夢のような現実

最初は貴方の剣技に惹かれたのよ。貴方の、とても美しく無駄の無い剣技に……。
私が初めて目で見た生身の人間で、埴輪兵団はとても追い詰められていた。
私も戦うのに必死だったわ。
圧倒的な剣技で、私の方が明らかに数は多いのに、勝てなかった。
埴輪兵がほぼ全滅して、私が壊れかけの体を振り絞って袿姫様を護ろうとした時、貴方は洗練された剣術……空観剣「六根清浄斬」で私を追い詰めた。
もう何も出来なくなったからこそ、敵なのに惹かれてしまったのかしら。
「さっきから、とてもポエミーなこと言ってますけど、稽古の休憩終わりですかね？あと、私は厳密には半人半霊です。｣
「あっ、ごめんなさい。ついつい……貴方の事をずっと考えていたら、無意識に口に出してしまって……」
「えっ！？磨弓さんずっと私の事考えていたんですか！？」
「そ、そうじゃなくて……えーと。」
いつの間にか、貴方自身を好きになりつつあるの。敵同士だったのに、私は何故か貴方に惹かれるわ、魂魄妖夢。