私は四季映姫ヤマザナドゥ。
決して山田でも、えーきんでも、ましてやザナたんなどではありません。
そんな変な呼び名をつけた人、およびそれを使用した人は地獄逝き。
こちとら閻魔です。私が黒といえば、非暴力不服従の父でも黒になります。
いや、そんなことはしませんけどね。
でも私の名前を弄くったりした人は、やっぱり地獄逝き。
おっと、話がそれました。
そもそも何の話をしていたのでしょうか。
ってまだ話を始めていませんでしたね、これは失礼。
私が今から言おうとしているのは、仕事の事です。
いやいや妖夢、安心なさい。あなたをとっ捕まえて説教を始めるつもりではありません、残念ながら。
え、妖夢は関係ないって?
閻魔に口答えするとは何事ですか。地獄逝き確定。
閻魔の説教を受けるには、まず三途の川を渡らねばなりません。
そしてその川幅は、死者の生前の行いによって広くなったり狭くなったりするのです。
距離はともかく、浅くなったり深くなったりもするのでしょうか。
浅くなったところで、私は泳げないので自分では渡れませんけどね。
……なにを笑ってるのですか。人には得手不得手というものがあるのです。
泳ぎなど河童に任せていればよいのです。それに、エラ呼吸の出来る閻魔なんて嫌でしょう?
別に泳げずともよいのです。私の役目は亡者を裁くこと。
学校指定の水着に身を包み、ビート板を使ってバタ足の練習をしたりする必要など皆無です。
そんな事も理解してないのですか。はい、もう地獄逝き。罪状は閻魔侮辱罪です
また話がそれました。ここからが本題です。
えーと、どこまで話しましたっけ。あっ、そうそう。三途の川の所でしたね。
三途の川を渡るには、死神の船に乗らねばなりません。
決して泳いで渡ろうなどと考えない事です。途中で大きな鮫に一飲みにされるのがオチですから。
川に鮫がいるのかって? あなたは閻魔の言う事を疑っているのですか。
叩きますよ? この笏でぺちぺちと。
ちなみに効果音はかわいらしいですが、この笏は岩をいとも容易く砕くほどの代物です。
ぺちぺち、ぐちゃり。
こういう事です。とっても素敵なアイテムだと思いませんか?
え、思わないんですか。まったく、あなたは詰まらない感性を持っているのですね。
そんな人間は修正です。
ぺちぺち、ぐちゃり。
それにしても小町は遅いですね……
今日はまだ一人も亡者を連れてきてないじゃないですか。
あの子のように怠けてばかりだと、きっと地獄逝きですね。
笏を使った閻魔スラッシュで修正です。主に胸を。
ちなみに3ゲージ技です。ガード不可です。でもどの行動からでもキャンセル可です。発生も早いです。コンボ数による下方修正も無いのです。
この技自体が修正される恐れがありますが、そんなものは知りません。
自主規制を求める声もたびたび聞こえますが、それも知りません。
だって私は閻魔ですから。えらいんだぞー。
おっと、もうおやつの時間。
今日のおやつはプリンです。
本当は二つ食べたいところですが、他の閻魔から『やっぱり映姫はまだまだ子供だ』などと言われるので我慢です。
別にいいじゃありませんか。甘いものが好きだからといって、子供扱いするのはどうかと思います。
他人に迷惑をかけるのならともかく、これはただ単に私の嗜好。
そうですよ! 我慢する必要など無い!!
プリンが食べたいのなら、思う存分食べればいいじゃない!! って、マリーも言ってます。
あぁ、私はたった今、オラクルを受けました。
お祝いに今日はプリン祭りです。生クリームとアイスクリームものせちゃいます。頂上にはもちろんチェリーを鎮座。
どうですか、この豪勢っぷりは。
ふふふ、見てるだけで涎が出そうです。もう出てますが。たぷたぷと溢れてますが。
もちろん小町にはあげません。仕事をサボっているあの子に施すものなど何一つ無いのです。
これは私自身へのご褒美ですからね。
でもやっぱりバレると恥ずかしいので、こっそりと食べる事にしましょうか。
流石に閻魔といえども、裁きの場でプリンをがっつくのは考え物です。
というわけで、控え室で食べる事にしましょう。うふふ。
こんこん。
「四季様、亡者をお連れしました」
何ですかこのタイミングの悪さ。
仕方ありません、楽しみは後に取っておくことにしましょう。
とりあえず、豪華な閻魔プリンを隣の部屋の冷蔵庫にしまって……と。
よし、完璧な隠蔽工作終了です。
「入りなさい」
威厳のある声で亡者を迎えます。
閻魔を前にして緊張している亡者と、その隣で緊張感など皆無なだらけた小町。
あ、こらそこ。欠伸しない。さらに胸元に手を突っ込んでぽりぽり掻いたりもしない。
「それじゃあ後はお任せします」
手を突っ込んだまま、小町はこの部屋を出て行きます。
まったく、あの子にはもう少し礼節というものを教えなければいけませんね。
っと、今はこの亡者に集中しましょう。
さてさて、この者は一体どんな一生を送ってきたのでしょうか。
私はばさりと閻魔帳を開き、裁判を始めました。
「以上の罪状により、あなたは地獄逝きです」
私は淡々とその旨を伝え、亡者を裁きました。
どうかお慈悲を、などと許しを請う声も聞こえましたがそんなものは知りません。
今までこの者はそんな声を踏みにじって生きてきたのですから、自分だけ救われようなどと虫の良過ぎる話です。
ラストジャッジメント。その罪、悔い改めなさい。
そして亡者が連れて行かれた後、私はふぅと一息つきました。
労働の後は糖分が欲しくなります。そしてとびっきりの糖分が、私を今か今かと待ちわびています。
椅子から飛び降り、ぱたぱたと隣の部屋へ走ります。
あぁ、愛しの特製閻魔プリン。
あなたに会えるこの時をどれだけ待ちわびた事か!
冷蔵庫を勢いよく開くと、冷気が私の顔を撫でます。
そして白い靄の向こうには、先ほどはお預けになったご褒美が――
無残な姿でそこにありました。
周囲を彩る生クリームはおろか、アイスクリームもチェリーも姿を消していました。
更にプリンの醍醐味ともいえるカラメルの部分だけが綺麗に取り除かれていて、残っているのは僅かばかりのカスタードのみ。
一体誰がどうして何故こんな事に?
疑問と疑惑やらその他諸々が綯交ぜになって、私の脳を駆け巡ります。
ふらりとよろめいて机に手を突くと、そこにかさりとした感触がありました。
それは、紙。
そしてそこにはお世辞にも綺麗とは言えない字でこう書かれていました。
『部下の労をねぎらうためにこんな物を用意してくれるなんて、感激です。ありがたく頂戴しました。あっ、そうそう。四季様の分も残しておきましたよ 小町』
ちょっと待ってください。
私がいつ、あなたのためにこれを拵えたというのですか。
そもそもプリンが冷蔵庫に入っているだけで、それを自分のものと勘違いするという思考が分からない。
それに残しておくといいながら、メインを全部平らげているではないですか。
普通なら縦に二等分するでしょうに。こんなに偏った食べ方はしないでしょうに!!
私はわが子を見取るような思いで、残ったプリンにスプーンを入れました。
とっても甘いはずなのに、しょっぱい味しかしませんでした。
小野塚小町、減給三ヶ月。さらに地獄逝きでラストジャッジメント。
<終幕>
>プリンが食べたいのなら、思う存分食べればいいじゃない!!
微妙に変えてる?それ言った人、生前に断頭台の露と消えて、多分地獄逝きになったと思うんですが。
…そんな言葉を最後で思ってしまった私はだめですかそうですか。
ともあれ、映姫サマ万歳。
ところで、
>学校指定の水着に身を包み、ビート板を使ってバタ足の練習をしたりする
この部分を事細やかに想像してしまったMy脳みそはそろそろ欠陥品ではないかと思うのですが。裁いて欲しい(ぇー
だがそれがいい
紺のスク水で泳いでるとこ妄想したら帽子被ったまんまだった。
帽子をはずした状態を再妄想したら何故か白スク(透け)になってた。
これではいけないと思う正常な精神は、10年位前からなくしてた。
それがあなたにできる善k(ry
素敵なノリにただただ脱帽でありましたw
スクール指定水着姿の閻魔さまに動かなくなるまでぺちぺちぐしゃりされて。
え、何で私まで、そんな、私は写真なんて撮ってな(ぺちぺちぐちゃり
>3ゲージ技です。ガード不可です。
>コンボ数による下方修正も無いのです。
久々にゲーセンに逝った時にやったのですが、全く勝てません。orz
八月十日まで待って練習すっかなぁ。
さばいてえーきん!
ちょっと禁じ手っぽいものを用いた文章ですが楽しんでいただければ幸いです。
あと、私は映姫様が嫌いなわけではありません。
むしろ好きです。
しかし心とは裏腹に、映姫様を酷い目に遭わせてしまう傾向があります。
何ででしょうか?
やっぱり真面目な人は弄くりがいがあるからでしょうか。
人間って不思議ですね、本当に。
うふふ。