Coolier - 新生・東方創想話

Winter Flowers

2009/12/16 23:33:34
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こういう文章はほとんど書いたことがないので、いろいろとおかしい部分があるかと思いますが、それでも良いという方は読んでいただければ幸いです。












―――私はわかっている。自分の存在は、まるで―――



山には雪が積もり、白い結晶が世界を埋め尽くす頃、私は目覚める。
いつも肌に感じる心地よい真冬の風を受け、徐々に自分の力が高まっていくのを実感する。
そう、これからは冬の季節。「私の領域」が広がっていく時期だ。

そう思って感傷に浸っている時、一人の人の姿を見た。やはりこういう時に限って、珍しい顔に会うものだ。
「あら、珍しい顔に会うものね。」
日傘を構えた緑髪の女性はそう言った。私はその顔を一応は知っていた。
「・・・風見、幽香・・」
 風見 幽香。花を司る能力を有し、私たちが存在する世界「幻想郷」の中でも最強と謳われている妖怪「八雲紫」に匹敵する力を持つ強力な力を持った妖怪だ。
「今年も寒くなるのかしら?貴女ならわからない?レティ?」
幽香は私のことをレティと呼んだ。

 そう、私の名はレティ・ホワイトロック。私は冬を、正確には寒波を操る妖怪だ。

「確かに寒波は私の領域だけれど、天気自体を操るわけではないから実際の気温は知らないわよ?」
そう答えると、幽香はわかっている、というように肩を竦めた。
「別にそんなことは聞いていないわよ。ただ、今年も『氷の花』があたり一面に咲き乱れるかどうかを聞きたかっただけなのよ。」
氷の花?ああ、霧氷か・・・私は普段意識しないけれど、言われれば確かによく形成されている。
「他にもまあ、いろいろあるけれど、そうね、貴女が知っているとすれば水仙の花とかかしら?」
幽香は楽しそうに微笑みながら話す。何を企んでいるというのだろうか。相手からは全く敵意というものは感じられなかったが、何か問題を起こされて人の領域を荒されることだけは避ける必要があった。

「で?何を企んでいるの?そこまであなたが楽しそうだなんて、珍しいんじゃあないの?」
思わず聞かざるを得ない言葉だった。普段はほとんど会話などしないが、この妖怪の危険性は一応は把握していたからだ。
と、私の心配とは裏腹に、幽香は私の横にそっと腰を下ろした。
「別に何も企んでなんていないわよ?まるで私が普段から何か企んでいるみたいじゃない。・・・まあ。」
そっと幽香は足元の霧氷に目を移した。
「花は一時期しか生きられない。その花が咲いている場所に私は存在している。」
それから、幽香がこちらを見つめた。
「あなたもまるで花の様よね。一時期しかまともに存在できず、季節が終わったら儚い願いのように散っていってしまう。そういう貴女だから私はこうやって何となしにしゃべっているだけだけど?」
・・・そう言われれば、そうかもしれない。花は一時期しか咲かない。時期が過ぎたら忘れられてしまう。私もそうだ。力が強いのは冬の期間だけ。冬が過ぎたら力がほとんどなくなって、まともに生きられなくなる。そういう意味では、彼女はただ自然の摂理に従って動いていただけなのだろうか。
「・・・まあ、花の様だとしても、今までそれで困ったことなんてあまりないわよ?」
ま、唯一困ったことといえば、チルノが冬の終わりにくっついてきたり、力がなくなった後いろいろと行動に制限がかかる程度か。
そう考えていたら、幽香が手を私の前に出した。
「貴女があまり意識をしなくても、毎年そのたびに泣いてるあの子はどう思ってるんでしょうね?まあ、この花でも見て考えてみたら?」
そう言った幽香の手には水仙の花が握られていた。

「そろそろ行くわ。別に花が咲いてるのはここだけじゃあないから。」
まるで風のように幽香は去って行った。手に一輪の花を残して・・・
 私にとって、今まで当たり前だ、と考えていたものが、彼女の言葉によって一変した。
別に毎年会えるから、と思っていたが・・・

もしかすれば、チルノはもっと私と接していたかったかもしれない。普段は時々遊んだりする程度だけど、もう少し時間を彼女に割いてあげるべきだったんだろうか。
それでも、例えそれで少し接する時間が多くなったとしても、自然には逆らえない。なぜなら私達自体が自然の権化のようなものだから。
 ・・・それならば、何故幽香はわざわざこちらがわかっていることを言っていったんだろうか・・・気まぐれか・・・?なんにせよ、あまり関係のないことなのだろう・・・相手がたとえ「消えてほしくない」と思っていても・・・





それから季節が過ぎ・・・




風見優香は雪解けが始まった幻想郷の空をゆったりと飛んでいた。
新しい花達の芽生えの時期だからだ。彼女の一番忙しい季節といっても過言ではないかもしれない。
 
ただ、今回の彼女の行動には目的がしっかりと存在した。

「間に合ったか・・・」
前方に、レティが佇んでいた。顔は下を向いていた。
「もう、一つの花が枯れるときなのね。あの妖精とは?」
「・・・いつもどおりよ。全く、誰かさんのせいで余計な感傷に浸ってしまったけどね。」
そう言ったレティの顔は少し濡れていた。
「いままで気にもしてなかったことが余計に意識されてこの通りよ・・・」
そんなレティに幽香は一つの花を贈る。その花は。
「・・・霧氷・・・」
「雪の花の様な貴女には、この氷の花がお似合いね。」
・・・霧氷、そうか。私は霧氷の様な存在か。それでもいい、キレイなものだから。
レティは少し顔あげる。まるで何かを確信するかのように。
「そうね、私は知っていたわ。私の存在は、まるで――――」






ふと、前方を見ると、1人の白い妖精が空を舞っていた。
幽香にはよく見覚えのある顔だった。
リリーホワイト。春を伝える妖精だ。春にしか基本的に存在しない。
その姿を見て、幽香はどことなく満足した。


 ――――また、春が来る。冬の夢を少しだけ残した、春が――――
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

文章能力など無いと自分で思ってる私が書いてみました。

今回は、レティ*幽香という謎コンビでいかせていただきました。
だって、やりたかったんだもん!

ということで、感想などいただければ幸いです。

また、お会いする機会がありましたら、会いましょう。
ではでは。
るしゃな[Y]
[email protected]
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コメント



0.860簡易評価
9.90名前が無い程度の能力削除
おぉ……いいです。すごく。
季節の方々とゆうかりんは非常にやさしいお話になりますよね。

ただ惜しむらくは、自信なさげなところ。
これで文章力がないですって?妬ましいわ。ぱるぱる
そーゆー態度では嫌われちゃいますよ?(←経験者)
でも安心して下さい。残酷なことに幻想郷はすべてを受け入れますから。
13.90ずわいがに削除
凄く良い雰囲気でした。
季節に関わるキャラってどうしてこう哀愁漂うのか。
15.100名前が無い程度の能力削除
雰囲気がとても綺麗
はかないものって美しいですよね
17.100麻酔削除
普通に面白かったです。
もう少し自分の作品に自信を持ってもいいとおもいますよ