Coolier - 新生・東方創想話

The boundary of a smile.――中篇

2004/02/04 07:25:43
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 ずきずきと痛む頭を抑えながら、とりあえずこの場所を確認しようと、顔を上げる。
 ぎょっとした。
 目の前には、いつの間にか――それとも最初からそこに居たのか――少女が正座していた。
 年の頃は自分と同じくらいだろうか。紫の瞳に、金色の髪。西洋のお人形のような服に、これまたお人形のように整った顔立ちを乗せている。
 よくよく見ると、凄く綺麗な子だった。
『気が、つきましたか?』
 そう云って、その少女は微笑んだ。



           3/

 その日――紫は空を見ていた。
 夜空に散りばめられた光の粒。白く輝く上弦の月。
 それらは紫が発生した時からそこに在る。恐らくはその前も、そして紫が滅した後も。きっとそれらは在り続ける。
 願われずとも。望まれずとも。
 彼らはそこに在り続ける。
 彼らは彼ら自身で完結しているが故に、それを淋しいとも思わない。
 それは本質的に紫も同じだ。
 妖怪であるこの身は他者を必要としない。妖怪が妖怪であるためには、その現象にのみ因っていればいい。
 だが、八雲紫は彼らの様にはなれない。八雲紫と云う個は、ただそこに在ると云う事に満足できない。
 永劫は心を磨耗させ、孤独は身を引き裂いていく。
 だから紫は――愉しみを求める。
 結界に揺らぎを創り、偶の訪問者による刺激を。
 己が使い魔として式神を打ち、擬似的な家族を。
 そして今――友彦とのままごと遊びに興じる事を。
 それらは紫の心の虚を満たしてくれる。
 
 ――だけど。
 
 所詮それらはまやかしに過ぎない。
 永劫の長きに於てほんの一時だけの、無聊(ぶりょう)を慰める娯楽。
 眼を閉じて開ければ消えてしまう程の、そんなちっぽけな瞬間。
 そして――瞬間が永遠に追い付く事はない。


 ―――結局どう足掻いたところで。

 八雲紫は独りなのだ―――。


「――紫さーん!」
 下らぬ思索はそんな声に打ち破られた。
 紫はゆっくりと下を見る。
 そこには、ぶんぶんと手を振って微笑む友彦が居た。
「待ってて下さいねー! 今そこに行きますからー!」
 そう云って、友彦は紫の座る枝の連なった、大木の幹に手をかけた。見る間にぐんぐんとよじ登ってくる。結構な高さだと云うのに、それを怖れる風もない。
 器用なものだ、と紫は少し感心した。
「うわあ。綺麗ですねぇ」
 数秒の後、紫の隣に腰を下ろした友彦は目を輝かせながら空を見上げ、そんな事を云った。
「そうですか?」
 はい、と友彦は空を見たまま頷く。
「僕の家の近くは結構明るいんで、星とかあんまり見えないんです。だからこんなにいっぱい星を見たのは、初めてかもしれないです」
「ふうん。私は時々こうして星を見てるから、そう目新しいとは思わないのだけれど――」
 紫も再び空を見上げる。先程と――否、いつもと何も変わらない夜空。なのに何処か違うのは――二人で見ているからなのか。
 紫は小さく苦笑した。
 安っぽい幻想だ。己にはとても似合いそうもない。
 だが――偶にはそれに浸るのもいいかもしれない。
「――そうですね。云われてみれば、綺麗なのかもしれません」
 はい、と友彦は嬉しそうに笑った。
 二人でぼんやりと星を観る。ゆったりとした時間。悪くない沈黙。
「――ああ。何だか善い雰囲気ですねぇ」
 ぶち壊しである。そう云わなければ、もっといい雰囲気だったろうに。
 自然と、笑みが零れた。
「? 何ですか? 何か可笑しい事でも云いました? 僕」
 疑問符を浮かべて、友彦は紫を怪訝そうに眺める。
 ええ、と紫は頷き、更に笑う。衝動に任せて、声も上げて笑ってみた。何が何だか解らぬと云う様な友彦の顔が、更に笑いの壺を擽(くすぐ)る。
 高らかに、涼やかに、紫は気の済むまで笑い続けた。


「――ところで、一つ訊いていいかしら?」
 普段しない事をすると云うのは、実に気分が良い。すっきりとした気分で、紫は友彦に問いかけた。
「―――何ですか」
 ぶすっと唇を尖らせ、そっぽを向いて友彦は答える。どうも散々笑われたのが気に喰わなかったらしい。だが、
「貴方にとって――結婚とは何?」
 その紫の言葉に、友彦はあっさりと表情を改めた。切り替えが早いのか、それとも見た目ほどは怒っていなかったのか。真面目な表情で友彦は紫に顔を向ける。
「僕にとっての結婚、ですか――」
 そうですね、と友彦は眉宇を寄せ――至極あっさりと答えを出した。
「――愉しみ、です」
「―――愉しみ?」
 はい、と友彦は頷く。
「今――紫さんは僕と一緒に居て愉しいですか?」
 一瞬紫は言葉に詰まった。が――。
「――ええ。愉しいです」
 考えるより前に、その言葉は口をついて出た。何よりその事に紫は動揺し、
 そうですか、と嬉しそうに笑う友彦の顔に更に動揺した。
 己の感情を己自身で把握できていない。こんな事は初めてだった。
 でも――と友彦は続ける。
「それは一時のものだと思うんです。今僕と紫さんは、友達でしょう? 友達と一緒に居るのは愉しいです。でも、友達はいつか遠い場所に行ってしまう。今は同じ場所に居ても、きっといつか違う場所に行ってしまうんです。それは仕方のない事なんです。だけど、その友達との愉しみは、そこで終わってしまう」
 それは仕方のない事なんです、と友彦は繰り返す。
 紫はただ黙して、友彦の話を聞いていた。
「結婚と云うのは、その人と同じ場所にずっと一緒に居続ける事を、誓うことだと僕は思うんです。だから――僕にとって結婚と云うのは、愉しみを長く続ける事なんです。ずっとその人と一緒に居れば、きっといつまでも愉しいと――僕はそう思うんです」
 そう云って、友彦は笑った。
 青臭い、夢である。
 ずっと一緒、なんて在り得る訳がない。よしんばずっと共に居られたとしても、いつまでも愉しいなんて、在り得る訳が――ない。
 ――だけど。
 紫は想像する。
 藍と、橙と、そしてこの少年と、何時までも共に居続ける。毎日皆で騒ぎ、毎日皆で遊び、毎日皆で宴を始める。
 ――ああ。
 それは、なんて―――。
「――あ。そうだ」
 友彦は突如素っ頓狂な声を上げ、ポケットをごそごそと弄り始めた。
 出てきたのは、木製の茶色い箱だった。
 怪訝そうにそれを眺める紫に、友彦は箱を差し出す。
「これは?」
「今日のプレゼントです。開けてみて貰えます?」
 紫は頷き、箱を開けた。
 物静かな音色が、箱から溢れた。
 目を丸くする紫に、友彦は照れたように笑い、オルゴールです、と云った。
「オルゴオル?」
「はい。中の音楽の名前は僕も知らないんですけど、何だか紫さんに似合うかなと思って」
 ふうん、と紫は目を閉じ、耳を澄ました。
 それは、とても静かな調べ。でも何処かそれは不吉な、葬送曲じみていて――まるで、死と幻想を奏でたような旋律。
 なるほど、と頷き、紫は小さく唇を吊り上げた。確かに、この曲は己に相応しい。
「――多分、僕は臆病なんです」
 紫の様子を横目で眺めながら、ぼそりと友彦はそんな事を云った。
「え?」
 それが先程の会話の続きだと気付くのに、紫は数秒かかった。
 最早独白のように、友彦は続けた。
「仮令友達が違う場所に行ってしまっても、いつかはまた出会えるかもしれない。その時は、きっとまた愉しいでしょう。でも――出会えないかもしれない。その友達とは、それで本当に終わりかもしれない。それが、僕は怖いんです。だから――」
 真っ直ぐに――友彦は紫の顔を見る。

「――僕は貴女と一緒に居たいんです」

 紫は、言葉を失った。失わざるを得なかった。
 そんな事を云われたのは初めてだったから。
 そんな顔で見られたのは初めてだったから。
 惑うように、紫の心は震えた。畏れにも似た感情が湧き上がった。

「わた、しは――――」

「紫様」
 声は下からだった。
 次いで紫たちの座っている枝へ、藍がふわりと音も立てずに着地する。
「――あ。もしかして、お邪魔でしたか」
「――いいえ。どうしたの、藍」
 友彦は驚いたように目を丸くして藍を見ている。その様子に少し安堵して、紫は藍に先を促した。
 ――安堵して?
 ぎり、と誰にも気付かれぬよう、紫は歯を噛み締める。
 ――何だと云うのだ。
 この少年はただの人間の、しかも子供だと云うのに。
「少し、お耳を」
 そう云って、藍は紫の耳元に口を寄せる。
 囁かれた内容に紫は小さく眼を細め、頷いた。
「友彦さん。ここから独りで降りれるかしら?」
「え? あ、はい。木登りは得意なので」
 まだ呆然と藍を見ていた友彦は、その言葉にしきりに頷く。
 そう、と紫は微笑み、
「それでは――ここから降りたら少しの間、橙と遊んでいてくれるかしら。お客様が来たみたいなので、ね」
 友彦の返答を待たず、紫は一息に枝から飛び降りた。藍もその後に続く。
 矢張り音も立てず地面に着地し、紫は上を見上げた。呆気に取られた顔付きの友彦に軽く手を振る。
 呆気に取られたまま律儀に手を振り返してくる友彦に、紫は小さく苦笑し、小屋へ向けて歩き出した。












 眼を奪われるとはこう云う事を云うのか。
 自分は今酷くだらしない顔をしているのだろうな、と思いつつも眼が離せない。
 湧き上がったのは、狂おしいほどの嫉妬と羨望と、そして困惑だった。



               4/

 その男は、苛々としたように腕を組み、小屋の中で仁王立ちしていた。
 ぎい、と音を立てて開いた小屋の扉の方へ、ぎろりと充血した眼を向ける。
 年の頃は三十代半ば、と云ったとこだろうか。不健康そうな面だが、体格は角張っていて、がっしりとしている。
 正直、余り美味しそうには見えなかった。
「何だ、お前」
 小屋に入ってきた紫を睨めつけ、不躾(ぶしつけ)に男はそう云った。
 紫は微笑む。
「この小屋の主です。そう云う貴方は、何方かしら?」
 主ィ――と紫の質問には答えず、男は馬鹿にしたような視線を紫に向ける。
「何処の浮浪者だか捨て子だか知らねェがな、勝手に棲み付いといて小屋を自分のもの呼ばわりか? え? お前みたいな餓鬼が持ち主な訳がねェだろうがこら」
 威嚇するように歯を剥き出す男に、紫は慇懃に答える。
「さて。そう云われましても、ここは昔から私が棲んでいます。持ち主、と仰られても私以外には見当たりません」
「土地にゃ土地権、小屋にゃ所有権ってェものがあるんだよ馬鹿餓鬼が。お前がここの持ち主だってんなら権利書を見せてみろよ。持ってないんだろうがよ」
 ふ、と紫は微笑んだ。何時もの友彦や藍たちに見せる微笑みとは違う、不吉な笑み。
「ご心配なさらずとも、ここは人間の法は通りません。故に権利書などと云うものは必要ありません」
 あァ、と男は眼を剥き、そして小さく舌打ちした。
「まあそんな事はどうでもいいんだよ。友彦は何処だ」
 紫は、首を傾げた。
「さて――友彦さん、ですか?」
 とぼけんじゃねェッ――と男は叫び、ずかずかと紫の前まで詰め寄った。血走った眼で紫を見下し、低い声で脅すように囁く。
「ここに居るのは解ってんだよこら。俺はな、あいつの父親だ。隠し立てしやがると――お前、ただじゃすませねェぞ」
「父親―――?」
 紫の眉宇が僅かに寄り、探るように男を見た。
「ふうん。それにしては、余り似てませんね」
「煩ェよボケが。いいからさっさとあいつを出せ。さもねェと―――」
 拳を振り上げかけた男が、固まった。
「さもないと――何ですか?」
 紫が何をしたと云う訳でもない。ただ、男と視線を合わせただけだった。
 それだけで――男は動けなくなった。全身が小刻みに震える。
「な――何だ、お前―――」
 さて、どうしたものかと紫は考える。
 男を殺すのは容易い。力を持たぬただの人間など、一瞬でその存在を抹消出切る。
 だが――この男は友彦の父親だと云う。ならば、殺すのは拙(まず)い。
 ――拙い?
 当たり前のように出たその答えに、紫は困惑する。
 拙い訳が、ない。殺して、そして食べてしまえばいい。
 友彦とて同じだ。結局は――食べるために傍に置いているのだ。だから。
 だから。
 紫は――強く唇を噛んだ。血が出るほどに、強く。
 視線を男から外す。途端に、男は糸が切れたように崩れ落ちた。その全身からは汗が噴き出している。
「―――失せなさい」
 荒く息を吐く男に、紫は告げた。
「友彦も帰します。だから、もう二度と―――」
「父、さん?」
 振り向くと、そこには唖然とした表情の友彦が立っていた。



「叫び声が、聞こえたから――何かと、思って」
 震える声を出しながら、友彦は荒く息を吐く男を凝視する。
 それまで恐怖に引き攣っていた男の顔が、友彦を見て、見る見るうちに怒りの形相へと変わっていく。
「友彦――手前――」
 紫をすり抜けるように立ち上がり、男は友彦に近づいていく。
 何してやがんだこら、と男は有無を云わせず友彦を殴りつけた。倒れた友彦の胸倉を掴み上げ、無理矢理に持ち上げる。
「学校サボって夜に女と逢い引きか? いいご身分だなおい」
「ごめん――なさい」
「謝って済むと思ってんのか、こら。色餓鬼が調子に乗りやがって。俺が誰のために働いてると思ってんだ? あ?」
 がん、と男は戸口に友彦の体をぶつけ、更に胸倉を締め上げる。
 かは、と友彦の口から息が漏れた。
 紫は――ただじっとそれを見ていた。
 激昂して先程の恐怖まで忘れたのか、男はぎろ、と紫に視線を向ける。
「餓鬼二人で乳繰り合って愉しかったか? え? 人の息子を誑かしやがってよ。お前もただで済むと思うんじゃねェぞ。ここの事は警察に云って―――」
「紫さんは――何もしてません。僕が、勝手に―――がッ」
「手前は黙ってろよ」
 友彦を殴りつけて床に投げ捨て、男は紫に歩を進めようとした。
 その服の裾を、友彦が掴んだ。
「待って――父さん。紫さん、には」
「黙ってろっつったのが聞こえなかったか?」
 友彦の顔面に男は容赦なく膝蹴りを入れる。ぱッと鼻血が飛沫(しぶき)を上げた。
 それでも。
「いや――だ」
「――何だと?」
 友彦はその手を離さなかった。
 立ち上がり、頑なな意思を込めて父親を見上げる。
「駄目、です。いくら、父さんでも、紫さんに何かしたら、僕は」
「――友彦――お前――」
 男の表情が抜け落ちた。びくり、と身を竦ませる友彦の髪を優しく撫でる。
「父――さん?」
「――いつから、俺に意見できる程偉くなったんだ、お前は?」
 そう云って男は友彦の首筋を掴むと、その腹に膝をめり込ませた。身を折る友彦の後頭部に拳を打ち下ろす。
「俺があの牝餓鬼に何かしたら、何だって?」
 地面に叩きつけられた友彦の顔を蹴り上げる。
「云ってみろよ、おい」
 髪を掴み、男は友彦を引き上げる。
 友彦の顔は最早血に塗れていた。そして友彦はそれを拭おうともせず、ゆっくりと、笑った。
 す、と紫の瞳が細まる。
「何ニヤニヤしてやがんだよ手前!」
 狂ったように、男は更に友彦を殴る。
 それでも友彦は笑っている。痛みを全て押し込めて、微笑みを浮かべ続けている。
 もう――我慢できなかった。
「ふざけんな、ふざけんなよこの、餓鬼が!」
 そう云って振り上げた男の拳を、紫は掴んだ。
「なん―――!?」
「貴方――少し邪魔よ」
 振り返る男の額を、紫は軽く指で押した。
 それだけで男は白目を剥き、その場にばたりと倒れた。
「藍。橙」
 す、と音もなく、二人が紫の両隣に現れる。
「お客様のお帰りよ。向こう側の山に置いてきて」
「承知しました」
 藍は頷き、軽々と己より大きな男の体を肩に担ぐ。
 が、橙は動かない。細められた描眼にありありと殺意が浮んでいる。
「紫様――こいつ、殺していいですか」
 視線は藍が担いでいる男に向けられている。
 紫は、首を振った。
「駄目よ」
「でも――!」
「橙」
 静かな紫の声に、橙はびくりと身を竦ませる。俯いて、わかりました、と橙は頷いた。


 二人が去ったのを確認して、紫は友彦に視線を向ける。
 友彦は、呆然と座り込んでいた。
「立てるかしら?」
「あ――はい。大丈夫、です」
 手渡された手拭いを受け取り、友彦は顔の血を拭く。頬は腫れあがり出血は派手だったが、見た目ほど酷い訳ではなさそうであった。
 立ち上がり、友彦はおずおずと云った風に口を開く。
「あの――今、父さんに、何をしたんですか?」
「記憶と記憶を区切る境界を少し弄(いじく)って、今の出来事とここに来た事を思い出せなくしただけです。ついでに眠ってもらったけれど、別に大した事はしてないわ」
「そう――ですか」
 と友彦は頷き、ありがとうございます、と頭を下げた。
 紫は怪訝な顔で友彦を眺める。
「何故、礼を云うの」
「助けて、貰いましたから」
「違うわ」
 即座に否定する。助けた訳ではない。助けるのならば、もっと前に助けていた。
「我慢が――出来なかっただけです」
「でも――助けて貰ったことには、変わりありませんから」
 そう云って、友彦は微笑んだ。
 紫は、屹と友彦を睨みつけた。
 苛々する。今、はっきりと解った。己はこの少年を気に喰わない。
 共に居ても善いと思うほど気に入っているが――同時に殺してやりたいほど気に喰わない。
 だから、

「――貴方は気がついていない」

 紫は、もう終わりにする事にした。

「私が、貴方の思っているような者ではないと云う事に」

「――え?」
 友彦は怪訝そうに、紫を見た。その表情が、凍り付く。紫の瞳が爛、と輝いた。
 紫は今や隠すことなく、その身から妖気を放っていた。

「私が、人ではないと云う事に」

「どう――云う」
 息が出来ない。全身から冷や汗が吹き出た。目の前に居る少女から眼を離す事が出来ない。
 がくがくと震える友彦を見て、紫はふ、と微笑した。
 そして紫は、最後の言葉を放った。ままごと遊びの、終わりを告げた。


「私は、八雲紫。あらゆる境界を操り、幻想郷と人間界のすきまに棲む――人を喰らう妖怪よ」


と云う訳で前篇のコメントから逃げてきた訳ですがどっちにしろ謝らにゃならんのだろうなァと思いながらデスクトップの前で頭を下げております今晩は。
寝。で御座います。

中篇に関しては少々蛇足もとい補足を。
文中に紫様のテーマ曲たる『ねくろふぁんたじあ』を想起させるような表現を使って見たのですが、実際の『ねくろふぁんたじあ』は皆様もお知りの通り、激しい曲で御座います。
ですが、単音だけのオルゴオル風味にしてみると、これは静かな曲調になるのではと思いまして、え? 大抵の曲は単音にすれば静かな感じになるって?

ハハハ! よくぞ見破ったね明智君!
今時こんなネタが判る人が居るのか如何かは知らないが、私は気球にでも乗って颯爽と去る事にするよ!
中篇まで読んでくれた君! 愛してるよ! 
では後篇のコメントまでさようならだ! ハーハッハ!


寝。
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コメント



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なんでレスついてないんだろ。
次で完結なのかな。楽しみに読むぜ。