どうも。射命丸文です。新聞記者をやってます。
今幻想郷で話題になっているのは、『カップリング』というものです。
うーん、なんていうんでしょうか・・。簡単に言えば、
「誰と誰が恋人に相応しいか」そんな感じの話題です。
「レイマリ」「レイアリ」「マリアリ」なんて言い方をする人が増えてきたみたいです。
これは、博麗霊夢さんと霧雨魔理沙さん。霊夢さんとアリス・マーガトロイドさん。
魔理沙さんとアリスさん。という組み合わせのことを指します。
本人たちはどう思っているか知りませんが、このような話が生まれているのです。
・・あぁ、話とは、所謂小説のことです。
厳密に言うと、流行というのは「『カップリング』の小説を書くこと」なんですよ。
多くの人は、知り合い同士で見せ合って楽しむ程度なのですが、
良い作品は、香霖堂がお金を出して買ってくれるというのですから、
本腰を入れて書いてる人もいるみたいです。
大抵の人は、自分以外の誰かをネタにして書きます。
後々本人に文句を言われることがあるそうですが、その人もそうやって書いている
ことが多いため、暗黙の了解状態です。
でも、自分と誰かをカップリングにして書いている人もいるみたいです。
憧れとかを文章に綴って愉しむんでしょうか。
あぁでも、私も素敵な恋愛って憧れるなぁ・・。
実は、今夜は博麗神社で作品の見せ合いっこがあるらしいんです。
神社の境内で著者の方たちが机の上に本を並べて公開するんです。
勿論、自分たちが他の人のを見る時間も設けられてます。
私もお呼ばれしちゃいました! 内心、楽しみだったりするんです。ワクテカです。
私もなんか書いておけばよかったなぁ。今回は見て回るだけです。
次の機会には準備しておこう。
あ、そろそろ時間ですね! 最速に驕ることなく、余裕をもっていかなければ。
-- 博麗神社
うわぁ、結構皆さんおいでですね。
紅魔館、白玉楼、永遠亭など、幻想郷の顔からもいらしてます。
紅魔館といえば、パチュリー・ノーレッジさんはカップリング小説家として
絶大な人気を誇っているんです。
そして彼女に匹敵する人気著者がもう一人。
人間の里の上白沢慧音さんです。
なんでも、稗田阿求さんと共同作業らしいですよ。
大御所はお楽しみにとっておきましょう。おや・・・・?
少し気になる人を発見しました。
チルノさんです。彼女も小説を書いているんでしょうか?
・・・もとい書けるんでしょうか・・?
「こんばんは、チルノさん。小説拝見してもよろしいですか?」
うーん・・。今日は記者として呼ばれてるんで、チルノさんにも敬語です。
「あ、カラスじゃない。うん、いいよ!」
ほい。と冊子を渡されました。えーとジャンル・・組み合わせですね。その表記が表紙にあるはずです。
えーと・・何々・・「さるだい」・・?
なんでしょうか? 開いてみますね。
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「さるのさゃん、あそぼ」
だいさゃんがさるのさゃんにはなしかけた。
「うん、いいよ」
さいきょうのさるのさゃんはこころよくおーけーした。
--パタンッ
「ありがとうございました。もういいです。」
「えー! 全然読んでないじゃない!!」
「色々回らなきゃならないんで・・では。」
酷かったですね・・。「ち」と「さ」が全部入れ替わっていました。
はじめ『さるのって誰だよ・・。』とか思っちゃいましたよ。
「チルだい」チルノさんと大妖精さんの組み合わせだったんですね。
それにしても漢字が見当たらなかったような・・。書きは苦手なんでしょうか?
平仮名でしたが、「快く」という単語を使ってあったのに感動です。
あのあとの展開は、おそらく遊んで終わりでしょう。ネチョネチョハァハァな展開を書けるとは思えません。
あ、ラブラブーな展開って意味です。カップリング小説はそういう展開のものが
ほとんどなんですよー。ギャグモノとかもあるみたいですが。
あーラブラブチュッチュしてぇ・・。
あ、いえ、なんでもありません!!
いやー。でも、初めにチルノさんのを見といて良かったかも知れません。
次に見るのは、必ず良作に思えるでしょう!
お、アリスさんがいました。
そわそわしています。宴会の席とはちょっと違うんで、緊張してるのかな・・。
でも人に来て欲しそうです。行ってみましょう。
「こんばんは、アリスさん。小説拝見してよろしいですか?」
「あ、あら。ネタ集め? ご苦労様ね。貴女が最初のお客様よ。はい」
小説を渡していただきました~。なんだか結構自身アリみたいな感じなので、ワクテカです!
えーと・・「マリアリ」ですね。よく見かけますが、本人が書いたものはどうなんでしょう?
見てみます。
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いつも通り、椅子に掛けて紅茶を飲むアリス・マーガトロイド。
今日は雲行きが少し怪しい。上海人形の髪の光の反射具合もそれを物語っていた。
やはり、雨が降ってきた。
次第に、激しくなる。
雷が轟音を立てて落ちる。
「大丈夫よ、上海。怖くないわ」
上海人形が頭を抱える姿を、フフ、と微笑ましく見つめるアリス。
--ザァァァァ
--ゴロゴロ
依然雨も雷も止む気配はない。
--ゴンゴン
--ゴロゴロ
「----くれー・・」
「・・? 今声が聞こえたような・・」
--ゴンゴン
「開けてくれってば!!」
「いけない、お客様だわ!」
アリスは慌ててドアを開けに向かった。
雨と雷の音で聞こえなかったが、来客者がいたようだ。
「--どうぞ・・・って・・魔理沙・・?」
ドアを開けたその先に現れたのは、ずぶ濡れになった霧雨魔理沙だった。
「・・魔理沙だぜ。魔理沙でも、もう少し早く開けてくれても良かったんじゃないか?」
「仕方ないじゃない。雨と雷で聞こえなかったんだから」
アリスは、内心嬉しかった。雨の日はどこか寂しい。
そんなときの来客だ。それも、賑やかな魔理沙が来た。いや、賑やかなだけでなく---
「助かったぜ。雨宿りできそうな大きな木がなかったんでな・・」
「こっちはいい迷惑だけどね。」
紅茶を淹れつつ思ってもないことを言ってしまう。
サンキュー、と魔理沙が紅茶を受け取った。
暫く紅茶を楽しむと、唐突にアリスが言った。
「--ねぇ、服替えないの? 風邪ひくわよ?」
魔理沙の湿った服を見かねて、アリスが言った。
一応、床が濡れないように魔理沙がタオルで丁寧に拭いたのだが、湿り気は取れないだろう。
「悪いな、床濡らして。だが、『替え』無いの。」
まぁ、魔理沙が森をうろつくのに替えを持つようなことをしないのは、アリスも分かっていた。
「私のを貸してあげるわよ・・」
アリスは立ち上がって着替えを取りに行った。
(私が着る・・? アリスの服を・・?)
魔理沙は何故か意識してしまった。ただ服を借りるだけのことに。
「お待たせ。持ってきたわよ」
「お、おぉ。ありがとな・・!」
魔理沙のどこか余所余所しい態度に、アリスも気付いた。
若干、頬に赤らみが見られる。なんというか、可愛らしい。そう思ってしまった。
「いやー都会派の服ってのもそうそう着られるもんじゃないからな!
--っておい! アリス・・!?」
気がつくと、アリスは魔理沙の服を脱がしに掛かっていた。
「お、おい! 自分でやれるって・・・」
「いいの、私にやらせて・・。着替えさせてあげる・・」
恥ずかしがる魔理沙の表情がたまらなかった。
アリスは一枚一枚丁寧に魔理沙の服を脱がしていk
---パタンッ
「・・・これ以上はまだ時間帯が早すぎる。そんな気がしたんです。」
そう言いながら私は本を閉じました。我ながらベストな判断です! えっへん!
あ、こういう展開になって、そろそろマズいな。と思ったら閉じますんで。
そこのところヨロシクです!
「--・・それで・・どうだった・・?」
アリスさんがおずおずと感想を聞いてきました。
「そーですねー。よくある一般的なネチョですが、他のポピュラーな作品と違って、
魔理沙さんの攻め要素が少なかったのが新鮮な感じですね!」
実際その先を読んでいないのでなんともいえませんが。
でも、アリスさんもこの感想で顔を赤らめているのでよしとしましょう。
さーて、次は誰のを読みましょうか・・・
--ミスティア・ローレライさんを発見しました。
彼女は鳥を大切にしようという大変素晴らしい思想の持ち主です。
八目鰻の屋台も営んでます。健気ですね~。
「ミスティアさん、こんばんわー。小説拝見してよろしいでしょうか?」
「あ、ブン屋の・・。 勿論、いいわよ! はい!」
おや、「ようゆゆ」ですか。魂魄妖夢さんと西行寺幽々子さんの組み合わせですね。
白玉楼コンビです。 彼女がコレを書くとは・・・なにかあるんでしょうか?
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今日も私は木々のざわめきの中で庭を掃除する。『庭師』という職業柄、仕方の無いことだ。
しかし、庭掃除や、木のお手入れも、楽しくないわけではない。
木々のざわめきも、耳を澄ませば川のせせらぎ。小鳥の囀り。
たったそれだけで、掃除をしながら愉しむことが出来る。
感覚を研ぎ澄ます鍛錬にだって、少なからず役立っている。いつだって小さいことの積み重ねだ。
「よし。一通り片付いたかな」
私はいつもの手順通りに作業を終えた。
「妖夢~! よーうーむー!」
あぁ、聞こえてきてしまった。幽々子様の声だ。また私を呼んでいるのか。
私は声の主、この白玉楼の主である幽々子様の元へ向かう。
今からまた幽々子様のお世話か・・。庭のお手入れの方がよっぽど、いい。
「なんでしょう、幽々子様?」
「お腹が空いたの。何か作って頂戴」
はぁ。先程お夕飯を食べたばかり。何度も何度も作らされる身にもなってほしい。
私は我慢している。この生活に。
初めは立派な方だと思っていた。この人をお守りさせて頂いて光栄だ、と。
だが、どうだろう。最近私の扱いが酷い。
魂魄の血を引く者は、代々西行家に仕える。
私は幽々子様に「弱い」と言われた。わかってます。まだまだ未熟者ですから。
私は幽々子様に「それでも護衛なの?」と言われた。そのつもりだ。師匠から受け継いだんだ。
私は幽々子様に「貴女に期待はしていない」と言われた。
--・・・悔しい。弱い部分を指摘されるのが悔しいんじゃない。
師匠に追いつけないのが・・・悔しい・・。
気付いた。私は西行寺幽々子を尊敬しているんじゃない。
師匠を尊敬しているんだ。
何だというのだ、西行寺幽々子。
師匠に護ってもらっていたクセに・・。
師匠に世話していただいたクセに。
師匠のことなど忘れているクセに!!
私は師匠の弟子だぞ。何でもかんでも押し付けるだけ押し付けて・・
「何を突っ立っているの? もういいわ、貴女は。夜雀を狩りにいくわよ。」
--プツッ
その言葉に、私は我慢の限界を迎えた。
「--・・ティアのことか・・」
「え?」
「ミスティアのことかぁぁー!!」
私は従者としてあるまじき行動を取った。西行寺幽々子の胸倉を掴んでやった。
幽々子は驚いた表情をしている。いつも冷静な彼女のこんな表情はみたことがない。
だが、私の怒りは治まらない。
「ミスティアはなぁ! 小さいながらも頑張って生きてるんだよ!!
八目鰻の屋台を経営して焼き鳥の撲滅を掲げてるんだよ!
あそこの八目鰻は100%幻想郷天然物で安心安全だ!!
しかもビタミンAがたくさん含まれてるから鳥目や疲れた目に効果抜群!!
特にあそこの蒲焼は香りだけで涎が止まらなくなる程の絶品なんだよ!!
皆さん一度は食べに来て下さい!!」
私は幽々子を突き放すと身動きが取れないように鎖でグルグルに縛っt
---パタン
「--あのー・・これ宣伝ですよね・・?」
これはひどい・・。序盤はシリアスな展開で「みすちーなかなか書けるんだなー」
って感じしたんですけど、なんかおかしくなってます。
妖夢さんがみょんにリアルです。黒いです怖いです。
あの方は非常に幽々子さんを尊敬してますからねー。お間違えの無いように。
「何いってるの! 日頃幽々子に酷い目に遭わされている妖夢の逆襲!
妖夢攻め 幽々子受けの完璧なカップリングよ!
この後読者の想像の斜め上をいく『栄養満点八目鰻プレイ』が・・・!」
斜めに行き過ぎです。どうみても完全な商売です。本当に(ry
つまりアレですね。日頃幽々子さんに酷い目に遭わされているミスティアさんの、
小説の中でのささやかな逆襲ですね。私的な怨みが生んだ産物です。
そういえばさっきから背後から視線を感じます。私でなく直線上のミスティアさんに。
あ、妖夢さんが「困ったものだ」みたいな顔をしているのを確認しました。
「--あ、そろそろ次行きますねー!」
「あ、感想はー? --・・あ・・あ・・あぁ・・」
徐々に声の力が抜けていくミスティアさん。私が目の前をどいたから
視界に捉えてしまったんですね。獲物を狙い目を光らせる西行寺幽々子さんを。
酷な事をしてしまいました。
あぁ、後ろから悲鳴が聞こえます。可哀想なみすちー・・・。
でも、妖夢さんや幽々子さんがあのお話を読んだらどんな反応をするでしょうか?
少し気になったりもします。
序盤は面白かったですし。妖夢さん黒かったけど。
さてさて・・・お次は誰のを読みましょうか・・。
まだまだ調査は続きますよー! part2で続きをリポートします!
以降の方はこの作品は途中じゃないんで、また意見や感想をよろしくお願いしますー。
吹いたw
あんまりネチョすぎても批判受けるだけなんで気をつけてくださいな ̄- ̄;
話は発想が素晴らしいと思いました。part2も期待してます!
だが、ちるのちゃんのお話を読みたい。
>おきたかたんで
おきたかったんで
今後に期待。