紅魔館の夜のメイド集会が始まろうとしていた。
メイド長の咲夜をはじめ、館内の全メイド達が召集される。
まだ集会開始時刻の15分前だというのに、すでに全てのメイドが準備を済ませて席に着いていた。
まだ集会は始まらない、メイド達にとっては今は自由時間である。
それにも関らず、口を開くメイドは誰一人もいない。
全員ただ無言で席に座り、集会開始を静かに待っている。
長い沈黙が続く。
毎回この集会はこんな感じだ。
しかし、今日は何かが違った。
いつも以上に重い空気を、すべてのメイドが感じ取っていた。
開始まであと数秒、メイド達にはこの時間がとても長く感じられた。
「まず今日は新しいメイドを紹介するわ」
集会開始の時刻を時計が刻むのと同時に咲夜が口を開いた。
「入って」
咲夜が手を叩くと部屋の扉が開かれた。
集会開始15分前、すでに全員が揃ったその部屋の前でそいつはずっと待機していたのだ。
今メイド達の前に現れたこの女こそ、あの異様な空気の正体だとメイド達は確信した。
「彼女の名前は紅美鈴、今日からこの館でメイド副長を務めてもらう」
この言葉が咲夜から発せられてすぐに、その場全体が凍りついた。
メイド達は感じ取ってしまった。
美鈴と呼ばれた女から出る激しい怒りの感情を。
どうやら原因は咲夜の発言らしい。
「何か不満でも?」
この状況にも冷静な態度で、咲夜が美鈴に問いかける。
「メイドとはどういうことだ?咲夜… 言ったはずだ、私が志望する地位はただ一つ」
美鈴の声は怒りに満ちていた。
いつ咲夜を襲ってもおかしくない程だ。
「私はメイドなんて下働きはごめんだ 私が目指すのはここのトップ!この館の主の地位だ」
「悪いけどそれはできないわ、お嬢様が許可しないもの」
咲夜は冷たい笑みを浮かべる。
メイド達は理解した。
こいつは新しい仲間などではない、ここを乗っ取りに来た敵であると。
「お嬢様が死なない限りはね」
咲夜のこの言葉に、美鈴顔から怒りが消えた。
代わりに現れたのは、悪魔のような満面の笑み。
「いいだろう、今すぐに会わせろ」
メイド達は確信した。
咲夜とこの美鈴は死ぬと。
美鈴がレミリアに勝つことはできないと、そして、こんな奴を館内に侵入させた咲夜もレミリアに殺されるだろうと。
「あら、ずいぶんやる気のある新人を見つけたじゃない」
その言葉の主は咲夜でも美鈴でも、この場にいるメイドの誰のものでもない。
メイド達全員はその正体を知り恐怖した。
さっきまでこの場にいなかった筈の館の主が、いつのまにか室内に居たのだ。
「これはお嬢様…」
咲夜が一礼する。
”お嬢様”その言葉に美鈴が反応する。
「やめなさい」
レミリアは今にも自分に襲いかかろうとする美鈴に言った。
「あなたごときに負ける私ではないわ」
美鈴の動きが止まる。
美鈴も気づいたようだ、レミリアの力量を。
「でも安心して、あなたを殺すつもりはないわ」
「諦めて私の下で働くなら命だけはあぁおごおおおおおおお!!!」
美鈴の拳がレミリアの腹を打ち抜いた。
「よくわかったぞ、お前の力量は」
吹っ飛んだレミリアが壁に打ち付けられる。
「やはり、私がお前の上に立つべきだ!」
転がるレミリアに容赦なく美鈴の蹴りが入る。
「うぐっ…がっ…やっ…やめっ…!」
もうレミリアに先ほどの余裕は無かった。
咲夜も、メイド達も、蹂躙される主の姿をただ見るしかなかった。
「うげっ!…た、助け…!」
美鈴の猛襲から何とか逃れた美鈴は、咲夜のスカートにしがみついた。
「咲夜!何を立っているの!?はやくこいつを何とかしなさい!」
しかし咲夜は動かなかった。
「咲夜!聞いているの!?」
レミリアはその時初めて咲夜の表情に気がついた。
咲夜は笑っていた。
「咲夜!?あなたたち!グルね!?」
美鈴がレミリアの髪をつかみ、咲夜から引き剥がした。
「お嬢様、私はお嬢様の味方です」
髪をつかまれずるずると引きずられるレミリアに向かって咲夜が頭を深く下げる。
「私は信じているだけですよ、お嬢様ならきっと勝てると」
「くくく、いい部下を持ったなお嬢様」
美鈴はそう言いながら、自分の下で引きずられもがくレミリアを見た。
「うえぇぇぇ…やだよぉ…死にたくないよぉ…」
美鈴が部屋の扉を開く。
「ここは騒がしい、二人っきりで楽しもうぜお嬢様」
「やだぁ…助けてよぉ…!うわぁぁあぁぁぁあん…咲夜のばかぁあぁぁぁ…!」
美鈴は笑いながらレミリアを部屋の外へ引きずりだす。
紅魔館の、果ても見えない程長い廊下の奥へと、二人は消えていった。
メイド長の咲夜をはじめ、館内の全メイド達が召集される。
まだ集会開始時刻の15分前だというのに、すでに全てのメイドが準備を済ませて席に着いていた。
まだ集会は始まらない、メイド達にとっては今は自由時間である。
それにも関らず、口を開くメイドは誰一人もいない。
全員ただ無言で席に座り、集会開始を静かに待っている。
長い沈黙が続く。
毎回この集会はこんな感じだ。
しかし、今日は何かが違った。
いつも以上に重い空気を、すべてのメイドが感じ取っていた。
開始まであと数秒、メイド達にはこの時間がとても長く感じられた。
「まず今日は新しいメイドを紹介するわ」
集会開始の時刻を時計が刻むのと同時に咲夜が口を開いた。
「入って」
咲夜が手を叩くと部屋の扉が開かれた。
集会開始15分前、すでに全員が揃ったその部屋の前でそいつはずっと待機していたのだ。
今メイド達の前に現れたこの女こそ、あの異様な空気の正体だとメイド達は確信した。
「彼女の名前は紅美鈴、今日からこの館でメイド副長を務めてもらう」
この言葉が咲夜から発せられてすぐに、その場全体が凍りついた。
メイド達は感じ取ってしまった。
美鈴と呼ばれた女から出る激しい怒りの感情を。
どうやら原因は咲夜の発言らしい。
「何か不満でも?」
この状況にも冷静な態度で、咲夜が美鈴に問いかける。
「メイドとはどういうことだ?咲夜… 言ったはずだ、私が志望する地位はただ一つ」
美鈴の声は怒りに満ちていた。
いつ咲夜を襲ってもおかしくない程だ。
「私はメイドなんて下働きはごめんだ 私が目指すのはここのトップ!この館の主の地位だ」
「悪いけどそれはできないわ、お嬢様が許可しないもの」
咲夜は冷たい笑みを浮かべる。
メイド達は理解した。
こいつは新しい仲間などではない、ここを乗っ取りに来た敵であると。
「お嬢様が死なない限りはね」
咲夜のこの言葉に、美鈴顔から怒りが消えた。
代わりに現れたのは、悪魔のような満面の笑み。
「いいだろう、今すぐに会わせろ」
メイド達は確信した。
咲夜とこの美鈴は死ぬと。
美鈴がレミリアに勝つことはできないと、そして、こんな奴を館内に侵入させた咲夜もレミリアに殺されるだろうと。
「あら、ずいぶんやる気のある新人を見つけたじゃない」
その言葉の主は咲夜でも美鈴でも、この場にいるメイドの誰のものでもない。
メイド達全員はその正体を知り恐怖した。
さっきまでこの場にいなかった筈の館の主が、いつのまにか室内に居たのだ。
「これはお嬢様…」
咲夜が一礼する。
”お嬢様”その言葉に美鈴が反応する。
「やめなさい」
レミリアは今にも自分に襲いかかろうとする美鈴に言った。
「あなたごときに負ける私ではないわ」
美鈴の動きが止まる。
美鈴も気づいたようだ、レミリアの力量を。
「でも安心して、あなたを殺すつもりはないわ」
「諦めて私の下で働くなら命だけはあぁおごおおおおおおお!!!」
美鈴の拳がレミリアの腹を打ち抜いた。
「よくわかったぞ、お前の力量は」
吹っ飛んだレミリアが壁に打ち付けられる。
「やはり、私がお前の上に立つべきだ!」
転がるレミリアに容赦なく美鈴の蹴りが入る。
「うぐっ…がっ…やっ…やめっ…!」
もうレミリアに先ほどの余裕は無かった。
咲夜も、メイド達も、蹂躙される主の姿をただ見るしかなかった。
「うげっ!…た、助け…!」
美鈴の猛襲から何とか逃れた美鈴は、咲夜のスカートにしがみついた。
「咲夜!何を立っているの!?はやくこいつを何とかしなさい!」
しかし咲夜は動かなかった。
「咲夜!聞いているの!?」
レミリアはその時初めて咲夜の表情に気がついた。
咲夜は笑っていた。
「咲夜!?あなたたち!グルね!?」
美鈴がレミリアの髪をつかみ、咲夜から引き剥がした。
「お嬢様、私はお嬢様の味方です」
髪をつかまれずるずると引きずられるレミリアに向かって咲夜が頭を深く下げる。
「私は信じているだけですよ、お嬢様ならきっと勝てると」
「くくく、いい部下を持ったなお嬢様」
美鈴はそう言いながら、自分の下で引きずられもがくレミリアを見た。
「うえぇぇぇ…やだよぉ…死にたくないよぉ…」
美鈴が部屋の扉を開く。
「ここは騒がしい、二人っきりで楽しもうぜお嬢様」
「やだぁ…助けてよぉ…!うわぁぁあぁぁぁあん…咲夜のばかぁあぁぁぁ…!」
美鈴は笑いながらレミリアを部屋の外へ引きずりだす。
紅魔館の、果ても見えない程長い廊下の奥へと、二人は消えていった。
こんな所に出入りしてないで、ちゃんと学校に通いなさい。
だったら説明ないとさっぱり判らないんだけど
さすがに、レミリアが不憫すぎるような気がします