然、霧雨魔理沙にもチャンスがあるわけです!
しかし今有利なのは、やはり先手を取っている霧雨魔理沙か!?

それでは第二ラウンド!
先攻、霧雨魔理沙、お願いします!

「知ってるか、霊夢」
「なに?」



「うどんげの目が赤いのはな…パソコンのやり過ぎらしいぜ」



え、

えぇぇーーーーーーーーっ!!??
霧雨魔理沙、流石です!
無茶苦茶な方向から物事を突っついてきました!
そんなわけないじゃない!
本当だったら余りにも面白すぎますよそれ!?
「狂気の赤い瞳の正体は目の充血!」
ブン屋さんも悲しみますよ!?

しかしこの魔理沙さんの嘘を吐くときのこの自信を持った笑顔!
まさかこの人…これすらもまだ前哨戦に過ぎないというのかっ!?
最後の一回以外は勝負にすら入らないという、自信の表れなのかぁーーーーっ!?

ちなみにうどんげとは…あ、知ってますか。
それだとこっちも説明しなくて楽でいいです。

さて、対する博麗霊夢の反応はっ…!
…ん?

いやちょっと待って、何悩んじゃってるのあなた。
これぶっちゃけ悩むようなことじゃないと思うんだけど。
いやだってあんた、噂によるとこの狂気を喰らったっていう話じゃないですか。
何で悩むんですか。
どう考えても大嘘でしょうこんなの。
だってパソコンなんて…あっー!

そうかそうか。
霊夢さんあなたパソコンとか完全に忘れてますね!?
香霖堂で昔目撃したことすら完全に忘れてますね!?

…じゃあ待てよ。
霊夢さん、あんた悩んでるのはパソコンが何かって事じゃないだろうね!?
それが嘘とは見抜いてるけど、パソコンが気になって気になってしょうがないんじゃないだろうね!?
やばいな、この巫女だったらそれ在り得るからな。
好奇心旺盛なのは良いことですけど今そんな事してる場合じゃないじゃないですか!
新しい知識を求める心意気は認めますし、自分もそういうの大好きですけど今は目の前の戦いに集中しましょう!
これは戦いなんです!

「…うん、大丈夫」

大丈夫?
今大丈夫って言いましたよね?
それが嘘を見抜いたという意味であることを私は祈りますよ!?

では博麗霊夢…お願いします!





「魔理沙…鈴仙の瞳の赤色は、月の狂気のせいでしょう?」





…さぁ、お約束のように社を静寂が包みます。
そう、私が正否を判断するまで、この静寂は続くことになるでしょう。
しかし審判として、この答えに判断を下さねばなりません。





博麗霊夢……………正解ッ!!!



長い沈黙を持たせた後、私の声が響き渡ります。
博麗霊夢は一応、安堵の色を顔に浮かべました。
対する霧雨魔理沙も…やはり、落ち着いた表情です。
しかし流石は九年もの間チャンピオンの座を守り続けてきた博麗の巫女!
この程度の事では強固且つ無重力な牙城を崩す事などできませんっ!

さ、試合も中盤に差し掛かって参りました。
次の手番は…後攻、博麗霊夢!
そろそろ両者ともエンジンがかかってきたでしょうか!
次の嘘も素晴らしいものであることを祈って!

…おっと?
博麗霊夢、何かを懐から取り出しました。
しかもその表情は随分と悲しげです。
あれは…小銭?
しかも相当小額ですね。
そしてそれを魔理沙さんの前に…ま、まさかっ!?



「見てよ魔理沙…随分と少ないでしょ?」





「昨日の賽銭全額なのよ…これで…」



で、
でましたぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
ついに博麗の巫女、伝家の宝刀を抜いたぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!

そう、博麗神社といえば賽銭が入らないことで有名!
その有名さは幻想郷の果てまで普通に届くほど!
賽銭箱を横にゆすったとき、木と金属がごっ、ごっとぶつかり合う音しか聞こえなかったというのも余りに有名なエピソード!
博麗の巫女、その日は涙を流し毛布に包まっていたそうです!
それを不憫に思ったスキマ妖怪が、100円札を賽銭箱に入れたという涙なくしては語れないエピソード!
博麗の巫女の貧乏っぷりに、我々も思わず泣いてしまった!
しかしそれでも賽銭箱は何時も数十銭しか入っていないのだぁーーーーーっ!

ああ悲しき博麗神社!
可哀想な巫女!
そして最も切ないのはお金の入らないその賽銭箱!
博麗神社の賽銭箱として生まれたことを悔やむしか出来ない!
そしてむしろ生物でも何でも無いから悔やむ事も出来ない!
切ない!
実に切な過ぎます!

さぁ、霧雨魔理沙さんの表情を見てみましょう!
…やはりかなり悩んでいる様子!
これはおそらく魔理沙さんの中に二つの感情があるからだと思われます。

一つは、この金額が嘘を吐いているのではないかということ。
そう、たった一厘でも違えばそれは『嘘』となります。
もし霊夢さんが一厘でも懐に隠し持っていたとするならば、霊夢さんの発言は嘘になるでしょう。
霊夢さんはその金額を自在に操ることが出来ます。
しかも一厘単位で。
それが本当の金額がどうかなど見極めることは、たとえ長らく付き合う親友といっても難しい。
いや…難しいのではなく、『ほとんど不可能』であると考えても良いでしょう。
ある意味これは一種のギャンブルになります。
確実な正解を導き出す方法など、無いのですから。

そしてもう一つは…そう。
魔理沙さんにとって霊夢さんが…親友であること。
これを賽銭の金額と認めてしまうことは、彼女を哀れみ、そして蔑んでしまう事になるでしょう。
何故ならこれほどまでに少ない金額しか得られないような巫女という事になるのですから。
賽銭の金額は神への信仰心。
愛は物の価値ではないといっても、それは普遍的な事実。

つまり、これを本当と認めてしまうと魔理沙さんと霊夢さんの友情に少し、いやかなりの傷が入りかねません。
魔理沙さんにとってそれは自分が負けるよりも辛い事なのではないでしょうか。
ああ、勝利をその手に掴むか友情をその手に掴むか!
魔理沙さん、恐らくはその二つの中で恐ろしいほどに葛藤を続けていることでしょう!

霊夢さん、これを狙っているというならばかなりの策士です。
情と義を併せ持つこの普通の魔法使いにはかなり効いています!
…しかし、霊夢さん二ラウンド目でこの技を放つとは!
勝負に出ているつもりなのか、それともこれを超えるほどの奥の手をその小さな体に秘めているのかぁーっ!?

「…うし。」

…魔理沙さん、覚悟を決めたか!?
この真剣な表情、恐らくはその言葉を言う覚悟を決めたのでしょう!
さぁ魔理沙さん、友情を掴むか勝利を掴むか!
それともその両方を掴むか、もしくは離してしまうのかぁっ!?

…おっと?
魔理沙さん…スカートの中に手を突っ込みました。
おもむろに、何かを探しているようですね…あ、取り出しました。
その手に掴んでいるのは…あっ!
小銭!小銭です!
しかも霊夢さんが差し出したものよりも少しばかりだが多いぞぉーっ!?



「…な、霊夢。私からの賽銭だ。少しばかりだが、美味いもんでも食ってくれ」
「え…魔理沙…」
「ばか野郎…霊夢、私がお前と何年の付き合いだと思ってるんだよ」





「それが、本当に昨日の賽銭の額だっていうのはわかってるさ」





「魔理…沙…」
「お前が辛い時は…私がいつでも手を差し伸べてやる…
 賽銭が少ないとか、多いとかそういうの関係ないだろ?私は、お前の親友だぜ?

 親友がそうやって苦しそうな顔してるのに、見て見ぬ振りできる奴はいないよ」

「…魔理沙ぁっ!」

お、おおっと!?
霊夢さん、霊夢さーん!?
ちょっと、何百合オーラかもし出してるんですか貴女!?
霊夢さん、凄い勢いで魔理沙さんに抱きつきました!?
え、えっと…

「馬鹿…泣くんじゃない」
「だって…だってぇ…」
「ほら…笑えって。お前は…笑ってる時が一番可愛いんだからさ…」
「魔理沙ぁ…!」

あのーもしもし?
二人とも何してるんですか?
なんでそんなに百合百合した雰囲気を全身全霊から放ってるんですか?
えーと…





き、霧雨魔理沙…正解…





私はとりあえず力無く言いましたが、しかし二人とも聞いちゃいません。
ねぇちょっと聞いてよ。
あっきゅんの、ちょっと聞いてほしい話。

やぁボブ。今日はヒマしてるみたいだね。
そうなんだよジョセフ。実は巫女と魔法使いが僕の話聞いてくれないんだ。
アッハッハ、そりゃそうさボブ。
なんでだいジョセフ?
だって巫女と魔法使いはお互いしか「見えない」んだもの!

…HA--------HAHAHAHAHAHA!!
ナイスジョーク!
…ねぇ、聞いてよ二人とも。
あんた達が余りに話聞かないから私アメリカンジョーク放っちゃったじゃないですか!
ギャラリー居ない所でこんな事やっても意味ないんですよ!?

大体わかってんですかあんたら!?
マリ×レイなんて需要無いんですよ!
レイ×マリの方なんですよ時代は!
霊夢攻めなんです!
時代はそれを求めているんですよ!?
なのにあんたらときたら…ほら!魔理沙さん、霊夢さんに気づかれないようにしてサラシの中に手を突っ込まない!
霊夢さんも普通に受け入れない!
物凄い無抵抗じゃないですかあんた!
胸の中で好きなだけ泣くのは良いけど、それには抵抗しろよ!
また全年齢で公開できないような域に突入するだろ!
あーもう、仕方ない!
とりあえず一回休憩入れます!収録中断!
一回ネチョらせとけこいつら!
はい、カメラ止めてカメラ!
ちゃんとマイクも切って!
はい収録一回中断!全員社の外にd(ブツッ










~暫くお待ち下さい










…マイク入った?
カメラは?準備OK?
んじゃ始めますよ…5・4・3・2・1…

…はい。
どうも、私、審判の稗田阿求です。
えー、暫く収録を中断して申し訳ありません。

え、いまテレビつけた人意味わからないですよね。
えっとですね、とりあえず400行ぐらい上に戻っていただけると今まで何をしていたかわかると思いますので。

えーでは…はい、二人とも顔を赤らめない。
ん?
相手の顔を真正面から見れない?
さっきまでやるだけやっておいてよく言うわ!
まだ布団出しっぱなしだし!
ほら、いま大法螺合戦の真っ最中なんだからね!?
勝負なんですよ!?
ほらさっさと戻る!
目の前の相手は敵!負けたら罰ゲームだって言ってるでしょ!?
これが終わったら好きな事していいから!
どうぞさっきの続きを…! あ。

…こほん。
取り乱しました、すいません。
さて、ついに三回目…最終ラウンドに突入いたしました。
さぁ泣いても笑ってもこれが最後!
どちらが相手を見事に騙しきる事が出来るのか!

では先攻、霧雨魔理沙さんからです!どうぞ!
…おっと?
またスカートに手を突っ込んで…はい霊夢さん過剰反応しない。
さっきの続きは後からしてくださいね。

魔理沙さん…今度は小銭じゃありませんね。
あれは…ま、まさかっ!?



「霊夢…知ってるか?このミニ八卦炉だけどよ…」





「八角形って…英語で、『ヘキサゴン』って言うんだぜ?」



きた…
きました…!

ついに来ました霧雨魔理沙ァァァァーーーーーーーーーッ!!!!
これぞ霧雨魔理沙にとって史上最強、最高の嘘に間違いありませんっ!!!!

やはり今までの第一ラウンド、第二ラウンドの嘘は全てこの一発に繋げる為のワンツージャブ!
霧雨魔理沙の勝負は、この一発のボディブロウにかかっていたっ!!
判り易い嘘、それは即ち顔面に引き付けるような囮のワンツージャブッ!
そしてこの最後!それは即ち相手に死角を作った状態からの腹を突き上げるかの如きボディブロォォぉーーーッ!!
霧雨魔理沙、これを待っていたのかっ!
今までの敗北を払拭するにはこの一発にかけるしかなかった!
そんな雰囲気がヒシヒシと伝わってまいります!
やはり奥の手というのは最後に取っておくものです!

さて、霊夢さんの表情を見てみましょう!
…若干赤らんでますね。
だーかーらー、それは後からにしなさいってば!

とりあえず、かなり悩んでいる様子です。
額ににじむ脂汗を、この私は見逃しませんでした!
博麗霊夢はあくまで純粋、純血の超日本人的な日本人!
当然のことながら英語なんていう物はさっぱりわかりません!
西洋かぶれの魔法使い、相手にとってわからないものこそが最大の弱点であると踏んだのでしょう!
これが多くの知識を得るものと、そしてただほのぼのと生きる二人の大きな違いだぁぁぁぁぁ!!!!

しかしこれは本当に難題です!
何せそもそも知らない巫女と、確実に知りえる魔法使い!
霊夢さんが正解する可能性は一つ!



そう…それは、運です!



知識として持ちえていない以上、確実に運任せとなるこの勝負!
当たり外れは50/50(フィフティフィフティ)!
即ちそれは『Yes or No!』
さぁ、霊夢さんは決断を下すことが出来るのかぁーーーーーッ!?

…霊夢さんの口元が、わずかに動いた!
さぁ、言葉を放つのでしょうか!
博麗霊夢、お願いしますっ!!





「ば、ばかね魔理沙。そ、そんなことあるわけないじゃない」







なんという噛み具合…
一目見ただけで脂汗ぎっしり。
この巫女は間違いなく自信無い。

うーん、やっぱりここまで悩んでますしー。
ちょっと間を持たせて見ましょうか。
まぁ、正解は私の心の中にあるということで。

…あ、霊夢さんが私に目で訴えかけてる。
早く言えって?
よし、ちょっと笑顔になってみよう。
あ、少し笑った。
よし、では軽く悲しい顔をしてみよう。
あ、すげー不安そう。
よし、(´・д・`)
あ、(´・д・`)

んー、まぁそろそろこの辺にしておきますか。
すぅ、と私は軽く息を吸い込みました。
霊夢さん、私の一挙一動にいちいちびくびくしすぎですよ。





博麗霊夢………………………正解ぃぃぃッ!!!!





「いぃやったぁぁぁぁぁ!!!」
「ちっ…渾身の嘘だったんだがな…」

霊夢さん大喜びです!
まぁ当たり前ですね、かなり運任せでしたから今の。
あ、そんなにぴょんぴょんはねると…ほら、おへそ見えてますよ。
よし、今日はこれだな。ご飯三杯はいけそう。

対する魔理沙さんは、やっぱりかなりの悔しがりようです。
仕方ありません、これが史上最強の嘘。
はっきりいって、この私でも正解できたかどうか怪しいほどに素晴らしい嘘でした。
しかし霊夢さん、持ち前のラッキーでこのピンチを見事に切り抜けました!

さぁ、残すところ嘘は後一つ!
最後…最終ラウンド、後攻、博麗霊夢の行動です!
さぁ、これは霧雨魔理沙に対する死刑宣告となるか!
それともどちらもが平和に暮らせる世の中を作り出すものとなるか!
博麗霊夢、お願いしますっ!!

…んあ?
ま、また顔赤らめてますね…
だからさっきから後でやれって…え?
違う?
な、何が違うって…ま、まさか!?

それそのものが、これから言う物の伏線だって言うんですか!?
なんつーことを!?
若干俯き気味、その言葉を口にするのも恥ずかしそう!
博麗霊夢、口を開いた!







「あのね…今、私の………なんだけど…『縞』なの」







…はい?
私、少々博麗霊夢の声が余りにも小さ過ぎて聞き取れませんでした。
魔理沙さんも、少し聞き取りにくかったようです。
申し訳ありませんが、もう一回…





「だ、だから、その…『縞』なの…今の…×××…」





な、

ななななな、

ななななななななななななっ!?



何だってェェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!???



ま、魔理沙さんも驚愕の表情!
当たり前です!
人生ドロワーズの博麗霊夢が!
この幻想郷の永遠の巫女が!
よもや『縞』などと!

はっ…そういえば先ほど霊夢さんが飛び跳ねているとき、
確かにドロワーズのようなものが見えませんでした!
ちっ…余りにもおへその方に私は視線を集中させすぎていた!
私は博麗霊夢がずっとドロワーズであるものと信じ、そちらの方にまで注意を向けていなかった!
畜生!
余りにも痛すぎる失敗!
やば、ちょっと想像したら鼻血出てきた!

…ていうか魔理沙さん!
貴女さっきまで(ピー)なのにあの人の下着ぐらい見てないんですか!?

「い、いや…あいつ、あの後自室に戻って着替えてたからさ…」

ガッデム!
見逃しました!
貴重な貴重な巫女の着替えシーンを見逃すとは、この稗田阿求余りに甘かった!
しかももしかしたら今『縞』なのではないかという報告!
こ、この私も興奮が…はっ!

…失礼。
この私、稗田阿求ともあろう者が取り乱してしまいました。
私はとりあえず審判としての仕事を全うすることに致しましょう。
鼻血ちゃんと拭いてね。ふきふき。

さ、さぁ…まずこの偉大すぎる告白ですが…
果たして、博麗霊夢は本当に『縞』なんでしょうか!?
もしかしたら嘘を吐いている可能性も、否定は出来ません!
しかし、嘘ではないといっても先ほどの事からドロワーズである可能性は限りなく低い!
ていうかドロワーズじゃないでいて欲しい!
おねがい巫女さん!
私の夢を壊さないで!

…さて、魔理沙さんの様子を見てみましょう。
やはり…先ほどの発言に動揺を隠しきれていません。
おっと?頭を物凄い勢いで左右に振り始めましたよ?
恐らくはやらしい妄想をして、それを振り払おうとしているのでしょう。
若いですねぇ。
私はそんな妄想をしたら、とりあえず限界まで発展させますよ。
魔理沙さんはそれが霊夢さんに大して失礼なことだと思っているのでしょう。
なんていい子。
私も魔理沙さんに段々惚れて参りました。

ところで魔理沙さん。
先ほどの霊夢さんは『何色』だったのでしょうか?
…はい、そこ俯かない。
ほら、また首を振らない。
やらしい妄想し過ぎですよ貴女。
あくまで参考の為に。

「あー…うん、えっと…『白』…かな…」

ど、ドロワーズじゃない!?
ドロワーズじゃないんですか!?

「…ああ、実は」

な、
な、
なんということでしょぉぉーーーーーーっ!!
まさか霊夢さんは、こんな事があることをあらかじめ予測していたのでしょうか!?
それをふまえた上ですでに準備を済ませていたのでしょうか!?
素晴らしい、なんと献身的な巫女でしょうか!
私、嫉妬(かんどう)の余り思わず涙を流してしまいそうです!

…こほん。
いい加減私も落ち着きましょう。
ほら、審判として正しい判断しなければなりませんし。

では魔理沙さん、準備はよろしいでしょうか!?
これが貴女にとってもラストターン!
これが勝負の決め手となるのです!



「…OKだ。問題ないぜ」



魔理沙さんの、素晴らしく男らしい笑顔が私の瞳に焼きつきました。
…覚悟は決まったようです。
さぁ、霧雨魔理沙。
これが本当か嘘かっ!
あなたの答えを、見せて下さいッ!

どうぞぉっ!!!







「…うん、霊夢。私もそうなんじゃないかって思ってた」







き、霧雨魔理沙…
どこか恥ずかしげに、明後日の方向を見つめながら言っております。
恐らくこの言葉を口にすることに関して、霊夢さんと向き合うこと自体が恥ずかしいのだと思われます。

さて、霊夢さんは…あ、こちらも床しか見ておりません。
まぁ、無理だろうね…
では霊夢さん。

「な…何?」

私、審判ですから。
確認をさせていただこうかと思いまして。

「え…////」

…うん、まぁその反応が来るだろうとは思ってましたよ。
顔物凄い真っ赤ですよ。まるで赤本みたい。
でもまぁ…仕方ないので。
ちゃんと、カメラさんにマイクとか切って置くように言いますから。
ね?
貴女の勝利が決まるかどうかの瀬戸際なんですから。

「う、うん…」

じゃ、ちょっと奥の方へ…
魔理沙さん、すいません、ちょっと霊夢さん借りますね。
大丈夫です大丈夫です、貴女よりは間違いなく返しますから。
それじゃ、ちょっと失礼して…










~暫くお待ち下さい










霧雨魔理沙正解ーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!



「いよっしゃぁぁぁ!!」
「ちぇっ…今回は勝てなかったか…」

魔理沙さん、大きくガッツポーズ!
仕方ありません、彼女は今の今まで、敗北という味しか味わってこなかったのですから!
しかし今日ついに、その敗北からおさらばしたのです!
この十年間、彼女は敗北に心を悩ませていたはずです!
ずっとずっと悔しがっていたはずです!
しかし、勝利こそできなかったものの少女はこの敗北という永遠の迷宮から脱出した!
魔理沙さんの喜びは計り知れないものであることは間違いありませんっ!
本当に
魔理沙さん、本当におめでとうございますっ!!!!!

そして霊夢さんも…勝てなかったというのに!
今回は九年間勝ち続けてきたはずの自分が引き分けてしまったというのに!
この晴れやかな表情は何なのでしょうか!
これは、我が友が自分と並んでくれたということに関する喜び!
本当に嬉しいに違いありません!
霊夢の、巫女の目にも涙!
彼女もやはり素晴らしい戦いを見せてくれました!

私も、このような戦いに参加できたことを本当に誇りに思っております!
少女たちの意地と意地のぶつかり合いを、この目でしっかりと確認させていただきました!
きっとこの戦いは歴史に名を残すことになるでしょう!
少なくとも、私の心には永久に残り続ける史上最大のビッグ・イベントッ!
感動をありがとう、博麗霊夢!
感動をありがとう、霧雨魔理沙!

ぐずっ…ああ、はい、すいません…!
私、感極まってしまいまして…!
私…こんな…こんな…!





カメラの前でこんなに堂々と鼻血を流しているのは初めてです!





もう、私今日のご飯は十杯はいけます!
感動と共に私の脳裏には『縞』が焼きついております!
この戦いは『縞』を私に与えてくれました!
本当にありがとう、『縞』!

ぐずっ…私は僅かな鼻水と大量の鼻血をティッシュでふき取ります!
それでは、審判最後の仕事と参りましょう!
両選手…向き合って、礼!

二人は、お互いにしっかりを頭を下げます。
そしてそのまま―――抱擁です!
この戦いの健闘を認め合い、そして愛情で結ばれた二人は今ここでお互いを抱き合いました!
見ていて、これほど美しいものは他にあるでしょうか!いやありません!
素晴らしき友情、そして愛情!
そして今ここで全力で戦ったという事実が!
この二人をより美しく際立てているのですから!

さぁ、第十回博麗大法螺合戦!
いかがだったでしょうか!
今回の戦いは十年間続く大法螺合戦の中でも初となる、両者引き分け!
今年は両者の力が余りにも素晴らしすぎたためにこのような結果となりましたが、
きっと来年はお互いより嘘を吐く力をつけて、
素晴らしい騙し力を身につけて、我々を今以上に感動させてくれるに違いありません!

その時まで、さようなら皆さん!
それでは最後まで素晴らしい嘘を吐き続けた巫女と魔法使いに!
今一度!
今一度、大きな拍手をお願いいたします!!!





…さて。

それじゃ私も稗田阿求として最後の仕事と参りましょうか。

あのー霊夢さん、魔理沙さん。
ちょっと聞いてもらえますかね。
ええ、する事はすぐさせてあげますから。

「…なんだ?」

はい、ちょっと挑戦的な目ですがやはり魔理沙さんはそれが一番可愛らしいですよ。
んー、いやいや。私からも一つ大法螺合戦のお題を出させていただこうかと思いまして。

「でも…今年のはもう終わったでしょ?」

なぁに、あくまでエキシビジョン。
軽く耳を傾けて聞いてほしい、そんな事でございますよ。
それじゃ、行きますよ…







実は今日、四月一日じゃないんですよ。






…うん、予想通りですね。
見事なまでに固まってくれました、この二人。
しかしここまで見事に時が止まったみたいになる人も久しぶりに見ました。
純情っていいことですね。
そして大体数秒後、ようやく意識を取り戻した魔理沙さんが言います。

「あ、はは、ま、まさかそんな事あるわけ無いじゃないか」
「そ、そうよね。今日は間違いなく四月一日よねー」

お、流石の切り返し。
うんうん、やっぱ大法螺合戦はこうじゃなくちゃ。



でもね。



慧音さん、出てきてもらえますか?





「…!?」
「……ッ!」

そう、近くの林の茂みの中から出てきたのは、二人もよく知る知識人。
その流れるような銀色の長髪と、溢れんばかりの胸を持った者。
即ち、上白沢慧音。
歴史を喰い、そして作り出す者。
…おや、少し顔赤いですね。
どうかしましたか、慧音さん。

「…なんか訳も判らず阿求に呼び出されたと思ったら、お前らという奴は…」
「え、あのーそのー」
「えっと…うん」

あ、やっぱりさっきの光景を傍から見てましたか慧音さん。
良かったじゃないですか、新しい歴史が完成しましたよ。

「あのな…」

おっと、そう言ってる場合じゃなかった。
そうそう、慧音さんにお聞きしたいことがありましてね。
私は軽く口元を歪めながら、彼女に尋ねました。





今日は、何月の何日でしたっけ?





…さぁ、いよいよ社の時が止まりました。
戦慄の表情を浮かべる霊夢さんと魔理沙さん。
恐らくは。
慧音さんがこれから言う言葉は。
二人にとって。
最も嫌な。
絶対に聞きたくない。
言葉のはずなのですから。







「今日は…三月の三十一日だろう?」











そう。
壁掛けカレンダーすらも、フェイク。
ふと、風が巻き起こると。

・ ・
私の壁掛けカレンダーが、地面に落ちて。

・ ・ ・ ・ ・
博麗神社の壁掛けカレンダーが、姿を現す。
そしてそこに書いてある文字。



三 月 三 十 一 日



私は、恐怖と呆然とが入り混じった表情を浮かべる二人に向かって。
誰よりも、何よりも嬉しそうに。
微笑を、浮かべて、言いました。











ば・つ・げ・い・む














あっきゅん、ウソ、つかない。





~終幕
              ,. - 、
             /    `' .、
            ,:'        \
           ./    _,,..-「 ̄`ヽr-ァ' ̄7
          _/,. ‐''´    L____ン'-ト、.,___」、  落ち着け
         /     _,,.. -─く.__/^|__,ゝ,  / エイプリルフール
       〈   ,. :''´           `ヾ、_    春  にはまだ早い
        `Y´    /  _/!__ ./!  _/_ !  ; ',         _,,. -‐ァ
     ト、.  ,'   / .,'  ´/_」_//  /!_,ハ  ! !    _,,..-‐''´  /
     l ', |.   i ! ,ァ'´;'´`i` レ' 'i^i`i/ / / , :'´ ,.、-、  イ
      .!、 ':, !.   ヽレ'i  ! c!     トj ハ/レ'/ _ _,/ ///;  /
      !  `',   ハ ⊂⊃`´ ,. -‐┐ (从ゝ'-ァ'´//' _つ-/_/
      '、_   ヽ.! ',  ト.、,_  i   ノ,.:イ>'//  .,'.,'ァ'ー-r' /
       ,`-、  ゝr\|'´r`Tニ 7´ i7'´ .//   ! |:::::´::|/
       ', ヽ「「´ '、'、  i´ ̄〉o〈 ̄`7 .,' ,'>、.,_,!_'、___:ノ
      ⊂、._! i   ヽヽ└ァ7ムヽ r┘、!_」/_,.イ_>'
         ヽ_'、,,..-ヘゝrレ''´i`ヽ」  ,Y   /     、,..、.,
             レ`´k、_ハ、___,,.イン^ヽi'´   _ヾ'   ';  花
             _r/ 7ー--‐ '' ',   ヽ.  ミ゛ ゚ д ゚ Ξ
           ,.ィ>'  ,'       :     ヽ. 彡,      ミ  粉
          r'く   /        ',  __.-イ_> 'ノンノハ )ヾ
          `'ーrへ!、______ ____ ,,.._-rンr‐'´
            ,'ー-:/`ー'^ー‐'`''-ヘ´-‐! 
            !_,/          '、_,ノ

二人にただ嘘を吐かせたかった。
今は訳がわからなくなっている。
後悔はしていない。

はいこんにちわ。遼魔もとい秦稜乃です。
創想話に復帰するのはもう作品集で数えて10を過ぎているでしょうか…
結局私の行き着く先はここなのかなと。いや、作風作風。
この後どうなったかは皆さんのご想像にお任せいたします。

とりあえずあえてフライングを狙ってみました。
誰よりも早くエイプリルフール!
だったら今度は正月辺りにこのネタを振ってみましょうか。
早すぎるっつーに。

それじゃ皆さんも明日は素敵な嘘を吐いてください。
皆さんの嘘に幸福が在らん事をノシ



しかし嘘吐きネタでてゐを使わないというのは結構斬新かもしれない。
やってる?ごめん。

※誤字修正しました。
ご指摘ありがとうございますm(_ _)m
投稿前に一回見直しておいてこれだからなぁ; 先が思いやられる…
秦 稜乃
[email protected]
http://lifelifelife.web.fc2.com/
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4.無評価名前が無い程度の能力削除
笑顔で異様と→いようと
緊張の糸がまるで溶けて→解けて
その嘘の成否を→正否を
ミニ八卦路→炉
左右に降り→振り
12.無評価名前が無い程度の能力削除
これはいいフライング⑨
おいしくいただきました
19.80名前が無い程度の能力削除
いや、いい感じで
22.40椒良徳削除
(´・д・`)
「え…////」
みたいに顔文字を文章中で使うのはどうかと思いますよ。
そういうノリは嫌いじゃないですがね。
むしろ大好物だ
…は二個並べて使いましょう。
!と?の後ろに文章が続くときには後ろにスペースを入れましょう。
なんか地の文が独特のテンポの文章ですね。
わざとやっているのは判っているのですが、それでも言おう。
途中に出てくるひらがなだけの文章は極めて読み辛い。
なんであっきゅんが原子力を知っているのか理解に苦しむが、まああっきゅんだからいいや。
つうかあっきゅんテンション高いな。高すぎるな。シャブでも打ってるのかしら。
なんというか、ひたすら二人に四月馬鹿の嘘を付かせてみようという発想は面白いのですが、爆笑のギャグ作品にはちょっと力不足か。
読んだ読者が大爆笑の作品が生み出せる日を目指して頑張ってください。
28.90名前が無い程度の能力削除
ああっ、罰ゲームが何だったのか気になる…!