ある夜のこと。図書館にて。
私は、レミィにどうやって運命を操るのか訊いた。
彼女は本をめくる手をとめ、思案して、視線を上げずに、喘息みたいなものよ、と答えた。
ほんの少しばかりの非難を込めて、本から顔を上げ、レミィを視るが、彼女は読書を再開していた。
心の中で肩をすくめて本に目を落とす。
ぺらり、ぺらりと頁をめくる音だけの時間がしばらく続いた。
私は、喘息もふくめてパチェが好きよ、とレミィが言った。
私は彼女を見る。
レミィは、退屈そうに頬杖をつき、膝にのせた本を読んでいる―――が、私は知っている。
音をさせていたのは、私だけだったということを。
さっきよりたっぷりと間をおいてから、レミィは小さい声で、パチェもそうだったら、うれしい、と言った。
私は、そうね、とだけ答えた。
どちらともなく目を合わせ、レミィも私も、ほんの小さく微笑んだ。
やがて二人が読書を再開すると、後にはぺらり、ぺらりと頁をめくる音だけが残った。
仲良しさんですね。仲良しなのに、距離を探りあってみる2人が可愛いです
これだけの文字数でしっかりと二人の関係が伝わってくるのが凄い
短くても物語が感じられるものを書けるのは羨ましいですね。