「じゃあ地上に行ってくるねー」
「ええ、行ってらっしゃい」
「なんかこいし様、明るくなりましたね」
「地上で友達が出来たみたいですよ」
地霊殿、地下でもっとも人のよりつかない場所で怨霊を管理する為の旧地獄跡である。
ここの当主である古明地さとりは自ら進んでここの管理を引き受けた。
自ら持つ「心を読む能力」のおかげで嫌な思いを沢山してきたさとりにとって、ここで住んだ
方が人とほとんど接することもないので都合がよかったのだ。
怨霊の管理やその他雑務はペットにまかせている。
別にめんどくさいからとか、そういう邪な理由で押し付けている訳じゃない。
ペット達が進んで私のためにやってくれるのだ。
「良かったじゃないですか、これでこいし様も」
「ええ…」
妹が心を閉ざしてからというもの、さとりには彼女の心情を把握することは出来る訳も無く
そんなこいしの事がずっと気掛かりだったのだ。
探そうにも、無意識を操る彼女を見つけるのは容易なことではない。
明るくなったこいしを見て、胸の痞えが少し軽くなった気がした。
その友人に感謝したいものだ。
「そろそろお茶にしましょうか、お燐、お空を呼んで来てください」
「わかりました」
赤毛の少女は黒猫に変貌し、部屋を後にした。
見上げても何もない暗い空を仰ぎ見て、さとりは呟いた。
「私も今度…行ってみましょうか…地上へ…」
いつからだろう、走って湖に向かうようになったのは。
いつからだろう、飛んで湖に向かうようになったのは。
1秒でも早くフランに会いたい
こう思うようになったのはフランと遊び続けて一ヶ月が過ぎようとした頃だった。
いや、最初の頃もそういう気持ちはあったが今ほど強くなかった気がする。
こんなことは生まれて始めての出来事で最初は少し戸惑ったが、今はもう自分の心に正直に行動している。
友達っていうのは、こんな感情が芽生えるものなんだろうか?
そんな事を考えてると少し張り切りすぎたせいか、いつもより早い時間に着いてしまった。
フランはまだ来ていないので、その辺の岩に腰を掛けて待つとしよう。
「――――ちょっと早かったかな」
フランは初めて出来た友達で、あれからというもの朝から日が暮れるまで毎日のようにここで遊んでいる。
弾幕勝負をしたり、お花を摘んだり、姉の愚痴を言ったりなど様々だ。
彼女の姉も吸血鬼で(当たり前かも知れないが)以前、紅霧異変というものを起こして巫女に退治されたことがあるらしい。
自分もその巫女と戦ったが敗れてしまい、あれ以来、フランの姉は巫女に何遍もリベンジしているらしい。
未だに勝っていないそうだが…
今日は快晴と言ってもいいくらい雲がなく、日光がギラギラと地上に降り注ぐ。
最初はこの日光にも慣れなかったが回数を重ねているうちにいつの間にか慣れてしまった。
私が慣れても、フランはそういうわけにもいかず、曇りの時以外は必ず、カラフルな傘を差してやってきた。
吸血鬼という種族はその強力な能力故か弱点が多いらしく、日光はもちろんのこと、煎った豆も苦手みたい。
と、考えていると
「こーいしっ!」
「きゃあ、フ、フラン!?」
後ろを見ると、少し大き目な傘を差したフランが悪戯に成功した様な表情で立っていた。
最初のうちは私がフランに声をかけていたのだが、いつの日からかフランが私を見つけるようになっていた。
お姉ちゃんでもなかなか見つけられないのに…
吸血鬼恐るべし…
「もう、驚かさないでよ」
「えへへ~ゴメンゴメン」
いつもそうだ、フランのこの日光よりも眩しい笑顔を見ると何も言えなくなる。
気のせいか少し顔が熱くなってる気がする。
「どうしたのこいし?ボ~ッとしちゃって」
「え?ああ、な、なんでもないよ。アハハ」
いけない、いけない、正気に戻らなくては。
「今日は何して遊ぶ~?」
「そうね、弾幕勝負は昨日やったし…」
「お花でも摘もうっか?」
「それも一昨日やったわね」
「うう…」
何か良いアイデアが無いものだろうか、確かに最近マンネリ化してきている。
まあ、私はフランといるだけで楽しいんだけど、フランには退屈させたくないし。
ムムムッ…
あ、そうだ
「ねえフラン、旧都に行ってみない?貴女行きたがってたでしょ?」
「ほんと?やったー!!行こう行こう」
「でも、貴女のお姉ちゃんや館の人に言ったら駄目よ」
「どうして?」
「いい?旧都っていうのは…」
本来、地底の旧都には地上の妖怪はあまり出入りしたがらない。
地底では地上で嫌われた妖怪達が独自の文化や社会を築いておりそこへ地上の妖怪がいくことは憚られているのである。
なんでも、大妖怪が旧都の妖怪と、怨霊の管理を条件に地下への干渉はしないという
取り決めまで行われたくらいだ。
「ふ~ん、分かった」
あまり分かっていないような顔だ。
まあ、別に喋られたところで大した問題にもならないだろうしいいだろう。
「よし、じゃあ行こうフラン」
「うん♪」
かくして私たちは旧都へ向かったのである。
飛んでいこうとも思ったのだが、今日は晴れているということもあり歩いて向かうことにした。
たまにはノンビリ歩くのもいい。
ギュッ
「旧都楽しみ~」
「そ、そうね」
「どうしたのこいし?どっか具合悪いの?」
「え?ぜ、全然平気よ平気。」
「ならいいけど」
「アハハ…」
――手を握られてるだけなのに、ドキドキする自分はおかしいかな?
少女移動中…
「うわ~ここが地底~」
「ええ、フランにとっては過ごし易い場所だと思うわ」
「なんで?」
「太陽がないから傘を差す必要がないでしょ?」
「そっか~私、地底に住みたいなあ~」
「フフ。さあ、旧都までもう少しよ」
「うん♪」
とびっきりの笑顔でそう答えるとフランは色鮮やかな翼を広げて飛び上がる。
薄暗い地底でもその輝きは失われない。
「もう待ちきれないよ、飛んでいこう」
「ええ、そうね」
もう少し手を繋いでいたかったなあ…とか思いながら私もフランの後に続いた。
この時フランのパンツが丸見えだったのは別の話。
「ここが旧都よ」
「うわあ、凄い~ゼンブ妖怪なの?」
「ええ、100%妖怪よ」
「ふ~ん」
地上で嫌われた妖怪たちの楽園、それがここ旧都である。
人間達に虐げられた妖怪達はここで第二の人生?を送っているのである。
喧嘩や争いもなく、みんな仲良くやっている。
「じゃあ、何か買ってくるから待ってて」
「うん、私ケーキと紅茶とry」
「はいはい了解」
友人と一緒にいるだけなのに、胸の鼓動が収まってくれないのはなぜだろう?
それとも、これが普通なのかな?
それとも…
「お待たせ~」
「遅いよ~こいし~」
「ゴメンゴメン、探すのに手間取っちゃって」
ものすっごい疲れた…
地底にケーキというものはまだ馴染んでなく、1件売ってる店があっただけでも
奇跡と言える。
もちろんお金など持っていないので自分の能力をフルに活用したのは言うまでもない。
…お姉ちゃんにばれたら怒られるから黙っていよう。
「さあ食べましょう」
「うん、いただきま~す」
「どう?」
「うん!すっごく美味しい」
「良かった」
フランの笑顔を見たら疲れが一気に吹き飛んでしまう。
私って結構単純かも知れない。
「こいし、口にクリーム付いてるよ」
「へ?フラン何s…」
ペロッ
「うん、美味しいね♪」
「………///」
「こいし?」
「ちょ、ちょっとおおおおお///」
「アハハこいし顔真っ赤だよー」
「だ、誰のせいだと思ってるのよ…///」
「えへへ~♪」
「もう…///」
こんな嬉しいこともあったので、完全に疲れが吹っ飛んでしまった。
よーく考えてみるとフランと最初に会った日にキスをしていたんだっけ…
思い出して死にたくなった…
今じゃとても出来そうにない。
旧都でかくれんぼをしたり、弾幕ごっこをしたりで時間はあっという間に過ぎていった。
「あ、もうこんな時間だ。帰らなきゃ」
「え、あ、そう…」
楽しい時間はあっという間に過ぎるのはいつものこと。
フランは翼を広げ宙へ浮く。
「じゃあね、こいし。今日はとっても楽しかった!」
「え、ええ私も…」
「ねえ、こいし 」
「な、何?」
ギュッ
「ちょ、ちょっとフラン?///」
急に抱きつかれた、これはヤバイ
「大丈夫、明日も会えるでしょ?私たちは」
まさか、吸血鬼に心を読まれるとは思ってもみなかった。
「う、うん。そうだね、また明日会えるもんね///」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、また明日ねこいし」
「うん、ばいばいフラン」
手を振ってフランを見送る。
フランは物凄いスピードで旧都を後にした。
トクンッ トクンッ
「ああ、そうか…」
今頃になってやっと気付いた
「私は…」
「フランに恋してるんだ」
END
「ええ、行ってらっしゃい」
「なんかこいし様、明るくなりましたね」
「地上で友達が出来たみたいですよ」
地霊殿、地下でもっとも人のよりつかない場所で怨霊を管理する為の旧地獄跡である。
ここの当主である古明地さとりは自ら進んでここの管理を引き受けた。
自ら持つ「心を読む能力」のおかげで嫌な思いを沢山してきたさとりにとって、ここで住んだ
方が人とほとんど接することもないので都合がよかったのだ。
怨霊の管理やその他雑務はペットにまかせている。
別にめんどくさいからとか、そういう邪な理由で押し付けている訳じゃない。
ペット達が進んで私のためにやってくれるのだ。
「良かったじゃないですか、これでこいし様も」
「ええ…」
妹が心を閉ざしてからというもの、さとりには彼女の心情を把握することは出来る訳も無く
そんなこいしの事がずっと気掛かりだったのだ。
探そうにも、無意識を操る彼女を見つけるのは容易なことではない。
明るくなったこいしを見て、胸の痞えが少し軽くなった気がした。
その友人に感謝したいものだ。
「そろそろお茶にしましょうか、お燐、お空を呼んで来てください」
「わかりました」
赤毛の少女は黒猫に変貌し、部屋を後にした。
見上げても何もない暗い空を仰ぎ見て、さとりは呟いた。
「私も今度…行ってみましょうか…地上へ…」
いつからだろう、走って湖に向かうようになったのは。
いつからだろう、飛んで湖に向かうようになったのは。
1秒でも早くフランに会いたい
こう思うようになったのはフランと遊び続けて一ヶ月が過ぎようとした頃だった。
いや、最初の頃もそういう気持ちはあったが今ほど強くなかった気がする。
こんなことは生まれて始めての出来事で最初は少し戸惑ったが、今はもう自分の心に正直に行動している。
友達っていうのは、こんな感情が芽生えるものなんだろうか?
そんな事を考えてると少し張り切りすぎたせいか、いつもより早い時間に着いてしまった。
フランはまだ来ていないので、その辺の岩に腰を掛けて待つとしよう。
「――――ちょっと早かったかな」
フランは初めて出来た友達で、あれからというもの朝から日が暮れるまで毎日のようにここで遊んでいる。
弾幕勝負をしたり、お花を摘んだり、姉の愚痴を言ったりなど様々だ。
彼女の姉も吸血鬼で(当たり前かも知れないが)以前、紅霧異変というものを起こして巫女に退治されたことがあるらしい。
自分もその巫女と戦ったが敗れてしまい、あれ以来、フランの姉は巫女に何遍もリベンジしているらしい。
未だに勝っていないそうだが…
今日は快晴と言ってもいいくらい雲がなく、日光がギラギラと地上に降り注ぐ。
最初はこの日光にも慣れなかったが回数を重ねているうちにいつの間にか慣れてしまった。
私が慣れても、フランはそういうわけにもいかず、曇りの時以外は必ず、カラフルな傘を差してやってきた。
吸血鬼という種族はその強力な能力故か弱点が多いらしく、日光はもちろんのこと、煎った豆も苦手みたい。
と、考えていると
「こーいしっ!」
「きゃあ、フ、フラン!?」
後ろを見ると、少し大き目な傘を差したフランが悪戯に成功した様な表情で立っていた。
最初のうちは私がフランに声をかけていたのだが、いつの日からかフランが私を見つけるようになっていた。
お姉ちゃんでもなかなか見つけられないのに…
吸血鬼恐るべし…
「もう、驚かさないでよ」
「えへへ~ゴメンゴメン」
いつもそうだ、フランのこの日光よりも眩しい笑顔を見ると何も言えなくなる。
気のせいか少し顔が熱くなってる気がする。
「どうしたのこいし?ボ~ッとしちゃって」
「え?ああ、な、なんでもないよ。アハハ」
いけない、いけない、正気に戻らなくては。
「今日は何して遊ぶ~?」
「そうね、弾幕勝負は昨日やったし…」
「お花でも摘もうっか?」
「それも一昨日やったわね」
「うう…」
何か良いアイデアが無いものだろうか、確かに最近マンネリ化してきている。
まあ、私はフランといるだけで楽しいんだけど、フランには退屈させたくないし。
ムムムッ…
あ、そうだ
「ねえフラン、旧都に行ってみない?貴女行きたがってたでしょ?」
「ほんと?やったー!!行こう行こう」
「でも、貴女のお姉ちゃんや館の人に言ったら駄目よ」
「どうして?」
「いい?旧都っていうのは…」
本来、地底の旧都には地上の妖怪はあまり出入りしたがらない。
地底では地上で嫌われた妖怪達が独自の文化や社会を築いておりそこへ地上の妖怪がいくことは憚られているのである。
なんでも、大妖怪が旧都の妖怪と、怨霊の管理を条件に地下への干渉はしないという
取り決めまで行われたくらいだ。
「ふ~ん、分かった」
あまり分かっていないような顔だ。
まあ、別に喋られたところで大した問題にもならないだろうしいいだろう。
「よし、じゃあ行こうフラン」
「うん♪」
かくして私たちは旧都へ向かったのである。
飛んでいこうとも思ったのだが、今日は晴れているということもあり歩いて向かうことにした。
たまにはノンビリ歩くのもいい。
ギュッ
「旧都楽しみ~」
「そ、そうね」
「どうしたのこいし?どっか具合悪いの?」
「え?ぜ、全然平気よ平気。」
「ならいいけど」
「アハハ…」
――手を握られてるだけなのに、ドキドキする自分はおかしいかな?
少女移動中…
「うわ~ここが地底~」
「ええ、フランにとっては過ごし易い場所だと思うわ」
「なんで?」
「太陽がないから傘を差す必要がないでしょ?」
「そっか~私、地底に住みたいなあ~」
「フフ。さあ、旧都までもう少しよ」
「うん♪」
とびっきりの笑顔でそう答えるとフランは色鮮やかな翼を広げて飛び上がる。
薄暗い地底でもその輝きは失われない。
「もう待ちきれないよ、飛んでいこう」
「ええ、そうね」
もう少し手を繋いでいたかったなあ…とか思いながら私もフランの後に続いた。
この時フランのパンツが丸見えだったのは別の話。
「ここが旧都よ」
「うわあ、凄い~ゼンブ妖怪なの?」
「ええ、100%妖怪よ」
「ふ~ん」
地上で嫌われた妖怪たちの楽園、それがここ旧都である。
人間達に虐げられた妖怪達はここで第二の人生?を送っているのである。
喧嘩や争いもなく、みんな仲良くやっている。
「じゃあ、何か買ってくるから待ってて」
「うん、私ケーキと紅茶とry」
「はいはい了解」
友人と一緒にいるだけなのに、胸の鼓動が収まってくれないのはなぜだろう?
それとも、これが普通なのかな?
それとも…
「お待たせ~」
「遅いよ~こいし~」
「ゴメンゴメン、探すのに手間取っちゃって」
ものすっごい疲れた…
地底にケーキというものはまだ馴染んでなく、1件売ってる店があっただけでも
奇跡と言える。
もちろんお金など持っていないので自分の能力をフルに活用したのは言うまでもない。
…お姉ちゃんにばれたら怒られるから黙っていよう。
「さあ食べましょう」
「うん、いただきま~す」
「どう?」
「うん!すっごく美味しい」
「良かった」
フランの笑顔を見たら疲れが一気に吹き飛んでしまう。
私って結構単純かも知れない。
「こいし、口にクリーム付いてるよ」
「へ?フラン何s…」
ペロッ
「うん、美味しいね♪」
「………///」
「こいし?」
「ちょ、ちょっとおおおおお///」
「アハハこいし顔真っ赤だよー」
「だ、誰のせいだと思ってるのよ…///」
「えへへ~♪」
「もう…///」
こんな嬉しいこともあったので、完全に疲れが吹っ飛んでしまった。
よーく考えてみるとフランと最初に会った日にキスをしていたんだっけ…
思い出して死にたくなった…
今じゃとても出来そうにない。
旧都でかくれんぼをしたり、弾幕ごっこをしたりで時間はあっという間に過ぎていった。
「あ、もうこんな時間だ。帰らなきゃ」
「え、あ、そう…」
楽しい時間はあっという間に過ぎるのはいつものこと。
フランは翼を広げ宙へ浮く。
「じゃあね、こいし。今日はとっても楽しかった!」
「え、ええ私も…」
「ねえ、こいし 」
「な、何?」
ギュッ
「ちょ、ちょっとフラン?///」
急に抱きつかれた、これはヤバイ
「大丈夫、明日も会えるでしょ?私たちは」
まさか、吸血鬼に心を読まれるとは思ってもみなかった。
「う、うん。そうだね、また明日会えるもんね///」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、また明日ねこいし」
「うん、ばいばいフラン」
手を振ってフランを見送る。
フランは物凄いスピードで旧都を後にした。
トクンッ トクンッ
「ああ、そうか…」
今頃になってやっと気付いた
「私は…」
「フランに恋してるんだ」
END
いや、とても可愛いらしいこいフラご馳走様です。
こいフラきゃっきゃうふ腐