警告
百合 微ネチョ 猟奇 出血 オリジナル設定 死にネタ グロっぽい表現があるので駄目な方は読むことはお薦めしません
どんよりとした空、その下で彼女――博麗霊夢のお葬式は行われています。普段は宴会の時以外は全くといっていいほど人が居ない神社にも人が訪れて、皆、彼女と別れるのはつらいのでしょうね。
あのチルノでさえも黒い服に身を包み涙を流していて、魔理沙さんは棺にしがみつき、紫さんは信じられないような顔、咲夜さんはレミリアさんとフランさんを何も言わず抱きしめています。
「ねー、藍さま。どうしてみんな泣いているの?」
式の式――橙ちゃんですね。彼女の主に不思議そうに尋ねました。きっと、まだ死というものに直面していないんでしょうね。それはきっといいことなんでしょうが、哀しいことです。藍さんは無言で橙ちゃんの頭を撫でました。
私、鈴仙・優曇華院・イナバは、泣きじゃくる皆さんとは別で無表情で彼女の棺を見ています。
彼女の死体を見ることは許されないそうです。死体を発見したアリスさんは師匠を呼びに永遠亭に辿り着くと同時に倒れました。師匠も彼女の死体を見ると恐怖に顔を引きつらせました。それほどまでに酷い状況だったのです。
裸で倒れ床を血で染め、体中に切り傷、それは背中にまで及び片目潰れていました。誰もが誰かに殺されたものだと思いました。
しかし、死因は自殺でした。近くに落ちていたナイフから彼女の指紋と血が確認されたのです。さらに彼女は目を見開き笑って死んでいました。決め手となったのは閻魔様の言葉でした。霊夢さんの魂が彼岸にこないというのです。他殺や寿命、病死や事故死の場合彼岸に
辿り着けますが、自殺の場合魂はどこか別の場所へ行ってしまい、二度と転生できなくなるらしいです。
皆さん不思議がっていました。何故彼女が自殺なんかするのか、と。
私にはそれがわかります。いえ、私が殺したと言ってもいいでしょうね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜になって、私は師匠に嘘をついてある場所へと向かいました。
人の里の外れ、誰も居ない教会。私の目的地はそこでした。
ガチャリと扉を開け真っ暗の空間が広がっていました。持参した蝋燭に火をつけると少し
だけ明るくなりました。
横を見ると燭台が幾つかあります。その燭台に蝋燭を乗せると奥にも燭台がありました。
次々とその燭台達に火のついた蝋燭を乗せて全ての燭台に灯が灯ると教会の内部が浮かび上がりました。
色とりどりのステンドグラス、埃を被ったオルガン、そしてまるで人の形のように見える十字架。私は十字架の前に行くと跪きました。
ここに来た理由は懺悔、罪を全て聞いてもらうためです。
「神様、私は罪を犯しました」
誰も居ない教会に私の声だけが響きわたった。
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博麗霊夢、彼女は私の恋人でした
私は一人ぼっちでした
私は幻想郷の外から来た者、しかも裏切り者です
永遠亭の皆がよくしてくれても、私は皆とは少し距離を置いていました
怖かったんです
裏切り者といわれることが
皆、そんなことを言わないとはわかっています
でも恐ろしかったんです
そんな私に霊夢さんはとても眩しく見えました
彼女は色々な人に好かれています
人間も妖怪も、幽霊も蓬莱人も彼女を見ていました
しかし、彼女は誰とも関係を持とうとしませんでした
それは幻想郷の秩序を護る為かもしれません
彼女は誰にも深く関わろうとはしませんでした
彼女は私と少し似ていたのかもしれません
だから私は彼女に惹かれたのでしょう
ある満月の夜、私は彼女に私の全てを話した後、言いました
「貴女と私は似ている」
と、そういうと彼女はこう返してきました
「そうね」
彼女らしい答え方
「だから、私は貴女が欲しい。貴女が好きです」
長い長い沈黙の後、彼女は笑顔で頷いてくれました
天国にいけそう――とでもいいましょうかね、あの時の気持ちは
キスをして、私たちは体を重ね合いました
女と女、その間には何も生まれません
しかしそれは愛ゆえの行為
それはこの地上で最も罪深く――
最も汚れ――
最も美しく――
最も純粋な愛でした
それから私たちは互いに体を求め合いました
まるで中毒症状のように
ですが、私は迷っていました
こんな行為は許されるのか、と
しかし、それ以上に彼女のほうが迷っていたのでしょうね
いえ、狂っていたといった方が正しいのかもしれません
ある日の行為の最中、彼女は急に立ち上がってどこかへ行ったかと思うと銀色に輝くナイフを持って私の上に乗りました
私は殺されると思いました
ですが、彼女に殺されるなら本望でした
それほどまで私は彼女を愛していたからです
彼女はナイフを振り上げ――
自分の二の腕に刺したのです
赤い液体が裸の私の上にタラタラと流れてきました
その時の彼女の目は私のように真っ赤で、狂気に汚染されていました
私の側に居すぎたんでしょう
私もその時止めればよかったんです
普通ならば大丈夫かと聞くところでしょう
しかし、狂っていたのは私も同じでした
「気持ちいいんですか?」
彼女は自ら刺したナイフをグリグリして傷口を広げるたび、艶やかな顔をしていたからです
「……うん。すっごくきもちいい」
体を震わせ彼女は答えました。
「ねえ……鈴仙……血、飲んで?」
ナイフを引き抜き傷口を私の顔の前まで持ってきました
私は溢れる血をこぼさないようにすすりました
彼女の血は今まで飲んだどんな飲み物よりも美味しく、吸血鬼の気持ちがわかりました
それからというもの、彼女は行為の度に自らの体を傷つけました
私は彼女が喜ぶことならなんだってしました
もっと気持ちよくなりたいというので背中にも傷を付けてあげました
血を一緒に飲んだりしました
彼女の傷が増える度に私は彼女との繋がりができていると思いました
幸い傷をつけた場所は服を脱がさない場所ばかりだったので、私と彼女だけの秘密となりました
そして昨日、私と彼女はいつもと同じように行為を行いました
そして同じように傷を付けていきました
その日は普段よりも傷を付ける数が多かったです
「もっと……一つの目で集中して鈴仙を見たい……」
彼女の喜びは私の喜びです
私はナイフで彼女の片目を突き刺しました
体を仰け反らせ震える彼女
彼女が自らの手でナイフを引き抜くと彼女は笑って言いました
「これで、れいせんだけを、みて、いられ、る」
途切れ途切れにそういうと笑顔で彼女は私の体の上に倒れてきました
疲れて眠ってしまったのだろうと思い私も眠ることにしました
そして目を覚ますと、彼女は私の上で絶命していました
体を血まみれにして目を見開き笑顔で私の上に倒れていました
私は彼女を抱き起こし冷たくなった彼女の傷を舐めました
治る筈も無いのに、生き返るはずも無いのに
彼女の数え切れないほどの傷を舐めた後、私は彼女の頬に口づけをしました
そして、血の海に彼女を戻しました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「これが私の罪です」
全て話し終わると私は立ち上がり、懐からある物を取り出しました。それは銀色に光っています。
「これ、なんだかわかります?彼女を傷つけたのと同じ形のナイフです」
十字架に語りかけます。それは他人から見たらそれはそれは滑稽な姿だったでしょう。
「一度二人になった私には、一人になるのは辛いんです。だから、彼女の居ない世界になんて興味ありません。せめて、神様。アナタに慈悲があるならば彼女が味わった痛みを私に与えてください」
私は自らナイフを腹部に突き刺しました。しかし、痛くないのです。むしろ気持ちいいんです。
これが彼女の味わった痛みなのでしょうか?だとしたら、ずるいですね。彼女はこんなに気持ちいいことを私にさせていたんですから。
次々と私は自らの体に傷を創っていく。そのたびに体が仰け反る。
ダラダラと流れ出る私を生かしていた赤い液体が足元に広がっていきます。
「……あ」
意識が朦朧としてきたころ、私の目の前に彼女が現れました。
「……迎えに来てくれたんですか?」
彼女は笑顔で頷くと私が持ち上げるのもきついナイフに手を添えてくれました。すると不思議と持ち上げるのもきつかった手がらくらくと持ち上がるのです。
「ずっと一緒ですよ……ずっと……」
勢いよく、私は胸にナイフを突き刺した。
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翌日、鈴仙の死体は昨夜の蝋燭の火を不審に思った人間により発見された。
しかし、鈴仙の死体は古くなって壊れた十字架により体を潰されていた。
無事だった顔には笑みが浮かべられており、近くに落ちていたナイフの指紋から死因は自殺となった。
終
や、そんなに昔からいるわけでもないですが。
最近だとヤンデレとかで検索したほうが出やすいのかな、こういう話は。
個人的には好きな内容でした。
”受け付けない”と言われても、”ごめんなさい そういうお話なのです”としか言いようがない辺りとかw
なんだか怖かったです。
でもこんなひぐらしに似たような感じだと逆に他の人の批評が気になりますね。次回を書かれる場合はもっと明るい小説を頼みたいところです。
互いに求め合いながら、どちらにも迷いがあり、それが狂気になったのかな。
私が思っていたものよりもそういった描写がなくて読めました。
基本的には好まない読み物なんですけどね。(苦笑)
でも、読めてしまったことにこの評価を。
一言でいうとヘルレイザー思いだした。苦痛と快楽は紙一重ってね。
ただ正直言うと物足りない。
やるならとことんやっちゃうべきだと思います。
でもとことんやっちゃった作品はこっちには出せないかもしれないですね。
フリーレスということで。
けどこんな話も大好きです。
霊夢って鈴仙の狂気に当てられたんでしょうか?正直ただの狂った愛にしか…。
ところでよく見かけますね皇束篠秋s
霊夢は好きなので次も期待して待ってます。
なかなかに猟奇的な内容でしたが・・・・
まずなんとなく、『Sound Horizon』の、『Baroque』っていう曲みたいな感じがしました。
機会があったら聞いてみてください。
正確には、これで霊夢が拒否をしていたら・・・みたいな感じの曲なんですけどね。このとおりなら、どの道霊夢は助かりませんが・・・;
警告のおかげで警戒してましたが想像より悲惨な描写はなく、物語そのものは面白く楽しませていただきました。
創想話は八割方読んでいますが類似作は思い当たりません。
あまりグロいとは感じなかったです。すっきりと、むしろ綺麗な感じがして。