Coolier - 新生・東方創想話

レンタル芳香~お手伝いキョンシーはじめました~

2011/10/24 21:47:37
最終更新
サイズ
11.67KB
ページ数
1
閲覧数
1341
評価数
6/26
POINT
1400
Rate
10.56

分類タグ


こ~しょん、こ~しょん、こ~しょん
初投稿です。
キャラ崩壊が凄まじいです。扱いが酷いキャラがいますが、愛ゆえの暴挙です。
前半と後半の温度差が激しいです。
変態ネタが含まれますので、そういったものが苦手な方はご注意を...
こ~しょん、こ~しょん、こ~しょん



数行で解る登場人物紹介

宮古 芳香(ミヤコ ヨシカ)
本編の主人公で、思考能力はファミコン並。
最近自分の存在について考えるようになる。
御札が取れると、一番近い動作物に無条件で襲いかかる。
柔軟体操の成果が出始めてきた。

霍 青娥(カク セイガ)
芳香の主人であり、神子達に道教を教えた。
邪仙ではあるが、それに似つかわしくない優しい心と強い力を持っている。
実はドMで、よく芳香に自らを拷問するように命令する。(芳香はそれが何か理解していない)
自分より強い力を持つ霊夢に、弟子入りしようとしたが邪険に扱われおもわず惚れてしまう。

豊聡耳 神子(トヨサトミミノ ミコ)
ちょい役。
博麗神社の地下から無限に広がる仙界の管理者で、幻想郷にはまだ疎く、勉強真っ最中である。
いろんな意味で青娥に安息の時を妨害されいろいろ限界だが、家族同然の関係である。
休日と就寝は、青いジャージと決めている。

物部 布都(モノノベノ フト)
登場しない。
仙界組の軍師にも等しい知才を持ち合わせているが、いろいろと残念な性格である。
涙目がもっぱら可愛いという噂だが、神子曰く『彼女を泣かしていいのは、私と屠自古だけですよ』だそうだ。

蘇我 屠自古(ソガノ トジコ)
登場しない。
布都に使役されているはずだが、案外フリーダムな性格で布都に意見したりすることはしょっちゅうである。
暴走しがちな布都を止めるのも彼女の役割である。
足がエロ大根。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



私の名は、宮古 芳香...
豊聡耳 神子が主を勤める大霊廟を守る役目を請け負っている。
理由は私はよく分からないが、私の主人である霍 青娥様の命令でここを守っている。

「ふぎゅ!いぎぃ!!」

つい最近復活した神子達は、住処を博麗神社の地中...
まあ、詳しく言うと仙界と呼ばれる特殊な空間にある大祀廟の中に住んでいる。

「あうぅう!!ヒギィ!!」

私は、あまり頭がよくないので難しくは判らないが、
仙界には我が主人を初め、ごく限られた道教の知識を持つ一派しか入ることはできない。
ゆえに、進入不可能なこの仙界の建物を守るのが今の私の存在意義だ。

「せーがさまぁ~?気持ちいいですか?」
「なに、無駄口を叩いているの?それよりも、さっきから力が弱いわよ!もっと力を込めて足を動かしなさい!」
「ごめんなさい」

私はなぜこんな所を守っているのか?
だが、疑問にもつだけ無駄である。
私は命令どおりに動く死体...
それ以上でも、それ以下でもない。
主人である青娥様の命令を実行する以外では、私の存在意義はない。

「あぐああああ!!私、踏まれていりゅうう!!
 操り人形であるはずのキョンシー如きに、足拭きマットの様に踏みにじられてりゅううう!!
 肋骨とかが、ギジギシ悲鳴をあげてりゅのおおおおお!!」

今もこうして、主人である青娥様の上で足踏みマッサージを施している。
戦うために生まれたキョンシーが、今ではただのマッサージ係である。
この、妖怪ですらその頭部一踏みで砕くほどの怪力も、今はただのマッサージである。
戦う使命を受けて蘇った私が、こんな戦いからかけ離れた作業を続けることに疑問はない。

「ハヒィ、ハヒィ...私、グチャグチャにされて、感じちゃってるにょおおお...
 支配下であるはずの芳香に、無抵抗のままにボロ雑巾みたいにされちゃって感じる変態でしゅうぅぅ...
 ちょっと、芳香!なに足を休めているの!ちゃんと全身をまんべんなく全力で踏みなさい!
 まったく、こうやっていちいち命令しないと、すぐに思考停止しちゃうんだから」
「せーがさま~、ごめんなさい」

普通の戦士ならば、このような扱いは耐えがたい屈辱なのだろう。
だが、私は所詮青娥様に蘇らされた、ただの亡骸である。
何の為に生きるか、何の為に行動するのか?
それを決めるのは、青娥様であって私にそんな権利が存在するはずがない。

「割れりゅうううううううううう!!頭蓋骨が、みしみしいっているにょおおおおおお!!
 痛いのしゅきいいいいいいいいいいいい!!
 もっと、もっと痛いのくだしゃいいいいい!!
 ご主人しゃまあああああああああああああ!!」

でも、なぜだろうか?
時々妙な寂しさを感じてしまうのだ。
青娥様の道具であるはずの私が、寂しさという感情を思ってしまうのだ。
こんな事は、あってはならないはずだ。
だが、現に私はこうして寂しさを感じている。
青娥様の役に立つことは嬉しい。
最近になって、こう思うようになった。
だがそれと同時に、こうも思ってしまうのだ。
本当に自分は、役立っているのだろうか?
それが、たまらなく悲しいなんて思ってしまう。

「超・必殺『飛鳥文明アタック』」
「ヒギィ!!」

芳香が、そんなことを思っていると大祀廟の扉が開かれ、青いものが転がってきた。
芳香は、とっさに超高速で迫ってくる何かを素早く回避すると、青い何かは青娥を踏みつぶししばらく進んだ先でようやく止まった。
青い何かは、ゆっくりと立ち上がると、芳香はようやくそれが何かを理解した。
青娥が道教に導いた偉大なる聖徳王・豊聡耳 神子その人であった。
服装が、なぜかものすごくダサイ青ジャージなのだが、そこは気にしないでおく。

「神子様ぁ~!おはようございます」
「えぇ、芳香...おはよう。今日も元気そうで何よりです」

神子は、そう言って青いジャージに不釣り合いな優しい笑みを芳香に向けた。
芳香も嬉しそうに、パタパタと両手を動かして無邪気な笑みを返す。
そんな無邪気な芳香を見て、思わず神子も挨拶とは違った自然な笑みがこぼれた。
だが、その笑みはすぐに消え去り、大祀廟の外に敷きつめられた砂利道に埋もれている青娥に視線が向けられた。
そして神子は、青娥を地面から引き抜くと、そのまま冷めた目でこう言った。

「青娥...朝っぱらから、なにしとるんじゃあああああ!!」
「ありがとうございましゅううううううう!」

芳香にもう少し高い知能が備わっていたのならば、
神子の絶叫と共に放たれたジャーマンスープレックスの美しさに気がついただろう。
ジャーマンスープレックスをもろに受けた青娥の首が、確実にやばい方向を向いていたが、ここは腐っても邪仙の青娥娘々...
首の骨が、おかしい方向に折れたぐらいではなんともないのである。

ちなみにジャーマンツープレックスは、本当に危険な技である。
その派手さゆえに、ギャグ漫画などでよく描かれるが、実際に素人が行った場合には、
技をする方と受ける方の両方に非常に危険が伴う。
実際に死亡事故が発生しているので、冗談でもしないでください。
プロレスの危険度の高い技を行うときは、十分な訓練を受けてから行ってください。

そんな技を食らった青娥は、しばらく地面で痙攣したあとにゆっくりと立ち上がって、
衣服は無残に引き裂け、全身は砂利や土で汚れ、額から血を流しながら天女のような笑みを浮かべた。
普通ならば、万人がそれが悪意ある作り笑顔だったとしても騙されてしまう様な笑顔だが、
ぶっちゃけ今の笑顔は軽くホラー以外の何者でもない。
青娥は、軽く衣服を叩いて神子にこう言った。

「これはこれは、太子様...本日もご機嫌麗しい様で...」
「えぇ、朝4時から貴方の個人的要求をみたす狂喜の声で、無理やり目覚めさせられて最高にゴキゲンってやつですよ」
「そんなに、ゴミ以下の汚物を見る様な瞳で私を見ないでください。体が疼いてしまいます」

そういって、神子も優しい笑顔を青娥に向けた。
もうよほど鈍感な、湖の氷精や地底の八咫烏や墓場のキョンシーですらすぐさま理解できるほどの殺気を放っていた。
青娥は、そんな恐ろしい笑顔を向けられ思わず恥じらう乙女の如く頬を染めた。
その瞬間に、神子は心を聞くまでもなく、もうこれはだめだという事を理解した。
もはや神子にできるのは、拳を構えて青娥の顔面をひたすら殴り続けることだった。

「君がっ!!気絶するまでっ!!殴る事をっ!!やめないっ!!」
「太子しゃまあああああ!!ありがとうございましゅううううう!!」

その後、邪仙青娥を黙らせるのに神子が犠牲にしたカロリーおよび精神的浸食は、
仕事帰りに明日までに仕上げないといけない書類を仕事場(片道1時間)に忘れたぐらいであった。
時間にして2時間、幸せの絶頂と言わんばかりの笑顔で一声もあげなくなった青娥を地面に放置して神子は、
二度寝の準備に取りかかるのであった。
芳香は、そんな二人のやりとりを見ながら、少し寂しい気持ちになるのであった。
ちなみに青娥は邪仙なので、顔面をボコボコにされたぐらいではその麗しさが損なわれることはない。
どこぞの天人と、ほぼ同等の猛者であるので安心していただきたい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



その日の昼頃、誰も来ない大祀廟の前で門番を続ける芳香...
神霊異変以降、幻想郷で新しい生活が始まってから慌ただしかった毎日はようやく落ち着きをみせ、
今この仙界に住む全員が自分達がすべき事を考え始めていた。
芳香の主人である青娥もまた、神子達の尸解仙としての目覚めを迎えたいま、
目標を達成し新しい人生を歩もうと考察しているところである。
芳香だけが、そんな新しい目標も持つことなく取り残された気分になっていた。
そんな彼女の前に、青娥がやってきた。

「あら芳香、珍しく眉間にしわを寄せているけど、お腹でも空いたのかしら?」

そんなとぼけた様に、青娥は芳香に声をかける。
一方の芳香は、いつもどおり能天気な感じで主人の名前を呼んだ。
だが、その表情は少なくとも青娥には沈んでいる様にも見えた。
青娥は、優しく芳香の頭をなでて優しい笑みを浮かべる。

「どうやら、貴方は悩んでいる様ね。
 そういう時は、私に今思っているままの言葉を口にしてみなさい」

青娥は、いつもと違った優しい笑みを惜しみなく芳香に向ける。
芳香は、そんな青娥の顔に思わず見とれていた。
綺麗や美しいとは違った、慈悲溢れる笑みに芳香は自然に口を開いていた。

「青娥様...私はとうとう壊れてしまったぞ~...
 最近とても変なんだぞぉ...
 みんなは自分で考えて、何だってするけど私にはそれがないのだ。
 なぜか、それがすごく悲しいのだ」

青娥はその言葉を聞いて驚いていた。
芳香の記憶力は、ひどく曖昧であり最近まで青娥の顔や名前までときどき忘れてしまうほどだったのだ。
それこそ、単純に与えられた命令をこなすだけの本当の道具に等しい存在だった。
だが、芳香は自ら断言した。
最近ずっと寂しいと感じているという事を、自分自身の口から言ったのだ。

芳香はその言葉を口にして、もしかしたらもう道具として扱ってくれないのでは?と、内心ひどく驚怖していた。
なぜなら、芳香は道具として従い続ける事が青娥を喜ばせる要因だと思っていたからだ。
捨てられる事に、恐怖は感じない。
道具は捨てられるのは当然であり、朽ち果てるのも当然であると芳香は考えているからだ。
だが、主な使命の門番としても役立つ事がほとんど無くなった今では、青娥を喜ばせる大きな要因が一つ減ってしまったという事である。
まるで九十九神の様な思想ではあるが、芳香の役に立たてない自分がとても悔しく寂しいと感じたのである。

静かに風がそよいだ。
青娥は、ただ静かに芳香を抱きしめると小さな声で芳香に命令した。

「しばらくこのままで居させなさい」

その言葉に、芳香はいつもどおりのテンプレートで言葉を返した。
いつものやりとり。
だが、いつもと違うやりとりに、芳香は恐れや不安のような感情を抱いていた。
しばらくして、青娥が芳香を開放すると、なぜか少しうるんだ瞳でこう言った。

「貴方は、壊れてなんかいないわ。
 人は、それを成長というのよ」
「成長?」

芳香は、成長の意味は知っているが、なぜこのタイミングでその言葉が出てきたのか理解できなかった。
柔軟体操の成果で曲がりやすくなった首を、無意識のまま傾けてみせる。
でも、芳香のぽんこつ頭ではよく分からない事だらけである。
そんな芳香の頭を、青娥はなでながら諭す様にこう言った。

「言葉の意味や、自身への疑問...
 それらを解決するのは、私の言葉ではなく貴方自身の心よ」
「心?」
「私は芳香を導くことができる。
 でもその道は、必ずしも芳香にとって正しい道とは限らないわ。
 だから考えなさい。
 そうね、考えるのが難しいのならば、いろんな人と接してみるのも良いかもしれないわね」

まだまだ全てが、ぽんこつだらけの芳香...
幻想郷に青娥と共に来て、長い時間が経つがそれでも幻想郷のことなんて何も知らない芳香...
そんな彼女は、まだまだ自分だけで答えを導き出すのはとても難しい。
だから、青娥は一つの可能性を示してやったのだ。
そして、それはキョンシーとして芳香が初めてわがままを言った日でもあった。

「じゃあ、青娥様の言う通りいろんな人のお手伝いをしてみるぞぉ!
 でも、お手伝いってどうやるのだぁ?」
「フフフ、貴方が自立するのは、まだまだ時間がかかりそうね」

翌日、人間の里付近で奇妙な商売をはじめた二人組が現れた様だ。
破格の安さで、店番から家庭の清掃などなんでもしてくれる便利なキョンシーを1日単位で貸し出すサービスだそうだ。
人間の里は、そんな噂で持ちきりである。
そのサービス業をはじめたとおぼしき二人組は、高らかに声を上げる。

「可愛いくて、なんでもやってくれる便利なキョンシーを一日貸し出します!
 新しいお手伝いサービスは、いかがですか?」
「うお~!なんでもしてやるぞぉ!あっ、でも難しいことは勘弁してほしいぞ~」

こうして、キョンシー派遣サービス、通称『レンタル芳香』は、ここに開業した。
これは、ぽんこつだけど主人思いのキョンシー芳香と、ちょっと変態ドMだけど優しい邪仙青娥が、
二人三脚で芳香の求める答えを探すちょっと温かい物語である。
青娥「ちなみに、私は芳香のサポート役ですので基本芳香への助言以外何もしません。
 あっ、でもサンドバックがほしいなら遠慮なく言って下さい。
 蝋燭からトゲの鞭までなんでも用意いたしますわ。
 存分に私を可愛がってください。
 あ?性的な行為?何ナマ言ってんだ。
 ぶち殺すぞヒューマン...それと、芳香に手出したら一生のトラウマ植えつけるからな」

今回は、実験みたいなものです。
優しい物語を書こうとしたら、前半で右腕の邪気眼が暴れ出しやがりました。
もう、最初から最後までクライマックスのテンションでしたが、中盤からなんとか落ち着きました。
次回があれば、ああいうテンションは少なくなると思います。
別に、僕が次回を書かなくても誰かが代わりに書いてもいいんじゃよ?(チラッ

>誤字修正しました。
奇声を発する程度の能力様
コチドリ様
17番目の御方
報告ありがとうございました。

初投稿で、これだけの高評価をいただきまことにありがとうございます。
そして、みなさん自重しない方がいいと言う意見が多いので、
次回からもできる限り邪気眼を発生させていきます。
改めてありがとうございました。
ザワ
http://www.geocities.jp/zawa2000d/toho-index.htm
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.910簡易評価
1.80奇声を発する程度の能力削除
>あっ、でもサンドバックがほしいなら遠慮なく行って下さい
言って?
何という変態…
3.90名前が無い程度の能力削除
おぉ、シリーズものですか。
期待してもよろしいですかね?
5.80コチドリ削除
あれは小学生の頃でしたでしょうか。級友が真新しい青のジャージを着て私に近付いて来たのです。
彼は自慢気にその青ジャージをアディダスだと断言しました。
だけど、私の目はどうしてもそのロゴをアディオスとしか読むことが出来なかったのです。
おそらくソレは中華辺りで製縫されたものだったのでしょうね。

幸せな勘違いというものが世の中にはある。
本人達が納得していて、且つ周囲の迷惑にならないのであれば、それがアディダスでもアディオスでも良いじゃんね?
そうだよね、芳香ちゃん、青蛾さん?

初投稿で、いや、初投稿だからこそ、と言った方が良いのかな。
こういう弾けたテンションの作品は嫌いじゃない。むしろ大好物さ。
次回はちょっと抑え気味になる? そいつはちと残念かも。
とにもかくにも初投稿、お疲れ様でした。
6.70名前が無い程度の能力削除
キャラ崩壊がひどすぎて、もう・・・(褒め言葉
序章?にもかかわらずたくさん笑わせてもらいましたw
12.90名前が無い程度の能力削除
なんてことだ。一瞬唖然としたが評価せざるを得ない。
しかし落ち着く必要はないような。
後書きが微妙にうざく感じるのもその辺り読者と認識のずれがあるせいかもしれない。
16.80名前が無い程度の能力削除
初投稿お疲れさまです。
青娥にゃんにゃんとか呼ばれている原因がにゃんにゃん禁止とはこれいかに。訓練されたジャーマンスープレックスなどツッコミ満載に楽しませて頂きました。

ハンナマ言ってんじゃねぇぞここまで書いたら続きかけ、もとい書いて下さると嬉しいです。

誤字?
~は、とすべきを~わ、としている点が見られます。意図的かも知れませんが一応。