何もない・・・
ここは、何もない世界・・・
ここにはわずかな光しか通らず、この世界に生きる者はいない・・・
「また、ここには何もないのね・・・」
そこは、神社にある腰あたりまでの高さの木箱の中。
ようするに、賽銭箱の中。
そして、それを覗き込んでいる巫女が一人。
その巫女、博麗 霊夢
彼女は、たとえ無いとわかっていても、賽銭箱を見に行ってしまう可哀相な・・・
いや、
たとえ負けるとわかっている戦いも、逃げることなく立ち向かう勇敢な少女である。
「・・・こうなったら、自分で生活費をつくるしかないようね」
今、博麗神社は、定期的にくる財政難に悩まされていた。
それもこれも、最近宴会続きで、神社の食料を食い散らかすやつらがいるからである。
いっぱいいるからである。
宴会では、料理は持ち寄るので霊夢本人もあまり気にならなかったが、気付いた頃には後の祭りで
かれこれ二日は、飯抜きである。
最初は、ダイエットと強がっていたが、もう限界である。
そして、そんなときに限って宴会の開かれる様子はない。
霊夢の決意は固かった。鋼の意思とはこの様なことを言うのであろう。
「今日こそは、晩ご飯に、白いごはんと熱いお味噌汁と魚の切り身とお漬物を食べてみせる!」
これは、普段何気なくしている生活が、かけがえの無いものだということを教えているのだと思う。
けして、貧困すぎて思考が貧相になっているのではない・・と願う。
そう、合言葉はズバリ「お金で買えないものはない!」
そう、思ってこぶしを天に掲げる。声に出ていたことは、ここだけの話だ。
「なに叫んでんだ霊夢?」
彼女は、霧雨 魔理沙 どうやら今日も、神社へ遊びに来た様子。
「あら、魔理沙 これから、忙しいから後にして頂戴」
「おいおい、そんなつれないこと言うなよ。で、これからなにするんだ?」
もう、魔理沙の興味は、霊夢がこれからなにをするかにしか向いていない。
そして、それを顔に出しまくっている彼女を振り切るのは、無理とあきらめ霊夢は、しぶしぶ理由を話す。
「それは、大変だな よし、私も手伝ってやるぜ」
明らかにただの暇つぶしだが、今の霊夢は、猫の手も借りたいほど追い詰められていたので、
とくに、抵抗もせず一緒に連れて行くことにする。
そして、二人だけの旅は、始まった。
とは言っても、目的地もなくただ道を歩いているだけだ。
「おい、その風呂敷は、なんだ?」
素朴な疑問を投げかける。
霊夢は、神社を出たところから大きな風呂敷を、背負っている。
「?商売のネタに決まってるじゃない」
さも当たり前のように、霊夢は言ってまた歩き出す。
しかし、魔理沙は見た、神社を出るとき、その辺にあるものを適当に風呂敷につめている霊夢の姿を
「ん?」
ふと気付くと前からアイツが歩いてくる。
アイツ、⑨
けして名前を忘れたわけではない。
より知名度の高い愛称のほうがよいと思っただけだ。
ただそれだけだ。
「ふふふ、格好の鴨がきた」
「とりあえずその邪悪な笑いは、止めたほうがいいぜ」
そこでようやく気付いたのか慌てて平常心を装う霊夢であった。
しかし、その眼光は獲物から離れない。
そして、にこやかに話しかける。正確には、ニヤニヤ笑って話しかける。
魔理沙は、突っ込んだら負けだと思ったので黙って見守る。
「こんにちは」
「ん?」
「今日は、いい話をもってきたわよ」
「いい話?」
そういうと霊夢は、風呂敷から一つの物を取り出す。
「これは、昔からその時代の最強な者が受け継ぐ宝なような気がするものよ」
そして、それをバーンと掲げる。⑨はそれに釘付けになる。
「なに!?そんなものアタシ知らないよ!」
「まあ、知らないのも無理ないわ。これは、極秘中の極秘だから。このワイルドさまさに、最強の証っぽいものね」
「確かに、わいるどだ」
「今日は、これを、あなたの財布と交換してあげるわ」
「ほんと?するする!」
そう言って⑨は、それを受け取り空へと飛んでいった。
とてもワイルドな最強の証、木彫りの熊(鮭くわえてるやつ)を大事そうにもちながら。
そして、⑨の財布は、霊夢の手の中である。
「・・おい霊夢、いくらなんでもそれは」
「なによ、嘘は言ってないわ。それに熊は、かなり強いのよ?」
「いや知ってるけど・・・」
魔理沙は、なにかもやもやしたものを感じた。しかし、それがなんだかは、わからなかった。
その間に霊夢は、財布を開ける。
「いくらくらい入ってるかな~♪・・・・・ってなにこれ」
そこにあったのは、とある銀行でしか使えないお金だった。
その銀行の名前は、「こども銀行」しかも「こども」と言う字を消して「おとな」に書き換えてある。
正確には、書き換えようとした形跡がある。「こども」という字が消され、「おとこ」になっていた。
「・・・おとこ銀行ってなによ・・・」
「・・・まあ、悪いことはできないってことだな」
霊夢は、少しうなっていたがやがて
「うだうだ言ってもしょうがない!次にいく!」
「いや、そろそろやめとこうぜ。今日の晩飯は、私がおごってやるからさ」
「何言ってるの!?それじゃあ問題は、解決しないわ!まあ、とても、とても魅力てきではあるけれど
それは、最後の手段よ」
「・・・手段としては使うのか」
魔理沙は、ふうとため息をついた。
そして、霊夢は、気合を入れ直すため合言葉を言う。
「お金で買えないものはない!!」
魔理沙は、また、少しむっときたがなにかは、わからない。
そして、二人は色々なところを回った。しかし、成果はまったくのゼロ。これをくたびれ損のナンチャララと言う。
日は、沈み始め二人の影が伸びていく。辺りは、夕焼けで赤一色の世界だ。
「はぁ~結局少しも売れなかった・・・」
「・・・・・・」
「どうしたの?さっきから思ってたんだけど今日は、静かね」
軽いノリで言ったつもりだったが、それで魔理沙の表情が変わる。
流石に、霊夢も少し動揺する。
「どうしたの?」
「・・今日ずっと言いたいことがあった」
「何?」
魔理沙は、やっとわかったあのもやもやの理由が
「今日のお前何回か言ってたよな「お金で買えないものはない」って」
「それがどうしたの?」
わけとは、二人の考えかたの違い
「それじゃあ言わせてもらう・・・・お金で買えないものがないなんて、嘘だ!私はそうは思わない!!」
霊夢は、驚いて体を震わせる
「お前は私たちとの関係・・・友情までお金で買えるって言うのか!?」
魔理沙は、人一倍友情を大切にしている。普段は態度に出さないが、友達が多いのがそれを表している。
だから、霊夢のこんな言葉は聴きたくなかった。
霊夢は、少し魔理沙を見てから言った。
「そんなこと?」
「なに?」
「そもそもあなたは、私を勘違いしているわよ?」
「霊夢!!お前がそんな奴だったなんて!!」
そして、霊夢は、ため息をつく。当然のごとくそれは、魔理沙の神経を逆撫でした。
魔理沙は、今にも飛び掛りそうな体制だった。
そして、霊夢は言った。
「というか魔理沙は、私を誤解してるわ一回しか言わないから、よく聴いてなさい」
霊夢は、魔理沙に背を向る。
今は、春になったばかり三寒四温
冷たい風が二人の間を通り抜ける。
「私は、魔理沙も他の皆も・・最高の友達だと思ってるわ」
「え?」
霊夢は、振り返って言う
目は合わせない、合わせられない
「一般的に、お金で買えないものに愛や友情があると言われているけど、私はそうは思わないわ。
だって、そういうものは、そもそもそうやって取引するものじゃなくて、自然と出来ていくものだと思うから。
だから、買う買わないの対象にもなりはしない」
今は、春になったばかり三寒四温
暖かい風が二人の間を通り抜ける。
無言の間が空いたあと、二人は一斉に赤くなった。
「は、恥ずかしいこと言わせないでよ」
「わ、わるかった、少し早とちりしちゃったぜ」
「別に、いいわよ。私も言い方がまぎらわしかったし」
それは、夕日にも隠し切れなかったが、お互い気付かない振りをする。
「さあ、晩御飯の時間よ。もちろん、魔理沙の奢りで」
そういって、霊夢は歩き始めた
「仕方ない、さっき約束したしな」
そういって、魔理沙も歩き始める
二人の意見は、違った。それぞれの想いがあった。
それして二人は歩き続ける。
別々の道を
一つの終着点に向かって。
END
ここは、何もない世界・・・
ここにはわずかな光しか通らず、この世界に生きる者はいない・・・
「また、ここには何もないのね・・・」
そこは、神社にある腰あたりまでの高さの木箱の中。
ようするに、賽銭箱の中。
そして、それを覗き込んでいる巫女が一人。
その巫女、博麗 霊夢
彼女は、たとえ無いとわかっていても、賽銭箱を見に行ってしまう可哀相な・・・
いや、
たとえ負けるとわかっている戦いも、逃げることなく立ち向かう勇敢な少女である。
「・・・こうなったら、自分で生活費をつくるしかないようね」
今、博麗神社は、定期的にくる財政難に悩まされていた。
それもこれも、最近宴会続きで、神社の食料を食い散らかすやつらがいるからである。
いっぱいいるからである。
宴会では、料理は持ち寄るので霊夢本人もあまり気にならなかったが、気付いた頃には後の祭りで
かれこれ二日は、飯抜きである。
最初は、ダイエットと強がっていたが、もう限界である。
そして、そんなときに限って宴会の開かれる様子はない。
霊夢の決意は固かった。鋼の意思とはこの様なことを言うのであろう。
「今日こそは、晩ご飯に、白いごはんと熱いお味噌汁と魚の切り身とお漬物を食べてみせる!」
これは、普段何気なくしている生活が、かけがえの無いものだということを教えているのだと思う。
けして、貧困すぎて思考が貧相になっているのではない・・と願う。
そう、合言葉はズバリ「お金で買えないものはない!」
そう、思ってこぶしを天に掲げる。声に出ていたことは、ここだけの話だ。
「なに叫んでんだ霊夢?」
彼女は、霧雨 魔理沙 どうやら今日も、神社へ遊びに来た様子。
「あら、魔理沙 これから、忙しいから後にして頂戴」
「おいおい、そんなつれないこと言うなよ。で、これからなにするんだ?」
もう、魔理沙の興味は、霊夢がこれからなにをするかにしか向いていない。
そして、それを顔に出しまくっている彼女を振り切るのは、無理とあきらめ霊夢は、しぶしぶ理由を話す。
「それは、大変だな よし、私も手伝ってやるぜ」
明らかにただの暇つぶしだが、今の霊夢は、猫の手も借りたいほど追い詰められていたので、
とくに、抵抗もせず一緒に連れて行くことにする。
そして、二人だけの旅は、始まった。
とは言っても、目的地もなくただ道を歩いているだけだ。
「おい、その風呂敷は、なんだ?」
素朴な疑問を投げかける。
霊夢は、神社を出たところから大きな風呂敷を、背負っている。
「?商売のネタに決まってるじゃない」
さも当たり前のように、霊夢は言ってまた歩き出す。
しかし、魔理沙は見た、神社を出るとき、その辺にあるものを適当に風呂敷につめている霊夢の姿を
「ん?」
ふと気付くと前からアイツが歩いてくる。
アイツ、⑨
けして名前を忘れたわけではない。
より知名度の高い愛称のほうがよいと思っただけだ。
ただそれだけだ。
「ふふふ、格好の鴨がきた」
「とりあえずその邪悪な笑いは、止めたほうがいいぜ」
そこでようやく気付いたのか慌てて平常心を装う霊夢であった。
しかし、その眼光は獲物から離れない。
そして、にこやかに話しかける。正確には、ニヤニヤ笑って話しかける。
魔理沙は、突っ込んだら負けだと思ったので黙って見守る。
「こんにちは」
「ん?」
「今日は、いい話をもってきたわよ」
「いい話?」
そういうと霊夢は、風呂敷から一つの物を取り出す。
「これは、昔からその時代の最強な者が受け継ぐ宝なような気がするものよ」
そして、それをバーンと掲げる。⑨はそれに釘付けになる。
「なに!?そんなものアタシ知らないよ!」
「まあ、知らないのも無理ないわ。これは、極秘中の極秘だから。このワイルドさまさに、最強の証っぽいものね」
「確かに、わいるどだ」
「今日は、これを、あなたの財布と交換してあげるわ」
「ほんと?するする!」
そう言って⑨は、それを受け取り空へと飛んでいった。
とてもワイルドな最強の証、木彫りの熊(鮭くわえてるやつ)を大事そうにもちながら。
そして、⑨の財布は、霊夢の手の中である。
「・・おい霊夢、いくらなんでもそれは」
「なによ、嘘は言ってないわ。それに熊は、かなり強いのよ?」
「いや知ってるけど・・・」
魔理沙は、なにかもやもやしたものを感じた。しかし、それがなんだかは、わからなかった。
その間に霊夢は、財布を開ける。
「いくらくらい入ってるかな~♪・・・・・ってなにこれ」
そこにあったのは、とある銀行でしか使えないお金だった。
その銀行の名前は、「こども銀行」しかも「こども」と言う字を消して「おとな」に書き換えてある。
正確には、書き換えようとした形跡がある。「こども」という字が消され、「おとこ」になっていた。
「・・・おとこ銀行ってなによ・・・」
「・・・まあ、悪いことはできないってことだな」
霊夢は、少しうなっていたがやがて
「うだうだ言ってもしょうがない!次にいく!」
「いや、そろそろやめとこうぜ。今日の晩飯は、私がおごってやるからさ」
「何言ってるの!?それじゃあ問題は、解決しないわ!まあ、とても、とても魅力てきではあるけれど
それは、最後の手段よ」
「・・・手段としては使うのか」
魔理沙は、ふうとため息をついた。
そして、霊夢は、気合を入れ直すため合言葉を言う。
「お金で買えないものはない!!」
魔理沙は、また、少しむっときたがなにかは、わからない。
そして、二人は色々なところを回った。しかし、成果はまったくのゼロ。これをくたびれ損のナンチャララと言う。
日は、沈み始め二人の影が伸びていく。辺りは、夕焼けで赤一色の世界だ。
「はぁ~結局少しも売れなかった・・・」
「・・・・・・」
「どうしたの?さっきから思ってたんだけど今日は、静かね」
軽いノリで言ったつもりだったが、それで魔理沙の表情が変わる。
流石に、霊夢も少し動揺する。
「どうしたの?」
「・・今日ずっと言いたいことがあった」
「何?」
魔理沙は、やっとわかったあのもやもやの理由が
「今日のお前何回か言ってたよな「お金で買えないものはない」って」
「それがどうしたの?」
わけとは、二人の考えかたの違い
「それじゃあ言わせてもらう・・・・お金で買えないものがないなんて、嘘だ!私はそうは思わない!!」
霊夢は、驚いて体を震わせる
「お前は私たちとの関係・・・友情までお金で買えるって言うのか!?」
魔理沙は、人一倍友情を大切にしている。普段は態度に出さないが、友達が多いのがそれを表している。
だから、霊夢のこんな言葉は聴きたくなかった。
霊夢は、少し魔理沙を見てから言った。
「そんなこと?」
「なに?」
「そもそもあなたは、私を勘違いしているわよ?」
「霊夢!!お前がそんな奴だったなんて!!」
そして、霊夢は、ため息をつく。当然のごとくそれは、魔理沙の神経を逆撫でした。
魔理沙は、今にも飛び掛りそうな体制だった。
そして、霊夢は言った。
「というか魔理沙は、私を誤解してるわ一回しか言わないから、よく聴いてなさい」
霊夢は、魔理沙に背を向る。
今は、春になったばかり三寒四温
冷たい風が二人の間を通り抜ける。
「私は、魔理沙も他の皆も・・最高の友達だと思ってるわ」
「え?」
霊夢は、振り返って言う
目は合わせない、合わせられない
「一般的に、お金で買えないものに愛や友情があると言われているけど、私はそうは思わないわ。
だって、そういうものは、そもそもそうやって取引するものじゃなくて、自然と出来ていくものだと思うから。
だから、買う買わないの対象にもなりはしない」
今は、春になったばかり三寒四温
暖かい風が二人の間を通り抜ける。
無言の間が空いたあと、二人は一斉に赤くなった。
「は、恥ずかしいこと言わせないでよ」
「わ、わるかった、少し早とちりしちゃったぜ」
「別に、いいわよ。私も言い方がまぎらわしかったし」
それは、夕日にも隠し切れなかったが、お互い気付かない振りをする。
「さあ、晩御飯の時間よ。もちろん、魔理沙の奢りで」
そういって、霊夢は歩き始めた
「仕方ない、さっき約束したしな」
そういって、魔理沙も歩き始める
二人の意見は、違った。それぞれの想いがあった。
それして二人は歩き続ける。
別々の道を
一つの終着点に向かって。
END
あとチルノ以外に何があったのかを大幅に端折ってしまい、お話に共感しづらいところもあります。長ければいいなどとはいいませんが、大きな風呂敷を持っている霊夢のネタをもう少し転がして欲しかったと思います。それこそ、回想シーンといわんばかりに一行ネタとしていれるだけでも全然違うと思います。
とりあえずラストは霊夢が魔理沙に奢らせるために言ったうわべの一言、みたいな解釈でいいのでしょうか? ちょっとよく分からなかったので。
あと、霊夢の風呂敷なんですけど、その辺では魔理沙はあまりしゃべらなくしたかったので、いるのに何もしゃべらないと後半いきなり出てきてなに?
みたいにならないようにしたつもりだったのですが、考えが甘かったようで、
次回から精進します。
それだけにどう料理をしてくるのか期待をしながら見てました。
それで、感じたことですが、伏線をはっていたわりには、少し魔理沙の行動が唐突過ぎるように感じました。
でも、全体的に見ると、なかなか面白い話でした。
次もがんばります
発想を膨らませるのも足りなかったかな。
貧困状態からどのように四苦八苦して儲けようとするのか。
仮に大金を手にしたらどうなってしまうのか。
考えるだけでわくわくしてくるぜ。
ちなみに。猪突猛進でも、対極にあたる感情をいれると深くなるのよ。
不安や恐怖心もあるけれど、それにようやく勝っての猪突猛進。いいなぁ。
面白い話でした。