霧雨魔理沙があまりに小さな大発見をしたのは、パチュリー・ノーレッジが彼女をようやく捕まえた時だった。
前回の失敗はもう半年は前の話だ。随分と懐かしくて一瞬感傷に沈んだが、それは好奇心にすぐに上塗りされた。
「それで、『ごめんなさい』は?」
「なあ、ここの図書館って一体何の順番で本を並べてあるんだ?」
後ろ手に頑丈に縛られたまま、一切合切無視して尋ねる。目の前には、原初的な恐怖を覚えるほどに高い本棚の一段目がある。その本の並びは、題名でも著者名でも出版年でも何で並べ替えても整列してくれそうになかった。
あまりに単純な疑問で、だからこそ今の今まで気がつかなかったことが不思議だった。
パチュリーは 椅子に座ったまま目を細めて、溜息を紅茶と一緒に流し込む。文句を言うまでもない。魔理沙との会話が成立しないのはいつものことだったからだ。
「貴女の論理的飛躍力だけは褒めてあげたいわね」
「照れるぜ」
「貴女の右脳にキスしたいくらい」
「魔女みたいな台詞だな」
「魔女だもの」
「Which is the witch、魔女なんてこの世に一人で十分だぜ」
「あなたは精々Mischiefってところでしょう。ああ、埒が明かないわ」
「Lichみたいななりして何言ってるんだ? さっさと答えたまえ」
そこまで言い合ったところで、パチュリーは呆れたように肩を竦めた。目の前の友人は相変わらず底知れない笑みを浮かべていて、余裕の違いを思い知らされる。
魔理沙と話すといつもこうだ。どんな追求ものらりくらりと躱されて、いつの間にか首元に論理と屁理屈の刃を突き付けられている。
それが悔しいのか怖いのか、好ましいのか愛おしいのか、それすら分からないことが一層彼女を苛立たせていた。
私のほうがずっと長く生きている筈なのに。
私のほうがずっと多く知っている筈なのに。
知っている?焦っている?
何を?なぜ?
魔理沙と会う時間は、限られているから?
それが、なぜ?
どんなKnowledgeも、謎めいた焦燥を解き明かしてくれそうになくって。
パチュリーは、自分の鼓動を握りつぶしたくて仕方なかった。
勿論、いくらかの本に載っていた知識の中には、丁度今の自分の気持ちを代弁してくれるものがあることも知っていた。
それでも、どうにかそれを否定したかった。
理由は自分でも分からない。肯定も否定も、どちらも稚児めいた言い訳に思えて仕方なかった。
そう、それに。それに、自分がまだ知らないだけで、この矛盾だらけの感情を、綺麗に表現してくれる言葉が存在するかもしれないではないか。
非論理的感情に頼らずとも、もっと本を読めばその言葉に出会えるかもしれない。
あと百年も、ここに閉じこもっていれば、きっと。
落ち着こう。
深呼吸をして、小さなテーブルに置いていた本を畳む。
「おいおい、無視することは無いだろう。分かったよ、謝るよ、ごめんなさい」
我に返ると、魔理沙がまるで馴染みのない表情で萎んでいた。それがなんだか可笑しくて、パチュリーは少しだけ吹き出した。
「もういいのよ、まったく、ああ、馬鹿は私だわ。ええと、そう、本の並びだっけ? それがね、ごめんなさい。私にも分からないのよ」
オーバーに手をひらひらとはためかせて、パチュリーはそっと嘆息した。
「分からない? 分からないってことはないだろう。いっつもほら、ええと、名前はなんだっけ? まあ小悪魔でいいや。あいつらが忙しく動き回ってるじゃないか」
「だから、それが分からないのよ。あの子たち、私から話しかけることもできないのよ。何を話しかけても、誰かに攻撃するか本を並び替えるか、どちらかだけ」
「話しかけられないないって……ちょっと待て、それじゃああいつらは一体何者なんだ?」
「さあ? あとはまあ、お願いすればお茶くらいなら持ってきてくれるけれどもね。本の方に付属しているのかも知れないわ。そもそも本自体がどこからともなく沸いてきていて、それが目下最大の謎なのだけれども」
パチュリーはとぼけたように嘯いた。とはいえ、パチュリーが彼女たちが何をしているのか、目的すら知らないことは紛れもない事実だった。
そう二人が話している間にも、その頭上を小悪魔が本を山のように抱えて音もなく飛んでいく。まるで機械仕掛けみたいに不自然で滑らかな動きだった。
それだけではない。時々、いくつかの本棚から本自体がひとりでに飛びだして、違う棚のスペースに嵌め込まれている。
どのようにして本棚の容量をコントロールしているのか、それすら二人にはも分からない。ただひとりでに本棚に口が開き、そこに計算ずくの一冊が入り込むのだ。
魔理沙は巨大なジグソーパズルの完成をずっと見守っているような気分になって、暫く小悪魔の仕事を見守っていた。
組木細工。その本たちの交差から魔理沙が思い出したのは、そんな仕掛け箱だった。自分が死んだら、あんな仕掛けの棺に入れてほしいと思った。
「だけど、仮説ならあるわ」
「仮説?」
「そう、仮説」
パチュリーはぱちんと指を鳴らす。即座に小悪魔が飛んできて、空になったカップを一瞬で持ち去った。
相変わらず中身の読めない静かな表情で、魔理沙は彼女のそれ以外の表情を見たことがなかった。
ついでに言えば、パチュリーでさ えも。
「この図書館はね、魔理沙、きっと巨大な式なのよ。式神の式、数式の式。何者かに使われながら、終わりそうで終わらない何かを演算し続けてるのね」
瞬く間に紅茶の代わりを持ってきた小悪魔からカップを受け取って、パチュリーは飄々と自説を述べた。
広大な図書館は相変わらず外の喧騒から切り離されていて、機械的な冷たさを放っている。
その静寂に朗々と響き渡るパチュリーの声には、神啓のような奇妙な荘厳さがあった。
それを聞いていると、どんなに突拍子もない論理にすら、異常な信憑性があるような気がした。
「一個の数字の代わりに一冊の本。一つの計算の代わりに一つの移動。解を一冊の本に纏め、或いは不要になった本は消し去る。
生きているかのように収縮と膨張を繰り返しながら、いつか現れるただ一つの最終解の為に図書館全体が設計されているとしたら」
「されているとしたら……?」
外の世界の式。コンピュータ。いつか霖之助から聞いたそんな言葉が、唐突に魔理沙の脳裏をよぎった。
あまりに壮大すぎて理解が追いつかなかったが、どうしようもなくわくわくすることだというのは分かった。
「まあ、何の解なのかは分からないのだけれどもね」
恍惚の顔で聞いていた魔理沙の体が、がくりと傾く。
腕を縛られたままだからかバランスを崩しかけて、慌てて修正する。
「……で、それが正しいとして、それなら設計者は誰ってことになるんだ? 紅魔館の連中じゃあないんだろう?」
「それは間違いないわ。私はそもそもいつからこの図書館に住んでいるのか、それすらも曖昧なのだけれども……一つだけ、何故だかはっきり覚えている名前があるわ」
「へぇ。それで、どんな名前なんだ?」
「それはね……」
パチュリーは目を瞑り、それから魔理沙を一瞥した。
その後、刹那の間だけ言いよどんで、パチュリーは再び口を開いた。
「『ヴワル』」
その単語を耳にした瞬間、まるで世界が凍ったかのような錯覚を魔理沙は覚えた。
凛とした空気は限界を超えて張り詰め、窒息しそうな固体に変異した。
ぎいん、と耳鳴りがして、魔理沙は思わず身を竦める。
パチュリーの瞳が、一瞬青白い魔法の燐光を放った気がした。
そして、全くもって偶発的に、或いは、全て計算されていたかのように。
その瞬間小悪魔が抱いた一冊が本棚に納められて、たった一つの数式が、静かに完成の時を迎えた。
ことり。
始まりは、積み木を落としたような、小さな音だった。
それを聞いたパチュリーは、ティーカップを手から落として砕け散らせた。
ごくりと生唾を飲み込んだかと思うと、彼女の全身が震え、荒く喘ぐような息を始めた。
ぐいと天を仰ぎ見たかと思うと、突然ふらふらと倒れそうな足取りで立ち上がる。
目は見開き、小悪魔の完成させた最後のピースを食い入るように見つめていた。
「・・・・・・・Eurica」
茫然自失の調子で、声にならないような声で、彼女はそう言った。夢遊病者の足取りで彼女は図書館の中央を目指した。
「な、なんだ。何がわかったんだよ、パチュリー」
「単純なことよ、魔理沙。こんなに大きな計算尺で、この図書館は一体何を演算していたの?」
一息吸い込み、喘息など無かったかのようにパチュリーは叫ぶ。
「答えは一つ――世界よ、世界! この図書館は世界の真理を計算し尽くしていたのだわ!」
加速度的なアップテンポで、口吻熱くパチュリーは語り始めた。まるで神に捧げる祝詞のような、確信と信仰に満ちた声色だった。
「ああ、全てはヴワルの為に、全ては真理の為に! 理論と論理の終着点、MagicとLogicとPhigicsの最終解は今まさに、ここにあったのだわ! 」
その熱に引きずられるように、パチュリーの身体が宙に浮かぶ。どこからか凝集した認識外の魔力が彼女に殺到するのを、魔理沙はどうにか確認した。
パチュリーが右手の人差し指を振り下ろすと、魔理沙を縛っていた縄が忘れたように消え去った。
「さあ魔理沙、刮目なさい! ここが、世界の始まりよ!」
パチュリーがそう口にした瞬間、空間が波を打ち、大気が粉々に砕け散った。
爆発。魔理沙が初めに抱いた感覚は、まさにそれだった。
図書館の四隅の本棚が、破滅的な爆音と共に弾け飛び、その巨躯を消失させた。
四辺の棚が、中央が、連鎖するように次々と爆裂する。螺旋に繋がる爆発の経路は、二人を嘗めるようにそのすぐ隣を過ぎていく。白い衝撃が、めちゃくちゃに魔理沙を殴りつけた。
魔理沙は恐れるよりも、何かに辿り着いた友人の姿に取り憑かれたように見入っていた。取り憑かれたような友人の姿に、魔理沙自身も何かに辿り着いたかのような錯覚を見た。
白い魔力の光が、パチュリーを飲み込まんほどに輝いた。
わずかに遅れて本棚の中に詰められていた書物たちが、音もなくその傷痕に打ち捨てられて行く。
その間にも、炸裂の閃光はますます力を強めた。あまりの眩しさに、魔理沙はもう目を開けていられない。爆風に服がなびき、軽く被っていた帽子を吹き飛ばした。
本棚だったものは高級木材の代わりに、白い残滓を撒き散らした。それらは石の床を、壁を、天井を己の色彩で染めていく。
瞬く間に本棚は一つ残らず消え去り、代わりに図書館全てが純白で塗り潰された。
「……」
何もなくなった静寂の世界。魔理沙は逆に耳が痛かった。
その中で、魔理沙は優しい歌を聴いた。未知の魔法言語で紡がれたそれは、しかし不思議と懐かしいような、暖かい歌だった。
母なる海を讃え、落とし子の切片達を導く神性の子守唄。
誘われるようにして、魔理沙は瞼を開けた。
その歌が、パチュリーの蕩けるように紅潮した唇から生み出されているものであることに気づくまで、魔理沙には少しの時間が必要だった。
彼女の身体はまるで太陽のように暖かく輝き、微かに笑っているように見えた。
パチュリーの歌に呼応するように、取り残されていた書物達が背表紙を上に、羽音を立てて一斉に宙に浮かび上がった。それらは渦を巻き、パチュリーの周囲を竜巻のように飛び交った。ばさばさと喧しいノイズが、図書館を駆け巡る。
それらの頁が一斉に乱暴に捲られ、黒々とした文字たちを、篩にかけた粉砂糖みたいにばらばらと産み落とした。
地上まで到達した文字群は線香花火の押し絵みたいに拡散し、幾つかの大きな塊を作って流動する。
中身を全て吐き出した本は、役目を終えたとばかりに地上に落ち、溶けるように消え去っていく。
本の群れに紛れて、奇矯の笑みを浮かべた小悪魔が、竜巻に吸い込まれて天に上った。
彼女の身体もまた、始めから規定されていたかのように足の爪先から次々と太古の神秘文字に姿を変え、白い床に降り注いだ。
異様な光景。
漢字が、数字が、梵字が、ギリシア文字が、蔵書の内にあったありとあらゆる文字達が流星の如く空から降り注ぎ、潮流を成し、図書館だった六つの平面を覆い尽くした。まるで生命を持っているかのように蠢きながら、パチュリーと魔理沙を二次元的に包囲し尽くした。
しばらくの安定のあと、パチュリーの歌が流れるように変化を見せる。
それは、燃えるような激情の歌だった。生命の超越を唄い、太陽の奇跡を唄う焔の歌。単純なメロディが、少しずつ重ね合わされ、テンポを変え、やがて壮大な進化の歌になった。
無数に散らばった文字はそれに応え、一つの意志の元に集い始める。
無秩序に散らばっていた文字たちは、まずパチュリーを中心とした大量の同心円を描き出す。
単一の文字は次々と結合し、各々単語や文章へと変化を遂げていく。残された文字達は既にある単語たちに飲み込まれ、その一部へと変貌した。
十の文字が百に、百の文字が千に。恐ろしい勢いで増殖する文字列は、やがて変身を始める。
『EVOLVE』。魔理沙の足元を泳ぐようにして通り抜けた文字の群れの背には、間違いなくその単語が刻まれていた。
パチュリーの歌は、モノクロ世界の全てをアンプに変えて、朗々と響き続けた。
あらゆる文字達は既にあらゆる生命を象り、その奇跡を謳歌していた。
大地から誕生した紙束の鳥たちが罫線の翼を広げ、天へと舞う。紙片の羽毛が降り注ぎ、破裂音の鳴き声が雷鳴のように轟いた。
全身に微分方程式が書き込まれた狼が羊皮紙の羊を噛み殺し、黒いインクの血を流させた。
紙面の海を泳ぐアラビア語のイルカは優雅に床から飛び出して宙を舞い、そのまま漢詩の波紋と共に水中深くに消えて行く。
壁のそこかしこで散文詩の三葉虫が這い回り、深海魚が新約聖書の身体を見せつけるようにくねらせた。
あらゆる時代と生態をかき混ぜた混沌の中で、しかしパチュリーはただひたすらに熱狂の旋律を口ずさみ続けた。
世界を指揮するかのように、歌は複雑に変貌した。
冷たい死の転調を歌えば、生命の悦びが嘘のように全ての文字は解体され、静まり返った。
気宇壮大のアリアを歌えば、百万の文字が群れを成し、世界神話で出来た恐竜たちの群れを作り上げた。
歌に乗せて文字達が興隆と衰退を幾度となく繰り返し、永遠のような歌はようやく終末を迎えた。最後にあったのは、やはり単なる混沌だった。
僅か数秒の歌に籠められた、狂気と混乱。狂乱する文字群は荒れ狂う噴流となり、煮えたぎる炎となり、鋭い牙となり、やがてただ一人の巨大な魔人を作り上げた。
魔人は爆ぜるような怒号を上げ、、飛び上がり、小屋一つは丸呑みに出来そうな口を開けた。
そうして全ての文字が、全ての集積が、パチュリーへと殺到した。
次にパチュリーが目を覚ますまでには、何十分かの時間が必要だった。
図書館だった空間は、今や殆どの色彩を失っていた。
無限遠にも思える純白が、悪夢めいて鎮座している。
その中で唯一、黒い服と金色の髪の少女だけがパチュリーを見つめていた。
「何が何だかわからないが・・・・・・とにかく、おはよう」
魔理沙の表情は硬い。おはようとだけ返して、パチュリーは上半身を持ち上げた。瞼を擦り、ゆっくりと伸びをした。
深夜のそれのように、気持ちのいい目覚めだった。
「手品の種明かしをしてもらいところだな」
十メートルは飛ばされた帽子を拾うために歩きながら、魔理沙は尋ねた。
教会の礼拝堂みたいに、微かに声が反響している。
単純な話だわ、とパチュリーは小首を傾げた。
「ヴワルは世界の全てを知ろうとしたの。ならば、どうすればいい? 答えは単純だわ。自分の目の届く場所で、世界の全てを再現して観測すればいい」
パチュリーは額を押さえ、未だ興奮が抑えきれない様子で話した。
「そう、逆転の発想だったのよ、魔理沙。世界を演算するには、数字なんかじゃとても間に合わない。本とはいわば極小の単一世界。魔法図書館の正体は、世界を世界で演算する究極の計算装置だったのね」
「へえ、それで。その究極の計算装置から生まれた究極の答えは、今どこに」
パチュリーは今までに見せたことが無いほどの可憐な笑顔を見せて、自分のこめかみを叩いて見せた。そこにあるのは、二桁の自然数などではなく、限りない最高の叡智だった。
「あらゆる知識には、アクセスするための端末が必要なの。私はその為にヴワルに生み出された魔術子だった。私の名前はパチュリー・ノーレッジにして、今や究極のKnowledge、そしてヴワル魔法図書館でもある」
ひゅいんと音を立て、パチュリーの指が弧を描く。幾つかの未証明魔法理論式が燃えるような文字でそこに著され、一瞬でそれらの解が浮かび上がった。
「言ってる意味が全く分からないが。ま、誕生祝いに宴会でも開くか? ヴワル魔法図書館さん」
パチュリーは笑って首を横に振る。
「そんなの必要ないわ。私はまだ、私のまま。それより魔理沙、ここに残った知識は私だけになってしまったのだけれど、私のことは盗みだしてくれないの?」
パチュリーは手を広げ、魔理沙を招き入れようとした。今すぐにでも抱きつきそうな勢いだ。
真っ白な世界で、紫色の魔法少女がどうしようもなく知的な笑みを浮かべる。魔理沙の心が、微かに揺らいだ。
今まで、パチュリーが外に向けて積極的になったことなど殆ど無かったからだ、と魔理沙は思った。
「は、はあ? いきなり何を言い出すんだ」
「今の私、とっても気分が良いの。誰かに無限の知識を分けてあげたくて仕方ないのね。ああ、魔理沙、一緒に外に出ましょう。こんなに明るいと、正気になってしまいそうだわ」
「ま、まあ。私は吝かじゃあないが。なんだかパチュリー、知識以外も別人みたいに変わっていないか?」
答える代わりに、パチュリーは妖精のようにゆっくりと飛び、魔理沙の手を取った。柔らかくて暖かい魔理沙の手が、たまらなく愛おしかった。
どうしようもなく自分の頬が緩んでいることを、パチュリーは感じた。
私が変わった理由。それは考えるまでもなく単純だ。
心の中で小さく吹き出して、転がすように再確認。
そう、それは。
全ての叡智を手にしても、あの焦燥の正体は、たった一つしか見当たらなかったからだった。
前回の失敗はもう半年は前の話だ。随分と懐かしくて一瞬感傷に沈んだが、それは好奇心にすぐに上塗りされた。
「それで、『ごめんなさい』は?」
「なあ、ここの図書館って一体何の順番で本を並べてあるんだ?」
後ろ手に頑丈に縛られたまま、一切合切無視して尋ねる。目の前には、原初的な恐怖を覚えるほどに高い本棚の一段目がある。その本の並びは、題名でも著者名でも出版年でも何で並べ替えても整列してくれそうになかった。
あまりに単純な疑問で、だからこそ今の今まで気がつかなかったことが不思議だった。
パチュリーは 椅子に座ったまま目を細めて、溜息を紅茶と一緒に流し込む。文句を言うまでもない。魔理沙との会話が成立しないのはいつものことだったからだ。
「貴女の論理的飛躍力だけは褒めてあげたいわね」
「照れるぜ」
「貴女の右脳にキスしたいくらい」
「魔女みたいな台詞だな」
「魔女だもの」
「Which is the witch、魔女なんてこの世に一人で十分だぜ」
「あなたは精々Mischiefってところでしょう。ああ、埒が明かないわ」
「Lichみたいななりして何言ってるんだ? さっさと答えたまえ」
そこまで言い合ったところで、パチュリーは呆れたように肩を竦めた。目の前の友人は相変わらず底知れない笑みを浮かべていて、余裕の違いを思い知らされる。
魔理沙と話すといつもこうだ。どんな追求ものらりくらりと躱されて、いつの間にか首元に論理と屁理屈の刃を突き付けられている。
それが悔しいのか怖いのか、好ましいのか愛おしいのか、それすら分からないことが一層彼女を苛立たせていた。
私のほうがずっと長く生きている筈なのに。
私のほうがずっと多く知っている筈なのに。
知っている?焦っている?
何を?なぜ?
魔理沙と会う時間は、限られているから?
それが、なぜ?
どんなKnowledgeも、謎めいた焦燥を解き明かしてくれそうになくって。
パチュリーは、自分の鼓動を握りつぶしたくて仕方なかった。
勿論、いくらかの本に載っていた知識の中には、丁度今の自分の気持ちを代弁してくれるものがあることも知っていた。
それでも、どうにかそれを否定したかった。
理由は自分でも分からない。肯定も否定も、どちらも稚児めいた言い訳に思えて仕方なかった。
そう、それに。それに、自分がまだ知らないだけで、この矛盾だらけの感情を、綺麗に表現してくれる言葉が存在するかもしれないではないか。
非論理的感情に頼らずとも、もっと本を読めばその言葉に出会えるかもしれない。
あと百年も、ここに閉じこもっていれば、きっと。
落ち着こう。
深呼吸をして、小さなテーブルに置いていた本を畳む。
「おいおい、無視することは無いだろう。分かったよ、謝るよ、ごめんなさい」
我に返ると、魔理沙がまるで馴染みのない表情で萎んでいた。それがなんだか可笑しくて、パチュリーは少しだけ吹き出した。
「もういいのよ、まったく、ああ、馬鹿は私だわ。ええと、そう、本の並びだっけ? それがね、ごめんなさい。私にも分からないのよ」
オーバーに手をひらひらとはためかせて、パチュリーはそっと嘆息した。
「分からない? 分からないってことはないだろう。いっつもほら、ええと、名前はなんだっけ? まあ小悪魔でいいや。あいつらが忙しく動き回ってるじゃないか」
「だから、それが分からないのよ。あの子たち、私から話しかけることもできないのよ。何を話しかけても、誰かに攻撃するか本を並び替えるか、どちらかだけ」
「話しかけられないないって……ちょっと待て、それじゃああいつらは一体何者なんだ?」
「さあ? あとはまあ、お願いすればお茶くらいなら持ってきてくれるけれどもね。本の方に付属しているのかも知れないわ。そもそも本自体がどこからともなく沸いてきていて、それが目下最大の謎なのだけれども」
パチュリーはとぼけたように嘯いた。とはいえ、パチュリーが彼女たちが何をしているのか、目的すら知らないことは紛れもない事実だった。
そう二人が話している間にも、その頭上を小悪魔が本を山のように抱えて音もなく飛んでいく。まるで機械仕掛けみたいに不自然で滑らかな動きだった。
それだけではない。時々、いくつかの本棚から本自体がひとりでに飛びだして、違う棚のスペースに嵌め込まれている。
どのようにして本棚の容量をコントロールしているのか、それすら二人にはも分からない。ただひとりでに本棚に口が開き、そこに計算ずくの一冊が入り込むのだ。
魔理沙は巨大なジグソーパズルの完成をずっと見守っているような気分になって、暫く小悪魔の仕事を見守っていた。
組木細工。その本たちの交差から魔理沙が思い出したのは、そんな仕掛け箱だった。自分が死んだら、あんな仕掛けの棺に入れてほしいと思った。
「だけど、仮説ならあるわ」
「仮説?」
「そう、仮説」
パチュリーはぱちんと指を鳴らす。即座に小悪魔が飛んできて、空になったカップを一瞬で持ち去った。
相変わらず中身の読めない静かな表情で、魔理沙は彼女のそれ以外の表情を見たことがなかった。
ついでに言えば、パチュリーでさ えも。
「この図書館はね、魔理沙、きっと巨大な式なのよ。式神の式、数式の式。何者かに使われながら、終わりそうで終わらない何かを演算し続けてるのね」
瞬く間に紅茶の代わりを持ってきた小悪魔からカップを受け取って、パチュリーは飄々と自説を述べた。
広大な図書館は相変わらず外の喧騒から切り離されていて、機械的な冷たさを放っている。
その静寂に朗々と響き渡るパチュリーの声には、神啓のような奇妙な荘厳さがあった。
それを聞いていると、どんなに突拍子もない論理にすら、異常な信憑性があるような気がした。
「一個の数字の代わりに一冊の本。一つの計算の代わりに一つの移動。解を一冊の本に纏め、或いは不要になった本は消し去る。
生きているかのように収縮と膨張を繰り返しながら、いつか現れるただ一つの最終解の為に図書館全体が設計されているとしたら」
「されているとしたら……?」
外の世界の式。コンピュータ。いつか霖之助から聞いたそんな言葉が、唐突に魔理沙の脳裏をよぎった。
あまりに壮大すぎて理解が追いつかなかったが、どうしようもなくわくわくすることだというのは分かった。
「まあ、何の解なのかは分からないのだけれどもね」
恍惚の顔で聞いていた魔理沙の体が、がくりと傾く。
腕を縛られたままだからかバランスを崩しかけて、慌てて修正する。
「……で、それが正しいとして、それなら設計者は誰ってことになるんだ? 紅魔館の連中じゃあないんだろう?」
「それは間違いないわ。私はそもそもいつからこの図書館に住んでいるのか、それすらも曖昧なのだけれども……一つだけ、何故だかはっきり覚えている名前があるわ」
「へぇ。それで、どんな名前なんだ?」
「それはね……」
パチュリーは目を瞑り、それから魔理沙を一瞥した。
その後、刹那の間だけ言いよどんで、パチュリーは再び口を開いた。
「『ヴワル』」
その単語を耳にした瞬間、まるで世界が凍ったかのような錯覚を魔理沙は覚えた。
凛とした空気は限界を超えて張り詰め、窒息しそうな固体に変異した。
ぎいん、と耳鳴りがして、魔理沙は思わず身を竦める。
パチュリーの瞳が、一瞬青白い魔法の燐光を放った気がした。
そして、全くもって偶発的に、或いは、全て計算されていたかのように。
その瞬間小悪魔が抱いた一冊が本棚に納められて、たった一つの数式が、静かに完成の時を迎えた。
ことり。
始まりは、積み木を落としたような、小さな音だった。
それを聞いたパチュリーは、ティーカップを手から落として砕け散らせた。
ごくりと生唾を飲み込んだかと思うと、彼女の全身が震え、荒く喘ぐような息を始めた。
ぐいと天を仰ぎ見たかと思うと、突然ふらふらと倒れそうな足取りで立ち上がる。
目は見開き、小悪魔の完成させた最後のピースを食い入るように見つめていた。
「・・・・・・・Eurica」
茫然自失の調子で、声にならないような声で、彼女はそう言った。夢遊病者の足取りで彼女は図書館の中央を目指した。
「な、なんだ。何がわかったんだよ、パチュリー」
「単純なことよ、魔理沙。こんなに大きな計算尺で、この図書館は一体何を演算していたの?」
一息吸い込み、喘息など無かったかのようにパチュリーは叫ぶ。
「答えは一つ――世界よ、世界! この図書館は世界の真理を計算し尽くしていたのだわ!」
加速度的なアップテンポで、口吻熱くパチュリーは語り始めた。まるで神に捧げる祝詞のような、確信と信仰に満ちた声色だった。
「ああ、全てはヴワルの為に、全ては真理の為に! 理論と論理の終着点、MagicとLogicとPhigicsの最終解は今まさに、ここにあったのだわ! 」
その熱に引きずられるように、パチュリーの身体が宙に浮かぶ。どこからか凝集した認識外の魔力が彼女に殺到するのを、魔理沙はどうにか確認した。
パチュリーが右手の人差し指を振り下ろすと、魔理沙を縛っていた縄が忘れたように消え去った。
「さあ魔理沙、刮目なさい! ここが、世界の始まりよ!」
パチュリーがそう口にした瞬間、空間が波を打ち、大気が粉々に砕け散った。
爆発。魔理沙が初めに抱いた感覚は、まさにそれだった。
図書館の四隅の本棚が、破滅的な爆音と共に弾け飛び、その巨躯を消失させた。
四辺の棚が、中央が、連鎖するように次々と爆裂する。螺旋に繋がる爆発の経路は、二人を嘗めるようにそのすぐ隣を過ぎていく。白い衝撃が、めちゃくちゃに魔理沙を殴りつけた。
魔理沙は恐れるよりも、何かに辿り着いた友人の姿に取り憑かれたように見入っていた。取り憑かれたような友人の姿に、魔理沙自身も何かに辿り着いたかのような錯覚を見た。
白い魔力の光が、パチュリーを飲み込まんほどに輝いた。
わずかに遅れて本棚の中に詰められていた書物たちが、音もなくその傷痕に打ち捨てられて行く。
その間にも、炸裂の閃光はますます力を強めた。あまりの眩しさに、魔理沙はもう目を開けていられない。爆風に服がなびき、軽く被っていた帽子を吹き飛ばした。
本棚だったものは高級木材の代わりに、白い残滓を撒き散らした。それらは石の床を、壁を、天井を己の色彩で染めていく。
瞬く間に本棚は一つ残らず消え去り、代わりに図書館全てが純白で塗り潰された。
「……」
何もなくなった静寂の世界。魔理沙は逆に耳が痛かった。
その中で、魔理沙は優しい歌を聴いた。未知の魔法言語で紡がれたそれは、しかし不思議と懐かしいような、暖かい歌だった。
母なる海を讃え、落とし子の切片達を導く神性の子守唄。
誘われるようにして、魔理沙は瞼を開けた。
その歌が、パチュリーの蕩けるように紅潮した唇から生み出されているものであることに気づくまで、魔理沙には少しの時間が必要だった。
彼女の身体はまるで太陽のように暖かく輝き、微かに笑っているように見えた。
パチュリーの歌に呼応するように、取り残されていた書物達が背表紙を上に、羽音を立てて一斉に宙に浮かび上がった。それらは渦を巻き、パチュリーの周囲を竜巻のように飛び交った。ばさばさと喧しいノイズが、図書館を駆け巡る。
それらの頁が一斉に乱暴に捲られ、黒々とした文字たちを、篩にかけた粉砂糖みたいにばらばらと産み落とした。
地上まで到達した文字群は線香花火の押し絵みたいに拡散し、幾つかの大きな塊を作って流動する。
中身を全て吐き出した本は、役目を終えたとばかりに地上に落ち、溶けるように消え去っていく。
本の群れに紛れて、奇矯の笑みを浮かべた小悪魔が、竜巻に吸い込まれて天に上った。
彼女の身体もまた、始めから規定されていたかのように足の爪先から次々と太古の神秘文字に姿を変え、白い床に降り注いだ。
異様な光景。
漢字が、数字が、梵字が、ギリシア文字が、蔵書の内にあったありとあらゆる文字達が流星の如く空から降り注ぎ、潮流を成し、図書館だった六つの平面を覆い尽くした。まるで生命を持っているかのように蠢きながら、パチュリーと魔理沙を二次元的に包囲し尽くした。
しばらくの安定のあと、パチュリーの歌が流れるように変化を見せる。
それは、燃えるような激情の歌だった。生命の超越を唄い、太陽の奇跡を唄う焔の歌。単純なメロディが、少しずつ重ね合わされ、テンポを変え、やがて壮大な進化の歌になった。
無数に散らばった文字はそれに応え、一つの意志の元に集い始める。
無秩序に散らばっていた文字たちは、まずパチュリーを中心とした大量の同心円を描き出す。
単一の文字は次々と結合し、各々単語や文章へと変化を遂げていく。残された文字達は既にある単語たちに飲み込まれ、その一部へと変貌した。
十の文字が百に、百の文字が千に。恐ろしい勢いで増殖する文字列は、やがて変身を始める。
『EVOLVE』。魔理沙の足元を泳ぐようにして通り抜けた文字の群れの背には、間違いなくその単語が刻まれていた。
パチュリーの歌は、モノクロ世界の全てをアンプに変えて、朗々と響き続けた。
あらゆる文字達は既にあらゆる生命を象り、その奇跡を謳歌していた。
大地から誕生した紙束の鳥たちが罫線の翼を広げ、天へと舞う。紙片の羽毛が降り注ぎ、破裂音の鳴き声が雷鳴のように轟いた。
全身に微分方程式が書き込まれた狼が羊皮紙の羊を噛み殺し、黒いインクの血を流させた。
紙面の海を泳ぐアラビア語のイルカは優雅に床から飛び出して宙を舞い、そのまま漢詩の波紋と共に水中深くに消えて行く。
壁のそこかしこで散文詩の三葉虫が這い回り、深海魚が新約聖書の身体を見せつけるようにくねらせた。
あらゆる時代と生態をかき混ぜた混沌の中で、しかしパチュリーはただひたすらに熱狂の旋律を口ずさみ続けた。
世界を指揮するかのように、歌は複雑に変貌した。
冷たい死の転調を歌えば、生命の悦びが嘘のように全ての文字は解体され、静まり返った。
気宇壮大のアリアを歌えば、百万の文字が群れを成し、世界神話で出来た恐竜たちの群れを作り上げた。
歌に乗せて文字達が興隆と衰退を幾度となく繰り返し、永遠のような歌はようやく終末を迎えた。最後にあったのは、やはり単なる混沌だった。
僅か数秒の歌に籠められた、狂気と混乱。狂乱する文字群は荒れ狂う噴流となり、煮えたぎる炎となり、鋭い牙となり、やがてただ一人の巨大な魔人を作り上げた。
魔人は爆ぜるような怒号を上げ、、飛び上がり、小屋一つは丸呑みに出来そうな口を開けた。
そうして全ての文字が、全ての集積が、パチュリーへと殺到した。
次にパチュリーが目を覚ますまでには、何十分かの時間が必要だった。
図書館だった空間は、今や殆どの色彩を失っていた。
無限遠にも思える純白が、悪夢めいて鎮座している。
その中で唯一、黒い服と金色の髪の少女だけがパチュリーを見つめていた。
「何が何だかわからないが・・・・・・とにかく、おはよう」
魔理沙の表情は硬い。おはようとだけ返して、パチュリーは上半身を持ち上げた。瞼を擦り、ゆっくりと伸びをした。
深夜のそれのように、気持ちのいい目覚めだった。
「手品の種明かしをしてもらいところだな」
十メートルは飛ばされた帽子を拾うために歩きながら、魔理沙は尋ねた。
教会の礼拝堂みたいに、微かに声が反響している。
単純な話だわ、とパチュリーは小首を傾げた。
「ヴワルは世界の全てを知ろうとしたの。ならば、どうすればいい? 答えは単純だわ。自分の目の届く場所で、世界の全てを再現して観測すればいい」
パチュリーは額を押さえ、未だ興奮が抑えきれない様子で話した。
「そう、逆転の発想だったのよ、魔理沙。世界を演算するには、数字なんかじゃとても間に合わない。本とはいわば極小の単一世界。魔法図書館の正体は、世界を世界で演算する究極の計算装置だったのね」
「へえ、それで。その究極の計算装置から生まれた究極の答えは、今どこに」
パチュリーは今までに見せたことが無いほどの可憐な笑顔を見せて、自分のこめかみを叩いて見せた。そこにあるのは、二桁の自然数などではなく、限りない最高の叡智だった。
「あらゆる知識には、アクセスするための端末が必要なの。私はその為にヴワルに生み出された魔術子だった。私の名前はパチュリー・ノーレッジにして、今や究極のKnowledge、そしてヴワル魔法図書館でもある」
ひゅいんと音を立て、パチュリーの指が弧を描く。幾つかの未証明魔法理論式が燃えるような文字でそこに著され、一瞬でそれらの解が浮かび上がった。
「言ってる意味が全く分からないが。ま、誕生祝いに宴会でも開くか? ヴワル魔法図書館さん」
パチュリーは笑って首を横に振る。
「そんなの必要ないわ。私はまだ、私のまま。それより魔理沙、ここに残った知識は私だけになってしまったのだけれど、私のことは盗みだしてくれないの?」
パチュリーは手を広げ、魔理沙を招き入れようとした。今すぐにでも抱きつきそうな勢いだ。
真っ白な世界で、紫色の魔法少女がどうしようもなく知的な笑みを浮かべる。魔理沙の心が、微かに揺らいだ。
今まで、パチュリーが外に向けて積極的になったことなど殆ど無かったからだ、と魔理沙は思った。
「は、はあ? いきなり何を言い出すんだ」
「今の私、とっても気分が良いの。誰かに無限の知識を分けてあげたくて仕方ないのね。ああ、魔理沙、一緒に外に出ましょう。こんなに明るいと、正気になってしまいそうだわ」
「ま、まあ。私は吝かじゃあないが。なんだかパチュリー、知識以外も別人みたいに変わっていないか?」
答える代わりに、パチュリーは妖精のようにゆっくりと飛び、魔理沙の手を取った。柔らかくて暖かい魔理沙の手が、たまらなく愛おしかった。
どうしようもなく自分の頬が緩んでいることを、パチュリーは感じた。
私が変わった理由。それは考えるまでもなく単純だ。
心の中で小さく吹き出して、転がすように再確認。
そう、それは。
全ての叡智を手にしても、あの焦燥の正体は、たった一つしか見当たらなかったからだった。
あと、各所にみられる半角スペースは恐らく誤字だってのも分かった。
↓
だから、そ れが分からないのよ
滑らかな動きだ った。
パチュリーでさ えも。
何故だかはっき り覚えている
感覚は、まさ にそれだった。
壮大な話に見えたが、パチュマリ美味しいですが最初に感じた感想だったり。
それと頭でっかちのパチェが魔理沙に押せ押せなのがなんか可愛かった
クライマックスの文字で世界が創り上げられるシーンが大好きです。
この世の最も大きな問題である「少女の悩み」すら解決できるのですね
圧巻であり、素晴らしい。