霊夢さんの朝は。
普通。
日が昇ってぼんやり明るくなる頃にもそりと起きます。
低血圧なのか知らないけれど。起きて暫くは顔を洗ってもぼー……。としています。ちょっと機嫌悪そう。
ほらほらいつまでもぶーたれてないで。ご飯作っちゃいましょう。
朝餉は軽く。御浸しと御握り。
そーいえば霊夢さんてパン食べるのかね。
それはさておき。
朝餉を終えた霊夢さんは、暇である。
曲がりなりにも巫女さんなので。巫女としてやることは色々あるだろうけど。
嫌。
めんどくさいしー。
そもそも色々って何よ。
巫女としての修行ー?
禊でもしろって言うのかしら。
あなた巫女だったらやってくれるんでしょうね。
だそうです。
確かに冬とかだったら嫌だけどさ。禊。
それよりともかく暇を持余している霊夢さん。
ところがどっこい霊夢さん。
暇してると厄介事からやってくるという誰も欲しがらない素敵体質の持ち主さんなので。
今日も例に洩れず。
よくよく目を凝らしてみてみれば。
我12時の方向より飛来する少女アリ。
それが神社に降りるや否や。
やれ、この前はよくもー。とか。本返せー。とか。
はて。どちら様だったかなと霊夢さんが首を傾げれば。
少女憤慨。そして発狂。
あーもー。仕様が無いなー。と霊夢さん。
御札を取り出し戦闘態勢だ霊夢さん。
口元笑ってますよ霊夢さん。
---。
覚えてなさいよー。とか言ってたけど。
ついさっきも忘れてたから。多分無理かなー。
っていうか未だに誰だったか思い出せないんだけど。
うーん、何処かで見たことあるよーな。ないよーな。
まぁ今を楽しく生きる霊夢さんには過去も未来もどうでも良いのかもね。
ところでもう太陽が真上に昇ってますね。
なんだかさっき食べたばかりのような気がするけど。
やること無いし。昼餉を作ってしまいましょう。
とりあえず、朝食べた御浸し出して。お米出して。
でも朝と同じじゃあ芸が無いから。そうだ。粥にしよう。
鍋に水張って。
火を焚いて。
研いだ米を入れて。
ぐつぐつぐつぐつ。
あ。そうだ。
味付けに味噌を入れよう。勿論赤味噌。
やっぱり味噌は赤よね。うん。良い香り。
序に薬味葱も刻んで入れて。
ぐつぐつぐつぐつ。
はい完成。熱いうちに召し上がれ。
さてお茶を淹れて食後の一服。
こうしてのほほんとしてるのも良いけれど。若い娘さんがそんな婆臭いのもどうかしら。
そんなわけで。午後はお出かけしましょうか。
そうね。用はないけど香霖堂にでもぶらりぶらり行ってみよう。
神社に居ても暇してるか変なのがやってくるかのどっちかだし。
と、湯呑をさっさと片付けて。
いざ行かん香霖堂への旅。
なーんて大したものじゃないけれど。さっくり着きました香霖堂。
移動中のネタなんて思いつかないから。割愛割愛。
古ぼけた。っていうかなんか黴臭いですねこの扉。
適当に掃除するように店の主人に言っといたほうが良いんじゃないですかね。
と。まぁお節介は置いといて。味わい深い扉を開けると。
明らかに歓迎してない嫌そーな。名残惜しそうに読んでいたと思われる書物から目を逸らして。
なんだ霊夢じゃないか。って判ってた癖に。霖之助さんは嘘が下手だと霊夢さんは思う。きっと長生き出来ない。
香霖は長生き出来ないぜ。
代弁してくれる人物が居た。
魔理沙さんだ。霊夢さんとは死ぬほど仲が良いんだって。
霊夢さんが魔理沙さんに何をしているのかと尋ねれば。
店に居るのは客だからに決まってるぜ。
……客。ねぇ。
近頃の客は売り物の壷に腰掛けて売り物の本を勝手に読み漁り挙句勝手に持ち出すもんなのか。
と。怪訝な顔をしている霖之助さんの代弁。
しかし霊夢さんには霖之助さんの心境なぞどーでも良いのです。
霊夢さんは魔理沙さんや霖之助さんみたいに本読み妖怪ではないけれど。(私は人間だぜ。)
香霖堂にはよく分からないものが沢山ある。
何処かの蒐集妖怪でなくてもそれなりに眺めてるだけで楽しめるものなのです。(私は人間だって言ってるだろ。)
霖之助さんが後ろでなにやらブツクサ言ってるけれど。
そんなもん霊夢さんは聞いちゃいない。
勿論魔理沙さんも聞いちゃいない。東方少女は皆ごーいんぐまいうぇいなのです。
だから少女達は勝手に商品を読んだり持ち出したり予め自分用の湯呑を置いてお茶を淹れたりするのです。
でもちゃんと魔理沙さんと霖之助さんの分も淹れてあげてる辺り。霊夢さんは良い人です。
……ただ単に後で煩く言われないように機嫌取ってるだけかもしれないけど。
さて。そんなこんなで読書をしたりお茶を飲んだり割ってしまった店のティーカップをこっそり隠したりしている内に日が傾いてきましたよ。
ほらほら少女達はもうお帰りの時間ですよ。と霖之助さんが思った矢先。
ぴかぴかぴかーん。魔法の森に生えてるよくわかんないキノコ~。
と。兎の肉とー。菜っ葉とー。
わあ凄いや魔理えもん。四次元ハットにはなんでも入ってるんだね。
ところで霊夢さんも負けてはいられませんよ。
ぴかぴかぴかーん。何故か昼餉に使った赤味噌持ってました~。
わあ凄いや霊夢えもん。さてはこうなる事分かってて持ってきましたね。
あと霊夢えもんは語呂が悪いと思いました。
で。何を勝手に事を進めているのかね君達は。
と。霖之助さん。
今日は恒例の一家団欒の日だぜ。
だそうです。賑やかな家族ですね。動物愛護の日は無くなりそうです。
て言うか完全にイニチアシブ握られてます。ちょっと情けなー。
ほらほら自己嫌悪してないで。少女達に任せっぱなしじゃ余計情けないですよ。
それに女の子の手料理が食べられるなんて羨ましいなー。
兎鍋らしいけど。食材ぶち込んで煮込めば終わり。羨ましいなー。
ほらそんな顔しないで。手伝いに行った行った。
さて皆さんお腹いっぱいになって一休みしたところで。そろそろ本当に帰りましょうか。
魔理沙さんは何やら四次元ハットに本を詰み込んでいるところを霖之助さんに見付かってしまったので霊夢さんはお先に失礼っと。
割愛割愛。
さて帰ってきました懐かしの我が家。
辺りはもうすっかり暗くて。スズムシりんりん。
暗くなったら良く見えないからさっさと床に就きたいけれど。
お風呂で汗を流したい欲望のほうが強いみたいです。
火を焚いて脱衣所へ。
おっとここからはファンタジーゾーン。暫くお待ちくださいませ。
さて髪がゴワゴワにならない様にちゃんとタオルに水分を吸わせて。
櫛で梳かしてさらさらになったら。
お布団を敷いて。行燈の灯かりを消して。
布団にもぞもぞ潜り込んで。
そして一日の終わりに永遠の巫女さんは呟くのでした。
「おやすみなさい。」
この二人をあらわすのになんか初めて聞いた表現な気がw
>死ぬほど仲がよい~
西方から抜粋致しました次第です。
滅茶苦茶仲が良いという意味なのか。
それとも毎日殺しあう(弾幕ごっこで遊ぶ)仲という意味なのか。
作品を見る側としては色々想像を掻き立てられるもんがありますねぇ。
いやはや、すっかり家族ですな