Coolier - 新生・東方創想話

昔語り 巻之二~秘封倶楽部~

2007/11/02 17:26:13
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ぱらぱらぱらぱら…………







紫の傍らに置かれたバインダーがめくれて、現れたページには少女たちの名前が五つ。
それをちらりと見て、愛しげに橙を抱きしめた紫は、滔々と語りだした。


「――――これは物語。遠い、遠い昔のお話よ」
「とおいむかしって、どれくらい?」
「ふふ、橙が生まれるよりもずっと昔、幻想郷が生まれるよりも前のことよ」


その紫の言葉にあまり実感が湧かないのか、橙はへぇー……と曖昧な相槌を打つ。


「それでそれで!? どんなおなはしなの!?」


だが、話の先が気になるのか、目を輝かせて紫を揺さぶって急かしてくる。
焦っては駄目よと宥めながら、謡うように語りだす。


「幻想郷が何故出来たのか、そして、どう作られたのか」


それは、今では八雲 紫しか知らない真実。


「そして、こことは違う世界、違う理、違う時間で生きていた、五人の少女の物語」


自分の記憶の中にある、少女たちの生き様を、







――――自分の中のマエリベリー・ハーンの記憶を、紫は語る。















「これははるか昔、幻想郷が作られた時のお話です――」







これからどんな冒険活劇が、どんな悲恋が、どんな喜劇が語られるのかと目を輝かせる子供たちに囲まれながら、阿求は語る。







「ここではない場所、ここではない世界に、ある少女たちがいました」








――――歴史の事実を。








幻想郷とは違う世界、違う時間、違う理で生きていた少女たちが、確かに此処に在ったという事実を。








「まず最初に聞くけど、幻想郷って知ってる?」
「へ?」


宇佐見 蓮子と名乗ったその魂がまず最初に発した問いに、小野塚 小町は一瞬怪訝な顔をした。


「そりゃあ勿論知ってるさ……知らない奴なんか、少なくともこの冥界には絶対にいないね」


小町は何処か誇らしげに胸を張った。


「何と言ったって、あたいの直接の上司の閻魔が担当してる世界なんだから、知らなかったら職務怠慢もいいところだよ」
「偉そうに言うわりにあなた、さっきまで寝転がってサボってたじゃない?」


蓮子の鋭い突っ込みに、小町は張ろうとした胸を張り損ねた。
そして誤魔化すように、頭を掻いてそっぽを向く。


「あたた……しっかりと見てるね」
「まぁね――――友達にも、そんな奴がいたから、ね」


友達、という言葉を発した瞬間、目の前の少女の姿をした魂の表情は、重ねてきた年月にふさわしいほど、達観して、老成した表情を見せた。
そして、懐かしむように何処か遠くをみるような目で、三途の岸辺を見つめ始めた。





――――しばらくの間、二人の間を沈黙が支配した。





小町も、どう接すればいいかよく分からず、手を中途半端に伸ばして固まってしまっている。


「あ、あのさ――――」


そして、沈黙に耐え切れなくなり、何とか声をかけようとした瞬間、いきなり蓮子ががばっと立ち上がった。


「さぁーて!! 暗くなるのはここらへんでお仕舞い!!」


その勢いに、船が大きく揺れた。
突然の蓮子の行動に、危うく小町は振り落とされそうになった。


「ちょ、ちょっとちょっとお客さん!! 危ないって!!」


三途の川には魂を食らう凶暴な魚がうようよしている。
落ちたら一瞬もかからず食い尽くされてしまうだろう。
それはもちろん魂だけではなく、船頭死神も例外ではない。
操船を誤って船をひっくり返し、食われてしまった船頭死神の話は、いくらでも転がっているのだ。
だが、蓮子は悪びれもせず、


「あはは、ごめんごめん」


そんなあっさりとした彼女の態度に、小町は動揺している自分が馬鹿らしくなるほど毒気を抜かれてしまった。


「さて、気を取り直して話を始めましょうか」


そして、蓮子はにこやかな顔で話を始めた。









――――自らの歴史を、そして自らを取り巻いていた少女たちの道程を。









「訳が分からないと思うかもしれない」










「知らない世界のことで、戸惑うかもしれない」










「けれども、これは知らなくてはいけない、全てのはじまり」










時間も、場所も、全くバラバラだけれども、










それは同時に紡がれた。










「「「今ではない時、ここではない場所」」」










「「「昔語りは――――全てはここから始まった」」」












昔語り 巻之二~秘封倶楽部~













年始の慌しい人々の営みがようやく落ち着きを取り戻し始めた、冬の日。




かつては古都と呼ばれ、今は首都となった街の、とある大学。
その中央に位置するカフェテラス式の学生食堂は、昼飯時ということもあって、数え切れないほどの学生たちでごった返している。
その一角で食事をしながら、とりとめもない話に花を咲かせる四人の少女たちがいた。




四人のうちの二人は、所々にレースをあしらったブラウスに身を包んだ蓮子と、紫を基調にした衣装を纏うメリー。


「――――そういえばメリー、貴方ちゃんと卒論は出したの?」


その唐突な蓮子の言葉に、メリーは飲んでいた缶コーヒーを危うく噴出すところだった。


「いきなり心臓に悪いこと言わないでよ蓮子。――――出してると思う?」
「これっぽっちも思ってないわ。」
「失礼ね。――――まぁ、出していないのだけれど。」


メリーは開き直ったのか、悪びれもなくしゃあしゃあと言い放った。
蓮子は呆れてものも言えないのか、深いため息を一つついた。


「ちょっと、メリー。今度の旅行の言いだしっぺの貴方が、一人だけ『卒業できませんでしたー』なんて言ったら、洒落にもならないわよ?」
「う――――仕方ないじゃない。授業があまり無くなってからは遊び呆けてたんだもの。」


言い訳に全くならず、愚にもつかないことを言うメリーに、蓮子は再びため息をついた。
それを見たメリーは、拗ねたように頬を膨らませて見せた。


「それに蓮子、さっきから私だけが卒論出してないみたいに言って失礼よ? 桜子たちだって出してないかもしれないじゃない。」


ねぇ、とメリーは正面の蓮子から目を逸らし、同意を促すかのように左右に目をやった。





――――右には、学食で買ったパンを上品な手つきで一つ一つ千切って食べる、所々に桜をあしらった着物に身を包んだ、桜色の髪の少女。





――――左には、マグカップに淹れた紅茶を、ふうふうと冷ましながらすする、花飾りのついた髪留めをつけたおかっぱ頭の少女。





名をそれぞれ西行寺 桜子、稗田 阿礼という。




彼女たちは、蓮子とメリーが中学に入ったときのクラスメイトで、偶然席が近くだったこともあり親しくなった。
そして親しくなっていくうちに、二人が蓮子やメリーと同じく、人ならざる力を持っていることを知り、秘封倶楽部に勧誘したのだ。
それ以来、蓮子とメリーにとっては、数少ない友人たちの一人である。


「卒論なら、もう提出したわよ。先生方にも及第点を頂けたみたい。」


口の中のパンを飲み込み、コップの水をまるで熱いお茶を飲むようにゆっくりと飲み干してから、柔らかい笑みを浮かべて桜子が答えた。
そんな彼女の答えに、蓮子はほら見ろ、といった表情を浮かべる。


「まぁ、蓮子以上に真面目な桜子が、こんな時期に出してないなんて思ってなかったけど…………」


メリーも少なからずその答えを予想していたのか、諦めたように呟く。


「で……でも、私と一緒に遊び歩いてた貴方が、まさか私より先に提出してるなんてありえないわよね? そうよね阿礼?」


だが、どうにか気を取り直そうとわざとらしく明るく振舞って阿礼に話を振る。
猫舌のせいか、熱い紅茶を何度もふぅふぅと冷ましながら、にんまりと笑って阿礼が答えた。


「出しましたよー。私は遊びと勉強の仕切りはきっちりとつけてますから……誰かさんと、違いまして。」


その口調はまさに慇懃無礼そのものだ。
阿礼はにやにやしながらちらちらとメリーのほうを見て、ねぇー、と同意を促すかのように桜子に微笑みかけた。


「……その点に関しては、私は何とも…………。」


桜子はちょっと困ったように首を傾げて微笑んだ。
メリーはそんな阿求を見て、口元をひくっ、と引きつらせた。


「なっ……何ですって…………!――――もう一度言ってみなさい阿礼……?」
「あれ? 私は別にメリーのことを言ってたんじゃないですよ?……もしかして自覚があったんですか?」
「ぐっ…………!!」
「あーあ、それにしてもメリーが卒業出来ないとなると、今まで立ててた計画が全部台無しですねー。困ったなー。」





ぷちっ。





メリーの頭から、何かが切れるような音がした。
こめかみをぴくぴくと引きつらせながら、ゆっくりと立ち上がる。


「ね……ねぇ阿礼ぃ? ちょっとお話があるからこっちに来て頂戴?」
「ふふふふ……望むところです。」


阿礼もどこか棘のある笑みでそれに答え、立ち上がった。
そして二人は笑顔で互いを牽制しながら、校舎の裏側の方へと消えていく。
おそらく、しばらくすれば取っ組み合いを始めることだろう。
その様子を見ていた蓮子は、こめかみを揉み解し、桜子は楽しそうに笑う。


「全く……安い挑発に乗っちゃうメリーもメリーだけど、いつも一言多い阿礼も阿礼よね……」
「仲がいいってことなのじゃない? それに見ていて飽きないわ。」


その後は、とりとめも無い話題が暫く続いた。
だが、不意に蓮子が少し表情を硬くして桜子に問いかけた。


「で、桜子はどうなの?」
「どうなの……って、何が?」
「何がって……相変わらずボケボケね。卒業旅行の事よ。」


蓮子がそう指摘すると、桜子はさっ、と陰が降りたような表情を浮かべた。


「ええ……、私も行きたいのは山々なのだけど――――」
「何? やっぱり反対されてるわけ?」
「叔母様から、卒業したらすぐにでも家を継げ、ときつく言われているから…………」


桜子が住む西行寺の家は、数百年続く日本舞踊の一派の家元なのだ。
彼女は幼い頃、跡取りのいなかった本家に養女として迎え入れられたのである。
そのため、桜子は昔から親代わりである叔母や、西行寺の家の決定には逆らえずにいる。
正直蓮子は、昔からそんな桜子をもどかしく感じていた。


「そういえば、そんな約束してたわね。全く本当にお堅いわね、貴方の叔母さん」
「叔母様も、家を守ろうと必死なのよ。それを責める気にはなれないわ。」


高校の頃、桜子が秘封倶楽部に入っていることが彼女の叔母に知られ、無理矢理辞めさせられそうになったことがあった。
その時ばかりは、蓮子は黙っていなかった。
彼女はメリーや阿求たちを連れ、桜子の秘封倶楽部の復帰を求めて、三日三晩抗議を続けた。
梃子でも動かない蓮子たちに、桜子の叔母を始めとした西行寺の家はついに折れた。
そして、大学を卒業したら必ず家を継ぎ、蓮子たちとは縁を切る、という条件で、彼女の秘封倶楽部での活動が認められたのだった。



今思えば、はっきり言って赤面するような青臭いやり方であったが、今ではいい思い出である。



そんなことを思い出し、少しばかり感慨にふけった蓮子だったが、すぐに真面目な表情に戻った。


「ねぇ桜子、貴方そろそろ叔母さん……いや、西行寺の言いなりになるの、止めたら?」
「…………蓮子」
「だって、おかしいじゃない!! 何で貴方の人生を、他人に指図されなきゃいけないの!? 桜子は本当は、家なんか継ぎたくないんでしょう!? 
 この前だって言ってたじゃない!? それに――――」
「蓮子ちゃん」

静かだが、有無を言わせないような桜子の言葉に、蓮子は言葉を止めざるを得なかった。
そして、桜子がひとを『ちゃん』をつけて呼ぶ時、それは彼女にとって不退転の意思表示なのだ。


「…………蓮子ちゃんの気持ちはすごく嬉しい。だけど、これはもう決めたことなの。」


そう言って、桜子は寂しげに微笑んだ。


「私がこうして今を生きていられるのも、秘封倶楽部の皆といられるのも、西行寺があるおかげ。
――――確かに西行寺に縛られるのは嫌だけど、これは確かな事実なの。
だから、今まででも、そしてこれから先にも無いような最高の思い出を私にくれるきっかけを作ってくれた西行寺に、少しでも恩返しがしたい。
そして、私が出来ることといえば…………家を継ぐことしか無いのよ」
「桜子…………」
「それにね、蓮子ちゃん。たとえ秘封倶楽部が無くなったとしても、皆がいなくなるわけじゃない。どんなに離れても、ずっと一緒よ。
それにね…………」


そこで桜子は言葉を切り、どことも知れない虚空を見つめて言った。





「いつもお母さんが、傍にいてくれているもの」





桜子の実の母は、彼女が幼い頃に死別している。
しかし桜子は視線を動かすことなく、甘えるように首を傾け、ナニモノかに呼びかけた。





「ね、お母さん。」





蓮子には何も見えない。
だが、確かに桜子はそこにいる何かを捉えていた。
その目は、何処か不思議な光を帯びている。





――――桜子の人ならざる能力、それは『見鬼』





俗に幽霊などと呼ばれるものを、視覚として認識することが出来る能力。
桜子はそれに加えて、認識することが出来た幽霊たちを引き寄せたり、会話したりすることも出来る。
彼女はその力を使い、今は無き彼女の母と会話をしているのだ。


「桜子……」


そうやって虚空を見つめる桜子の表情は、まるで幼子のように嬉々としている。
だが、時折そうやって姿無き母と語り合う桜子を見ていると、いつも悲しい思いに駆られる。







幽霊が見えるといっても、それは所詮主観でしかない。







たとえ彼女がどんなに母親と楽しげに会話していたとしても、それは誰からも理解されることは無いのだ。







そう、親友である自分たちにも。







桜子の理解者は、おそらく自分たち秘封倶楽部しかいないというのに、彼女の感じている楽しさを分かってあげることが出来ない。
蓮子には、それがたまらなく辛かった。


(それにね桜子――――)


そして、重ねて蓮子は思う。





亡き母を心の支えにして生きる――――





それは結局、貴方自身がお母さんの魂を、





――――この世に、縛り付けているってことなんじゃないの?






「ふぅ――――、すっきりした。何だか久々に体を動かしたような気がするわ」


だが蓮子の思考は、乱れて泥だらけになって裏庭から帰ってきたメリーのため、中断を余儀なくされた。


「うう……暴力に物を言わせるなんて、卑怯ですよメリー」
「あら、私の暴力も大したものね。とうとう物を言うようになるまで進化するなんて。これからの阿礼との交渉を任せてみようかしら」
「遠慮します」


後には更にぼろぼろになった阿礼が、メリーに引き摺られるように付いてきていた。
どうやら彼女たちの喧嘩はいつも通りの結果に終わったようだ。
口喧嘩ではいつも阿礼に軍配が上がるが、取っ組み合いになると上背があり、体格のいいメリーがいつも勝つのだ。
桜子も彼女たちに気づき、母との会話を止めて二人に目を向けた。


「あらあら、相変わらず二人とも仲が良くて羨ましいわ」
「……これが羨ましいんなら、いつでも代わりますよ桜子?」
「遠慮しておくわ。だって私はそんなに丈夫なほうじゃないもの」
「そんなこと言ったら、私だって丈夫じゃないですよー!!」


蓮子はそうやっていつもの様にお気楽な二人と、先ほどの悲しげな様子はどこ吹く風と楽しげに阿礼をからかう桜子を見ていたら、
何だか先ほどまで自分が思い悩んでいたことが何だか馬鹿らしくなり、思わず吹き出してしまった。


「どうしたの蓮子? いきなり笑い出して。」
「何でもないわよ、ただあんた達が馬鹿だなぁって思っただけよ」


それを見たメリーと阿礼は不思議そうに顔を見合わせ、桜子は少し安心したように微笑んだ。












蓮子が家路につく頃には、日はすっかりと落ち、外灯が頼り無く夜道を照らしていた。


「ふう……もう少しで卒業か…………」


蓮子は少し憂鬱そうに呟いた。その足取りはどこか重い。


「帰ったら、また電話が来るんだろうな……母さんから」


そう呟いた後、以前東京の実家からかかってきた母の電話での言葉を思い出していた。


(――――ねぇ蓮子、今からでも良いから考え直して頂戴)


テレビ電話越しに神経質そうな声で呼びかけながら、こちらを見つめてくる母。







(それほどの成績なのに、何で普通の会社なんかに入ろうとするの?) 







(もっと勉強して、もっと環境のいい場所に行けば、貴方ならもっともっと輝けるはずよ?)







「――――輝く必要なんて無い。私は、ごく普通に生きたいの」







(――――そうだ、留学っていう手もあるわよ? 手続きは済ませてきたから、担当の人に会ってみるつもりはない?)







「――――勝手なことしないでよ。そういうのは私が決めること、貴方が決めることじゃない。」







(あなたからも何か言ってくださいな。いつも無関心なんだから!!)
(言うも何も、全部蓮子が決めることだろう? もう大人なんだから、好きなようにさせてやれ)







「――――よく言うわよ。どうせ私のことなんか、まるで興味が無いくせに。」







(――――ねぇ、蓮子……お願いだから話を聞いて……)







「うるさい……」







(――――蓮子、蓮子、蓮子……)








「…………っ!! うるさい!! うるさい!!」


蓮子は心の中で響く母の声に、思わず耳を塞ぎ、小さく叫んだ。






もうたくさんだ。






特別な目で見られるのは。
そして、妬みの目で見られるのは。






激昂しそうになった時、蓮子はいつも夜空を見上げる。
そこにはガソリン車がほとんど存在しなくなったおかげで、昔とは見違えるほど綺麗になった、満天の星空がある。





――――現在、六時三十三分と二十五秒。





そんな情報が、蓮子の頭の中に流れ込んでくる。





これが蓮子が持つ異能の力、『星を見ただけで時間が分かり、月を見ただけで今いる場所が分かる』という力。
メリーに言わせると、何でもこの力は太古の船乗りが習得していたという、星を頼りにした航海術に酷似しているという。
まぁ、とはいっても他の秘封倶楽部のメンバーたちの持っている力と比べれば、あまり役に立たない力ではあるのだが。





それに今は、知りたいのは時間ではない。





秘封倶楽部にいれば、自分は今ここに在るということが実感できる。
だが、一人になると何だかこの世界から一人ぼっちになっているような気がして。
だから少しブルーな気持になると、蓮子は天空に月を探す。





――――自分が今いる場所を確かめるために。





だが、計ったようにそこにある大きい雲のおかげで、月はその姿を隠していた。
人生は上手くいかないものね――――そんな厭世的なことを考えているうちに、いつの間にか下宿先のアパートのすぐ傍まで来ていた。





蓮子は家に着くなり、鍵もそのままに電話に繋がる線をコンセントから引き抜いた。
今誰かから電話がかかってきても、平静を装える自信が無い。
蓮子はベッドに身を沈ませると、ぼんやりと天井を見つめた。


「やっぱり、少し感傷的になってるのかな……?」


秘封倶楽部にいる時には、どんなことも柳のように受け流すことが出来るのに。
だが、もう少しでその秘封倶楽部も消えてなくなってしまう。





――――自分が冷静になれないのは多分そのせいだ。





頭では理解している。それが甘えだということを。
人はそのような甘えを振り切って、社会へと旅立っていく。
それが、大人になるということなのだ。
だが、今まで大人ぶって生きてきた――――否、生きざるを得なかった蓮子は、まだ甘えていたかった。
親と大人の敷いたレールから外れて、友たちと語り合っていたかった。





――――どうかこの日々よ永遠に、と蓮子は願っていた。





蓮子はベッドに身を沈めた。
やはり少し疲れているのか、その瞬間自分の意識が沈んでいくのを蓮子は感じた。
――――まぁ眠りにつくときの時間の感覚など当てに出来ないから、実際は数分時間があるのだろうが。
蓮子は完全に意識が途切れる直前、メリーが自分たちに提案した卒業旅行について思いを巡らした。






――――別の世界へと繋がる境界を暴き、その向こうの世界へ旅行に行く……か。






――――もしかしたら、こんな思いも、向こうの世界へ、置いていける、か……も……







そして蓮子は眠りについた。







そして、蓮子の意識が途切れる前に思っていたのは、桜子の寂しげな微笑だった。














同じ頃。
桜子は一人、広大という言葉がふさわしい広さを持つ、大広間に佇んでいた。
灯りは無い。
月光と星明りだけが、障子を開け放った大広間と桜子を淡く照らしていた。
その幻想的な光の中で、桜子は音も無く、ゆるりと舞い始めた。






その姿はまるで、月下に舞う蝶。






墨染めの桜を描いた扇が、月光に照らされ、まるで本当に散り行く桜花の花びらのようにゆらゆらと揺らめく。
そして、桜子は謡う。







♪ゆらりゆらりと舞う桜  その香を連れて吹くが良い  微風となりしわがこころ








♪吹けよ吹けよや我がこころ  遥か遠くの我が郷に  我を焦がれる愛しきひとに








その唄とともに桜子の舞は、より軽やかに、より幻想的になってゆく。
唄声は、より高らかに、より澄んで。








♪我の恋慕は我が君に  我の涙は我が母に  我の笑顔は我が父に









「――――我の情けは…………」









――――我が友に……









そう、この唄は続く。
だが、桜子はこの先を謡うことが出来なかった。
舞いも、止まった。






まただ。






秘封倶楽部との別れが迫るこの頃、自分が最も好きで、そして得意としていたこの舞を、桜子は踊りきることが出来ないでいた。
それも、決まってこの唄の所だ。


「どうして……?」


桜子は、悲しげに呟いた。
そして悔しげに唇を噛む。力が入りすぎ、血が一筋つうっと滴った。






――――皆が旅立つまで一週間。






それまでに、完璧にしなければいけないのに。
桜子はこの舞を舞うことで、仲間たちが境界の向こうへ旅立つ際の餞(はなむけ)とするつもりだった。






これから自分がこの西行寺という檻から抜け出すことが出来るまで、もう彼女たちとは会うことが出来ない。
西行寺の家に逆らうことが出来ない桜子にとって、それは死ぬまで、ということだ。
だから、せめて別れの悲しみを思い出に変えるため、今回の旅行を機に旅立っていく友たちを送り出すため、桜子は何かを贈ろうと考えた。
そして、悩んだ末に決めたのが、この舞を舞うこと。






何故なら、これは思い出の舞だから。







――――よく、出来ましたね、桜子。







初めて覚えて、初めて褒められた舞だから。







――――凄い凄い!! ねぇ、もう一回見せてよ桜子!!







初めてのかけがえの無い友たちと会うきっかけを作ってくれた、舞だから。







だから桜子はこの舞に決めた。
けれど、舞えない。
友を思うたび、笑顔を思うたび、その笑顔を壊してしまうことを考えてしまうたび、桜子はいつも止まってしまう。






「どうしてなの?」






それが何故なのか、彼女は気付けずにいた。






自分が一歩を踏み出せばいいということに。






けれど今の桜子には分からない。
だから、桜子は姿無き母に救いを求める。
まるで幼子のように。
それをすれば、まるで全てが解決するのだとばかりに、縋り付く。


「……私はどうすればいいの?…………教えて下さい、お母さん」


桜子は目の前で優しく自分を見つめる母に問いかけた。
だが、母は首をゆるゆると振りながら、桜子を見つめていつも言うのだ。


『――――その答えを、貴方はもう知っているはずよ。……飛び立ちなさいな、桜子』


そして、消えてしまう。


「……分からない、分からないわ……お母さん」


涙の雫が一粒、月光に煌めいて、弾けた。









――――ここに、呪縛という名の蜘蛛の巣から逃れられない蝶がひとり。









――――だが蝶は気づかない、もがけば呪縛は千切れることに。















阿礼は家に帰ると、まず荷物を置くこともそこそこに祖父が遺した書斎へと足を運ぶ。
そこはまるで式場のような広さを持ち、あるのは必要最低限の明かりと、簡素な机と、





見渡すばかりの本、本、本。





図書館もかくやとばかりに、天井まで届くほど高い本棚の中に、和洋、古今東西ありとあらゆる種類の本がひしめき合っている。
それは正に知識の森。
その途方も無いほどの蔵書は、たった一人の人間によって集められたと知れば、誰もがそれを驚愕するはずだ。





阿礼の祖父であり、また育ての親でもあった稗田 九十九(つくも)。
両親と早くに死に別れた阿礼にとっては、唯一の肉親だった。
彼は歴史学者として名を馳せ、凄まじいほどの記憶力でも知られていた。





彼が送った数十年の人生の間に、読み解き、収集した結果がこの部屋だった。
そして、幼い頃から本の好きだった阿礼にとっては、おもちゃ箱のような場所だ。





祖父の血を濃く継いだのか、阿礼も彼と同じく、卓越した記憶力を持っていた。
それは、一瞬でも見たこと、聞いたこと、読んだ物を決して忘れないほど。
異常とも言える彼女の記憶力は、主に本へと注がれた。





不器用な祖父が、両親と別れて泣きじゃくる阿礼を泣き止ませるために、初めてくれた贈り物へ。





阿礼は夢中になった。
本を読んでいる間は、悲しいことも、辛いことも忘れることが出来た。
そしていつしか彼女は、この家中にある本を、頭の中で諳んじる事すら出来るようになっていた。





それでもなお、彼女が本来なら既に用の無いはずのこの場所に来るのは、訳があった。
一つはただ純粋に本が好きであるため。
そしてもう一つは、ある本を手にするため。





阿礼は部屋に篭った本の古いインクの匂いを、それがまるで森林の新鮮な空気であるかのように、気持ちよさそうに吸い込んだ。
そして、本棚を除けばこの部屋唯一の家具である机に体を向ける。


「ただいま帰りました、お祖父ちゃん」


今は無き主にぺこりと挨拶をすると、阿礼はその広大な空間にも、凄まじい量の本にも全く惑わされること無く、まっすぐにある場所を目指した。そこは書斎の一番端の、最も古い本棚のある場所だった。
博物館に置けば、それこそメインで飾られてもおかしくないほど貴重な本たちの山の中で、明らかに異彩を放つ、真新しい装丁の本が一冊。
阿礼はそれを手に取ると、インクの匂いと紙の手触りを楽しむように捲りだした。





タイトルは『桃源郷絵巻』
著者のサインは祖父のものだ。





十年前のある日、九十九は唐突に姿を消した。
一冊の本と、莫大な遺産を残して。
その本には、この世ならざる世界の地理、歴史、生活……そして、妖怪と呼ばれるものたちの生態などが淡々と羅列されていた。





そして、未完で終わるその本の最後には、見慣れた祖父の字でただ一言、こう書かれていた。





『この世界で待つ』





と。





これを見たときは、一体何の冗談かと思った。
だが、祖父は冗談や嘘など絶対に言わない人だった。
だから、その祖父の言葉を信じ、『その世界』へと行くための方法を必死に探した。





だが所詮は子供、そう詳しくは調べられるはずも無く、そのようなオカルトめいた話に関して、大人たちに助力を乞うことなど出来ようはずも無い。阿礼は絶望に打ちひしがれたが、中学校に入学して間も無く、ある噂が飛び込んできた。





『校内、いや全国でも一、二を争う天才が、怪しいサークルを作ろうとしているらしい』





その人物こそが宇佐見 蓮子であり、そのサークルこそ、秘封倶楽部であった。
半分は興味本位で、そして僅かな望みをかけて阿礼はその門を叩いた。





それが、ここまでかけがえの無いものになるなんて、その時は思いもしなかったが。





それからの彼女の人生は、いつも秘封倶楽部の皆と共に在った。
同時に、祖父が待つ異世界のことを調べに調べた年月でもあった。
だが、全く手がかりを掴めないまま、とうとう秘封倶楽部との別れの時が近づこうとしている。


「これが最後のチャンス…………」


阿礼はある覚悟をすでに心の中で固めていた。
けれども、それを誰かに伝えるのはギリギリまで待つつもりだ。
こんなことを話したなら、確実に止められるだろうし、できるなら秘封倶楽部の皆を巻き込みたくは無かった。
これは、自分の我侭なのだから。


「待っていて下さい、お祖父ちゃん」


手にした本を抱きしめ、この部屋のかつての主に語りかけるかのように一言、決意を込めて阿礼は呟いた。







――――少女はまだ知らない。







その決意が、自分の、そして親友たちの運命をどう左右するのか。







――――少女はまだ知らない。







その名に刻む数字は、始まりの0となるか。







その名に刻む数字は、終わりの0となるか。

















メリーがふと目を覚ますと、そこには自分以外何も無かった。
ああ、これは夢なのだな――――そんな風に思えるような感覚が全身を支配する。


「それにしたって、殺風景過ぎない?」


メリーは誰に聞かせるわけでもなく、愚痴をこぼした。
普通夢というものは、それが夢だと認識した時点で覚めるものなのだが、これは違っていた。
頬を抓ろうが、体をどんなに激しく動かそうが、全く覚めないのである。







――――しかもメリーはここ数日、連続してこれを見続けていた。







ぼうっと立っていても何も起こらず、仕方ないので歩き回るが、どこまで行っても同じ風景ばかり。
そして、メリーが歩き疲れて座り込むと、次の瞬間目覚めるのだ。


「夢って言うのは深層心理で自分が望んでいることだから……要するに私の望みは空っぽってこと? 
それとも虚無に帰りたいっていう願望の暗喩かしら?」


自分なりに分析してみるが、すぐに諦める。
人間の心理などという神秘の領域など、たかだか二十数年しか生きていない自分が本当の意味で理解できることなどほとんど無いのだから。
メリーはそんな風に達観した思考をすると、とりあえず歩き始めた。
歩くのは嫌いではないが、ここまで連日歩くとなると、例えそれが夢だとしても嫌になる。


「夢とわかってはいても、疲れるのは嫌なのよねぇ」


メリーは再び、誰に聞かせるわけでもない愚痴を呟いた。






――――…………






「え?」







その瞬間、何かが聞こえた。空耳では、無い。
本来ならば、喧しいほど耳に響く静寂の中でかき消されそうな、意識していなければ分からないほどの僅かな音。
この夢を見るようになってから、それは初めてのことだった。








「…………何?」










――――…………ソ












――――…………コ ソ












――――…………ヨ  ウ  コ  ソ










――――ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ ヨウコソ…………









「!!」










それはナニモノカノ声だった。
コンピュータが作り出す人口音声のような、軋んだ高い声。
そんな声で、ひたすら繰り返していた。









――――ようこそ、と。









その声の主は見えない。









だが、どんどんとメリーに近付いてくる。









にも拘らず、何故かメリーはそこから動くことが出来なかった。









下手に動いたら、まずい。









そう思えるほど、その声は禍々しかった。









そして、声はメリーのすぐ近くまで来ると、ぴたりと収まった。
だがその代わりに、メリーの目の前の空間に、








ぎちり








ガラスがこすり合わさるような不快な音を立てて、線が一筋引かれた。
線は瞬く間に袋の口のように開かれ、その先には、妖しげな闇が渦を巻いている。


「何なのよ……コレ」


得体の知れない恐怖を感じて一瞬身を引いたメリーであったが、夢とはいえ通常ではあり得ない事象に、彼女は好奇心を抑えきれずそのスキマを覗き込んだ。








――――そのメリーを睨みつけるかのように、スキマの中に巨大な瞳が一つ開かれた。








しかもそれは、一つ、また一つと、増えていく。








「…………ひっ……!!」








思わず小さく悲鳴を上げて飛びのこうとするが、それは実行することが出来なかった









――――メリーの手首を、スキマから伸びた一本の手が掴んでいたから。









しかもそれは、彼女をスキマの中に引きずり込もうとしてくる。









「――い……いやっ!!」









必死に抗おうとするが、手は万力の如くメリーを掴み、離さない。
次第にずる……ずる……と引き摺られていく。









「離してっ!!……離しなさいってば、このっ!!」









メリーは空いた手で何度も何度も自分を掴むソレを必死に叩く。
その勢いに押されたのか、掴む力が少し緩んだ。









しかしそれに気を許した瞬間、更に無数の手がメリーの四肢を、体を、首を、締め付けるように掴み、絡みつく。








「きゃあああああああああああっ!!!!!」







最早それは人が抗うことの出来ないほどの力だった。
あっという間に、メリーの体はスキマに飲み込まれていく。
そして、声はより一層強く響き、







――――ヨ ウ コ ソ…………ソシテ







メリーの目の前に、まるで鏡を移したかのように自分に良く似た、だが決定的に何かがチガウ、妖艶に微笑む女の顔が現れた。
接吻できそうなほどメリーに近付いた女は一言、愛し気に言葉を紡いだ。








「――――お  か  え  り  な  さ  い」








「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」








メリーは絶叫した。








目の前のソレが、自分が生きてきた二十数年間を全て無に帰す存在であることを、本能的に理解してしまったから。








女の手と闇の手は、優しく、だが逃れられない力でメリーを包んでいく。
メリーの五感が、全て闇に包まれた瞬間――――









――――目が、覚めた。








メリーは、がばっ!! と身を起こすと、周りを見回した。
そこは、いつもと変わらぬ自分の部屋。
念には念をと、カーテンを開けて外を見ると、相変わらず景観の悪い風景が見える。


「夢……か…………、境界に吸い込まれるなんて、全く縁起が悪いったらありゃしないわね」


ここ最近、こんな夢をみることが多かった。
自分の他には何も無い、真っ白な世界。
そして、時間を忘れるほど彷徨ったその先には、自分と瓜二つの――いや、自分自身が目の前にいるのだ。
そして、目の前の自分はただ妖しく微笑みながら、メリーを見つめ、そして消えていく。
毎日のようにそんな夢を見るので、メリー自身もあまり気にも留めないようになっていた。
だが、今回のように、何かに引きずり込まれるような夢は、今までに無かった。


何か不吉な予感が胸をよぎったが、それを頭を振って振り払い、気を紛らわせるために水でも飲もうと台所に向かい、コップに手を伸ばし、汲んだ水を一気に飲み干した。








ほうっ、と息をついてコップを洗うため目線を下にずらした瞬間、メリーは血の気が引く思いがした。









――――その右腕には、









――――手の形をした、どす黒い痣が一つ。










手に取ったコップを投げるように流しに置き、メリーは布団を被った。






――――震えが止まらない。






しかし、それを振り切ろうと、メリーは必死に目を瞑った。






大丈夫、心配なんて無い。






境界の向こう側で寝泊りすることは、今回が初めてじゃない。






いつものようにやればいいんだ。






大丈夫、大丈夫!!






きっとこれも、無意識のうちに自分で掴んでしまっていただけ!!






何にも不安なことなんて無い!!






だから……だから、早く眠くなって!!






今起きたことなんて、吹き飛ぶような深い眠りの中に私を誘って!!






「お願い……お願いよ……」






何に言い聞かせるでもなく、誰に懇願するでもなく、メリーは一人、呟いた。






メリーは境界が見えるという、自分の力が好きだった。
夢とロマンこそあるものの、科学と物理法則に支配されたこの世界とは違う世界を覗くことの出来るこの力を。
だが、ここ最近は、この力がただ怖かった。
確かに、境界を見る力はどんどん強くなり、その向こう側にさえ行くことが出来るようになった。
だがその力が自分の思い通りになることもなくなっていた。





まるで、自分とは違う何かの力が働いているかのように、境界の向こう側へと行きたい、という衝動が、心を支配するのだ。





しかも、それは卒業旅行の日が近づくほどに、強くなっていた。
ふと気づくと、自分たちが旅立つ予定の境界の前に一人で立っていた、などということも、一度や二度ではない。
更に、境界の向こう側に、望郷の念のようなものすら感じるようになったのだ。秘封倶楽部の皆の前では、努めて明るく振舞ったりして気を紛らわすことが出来るが、一人でいるときにそれに耐えることは、最早限界に近かった。






――――今日も、メリーにとって長い夜が始まる。










少女たちは誰もが、胸に思いを秘めていた。








それぞれの思いを、ある者は胸に秘めながら、ある者は押し殺しながら。








それぞれに秘めた思いは違えども、旅の始まりの日は、少女たちに平等に訪れようとしていた。



















今ではない時、ここではない場所――――桜の花びらが舞い散る丘に、一人の少女と、精悍な侍が一人。
眼前には、見上げるほどの大樹が聳え立っている。


「とってもおおきな木ね、ようき。これは、なんていう木なの?」


樹を見上げるのに夢中になって、今にも後ろ向きにころんと倒れそうになりながら、少女は侍に問う。
侍は、その目に深い悲しみと、懐かしさを湛えながら、答えた。


「はい、西行妖――――この幻想郷と、西行寺……その始まりの樹でございます」









そして、昔語りは――――









語り手を増やして、時間を越えて、場所を越えて、紡がれる。











生まれてはじめての連投に緊張しっぱなしの、ドクでございます。


この巻之二は、いわばプロローグです。
秘封倶楽部の日常、そしてそれが終わりを迎えようとしている時のそれぞれの思いと感情を書いています。

そして昔語りの語り手は、紫、阿求、蓮子の三人だけではありません。
秘封倶楽部の出会いの数だけ、語り手は存在します。
時も、場所も違うけれども、同時に紡がれる昔語り――これらがどこかで交わるとき、語り手たちにも変化が訪れるのです。

巻之三では、旅立ち、そして最初の出会い、彼女たちの意思とは関係なく動く力……そして新たな語り手が描かれます。

ご期待下さい。
ドク
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コメント



0.640簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
期待しちゃいます
2.100名前が無い程度の能力削除
面白い!
今後も期待しています!
3.70名前が無い程度の能力削除
設定はアレだけど、中々いい作品ですね。
次回を期待します。
4.60名前が無い程度の能力削除
阿礼が阿求になっている箇所が二箇所ありました。
続きを楽しみにしてます。
5.100名前が無い程度の能力削除
ぜひとも最後まで書ききってください。
続きがとても楽しみです!
6.80名前が無い程度の能力削除
桜子が幽々子だとすると、死を操る能力は死後に得たものでしょうかね
設定が独特で混乱気味ですが、続き期待してます。
9.70名前が無い程度の能力削除
阿礼にだけ無理がある・・・そこが残念だけど続きが読みたくてしょうがない
11.40堰碎-香霧蒼削除
本文を見る限り「蓮子が存在する時代に幻想郷が誕生した」となります。
「蓮子とメリーの世界」は「現在我々の居るこの時代」よりも未来。(夢違科学世紀・卯酉東海道の資料より)
これらのことから、この物語の時代の流れはこうなります。
「現在我々の居る世界⇒蓮子とメリーの世界⇒幻想郷誕生」
しかし、これらのことは、博麗大結界完成の年(1885年度,明治18年度)との矛盾が発生してしまします。また、時代の点では他にも矛盾や不都合があります。
「文々。新聞」の情報。「幻想郷縁起」の情報を知っておく事を推奨します。

SS自体は時代の矛盾を無くせば面白いです。なので次回作を楽しみにしています。
14.80名前が無い程度の能力削除
続きが楽しみです

それにしても、今までにも過去にとんでしまう(こえてしまう)等の話がありましたが、なんでこの話はそこら辺がどう展開するのか分からないこんな最初の方で叩かれてるんだか
メンバーが増えたからか?
15.90名前が無い程度の能力削除
はやく続きがよみたいぜ
16.80名前が無い程度の能力削除
興味深い内容でした
19.80名前が無い程度の能力削除
時代設定は無理があるけれど、パラドックス物として割り切ればいい出来だと思います。
続きを期待してます。
20.80蝦蟇口咬平削除
おお、復活!
今後が楽しみです!!
24.50名前が無い程度の能力削除
まだ1カ所だけ阿求があったので指摘を。
> メリーはそんな阿求を見て

今まで考えたことがなかった話で戸惑いはありますが、
それだけに最後まで読んでどう思うか、気になります。
26.100名前が無い程度の能力削除
続きを楽しみにしています!
27.100名前が無い程度の能力削除