鴉天狗の新聞記者、射命丸 文の朝は比較的早い。
が、新聞の記事を書くために寝ていないことも多い。
それゆえに一概に朝は早いというわけでもない。
その日はごく普通に起床し、日課でもある新聞の編集作業をしていた。
しかし、どうやらうまくまとめることが出来ていないらしい。
「う~ん・・・どうもうまく書けないなぁ・・・」
はぁ・・・。
新聞の記事がうまくまとまらなくて、私はため息と独り言が出てしまう。
「気分転換に、風に当たりに行きますかね」
私は新聞のネタ探しではなく、気分転換のために空に上がり風に当たりたくなったのだ。
とはいえ、いつでも目的が違ってもカメラと手帳は忘れないよう持っているけど。
そして、気まぐれで妖怪の山の頂上にある守矢神社に行ってみようと思ったのだ。
いつも博霊神社だし、たまにはね。
そこに行くと、普段は境内の掃除をしているはずの巫女が箒を近くに立てかけて縁側でお茶を飲んでいる姿が見えた。
私はなんとなくその姿が気になって声をかけに行った。
それからは、軽い挨拶から始まりなぜかお茶までご馳走になっている。
まぁ、気分転換で来てるのだから別にいいのだけど。
「・・・」
「・・・」
ずずっ・・・。
挨拶をしてからはお茶を飲む音ばかりしか聞こえないほど、周りは静かだった。
何をするでもなく、時間だけがすぎていく。
ただ、彼女からの視線はチラチラと感じていたが。
仕方がないので、私は彼女のすこしばかり疲れたような目を見て問いかけたのだ
―――なにか、ありましたか?
と。
そうすると、彼女は困ったように眉を寄せて小さく笑いながら
「ええ、少し・・・」
とだけ言った。
その泣き笑いのような表情を見てしまって
私は
―――よければ、なにがあったかきかせてください
と、言ってしまっていた。
無意識に出てしまった言葉だが、新聞のネタの為と思われなかっただろうか。
しかし、彼女は特にそれについて気にした様子はなかった。
彼女は私の言葉にすこしぼ~っとして瞳を彷徨わせながら弱弱しく、
「そうですね・・・」
とだけ言って少しうつむいてしまった。
その後しばらく無言の時間が続き、どうしようかと思案していると小さく呟く声が聞こえた。
「私、夢を見たんです・・・」
「夢?」
「はい、私にとってはとても怖かった夢・・・」
そこまで言って彼女はこちらを見る。
夢を見た。ただそれだけの言葉を言っただけなのに彼女の瞳はだいぶ潤んでいるように見えた。
「あの・・ちょっと隣行っていいですか?」
「?。ええ、どうぞ」
なにか違和感を覚えながらも特に気にするでもなく、私は返事をする。
私と彼女の間に置かれていたお茶とお茶受けの載ったお盆を後ろに動かしてあげると
彼女はゆっくりとこちらに寄ってきて
ぎゅ・・っ
「!?」
私は体全体に人の温もりを感じていた。
要するに、抱きしめられていた。
突然のことにどきどきしてしまって声をかけようとすると
「よかった・・・触れることができる・・・」
と呟いた。
その彼女の言葉に私はなぜか言葉が出てこず、そのまま柔らかな温もりを感じながら抱かれていた。
しかし、まだ話が『夢を見た』ということだけなので、続きを聞かせてもらうためにも声をかける。
この話は聞かないほうがいいのかもしれないが、と心の中でかすかに思いながら。
「あの・・・?」
声をかけると彼女ははっとしたように体を離し、少し頬を赤く染めていた。
まぁ、座る位置は私の隣のままで距離自体はそう変わっていないのだけど。
「突然すみません・・・。つい、確認をしたくて・・・」
「確認?」
何を確認するというのだろうか。
私は一瞬だけ考えたが、思い当たる事が出なかったのでそのまま頭の中から疑問を消去した。
「夢を見た、と先ほど言いましたけどそれと何か関係が・・・?」
「ええ、そうです」
「私はあなたが・・・文さんが私の前から消えてしまうような、そんな夢を見たんです」
所詮夢なので、正確に全てを覚えているわけでもないですけどね。
と、彼女は続けて言う。
「私に似ている人物が夢に出てきた、というだけではないですよね?」
「そうですね、それだけじゃないです」
夢の内容を思いだし、まとめようとしているのだろう
彼女の目線は私からはなれ宙を彷徨うように揺らいでいた。
その横顔が私にはどこか遠くを見ているように見えた。
やがて、まとまったのか目線をこちらに向け一言
「間違えました」
と。
「は・・・?」
それだけしか言葉が出てこなかった。
しかし、彼女の続きの言葉で私は理解する。
「あなたが消えそう。ではなくて、あれは私自身が消えてしまいそうだったんだな。って」
うん、間違えた部分は理解できたけど話し自体は理解できてない。
ふと彼女を見ると体がかすかに震えているのがわかった。
私には話を理解することはまだ出来ていないけれど、彼女がとても怖がっている様子なのは理解できた。
先ほど間違えたといっていたので、彼女はこの事実に今はじめて気づいたのだろう。
それで震え怯えている。そう私は推測する。
そして、私はまた無意識に彼女の肩を抱き寄せて、頭を自身の太ももの上に載せていた。
「わっわっ・・」
突然の膝枕状態に慌てている様子が私の眼下に見えた。
はっとした時には彼女の綺麗な緑髪のさらさらした感触と重みが私の太ももから伝わってくる。
ここに存在していることを強調するかのように妙にはっきりと。
私はこの状況をどうしようと思っていたが軽く焦る心とは裏腹に私の唇は勝手に言葉を紡ぐ。
「・・・私はここにいます、そしてあなたもここにいます。夢は夢でしかありません。
あなたは今ここに存在しているという事実がある。夢に出てきたものが例えどんなものであろうと
あなたは一人じゃない。あなたの傍には二人の神様もいます。霊夢さんや魔理沙さんだっています。
呼んでくだされば、私もいつだってあなたの元に来ます。だから、そんな夢のことは忘れてしまいましょう?」
―――今ここに在るのが現実なんですから。
一息にそう言ってしまうと、すこしだけまた沈黙が舞い降りる。
私の言葉を心の中で繰り返しているのだろうか、彼女の唇は微かに動いていた。
その沈黙の中私は自分自身になにを言っているのだろう、と心の中で問いかけながら
彼女が言葉を発するまでずっと、優しく髪を撫で続けていた。
「・・・そう・・ですね。ありがとうございます。」
目を閉じて彼女は言葉を噛みしめるように呟いた。
「私はここにいるんですよね・・・。神奈子様、諏訪子様・・・。霊夢さんに魔理沙さん、そして文さんと一緒に・・・」
「そうです。消えてしまうことなんてあり得ません。」
間を開けずにそう答える。
いや、どこかのスキマ妖怪が境界を弄ったりすればあり得ないことでもないか。
やるとは思えないが。
「くすくす・・・」
ふと見ると彼女は小さな笑顔で笑っていた。
何かおかしな事でも言っただろうか?
現在の行動と少し前の言動を見ればいつもの私からするとおかしい方になるのだろうけれど。
私の心の中の言葉を読んだかのように彼女は言った。
「なんとなく・・です」
その笑顔を見ながら釈然としないものを感じつつ、笑顔がでてくれたことにほっとしていた。
「・・・やっぱり、あなたは笑っていた方がいい」
私も自然と笑みが浮かんでしまう。
その後何かがおかしいわけでもないのに二人でくすくすと笑い続けていた。
数分の間笑いが止まらなかったが、自然と笑いは収まって静かになる。
「ふわ・・・ぁ・・」
「ふふっ・・」
私の太ももの上で小さな欠伸をする姿が目に映る。
その姿を見て私は笑みがこぼれてしまう。
やはり、よく眠れなかったのだろう。
彼女の目が徐々に閉じられていくのが見える。
「・・・このまま眠ってもいいですよ?」
「ふぇっ!?あ、いや、でも・・」
私が声をかけると閉じかけていた目が見開き、驚いた顔をして見上げてくる。
「あまり眠れてないのでしょう?そんな状態では仕事にもなりませんよ?」
「う・・・」
「あぁ、それとも私の膝枕がダメだったんでしょうか。仕方がありません、寝床まで連れて行って添い寝してあげますね」
「えっ!?ちょっ・・それはさすがに・・」
頬を赤く染めて慌てる彼女の姿に笑みを浮かべながら私は言う。
「ふふふ・・・添い寝は冗談ですけど、運ぶぐらいならしてあげますよ」
「むぅ~・・・」
迷っているのだろうか、彼女は小さな唸り声を上げる。
少しして、目を閉じたまま小さく呟いた。
「・・・このまま・・」
「はい?」
「このままで・・いいです・・」
そう微かに聞こえた声の後には、小さな寝息。
「・・・寝付きよすぎでしょ」
はぁ、とため息がでてしまう。
「まぁ・・・こんな日も悪くないですかね・・・」
きっかけは何であれ、静かな時間を二人で過ごせるというのは良いことだと結論付ける。
「ふぁ~ぁ・・・私もこのまま寝てしまいましょうか・・・」
あぁ、でもその前に・・・。
パシャッ
1回だけ、シャッター音が鳴った後
膝の上ですやすやと眠る彼女に向けて呟き、文も目を閉じた。
―――おやすみなさい、早苗
その呟きが聞こえたのか分からないが、膝の上で寝息を立てる彼女は良い夢を見ているのだろうか笑顔が浮かんでいた。
文が寝入ってしばらくたったころ、守矢の神様二人は・・・
「・・・ちょっとあの鴉天狗懲らしめてくる」
「あっはっは。そうはさせないよ神奈子」
早苗に寄りかかるようにして眠る文を見て正反対の反応をみせていた。
「止めるな諏訪子っ!」
「早苗が起きちゃうでしょーがっ!」
どかっ げしっ ぷしゅ~・・・
神奈子沈黙。
余談
とある緑髪の妖怪が縁側で眠る二人を文のカメラを勝手に使い写真を撮って
それを知らぬまま現像し、写真を見て顔を真っ赤にしながら声にならない声を上げていた鴉天狗がいたのはまた別の話。
が、新聞の記事を書くために寝ていないことも多い。
それゆえに一概に朝は早いというわけでもない。
その日はごく普通に起床し、日課でもある新聞の編集作業をしていた。
しかし、どうやらうまくまとめることが出来ていないらしい。
「う~ん・・・どうもうまく書けないなぁ・・・」
はぁ・・・。
新聞の記事がうまくまとまらなくて、私はため息と独り言が出てしまう。
「気分転換に、風に当たりに行きますかね」
私は新聞のネタ探しではなく、気分転換のために空に上がり風に当たりたくなったのだ。
とはいえ、いつでも目的が違ってもカメラと手帳は忘れないよう持っているけど。
そして、気まぐれで妖怪の山の頂上にある守矢神社に行ってみようと思ったのだ。
いつも博霊神社だし、たまにはね。
そこに行くと、普段は境内の掃除をしているはずの巫女が箒を近くに立てかけて縁側でお茶を飲んでいる姿が見えた。
私はなんとなくその姿が気になって声をかけに行った。
それからは、軽い挨拶から始まりなぜかお茶までご馳走になっている。
まぁ、気分転換で来てるのだから別にいいのだけど。
「・・・」
「・・・」
ずずっ・・・。
挨拶をしてからはお茶を飲む音ばかりしか聞こえないほど、周りは静かだった。
何をするでもなく、時間だけがすぎていく。
ただ、彼女からの視線はチラチラと感じていたが。
仕方がないので、私は彼女のすこしばかり疲れたような目を見て問いかけたのだ
―――なにか、ありましたか?
と。
そうすると、彼女は困ったように眉を寄せて小さく笑いながら
「ええ、少し・・・」
とだけ言った。
その泣き笑いのような表情を見てしまって
私は
―――よければ、なにがあったかきかせてください
と、言ってしまっていた。
無意識に出てしまった言葉だが、新聞のネタの為と思われなかっただろうか。
しかし、彼女は特にそれについて気にした様子はなかった。
彼女は私の言葉にすこしぼ~っとして瞳を彷徨わせながら弱弱しく、
「そうですね・・・」
とだけ言って少しうつむいてしまった。
その後しばらく無言の時間が続き、どうしようかと思案していると小さく呟く声が聞こえた。
「私、夢を見たんです・・・」
「夢?」
「はい、私にとってはとても怖かった夢・・・」
そこまで言って彼女はこちらを見る。
夢を見た。ただそれだけの言葉を言っただけなのに彼女の瞳はだいぶ潤んでいるように見えた。
「あの・・ちょっと隣行っていいですか?」
「?。ええ、どうぞ」
なにか違和感を覚えながらも特に気にするでもなく、私は返事をする。
私と彼女の間に置かれていたお茶とお茶受けの載ったお盆を後ろに動かしてあげると
彼女はゆっくりとこちらに寄ってきて
ぎゅ・・っ
「!?」
私は体全体に人の温もりを感じていた。
要するに、抱きしめられていた。
突然のことにどきどきしてしまって声をかけようとすると
「よかった・・・触れることができる・・・」
と呟いた。
その彼女の言葉に私はなぜか言葉が出てこず、そのまま柔らかな温もりを感じながら抱かれていた。
しかし、まだ話が『夢を見た』ということだけなので、続きを聞かせてもらうためにも声をかける。
この話は聞かないほうがいいのかもしれないが、と心の中でかすかに思いながら。
「あの・・・?」
声をかけると彼女ははっとしたように体を離し、少し頬を赤く染めていた。
まぁ、座る位置は私の隣のままで距離自体はそう変わっていないのだけど。
「突然すみません・・・。つい、確認をしたくて・・・」
「確認?」
何を確認するというのだろうか。
私は一瞬だけ考えたが、思い当たる事が出なかったのでそのまま頭の中から疑問を消去した。
「夢を見た、と先ほど言いましたけどそれと何か関係が・・・?」
「ええ、そうです」
「私はあなたが・・・文さんが私の前から消えてしまうような、そんな夢を見たんです」
所詮夢なので、正確に全てを覚えているわけでもないですけどね。
と、彼女は続けて言う。
「私に似ている人物が夢に出てきた、というだけではないですよね?」
「そうですね、それだけじゃないです」
夢の内容を思いだし、まとめようとしているのだろう
彼女の目線は私からはなれ宙を彷徨うように揺らいでいた。
その横顔が私にはどこか遠くを見ているように見えた。
やがて、まとまったのか目線をこちらに向け一言
「間違えました」
と。
「は・・・?」
それだけしか言葉が出てこなかった。
しかし、彼女の続きの言葉で私は理解する。
「あなたが消えそう。ではなくて、あれは私自身が消えてしまいそうだったんだな。って」
うん、間違えた部分は理解できたけど話し自体は理解できてない。
ふと彼女を見ると体がかすかに震えているのがわかった。
私には話を理解することはまだ出来ていないけれど、彼女がとても怖がっている様子なのは理解できた。
先ほど間違えたといっていたので、彼女はこの事実に今はじめて気づいたのだろう。
それで震え怯えている。そう私は推測する。
そして、私はまた無意識に彼女の肩を抱き寄せて、頭を自身の太ももの上に載せていた。
「わっわっ・・」
突然の膝枕状態に慌てている様子が私の眼下に見えた。
はっとした時には彼女の綺麗な緑髪のさらさらした感触と重みが私の太ももから伝わってくる。
ここに存在していることを強調するかのように妙にはっきりと。
私はこの状況をどうしようと思っていたが軽く焦る心とは裏腹に私の唇は勝手に言葉を紡ぐ。
「・・・私はここにいます、そしてあなたもここにいます。夢は夢でしかありません。
あなたは今ここに存在しているという事実がある。夢に出てきたものが例えどんなものであろうと
あなたは一人じゃない。あなたの傍には二人の神様もいます。霊夢さんや魔理沙さんだっています。
呼んでくだされば、私もいつだってあなたの元に来ます。だから、そんな夢のことは忘れてしまいましょう?」
―――今ここに在るのが現実なんですから。
一息にそう言ってしまうと、すこしだけまた沈黙が舞い降りる。
私の言葉を心の中で繰り返しているのだろうか、彼女の唇は微かに動いていた。
その沈黙の中私は自分自身になにを言っているのだろう、と心の中で問いかけながら
彼女が言葉を発するまでずっと、優しく髪を撫で続けていた。
「・・・そう・・ですね。ありがとうございます。」
目を閉じて彼女は言葉を噛みしめるように呟いた。
「私はここにいるんですよね・・・。神奈子様、諏訪子様・・・。霊夢さんに魔理沙さん、そして文さんと一緒に・・・」
「そうです。消えてしまうことなんてあり得ません。」
間を開けずにそう答える。
いや、どこかのスキマ妖怪が境界を弄ったりすればあり得ないことでもないか。
やるとは思えないが。
「くすくす・・・」
ふと見ると彼女は小さな笑顔で笑っていた。
何かおかしな事でも言っただろうか?
現在の行動と少し前の言動を見ればいつもの私からするとおかしい方になるのだろうけれど。
私の心の中の言葉を読んだかのように彼女は言った。
「なんとなく・・です」
その笑顔を見ながら釈然としないものを感じつつ、笑顔がでてくれたことにほっとしていた。
「・・・やっぱり、あなたは笑っていた方がいい」
私も自然と笑みが浮かんでしまう。
その後何かがおかしいわけでもないのに二人でくすくすと笑い続けていた。
数分の間笑いが止まらなかったが、自然と笑いは収まって静かになる。
「ふわ・・・ぁ・・」
「ふふっ・・」
私の太ももの上で小さな欠伸をする姿が目に映る。
その姿を見て私は笑みがこぼれてしまう。
やはり、よく眠れなかったのだろう。
彼女の目が徐々に閉じられていくのが見える。
「・・・このまま眠ってもいいですよ?」
「ふぇっ!?あ、いや、でも・・」
私が声をかけると閉じかけていた目が見開き、驚いた顔をして見上げてくる。
「あまり眠れてないのでしょう?そんな状態では仕事にもなりませんよ?」
「う・・・」
「あぁ、それとも私の膝枕がダメだったんでしょうか。仕方がありません、寝床まで連れて行って添い寝してあげますね」
「えっ!?ちょっ・・それはさすがに・・」
頬を赤く染めて慌てる彼女の姿に笑みを浮かべながら私は言う。
「ふふふ・・・添い寝は冗談ですけど、運ぶぐらいならしてあげますよ」
「むぅ~・・・」
迷っているのだろうか、彼女は小さな唸り声を上げる。
少しして、目を閉じたまま小さく呟いた。
「・・・このまま・・」
「はい?」
「このままで・・いいです・・」
そう微かに聞こえた声の後には、小さな寝息。
「・・・寝付きよすぎでしょ」
はぁ、とため息がでてしまう。
「まぁ・・・こんな日も悪くないですかね・・・」
きっかけは何であれ、静かな時間を二人で過ごせるというのは良いことだと結論付ける。
「ふぁ~ぁ・・・私もこのまま寝てしまいましょうか・・・」
あぁ、でもその前に・・・。
パシャッ
1回だけ、シャッター音が鳴った後
膝の上ですやすやと眠る彼女に向けて呟き、文も目を閉じた。
―――おやすみなさい、早苗
その呟きが聞こえたのか分からないが、膝の上で寝息を立てる彼女は良い夢を見ているのだろうか笑顔が浮かんでいた。
文が寝入ってしばらくたったころ、守矢の神様二人は・・・
「・・・ちょっとあの鴉天狗懲らしめてくる」
「あっはっは。そうはさせないよ神奈子」
早苗に寄りかかるようにして眠る文を見て正反対の反応をみせていた。
「止めるな諏訪子っ!」
「早苗が起きちゃうでしょーがっ!」
どかっ げしっ ぷしゅ~・・・
神奈子沈黙。
余談
とある緑髪の妖怪が縁側で眠る二人を文のカメラを勝手に使い写真を撮って
それを知らぬまま現像し、写真を見て顔を真っ赤にしながら声にならない声を上げていた鴉天狗がいたのはまた別の話。
綺麗な文と綺麗な早苗が眼福でした。
次のお話も期待しています。
わわっ、感想ありがとうございますっ
つたない文ですが可愛いと言っていただきほんと嬉しいですw
期待に応えられるように頑張りますw
残念ながら、特に感動はありませんでした。
感想の起因について。
まず致命的なのは、カップリング小説、それも物語性の希薄なものに感心を持てないのです。
続いて登場キャラクタの突飛な関係性。文は稀に守矢神社にやってくると説明がありましたが、その稀にやってくる人物に、早苗は保護者的存在である神奈子と諏訪子にまず相談しない代わりに、泣き付いてしまっている。大体彼女たちはどういった関係なのか。やはりカップリング小説に良くある、既成事実的関係であろう、と想像すると、期待していた恋愛小説と評価するわけには参りません。そういった推測によって、結局淡白な印象を受けると共に、面白みを感じることが出来ませんでした。
三つ目は、自然描写の少なさに残念な気持ちを覚えました。季節、気温、風景などあると物語の雰囲気が、というより描写したい二人の雰囲気が、より感傷的にすることも、より情愛的にすることも、より印象的にすることも出来ると思います。そういった点、文章技巧よりも配慮して欲しいと感じました。
最後に、作者の夢を元に書き上げた作品である、と後書きに見つけましたが、これも私の感想の起因の一つに由来するのです。夢というのは私小説と非常にリンクするもので、つまり本人しか分からないという点で、作品本来の魅力を霞ませているような気がするのです。作品には、作者の思い入れもあるでしょうが、独りよがりになる可能性が大いにある。そういう傾向が、私にこの作品の美しさを理解させないような気がしてならないのです。
しかし、問題点ばかり挙げましたが作者の文章能力は確かにあると思います。それに可愛らしい(皮肉ではありません)早苗の挙動、精神等を表現しようと試みているのがひしひしと文体から伝わってきて、作者の創作意欲が伺えると共に、非常に目を見張るものがあると思いました。
そういった理由で点数は50点を付けさせていただきます。
初投稿らしいですが、次回の作品を心待ちにしております。
感想及び意見ありがとうございます。
執筆は初めてなもので、指摘されたことを言われて見ると確かにそうですね。
問題点ばかりで感動を与えられなかったのは私の力不足でした。
各指摘を次への糧としたいと思います。
次を書く時は自然描写や背景などをしっかりと表現できるように注意して書きたいと思います。
手厳しい意見ではありますが、感想をいただけて本当に嬉しいです。
ありがとうございましたっ。