※この作品は作品集その140「生々流転」の別視点の物語です。
読んでいなくても大丈夫かと思いますが、
読んでいただけると幸いです。
「ん、これは珍しい。ま、あんたなら不思議じゃないけどな。」
賽の河原で見かけた霊魂を見て、小野塚小町は正直に感想を述べる。
「珍しい?確かに、今までここに来ることは殆どなかったが、
今日という日が遅かれ早かれ来るのは当たり前じゃないか。」
小町の言葉にその霊魂―上白沢慧音は答えた。
「いや、その意味で言ったんじゃないよ。あんたの姿を見てちょっと驚いたんだ。」
「何かおかしいことでもあるのか?」
慧音は自分の姿を確認する。手も足もあるし、変な器官が飛び出ているわけでもない。
「周りを見てみな。完全な人型の霊魂なんて居やしないだろ?
しかも、私があんたに出会った頃の若い姿ときたもんだ。
普通、人型のまま来る霊魂は、稗田阿礼乙女のように儀式を行うか、
幽々子のような例外か、とんでもない妖力をもった妖怪しかいないからな。」
小町の言葉に従って周りを見る。見ると、霊魂らしきものがいくつか目に付くが、
それも白玉楼の庭師の半霊のような不定形だった。
「言われてみればそうだな。でも何故私が…。」
「徳を積んだんだよ。生前、徳を積んだ人間は人型の魂となる。
徳を積めば積むほどその姿は若く見えるそうだ。」
「そんな覚えはないのだがな。生前やってきたことと言えば、
寺子屋で授業したことと夜に人里の警備をしていたくらいなんだが…。」
「それを感謝する人間が多かったっていうことだろ。
あんたが聖人君子になっていたとは嬉しいねぇ、友人として鼻が高いよ。」
「聖人君子はよしてくれ、私はそんな柄じゃないよ。
ただの田舎教師に過ぎんさ。それよりも、舟を出してはくれないだろうか。」
聖人君子、他人から見れば最もその言葉が当てはまりそうなのだが、
慧音自身はそんな自覚は無かった。むしろ、くすぐったくて止めてもらいたい、そんな気分だった。
これ以上、褒められるのはかなわないとばかりに、小町に舟を出してもらうよう頼み込んだ。
「あいよ。友人の新たな門出だ、ご覧の通り小さい舟だが大船に乗ったつもりで任しといてくれ。
もっとも船賃は負けることは出来ないけどね。」
「ふっ、こちらとしても貴女に送ってもらえるのは願ったり叶ったりだ。宜しく頼むよ。」
三途の川を一艘の舟がゆっくりと横切っていく。慧音の遺言どおり副葬品の類は殆どなかったためか船賃は小額しかなかったが、
それが却って二人には好都合だった。川幅は非常に長くなるため、十分に思い出話に花を咲かせられた。
お喋り好きな小町がいつにもまして饒舌になる。接点こそ少なく性格も正反対の二人ではあったが、仕事柄、人を諭すことが多く、
お互いにお節介と言えるほどお人好し。馬が合った。
「…本当、あいつらに参ったよ。咲夜は堅物で話題が合わなくて話にならんし、
魔理沙は生前の悪行からか話せるような状態じゃなかったし、
早苗は集めた信仰ですぐに神格化しちまうし、霊夢はどんなずるをしたのか、こっちには顔を出さずに渡っちまったみたいだし。
顔見知りということでサービスするつもりが無駄骨になっちゃったからねぇ。」
「それは災難だったな。しかし、あいつららしい。早苗の時は私も良く覚えてるよ。
いよいよ出棺するという時に『早苗、帰って参りましたー!』だったからな。
神奈子は盛大にずっこけて御柱を何本も倒すわ、諏訪子は泡吹いて倒れるわ、本当酷い有様だったよ。
で、魔理沙はやっぱり地獄に落とされたのか?」
「残念ながら判決は黒。まあ、返すものは残さず返してたから二泊三日で済んだけどね。来世は懲りてくれるといいんだけど。」
「全くだ。教え子の中にあいつに憧れるのも何人かいて、悪影響を与えないかいつも冷や冷やしてたよ。
努力家なのは認めるが、あの手癖の悪さだけは頂けなかったからな。」
「そうそう、あんたにとっては面白くないかもしれんが、四季様はあんたの教え子の裁きを喜んでたよ。」
「四季様が?」
「ああ、今のところ判決は全て白、善行を数えるのが大変だと楽しそうだったよ。
あたいも何人か運んだが、大抵は普通に話せたよ。言葉は出せないのも居たけど思念では会話できたしね。
皆、あんたのことを感謝してた。」
「…そうか。少しはあの子達の役に立てたのかな?」
「何人も見送ってきたのは辛かっただろうけど、間違いなくあんたはいい道標になったんだ。
自慢したって罰はあたらないさ。あたいが保証する。」
「ありがとう…。教師として最高の賛辞だよ。」
それからも二人は延々と話し続けた。笑みはこぼれ、涙もこぼれ、夢のような時間は過ぎていく。
しかし、何事にも終わりはやってくる。気付くと舟の舳先は彼岸の岸辺を打っていた。
「到着だよ、ここから先を真直ぐ歩けば是非曲直庁に迷わず着くよ。」
「悪かったな、長い時間漕がせてしまって。」
「なあに、心行くまでお喋り出来たんだ。むしろ、礼を言うのはあたいの方さ。」
「小町、見送りありがとう。達者でな。」
「そっちも、来世も聖人君子になっとくれ。こんなに楽しい渡しなら何度でもやりたいからね。」
「そう、貴女は一人で何でも抱え込み過ぎる。それ故に周りに要らぬ心配を掛けることが多かった。
一体、何人の胃を苦しめたか分かりますか?」
慧音は四季映姫の説教―裁きを受けていた。どんな小さなことでも見逃さず細かく指摘する。
生前は苦痛であったが、それが今では何故か心地好い。
「一方、貴女は子供への教育や人里の守護などを献身的に行った。
それがどれほどの人を救ったか、数えればキリがありません。あなたの教え子は誰一人として道を踏み外すことはありませんでした。」
映姫の言葉に思わず耳が赤くなる。面と向かって褒められるのはあまり経験がない。嬉しいよりも穴に入りたいという気分になる。
「そして、聖職者でないにも関わらず徳を積んだという事実。それこそが貴女の積んだ善行を物語っています。
故に、貴女に褒美を与えることとしましょう。」
「褒美?」
意外な言葉に慧音は耳を疑った。自分のしてきたことは、ただ自分が好きだったからやっただけのこと。
それが賞賛に値すると言われてもピンと来ない。それに褒美と言っても何を貰えばよいのか。
菓子を貰っても食べるのはかなわず、本を貰っても転生したらそれまでの知識は一切無くなる。何を貰っても無駄ではないのか。
「ええ、今後の行く末を貴女が決めなさい。極楽でゆっくり過ごすのもよいでしょうし、
来世を今生よりずっと恵まれた環境で生まれることも自由です。
個人的な願いですが、是非曲直庁に勤める道もあります。
貴女ならきっと良い閻魔になるでしょう、推薦状も喜んで書きますよ。」
「私が自由に選んでよいと?」
「貴女はそれが許される人生を歩みました。」
今後の行く末を自分で決める。思わぬ褒美に慧音は面食らう。
今まで、閻魔―映姫が決めるとばかり思い込んでいたので一切考えていなかった。
いや、考えないようにしていた。生前、それも若い時分から自分の死後を考える度にある人物の顔が頭によぎっていた。
その人物のことを考えるとある選択肢が思い浮かぶ。
そして、それは絶対に叶わないことであり、輪廻から外れる大それたことであると自覚していた。
だからこそ、考えないようにしてきたのだ。だが、頭で分かっていても心は納得できていない。
「一つ、質問してもよろしいか?」
慧音は確かめたくなった。歴史上、前例が無いことを閻魔はどう判断するのか、
その答えを聞けば、自分の気持ちを整理できるのではないか。
「構いません。答えられることなら何なりと。」
映姫は穏やかな口調で答えた。
「全ての魂は必ず彼岸に辿り着けるのだろうか?」
「輪廻から外れなければ必ず裁きを受けることになります。」
「それが死を望めない者であっても?」
「ええ。変化のないことはありません。存在する全ての事象は絶えず変わりつつあります。
風は吹いてもいずれは止み、雨は降っても必ず日は差し、生命は生まれれば死を迎えます。
また、夜空に輝く星々はいつかは燃え尽きてなくなり、神々とて消滅する日が来ます。
そして、理も同じこと。不変の理など存在せず、常に変化していきます。
極端なことを言えば彼岸と此岸が入れ替わる事だっておかしくないのですよ。」
映姫は言いよどむことなく、はっきりと答えた。しかし、それは慧音の望む答えではなかった。
もし、映姫が正反対の答えを出してくれれば、せめて、歯切れ悪い回答であれば慧音は自分の考えを諦めることが出来ただろう。
だが、映姫は死なない人間もいつかは死ぬ、そう答えたのだ。
「…私は今恐ろしいことを考えている。それは輪廻から外れることそのものだ。
小町は私のことを聖人君子だといい、貴女は来世の選択権を与えてくれた。
しかし、それは貴女達を裏切ることにしかならないだろう。
私は善人なんかではない、ましてや徳を積んだ人間でもない。人の期待を踏みにじる罪人でしかない…。」
慧音の考えが一気に加速する。
「答えなさい。あなたは何を望むのです?」
映姫は慧音を促した。
「あの娘を、可愛そうなあの娘を待ってやりたい。
一人ぼっちだったあの娘の側に常にいて、寂しさを忘れさせてやりたい。
良いことをすれば褒めて、悪いことをしたら叱って、
哀しんでいたら一緒に泣いて、嬉しかったら一緒に笑ってやりたい。
あの娘の死を望み、もう一度あの娘と一緒に生き、今度は一緒に死にたいんだ!」
慧音はまくし立てるように答えた。胸のうちにあった願望を一気に吐き出した。
「それが貴女の望む道なのですね。」
「…ああ、不老不死の人間の死を待つという、とんでもない選択だ。
ありえないことを待ち、人の死という不幸を望む。なんという下衆の考えることだろう。
それに、あなたは変化のないことはないと言ったが、それは憶測に過ぎないのだろう?」
「残念ながら、私はそんなに長くは生きていません。全ての始まりの時から生まれたわけではなく、
全ての終わりの時まで見続けたわけでもありません。しかし、」
映姫が驚くことを口にする。
「永遠、永劫、永久、それらの存在を否定すること自体は罪ではありませんよ。
私自身、信じていないのですからね。もし、そんなのが存在したら、罪を償うことなんで出来ないじゃありませんか。」
慧音は唖然とした。
「それに、あなたは『待つ』だけなのでしょう?それなら輪廻から外れるということにはなりません。
また、死を望むといっても、恨みからではなく、正しく生きて幸せに生涯を閉じて欲しいということでしょう?
それを願うのは家族、あるいは友人としてごく当たり前のことですよ。なにも間違ってはいませんよ。」
映姫は笑っていた。慧音の望みを否定せずに、それを受け止めた上で笑っていた。
慧音が何を望んでいたか、始めからわかっていたのだろう。
「良いでしょう、それを望むのなら私も協力します。何も間違っていないのですから。」
大それた願いがあっさりと聞き届けられた。そのことに慧音は拍子抜けし、その場にへたり込んだ。
それを見て映姫は軽く笑うが、すぐに少し顔を曇らせる。
「ただ、非常に辛い時間を過ごすことになります。文字通り、永劫の時間の中で待ち続けるだけ。
それは地獄に落ちるより厳しいかもしれませんよ。」
「それは構わない。いや、その程度なら苦にはならん。あの娘も同じ苦しみを味わうのだ、弱音なんか吐けんさ。」
今度は慧音がはっきりと言い切った。同じ苦しみを味わえるのだ、
それは慧音にとって彼女の苦しみを理解できる絶好の機会だ。何を戸惑うことがあろうか。
ただ、不安なことは一つだけ。
「しかし、本当によいのか?」
自分の願いは本当に受け入られるのか。そのことを確認したかった。
「あなたはそれが許される、と言いました。この言葉に偽りはございません。それとも、閻魔が嘘をついているとでも?」
そう言って映姫はいたずらっぽく微笑んだ。
その日から慧音は是非曲直庁で過ごすようになった。
ただ、待つだけというのは気が引けたため、映姫に無理を言って書類作成などの事務処理の手伝いをさせてもらった。
生前よりこういった事務仕事を行っていたためか他の死神よりも手際がよく、いつしか映姫の専属秘書となっていた。
また、映姫の裁きにも同席するようになっていた。霊魂を見続けていくうちに霊魂の違いが分かるようになり、
次第にそれが誰のものか判別できるようになった。自分の教え子の裁きには気が気ではなかったが、
誰一人として道を踏み外した者はおらず、改めてそのことを映姫から褒められ恐縮した。
顔見知りの人間の魂が来なくなる頃には、今度は妖怪の魂がこぞって訪れるようになった。
妖怪の方が遠慮が無いのか、中には映姫を無視して慧音に話しかけてきて、その度に映姫は雷を落としたり、
またはずっと泣き止まないので映姫に代わって慧音がなだめたりもした。
そのうちに顔見知りの妖怪も裁きを受けるようになっていた。
大抵は若い頃のままの姿でやってくるものだから、如何に自分の周りがとんでもない大妖怪だらけだったか思い知ることとなった。
命蓮寺の面々はみな、仏や菩薩、あるいは明王となっていた。仏となった聖からは、
「貴女の選択は正しいと思います。貴女に御仏の加護がありますよう。」
と言われた。勇気付けられた。
スキマ妖怪の式達には驚かされた。中でも直接の式であり、筆頭たる藍は神仏の如き風格で慧音には近づくことはおろか、
直接見ることも躊躇われるほどだった。実際、神格化してもおかしくないほどであったが、
彼女は強い意向でもう一度キツネとして生まれ変わりたい、もう一度紫の式として側でお仕えしたいとして、
来世での転生を選んだ。別れ際に、
「貴女の気持ちは痛いほど分かる。頑張れ、必ず再会できるよ。」
と激励の言葉を貰った。堪らなく嬉しかった。
鈴仙にも会った。師の永琳と同じ医師となり、生前は治療のために幻想郷中を駆け巡っていたそうだ。
以前のような臆病さは影を潜め、永琳に良く似た雰囲気の女医となっていた。
彼女は慧音に永遠亭や竹林、人里の近況、そして一番知りたかったことをほんの少しだけ知らせてくれた。
「先は長いだろうけど、楽しみにしてなさい。」
その言葉は新たな希望をもたらした。
さらに年月はたち、映姫や小町が任期を終えたとして是非曲直庁を去る日が訪れた。
それでも慧音は特例として是非曲直庁に残ることが許され、後任の閻魔の補佐を頼まれた。
「大丈夫、貴女の願いは必ず叶います。そうでなかったら、私は自分を黒と断罪せねばなりません。」
「あたいらの言葉を信じなさいな。」
その後も慧音は彼女の魂が来ることを待ちながら是非曲直庁で過ごした。
いつしか、是非曲直庁の生き字引――とは言っても既に死んだ身なのだが――として死神には勿論のこと、
閻魔にすら頼られるようになっていた。幾人もの閻魔を補佐し、幾千人もの死神を指導し、幾億もの魂の裁きを見守り過ごした。
再び映姫が閻魔に、小町が幻想郷担当の死神に再任して少し経ったある日、とうとうその時が訪れた。
ある霊魂が映姫と慧音の前に現れた。人型ではなかったし、言葉はおろか、思念すらも曖昧で会話にすらならなかった。
本人にも自分が何者か分かっていないのだろう。だが、慧音はそれが誰だか分かった。涙が溢れた。
「あなたは生前に盗みを働き、家を飛び出しました。」
映姫が淡々と罪状を読み上げる。
「もう、分かりますよね?あなたは到底許されることのない大罪人なのです。」
慧音はそれを黙って聞いている。結局、救えなかったのか、と改めて無力感を感じる。
しかし、それが事実なのだろう。それに、公明正大に罪を裁かなくてはならない。
たとえ、知人でも裁きには手心を加えてはならないし、敵であっても必要以上の責を与えてはならない。
長年裁きを見守り続けていた慧音にはそのことの重要性を理解していた。
「そんな気の遠くなるような時間を百万遍繰り返してもあなたの罪は寸毫も許されることはないのです。」
彼女は映姫にとっても友人である。それなのに断罪せねばならない。その心中を慮るとやりきれなくなる。
彼女は地獄に落とされるだろう。そして、間違いなく永遠の苦しみを味わうことになる。
なら、自分の進むべき道は一つだ。彼女と一緒に苦しもうではないか。
いや、どんなに苦しくとも、彼女にだけは笑顔を向けて勇気付ける、それこそが自分の選んだ道じゃないか。
「だが、あなたはその罪深い一生の中で唯一人、真の友を見つけました。」
その言葉に慧音は目を見開いた。
「その人は自身の人生の大半をあなたの為に費やしてきました。
いつも、あなたの為に心を砕き、傷つくことにも躊躇いませんでした。
それどころか、命、いや、魂すら惜しまず差し出そうとするほどでした。」
横目で映姫を見る。映姫は優しく微笑んでいた。全て分かってますよ、と言わんばかりに。
「その事実は、真の友を得た事実は、即ちあなたの善行でもあるのです。
どんな善人でも真の友を得ることは容易いことではありません。
むしろ、友人を見つけられないまま生涯を閉じるのが普通でしょう。
そう、あなたは誰もが成し遂げられない善行を積んだのですよ。」
映姫の判決が下る。
「それ故に、もう一度あなたにやりなおす機会を与えましょう。
ある人間の魂とともにもう一度、人間として生きるのです。
そして、二度目の生涯を終えたときに改めて裁きを行うとしましょう。」
そこまで言うと映姫は慧音に目で促した。
『行っておあげなさい。』
気がつくと小町も側にいた。
『信じて正解だったろ?』
慧音は駆け出した。一体何年待ったであろうか。
千年?万年?
そんなに短くは無い。
億?兆?
いや、まだ足りない。
永劫。
そう、この言葉通りの時間を待っていたのだ!
待ち望んでいた彼女の元へひた走る。不定形だった霊魂が人型へ変わっていく。
完全に人の形になったその時、慧音はその胸元に飛び込んだ。
「待ちくたびれたぞ、馬鹿妹紅!」
「け…い…ね?」
人の姿に戻った妹紅は状況が飲み込めておらず、ただただ呆然とするばかり。
慧音は堰を切ったように妹紅に縋り付いて泣くだけだった。二人の様を見て映姫は肩の荷が下りたような気がした。
そして、妹紅に彼女なりの激励の言葉を送り閉廷とした。
「ではお行きなさい。
もう一人の魂はあなたが来るのをそこで待っていたのですから。
文字通り、永劫の如き時間を過ごしながら…。
良いですね?今度こそ、道を違わぬよう…。」
読んでいなくても大丈夫かと思いますが、
読んでいただけると幸いです。
「ん、これは珍しい。ま、あんたなら不思議じゃないけどな。」
賽の河原で見かけた霊魂を見て、小野塚小町は正直に感想を述べる。
「珍しい?確かに、今までここに来ることは殆どなかったが、
今日という日が遅かれ早かれ来るのは当たり前じゃないか。」
小町の言葉にその霊魂―上白沢慧音は答えた。
「いや、その意味で言ったんじゃないよ。あんたの姿を見てちょっと驚いたんだ。」
「何かおかしいことでもあるのか?」
慧音は自分の姿を確認する。手も足もあるし、変な器官が飛び出ているわけでもない。
「周りを見てみな。完全な人型の霊魂なんて居やしないだろ?
しかも、私があんたに出会った頃の若い姿ときたもんだ。
普通、人型のまま来る霊魂は、稗田阿礼乙女のように儀式を行うか、
幽々子のような例外か、とんでもない妖力をもった妖怪しかいないからな。」
小町の言葉に従って周りを見る。見ると、霊魂らしきものがいくつか目に付くが、
それも白玉楼の庭師の半霊のような不定形だった。
「言われてみればそうだな。でも何故私が…。」
「徳を積んだんだよ。生前、徳を積んだ人間は人型の魂となる。
徳を積めば積むほどその姿は若く見えるそうだ。」
「そんな覚えはないのだがな。生前やってきたことと言えば、
寺子屋で授業したことと夜に人里の警備をしていたくらいなんだが…。」
「それを感謝する人間が多かったっていうことだろ。
あんたが聖人君子になっていたとは嬉しいねぇ、友人として鼻が高いよ。」
「聖人君子はよしてくれ、私はそんな柄じゃないよ。
ただの田舎教師に過ぎんさ。それよりも、舟を出してはくれないだろうか。」
聖人君子、他人から見れば最もその言葉が当てはまりそうなのだが、
慧音自身はそんな自覚は無かった。むしろ、くすぐったくて止めてもらいたい、そんな気分だった。
これ以上、褒められるのはかなわないとばかりに、小町に舟を出してもらうよう頼み込んだ。
「あいよ。友人の新たな門出だ、ご覧の通り小さい舟だが大船に乗ったつもりで任しといてくれ。
もっとも船賃は負けることは出来ないけどね。」
「ふっ、こちらとしても貴女に送ってもらえるのは願ったり叶ったりだ。宜しく頼むよ。」
三途の川を一艘の舟がゆっくりと横切っていく。慧音の遺言どおり副葬品の類は殆どなかったためか船賃は小額しかなかったが、
それが却って二人には好都合だった。川幅は非常に長くなるため、十分に思い出話に花を咲かせられた。
お喋り好きな小町がいつにもまして饒舌になる。接点こそ少なく性格も正反対の二人ではあったが、仕事柄、人を諭すことが多く、
お互いにお節介と言えるほどお人好し。馬が合った。
「…本当、あいつらに参ったよ。咲夜は堅物で話題が合わなくて話にならんし、
魔理沙は生前の悪行からか話せるような状態じゃなかったし、
早苗は集めた信仰ですぐに神格化しちまうし、霊夢はどんなずるをしたのか、こっちには顔を出さずに渡っちまったみたいだし。
顔見知りということでサービスするつもりが無駄骨になっちゃったからねぇ。」
「それは災難だったな。しかし、あいつららしい。早苗の時は私も良く覚えてるよ。
いよいよ出棺するという時に『早苗、帰って参りましたー!』だったからな。
神奈子は盛大にずっこけて御柱を何本も倒すわ、諏訪子は泡吹いて倒れるわ、本当酷い有様だったよ。
で、魔理沙はやっぱり地獄に落とされたのか?」
「残念ながら判決は黒。まあ、返すものは残さず返してたから二泊三日で済んだけどね。来世は懲りてくれるといいんだけど。」
「全くだ。教え子の中にあいつに憧れるのも何人かいて、悪影響を与えないかいつも冷や冷やしてたよ。
努力家なのは認めるが、あの手癖の悪さだけは頂けなかったからな。」
「そうそう、あんたにとっては面白くないかもしれんが、四季様はあんたの教え子の裁きを喜んでたよ。」
「四季様が?」
「ああ、今のところ判決は全て白、善行を数えるのが大変だと楽しそうだったよ。
あたいも何人か運んだが、大抵は普通に話せたよ。言葉は出せないのも居たけど思念では会話できたしね。
皆、あんたのことを感謝してた。」
「…そうか。少しはあの子達の役に立てたのかな?」
「何人も見送ってきたのは辛かっただろうけど、間違いなくあんたはいい道標になったんだ。
自慢したって罰はあたらないさ。あたいが保証する。」
「ありがとう…。教師として最高の賛辞だよ。」
それからも二人は延々と話し続けた。笑みはこぼれ、涙もこぼれ、夢のような時間は過ぎていく。
しかし、何事にも終わりはやってくる。気付くと舟の舳先は彼岸の岸辺を打っていた。
「到着だよ、ここから先を真直ぐ歩けば是非曲直庁に迷わず着くよ。」
「悪かったな、長い時間漕がせてしまって。」
「なあに、心行くまでお喋り出来たんだ。むしろ、礼を言うのはあたいの方さ。」
「小町、見送りありがとう。達者でな。」
「そっちも、来世も聖人君子になっとくれ。こんなに楽しい渡しなら何度でもやりたいからね。」
「そう、貴女は一人で何でも抱え込み過ぎる。それ故に周りに要らぬ心配を掛けることが多かった。
一体、何人の胃を苦しめたか分かりますか?」
慧音は四季映姫の説教―裁きを受けていた。どんな小さなことでも見逃さず細かく指摘する。
生前は苦痛であったが、それが今では何故か心地好い。
「一方、貴女は子供への教育や人里の守護などを献身的に行った。
それがどれほどの人を救ったか、数えればキリがありません。あなたの教え子は誰一人として道を踏み外すことはありませんでした。」
映姫の言葉に思わず耳が赤くなる。面と向かって褒められるのはあまり経験がない。嬉しいよりも穴に入りたいという気分になる。
「そして、聖職者でないにも関わらず徳を積んだという事実。それこそが貴女の積んだ善行を物語っています。
故に、貴女に褒美を与えることとしましょう。」
「褒美?」
意外な言葉に慧音は耳を疑った。自分のしてきたことは、ただ自分が好きだったからやっただけのこと。
それが賞賛に値すると言われてもピンと来ない。それに褒美と言っても何を貰えばよいのか。
菓子を貰っても食べるのはかなわず、本を貰っても転生したらそれまでの知識は一切無くなる。何を貰っても無駄ではないのか。
「ええ、今後の行く末を貴女が決めなさい。極楽でゆっくり過ごすのもよいでしょうし、
来世を今生よりずっと恵まれた環境で生まれることも自由です。
個人的な願いですが、是非曲直庁に勤める道もあります。
貴女ならきっと良い閻魔になるでしょう、推薦状も喜んで書きますよ。」
「私が自由に選んでよいと?」
「貴女はそれが許される人生を歩みました。」
今後の行く末を自分で決める。思わぬ褒美に慧音は面食らう。
今まで、閻魔―映姫が決めるとばかり思い込んでいたので一切考えていなかった。
いや、考えないようにしていた。生前、それも若い時分から自分の死後を考える度にある人物の顔が頭によぎっていた。
その人物のことを考えるとある選択肢が思い浮かぶ。
そして、それは絶対に叶わないことであり、輪廻から外れる大それたことであると自覚していた。
だからこそ、考えないようにしてきたのだ。だが、頭で分かっていても心は納得できていない。
「一つ、質問してもよろしいか?」
慧音は確かめたくなった。歴史上、前例が無いことを閻魔はどう判断するのか、
その答えを聞けば、自分の気持ちを整理できるのではないか。
「構いません。答えられることなら何なりと。」
映姫は穏やかな口調で答えた。
「全ての魂は必ず彼岸に辿り着けるのだろうか?」
「輪廻から外れなければ必ず裁きを受けることになります。」
「それが死を望めない者であっても?」
「ええ。変化のないことはありません。存在する全ての事象は絶えず変わりつつあります。
風は吹いてもいずれは止み、雨は降っても必ず日は差し、生命は生まれれば死を迎えます。
また、夜空に輝く星々はいつかは燃え尽きてなくなり、神々とて消滅する日が来ます。
そして、理も同じこと。不変の理など存在せず、常に変化していきます。
極端なことを言えば彼岸と此岸が入れ替わる事だっておかしくないのですよ。」
映姫は言いよどむことなく、はっきりと答えた。しかし、それは慧音の望む答えではなかった。
もし、映姫が正反対の答えを出してくれれば、せめて、歯切れ悪い回答であれば慧音は自分の考えを諦めることが出来ただろう。
だが、映姫は死なない人間もいつかは死ぬ、そう答えたのだ。
「…私は今恐ろしいことを考えている。それは輪廻から外れることそのものだ。
小町は私のことを聖人君子だといい、貴女は来世の選択権を与えてくれた。
しかし、それは貴女達を裏切ることにしかならないだろう。
私は善人なんかではない、ましてや徳を積んだ人間でもない。人の期待を踏みにじる罪人でしかない…。」
慧音の考えが一気に加速する。
「答えなさい。あなたは何を望むのです?」
映姫は慧音を促した。
「あの娘を、可愛そうなあの娘を待ってやりたい。
一人ぼっちだったあの娘の側に常にいて、寂しさを忘れさせてやりたい。
良いことをすれば褒めて、悪いことをしたら叱って、
哀しんでいたら一緒に泣いて、嬉しかったら一緒に笑ってやりたい。
あの娘の死を望み、もう一度あの娘と一緒に生き、今度は一緒に死にたいんだ!」
慧音はまくし立てるように答えた。胸のうちにあった願望を一気に吐き出した。
「それが貴女の望む道なのですね。」
「…ああ、不老不死の人間の死を待つという、とんでもない選択だ。
ありえないことを待ち、人の死という不幸を望む。なんという下衆の考えることだろう。
それに、あなたは変化のないことはないと言ったが、それは憶測に過ぎないのだろう?」
「残念ながら、私はそんなに長くは生きていません。全ての始まりの時から生まれたわけではなく、
全ての終わりの時まで見続けたわけでもありません。しかし、」
映姫が驚くことを口にする。
「永遠、永劫、永久、それらの存在を否定すること自体は罪ではありませんよ。
私自身、信じていないのですからね。もし、そんなのが存在したら、罪を償うことなんで出来ないじゃありませんか。」
慧音は唖然とした。
「それに、あなたは『待つ』だけなのでしょう?それなら輪廻から外れるということにはなりません。
また、死を望むといっても、恨みからではなく、正しく生きて幸せに生涯を閉じて欲しいということでしょう?
それを願うのは家族、あるいは友人としてごく当たり前のことですよ。なにも間違ってはいませんよ。」
映姫は笑っていた。慧音の望みを否定せずに、それを受け止めた上で笑っていた。
慧音が何を望んでいたか、始めからわかっていたのだろう。
「良いでしょう、それを望むのなら私も協力します。何も間違っていないのですから。」
大それた願いがあっさりと聞き届けられた。そのことに慧音は拍子抜けし、その場にへたり込んだ。
それを見て映姫は軽く笑うが、すぐに少し顔を曇らせる。
「ただ、非常に辛い時間を過ごすことになります。文字通り、永劫の時間の中で待ち続けるだけ。
それは地獄に落ちるより厳しいかもしれませんよ。」
「それは構わない。いや、その程度なら苦にはならん。あの娘も同じ苦しみを味わうのだ、弱音なんか吐けんさ。」
今度は慧音がはっきりと言い切った。同じ苦しみを味わえるのだ、
それは慧音にとって彼女の苦しみを理解できる絶好の機会だ。何を戸惑うことがあろうか。
ただ、不安なことは一つだけ。
「しかし、本当によいのか?」
自分の願いは本当に受け入られるのか。そのことを確認したかった。
「あなたはそれが許される、と言いました。この言葉に偽りはございません。それとも、閻魔が嘘をついているとでも?」
そう言って映姫はいたずらっぽく微笑んだ。
その日から慧音は是非曲直庁で過ごすようになった。
ただ、待つだけというのは気が引けたため、映姫に無理を言って書類作成などの事務処理の手伝いをさせてもらった。
生前よりこういった事務仕事を行っていたためか他の死神よりも手際がよく、いつしか映姫の専属秘書となっていた。
また、映姫の裁きにも同席するようになっていた。霊魂を見続けていくうちに霊魂の違いが分かるようになり、
次第にそれが誰のものか判別できるようになった。自分の教え子の裁きには気が気ではなかったが、
誰一人として道を踏み外した者はおらず、改めてそのことを映姫から褒められ恐縮した。
顔見知りの人間の魂が来なくなる頃には、今度は妖怪の魂がこぞって訪れるようになった。
妖怪の方が遠慮が無いのか、中には映姫を無視して慧音に話しかけてきて、その度に映姫は雷を落としたり、
またはずっと泣き止まないので映姫に代わって慧音がなだめたりもした。
そのうちに顔見知りの妖怪も裁きを受けるようになっていた。
大抵は若い頃のままの姿でやってくるものだから、如何に自分の周りがとんでもない大妖怪だらけだったか思い知ることとなった。
命蓮寺の面々はみな、仏や菩薩、あるいは明王となっていた。仏となった聖からは、
「貴女の選択は正しいと思います。貴女に御仏の加護がありますよう。」
と言われた。勇気付けられた。
スキマ妖怪の式達には驚かされた。中でも直接の式であり、筆頭たる藍は神仏の如き風格で慧音には近づくことはおろか、
直接見ることも躊躇われるほどだった。実際、神格化してもおかしくないほどであったが、
彼女は強い意向でもう一度キツネとして生まれ変わりたい、もう一度紫の式として側でお仕えしたいとして、
来世での転生を選んだ。別れ際に、
「貴女の気持ちは痛いほど分かる。頑張れ、必ず再会できるよ。」
と激励の言葉を貰った。堪らなく嬉しかった。
鈴仙にも会った。師の永琳と同じ医師となり、生前は治療のために幻想郷中を駆け巡っていたそうだ。
以前のような臆病さは影を潜め、永琳に良く似た雰囲気の女医となっていた。
彼女は慧音に永遠亭や竹林、人里の近況、そして一番知りたかったことをほんの少しだけ知らせてくれた。
「先は長いだろうけど、楽しみにしてなさい。」
その言葉は新たな希望をもたらした。
さらに年月はたち、映姫や小町が任期を終えたとして是非曲直庁を去る日が訪れた。
それでも慧音は特例として是非曲直庁に残ることが許され、後任の閻魔の補佐を頼まれた。
「大丈夫、貴女の願いは必ず叶います。そうでなかったら、私は自分を黒と断罪せねばなりません。」
「あたいらの言葉を信じなさいな。」
その後も慧音は彼女の魂が来ることを待ちながら是非曲直庁で過ごした。
いつしか、是非曲直庁の生き字引――とは言っても既に死んだ身なのだが――として死神には勿論のこと、
閻魔にすら頼られるようになっていた。幾人もの閻魔を補佐し、幾千人もの死神を指導し、幾億もの魂の裁きを見守り過ごした。
再び映姫が閻魔に、小町が幻想郷担当の死神に再任して少し経ったある日、とうとうその時が訪れた。
ある霊魂が映姫と慧音の前に現れた。人型ではなかったし、言葉はおろか、思念すらも曖昧で会話にすらならなかった。
本人にも自分が何者か分かっていないのだろう。だが、慧音はそれが誰だか分かった。涙が溢れた。
「あなたは生前に盗みを働き、家を飛び出しました。」
映姫が淡々と罪状を読み上げる。
「もう、分かりますよね?あなたは到底許されることのない大罪人なのです。」
慧音はそれを黙って聞いている。結局、救えなかったのか、と改めて無力感を感じる。
しかし、それが事実なのだろう。それに、公明正大に罪を裁かなくてはならない。
たとえ、知人でも裁きには手心を加えてはならないし、敵であっても必要以上の責を与えてはならない。
長年裁きを見守り続けていた慧音にはそのことの重要性を理解していた。
「そんな気の遠くなるような時間を百万遍繰り返してもあなたの罪は寸毫も許されることはないのです。」
彼女は映姫にとっても友人である。それなのに断罪せねばならない。その心中を慮るとやりきれなくなる。
彼女は地獄に落とされるだろう。そして、間違いなく永遠の苦しみを味わうことになる。
なら、自分の進むべき道は一つだ。彼女と一緒に苦しもうではないか。
いや、どんなに苦しくとも、彼女にだけは笑顔を向けて勇気付ける、それこそが自分の選んだ道じゃないか。
「だが、あなたはその罪深い一生の中で唯一人、真の友を見つけました。」
その言葉に慧音は目を見開いた。
「その人は自身の人生の大半をあなたの為に費やしてきました。
いつも、あなたの為に心を砕き、傷つくことにも躊躇いませんでした。
それどころか、命、いや、魂すら惜しまず差し出そうとするほどでした。」
横目で映姫を見る。映姫は優しく微笑んでいた。全て分かってますよ、と言わんばかりに。
「その事実は、真の友を得た事実は、即ちあなたの善行でもあるのです。
どんな善人でも真の友を得ることは容易いことではありません。
むしろ、友人を見つけられないまま生涯を閉じるのが普通でしょう。
そう、あなたは誰もが成し遂げられない善行を積んだのですよ。」
映姫の判決が下る。
「それ故に、もう一度あなたにやりなおす機会を与えましょう。
ある人間の魂とともにもう一度、人間として生きるのです。
そして、二度目の生涯を終えたときに改めて裁きを行うとしましょう。」
そこまで言うと映姫は慧音に目で促した。
『行っておあげなさい。』
気がつくと小町も側にいた。
『信じて正解だったろ?』
慧音は駆け出した。一体何年待ったであろうか。
千年?万年?
そんなに短くは無い。
億?兆?
いや、まだ足りない。
永劫。
そう、この言葉通りの時間を待っていたのだ!
待ち望んでいた彼女の元へひた走る。不定形だった霊魂が人型へ変わっていく。
完全に人の形になったその時、慧音はその胸元に飛び込んだ。
「待ちくたびれたぞ、馬鹿妹紅!」
「け…い…ね?」
人の姿に戻った妹紅は状況が飲み込めておらず、ただただ呆然とするばかり。
慧音は堰を切ったように妹紅に縋り付いて泣くだけだった。二人の様を見て映姫は肩の荷が下りたような気がした。
そして、妹紅に彼女なりの激励の言葉を送り閉廷とした。
「ではお行きなさい。
もう一人の魂はあなたが来るのをそこで待っていたのですから。
文字通り、永劫の如き時間を過ごしながら…。
良いですね?今度こそ、道を違わぬよう…。」
ただ個人的に、前作で妹紅の「友人」が慧音とも輝夜とも解釈しうる所に非常な魅力を感じていたので、明確に答えが出てしまったのは、我が儘ながら残念でした。
前作でも似たようなことを書いたのですが、もう少し腰を据えて書いてみたらどうでしょう? あっさりと流してしまうには惜しいシーンがいくつか見受けられます。
言う事なしです。
重々承知しております。…今後はこういう作品極力出さないようにします…。
>3 様
有難うございます。
前回で慧音だと分かるように書いていたので今回は明確に出してしまいました。
妹紅の場合は輝夜、あるいは慧音とも深く突き詰められるのが魅力だと思います。
>4 鈍狐 様
前回に引き続き有難うございます。
渡し賃に関して完全に誤解していました…。完全に勉強不足です…。
今回は自分なりに煮詰めたつもりでしたが、まだまだ甘かったですね。
後半以降はご指摘通りだと思います。
今後の課題として注意していきます。
宜しければ今後もお願い致します。
>5 奇声を発する程度の能力 様
調べたら、一般的に六文銭で固定みたいです。最近では紙に印刷した物を棺に入れるのが殆どですね。
>6 様
100点と言う高評価、誠に有難うございます。
感無量です!
読み手にとってはほんの一瞬なのが惜しい点ですね。
慧音が長い間待ち続けたことをもっと読み手に実感させられたら、とてもよい小説だったと思います。
泣かされるとは思いませんでした
有難うございます。
読み返してみるとご指摘の通り、中盤以降が薄く感じられました。
次回以降の課題として精進したいと思います。
宜しければ今後もお願い致します。
>14 様
有難うございます。
その言葉、今後の励みになります!
中盤に少し違和感を覚える箇所があったけど、些細なことだ
有難うございます。
中盤の違和感は自分の力量不足ですが、それでも100点という高評価。
本当に有難うございます。励みになります。
>17 様
有難うございます。
感想の言葉、まさに作者冥利につきます。本当に有難うございます。
>18 様
有難うございます。
前回も読んでくださり、今回は100点という高評価。
本当に有難うございます。宜しければ次回作もお願い致します。