Coolier - 新生・東方創想話

ピンチな咲夜さん ~瀟洒なメイドに愛の手を~

2008/04/22 09:44:51
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*一応、オリキャラものです。
 それと、作品集46の「人、それを弱点と言う 」の一応続き物です。
 でも、前作読まなくてもたぶん問題無し。

 さ、最後がやりたかったわけじゃないんだからね!








「死ねよやああああああああ!!」
「お姉さまの貞操は貰ったああああああ!!」

……おバカ。
あんな真正面から行っても紅魔館最強のメイド、十六夜 咲夜が倒せる訳ない。
案の定、突っ込んでいった二人のメイドの額にはナイフがぶっ刺さる。
うわあ、痛そ。

「や、やってやる!他のお姉さまだって、戦場の戦いで勝って出世したんだ!!」
「ま、待て! シーン、早まるな!! 止めろシーン!」
「へへ、このメイド長、もうへとへとになったやがる! やあってやるぜええ!!」
         
       幻 世「ザ・ワールド」

「う、うわああああああああああ!」
「シ-ン!!うおおおお!よくもシーンを!」

……ああ、時が見えるわ。
そんな宇宙世紀がくり広げられたり、数人が一斉にメイド長に飛び掛かるといった場面もあったが、全員あえ無く撃沈。
力技で行っても勝てるはずがない。
時を操る能力と人間離れしたその身体能力。
更に法儀式済み水銀弾……もとい退魔の力が宿る銀のナイフの威力は計り知れない。
あの投げナイフはまさに対化物戦闘用と呼んでもいい気がする……当たると死ぬほど痛いんだよなぁ。
どこぞの王立国教騎士団でゴミ処理屋でもやってたんじゃあるまいか?と噂されるメイド長、十六夜 咲夜。
彼女の行く前に道はでき、彼女の後ろに立つ者は居ないというどっかの世紀末覇者のような光景が展開されているここは、紅魔館の隅にある小さな廊下。
物陰からそんな血生臭い光景を窺っている私は妖怪平メイドのミリスと申します。
コンゴトモヨロシク。
それはともかく、現在、我々紅魔館メイド部隊はメイド長、十六夜 咲夜と交戦中。
何でメイドとメイド長が闘ってるかって? 下っぱに聞かれても困ります。
理由も知らせずメイド長を捕まえてこいだなんて命令されても士気が上がらないんだけどなぁ。偉い人にはそれが分らんらしい。



「お姉さまの純潔ううううううううう!!!」
「ああ、もっともっと蔑むような目でええ!!」
「お姉さまご寵愛をおおおおおおおおおおお!!」



ごめんやっぱり訂正。
士気の高さは今までにないほどだ。
咲夜を捕まえた者は私と一緒に咲夜を好きにしてもいい、とはお嬢様の御言葉。
士気と春度の高さはストップ高もいい所で、全力全壊、天井を打ち抜き状態。
とか言う私も、メイド長を好きにしてもいいと言う言葉に釣られた一人だったりする。
だって、好きにしてもいいってなにしても良いって事じゃない。
十六夜 咲夜ファンクラブの一人としてこれを逃す手は無い!
ああ、あの凛々しい御顔がどんな風に歪むのか想像しただけでも……うふ、うふふ、うふふふふふふふ。

他にも紅美鈴親衛隊やら妹様を見守り部、パチュリー様観察倶楽部、お嬢様のカリスマは異常教やら様々なファンクラブが存在する。
その中にも咲×美道やら美×咲中隊やら、レミ×咲騎士団やら様々な淫慾渦巻く集団が……
まあ、そんなわけで桃色に薄汚れた欲望の為、皆さん頑張って特攻かましている訳だ。
メイド長を捕まえるだなんて、殆ど不可能に近いような気がしないでもないけど、なーに、やってみなけりゃ分りませんぜ。
紅魔メイドは伊達じゃない!
それに、さっきから引っ切り無しに襲撃を受けているおかげで、メイド長も大分疲弊している。
今がチャンスだ。
まあ、かと言って真正面から突っ込んでちゃ、永遠に捕まえる事は出来ないわけで。
やっぱりある程度の戦略は立てないとねぇ。
紅茶が好きな某魔術師提督も戦略は大事だって言ってた。
っと、もうすぐメイド長がこっちに来るね。
さあて、頑張らないと。





 * * * * *




現在、メイド長までの距離は数メートル。
十分に私の射程距離。
しかし、ここから弾幕でどうこうしようとしても、時を止められて終了だ。
多少離れた距離で仕掛けても、どうせ時間を止められてしまう。
ならばどうするか?
基本的な案としては二つ。
一つはメイド長がこちらに気付く前に、速攻で片を付ける。
しかし、こちらの案は駄目。
先ほど、音速で飛ぶ程度の能力を持った者があっさりと沈められ、遠距離からの狙撃でも時を止められてアウトだった。
メイド長の勘は相当なものだし、第一私はそこまで速くもないし、狙いも良くない。
そして、もう一つは、近距離でのラッシュ。
具体的には隙を付いて懐に潜り込み、時を止める隙を与えずに畳み掛ける。
実は、時を止める瞬間、メイド長にはほんの一瞬だけ隙が出来るのだ。
隙といっても、瞬きをする程度の時間しかその隙はできない。
まさに一瞬なのだ。
だから、その隙を与えることなく、ひたすらに攻め続ける。
それほど速く動ける訳ではない私にとっては、近づくことすらも相当に厳しいだろう。
しかも、今回は近づくだけではなく、懐に潜り込むほどまで踏み込まなければならない。
それでもやらなければならない。いや、やるのだ。
チャンスは一度っきり。
奇襲をかけて懐に潜り込む前に、時を止められたらアウト。
奇襲をかける前に私の存在が気付かれてもアウト。
懐に潜り込んでも攻撃が出来なかったらアウト。
奇襲が成功し、見事懐に潜り込み、時を止められる前に攻撃する。
これを瞬きをする間に終わらせる。
それが成功の条件。
失敗すればナイフの的。
成功すればお嬢様とご一緒にメイド長の桃色世界が……!
そう・・・まさに天国と地獄……っ!
それを分かつ一瞬っ! 瞬間っ!
瞬きをする間に行われる、まさに一瞬の攻防っ!
成功できるか……?
いやっ……成功させるしかない……!
ここが分岐点なのだっ!
即ち! 勝者と敗者の分水嶺っ!


メイド長の足音が段々と近づいてくる。
かつこつかつこつと無機質に……

5メートル―――まだだ、まだ遠い。

良く磨かれた廊下に足音が鳴り響く。
胸が張り裂ける位に、緊張する。
背中を汗が伝っていく。
手が汗でぬるぬるする。

4メートル―――まだ、まだもう少し。

吐きそうになるくらい心臓が波打つ。
身体がじんじんとしてくるのに、頭はどんどん冴えてくる。
小さく、息を飲み込む。

3メートル―――行ける!この距離なら!

そう考える自分をどうにか留める。
自分を過信するな、相手を過少評価するな。相手はあの十六夜 咲夜だ。

2メートル―――もう、十分引きつけた!ここなら行けるはずだ!

身体が動きそうになる。しかし耐える。まだ耐える。
焦るな自分。この距離でもまだ気付かれていない。
あと数歩だ。
一歩。
全身の筋肉が張り詰める。
もう少し。
二歩。
呼吸が止まる。心臓の音がひたすら五月蠅い。
まだ、まだ。
三歩。
今!



「もらったあ!!」
気合いの掛け声とともに、メイド長の上に私が現れた。
「分身を作る程度の能力」それが私の能力。
そして、分身が現れると同時に、私も飛びかかった。
行ける! このタイミングでの上下同時攻撃なら!!
メイド長が私の方を向く。
その顔は驚愕に塗りつぶされており、状況に対応できていないと見えた。
勝った!
そう思い、小さくほくそ笑んだ。
するとメイド長の驚愕に満ちた顔がにやりと歪む。

「ばればれよ」

凛とした声が頭の中に響く。
次の瞬間、メイド長の姿が消えた。
そして目の前には銀のナイフ。
私の後ろにメイド長の気配が湧いた。
このタイミングで、上下からの奇襲にも拘らず、避けられた?!
いや、既に私の気配を察知していたのか?

「何もかもが甘いわね」

後ろからメイド長の声が響いた。
ズンっとナイフが額に刺さる感触。
ぐらりと身体がよろめいた。
分身の方にもナイフが突き刺さっていた

「もう少し綺麗に殺気は消しなさい。やるのだったらもう半歩まで待ちなさい。残念ながら、20点よ」
「……いえ、満点です。私の勝ち」
「何!?」

瞬間、メイド長の背後に私が現れた。
分身、二人目!
一回目のアタックで失敗した場合の保険。すなわち第一撃に続く、二つ目の弾。
本体である私を攻撃させ、メイド長の隙を誘いだす。
その目論見は見事に当たったみたいだ。
もう一人の私がメイド長に飛び掛った。

「しまった!!」

驚愕の声が聞こえてきた。
ふふふ、私の勝ちですメイド長!! さあ、二人で桃色世界に行きましょう!!
心の中で高らかに宣言した私。不思議とナイフが刺さった痛みは無い。
脳内には最早ピンク色のエデンの園が……!

「なーんてね」

からかう様な、声が聞こえた。
後ろにあるメイド長の気配が消え去る。
今度は、本体である私の目の前に現れた。
ナイフが刺さった反動で後ろに倒れながら、私はその表情を見る。
勝ち誇ったような顔。自身の勝利を確信した顔。
どすん、と私が倒れる音が鳴った。
不思議と痛みも衝撃も感じなかった。

「あなたの能力は分身を作る程度の能力。最高で三人までだっけ?名前はミリスでしょ?よく泣くけど、お調子者の」
「どうして、私の……」
「使える子は覚えておく性質なのよ。あなたには感謝してるわ、掃除の時に大いに役立ってくれてるから」
「……ありがとう、ございます」
「まあ、40点はあげるわ。出直してらっしゃい」
「誤採点ですよ、それ」
「え?」

仰向けに倒れた私の腹から手が生える。
指は三本でしかも細くか弱い。
しかし、十分だ!

「分身、三人目です!!」
「なっ、しまっ!」

全身を作るのではなく、腕だけを作る。
その速度は、最早神速。
必死に逃れようとしても無理ですよ。
時止めもぎりぎり間に合わない。
今度こそ私の勝ちです!

「いっけええええええええ!!」





























「ひゃう!」

紅く、綺麗に磨かれた廊下に、メイド長の声が響く。
私の手は、見事にメイド長を捉えた。
脇腹。そこがメイド長の弱点!
私の分身の手は、見事に彼女の脇腹を突いたのだ!

「っうくぅ!はぁぁ」
そのまま何度も突くと、手で脇腹を押えながら、へなへなとへたり込む。

こうなれば、最早彼女はただのか弱い少女。
脇を突かれると、力が出なくなり、時も操ることができなくなる。
メイド長を捕まえた。私の勝ちだ!
私は勝ったんだ、あの鬼のメイド長に!

「うぐ、ひっく!」
ああ、何だか泣けてきた。
涙がどんどん零れていくのが分かる。
お嬢様!皆、私やったよ!


「ちょ、ちょっと!……あう………!な、泣いてないで、くふっ!…突くのを止めなさい!……ひゃう!」
「えっぐ、ひっぐ!……うあ、皆ぁ、私やったよぉ!」
「お、お願いだから突かないでえ!そこはやああああ!」




* * * * *




あの後、無事にメイド長をお嬢様にお渡しすると、傷の治療をしてから部屋に来るよう言われた。
まあ、頭にナイフ刺して血をどばどば流してりゃ、そりゃあね。
最初、メイド長を捕まえた時にはそれほど痛く無かったのに、ほっと一息吐いたらとたん痛みが襲ってきて、のたうち回ること数回。
半泣きになりながら医務室にてナイフを抜かれて、八意印の治療薬を塗られる。
そして同僚の僻みと尊敬とが入り混じった視線を一身に浴びること数回。
ああ、その視線が痛気持ちいい……
あと、咲夜メイド長を好きに出来るんだぞ。羨ましいだろお。と自慢したら頭カチ割られた。
しかもそこそこ仲の良い子に……うう、この程度で終わる友情なんて。
その子にメイド長の恥ずかしい写真を一枚やると言ったら、掌を返したように御姫様のような扱いを受けた。
写真一枚でどうにでもなる友情に乾杯。
やっぱ友達っていいもんだね!
カチ割られた頭といえば、八意印の薬を飲んだら、一瞬で塞がった。
月の科学すげえ!
ちなみに怪我してない奴に悪戯で飲ませてみたら筋肉質なガチムチ八頭身に成長しやがった。
月の科学すげえ!
そんないざこざがあって、時間を食ってしまったけど、ようやくお嬢様の所に行ける様になった。
で、今からお嬢様の部屋に向かっているところだ
そういえばあの部屋に入るの久しぶりかも。
普段はメイド長が掃除しているし。
ここに雇われてお嬢様にお顔通しした時以来かな、入るのは。
で、ふと気付くと、その部屋の前でうろうろしている人影を見つける。
……あれは、門番長?
何やってるんだろ。
しばらくの間うろうろしていたかと思うと、何かを決心したように頷いてどっかに行ってしまった。
何だったんだろ?……まあ、いいや。
取りあえず放っておいて、お嬢様の部屋に入ることにする。

「お嬢様、失礼します。ミリスです」
「……ああ、咲夜を捕まえた子ね。いいわ、入りなさい」

私が声をかけてから一拍置いて、お嬢様の返事が聞こえてきた。

「では、失礼します」

重厚で重い扉を開いて、真っ先に目に入るのは紅だった。
ここ紅魔館は文字通りに紅く塗られている。
廊下や館の外観はどこまでも紅く染められており悪魔の館と言うに相応しい。
しかし、この部屋は―――お嬢様の部屋はさらに濃く、黒く、どろりとして、血のように濡れていた。
黒と紅、それがこの部屋を、空間を支配してこびり付いているのだ。
あらゆる光を遮るっているカーテンは、音も無く風も無く静かに揺れている。
星の光も、月の光も、太陽の光さえも拒み、部屋の中に一切の光をもたらさない布の壁。
小さく揺れる燭台の火が、陽炎のように部屋の中を照らす。
豪奢とも言える巨大なベット、そびえる様に佇むタンス、上品と悪趣味が同居した奇妙なデザインの椅子、そしてテーブル。
どこか無機質であり薄ら寒さを感じさせるにも拘らず、何か化物の腹の中に居るような焦燥感、圧迫感、そして何者かの不気味な生活感。
酷く落ち着かない。そう感じるのはこの部屋の所為なのか、それとも……
そしてその中心におられるのがスカーレットデビル、レミリア・スカーレット。
我らが主にして夜の王たる吸血鬼。
蝙蝠と十字架があしらわれ、禍々しい悪魔が縋りつく意匠の椅子に腰掛けたお嬢様は
悠然とそして堂々と


「ほ~ら、私から逃げられるはずがないでしょう? まだまだ躾が足りないみたいねぇ!」
「うわああん! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! お願いだから突かないでぇ!!」


メイド長をいぢめてました。
あ、ちなみに「じ」じゃなくて「ぢ」って部分がポイントね。
「いじめ」より「いぢめ」の方がね、その、なんだ、ヤラシイ……うふふふふふふふふ。

「咲夜よ、私は悲しい……君ならば私の心理が理解出来ると思っていたのだがねぇ……まあ、よい。私から逃れられると思い上がっているのなら、いつでも逃げてみせなさい。あっはっはっはっ!」
「ひう! あうっ! や、お嬢様、そ、そこはぁ……ひゃあ!」

そんなブラッククロニクルが目の前で展開されてたりする。
あ、ちなみに今の状況は一言で言うとカオスでエロスだねぇ。
だってメイド長縛られてるんだよ!?亀甲なんだよ!?吊るされてるんだよ!?
その状態でお嬢様に突付かれてビクンビクンと反応する様はもう、なんて言ったら良いか……
一言で言うなら、紅魔館バンザイ。
幼女にいい様に弄ばれるお姉様のシチュエーション……
ふはは! 良い、良いじゃないか!!
これで紅魔館は十年は戦える!!
ジィィィクスカーレットォォ!!
そんな脳内トリップをかまして、脳内の自分が叫んでいたところ、お嬢様から声を掛けられた。

「いらっしゃい。どう? あなたも突付いてみる?」
「いえ、私はまだ結構です」

見てる方が興奮しますから。

「あっそう、ま、いいわ。信賞必罰は私のモットーでもあるの。さて、どうしたい?」

そう私に話しかけている間も、メイド長を突付くのは止めないんですね。素敵ですね、鬼畜ですね、エロイですねお嬢様、流石です。
それとメイド長、突付かれるたびにああん、とかあうっ、とかって呻かれると、色々とヤバイです。
主に私が、それと全年齢的な意味で。
それはともかく、お嬢様の言葉に私は恭しく礼をする。
そして、しばらく間を開けてから、静かに、そしてハッキリと答えた。


「更なる、メイド長いぢめを」


その言葉にお嬢様がにやりと笑った。蠱惑的で、残忍な瞳。
まるで食虫植物のように美しく魅惑的な笑顔。
吸血鬼の笑みとはこうも禍々しく綺麗なものなのか……

「よろしい、では咲夜いぢめだ。
我々は満身の力を込めて今まさにいぢめんとする、両の腕だ。
だが、いままで待たされてきた私に、ただのいぢめでは最早足りない……
大いぢめを!一心不乱の大いぢめを!!」
「お嬢様!! 自分一生付いていきます!!」
「ええ! 二人でヘブンを作るのよ!!」

見よ、東方は赤く燃えている!
ああ、感動のあまり涙が。

「うぅ、誰も助けてくれない……」

メイド長が何か言ってたようだけど、気にしない。




* * * * *




「ところで、どうしてメイド長は逃げ出したりしたのですか?」

ふと、沸いてきた疑問を口にする。
この人がお嬢様から逃げ出すだなんて、よっぽどのことがあったに違いない。
お嬢様は、相変わらずメイド長を突付いていた。
だからメイド長、喘ぎ声がエロイですって。

「ああ、咲夜にね、これを食べさせようとしたらね、逃げられたのよ」

お嬢様の手には細長い棒のような物が一本。
赤い布でラッピングされており、何か絵の様なものが描かれていた。

「何ですか、それ?」
「敏感サラリーマンソーセージ。折角パチェに言って作ってもらったのに……」
「へえ、で、効果の方は?」
「コレを食べるとしばらくの間、体がとても敏感になるのよ」
「敏感に!?」
「そう、具体的に言うと手を触れられただけで感じてしまうくらい敏感に。これで敏感になった咲夜を突付こうと思ったんだけどね」

お嬢様、それはマジでヤバイです。
ただでさえ、脇の弱いメイド長がそんな状態で突付かれたら…………うへへ。
まあ、私がメイド長の立場でも逃げてたでしょうね。
同情だけはしてあげます、メイド長。
ま、それでもいぢめるのには変わらないんだけどね。

「それじゃあ、早く食べさせましょうよ、お嬢様!!」

そう言って、お嬢様からソーセージを取る。
今、物凄く良い笑顔浮かべてると思うよ、私。

「ま、待ちなさい! それだけは止めっ!!」
「嫌です。だって敏感になったメイド長で遊びたいんですから」
「そんなことしたら私、死んじゃうわよぉ!! 待って、待ってってば!」
「大丈夫、死んだらほひゃららぴぴるぴ~って呪文唱えれば復活しますから」
「そんな曖昧なのは嫌あああ!!」

満面の笑みで言う私、マジ鬼畜。
ああ、お姉様、二人でめくるめく天国へ旅立ちましょう……おお、はらいそ、はらいそ。

「ほらほらぁ、観念して口開けてくださいって」
「あぐ、うぐぐぅ」

目の端に涙溜めて、口と目を必死に閉じているメイド長可愛いよメイド長。
ほら、顔を背けても無駄ですよ。
ほらほらほらぁ。

「待ちなさい」

メイド長の口にソーセージ押し当てていたら、お嬢様に止められた。
むう、良いところだったのに……

「メイド長をいぢめないんですか?お嬢様」
「まあ、落ち着きなさいミリス。物事には順序があるのよ」
「順序、ですか」
「いい? 敏感になった咲夜というのは言わばメインディッシュ!! 最高級のステーキよ。最初からそれではつまらないじゃない?」
「つまり、前菜が必要だと?」
「そう。楽しみは長い方が良いでしょう?」

うっわ、凄くいい笑顔です、お嬢様。
地獄の鬼も裸足で駆けて行くぐらい悪い笑み。

「お嬢様も悪ですねぇ……」
「ふっふっふ、お主もそうであろう?越後屋」
「いえいえ、お嬢様程では。へっへっへ」

そんな小芝居。
調子を合わせるって素晴らしい日本文化だよね!
スシ! スキヤキ! バンザーイ! と叫びつつロマンキャンセルかますのが紳士の嗜み。
やられた後はシショーと言いましょう。

「で、何をするんですか?」
「うふふ、先ずは私の服を持ってきなさい」
「お嬢様のですか? 一体何を?」
「持ってくれば分かるわ」

そういうことなので、とりあえずお嬢様のお召物を持ってきた。
サイズは妖精でも少し大きめの子が着る服、人間で言うと6~7歳くらいの子供が着るサイズだ。
上と下が分かれているセパレートタイプ。
これでメイド長をどうする気なんだろ?

「勿論、着せるのよ」
「このサイズをですか?」
「そうよ。ねえ、あなたから見て咲夜はどのくらいの年齢に見える?」

そう言われて、メイド長を見る。
さっきと違って逃げられないように手足を縛られているだけだ。
涙を溜めた目で懸命にこちらを睨んでた。
ああ、可愛いですメイド長……
小犬が懸命に抵抗しているみたいですよ。

「そうですねぇ……16~18ですかね」
「そうね。年齢的にもその位だわ。さて、想像してみなさい。16~18のうら若き乙女が、子供服を着たらどうなるかしら?」
「そりゃあ、このサイズなら着れない事はないですけど、袖やら丈が足らなくなって、ピチピチのパツパツに……っは!」
「ようやく気づいたかしら?」

スタイルの良いメイド長がこんな服着たら色々と見えてしまう!
なんでこんな簡単な事に気付かなかったんだ!! そう……犯人はこの中に居るんだ、剣持のおっさん!!

「そうと決まれば、さっそくやりましょう、お嬢様!!」
「ええ、そうね。それじゃあ咲夜、大人しくしなさいね。下手に逃げようとすれば……突付くわよ」
「ひっ! い、いや……こ、来ないでぇ! いやあ!」

うふふ、逃げようとしても無駄ですよ、メイド長。
私の分身がいつでも脇を突付ける位置にいますから。
だから、無駄な抵抗はやめましょう?
手足縛られているから碌に動けませんしね。

「さあ、咲夜。お着替えしましょうねぇ」
「お嬢様、縄を解きましたけど、代りに手足押さえました」
「良くやったわ、ミリス」

敬礼に親指を立てて返してくださるお嬢様は流石だと思う。

「ほらほら! ちゃっちゃと脱ぐのよ!」
「いやああ!」
「うわっと! メイド長、暴れないで下さいよ」


「へえ、可愛いブラをしてるじゃない。ハート柄だなんて」
「うぅ……ひっぐ」
「ブラは可愛いんですけど、下凄いですねぇ。黒のきわどいやつですよ。わあセクシ~!」


「ほら、今度はとっとと着なさい」
「ふえええん!」
「むう、これより一回り小さいサイズでも着れそうですねぇ。良いなぁスレンダーで」


少女着替え中


「さて、完成ね」
「うぅ、スカートが短いよぉ……」

ああ、生きてて良かった。
スカートの丈が短くて、そのままでは下着が丸見えなので、メイド長は前かがみになって必死に裾を引っ張っている。
彼女はとても可愛いです!!she is so cute!!
おお、思わず英語を話してしまうくらいの破壊力。
通って良かった駅前留学。流石、瀟洒。
他にもシャツが小さいので、へそやら背中やらがちらちらと覗いている。
紅いお嬢様の服に、メイド長のその白い肌が何とも艶かしい。
普段は冷静で格好良いその顔が、恥ずかしさで真っ赤になっている。
半分、泣きかけ、というよりほとんど涙目だ。
メイド長の凛とした美しい顔立ちに、お嬢様のふわふわとした可愛らしい服が何とも言えないギャップを生み出しており、コケティッシュともアダルティともいえる不思議な雰囲気を醸し出している。
チラリズムとモロリズムが同居した何とも言えない空間。
普段の凛としたメイド長は今、恥ずかしい格好をしているか弱くウブな女の子なのだ。

「ふぐっ……ぐすん、服が小さいよぉ」
「お揃いね私達、これでお揃いね、ああ幸せ~」

半ベソをかいているメイド長に対して、お嬢様はとてもご満悦のよう。
もじもじと恥ずかしそうにしているメイド長に、愛おしそうに抱きついているほどだ。
良かったですねお嬢様。GJですねお嬢様。私も恥ずかしい格好のメイド長が見れて良かったです。
幸せはこんな所に転がってるんだね。
と、メイド長に抱きついていたお嬢様が手を伸ばす。
その可愛らしい小さな手を上まで持ってきたかと思うと、人差し指でメイド長の背中をつつぅと撫でた。

「ふぁわあぁ!」

気の抜けた声を上げたかと思うと、メイド長がペタリと尻もちをついた。
丁度、女の子座りの格好になる……パンツ見えてますよ。

「ふふ、やっぱり背中も弱かったのね、咲夜は。ほ~ら、さらさらっと」
「ふぇ、あああ……! お嬢様、や、やめ、止めて……」
「止めてと言って止める奴がいたら見てみたいわ」
「ひうぁぁ!」

お嬢様が背中をなぞる度に、ぶるりと震えながら色っぽい声を出すメイド長。
さっきとは別の意味で顔が真っ赤になり、目が潤んでいる。
身体を反らして少しでも逃げようとしてはいるが意味は無く、その手が何かを掴むように、誰かに助けを求めるように伸びた。
ああ、ホントに、本当にエロいです。メイド長。

「ほ~らほ~ら、ここがええんか? ん? ここがええんかぁ?」
「ふえ、にゅぅぅ……いやぁぁ」
「うふふ、そうやって身体を捻っても意味ないわよ、ほぉら、するするっと」
「あぅぁぁ……」

しばらくメイド長の背中を突いたり、指でなぞったりしているお嬢様。
その可愛らしい指が動くたびに、びくんびくんと、メイド長の身体が跳ね上がった。
でも、ギュッと目をつむり、唇を噛み締めて懸命に耐えるメイド長。
しかし、時々、鼻から抜けるような媚声が小さく洩れる。

「ひゃ!……っくぅ」
「それにしても咲夜の体は楽器みたいね。こうやって脇を突くと……」
「ひぁぅっ! ……うぅ」
「それで、こうやって背中をなぞると……」
「くぅ、ああぁ……! 」
「いいわぁ! 本当に素晴らしい音色よ!!」
「ひゃうっ! ……っもう、いやああ!」
「ディモディモディモディモディモディモ!! ディモールトベネ!!」
「はぅぅ……!」

気のせいかお嬢様も高揚しており、頬が赤くなって息遣いが荒い。
メイド長の方も息を荒げており、眼尻に涙が溜まっている。
う~ん、ベネ!

「さあ、もっと良い音を響かせなさい! スピードアップいくわよお! 速さは文化の基本法則! 速さを一点に集中させて突破すればどんな分厚い塊であろうと砕け散るゥゥッハッハッハッ、ハー!!」
「いやああああああああああああ!!」

お嬢様、砕いちゃ駄目ですって
なんというか、完璧に二人だけの世界に入ってらっしゃる。
私はガン無視ですか、そうですか。
まあ、見てるだけでも十分だったりするんだけどねぇ。

「と、そういえば」

メイド長をいぢめる手を休めて、お嬢様がちょいちょいと私に手招きをした。
なんだか子供が自分の宝物を見せようとしているみたいでとても可愛らしいです、お嬢様。
ああ、乳臭いって素晴らしい。

「あなたをすっかり忘れてたわ。見てるだけじゃ物足りないでしょ?」

そう言うと、お嬢様がいきなりメイド長の服を捲り上げた。
おお! 細くて白い背中が丸見え!!

「な! え、あぇ?! お、お嬢様ぁ!!」

背中を丸出しでわたわたと慌て始めるメイド長。
あ、ちなみに捲り上げられたのは背中だけだから、ご安心を。
それにしても、色白で綺麗な背中。
微妙に浮かび上がった肩甲骨や背骨が華奢さを引き立たせ、軽く汗ばんだうなじがなんとも言えず色っぽい。
その可愛らしさに見とれて、思わず手が伸びる。

「ひぅ!」

そっと手を触れると、びくりとその背中が揺れた。
うわあ、凄いすべすべしてて、艶やかな肌……
軽く撫でてみると、細身でありながらも少女特有の繊細で早熟な柔肌をしているのが分かる。
どう見てもその辺に居る人間の娘の背中だ。
ふと、メイド長がこちらを見てるのに気付く。
ふるふると小さく震えながら、助けを求めるような視線を送ってきた。
ああ、そんな雨に濡れた子犬みたいな瞳で見ないでくださいよ。
何というか、こういうところを見ると改めてメイド長が人間の少女であることを思い出す。
怯え、震え、そして弱々しげに息を切らせている目の前の少女が、本当に悪魔の狗やら、パーフェクトメイドやらと恐れられているあの十六夜 咲夜なのかと疑問に思えてくるほどだ。
その位、今のメイド長は弱々しくて、可愛らしくて、幼く見える。

「メイド長の背中……すごく可愛い」

呆けたように、そう呟いた。
手が自然とメイド長の背中を撫でる。

「はああぁ……ミ、ミリス……お願い、止め……っ!」

メイド長が何かを言っているけど、それがどういう言葉なのか分らなかった。
確かに耳にはその声が残っているのに、それを言葉として理解できない。
というより、その白くて小さな背中を触っている時、私の頭は靄がかかった様に不確かになっていた。
何も考えられず、ただ手の平から伝わる柔らかさと温かさと気持ち良さを感じるだけで、精一杯。
世界が、全てあやふやに思えた。

しばらくメイド長の背中を撫でまわし、突きまわし、弄りまわしていると、こっちまで身体が火照ってくる。
はぁ、はぁと短く熱い吐息を漏らしてしまう。
頭の真ん中が熱くなり、心臓が激しく鼓動する。
激しい心臓の音だけが耳の中に響き、他に何も聞こえなくなる。
手が、自分の意志とは関係なしに動いた。
後ろから前に……背中を撫で回していた手が、そろりそろりと移動していく。
その一つは背中から前に。
もう一つは背中から下に。
それぞれ、蛇のようにメイド長の身体を這っていく。
下に進んだ蛇がゆっくりと腰の辺りにたどり着いた。
前に進んだ蛇は、胸のところで動きを止めた。
このまま、メイド長と一緒に……
蛇がちろちろと服の中に入っていく。
メイド長の大切なものを探すため、私とメイド長が一緒になるため……

そしてその手が、メイド長を征服しようとしたその瞬間、誰かに手首を掴まれた。
だけど、頭には靄がかかったみたいで、何が起こったのかよく分からない……
のろのろと視線を動かし自分を掴んだ相手を探す。お嬢様が私の手を掴み、静かに睥睨していた。
その視線が、一瞬で心臓を凍りつかせ、私を現実に引き戻す。

「がっつくのは関心しないわね。主を差し置いてもうメインディッシュを食べるつもり? それも私でさえ味わったことのない極上の品を……」

静かで、だけど苛立たしげで、不愉快極まりないといった口調。
瞬間、その場から全力で離れた。
頭が命令を下すよりも早く、条件反射のようにお嬢様から離れる。
足がもつれて、思わず転びそうになった。
心臓が異様なほどに動く。
あのまま、あの場所にいたら、間違い無くやられていた……
襤褸雑巾のようにぐちゃぐちゃにされて、打ち棄てられていた。
いや、原型なんて分からなくなるくらいに殺されていたと思う。
背筋を冷たい汗が流れていく。
歯の根が合わずに、ガチガチと音をたてた。
寒くも無いのに体の震えが止まらない。
目の端から、涙が溢れだす。
悲しい涙でも、嬉し涙でもない。
ただ、ひたすら怖くて、何もできずに涙が流れるだけ。
お嬢様の威圧に潰されそうな自分の体を、必死に守ろうと、抱きしめた。
そんな私の様子を見て、お嬢様がにやりと嗤った。

「分かればいいのよ、分れば。反省したのならさっきの事は流してあげるわ」
「も、申し訳、ございません……」

どうにか声を絞り出す。
お嬢様からのプレッシャーは感じなくなったけど、それでもまだ震えが止まらない。
怖い……

「さて、そろそろメインディッシュといこうかしら? ねえ、咲夜?」

お嬢様がそう言うと、俯いて惚けていたメイド長がびくりと震えあがった。
そして、その端正な顔がくしゃりと泣き顔になる。

「うぅ、ひっぐ……ふえっ……もう、もう許して……」

どうして、こう……この人の泣き顔って加虐心を煽るんだろうね?
何だかメイド長の泣き顔を見たらさっきまでの震えとかが収まった。
おおう、人体の不思議。

「ふふふ、いいわぁ。その顔、その声! 本当にぞくぞくする……」

そう言いながらお嬢様が取り出したのはあのソーセージ。
それにしても、なんで薬とかじゃなくてソーセージなんだろ?
パチュリー様の趣味? まあ、ソーセージの方が見た目的にエロいからどうでもいいけどさ。
エロさえあれば、何でもできる。エロは世界を救うんですよ、奥さん!

「ひっ! い、いやぁ……来ないでぇ!」
「ふふ、主にそんな口を利いていいのかしら? 悪い子ねぇ」

震えあがるほど妖艶な声を聞いた。
普段はプリンやらハンバーグやらで喜ぶお子様なのに、こういう所は流石、吸血鬼と言うべきか。

「ほ~ら、ほ~ら……悪い子にはお仕置きよ」
「ひぅぐ!……んぅぅぅ!」

ぺちぺちとメイド長の頬にソーセージが当てられ、擦り付けられる。
それを、顔をそむけたり口を閉ざしたりしながらメイド長は必死に拒んでいた。
ちなみに、この光景が卑猥に見える人はとてもエッチな人に認定してあげます。
卑猥に見えない人は、そのままのあなたでいてください。

「ミリス、見てないで手伝いなさい。とりあえず、逃げださない様に押さえて」
「あ、は、はい!」

お嬢様に呼ばれて手伝いに行こうと駆け出そうとした。
地面を蹴ろうとしたその瞬間、物凄い勢いで部屋のドアが開け放たれた。

「待てぇい!」

この声は……門番長?
この館でほぼ唯一、メイド長を守ろうとした人。
さっきドアの前でうろうろしてたけど、何のつもりだろ?
「相手がどんな凶暴な者であろうと、心の守るものあるならば、たとえ己の命が尽きるとも、体を張って守り通す……人それを『門番』という!!」

そんな口上を並べて現われたのは、紅魔館門番隊隊長。華人小娘 紅美鈴。
……かと思ったんだけど、どうなんだろ?
確かにあの声は門番長の声だし、大陸風のスリットが入った服も、いつも門番長が着ているものだ。
あの龍の字の帽子もきちんと被っている。
そこから覗く、美しい脚美線の生足やら、幻想郷でも1,2を争うその大きな胸も彼女のものに違いない。
ここまで来たらもう、100パーセント門番長だと思う。
ただ、その門番長の身体の上に付いてる頭が何故かモアイだった。
門番長の服を着て、門番長のナイスな体付きをして、門番長の帽子を被っていたモアイが、いきなり乱入してきたのだ。
何これ?

「な、何者だ!!」
「あなた達に名乗る名前は無い!」
「何ですって!?」

いやいや、お嬢様。どう見ても門番長ですよ、モアイの顔になった。
多分、マスクか何かだとは思うけど。

「弱き者が鳴いているのを見過ごすわけにはいかない! 行くぞ、逃亡『煙玉』!」

いきなり逃げたぁぁ!?
しかもスペカみたいに出したのはただの煙玉だし!
うわ、煙が酷い……しかも、目に染みるよ、これ。

「いやああああああ! 炒った大豆の香ばしい臭いがああああああ!!イソフラボンがあああああああああ」

お嬢様の絶叫が聞こえた。
言われてみれば仄かに香ばしい匂いが……
何やらどたばたと音がするけど、煙のせいで全く前が見えない。
くそう! 門番長め、この隙にメイド長と愛の逃避行でもしようって魂胆か!
今まではただの仲の良い友人で同僚だった二人が、舘を抜け出して、色々あるうちに恋人になるっていうそんな展開か!
畜生……美×咲派の私にとっては歓迎すべきことじゃないか!!
おのれ、ドサクサにまぎれて私の夢を叶えてくれるとは……
って、妄想している場合じゃない。
このままじゃメイド長に逃げられる!

「分身、1号! 2号!」

分身を作って、メイド長の居た位置へ走らせる。
よし、手応えあり! まだ逃げてなかったのは嬉しい誤算だ。
取りあえず、脇を突いて押さえつけておけば逃げられないはず。
そして、門番長からの攻撃を警戒して身構えさせる。
3号を門番長の相手に向かわせてみたけど、どうにも連絡がつかない。
これはあっさりやられたと見るべきか。まったく、時間稼ぎにもならない。
お嬢様が豆の匂いで悶絶してるから、私がどうにかしないといけないのに……
しばらくすると煙が晴れて、視界が良くなってきた。
よし、このぐらいならどうにか部屋が見渡せる。
とりあえず、モアイの姿を探してみるけど影も形も無く、気配も感じない。
メイド長との逃亡は諦めた?
あの人なら私の分身の一人や二人くらいあっさり倒せるだろうに……
まあ、いいや。それよりメイド長はどうなってる?





「あれえ?」
「はれえにゃなくにぇ、ひょひょとはにゃあへ!」(あれえじゃなくて、とっとと放せ!)
メイド長を捕まえたと思ったら何故かお嬢様が捕まってました。
鼻を押さえて泣きながらふにゃふにゃ何か言ってる。たぶん放せっていってるんだろうなぁ。
で、肝心のメイド長といえば、お嬢様の横でおろおろとしてた。
あれ、なんで?
門番長は何しに来たんだろ?
メイド長を連れていくでもなく、お嬢様を倒して私がメイド長の婿になる! 的な展開でもなく、何もせずに帰った?
色々考えても仕様がないので、取り合えず分身たちを消す。
そうして、お嬢様を立たせて、服の埃を払う。
メイド長は横の方で相変わらずおろおろしてた。
逃げないんですか?

「みゃああ! ショーシェージにゃにゃあい!」(あああ!ソーセージがない!)

いきなりお嬢様が声を上げたから、ビックリした……目の前で大声出さないでくださいよ。
でも、なるほど、これで門番長の目的は分かった。
一つは敏感サラリーマンソーセージを奪うこと。
もう一つは豆の匂い煙幕でお嬢様の無力化、およびメイド長の逃亡を助けること。
っと、そうこうしてたらメイド長の姿が見えないし……
あ~あ、逃げられた。
まあ、敏感になったメイド長は惜しかったけど、色々とできたからもう満足だ。
正直、オードブルやスープだけでお腹いっぱいです。
自分、貧乏性なんで。
河童から貰った小型カメラでメイド長のあんな姿も撮れたし。
まずは保存用、鑑賞用と現像してもらって、他にも競売用やら何やらでかなりの枚数が必要だ。
うふふ……これから忙しくなるぞぉ。

「ショーシェージにゃあ! みんにゃんになっひゃしゃくやにゃああ!」(ソーセージがあ! 敏感になった咲夜がああ!)

私の横ではお嬢様が半泣きで喚いていた。
ふにゃふにゃ言って子猫みたいで可愛いですね、って言ったらぶっ飛ばされました。
不夜城レッドの後に追撃の全世界ナイトメアは酷いですって。




* * * * *




その後は、メイド長がピンチになると、その度にモアイが現れて邪魔するようになった。
本人は気付かれてないって思ってるみたいだけど、ばればれですよ門番長。
それと、メイド長が最近、門番長に優しくなってたりしてる。
昼食を一緒に取ったり、色々と差し入れをしたり、相談とかもしているみたいだ。
前々からそこそこ仲は良かったけど、最近は特に仲睦まじい。
美×咲はいいね、美×咲は妄想を掻き立ててくれる……紅魔館が生み出した文化の極みだよ、うふふ。
で、私といえば以前と変わらず、平メイドを続けている。
ただ、最近は何故かメイド長から目を掛けてもらって、色々と仕事を教えてもらったりしている。
この前、その理由を聞いてみたら、私にはメイドとしての見所があるから、らしい。メイドの見所?
私に捕まった事は恨んでいるのかどうか尋ねてみたら、あれは自分の油断が招いた事だから、私には関係ないんだと。
何というか、本当に変わった人だ。まあ、そこも魅力の一つだけどね、うふふ。
まあ、何があっても世界は回っているわけで、紅魔館は今日もお嬢様の我儘やら白黒の襲撃に合って、どたばたと騒がしい。
それでも徒然なるままに、日々は過ぎて行くもんだけどね。

「咲夜ぁぁあああ! 今日こそは、このソーセージをぉぉぉ!」
「ぜえええええったい、嫌です! 断固としてお断りします!!」
「まてぇい! 力と己の欲のみでいつまでも人の心を惑わせると思うな。固く握り合った手は暴力では離れない……人それを『絆』という!!」

あ、また始まった。
まったく毎日これだとお掃除が進まない……
ああ、今日も忙しくなるなぁ。
             ,. -__ニンヽ、
          _,..::''´::::::::\ 龍 フヽ
        ,:'´::::::::::ヽ、:::::::::|/ヽ.!:::::',
        !:::::::::_;:ゝ - 一 - ,''<:;::::!
        ヽン´ィヽ:::.      ゙i:ン
          r´:゙i゙i:::::. ,. - ─- ,゙i
          |::::::i|:::/::::::::/゙i::...i
          |::::::|::゙i :::::::::〈:.  く ヽ  <まてぇい!!)
          |:::::::|:::::.    ヽ:::. ヽ ゙i
          |:::::::|:::::::    i:::::. ヽ i
          |:::::::|:::::::    i:::::. ヽ i                     ,.-、,
          |::::::::|:::::::.    i、 /´::::;i i                    / / ヽ-、
           |::::::::|::::::::.    `''''''''´ i〉                  /!_/ /  ,ハ
          ヾ:;;;;イ:::::::::.  ,. -=三=-i                  '、.,___)'、_/./
             i:::::::::::.       i                  ,'ヽ.ゝ、,.ン
             i::::::::::::::.       i                  ,.:'   .,:'
              ゙i:::::::::::::::.      i     _,,.-‐- 、.,_    _ /    ,:'
            K/゙i;;;;;;;;;;;;;;.____,ノ リ;-''´   / ァ`ー ''´ ;'     /
          -<| \,___`Tァーr'´イ´/         iコ           _,.:'
        /´  /:i__/ム__」ンメ´::7        `YL   _,,.. -‐ ''´
       ,.:'     ,:':::::}>ホ<{イ:::::、:;'、        .!ヽ!
    ___<_,.  /:::::::/ハ. !::::::::::::::::Y ゝ、.,_    __ン'
   ,'´>ー、_r、_,:'::::::::::└'ナ└':::::::::::::::::::::i__,ン.´ ̄ ̄
  ./ ./ , ' ,' `i,':::::::::::::::::::iY´:::::::::::::::::::::::;ハ/
  '、 i i i  r!ゝ、:;:::::_・十・、:::::::::::::::::;:イ::/
   `ー、- - 'ヽ:.:.:7:::::::::;!::::::::`:::::::::::´Y:_」
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コメント



0.3160簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
メッセージでおもっくそ吹いたしwwwwwwwww
夜中にこんなの読ますなよwwwwwwwww
3.90名前が無い程度の能力削除
モアイ中国に吹くしかないw
4.80名前が無い程度の能力削除
モアイ吹いたwさて寝ようw
5.80名前が無い程度の能力削除
これか、これがやりたかっただけなのかwwwwww
何はともあれ美鈴GJ
8.90名前が無い程度の能力削除
もwうwだwめwだw
ありがとうモアイさんwwww
9.80名前ガの兎削除
最後だろ!アンタ最後のためだけにこの話書いただろwwwwwwwwwwww
ごちそうさまでした。
10.90名前が無い程度の能力削除
どうみても最後がやりたかっただけですほんとうにry
いいぞ!もっとやれ!
12.80名前が無い程度の能力削除
こwwwれwっうぁwww
タイトル通りですねwwww
14.90名前が無い程度の能力削除
やられたwwwwwwwwwwww
16.無評価三文字削除
すいません。タイトルがあまりにもアレだったので修正しました。
投稿した後、どうしてもあのタイトルだと落ち着かなかったので……
点数を入れて下さった皆様には深く感謝いたします。
17.90野狐削除
吹いた時点で自分の負けですw 本当にありがとうございました。
最初から最後までノンストップ、ブレーキの壊れちゃったトロッコみたいな速度で突っ走るこれはもう、傑作としかwww
しかし、全編に渡ってエロ過ぎる!
18.無評価名前が無い程度の能力削除
モアイで久々に本気で吹きましたwwwwwwww
次回作期待してます
19.100名前が無い程度の能力削除
そんな咲夜さんが大好きだ!!
あとやっぱり美×咲は正義ですよね!
20.90名前が無い程度の能力削除
すげえ
それまでのエロスなんざ吹き飛ばされた
21.70更待酉削除
美×咲もいいよね!
22.100名前が無い程度の能力削除
この作品のせいで他の作者や作品の美鈴がモアイに見えるようになりました。

……責任取ってください。
23.90名前が無い程度の能力削除
ひゃんひゃんいってる咲夜さんがメインディッシュの素敵なコース料理でしたが
大豆煙でにゃにゅにょ言葉になってるお嬢様は私にとって極上のデザートでした
アンタ最高だ!

ところで私の脳内での美鈴ボイスが井上和彦に変わってしまった責任をとってくだs
24.80たぶん普通の人削除
最後のモアイ中国で吹いたw
27.70名前が無い程度の能力削除
くそっ…くそっ畜生、おのれモアイめ、敏感咲夜さんがぁっ!
28.100名前が無い程度の能力削除
ちくしょうwwwwww最後のモアイが全部持ってきやがったwwwwww
29.100名前が無い程度の能力削除
くそう、なんだこれは、素晴らしいじゃないかw
この弾を吐きそうなモアイがなんとも言えんぜwww
31.100名前が無い程度の能力削除
ちっくしょうwwww
ラストで全部持って行きやがってwwww
エロスを返せwwwwww
32.90朝夜削除
文章中でのモアイは普通に読んでいたのですが、あとがきwwwwwwww
ただシンプルに、素晴らしかったです。
次回作もお待ちしております。
33.80名前が無い程度の能力削除
俺のミルクティーを返せwwwwwwwww
34.80名前が無い程度の能力削除
駄目だwwwwww最後のモアイ強すぎるwwwwwwww
35.100名前が無い程度の能力削除
俺の紅茶を返してくださいwww
37.100#15削除
なぜ、あえてモアイwwwww
38.100名前が無い程度の能力削除
オチのAAで吹いたwwww
39.80大天使削除
AAでクソ吹いたwwwww
40.100名前が無い程度の能力削除
この野郎……俺を、俺を笑わせやがった……
41.70名前が無い程度の能力削除
AAバカスwwww
夢オチだとばかり思っていたが・・・
面白かったので問題無し!!
42.無評価三文字削除
モアイのおかげで身長が伸びました。(匿名 18歳)
モアイのおかげで持病が直りました。(匿名 22歳)
モアイのおかげで点数が過去最高得点になりました。(三文字)
すげえ!モアイすげえ!
皆様とモアイに多大なる感謝を。
43.100名前が無い程度の能力削除
色んな意味で、アウツ!!!
モアイひでえw
44.90名前が無い程度の能力削除
氏よ、むしろ貴方がまてぇい!!wwwwwwww
45.100名前が無い程度の能力削除
全てはモアイのための前フリだったんだよ!!wwwww
46.90名前が無い程度の能力削除
畜生wwwwwwwwwwwwww
そこでモアイもってくるかwwwwwwwwwwww

っつーかお嬢様も気づこうぜw
48.80名前が無い程度の能力削除
クソwwwwwwいつぞやの旧門板絵書いてうpスレからとは卑怯だwwwwwwwwww
51.100☆月柳☆削除
突込みどころが多すぎるwwww
53.100ななーしの二号っぽい人削除
もう口から輪っかが出てくるところまで見えてしまったじゃないですかwww
参りましたwww
54.無評価yms削除
モアイで腹がよじれそうになったwwww
部屋で床を転げ回るハメになるとは思ってなかったww

てっきりニヤニヤするためのSSだと思ってたのにwww
55.100yms削除
モアイのせいで点数忘れてたwwwwもう腹筋が死ぬwwww
56.100名前が無い程度の能力削除
あ ん た は 最 高 だ

てかおぜうさま熱いな
58.100名前が無い程度の能力削除
もwwwwwあwwwwwwいwwww
此処まで吹いたのは初めてです。ご馳走様。
62.100名前が無い程度の能力削除
はらいてぇ
せきにんとれw
63.100親に内緒でネット繋ぐ程度の能力削除
小ネタワロタ
もあい。
67.100名前が無い程度の能力削除
モアイwwwww

あと歴史は改竄を許さない星屑に吹きましたw
69.90名前が無い程度の能力削除
お嬢様の声をじまんぐに置換して脳内再生をしたら笑い死ぬかと思いましたwwwwwww
70.100名前が無い程度の能力削除
お義父さん。
ミリスさんください。
幸せにします。
71.無評価三文字削除
皆さん、本当にありがとうございます。
こんなにたくさんの方に笑ってもらえるだなんて俺はなんて幸せ者なんだろう!
書いた本人でも未だに笑ってしまうモアイに乾杯。
それとちょっとした裏話。
この作品に出てくるミリスですが、実は過去の作品に名前だけ出ています。
具体的には作品集43の「銀色の葉」での登場でした。
まあ、それだけの話。
正直、ここまで評価して頂けるとは思っていなかったので、ちょっとビビってます。
次に出したやつで失望されたらどうしよう……
とにかく、読んで下さった方、評価して下さった方々に深く感謝します。
ありがとうございました。
73.100名前が無いっぽい程度の能力削除
職場で死ぬほど吹いたwww
変な目で見られた!
どうしてくれる!?
74.無評価三文字削除
5000点突破ありがとうございました。
なんかもう皆さんに足向けて寝れない感じだ……
75.100名前が無い程度の能力削除
ありがとう、もうだめですwww
101.無評価名前が無い程度の能力削除
メッセージに吹かざるをえないwww
内容も小ネタ満載で楽しませていただきましたぁ。
102.100名前が無い程度の能力削除
点数入れ忘れましたw
104.100名前が無い程度の能力削除
夜中なのに爆笑wあー、絶対変な人に思われてるw
責任とってください!
109.80名前が無い程度の能力削除
クソワラタw
>美×咲はいいね、美×咲は妄想を掻き立ててくれる……紅魔館が生み出した文化の極みだよ
狂おしいほど同意!
117.80名前が無い程度の能力削除
何故モアイなんだ!
121.100名前が無い程度の能力削除
最後の最後でやられたwwwwwちくしょうwwwwwww
127.80雪夜削除
モアイのところが面白い!