映姫「あなたにはまだ未練がある。故に成仏することができません。
だからあなたにはその未練を晴らしてもらわねばばなりません。
じゃないとあなたに判決を下すことができません」
?(魂)「………」
映姫「そのため、いったんあなたに仮の肉体を与えます。
ただし、この肉体は誰にも感知されることはありません。
三日間だけ猶予を与えます。この期間の間にあなたの未練を断ち切ってください―――――
――――――レイラ・プリズムリバーさん」
レイラ「はい……わかりました………」
(私の未練といったら、『あの事』しかない…………)
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それは私たちがまだ幻想郷を知らなかった頃まで遡る
私がまだ生きていた頃のプリズムリバーと言えば、当時にあった有数の貴族の一つだった
そのプリズムリバー家の伯爵には4人の娘がいて
長女のルナサ、 次女のメルラン、三女のリリカ、そして四女の私レイラという名前だった
私たち四姉妹はとても仲が良く、いつも庭や館の中で遊んでいて、そばを離れることなんてトイレとかお風呂くらいなものだった
あ、お風呂も皆で入ってたっけ?
この辺りの事はもう思い出せないが、仲が良かったことは確かだ
私たち四姉妹は毎日ずっと一緒に過ごしてきた
これからもずっと一緒だと思っていた…………
ある日、私たちのお父様が何かを見つけてきて、歓喜の声をあげていました
当時の私たちにはその品がさっぱりでしたが、どうやら幻想郷というところのマジックアイテムだったそうです
そのアイテムは私たちの家に大きな問題を起こしました
ずっと一緒だと思っていたお姉様方との離散です
四人はそれぞれ別々の家に引き取られてしまい、離れ離れになってしまいました
私は、この家を離れたくはなかった
お姉様たちとの思い出の詰まったこの家から離れることなんてできなかった
そうして、私はこの家に残る事にした――――
離れ離れになってから月日が経ち、プリズムリバー邸から昔の面影が消えていった頃
お父様の持っているマジックアイテムの影響だろうか
私は『ポルターガイスト』という不思議な力を持つようになっていた
この力を持った当時は、この力を使う事に躊躇いを持っていたため、決して他人に言う事はなかった
これから先も使う事はないだろうと思っていた
だけど、私は――――――――――――
・
・
・
伯爵「何やってるんだ! このバカ娘!」
私が怒られてるのは、お父様の大切な骨董品をきれいに割ってしまったからだ
レイラ「ご、ごめんなさい、お父様…」
伯爵「ええい、だまれぇ! お前はとことんどんくさい奴だな! やはりお前はだめなやつだ! ―――――
――――――いや、お前だけじゃない! お前ら姉妹は皆クソな奴だ! 貴様らの騒ぎ声にはうんざりしていたんだ! 大体――――― 」
レイラ「ぇ、」
それを聞いた瞬間、私の耳にはもう何も聞こえてこなかった
大好きなお姉様たちを侮辱された
その事だけが頭の中になかった…
伯爵「――――――― 。 おい、聞いてるのか! レイラ!」
レイラ「――――でください」
伯爵「なにぃ。 聞こえんぞ」
「ぉ、お姉様たちを侮辱しないでください!」
伯爵「き、貴様ぁ! 誰に向かって口をきいてる!」
ドゴッ
レイラ「きゃあああ」
突然殴られた
それだけでは足りなかったようで、私を持ってた杖や足でひたすら叩かれていた
レイラ「痛っ、い、痛い、です、お父様…」
伯爵「私に、口ごたえした罰だ! そんな減らず口を言わないようにするためのなぁ!」
ドガッ バシッ ドゴッ
殴られてるうちに、私の意識は段々と落ちていくのがわかった
これはもう怪我で済まされる状況ではなくなっていた
このままでは死ぬ
レイラ「だ、誰か、たすけ……」
伯爵「―――――――――――――――」
お父様の声もいよいよ分からなくなってきた
このままでは死んでしまう
死にたくなかった
生きて生きて、いつかお姉様たちとまた一緒に暮らすんだ!
そのためなら私は――――
レイラ「あああああああああああああああああああああああ」
伯爵「な、なんだ?! 何が起こっている!!? き、貴様ぁ! 何をしたぁ!!」
――――――― 私はこの力を使おう ―――――――――
伯爵「な、何だこれは……。 ば、化け物め……」
館中がまるで地震が起きたかのように大きく揺れている
館にいる人たちは大パニックになっていた
ここにいるお父様も例外ではない
そんな中、私だけは違う理由で混乱していた
私の目の前には、三人の幽霊が浮かんでいた
その姿は私がよく知っていて、一番大好きな人の姿に似ていた
そう、その姿は――――――
レイラ「お、おねえ、さま………?」
――――――上の姉たちの姿にそっくりであった
そこから急に視界が白くなり
ここで意識が途絶えた……
・
・
・
レイラ「ぅ、うぅん…」
どの位経っただろうか
けれど少なくとも2,3時間とかは経ってそうだった
レイラ「…………ここは?」
今周りに見えるのは確かにプリズムリバー邸でさっきと同じところにいる
だがこの疑問はそうではなく、窓の外の景色が私の知らない世界に変わっていたからだ
私はとりあえず館の外に出た
視界に入る限り、辺り一面は草木でいっぱいだった
私が知ってる場所ではないとここで確信した
レイラ「……ここは………何処なの?」
誰かが答えてくれるなんて思ってはいなかったが、つい口にしてしまった
?「ここは幻想郷。 あなたがいた世界とはすぐ隣にあって一番遠い世界」
だから後ろからこの疑問を答えてくれるなんて思いもしなかった
レイラ「! あなたは………誰?」
緊張と驚きで口が動かなかったが、何とか冷静さを取り戻して絞り出すように尋ねた
紫「私は八雲 紫。結界を操る妖怪ですわ。 以後、お見知りおきを」
彼女はそういうと意外にもすんなりと、そして丁寧に挨拶してくれた
レイラ「………私はレイラ・プリズムリバー。で………八雲さん、あの、幻想郷とは?」
幻想郷といえば、お父様の持っていたマジックアイテムだ
そのことについて少し知りたかった
紫「幻想郷ね~……そうね、あなたの世界で忘れ去られたものが流れ着く先かしらね」
レイラ「忘れ去られたもの……ですか」
紫「まあ、入ってくるのはそういうものだけじゃないけど……」
そういうと八雲 紫はこっちを見つめてきた
紫「さて、ここに来るからには、あなたは誰かに存在を忘れられたのか、もしくは特別な力の持ち主かってことになるわね」
レイラ「特別な……力?」
紫「例えば、私なんかは『境界を操る程度の能力』といったところね。 ここに住む住人は、なにかしらの能力を持っているのよ。
あなたの場合もそうね。」
レイラ「私……ですか? 私にはそんなたいした能力なんて――――――」
紫「いいえ、持ってるじゃないの。 あなたは心霊現象、つまりポルターガイストを起こせるじゃないの」
レイラ「ポルターガイストか………………あ、そ、そういえば姉様たちは!?」
確か、意識がなくなる前に姉様たちを見た
私の見間違いかもしれないけれど、ひょっとしたら―――――
レイラ「八雲さん! 私の姉様たちを知りませんか?!」
―――――私と一緒に幻想郷に来てるかもしれない!
そして、境界を操る八雲さんなら知っているかも!
紫「あなたの姉? 最近ここ(幻想郷)に入ってきたのはあなたとあの屋敷だけよ?」
レイラ「そ、そんな……まさか……」
私はすぐに館に引き返した
きっと姉様たちは館内のどこかにいるんだと思ったからだ
紫「ちょっと、あなた――――――!」
八雲さんには悪かったけれど、もういてもたってもいられなかった
私は館中を探しまわった
元いた部屋はもちろん、一階から最上階まで館内を文字通り走りまわった
キッチンもお風呂もトイレも全部だ
・
・
・
レイラ「はあ…はあ…はあ…………」
結論からいえば、姉様たちはどこにもいなかった
やはり私の見間違いだったようだ
レイラ「はあ…はあ……ふぅ……」
とりあえず疲れた体と少し落ち着くために、私は近くにあった椅子へと腰をかけた
紫「あなた、大丈夫? まったくいきなり走りだすから驚いたじゃないの」
レイラ「きゃあ! ど、何処から現れたんですか?!」
さっきまでこの部屋には誰もいなかったのに………
紫「言ったでしょ? 私は境界を操る妖怪だって。 このくらい造作もない事よ」
レイラ「び、びっくりしました…もう、驚かさないでくださいよ……」
心臓が止まるかと思った―――
紫「ところで、さっきからあなたの傍にいるその幽霊たちは何?」
レイラ「え? ……………きゃああああああ!」
そう言われ、後ろを振り向くと幽霊が三人浮いていた
―――――本当に心臓が止まるかと思った……
紫「こ、こっちの方が驚くわよ……」
レイラ「す、すみませ……ん?」
改めて幽霊たちを見たら、その姿はどこかで見たことある気がしてきた
同時になぜか懐かしさに感じた
レイラ「お、おねいさまがた…………どうして……?」
紫「ふぅん、姉ってこの子たちのことだったのね」
レイラ「嘘……なんでお姉様たちが幽霊になっているの?……」
紫「落ち着きなさい、これは姿はあなたの言う姉たちかもしれないけど、あなたの本物の姉じゃないわ」
レイラ「え? どういうことですか?」
姿は姉様だけど、姉様じゃないって……
紫「この子たちは、あなたのポルターガイストの力によって生み出された幽霊よ。
だから本物の姉ではないわ、安心しなさい」
レイラ「そ、そういう事ですか……でもなんで姉様の姿を……?」
本物ではないと聞いて安堵はしたものの、次にその疑問が頭に浮かんできた
紫「そうね………ねえ、あなたはその力をいつ使ったのかしら? ひょっとしたら何か関係あるかもしれないわ」
そう言われ、私は悩んだ挙句紫さんにそのことを話した――――
紫「なるほど、ひょっとしたら……」
紫さんが何か分かったようだった
紫「その子たちは、あなたが彼女…つまり姉たちを求めたからじゃないの?
だからその子たちが生まれた可能性が高いわね…」
レイラ「そう、なんですか…」
つまり、この子たちは――――――――
―――――――――わたしの勝手なわがままのせいで……
紫「まあ、使い魔みたいなものと思っておけばいいのよ。 どうせなら名前も付けちゃいなさいよ」
レイラ「名前…ですか……」
*
*
*
あれから数年が経ち、今はすっかり幻想郷の住人として生活している
幸いにも私の住まいには困る事はなかったので、以前のような生活とあまり変わらないような生活ができている
以前と違うところといえば、当然家事を自分でもしなくてはならないことくらいだ
あと違っているのは、あの幽霊たちとも一緒に生活してること
あれから私の力が徐々に安定してきたため、彼女たちは言葉が話せるようになった
そして、彼女たちにもさすがに名前がないのは酷だったので姉様方の名前をそのまま名付けておいた
レイラ「ふぅ……」
ルナサ「レイラ」
レイラ「ルナ姉様。 おはようございます」
ルナサ「おはよう。 毎朝大変だね」
レイラ「ううん、そんなことないよ。 大変だけど、こう見えて楽しんでるからね」
ルナサ「そう、なら良かった。 私たちも何可手伝えることあったら言ってね」
レイラ「うん ありがとう」
メルラン「ふわぁ~~~~~」
リリカ「おふぁよぅ………ぐう……」
ルナサ「あ、あなたたち……しゃきっとしなさい。 全く、困った『妹たち』ね」
レイラ「クスクス…………」
そう、あれ以来私たちは『姉妹』として暮らしてきた
最初はお互い違和感を感じていたけど、偶然なのか彼女たちの性格や仕草が本当に姉様とそっくりだったので私は気軽に接することができた
そんな私の態度のおかげか、彼女たち――――――姉様たちも気軽に接してくれた
この数年間で私たちは本物の姉妹のようになれたのだ
レイラ「さて、今日一日もガンバろっと]
今日もまた一日が始まる……
*
*
*
長い長い歳月が過ぎ
ついに私の最期が来たようだった……
やはり人の人生は長いようで短いものだった
私は若くして不治の病にかかってしまった
ルナサ「レイラ………どうして…こんなことになるなんて………」
メルラン「ぅ、……グス……レイラ、しっかりしてよ…………グス」
リリカ「死んじゃ……やだよぉ………グス……」
レイラ「皆、もう泣かないで。 そんなに泣かれると、せっかくの顔が台無しですよ?」
リリカ「そんなこと言っても……レイラが………レイラが……」
レイラ「そんな、すぐに死ぬわけじゃないんだから。 大丈夫よ」
ルナサ「だ、大丈夫って言っても……」
メルラン姉さんやリリカ姉さんが泣いてるにもかかわらず、ルナサ姉さんはそれを堪えていた
私のためにこんなに涙を流してくれるなんて、私は優しい姉さんを持ててとても幸せだった――――
でも私は心の中で罪悪感を感じていた
私のわがままのせいで生み出してしまった彼女たちに姉妹の関係を求めてしまった
ひょとしたら彼女たちは私の事を心のどこかで恨んでたりしないだろうか
そんなことはないと信じてはいるが、やはり時々そう考えてしまう――――
レイラ「もう、姉さんたち泣かないでください。 私は姉さんたちが笑ってるところが見たいんですから。
それに、どの道私には時間に限りがあるのだから、最後まで姉さんたちの笑った顔がみたいです」
ルナサ「レイラ…………そうね、泣いてても仕方ないわね……」
メルラン「グス………でも、そんな笑顔なんて……作れないわ……」
レイラ「作れなくたって、笑顔は自然とでてくるものですよ?」
リリカ「レイラ………」
レイラ「だから、そんな顔しないで。 私は人間ですから、いつかはこうなる事です。
それまで姉さんたちの笑顔と思い出を、未来永劫忘れないようにこの魂に刻みたいんです………
だから、ね?」
ルナサ「ははは、全くどっちが姉かわかんないな」
メルラン「ふふふ、そうね」
リリカ「あはは」
レイラ「ふふふ」
こうして、私は命が尽きる最後まで姉さんたちと過ごした
いろんなところに出かけたりいろんな妖怪にも出会った
平凡な毎日だけど、不思議と退屈はしなかった
毎日がとても充実していた
―――――――そして、しばらくして私は死んだ
・
・
・
**********************************************************************************************
そう、私に判決が与えられないという事はまだなにか未練があるということ
それは『彼女たちを生み出してしまった事』だろう
もうその事に関しては未練なんてないと思っていたのに……
やっぱり私は後悔していたのだろうか……
レイラ『さて、姉さんたちはどこにいるのかな?』
プリズムリバー邸に行ってみたものの、姉さんたちは既に出かけたあとらしく誰もいなかった
屋敷の周辺にもいない様だから、遠出でもしたのだろう
レイラ『まったなあ、まああと二日あるから待っていれば会えることは会えるんだけど…』
久々に散歩したくなった
少しくらいなら大丈夫でしょと思い、幻想郷を散歩(浮いてるけど)することにした
レイラ(我ながら、閻魔様から逆らってるとはね…)
と、そんなことを考えて笑っていながら森の中を飛んでいた
しばらくすると森が開け視野が広がった
目の前にはおそらく湖があるらしく、少し霧がかかっていて遠くまで見えなかった
レイラ(へぇー。 こんなところもあったんだ)
すると霧の中から何か建物が見えた気がした
実際には目でとらえてないが、この霧の中でも感知できるほどの何かが感じられた
レイラ(あそこは…なんなのかしら?)
気になったのでそっちに足を運ぼうとした時
?「ぎゃーーーーーーーーーーー!!」
レイラ『! 何事?』
びっくりしたが、これも幻想郷では日常茶飯事なこと
興味津津で近づいてみると――――
レイラ『……』
妖精と思われるものが大ガマに食われているところだった
大妖精「チ、チルノちゃん! しっかりしてーーーーーーー!」
チルノ「だ、大丈夫……あたいったら、最強だか……(ごっくん)」
大妖精「チルノちゃーーーーーーーーーーーん!」
もう少しこのコントを見ようかと思ったけど、さすがに先を急いでいたため立ち去った
妖精さん、ご武運を…………
再び森を歩いてたら森を抜けたらしく、目の前には人里が広がっていた
昔に比べたら雰囲気が穏やかになった感じがしていて、だけど面影はしっかり残っていた
レイラ『そういえば、みんなで良く遊びに来てたな。 久しぶりだし、行ってみよっと』
人里に入ってみると、かなり賑やかになっていてもし私に実体があったらスラスラ前に進めないほどだった
レイラ(すごい、昔よりもお店の量が増えてる……)
私はその賑わいさによってしまうところだった
♪~
レイラ『?』
突然私の耳に音楽が入ってきた
その音楽が聞こえてくる方には里の人たちも集まっていた
レイラ(なにやってるんだろう?)
私はそれに惹きつけられるように近づいていった
だけど人混みが多すぎて奥の方が見れない
レイラ(ここで実体がないのは助かるわね)
さらにせっかく飛べるので私は人々の頭上から見ることにした
いわゆる特等席というやつだ
レイラ『さて、何が起こってるのかな~っと…………え!? ね、姉さん!!?』
そこには楽器を持って演奏してるルナサ・メルラン・リリカ姉さんがいた
レイラ『すごい、姉さんたち、こんな演奏で来たんだ……』
ルナサ姉さんがヴァイオリン、メルラン姉さんがトランペット、リリカ姉さんがキーボードを弾いている
さすが姉妹といったところか、音が混ざりあっていていいハーモニーを出していた
私はしばらく根さんたちの演奏に聴き惚れていた――――――
日が傾いたころ、人里の店が閉まり始め静まってきた
皆が家へと帰って行った
プリズムリバーの三姉妹も帰途についていた
リリカ「いや~今日も盛り上がってたね~。 まだライブの余韻が残ってるよ~」
メルラン「ホント、楽しかったわ~。 でも疲れた~お腹すいた~」
ルナサ「おいおい、疲れたはわかるがお腹すいたはないだろう。私たちは幽霊なんだから別に食べなくったって大丈夫でしょ」
メルラン「う~ん、それもそうなんだけど。 何か今日は食べたい気分なのよ!」
リリカ「あ、何かわかる。 ルナ姉、何か食べてこうよ」
ルナサ「はぁ、やれやれしょうがないな」
レイラ(ふふふ、みんな楽しそうで何よりだわ)
私は姉さんたちの後ろを追うようにして付いていってた
例え皆には見えないからって、こうしているとなんだか一緒に帰ってるようで、懐かしさが得られる
レイラ(そういえば、未練を晴らすと言っても喋りかけられないし触れられないんじゃ何もできないんじゃ…)
ふと閻魔様との事を思い出した。
何もできないんじゃ意味がないのでは……
レイラ(まさか、閻魔様に限ってそんな失態はないでしょう)
そんなことを考えていると姉さんたちが近くの屋台に入った
ちなみにここは森の中である
ルナサ「ここもう入って大丈夫?」
リリカ「大丈夫でしょ。 ここはそこんところアバウトだからね~」
メルラン「お腹すいた~~」
ミスチー「いらっしゃ~い。 お、珍しいね~」
ルナサ「たまには何か食べたいって話になってね。 この時間、ここくらいしか開いてないしね」
レイラ(へぇ~、妖怪がお店開いてるなんて珍しい)
ミスチー「今日もライブ活動してたらしいじゃないですか」
ルナサ「まあね、私たちの能力がそんなのだし、別に他にやる事もないしね」
メルラン「ん~~おいしい~」
リリカ「久々にたべたなぁ」
ミスチー「それにしても、あんたたちよく演奏してきてるね~。 何年間続けてんだい?」
ルナサ「さあね、もう覚えてないや。 もう何年続けたのやら モグモグ」
ミスチー「ふ~ん。 何か目的でもあるかい? ただ闇雲に演奏してるわけじゃないんでしょ?」
ルナサ「目的か…………そんなのはない、かな」
メルラン・リリカ「はふはふ……パクパク……モグモグ」
ミスチー「おや、意外だねえ。 まああんたたちの事だから楽しければすべてよしって感じかい?」
ルナサ「まあ、それもあるかな モグモぐ」
・
・
・
メルラン「あ~おいしかった~。 こんなに食べたら太っちゃうわ」
リリカ「大丈夫大丈夫。 私たち一応幽霊だから」
ルナサ「ごちそうさま。 おいしかったわ」
ミスチー「そう言ってもらえて嬉しいよ。 また来てね~」
レイラ(いや~メルラン姉さんとリリカ姉さん、大分食べてたなぁ。 いいな、太らないって……)
リリカ「そうそうルナ姉」
ルナサ「ん?」
リリカ「私たちは目的を持って『は』演奏してないよね?」
メルラン「ふふふ、うまくはぐらかしてたわね~」
ルナサ「! ふ、そうね。 『目的』はないわね」
レイラ『?』
ルナサ「ただ私たちは、『彼女』のために演奏してるんだものね」
メルラン「そうね…」
レイラ(『彼女』?)
ルナサ「笑顔をずっと見ていたいっていってたあの子との……ね」
リリカ「……レイラとのね」
レイラ『! 私との?』
メルラン「レイラったら最期までわかってなかったわね」
ルナサ「ふふふ、そうかもね」
リリカ「私たちが笑顔になれるのは……レイラのおかげだからね」
ルナサ「そう………だから私たちはこの幻想郷のどこかにいるレイラの魂に向けて演奏する……」
メルラン「音楽なら、遠くまで聞こえるしね♪」
レイラ『―――――!』
そうだったのね……それなのに私ってば…………
ルナサ「さ~て、明日も仕事あるからもう寝るか」
リリカ「そうだね♪」
メルラン「ふわぁ~~~ もう眠いわ……おやすみ……グウ」
リリカ「わっ! メル姉! こんなところで寝ないでよ!」
ルナサ「はぁ、全く、この子ったら………」
レイラ(………………未練なんて、考えるだけ無駄のようね)
私は彼女たちを生んでしまったことを後悔していた
なぜなら、私のわがままだけでしかなかったから
でも、彼女たちにとても私にとってももうかけがいのない家族になっていた
何を迷っていたのかな私…………
*
*
*
映姫「これでいいんですね? 八雲紫」
紫「ええ、四季映姫・ヤマザナドゥさん」
その頃、裁判所では四季映姫と八雲紫がいた
境界越しにレイラ・プリズムリバーを観察していたようだ
映姫「せっかく三日もあげたのに、たった一日で未練を断ち切ってくるなんて……」
紫「ふふふ、あの子らしいわね。 やることが早いわ」
映姫「ふぅ、あなたという方は何故彼女の為にこのようなことを頼んできたのですか?」
紫「さぁね。 ただ、昔のよしみでね。 全く最初から最後まで迷惑かけるんだから」
映姫「私はこの役を担ってきて、このようなことはありませんでしたから、二度目はありませんよ」
紫「その必要はないわ。彼女はもう大丈夫みたいだから」
映姫「そう……彼女の判決は決まっていたのだけれど、まあいい暇つぶしができたわ」
紫「あら? ここはそんなに暇になるほど仕事なかったかしら?」
映姫「はぁ、小町が仕事さえしてくれれば……そもそも―――――」
紫(あ、スイッチ入っちゃったみたいね。)
*
*
*
レイラ『さてと、姉さんたちを長く待たせないように、早く転生でもしますか』
そう言って裁判所の方へと向かって行った
もう躊躇いはない
迷いもない
またどこかで会える時を楽しみに―――――――
そして―――――――
彼女たちの笑顔を見るために―――――――――――
図らずも、のようですが
あなたの描くレイラのペースにぴったり、のような気がします。
すてきでした。
でも誤字脱字が目立ちました。そこが残念
話自体はやや急ぎ足の気もしますが、十分面白かったです。今後のお話も楽しみにしています。
レイラさんはよく知らなかったのでうまく書けたか不安だったのですが・・・
>6、8
指摘していただいたところはこれからssを書くに当たり注意していきたいと思います。
確かにこの文章ならセリフにわざわざ名前を付けなくても、誰が喋ってるのかちゃんと判ると思いますよ。
もっと自信を持って大丈夫です。