いつもは紫や藍とは別居し、猫達の縄張りに住んでいる橙。
しかし今日は藍に呼ばれて紫たちの家に来ている。
「今日は橙、お前に頼みたい事があってな」
「頼みたい事ですか?」
「ああ・・・紫様が寝ている間は私が紫様の代わりに活動をしている事は知ってるな?」
ああ、そういえば紫様は今寝ているのだ。と橙は気付いた。
「だからいつもは私が掃除をしたりしてるんだが・・・。今日は見回りに出たくてな。」
「それで今日は私に掃除をしてほしいって事ですね!私、頑張りますっ!!」
藍は驚いた顔で橙を見た。
心理を読む事が出来るのか・・・それとも子供の無邪気さ故に出た考えなのか。
「ああ、その通りだ。そこで今日はお前に掃除を頼みたいんだが・・・いいか?」
「はい!もちろんです!藍様の代わりになれるのなら喜んでお掃除いたしますっ!!」
橙は張り切っている。
藍は呆れたような、優しい笑顔で橙の頭をポンと叩いた。
橙が不意に驚き目を閉じる。
「はは、橙は相変わらず頼もしいな。それじゃあ頼んだぞ。」
藍はそう言うと出かけて行った。
お任せください藍様。
橙は心の中でそう言うと早速掃除にとりかかる。
掃除と言ってもいつもは藍がキレイに掃除している家なので、あまり汚れていない。
「やっぱり藍様はすごいなぁ・・・」
橙は尊敬のこもった言葉を独り言でそう言って、家の掃除を始める。
居間をせっせと掃除していると後ろから声が聞こえた。
「あら?橙。今日は藍の代わりにお掃除?」
橙は驚き飛び跳ねる。いつもは昼には絶対に聞くことの出来ない声だからだ。
「ゆ、紫様?起きてたんですか?」
「そうねぇ、寝てたのだけどいつもの掃除の時とは違う感じの物音が聞こえたの。それで起きちゃった。」
橙はもう一度驚き頭を下げた。
「も、申し訳ありません紫様・・・。」
紫はフフフと笑った。
「いいのよ橙。頭を上げて。」
橙の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「飼い犬は主人に似るとはこういう事なのかしらね。藍と橙はやっぱりどこか似ているわ。もっとも、橙は猫だけれど。」
橙は紫が何を言っているのか分からなく、?というような感じで紫を見た。
再び紫が口を開く。
「それより橙、私にもお掃除させてもらえないかしら?」
橙はまたもや驚いた。
「え、ええ?いいですよ、掃除くらい私がやりますから。紫様は寝ていて結構ですよ。」
「うーん・・・本当は私もそうしたいところだけれど、なんだか目が冴えちゃったのよね。それにたまには自分でお掃除したいの。」
「そうですか・・・といってももう一通り終わってしまいましたよ?」
紫は必死に掃除する場所を考えている。そこまで掃除をしたいのだろうか。
「そうねぇ、それじゃあ一緒に私の寝室のお掃除でもしましょうか。」
「わ・・・分かりました。」
紫が橙の手を引っ張るように鼻歌混じりで自分の寝室へと連れてきた。
紫の寝室を見て橙は驚いた。
「わぁ・・・すごくキレイじゃないですか。」
「そうねぇ、いつもは藍がお掃除していてくれるから。」
この部屋のどこを掃除すればいいのかと橙は疑問に思った。
「この部屋のどこを掃除すればいいんですか?紫様」
「そうねぇ、あまり掃除するところが無いわね。」
橙はふぅと溜め息をつくと、紫様らしいなぁと思った。
「あ、そうだ。掃除する場所が無いのなら探し物を探してもらえないかしら?」
「探し物ですか?」
「ええ、リボンを探しているのだけれどなかなか見付からないの。多分押入れの中にあるはずなのだけれど・・・。」
「そうですかぁ・・・それじゃあ探しましょう!」
そういうと橙は押入れを開けた。
やはり押入れもキレイに整頓されている。藍様が掃除したのだろう。
「何色のリボンなんですか?紫様。」
「そうねぇ、確か赤色のリボンだわ。」
赤色のリボン・・・赤色のリボン・・・と呟きながら橙は押し入れの中を探す。
しかし一向にその赤色のリボンは見付からない。
押入れの奥に手を伸ばす。
すると何かリボンのような物を掴んだ。
これか!?と思い勢いよくリボンを引っ張り出す。
しかしそのリボンは黄色だった。
「うー・・・紫様・・・。黄色のリボンが出てきましたぁ・・・。」
橙が紫にそのリボンを見せる。すると紫が驚いたようにそのリボンを見る。
「あら・・・?そのリボン・・・無くしたと思ってたのにあったのかしら。」
紫がそう言うと橙が紫に聞く。
「このリボンに何か思い入れでもあるんですか?」
「そのリボンはね、藍を式神として召喚した時にプレゼントした物なの。可愛いから付けなさいって。」
ふぅん・・・と橙は黄色のリボンに目をやる。
「でも藍は自分には似合わないと言って付けなかったの。似合うと思うのにねぇ・・・。」
ふと橙は黄色のリボンを付けた藍を想像する。
確かに似合うような気もして、笑いがこみ上げてきた。
「そういえば今日がその日かもしれないわねぇ・・・藍が私の式神となったのは。外の世界で言うと誕生日ってやつかしら。」
「たんじょーび・・・?って何ですか?」
「外の世界ではね。その人が生まれた日を祝って贈り物をする風習があるの。不思議な文化よねぇ。」
そういえば紫様は外の世界に詳しかったんだ・・・と橙は思った。
「そうだ、今日は外の文化を見習って藍の誕生日を祝いましょうか。」
ふと紫がそんな事を言った。
「藍にはよく働いてもらってるし、たまにはこういうのも良いでしょう。それに退屈だし。」
紫が自分の暇つぶしのためにやろうとしているような気もしたが橙もその考えはなかなか良いと思った。
「そうですね、私も藍様に日頃のお礼をしたいです!」
「じゃあ決まりね。今から楽しみだわぁ♪」
「あ・・・でも・・・。」
橙は困ったような声で言った。
「それなら私、藍様に贈り物したいんですけど・・・突然の事だから何も用意してません・・・。」
「あら、なら藍が帰ってくる夜までに用意してくればどう?」
「え・・・でも、私は今日ここの掃除を任されてますし・・・。」
紫は笑って橙の頭を撫でた。
「そのくらい良いわよ。藍には私から言っておくから。」
「い、いいんですか紫様?」
「ええ、でもその代わり、最高のプレゼントを探してきなさいね。」
「あ、ありがとうございます、紫様!」
そう紫に礼を言うと橙は急いで家を出た。
日没までにはまだまだ時間があるが、じっくり選びたかったのでその足は急いでいる。
まずはどのような物をプレゼントをしようかと歩きながら考える。
しかし考えても考えてもなかなか思いつかない。
「あれ?橙さん?こんなところで何してるんですか?」
名前を呼ばれ、橙が後ろを振り返ると、魂魄妖夢がいた。
妖夢は野菜の入った袋を手に提げていた。
「妖夢さんじゃないですか。こんにちは。」
「どうかしたんですか?考え事をしていたようですが。」
妖夢がそう言うと橙は今までの経緯を妖夢に話した。
「なるほど・・・それでその贈り物を考えてるんですね。」
「うん・・・そうなんだけど・・・なかなか思いつかないんです。贈り物なんてした事もないし・・・。」
妖夢が何かを思いついたかのように口を開いた。
「贈り物をするなら二つの分類に分かれますよね。」
「二つの分類?」
「食べる物と残る物ですよ。この二つの場合、橙さんはどちらがいいです?」
橙はなるほどと思い考えてみる。
自分がもらうならどちらが良いか・・・。
「私なら食べ物がいいわねぇ。」
ふと背後から声が聞こえ、橙と妖夢は後ろを振り返る。
「遅いわよ妖夢ぅ、お腹ペコペコよ?」
妖夢の主である西行寺幽々子である。
「久し振りね、橙ちゃん。」
「幽々子様、何でこんなところに?」
「貴方が秋さんの所にお野菜をもらいに行っても帰ってこないからこっちから迎えにきたの。」
ああ・・・手に提げていた野菜が入った袋はそういう事だったのかと橙は一人で納得した。
「大変だったんですよ幽々子様?何分今年は不作らしくて・・・。」
「あらそうなの?まあお野菜が美味しければそれでいいじゃない。」
妖夢は深く溜め息をついた。
お互いにマイペースな主を持ってるなぁと橙は思った。
「それより妖夢、早くこのお野菜で夕飯を作りましょうよ。」
「そうですね・・・それじゃあ橙さん、すみませんがこれで失礼します。」
「じゃーねー、橙ちゃーん。」
「あ、貴重な意見ありがとうございました。」
妖夢と幽々子はすぐさま行ってしまった。
そして橙はまた歩きながら考える。
「食べる物か残る物かぁ・・・うーん・・・。」
しばらく歩いてその場にしゃがみこんでしまった。
何しろ初めてする贈り物なので何をあげればいいのか全く分からない。
「八雲紫の式の式か?・・・こんな所で何をしているんだ?」
橙が顔を上げると、そこには知識と歴史の半獣、上白沢慧音が立っていた。
「どうした?具合でも悪いのか?」
「いや・・・そういう訳じゃないんですけど・・・」
いつの間にか人里の近くまで来ていたのだろうか。
「・・・何か悩みがあるのなら聞いてやるぞ?」
「ええと・・・実は・・・」
やはり寺子屋の教師をやっているだけあり包容力があるなぁと思った。
橙は妖夢にも話したとおり、経緯を慧音に話し始めた。
「なるほど、普段世話になっている人へ贈り物か、良い心がけだ。」
「そうなんですけど・・・」
少し沈黙して、橙は話した。
「・・・藍様に何をあげれば良いのか分からないんです。」
「なるほど・・・な。それで考えこんでいたと。」
「何をあげれば喜んでもらえるのか・・・さっぱり分からないんです。」
うんうん、と慧音は相槌を打ってくれる。
「月並みな言い方だが・・・何をあげるにせよ心がこもっていればそれでいいのではないか?」
「心がこもっていれば・・・ですかぁ。それでもやっぱり、最高の贈り物にしたいんです。」
うーん・・・と慧音が考え込む。
「そうだな・・・例えば藍殿の好物とかは分からないのか?」
「藍様の好きな物?」
「そうだ、と言ってもすぐに浮かび上がると思うが。」
橙は頭にすぐ油揚げを思い浮かべた。
恐らく慧音も油揚げを想像したのだろう。
「それでも良いんですけど・・・どうせなら食べる物より残る物の方が良いんです。」
「そうだな、その気持ちも分かる。」
「でも残る物と言ったらどこで探せば良いのか・・・。」
橙はまた考えこんでしまった。
そんな橙を見て慧音はどうにかしてやりたいと思っていた。
「あややや、珍しい組み合わせですね。これは良い記事になりそうです。どうかしたんですか?」
慧音と橙が前を見るとそこにはブン屋の射命丸文が立っていた。
「二人とも何か考えているようなんですけど、何かあったのですか?」
「いや、実はな・・・。」
慧音は橙が教えてくれた経緯を射命丸に話した。
「・・・なるほどー。そういうことですか。」
「そうなんです。どうすれば良いのか・・・。」
射命丸はそうだ、とばかりに指を突きたて、こう話した。
「先日、森近霖之助さんを取材しに香霖堂まで行ってきたんですけど、なかなか良い品が置いてありましたよ?どうですか行ってみては。」
慧音がなるほどと、手を叩く。
「そうだな、あそこなら何か良い物があるかもしれない。」
「香霖堂ですかぁ。」
香霖堂の話は紫から一度聞いたことがある。
なんでも外の世界の品を扱っているだとか。
「よし、橙、そうと決まったら早速行こう。」
慧音がそう橙を誘う。
何故だか分からないが妙に張り切っている。
「あやや、慧音さんやけに張り切ってますねぇ。」
「困ってる者を放っておけない主義なんだ。ほら橙、急がないと日が暮れてしまうぞ?」
そういえばそうだった。
日没までに帰らなければならない事を橙はすっかり忘れていた。
「射命丸、礼を言うぞ。いつもは嘘ばかりの新聞で悩まされていたがたまには良い事もするのだな。」
「いえいえ、珍しい組み合わせを写真にすることが出来たんです。礼を言うのはこちらですよ。それでは私は失礼しますね。」
そう言うと射命丸は飛び去って行った。
物凄い速さである。
さすが幻想郷一番の駿足。
「そうと決まったら急いで香霖堂まで行こうか、橙。」
「あ、はい!」
そうして香霖堂に着いた。
中を覗いて見ると店主の森近霖之助が品物の整理をしている。
「いらっしゃ・・・あれ?君達は・・・。」
初めて見る客に少し驚きながらも、すぐに誰かということかを把握する。
「八雲紫の式の式と・・・そちらは慧音さんかな?」
慧音が驚いたかのように質問する。
「・・・どうして私の名前を知っている?」
慧音がそう聞くと霖之助は笑いながら話した。
「はは・・・人里の子供が時々ここに遊びに来るんだ。その時に君の事も聞いたんだよ。それで今日は何のようだい?」
「そういう事か・・・。いや、今日は用があってきたんだ。」
「一体何の用だい?」
「用があるのは私なんです!」
橙が経緯を霖之助に説明する。
「なるほど・・・それで贈り物を探しに香霖堂まで来たと。」
「はい・・・そうなんです。」
うーん、と霖之助は考える。
慧音は店の奥の方で品物を興味深く見ている。
「そうだね、残る物と言えど色んな物があるだろう?」
「色んな物?」
「ああ、例えば部屋に置く物とか、身につける装飾品とかね。」
霖之助がそういうと橙は少し考えてから言った。
「装飾品の方が良いです。付けているとこを見れれば嬉しいですし。」
「それもそうだね、じゃあどんなのが良い?例えばここにかんざs・・・」
と霖之助が言うと、橙は嬉しそうに品物を出そうとする霖之助の顔を指で指した。
霖之助は少し眉をしかめると、すぐどういうことかを把握した。
「・・・眼鏡・・・かい?」
「はい、なんだか藍様に似合うような気がします。」
霖之助は少し困った顔で言った。
「参ったね・・・本当は眼鏡の余りがあったんだけど、魔理沙が持って行ってしまったんだよ。」
「え・・・そうなんですか・・・。」
橙が少し悲しそうな顔をすると、霖之助は少し焦った感じで話す。
「め、眼鏡が無い事はないんだけどね。」
「あるんですか?」
「ある事はあるんだが・・・」
そう言って霖之助は棚から眼鏡を出した。
「この眼鏡、なかなか良い素材で出来ていてね。僕のスペアとして取っておいたんだけど・・・。」
そう言いながら眼鏡ケースと一緒に橙にその眼鏡を渡す。
「今回は特別だ、その眼鏡をあげればいいよ。」
「え?いいんですか?」
そう橙が言うと霖之助は笑顔で答えた。
「うん、たまにはこうやって人のために品物を手放すのも良いさ。」
「あ、ありがとうございます!」
霖之助が笑っていると慧音が出てきた。
「そうか、ならこの書物ももらって行くぞ。あとそこの花瓶も。」
「え、ちょ、何・・・」
「なかなか興味深い書物だ。これは帰って読まなければ気が済まない。それにそこの花瓶も気に入った。」
「いや、ちょ・・・」
「ああ、それと、これからも書物を拝借しに訪れるかもしれないからな。その時はよろしく頼む。」
「へ!?いや、それは・・・」
「さて、帰ろうか橙。日が暮れてしまう。」
「え、あ、分かりました。それじゃあ霖之助さんありがとうございました。」
「ちょ、待っ・・・!」
必死で何か言おうとしている霖之助を尻目に店を出た。
「・・・まずいな。このままでは日が暮れてしまう。」
「そうですね・・・」
嫌味なくらいにキレイな夕焼けだ。
「急げば間に合うかもしれない。急ぐぞ。」
「は、はい!」
二人が走ろうとしたその時。
「あやや、やっぱり日没までに間に合いそうにありませんでしたか。」
上から声が聞こえてきた。
「もしかしたら間に合わないんじゃないかと思って見に来たんですけどねぇ。やはり間に合いそうにないですか。」
「射命丸!ちょうどよかった、橙を背負って飛べないか?」
そう慧音が言うと、射命丸が答えた。
「はいはいー、幻想郷で一番の駿足の私なら日没までに間に合うでしょうね。」
「お願いします!乗せてください!!」
そう橙が言うと射命丸はやれやれといった感じで答えた。
「しょうがないですねぇ、今回は特別ですよ?」
「ありがとうございます!」
射命丸が降りてくる。
「それじゃあ橙さん、どうぞ私に掴まってください。」
「えぇと・・・よいしょ。」
そうして射命丸は橙を背負った。
なんだか姉妹のようだ。
「じゃあ橙さん、飛びますよー?気をつけてくださいねー。」
「はい、お願いします!慧音さん、ありがとうございました!!」
そうして橙を背負った射命丸は天高く飛び立った。
ふう、と一仕事終えたかのように溜め息をついた慧音。
「何が今回は特別、だ・・・。元からそのつもりだっただろうに・・・。」
そう言うと一人でクスクス笑った。
今度、私も妹紅に何か贈り物をしよう、慧音はそう思った。
その時は浴びるほど礼を言われたいものだと、心の中で思った。
風が強い。目を開けると目に風が当たり、少し痛い。
空から見る幻想郷は何だかいつもの景色とは違う感覚である。
夕焼けのせいもあってか今日はやけに神秘的だ。
「さて・・・それじゃあこの辺でいいですか?」
「あ、はい。もう十分です。」
橙がそう言うと、射命丸は降下した。
地につき、橙が射命丸から離れる。
「それじゃあ私はこれで失礼しますね。」
「あ・・・本当にありがとうございました。」
「いえいえ、良いんですよ。このお礼はネタで返してもらえれば結構です。」
やっぱりネタか・・・と橙は溜め息をつく。
「それじゃあ、紫さんや藍さんによろしく伝えといてくださいねー。」
と言って射命丸は再び天高く飛び立った。
「遅いわねぇ・・・橙・・・。」
紫は居間で一人でずっと待っていた。
「た、ただいま・・・帰りました・・・。」
「あら、お帰りなさい。何とか間に合ったみたいね?」
家についた途端安心したのか疲れきってしまったのかその場に座り込んでしまった橙。
「藍様は・・・まだですか?」
「ええ、まだ帰って来ないわね。そろそろだとは思うけど・・・。」
「ってうわっ!?何ですかこのご馳走!!」
居間につくと物凄く豪勢なご馳走が並べられていた。
「これ・・・全部紫様が作ったんですか?」
そう橙が言うと、紫はフフフと笑って答えた。
「私一人でこんなものが作れる訳ないじゃないの。」
「え?じゃあ・・・。」
「妖夢と幽々子がね、わざわざ手伝いに来てくれたのよ、藍のお祝いのね。」
「妖夢さんと幽々子さんが?どうして?」
「橙から藍のお祝いの話を聞いたって言ってね。わざわざ夕飯の手伝いをしにきてくれたのよ。」
「そうだったんですか・・・。それなら妖夢さんも幽々子さんも一緒にお祝いすればよかったのに・・・。」
「珍しく幽々子が家族三人水いらずだのなんだの言って気を遣ってくれたのよねぇ。雪でも降るのかしら。」
今度お礼に行かなければ、と考えた。
居間で紫と二人、藍を待つ。
何だか時間の流れが遅く感じる。
「それで、何を用意してきたの?」
「あ、これなんですけど・・・。」
紫に眼鏡を見せた。
「あらあら・・・素敵な眼鏡ねぇ。日没まで探した甲斐があったというやつかしら?」
「あはは、そうですね。」
橙は満足気な顔をしている。
「ただいま帰りましたー。」
藍が帰ってきた。
橙はあたふたしている。
「あら、お帰りなさい。ずいぶん遅かったわねぇ。」
「すみません、念入りに見回っていたら・・・というかどうしたんですかこのご馳走・・・。」
紫と橙は顔を見合わせ、クスクスと笑う。
藍は何が何なのか訳の分からない。といった顔をしている。
「藍、これを覚えてる?」
紫が今朝の黄色いリボンを藍に見せる。
「この黄色いリボン・・・私が式神となった日に紫様がくれた・・・?」
「そう、懐かしいでしょう?これを今日橙が見付けてくれたのよ。」
「橙が?」
藍が橙を見る。
橙は少し自慢げに笑っている。
「誕生日って風習、知ってるかしら?」
「ええ・・・聞いた事はありますけど・・・。」
「貴方が私の式神となった日。それが今日。つまり今日は貴方の誕生日ってわけよ。」
「まさかそれでこんなご馳走を?」
「ええ、そういう事よ。それと、ご馳走だけじゃないわよ。」
藍がまた「何が何だか」といった顔をしている。
「橙ー。そろそろいいわよ。」
紫がそう言うと橙は藍に、眼鏡を差し出した。
「橙・・・まさか私に?」
橙が照れ臭そうな顔でコクコクと首を縦に振る。
「今日藍のお祝いでもしましょうか。と言ったら何か贈り物をしたいと言ってね。今日一日中贈り物を探していたのよ。」
「そうだったんですか・・・。」
藍が一つ間を置き、今朝と同じように橙の頭をポンと叩き、言った。
「橙・・・ありがとう・・・大切に使わせてもらうぞ。」
藍がそういうと橙は満面の笑みで「はい」と大きく返事をした。
「良い式神を持ったわねぇ、藍。・・・ってもしかして泣いてる?」
紫がそう言うと藍は焦りながら答えた。
「なななな、何言ってるんですか。泣いてなどいませんよ、断じて!」
藍の目には涙が浮かんでいる。
「あらあら、貴方も橙と同じで涙もろいのねぇ。」
紫がクスクスと笑っている。
それにつられて橙もつい笑ってしまった。
「な、何を言うんですかっ!!ですから泣いてなど・・・!!!!」
藍の頬に一筋の水滴が流れる。
「飼い犬は主人に似る・・・というけれども、案外主人も飼い犬に似るというのかしら。いや・・・元々藍は涙もろいのかしらね。」
藍は涙を袖で拭き取ると大きな声で言った。
「さ、さあ、早く冷めない内にご馳走を食べましょう!!」
「そうねぇ。さてさて、いただきましょうか。」
そう言って藍と紫は食事を始める。
橙は来年は何をプレゼントしようかと考えていた。
「ほら橙、冷めるわよ。食べましょう?」
「あ、はーい。」
あと眼鏡ユーザーとしては、眼鏡を本人不在の状態で買われてもフィットもしないし度も合わないだろうから嬉しさ半減だろうなと思ってしまって。
なんだか細かいところでひっかかりましたが、話の大筋としては好きです。
慧音先生鬼畜wwwwwwwwww
みんな優しい展開で、最後まで楽しく読めました。
神主監修の商業誌で同様の描かれ方をしていたので言いません。
そしてヒャッホイ自重w
多分けーねも例外じゃないんじゃない?
普通に人としての耳+猫耳や狐耳なんじゃないの?w
耳4つってのもおかしいかもしれないけど顔の横に耳が付いてないってのもおかしい気がするんだが。
ひゃっほ(ry吹いたwwwww
あー和むなぁ~
ひゃっほおおおおおおおおおおおう!!
でも、眼鏡を渡されても度がきちんと合ってないといかんだろ……って野暮な気持ちがちょっと入っちゃったのが残念。
あと、藍様は眼鏡が似合うというのには全面的に同意します。
ひゃっほおおおおおおおおおおおう!! でクソ吹いたwwwww
眼鏡はジャスティスです!!!
その一言に(ぁ
慧音先生はちょっと自重したほうがよろしいかとwww
何はともあれ、ひゃっほおおおおおおおおおおおう!!
気になるコメントに対してコメントを返させていただきますねw
>>眼鏡を渡されても度がきちんと合ってないといかんだろ・・・~
>>眼鏡を本人不在の状態で買われてもフィットもしないし度も合わないだろうから嬉しさ半減だろうなと思ってしまって。
うーん、確かにその通りですよね。
自分も書き終わった後にこれはおかしいとは思ったんですけどね・・・w
伊達眼鏡という完全なファッション眼鏡であるという裏設定って事でどうでしょうか・・・w
>>けーねが泥棒を……。お前の勝手なイメージだろといわれるとどうしようもないわけですが、けーねが泥棒をするのがどうしても棘のように引っかかってそこから楽しめなくなりました。ネタの入れ方って難しいですよね。
>>慧音が泥棒云々と言いたいところでしたが、
神主監修の商業誌で同様の描かれ方をしていたので言いません。
慧音が持ってる独特の不器用さを出したかったんですけどね・・・。
まあ人によっては捉え方も変わってくるので仕方ないと思います。
貴重な意見ありがとうございましたw
>>慧音先生鬼畜wwwwwwwwww
>>まぁ東方のキャラは基本鬼畜だからwww
多分けーねも例外じゃないんじゃない?
>>慧音先生はちょっと自重したほうがよろしいかとwww
まったりした感じの空気過ぎたので・・・スピード感のある笑いが欲しかったんですよねw
>>藍はその眼鏡をどうやってかけるんだろう。
>>メガネは耳からヒモで吊り下げるんですかね。
これは・・・そうですね。
コメントに私と同じ考えの方がいらっしゃいますね・・・w
藍や橙は獣としての耳と人としての耳、両方あると思うんですよ。
顔の横に耳付いてないと不自然じゃないです?w
>>確かに藍様には眼鏡が似合う気がしますねー。
>>眼鏡はジャスティスです!!!
>>あと、藍様は眼鏡が似合うというのには全面的に同意します。
そうですよね、幻想郷には眼鏡の似合いそうな人は多々いると思うんですよ。
藍を初め・・・慧音や永琳やパチュリー等ですね。
それなのに眼鏡キャラは霖之助しかいないんですよねぇ・・・w
霖之助は個人的にお気に入りなのでいいんですがw
>>そしてヒャッホイ自重w
>>ひゃっほ(ry吹いたwwwww
>>ひゃっほおおおおおおおおおおおう!!
>>ひゃっほおおおおおおおおおおおう!! でクソ吹いたwwwww
>>何はともあれ、ひゃっほおおおおおおおおおおおう!!
>>いい話にほろりと思ったら作者のメッセージでふいたwww
何しろこの小説を書き終わったのが午前4時ぐらいなので・・・w
発狂してたんですよ私。
初めてプレインエイジアを聴いた時並に発狂してたと思います。
何が何にせよひゃっほおおおおおおおおおう!!!!11
たくさんのご意見、ご感想、本当にありがとうございましたw
香霖堂での泥棒オチは正直見飽きてるので別パターンのギャグが欲しいですね
あと ひゃっほおおおおおおおおおおおう!!ってww
二次創作だと公明正大ですけど、原作だとちょっと太々しいイメージがありますから
うっかり盗っちゃうのも慧音らしいな、と私は思いました。
眼鏡云々はファッションとしか考えてなかったので機能性については気づかなかったw
確かに考えてみるとその眼鏡をそのまま使うには色々と不便ですねw
ひゃっほおおおおおおおおおおおう!!