※設定拡大解釈・妄想設定注意※
霊夢が、死んだ。少なくともその時はそう思った。
何時のように紅魔館でパーティがあり、何時もの面子が顔を揃える、そんな何時もの日常だった。
宴もたけなわになった頃、事は起きた…パーティに呼ばれていた騒霊三姉妹のライブステージが突如崩れたのだ。
多分、萃香に全ての組み立てを任せず、一部を妖精メイドに手伝わせたのがいけなかったのだろう。
最初、何が起きたのか分からず呆然としていたが、すぐさま巻き込まれた者がいないか、怪我をしたものがいないかの
確認の声が上がり辺り一帯が騒然となった。そしてある事象が明らかとなった。博霊の巫女、霊夢の不在が。
その事が告げられた瞬間、周囲の空気が凍ったような気がした…
直ちに小鬼・萃香と紅魔館の主レミリアがその怪力でステージの残骸を速やかに、しかし慎重に取り除いていった。
私はただ見ていることしかできず無力だった。このときほど私の魔法が破壊しか出来ないのを悔やんだ事は無い。
永劫のような、しかしほんの数分ほどの此の世の終わりが来たかのような時間が過ぎ去った時、其れは残骸の下から姿を現した。
明らかに致死量を超えていると分かる、おびただしい量の血溜りと、よく見覚えのあるリボンの、切れ端…唯それだけだった。
霊夢の、体は無かった。間一髪で脱出したのかと考えたが、血溜りの量が其れを否定した。
何より霊夢はこの場に姿を見せていない。何故、其れだけが頭の中を駆け巡っていた。
この時になってようやく、もう一人この場から姿を消しているモノがいることが知れた…妖怪の賢者・八雲紫である。
ステージが突如として崩れたその時には確かにいたのだ。つまり霊夢の救助作業を尻目に姿を消したという事になる。
おかしい。
普段から八雲紫が霊夢に対して並々ならぬ好意を見せているのは誰しもが知っていた。にもかかわらず
あの状況で何もせず姿を消す。何故、どうして。疑念は尽きないが答えは出なかった。
その場にいた者たちで何がどうなったのか、霊夢は何処へ行ったのか。議論は尽きず、しかし答えは出ず夜が明けた。
そして誰が発案した訳でもなく、何かに導かれるように皆が皆、神社へ向かって飛び立った。
当たり前だが神社は何一つ変わる事無くそこにあった…いや、一つだけ気になることはあった。
先回りしているものがいたのだ。それはいつの間にか姿を消していた八雲紫、その者だった。
「あらあら、皆さんお揃いでどうしたのかしら、朝から宴会でも始めるのかしら?」
八雲紫は何時ものように話しかけてきた…昨晩、何も起きていなかったかのように。
私は無駄だと思いつつも疑問をぶつけた。霊夢はどうした、何故お前はあの場から姿を消した?
「霊夢?昨晩?何かあったかしらね・・・?」
ふざけるな!、そう叫ぼうとした瞬間、神社の奥から誰かが歩いてくる音がした。
会話が止まる。そして玄関まで近づいてきた足音が止まり、玄関が音を立てて開かれた。
「うるさいわねぇ、朝っぱらから何なのよ、もう!…って、雁首揃えて何やってんの、あんたたち」
そう、文句を言ってきたのは、昨夜血溜りだけを残して行方不明になったはずの博霊霊夢、その人だった。
残骸に潰され致命傷を負ったはずの彼女は何事も無かったようにそこにいた…傷一つ無く。
「あらおはよう、霊夢。…あぁ、ちょっと打ち合わせしてたのよ、今夜の宴会の事で」
この集まりは何事かと問う霊夢に紫はそう答えた。
…いや、そうじゃない。『昨晩はどうしたんだ?』、と私は霊夢に尋ねた。すると
「昨晩?何も無かったわよ。夕飯を食べて直ぐ寝て…何かあったの?」
霊夢はそう、本当に何も無かったかのように普段どおりの態度で答えた。そこには微塵も虚偽の匂いは感じられなかった。
「何、そのハトが豆鉄砲喰らったみたいな顔…まぁいいわ、私はこれから朝ごはんだから」
そうつげて、神社の奥へ戻っていった。もう何がなんだか分からなくなった。
「それで、何か聞きたいことがあるんじゃない?」
そうだ、この悠然とした態度の紫なら何か知っている筈だ、それに気づいて質問した。「昨日、何が起きたんだ?」
「そうね…何から話したらいいのかしら?」
そう紫は呟き、暫く思案していたようだが、考えが纏まった様で、しかし私に質問してきた。
「時に魔理沙、貴方先代の博霊の巫女…つまり霊夢の母親の事を観たり聞いたりしたことはあるかしら?」
何を突然、とは思ったが、そういえば何も知らなかった。霊夢は私が始めてあった時から一人だった。
家出する前、実家の道具屋に買い物に来た霊夢に会ったのだがその時既に一人だった気がする。
背丈や身なりも現在と何も変わらず…あれ?家出する前って何年前だ?子供の頃の霊夢はどんな感じだった?
「そう、居ないものは知らないわよね…あと、妖精とはどんな存在なのか、理解しているかしら?」
混乱する私を余所に彼女は再び意図不明の質問をしてきた。妖精…確か「自然現象の権化」だったか?
氷とか日光とか花とか分かり易い奴等から春みたいに漠然とした概念まで幅広い現象がある。
だが其れが一体霊夢と何のかかわりがあるというのだろうか?
「そうね、妖精は自然現象が具象化された存在…でもここ幻想郷には外の世界には無い現象があるわよね?」
外の世界には無くて幻想郷にはある、自然現象?『博霊大結界』、誰かがそう呟いた。…確かに自然現象の一つと
言えなくもない気がする。自然現象というものが世界を保つのに必要不可欠な要素だというならば確かに
博霊大結界は幻想郷に必要不可欠な『自然現象』と言えるかも知れない。しかし、其れが何だと言うのだろうか?
霊夢の件と何の関係が………いや、まて。馬鹿な、そんな筈が、霊夢が、しかし…
「そう、博霊の巫女、れい「言うなっ!」…霊夢は博霊大結界という自然現象の『妖精』のようなもの」
「先代を見た事が無いのも当たり前、産まれたのでなくて『発生した』唯それだけ。」
「昨晩、彼女は崩れたステージに押し潰され命を落とした、其れは確か」
「でも『妖精』の様なものなのだから、今朝新たに『発生した』、唯それだけよ。」
最初の、博霊大結界を展開した巫女は人間だったけれどね。そう彼女は呟いた。
私は呆然と立ち尽くし、そして・・・
…気がつくと、夕日が差し込む魔法の森の自宅のベッドで寝ていた。暫く呆けていたが「気がついたか」と声をかけられた。
振り向くと八雲紫の式、八雲藍の姿があったので何があったのか聞くと、あの時私は何かを叫びながら紫に殴りかかったそうだ。
彼女は何故か、避けず一発殴られたらしい。直後気力が尽きて気を失った私を紫が藍に命じて自宅まで運ばせたそうだ。
彼女に「霊夢のことは知っていたか」と聞いた。藍は「知らなかった」と答え、帰って行った。…その晩、私は唯泣き続けた。
一度崩れてしまった日常はもう、戻らないのだろうか。
あれからもう何年も博霊神社に行っていない…いや彼女にすら会っていない。
神社での宴会は続いているらしい。無論何度も誘われた。でも私は…
私はどうしたらいいんだろうな、霊夢・・・
他自幾キャラは耐久ってことでww
妖精のような存在とは・・・。
死んだりしたら新しい博麗の巫女として誕生するというのは
読んできましたが記憶などを持ったままというのがなんとも。
でも、私としてはちょっと尻切れのような感じがありますね。
……ところで霊夢は13代目なのは知ってますよね?
霊夢の在り方については様々な展開が望めますが、こういうのはちょっと新鮮でした。
でももう少し深く作った方がより惹き込まれやすいかなぁ、とも。
ジェットコースターでいうところの、上って下ってただそれだけといった様で、ちょっと拍子抜けしてしまいました。
個人的にはアフターストーりー的な感じで、魔理沙に紫、レミリアの心情を書いて欲しいです。
色々と裾野の広い作品だと思うので。
>21
霊夢って13代目だったのかww