AM11:00 ~マヨヒガ~
「……ん~っ、よく寝た」
布団から出て大きく伸びをする。
時計を見る。まだ11時だ。お天道様が登り切る前に起きるなんて、何十年ぶりかしら。今日はいい日ね。
私は朝食(?)も程々にマヨヒガを出た。
PM0:00 ~博麗神社~
「れーいむっ」
「出たな靴下」
「んもう、つれないわねぇ。せっかく来てあげたのに」
「誰が来いと言った」
最近、霊夢が驚かなくなった。耐性がついたらしい。
やはり今時後ろから突然ホールドなんて古いとは思っていたが……
仕方ない、今度からは霊夢の服の中から現れるか。胸の成長具合のチェックついでに。
「しっかしアンタは毎日毎日遊びくさって……藍がかわいそうだわ」
「まっ、失礼な。私だってちゃんと仕事くらいしてますわ」
「たとえば?」
「結界の管理」
「藍がやってるじゃない」
「結界の修理」
「それも藍でしょ」
「睡眠」
「それは皆やっている」
「私は皆より寝ているわ!」
「よく考えたら仕事でもないよなそれ」
軽口を叩きあっているうちに、霊夢がお茶のようなものを出してくれた。
「何これ薄い」
「博麗神社特性出涸らしよ」
「要するにただの出涸らしじゃないの」
「ごめんなさい、うちにはこれしかないの」
「あなたがいま手に持っている薄緑色の美しく透き通った液体はなんなのかしら」
「出涸らしよ」
「嘘をつけ」
「妖怪が飲んだら死ぬわ」
「妖怪が飲んだら死ぬお茶なんて初めて聞いたわ」
お互いに笑いあう。なんだかんだ言っても、霊夢とは気が合うのだ。
二人とも性格は正反対で、それでもどこか似ていて。
私は博麗 霊夢のことを、自分の娘のように思っている。
PM3:00 ~白玉楼~
「あ、こんにちは紫様。幽々子様に御用ですか?」
「こんにちは妖夢、特に用という用はないのだけれど、ちょっと遊びにね」
「そうですか。では私は幽々子様を呼んできますので、楽にしていてくださいね」
そういって妖夢はパタパタかけていった。可愛いわねぇもう。
「ごきげんよう紫、どうしたの今日は?」
「どうもしないけど、暇だったから遊びに来たのよ」
「そう、ゆっくりしていってね。こっちへいらっしゃい妖夢」
「? はい、なんですか幽々子さm…ひゃっ!?」
妖夢に呼ばれてやってきた幽々子は、突然妖夢を自分の膝に乗せた。
「な、な、なにするんですか幽々子様っ!!」
「ん~、妖夢と私のラブラブっぷりを紫に見せつけているの」
「見せつけないでくださいっ!!」
妖夢は口では抗議しているが、なんだかんだで幽々子の膝から降りようとしない。
アツアツだなぁこの二人。
「……な、なに笑ってるんですか紫様」
「ん? いやいや、二人ともおアツいな~と思って」
「っ!?か、からかわないでくださいっ」
そういうと妖夢は真っ赤になって下を向いてしまった。いじりがいがあるわぁ。妖忌とは大違い。
そのあとは、三人で痴話話に華を咲かせた。
刺激的なわけではない、平凡な会話。だけどその中に、確かなやすらぎと安心感がある。
お互いをよく知っているからこそ、安心して自分を出せるのだ。
私は西行寺 幽々子のことを、親友のように思っている。
そして魂魄 妖夢のことを、親友の娘のように思っている。
PM6:00 ~太陽の畑~
「ごきげんよう紫、今日は殺されに来たのかしら」
「ごきげんよう幽香、今日は殺しに来てあげたの」
物騒な挨拶を交わす。けれど言葉の割に彼女の目は、私に対する敬意が見て取れた。たぶん私もそうだったと思う。
つまり彼女とはそういう関係なのだ。特別仲が良いというわけでもない。かといって悪いというわけでもない。互いに競い合って罵り合いながらも、内では相手のことを尊敬し、最高の敵として称賛する。いわばライバルのようなものか。
「それにしてもあなたがここに来るなんて本当に久しぶりね。ほんとに殺されに来たの?」
「まさか。気が向いただけよ。それに、なかなかいいところじゃない?」
その言葉に偽りはなかった。色とりどりの花が、暮れかけの太陽に照らされて、きらきらと輝く。
素直に美しいと思った。
「へぇ、この素晴らしさが分かるなんて、流石は我がライバルね」
「あら、褒めていただけて光栄だわ、我がライバル」
幽々子たちの時とはまた違う、心地よい緊張感を含んだ会話。
相手の心理を探り、自分の心を読まれないように、終始余裕の笑顔を浮かべている。
そこには探り合いながらも、相手に対する不信感や不快感は全くなかった。
私は風見 幽香のことを、最高の好敵手だと思っている。
PM10:00 ~マヨヒガ~
「たっだいま~」
「遅いですよ紫様、何してたんですか」
長旅(?)から帰った私を、藍が出迎えてくれた。
「いろんな人たちと話してたのよ~、ずっとここにいたってつまんないでしょ?」
「……お夕飯の準備をしてきます」
そういうと藍は、くるりと私に背を向けて、さっさと台所に行ってしまった。
(あっちゃー、拗ねちゃったかな?)
私は足音をたてないように台所に忍び寄る。
案の定藍は、何をするでもなくぶつぶつ文句を言っていた。
「………まったく紫様は、いつもいつも私を差し置いていろんな人たちと遊んでばっかり………
しかも、ここにいたってつまんないって……私といてもつまんないということなのかっ」
最後に一言。
「……やっぱり私なんか、どうでもいいのかな…………」
ぽつりとつぶやいた彼女の寂しげな一言に、胸をえぐられた気がした。
なんでこう意地悪ばかりしちゃうかな……
自分自身に嫌悪を覚えつつ、後ろからそっと藍を抱きしめる。
「ごめんなさいね、意地悪ばっかりして。
藍があまりにも可愛いから、ついいじめたくなっちゃうのよ」
「…私より可愛い女なんて、たくさんいるじゃないですかっ」
ぷいっと顔をそらしてしまう。
そんな彼女がどうしようもなく可愛くて愛しくて、うなじに軽く口づけた。
「ひゃっ!?ゆ、紫様っ!?」
先刻の妖夢のような反応を見せる。
「バカね、貴女以上に大切な女なんているわけないじゃない」
「………ほんとうですか?」
「もちろんよ。」
私の手に、彼女の手が添えられる。
「……じゃあ、証明してくださぃ…」
顔を真っ赤にして、今にも消え入りそうな声で藍が囁いた。
「…ふふ、そうね。ずっと寂しい思いをさせちゃったもんね。」
寝室行きのスキマを展開する。
「言葉じゃなくて身体で教えてあげるわ。
私の一番は、貴女だってことをね…………」
――――――――――八雲 藍は、世界で一番大切な、私の想い人である。
「……ん~っ、よく寝た」
布団から出て大きく伸びをする。
時計を見る。まだ11時だ。お天道様が登り切る前に起きるなんて、何十年ぶりかしら。今日はいい日ね。
私は朝食(?)も程々にマヨヒガを出た。
PM0:00 ~博麗神社~
「れーいむっ」
「出たな靴下」
「んもう、つれないわねぇ。せっかく来てあげたのに」
「誰が来いと言った」
最近、霊夢が驚かなくなった。耐性がついたらしい。
やはり今時後ろから突然ホールドなんて古いとは思っていたが……
仕方ない、今度からは霊夢の服の中から現れるか。胸の成長具合のチェックついでに。
「しっかしアンタは毎日毎日遊びくさって……藍がかわいそうだわ」
「まっ、失礼な。私だってちゃんと仕事くらいしてますわ」
「たとえば?」
「結界の管理」
「藍がやってるじゃない」
「結界の修理」
「それも藍でしょ」
「睡眠」
「それは皆やっている」
「私は皆より寝ているわ!」
「よく考えたら仕事でもないよなそれ」
軽口を叩きあっているうちに、霊夢がお茶のようなものを出してくれた。
「何これ薄い」
「博麗神社特性出涸らしよ」
「要するにただの出涸らしじゃないの」
「ごめんなさい、うちにはこれしかないの」
「あなたがいま手に持っている薄緑色の美しく透き通った液体はなんなのかしら」
「出涸らしよ」
「嘘をつけ」
「妖怪が飲んだら死ぬわ」
「妖怪が飲んだら死ぬお茶なんて初めて聞いたわ」
お互いに笑いあう。なんだかんだ言っても、霊夢とは気が合うのだ。
二人とも性格は正反対で、それでもどこか似ていて。
私は博麗 霊夢のことを、自分の娘のように思っている。
PM3:00 ~白玉楼~
「あ、こんにちは紫様。幽々子様に御用ですか?」
「こんにちは妖夢、特に用という用はないのだけれど、ちょっと遊びにね」
「そうですか。では私は幽々子様を呼んできますので、楽にしていてくださいね」
そういって妖夢はパタパタかけていった。可愛いわねぇもう。
「ごきげんよう紫、どうしたの今日は?」
「どうもしないけど、暇だったから遊びに来たのよ」
「そう、ゆっくりしていってね。こっちへいらっしゃい妖夢」
「? はい、なんですか幽々子さm…ひゃっ!?」
妖夢に呼ばれてやってきた幽々子は、突然妖夢を自分の膝に乗せた。
「な、な、なにするんですか幽々子様っ!!」
「ん~、妖夢と私のラブラブっぷりを紫に見せつけているの」
「見せつけないでくださいっ!!」
妖夢は口では抗議しているが、なんだかんだで幽々子の膝から降りようとしない。
アツアツだなぁこの二人。
「……な、なに笑ってるんですか紫様」
「ん? いやいや、二人ともおアツいな~と思って」
「っ!?か、からかわないでくださいっ」
そういうと妖夢は真っ赤になって下を向いてしまった。いじりがいがあるわぁ。妖忌とは大違い。
そのあとは、三人で痴話話に華を咲かせた。
刺激的なわけではない、平凡な会話。だけどその中に、確かなやすらぎと安心感がある。
お互いをよく知っているからこそ、安心して自分を出せるのだ。
私は西行寺 幽々子のことを、親友のように思っている。
そして魂魄 妖夢のことを、親友の娘のように思っている。
PM6:00 ~太陽の畑~
「ごきげんよう紫、今日は殺されに来たのかしら」
「ごきげんよう幽香、今日は殺しに来てあげたの」
物騒な挨拶を交わす。けれど言葉の割に彼女の目は、私に対する敬意が見て取れた。たぶん私もそうだったと思う。
つまり彼女とはそういう関係なのだ。特別仲が良いというわけでもない。かといって悪いというわけでもない。互いに競い合って罵り合いながらも、内では相手のことを尊敬し、最高の敵として称賛する。いわばライバルのようなものか。
「それにしてもあなたがここに来るなんて本当に久しぶりね。ほんとに殺されに来たの?」
「まさか。気が向いただけよ。それに、なかなかいいところじゃない?」
その言葉に偽りはなかった。色とりどりの花が、暮れかけの太陽に照らされて、きらきらと輝く。
素直に美しいと思った。
「へぇ、この素晴らしさが分かるなんて、流石は我がライバルね」
「あら、褒めていただけて光栄だわ、我がライバル」
幽々子たちの時とはまた違う、心地よい緊張感を含んだ会話。
相手の心理を探り、自分の心を読まれないように、終始余裕の笑顔を浮かべている。
そこには探り合いながらも、相手に対する不信感や不快感は全くなかった。
私は風見 幽香のことを、最高の好敵手だと思っている。
PM10:00 ~マヨヒガ~
「たっだいま~」
「遅いですよ紫様、何してたんですか」
長旅(?)から帰った私を、藍が出迎えてくれた。
「いろんな人たちと話してたのよ~、ずっとここにいたってつまんないでしょ?」
「……お夕飯の準備をしてきます」
そういうと藍は、くるりと私に背を向けて、さっさと台所に行ってしまった。
(あっちゃー、拗ねちゃったかな?)
私は足音をたてないように台所に忍び寄る。
案の定藍は、何をするでもなくぶつぶつ文句を言っていた。
「………まったく紫様は、いつもいつも私を差し置いていろんな人たちと遊んでばっかり………
しかも、ここにいたってつまんないって……私といてもつまんないということなのかっ」
最後に一言。
「……やっぱり私なんか、どうでもいいのかな…………」
ぽつりとつぶやいた彼女の寂しげな一言に、胸をえぐられた気がした。
なんでこう意地悪ばかりしちゃうかな……
自分自身に嫌悪を覚えつつ、後ろからそっと藍を抱きしめる。
「ごめんなさいね、意地悪ばっかりして。
藍があまりにも可愛いから、ついいじめたくなっちゃうのよ」
「…私より可愛い女なんて、たくさんいるじゃないですかっ」
ぷいっと顔をそらしてしまう。
そんな彼女がどうしようもなく可愛くて愛しくて、うなじに軽く口づけた。
「ひゃっ!?ゆ、紫様っ!?」
先刻の妖夢のような反応を見せる。
「バカね、貴女以上に大切な女なんているわけないじゃない」
「………ほんとうですか?」
「もちろんよ。」
私の手に、彼女の手が添えられる。
「……じゃあ、証明してくださぃ…」
顔を真っ赤にして、今にも消え入りそうな声で藍が囁いた。
「…ふふ、そうね。ずっと寂しい思いをさせちゃったもんね。」
寝室行きのスキマを展開する。
「言葉じゃなくて身体で教えてあげるわ。
私の一番は、貴女だってことをね…………」
――――――――――八雲 藍は、世界で一番大切な、私の想い人である。
なんだか、読んでいてそんなことを思わされる作品でした。
良かったです。
ちょっと意地悪で奔放な母と真面目で淋しがり屋な娘の関係がストライクです
自分はちび藍様と紫お母さんをよく妄想しますので最高でした
自分何かやろうと思っても出来ないタイプなので尊敬しますわ。
ただ一つだけ突っ込ませていただくならば…萃香はどこへ(´・ω・`)
読みやすく、雰囲気もいい文章だったのですが、改行が多すぎるように思いました。
もっと行間を詰めてもいいと思います。
あとペンネームに20点あげたい
ペンネームが素敵なので思わずコメント。