今日はバレンタイン、普段なら寝ているはずの朝早くからキッチンにこもっているのは自分でも笑ってしまう、ピンクのエプロン、赤いバンダナ、私の装備は誰もいないキッチンでは派手すぎた。
チョコレートってどうやって作るのかな?、と思ってレシピ本は借りてある、パチュリーには変な顔されたけどね、きっと私が料理をするなんて思ってないんだ。
「でもさ、いつもお世話になってるお姉様にチョコ・・・あげたいんだ」
お姉様にはいつも迷惑かけてるし、わがまま言って苦労させてるし・・・、今日くらいは私もいい子になってお姉様を喜ばせるんだ。
ふっ・・と、お姉様が喜ぶ顔が浮かんだ。
「よーし!頑張って作るぞ~」
私は気合を入れなおしてレシピ本とにらめっこを始めた。生まれてこのかた一度も料理なんてしたことがないから何にもわからない、今日がバレンタインというのもつい先日、魔理沙から教えてもらったのが最初で、実践するのも始めただった。
調理をしている私はどこからどう見ても不自然気回りない、魔理沙が見たらきっと笑われる、そんな雑念は壊して私はにらめっこを続けた。
それにしてもレシピ本に書いてあるのは知らない言葉ばかり、意味がわからぬまま時間が過ぎていく、難しいなぁ・・・料理って・・・。
「チョコレートは・・・刻んで?チョコを作るのに何で刻むのかな?、湯銭にかけてとかしたら型に流し込む?・・・意味わかんないよ」
早くも詰んでしまった。
私自身ここまで難しいとは思ってなかったので、正直びっくりした。
よくかんがえたら咲夜はいつも一人で料理している、どうやったらあんなにうまくできるのだろうか?、咲夜に聞けばうまく作れるだろうか?
「でも、一人で作らなきゃ!!」
自分一人で完成させるんだ。みんなに迷惑はかけたくない、私だって頑張ればできるはず、と自分に言い聞かせた。
私は本を見ながらとりあえず作ってみることにした。
チョコレートは刻んでかぁ・・・、あ!。もしかしたら・・・、私は棚からココアパウダーと書いてある一つの袋を取り出した、これならチョコレートみたいな色をしている、そう思った私は勢いよく容器に移した。
たちまち砂煙が上がったかのようにココアパウダーがキッチンの中に飛散してしまった。
たまらず私はせき込んだ。
「けほっけほっ!・・・あーあ・・・エプロン汚しちゃった、キッチンもなんか汚くなっちゃった」
自分の不器用さが嫌になる、少し悲しくなって涙腺が緩んだ。
何で私はこんなにも不器用なのかな、と自分に問いかけても返事はかえってこない、私はその場に座り込む。
「私じゃうまくできないよ・・・」
涙がこぼれた。飛散したココアパウダーに私の涙は橙色に染められ、床にぽたり・・・ぽたりと落ちていく、ココアパウダーは外れだったんだ。
私自身料理なんてできないくせに調子に乗って、一人でできるなんて強がって、結局失敗して・・・すごく情けない。
この汚れたキッチンは、今の私そのものだ。
私は完全にあきらめきっていた。
「まぁ、派手にやりましたね」
そんなとき急に声がかかった、
顔をあげると苦笑いを浮かべた咲夜が私の前にいた。
「さ・・・さくやぁあああああ!」
たまらず私は咲夜に飛びついた、私を受け止めると昨夜はやさしく抱きしめてくれた。
「あらあら、こんなに汚れてしまって・・・、がんばったんですね」
その一言で私の涙線は崩壊、次から次へと涙がこぼれおちる、まるでダムが決壊したかのように涙は流れ続けた。
・・・かれこれ二十分は泣いていた。その間、咲夜は私のことをずっとあやしてくれていて、泣きやんだ時はもう一度抱きしめてくれた。
暖かくて、とても安心できる咲夜のぬくもりは、私の意地っ張りを緩めたらしく、
私は、もじもじしながら咲夜に聞いてた。
「ねぇ咲夜、その・・・チョコを一緒に作ってくれない?」
恥ずかしそうにする私を見て咲夜は、にこり、と笑みを浮かべ、私でよければ手伝わせていただきますと言った。涙が再度出そうなのをこらえながら私は再びキッチンに立った。
咲夜が手伝ってくれるんだから、きっと上手に作れるはず・・・いや作るべきだろう。お姉様に喜んでもらいたい、ただそれだけ・・・そう、それだけなんだ。
私は変な意地を張ったいた、上手に作ることだけを考えすぎて、本来目指していた結果から遠ざかっていたんだ。
体が軽くなるのを感じ、いままでため込んでいた気持ち・・・自分にはできないという気持ち、それが一気に消えた。
きっとお姉様が喜ぶ美味しいチョコレートを作ることができる、私は気合を入れなおした。
「フランお嬢様、がんばりましょうね」
「うん!がんばる!」
私と咲夜は二人でレシピ本を見て、おいしくて簡単なトリュフチョコを作ることにした。材料はカステラ、チョコ、ココアパウダー、砂糖、どれも簡単に見つけることができたがココアパウダーはさっきの失敗でもう少ししか無かったので代わりに粉砂糖を使うことにし、やっとの思いでトリュフ作りが始まった。
チョコは粗めに割って、カステラはつぶしてからこね、両方ボウルに入れて混ぜあわせ、ココアパウダーを入れてよく混ぜ、出来上がったものを一口サイズに丸めて粉砂糖を上からふりかけたら完成・・・らしい、私の想像とは全然違ったことに驚きつつ咲夜と調理を始めた。
チョコを割るのは咲夜に任せ、私はカステラをつぶす作業に取り掛かる、慎重にやらないと私の場合ボウルを破壊してしまうので作業中手が震えてしまった。
なんとか、無事作業が終わり出来上がったものを混ぜ、一口サイズに丸める作業に移る、これが中々難しかった。
私に横で咲夜が淡々と丸めるのを見て真似るようにやってみるも不格好な形になってしまう、握る強さが強すぎるのだろうか?
「咲夜、どうやったら綺麗に丸められるの???」
「そうですね、やさしく、潰さないようにゆっくりと丸めればいいと思います。フランフランお嬢様の場合、焦りすぎと強く握りすぎなので」
咲夜はにこにこ笑顔で教えてくれた・・・が、咲夜の言ったことは私には難しい、焦らないことはわかったが優しく握るというのは私みたいに力の加減ができない者からすればとても難しい、現に、さっきのボウルはところどころ凹んで、変形している。
「そんな思いつめなくても、お嬢様ならできますよ」
咲夜が私の横にきて私の手を持ち軽く握る、
「私がフランお嬢様の手を握ってるくらいの力でいいんです」
咲夜の提案を受けた私は首を縦に振る
「わかったわ、やってみる」
咲夜が私の手を握ったように・・・、と呟きながらゆっくりと、できるだけ優しく、私はチョコを丸める、さっきよりは綺麗な丸になり、私は思わず咲夜を見た。
咲夜は親指をグッと立て
「百点です!」
と私に笑いかけながら褒めてくれた。
そんな咲夜の助けもあり、初めは諦めていたチョコレートを作り上げることができた。
あとは、固まるまで冷蔵庫で冷まし、粉砂糖をかけて完成・・・やっと完成するんだ。
そうだ!、固まるまで少し時間がある、今のうちに・・・・
私は固まるのを咲夜に任せて、お姉様のいる部屋に向かった。きっとこの時間は寝ている筈、だからそれを確かめに行くのだ。
廊下を歩いていると、人影がみえた、メイド妖精だ。
メイド妖精たちはこの時間からもう館内の掃除を始めているようだ。ご苦労なことだ。
私を見つけるとぺこりと頭を下げ、そそくさと掃除に戻ってしまったが、昔よりは私に対する反応が良くなっているので悪い気はしなかった。
お姉様の部屋の前まで来るとなぜか鼓動が速くなるのを感じた、何故かはわからないが緊張しているようだ、胸に手を当て深呼吸し心を落ち着かせようとしてみるも治まらない、何だろうこの感覚は、まるでお姉様と初めて会うような感覚ではないか・・・私もどうかしている、実の姉に会うのがまるで恋人にでも会うような感覚になってしまっている。
「ほんっとに・・・やんなっちゃう」
ため息を一つ、深く息を吸い込み、お姉様のいるであろう部屋を静かに開けた。
部屋の中は静かで物音一つしない、お姉さまは眠っていた。
その小さな体には似合わない大きなベッドでお姉様はぐっすりと眠っていた、ホッと胸をなでおろし、お姉様の寝顔を拝見、まるで人形のように動かない静かな呼吸による動き以外の動作が全くと言って無い。
・・・・さすがにこれ以上は面白くもなんともないので私は静かに部屋を出るとスキップをしながらキッチンへ戻った。正直なんのためにお姉様の部屋に行ったのか私自身うやむやになっていたのだ。
キッチンに行くと咲夜がちょうど冷蔵庫からトリュフチョコレートを取り出しているところだった。
「わぁーすごいすごい!固まってるー!」
何故かはしゃいでしまった。
咲夜は苦笑、私はなんだか恥ずかしくなりうつむく
そんな私を見て咲夜は微笑みながら私の頭をなでた、私は無性に恥ずかしくなり、さらにうつむく、咲夜に頭をなでられるなんて普段ありえない・・・顔をあげたそのとき私は絶句した。
私の頭をなでていたのは、咲夜ではなく・・・・
「お姉様!」
ほかでもないお姉様だった。
「な・・なんでお姉様がここに?寝てたはずでしょ?それに咲夜は?どこに行ったの?」
私は混乱してあたふたしてしまっている。
「フラン~、咲夜は、ほら後ろにいるわよ」
お姉様に言われ降りむくと、にこにこ笑顔の咲夜・・・それに美鈴やパチュリーがそれぞれ笑顔で立っていた。
「なんでどーして?咲夜は私の頭をなでてたんだよ?」
私が問い詰めると困ったように咲夜は笑いながら
「申し訳ございません、フランお嬢様がうつむいている間に時を止めて入れ替わったのです」
唖然として声が出なかった。
ここにきて咲夜の能力を忘れていたのだ、完全にやられた。ということはみんなして私をだましていたことになる。
パチュリーが小声で呟いた
「まあ、気付かないフランもフランね」
続いて、美鈴も。
「あたふたするフランお嬢様可愛かったですよ」
さらに続いてお姉様までも。
「フランが私の部屋に来たときは焦ったわー、まさかじっと見られるなんて思わなかったもの」
お姉様がしゃべり終えたとき私は真っ赤になっていた。恥ずかしくて声も出なかった。唯一できたのはみんなをにらむこと、こんな顔じゃ睨んだところで凄みにかける、私を見て四人は大声で笑い、こういった。
「ハッピーバレンタイン!!」
★
「ほらフラン、私にチョコをくれるんでしょ?」
「ふんだ!お姉様なんか知らない!」
私は、お姉様にベーっと舌を見せた、手にはトリュフチョコレートを持ち顔を赤らめながら、あのあと結局、私は恥ずかしさの余り爆発してしまいお姉様たちになだめられ、何故かパチュリーや美鈴は咲夜からチョコを貰い各自自分の場所へ戻ってしまい、今キッチンには私とお姉様しかない、そして今に至る、騙されたこともあってか素直にチョコを渡せない私はお姉様に精いっぱいの抵抗を見せていた・・・が
「くれないのー?じゃあいいや」
とお姉様が言ったので私はあわててこういった。
「そ・・そんなにほしいならあげるもん!!」
それを聞いたお姉さまは待ってましたとばかり私からチョコを受け取ると一粒口の中に放り込む。
私はお姉様がチョコを食べている間ずっとお姉様のことを見つめていた、どんな感想が来るのか不安でしょうがなかった、もし美味しくないと言われたらどうしようとも考えたが、お姉さまは食べ終わると私を見てにっこりほほ笑むとゆっくりと、そしてはっきりとした口調で言った。
「とっても美味しいわよ、ありがとうフラン」
それを聞いた瞬間私はお姉様に飛びついた。そして嬉しさの余り泣いてしまった。あまりにもうれしくて涙が止まらなかった。
お姉さまは「泣き虫さんねぇ」といいながら私の頭をなで優しく抱きしめると
もう一度
「ありがとうフラン」
と一言だけ言って、私の頬にキスをした。
私は、「おかえし」といいながらお姉様にキスをし、今までで一番の笑顔で
「ハッピーバレンタイン!!お姉様!!」
と言って自分で作ったチョコを一粒口に入れた。
とても甘くて、幸せな味がした。
チョコレートってどうやって作るのかな?、と思ってレシピ本は借りてある、パチュリーには変な顔されたけどね、きっと私が料理をするなんて思ってないんだ。
「でもさ、いつもお世話になってるお姉様にチョコ・・・あげたいんだ」
お姉様にはいつも迷惑かけてるし、わがまま言って苦労させてるし・・・、今日くらいは私もいい子になってお姉様を喜ばせるんだ。
ふっ・・と、お姉様が喜ぶ顔が浮かんだ。
「よーし!頑張って作るぞ~」
私は気合を入れなおしてレシピ本とにらめっこを始めた。生まれてこのかた一度も料理なんてしたことがないから何にもわからない、今日がバレンタインというのもつい先日、魔理沙から教えてもらったのが最初で、実践するのも始めただった。
調理をしている私はどこからどう見ても不自然気回りない、魔理沙が見たらきっと笑われる、そんな雑念は壊して私はにらめっこを続けた。
それにしてもレシピ本に書いてあるのは知らない言葉ばかり、意味がわからぬまま時間が過ぎていく、難しいなぁ・・・料理って・・・。
「チョコレートは・・・刻んで?チョコを作るのに何で刻むのかな?、湯銭にかけてとかしたら型に流し込む?・・・意味わかんないよ」
早くも詰んでしまった。
私自身ここまで難しいとは思ってなかったので、正直びっくりした。
よくかんがえたら咲夜はいつも一人で料理している、どうやったらあんなにうまくできるのだろうか?、咲夜に聞けばうまく作れるだろうか?
「でも、一人で作らなきゃ!!」
自分一人で完成させるんだ。みんなに迷惑はかけたくない、私だって頑張ればできるはず、と自分に言い聞かせた。
私は本を見ながらとりあえず作ってみることにした。
チョコレートは刻んでかぁ・・・、あ!。もしかしたら・・・、私は棚からココアパウダーと書いてある一つの袋を取り出した、これならチョコレートみたいな色をしている、そう思った私は勢いよく容器に移した。
たちまち砂煙が上がったかのようにココアパウダーがキッチンの中に飛散してしまった。
たまらず私はせき込んだ。
「けほっけほっ!・・・あーあ・・・エプロン汚しちゃった、キッチンもなんか汚くなっちゃった」
自分の不器用さが嫌になる、少し悲しくなって涙腺が緩んだ。
何で私はこんなにも不器用なのかな、と自分に問いかけても返事はかえってこない、私はその場に座り込む。
「私じゃうまくできないよ・・・」
涙がこぼれた。飛散したココアパウダーに私の涙は橙色に染められ、床にぽたり・・・ぽたりと落ちていく、ココアパウダーは外れだったんだ。
私自身料理なんてできないくせに調子に乗って、一人でできるなんて強がって、結局失敗して・・・すごく情けない。
この汚れたキッチンは、今の私そのものだ。
私は完全にあきらめきっていた。
「まぁ、派手にやりましたね」
そんなとき急に声がかかった、
顔をあげると苦笑いを浮かべた咲夜が私の前にいた。
「さ・・・さくやぁあああああ!」
たまらず私は咲夜に飛びついた、私を受け止めると昨夜はやさしく抱きしめてくれた。
「あらあら、こんなに汚れてしまって・・・、がんばったんですね」
その一言で私の涙線は崩壊、次から次へと涙がこぼれおちる、まるでダムが決壊したかのように涙は流れ続けた。
・・・かれこれ二十分は泣いていた。その間、咲夜は私のことをずっとあやしてくれていて、泣きやんだ時はもう一度抱きしめてくれた。
暖かくて、とても安心できる咲夜のぬくもりは、私の意地っ張りを緩めたらしく、
私は、もじもじしながら咲夜に聞いてた。
「ねぇ咲夜、その・・・チョコを一緒に作ってくれない?」
恥ずかしそうにする私を見て咲夜は、にこり、と笑みを浮かべ、私でよければ手伝わせていただきますと言った。涙が再度出そうなのをこらえながら私は再びキッチンに立った。
咲夜が手伝ってくれるんだから、きっと上手に作れるはず・・・いや作るべきだろう。お姉様に喜んでもらいたい、ただそれだけ・・・そう、それだけなんだ。
私は変な意地を張ったいた、上手に作ることだけを考えすぎて、本来目指していた結果から遠ざかっていたんだ。
体が軽くなるのを感じ、いままでため込んでいた気持ち・・・自分にはできないという気持ち、それが一気に消えた。
きっとお姉様が喜ぶ美味しいチョコレートを作ることができる、私は気合を入れなおした。
「フランお嬢様、がんばりましょうね」
「うん!がんばる!」
私と咲夜は二人でレシピ本を見て、おいしくて簡単なトリュフチョコを作ることにした。材料はカステラ、チョコ、ココアパウダー、砂糖、どれも簡単に見つけることができたがココアパウダーはさっきの失敗でもう少ししか無かったので代わりに粉砂糖を使うことにし、やっとの思いでトリュフ作りが始まった。
チョコは粗めに割って、カステラはつぶしてからこね、両方ボウルに入れて混ぜあわせ、ココアパウダーを入れてよく混ぜ、出来上がったものを一口サイズに丸めて粉砂糖を上からふりかけたら完成・・・らしい、私の想像とは全然違ったことに驚きつつ咲夜と調理を始めた。
チョコを割るのは咲夜に任せ、私はカステラをつぶす作業に取り掛かる、慎重にやらないと私の場合ボウルを破壊してしまうので作業中手が震えてしまった。
なんとか、無事作業が終わり出来上がったものを混ぜ、一口サイズに丸める作業に移る、これが中々難しかった。
私に横で咲夜が淡々と丸めるのを見て真似るようにやってみるも不格好な形になってしまう、握る強さが強すぎるのだろうか?
「咲夜、どうやったら綺麗に丸められるの???」
「そうですね、やさしく、潰さないようにゆっくりと丸めればいいと思います。フランフランお嬢様の場合、焦りすぎと強く握りすぎなので」
咲夜はにこにこ笑顔で教えてくれた・・・が、咲夜の言ったことは私には難しい、焦らないことはわかったが優しく握るというのは私みたいに力の加減ができない者からすればとても難しい、現に、さっきのボウルはところどころ凹んで、変形している。
「そんな思いつめなくても、お嬢様ならできますよ」
咲夜が私の横にきて私の手を持ち軽く握る、
「私がフランお嬢様の手を握ってるくらいの力でいいんです」
咲夜の提案を受けた私は首を縦に振る
「わかったわ、やってみる」
咲夜が私の手を握ったように・・・、と呟きながらゆっくりと、できるだけ優しく、私はチョコを丸める、さっきよりは綺麗な丸になり、私は思わず咲夜を見た。
咲夜は親指をグッと立て
「百点です!」
と私に笑いかけながら褒めてくれた。
そんな咲夜の助けもあり、初めは諦めていたチョコレートを作り上げることができた。
あとは、固まるまで冷蔵庫で冷まし、粉砂糖をかけて完成・・・やっと完成するんだ。
そうだ!、固まるまで少し時間がある、今のうちに・・・・
私は固まるのを咲夜に任せて、お姉様のいる部屋に向かった。きっとこの時間は寝ている筈、だからそれを確かめに行くのだ。
廊下を歩いていると、人影がみえた、メイド妖精だ。
メイド妖精たちはこの時間からもう館内の掃除を始めているようだ。ご苦労なことだ。
私を見つけるとぺこりと頭を下げ、そそくさと掃除に戻ってしまったが、昔よりは私に対する反応が良くなっているので悪い気はしなかった。
お姉様の部屋の前まで来るとなぜか鼓動が速くなるのを感じた、何故かはわからないが緊張しているようだ、胸に手を当て深呼吸し心を落ち着かせようとしてみるも治まらない、何だろうこの感覚は、まるでお姉様と初めて会うような感覚ではないか・・・私もどうかしている、実の姉に会うのがまるで恋人にでも会うような感覚になってしまっている。
「ほんっとに・・・やんなっちゃう」
ため息を一つ、深く息を吸い込み、お姉様のいるであろう部屋を静かに開けた。
部屋の中は静かで物音一つしない、お姉さまは眠っていた。
その小さな体には似合わない大きなベッドでお姉様はぐっすりと眠っていた、ホッと胸をなでおろし、お姉様の寝顔を拝見、まるで人形のように動かない静かな呼吸による動き以外の動作が全くと言って無い。
・・・・さすがにこれ以上は面白くもなんともないので私は静かに部屋を出るとスキップをしながらキッチンへ戻った。正直なんのためにお姉様の部屋に行ったのか私自身うやむやになっていたのだ。
キッチンに行くと咲夜がちょうど冷蔵庫からトリュフチョコレートを取り出しているところだった。
「わぁーすごいすごい!固まってるー!」
何故かはしゃいでしまった。
咲夜は苦笑、私はなんだか恥ずかしくなりうつむく
そんな私を見て咲夜は微笑みながら私の頭をなでた、私は無性に恥ずかしくなり、さらにうつむく、咲夜に頭をなでられるなんて普段ありえない・・・顔をあげたそのとき私は絶句した。
私の頭をなでていたのは、咲夜ではなく・・・・
「お姉様!」
ほかでもないお姉様だった。
「な・・なんでお姉様がここに?寝てたはずでしょ?それに咲夜は?どこに行ったの?」
私は混乱してあたふたしてしまっている。
「フラン~、咲夜は、ほら後ろにいるわよ」
お姉様に言われ降りむくと、にこにこ笑顔の咲夜・・・それに美鈴やパチュリーがそれぞれ笑顔で立っていた。
「なんでどーして?咲夜は私の頭をなでてたんだよ?」
私が問い詰めると困ったように咲夜は笑いながら
「申し訳ございません、フランお嬢様がうつむいている間に時を止めて入れ替わったのです」
唖然として声が出なかった。
ここにきて咲夜の能力を忘れていたのだ、完全にやられた。ということはみんなして私をだましていたことになる。
パチュリーが小声で呟いた
「まあ、気付かないフランもフランね」
続いて、美鈴も。
「あたふたするフランお嬢様可愛かったですよ」
さらに続いてお姉様までも。
「フランが私の部屋に来たときは焦ったわー、まさかじっと見られるなんて思わなかったもの」
お姉様がしゃべり終えたとき私は真っ赤になっていた。恥ずかしくて声も出なかった。唯一できたのはみんなをにらむこと、こんな顔じゃ睨んだところで凄みにかける、私を見て四人は大声で笑い、こういった。
「ハッピーバレンタイン!!」
★
「ほらフラン、私にチョコをくれるんでしょ?」
「ふんだ!お姉様なんか知らない!」
私は、お姉様にベーっと舌を見せた、手にはトリュフチョコレートを持ち顔を赤らめながら、あのあと結局、私は恥ずかしさの余り爆発してしまいお姉様たちになだめられ、何故かパチュリーや美鈴は咲夜からチョコを貰い各自自分の場所へ戻ってしまい、今キッチンには私とお姉様しかない、そして今に至る、騙されたこともあってか素直にチョコを渡せない私はお姉様に精いっぱいの抵抗を見せていた・・・が
「くれないのー?じゃあいいや」
とお姉様が言ったので私はあわててこういった。
「そ・・そんなにほしいならあげるもん!!」
それを聞いたお姉さまは待ってましたとばかり私からチョコを受け取ると一粒口の中に放り込む。
私はお姉様がチョコを食べている間ずっとお姉様のことを見つめていた、どんな感想が来るのか不安でしょうがなかった、もし美味しくないと言われたらどうしようとも考えたが、お姉さまは食べ終わると私を見てにっこりほほ笑むとゆっくりと、そしてはっきりとした口調で言った。
「とっても美味しいわよ、ありがとうフラン」
それを聞いた瞬間私はお姉様に飛びついた。そして嬉しさの余り泣いてしまった。あまりにもうれしくて涙が止まらなかった。
お姉さまは「泣き虫さんねぇ」といいながら私の頭をなで優しく抱きしめると
もう一度
「ありがとうフラン」
と一言だけ言って、私の頬にキスをした。
私は、「おかえし」といいながらお姉様にキスをし、今までで一番の笑顔で
「ハッピーバレンタイン!!お姉様!!」
と言って自分で作ったチョコを一粒口に入れた。
とても甘くて、幸せな味がした。
大切な事だから二回(ry
>降りむくと
振り向くと?
必死に頑張るフランちゃん可愛いよ!
おもしろかったです。
>たまらず私は咲夜に飛びついた、私を受け止めると昨夜はやさしく抱きしめてくれた。
片方が昨夜になってます。
咲夜ですよ。