「はあ…」八雲紫は憂鬱だった。何せ今日は月に一回のあの日だったからだ。
「藍。」「何でしょうか。」「ちょっと行って来るわ。」「…別に紫様が行かなくとも私がやってきますよ?」
藍はどうやらこれから紫が何処に行って何をするのか分かっているようだった。それもそうだろう。毎月決まった日に行う定例行事なのだから。
「いいえ。こればかりは私がやるわ。…言っておくけど別にあなたがやるのに不満があるわけではないのよ。ただ…」
それを聞いて藍は呆れたようにほほ笑みながら言った。
「紫様が私達の事をちゃんと考えてくれているのは承知してますよ。でも出来たらもっと私達を頼ってくださいね。」
「藍…。ごめんなさいね…」
そういって八雲紫は隙間の中に消えていった。
空には満月が輝いていた。
20XX年 日本。
巨大な建物。整備された道路。未知の乗り物。
そこはかつて幻想郷と繋っていたとは信じられないぐらいに変わってしまっていた。故に、この変わってしまった世界では受け入られずに、幻想入りしてしまったものが沢山いた。その中には勿論妖怪も混じっている。妖怪が人間を喰うのは至極当たり前のことで、その為にも幻想郷の人間を増やさなければいけないのだが…
今回は神隠しをする為にこっちに来たのではない。
八雲紫はとりあえず余り人気のなさそうな場所に行き、今回の獲物を探すことにした。
狙う相手は…子どもでなければ誰でもいい。昔は犯罪者等にターゲットを絞っていたが、後になってそんな行為は無駄だと思い始めるようになった。何故なら紫自身も犯罪者を殺す人殺しに違いないのだから―
どんな理由をつけようとやってることは同じだ。幻想郷の存続の為だからしょうがない?
関係ない。やることは変わりないのだから。
紫はそう思いながら獲物を探すのだった…
やがて周囲の人間が二、三十人近くなるような場所を見つけた。
このくらいの人数かな…そう思って、紫は外から何が起こっているのか分からないように、周囲に結界をはった。
そして結界内にいる全ての人間の、『生と死の境界』を弄んだ。
一人の人間が道を歩いていた。その人間は次の瞬間には動くことが出来なくなっていた。
二人のカップルが楽しそうに会話していた。その会話は次の瞬間には聞こえなくなった。
しばらくして結界内の全ての人間の命を奪ったあと、隙間に人間を入れていった。
そうして何人もの人間を文字通り『消し』ていった。
「これくらいでいいかしら…」そう言って八雲紫は幻想郷に帰っていった。
辺りに残ったのは静寂だけである。
「ただいま…藍」「お帰りなさいませ、紫様」
藍は紫の突然の帰宅に驚いた感じもなく、ごく自然に返した。
「とりあえず、一ヵ月ぐらいならどうにかなる量の人間を捕って来たわ。明日、紅魔館に届けに行くの、よろしくね。」
そう言って八雲紫は自室に戻ろうとした。
「紫様…」「ん…、何?」「全て…一人で抱えようとしないでくださいね。」「…ありがとう、藍…でもこのことは私が何とかしなくちゃいけないの。幻想郷の管理をする者として…」「そうですか…でも私は貴方の式神です。だから紫様と同じ物を背をって行く義務があります。だから紫様、遠慮なく日々の苦しみを私に語って下さい。必ず、あなた様のお力になってあげられますから。」「藍…ありがとう。」
そう言って紫は藍にすがるように抱きついた。
紫は肩が震えていた。藍はその上から優しく抱き締めた。
いつしか満月は雲に隠れて消えていた。
「藍。」「何でしょうか。」「ちょっと行って来るわ。」「…別に紫様が行かなくとも私がやってきますよ?」
藍はどうやらこれから紫が何処に行って何をするのか分かっているようだった。それもそうだろう。毎月決まった日に行う定例行事なのだから。
「いいえ。こればかりは私がやるわ。…言っておくけど別にあなたがやるのに不満があるわけではないのよ。ただ…」
それを聞いて藍は呆れたようにほほ笑みながら言った。
「紫様が私達の事をちゃんと考えてくれているのは承知してますよ。でも出来たらもっと私達を頼ってくださいね。」
「藍…。ごめんなさいね…」
そういって八雲紫は隙間の中に消えていった。
空には満月が輝いていた。
20XX年 日本。
巨大な建物。整備された道路。未知の乗り物。
そこはかつて幻想郷と繋っていたとは信じられないぐらいに変わってしまっていた。故に、この変わってしまった世界では受け入られずに、幻想入りしてしまったものが沢山いた。その中には勿論妖怪も混じっている。妖怪が人間を喰うのは至極当たり前のことで、その為にも幻想郷の人間を増やさなければいけないのだが…
今回は神隠しをする為にこっちに来たのではない。
八雲紫はとりあえず余り人気のなさそうな場所に行き、今回の獲物を探すことにした。
狙う相手は…子どもでなければ誰でもいい。昔は犯罪者等にターゲットを絞っていたが、後になってそんな行為は無駄だと思い始めるようになった。何故なら紫自身も犯罪者を殺す人殺しに違いないのだから―
どんな理由をつけようとやってることは同じだ。幻想郷の存続の為だからしょうがない?
関係ない。やることは変わりないのだから。
紫はそう思いながら獲物を探すのだった…
やがて周囲の人間が二、三十人近くなるような場所を見つけた。
このくらいの人数かな…そう思って、紫は外から何が起こっているのか分からないように、周囲に結界をはった。
そして結界内にいる全ての人間の、『生と死の境界』を弄んだ。
一人の人間が道を歩いていた。その人間は次の瞬間には動くことが出来なくなっていた。
二人のカップルが楽しそうに会話していた。その会話は次の瞬間には聞こえなくなった。
しばらくして結界内の全ての人間の命を奪ったあと、隙間に人間を入れていった。
そうして何人もの人間を文字通り『消し』ていった。
「これくらいでいいかしら…」そう言って八雲紫は幻想郷に帰っていった。
辺りに残ったのは静寂だけである。
「ただいま…藍」「お帰りなさいませ、紫様」
藍は紫の突然の帰宅に驚いた感じもなく、ごく自然に返した。
「とりあえず、一ヵ月ぐらいならどうにかなる量の人間を捕って来たわ。明日、紅魔館に届けに行くの、よろしくね。」
そう言って八雲紫は自室に戻ろうとした。
「紫様…」「ん…、何?」「全て…一人で抱えようとしないでくださいね。」「…ありがとう、藍…でもこのことは私が何とかしなくちゃいけないの。幻想郷の管理をする者として…」「そうですか…でも私は貴方の式神です。だから紫様と同じ物を背をって行く義務があります。だから紫様、遠慮なく日々の苦しみを私に語って下さい。必ず、あなた様のお力になってあげられますから。」「藍…ありがとう。」
そう言って紫は藍にすがるように抱きついた。
紫は肩が震えていた。藍はその上から優しく抱き締めた。
いつしか満月は雲に隠れて消えていた。
自分としては四季映姫が最強じゃないかと思ってます。
演出でしょうけど「」の連続は読みづらいなぁ
紫自身も主食じゃないとはいえ人食いなわけで
いわゆるお食事の際にはまた良心の呵責みたいなのに悩まされるんでしょうかねえ
だからこそ我々に気付かれずに妖怪たちは人を食べていくことができる
確か妖怪は別に物を食べなくとも生きていけるという設定があったはず、それで妖怪が人を食べるのは生きるためではくただの嗜好だったとかって話だったと思ったが
まぁ吸血鬼は血を吸わないと生きていけないから別なんでしょうが
逆に言えば血さえあればいいわけで、人を殺す必要はないような気がしないでもない
まぁこういうダークな部分も幻想郷の一つの一面ではあるのでしょうが
冬眠準備が楽でいいね
良かったです
関係ないですが、紫と四季映姫が戦ったら、紫は負けますねぇ
指摘ありがとうございます。次の作品からは気をつけたいと思います。