・祭りの支度
お燐は祭りが好きだ。
そんなだから、いつものように潜り込んだ飲みの席で聞かされた話に、お燐は二つ返事で返した。といっても、鬼の姐さんの頼み事を断れたことなんてほとんどないのだけど。
「悪いね。私らが出張るとどうしても面倒ごとになる。色々出歩いて地上に明るいあんたなら、上手く取り成してくれるだろう」
「あはは、勇儀の姐さんに頼まれちゃあ断れないねぇ。それに、風流なのは大好きさ」
串焼きにかぶりつき、肉汁を舌で転がしながらこそぎとる。
口元についたタレを舐め取ってから、お燐はお猪口に満たされた酒を一息に干した。
手の甲で拭うと、口辺を吊り上げて眺めていた勇儀と目が合う。
お燐もにやりと笑い返すと、一本角の豪気な鬼は大口を開けて笑った。
店の内に備えられた明かりは壁際で笑い声と一緒に揺れる灯火だけだけど、いたる所に霊達が屯しておぼろげに照らしていた。
漂わせていた怨霊が勇儀の頬を艶やかに映して去って行くと、勇儀は自らの大きな杯も一息に干して店主を呼ぶ。
透き通るような香りを漂わせながらなみなみと注がれた升を差し出して、勇儀は満面を使って笑んだ。
「上手くいった暁には船の上でもう一杯やろうじゃないか」
「ああいいねぇ、月の上に杯を浮かべてこう、ね」
勇儀の大爆笑に驚いて、小心な霊達が一目散に逃げていった。
* * *
汗ばむ湿気を孕んだ夏の生気が、全身を撫で回して揉みくちゃにしてくる。
木の陰が日の光を遮る妖怪の山で、それでも強引に差し込んでくる日差しを避けながら、お燐は猫の姿になって獣道の潅木の下を縫って行った。
頼まれ事、……祭り自体は数年おきに行われる祭りで、数年分吹き溜まった霊達を篝火に乗せて地上へ送る、言わばみんなで焚き火を取り囲んで飲み明かすだけのお祭りだ。
お燐もその都度、地上へ返してあげていい、つまらない幽霊と、返したら上にこっぴどく叱られる、まだひねくれたままの怨霊どもとを仕分ける作業を任されている。
けれども今回は何かあったのか、いつもより吹き込んで溜まっていってしまう霊の数が多かった。
そのために、つまらない霊達を管理する半分だけ霊の人間が事情を聞きに来たほどだ。
こんな状態で誰が思いついたのか、霊達の流れに船を浮かべて月を見に行ってやろうということになった。
都の皆もやいのやいのと音頭を上げて賛同し、その為の船の設計を河童に取り次ぐように頼まれたのだ。
直接知る河童はいないものの、魔理沙を通じての手掛かりなら一つある。
そして魔理沙の言を信じるならば、渓流はもう直ぐそこにあって、その先に河童の住処があるらしい。
潅木の下を潜り抜けると、先程から響いていた沢の音が一気に広がった。
お燐は人型に戻って大きな転石の一つに飛び乗った。
その下に広がる眼下の流れは夏の日差しを受けて、迫り出す木々のすぐそばまで青々とした水を湛えていた。
上流へと視線を巡らして、そのまま透き通る鉱石のような青い空とぶつかった時、鋭い笛の音が落ちてきた。
程なくして降りて来たのは、狗っぽい天狗だった。
「貴女は侵入者か」
「いやあ、先に連絡を入れていなかったのは謝るよ。あたいは頼まれて人探し、もとい河童探しに来ていてね」
つっけんどんな言葉を吐いて睨んでくる狗天狗に手をひらひらと振って見せると、あからさまに表情を崩してそれまでとは打って変わって柔らかい、安堵した表情を浮かべた。
「そうなの。分かった。でもこれより先へ立ち入っては駄目だ。我らの……、私達の警戒領域を承諾なしで越えてはいけないよ」
そう言って踵を返そうとした袖を掴むと、天狗は素っ頓狂な声を上げて体勢を崩した。
心中で湧き上がった悪戯心に叱咤して、天狗の肩を支える。
「あぁ、すまないねぇ。悪いんだけれど魔理沙という人間繋がりでね、にとりという河童に仕事を依頼したいんだよ。
あんたここいらを縄張りにしているんだろう? 件の人間が言うにはここいらに行けば会えるそうなんだけど、如何せんあたいはここいらに疎いもんでねぇ」
「こふっ、けふっ。……急に引っ張らないでください。それとにとりですね。彼女は知っています。……知っているよ。今は、ええと、少し待って……」
そう言って胸元をとんとんと叩いて心を落ちつけてから、提げていた得物を仕舞うとこめかみに手を合わせた。ややあって薄く目を開く。
「うん、今は倉庫にいるようだね。こっちだよ。……いいや、ついておいで。それと私は椛だ」
「あたいはお燐。地霊の猫さ」
白くてふさふさと揺れる尻尾を見つめながら言うと、微笑んだ半身と耳だけこちらへ向けて、よろしくお燐。とだけ返ってきた。
「やあ、にとり。今空いてる?」
「んー。空いてるから不法侵入して来たんじゃない? ……冗談だよぅ」
軽口を叩いてゴーグルを摘み上げた河童に白目を向けて、椛は幌の裾を掲げ上げた。
どこが裾だかも分からない崖をおもむろにめくると、大きな洞の口が開く。そんな隠された場所に河童の住処はあったらしい。
椛に礼を言って入ると、意外に塵屑の量は少ないものの、何か雑多な鉱物がそこら中に散乱していた。
お燐は友人の鴉の部屋も似たような感じだったことを思い浮かべながら、本題を切り出す。
「あたいはお燐。うつほっていう地獄烏が河童の世話になっているそうだけれど、あたいは同じ地霊殿のペットさ」
「あぁ、そう言えばいたね。魔理沙にやられた奴」
河童の青くて丸い瞳がさらに大きく開かれる。
「そう言えば何やら音がしていたのは、まさにあんたの声だったんだねぇ。それも技術とやらかい?」
「そんな所だね。その私にどんな用事だい?」
くるりと身体を向けたにとりにお燐はちらりと牙を見せて笑い、書付を取り出した。
「これはまた、鬼の依頼を持ってくるなんて……」
そう言って頭を掻いて腕を組んだにとりに、椛も興味をそそられて書付を覗き込んだ。
「うん、まあ地底で少し祭りを面白くしてやろうって試みがあってね。立ち昇っていく霊達に乗っかって、月を見に行こうって腹さ」
「月なんていつでも見られるのにというのは地上に住む私達の狭量かな。けれども山の鬼達は地底でそんな祭りをやっていたんだね」
「その影でどうせ私たちは時間外労働に苛まれるんだ」
手にした工具を机に放り出して、にとりは後ろ頭で手を組んだ。
お燐は前屈みになって、眉根を寄せている河童へと笑みを投げる。
「労働に苛まれた後の一杯か、労働拒否の後にいっぱい苛まれるか。だねぇ」
「……いや、鬼の威を笠に着ようったってそうはいかないね。大体頼まれたのはお前であって私ではない。だから私が受ける義理もないわけだ。さあ、帰りな」
そう言うとにとりは椅子から立ちあがってお燐の肩を掴み、外へと押していく。
お燐は首を巡らせて憤慨している河童へ、
「力の勇儀」
押す手がぎくりと止まった。犬歯まで捲れ上がって仕舞わない様にしながら、お燐はにんまりと笑んで、
「先の異変繋がりで伝手を辿ろうとしたんさ。話したら案の定、勇儀姐さんもあんたの事を知っていて、そこに当てをつけようってなったんだよ」
迷惑だ。と呟いてがくりと落とされた肩にお燐はつとめて明るく持ちかける。
「まあ、姐さんもえらく乗り気でねぇ。出来る限りのことはすると言っているし、あたいも地霊殿の一部の切り盛りは任されているからね。協力はするよ」
ぼったくってやるぅ。恨めしげに見上げられた視線にお燐は飛びっきりの笑顔で応えた。
・繋いだ手の方へ
「おう、待ち番。今日も精が出るな」
「おうよ、あんたらも景気のいいこったぁなぁ」
捲り上げて顕になった二の腕に汗を浮かべて、祭り櫓を支えるための丸太を運ぶ、組み立ての衆と、行き交いを整理していた待ち番とが声を掛け合って通り過ぎる。
そんなやり取りを尻目に、お燐は旧都の中でも一二を争う大灯篭が照らし出す鬼の宿の暖簾を潜った。
「やあ、姐さん。空いてるかい?」
「おぉ? 設計図はもう貰っただろう? どうしたんだい?」
少し前に見た姿と相変わらずな姿勢で酒を注ぎ込む勇儀に、思わず苦笑いをしてお燐は括られた紙束を拡げた。
「設計代を渡しに行ったら、にとりが外装だけじゃ心許ないって、ブースターっていう補助装置も取り付けろって言うんだ。それに加えて内装の装置も少し加えたいらしくて、こんな紙束さ」
「あいつもまんざらじゃないんだな」
お互い一頻り笑い返して、どれだけふんだくったかについては心に仕舞いこむ。それにしては勇儀も前の請求を見て鼻で笑った辺り、妥当な相場なのだろう。
小難しいことに頭を傾げるのは止めにして、紙束を勇儀に渡す。
「渡されるときに、これでもう書き終わったからと念を押されたから、これで仕組みは全部だろうねぇ」
「そうだな。まあ、あいつらは頭を使うのが好きだから。頭だけ借りたら、あとは私らが組み立てたほうが早いさ」
結局にとりは地底、もとい旧都に入りたがらず、設計図と小難しい装置の設計だけをお願いして、その仲介は全てお燐のすることとなった。
とは言っても結局本業の傍らで出来ることには変わりないので一つ返事で請負い、お燐はここ最近、鬼の宿に出入りすることが多くなったのだ。
運ばれてきた熱いお茶で喉を通して串団子を齧る。
「あとはいろいろ雑多な機械を運んで終わりかねぇ」
「あぁ、世話になったな。ありがとう」
「つれないねぇ。あたいも祭りは大好きなのさ。全ては仕舞った後じゃないか」
そうだったなと苦笑する勇儀に笑みを返して、お燐は串を置く。
「それで、相談なんだけれど、……祭りにはさとり様も呼んじゃくれないかい?」
上げた目線の先で勇儀の真直ぐなそれとぶつかった。
負けじと返すと、ややあって勇儀は視線を外す。
「……うーん、地霊の祭りは特別誰かを呼んだりはしない。来るもの拒まず、去るもの追わずなんだ」
そう言って杯を傾ける。
でもと言い掛けたお燐を遮って、勇儀は溜め息をついた。
「分かってるさ。そうすると、あれは自分から憚って来ようとしないんだろう? 私も心配しちゃいるさ。だけどね、さとりが周りに遠慮している内は、周りも気にしたまま、心休まらないんだよ。それで邪険にするもんだからどんどん都合が悪くなる。だけど私からしてやれることと言ったら、せいぜい先の決まりを皆に承知させることくらいだね」
そう言って、また溜め息をつく。
苦い顔をした勇儀を見て、お燐はそれ以上言葉を繋げることができなかった。
「ああ言いはしたけど、けれどもあんたがさとりを何とか説得できることを願っているよ。周りは言いたい事言っているが、私としてもあれには良くなってもらいたいんだ」
背中に投げられた呟きに、お燐は頑張ってみるよと投げ返した。
* * *
前庭では様々なペットと怨霊があちこちで屯していた。
そんな中、誂えられた手摺りに頬杖をついてお燐は沈んでいた。
さとり様が遠慮しているというのはそうなのだけども、かと言って無遠慮にさとり様が周りを気に留めなくても、それはそれで困ったことになるのではないかとお燐は恐れている。
けどその場合、一番皆が満足する方策というのが、さとり様が皆に関わらないということだというのは何かが根本的に間違っている気がして、そのうえみんなが、特にさとり様が納得してしまっているのが悔しくて、お燐はどうしても足掻きたくなってしまう。
この一仕事の裏には、勇儀姐さんが何とか皆を従えて解決してくれるかもしれないという淡い打算もあったのだけれども、勇儀の親身になってくれながらも見せた難しい顔に、お燐はもう一押しする心意気を失ってしまった。
……それは、拒絶されたということと同時に、勇儀姐さんに周りを抑えて貰うという方法では何の解決にもならないということに、お燐自身が気付かされてしまった所為でもある。
「久々の地霊殿なのに、お燐はどうして浮かない顔をしているの?」
顔だけ振り向くと、大きな赤い一つ目が居た。
その瞳を胸に貼り付けたお空の呆けた表情を確認して、お燐はまた物思いに沈むことにした。
「ねえ、そんなんじゃつまらないわ。せっかく戻ってきたのに」
「うるさいなぁ。あたいにだって考えたいこともあるんだよ」
「どんなことを考えていたいの?」
大体、お空は我侭だ。
忙しい兼業に引っ張られたからと言って地霊殿に顔も見せなくなったにもかかわらず、こうしてふらっとやってきてはお燐の所へ厄介になってくる。
だけど、まんざらでもない自分が一番厄介で、そんなものだから……、目を瞑って一息ついたあと、お燐は翻って手摺りに腰を掛けた。
「さとり様を、あたいが頑張っているお祭りに参加させたいの。だけど旧都の皆は邪険にするし、さとり様は出たくないから不満なの」
愚痴を零してもお空は不思議な顔をしたまんまだ。
いそいそとお燐の隣に腰を掛けて、バランスを取るようにばさばさと扇ぐ。
羽毛が鼻をくすぐって、お燐は勢い良くくしゃみをしてしまった。
「……おくぅ。もう少し考えておくれよ」
「分かった。……それならさとり様を無理矢理連れて行っちゃえば、いいんじゃないの?」
「そういうことじゃなくてねぇ……。けど、あたいはさとり様にお祭りを楽しんでもらいたいんだよ? そんなことしたらさとり様は迷惑するし、第一さとり様にはそんなことも筒抜けで、連れて行けないじゃないか」
「無理矢理連れて行ったらさとり様は楽しめないの?」
「当たり前じゃないか。勝手に引っ張り回して、それで邪険にされて傷つく身にもなってみなよ」
「試したの?」
「そんなことする訳ないじゃないか!」
お燐が激昂しているのに、お空は不思議な顔のままなのが憎たらしい。
お空の頬をつねろうと手を伸ばすと、やんわりと押し返された。
「試しもしないのに、勝手にこうって決めて黙ってちゃ、何も変わらないじゃない」
「試して、それでもう元に戻らなくなっちゃったらどうするんさ」
「お燐は私がそうなっても何とかしてくれたじゃない。そうなったらまた何とかすればいいのよ」
しれっとのたまった友人に呆れを越して、お燐は何だか毒気を抜かれてしまった。
「あぁ、そんな簡単に出来たらどんなにいいだろうねぇ。あの時はひどいことになったよ」
「でも、お燐はそのひどいことも受け入れてくれたじゃない。さとり様の分も受け入れちゃえばいいのよ」
お空のように何も気に病まなかったらどんなに良かったことか。
くしゃりと笑ったお空へ乱暴に手を乗せて、そのまま掻き回した。
「あんたは烏頭だねぇ」
「それとこれとは話が違うわ」
額にしわを寄せて、むくれている。
それでもお空はされるがまま、器用に腰をずらして庭の方へ向き直った。
お燐もくるりと振り返る。
庭は相変わらず、雑多な賑わいを帯びていた。
そのまま少しの間、手摺りに腰掛けて、何をするでもなく一緒に外を眺めて居た。
* * *
お燐は厄介猫だ。
昔からそうだったし、そう呼ばれてもいた。
それなら話は簡単で、また厄介事を起こせばいい。
お空の言い成りになるのは癪だけれども、……けれどもそれよりももっと癪に触ったのは、結局お燐自身も、さとり様や都の皆と同じ、やらない方がいいという方法に甘んじて他人の力に甘えようとしたことだ。
頭を振って振り返る。
腰を掛けている地霊殿の塀の外は、大通りに面してずらりと屋台が並びこそすれ、人影はまばらで、それぞれが屋台の仕上げに勤しんでいるだけだった。
ひっそりと静まり返って、合図の音を待っているのだ。
――やがて、しんとした旧都を通り抜けて、細く高い笛の音が響いてきた。
三々五々、細い路地から大通りへと歩み寄っていく影を尻目に、お燐は塀の内側へ飛び降りる。
笛の音に引き寄せられるペット達の間を縫って、地霊殿の玄関をくぐり、広間に出た。
その向こう、広間の奥にうっすらと差す明かりへと歩を進める。
「お燐、怨霊はきちんと封じたかしら?」
コトリと音がして、湯飲みを置いて見上げるさとり様の相貌を確認して、彼女の手を握る。
第三の目を見開いて、そして怪訝にひそめられた眉に、お燐は小さく笑いかけた。
「行きましょうか」
肩を抱き寄せて立たせると、お燐は有無を言わさず駆け出した。
しっかりと握られた掌が熱を帯びて火照る。
お燐の背中を見つめて、さとりは焦りを覚えた。
「待…待ちなさい、お燐。私は行かないわよ」
駄目だと言うのに、彼女はさとりの手を握ったまま、地霊殿の外へと駆けていく。
お燐は振り返ると牙を覗かせて笑った。
言外にはもう分かっている。
それでも、振り切らなければ困ったことになるというのに、さとりはその手を拒めなかった。
赤提灯の連なる屋台、真直ぐに伸びた石畳、下駄を履いた素足と道行く妖怪――。
それらは昔に眺めていて、久しく呼び起こしていなかった記憶と変わらなかった。
「さとり様、あたいだけを見ていてください。周りなんか、気にする必要なんてないんです」
おぼろげに流れる景色の中で、お燐がそう言った。
笛の音が、いつも遠くに聞いていた高く透き通った寂しい音色が、近づいてくる。
櫓の上で集めの笛が吹き終わるのに合わせて、太鼓衆が静かに打ち始める。
霊達は既にこの広場に溜まり始めていて、それらがぼんやりと灯って漂っていた。
勇儀は広場に面した仮設の宿の長椅子に腰を掛けて、笛の吹き手が櫓から降りるのを見届けた。
それから太鼓に揺られる様にして活気を帯びてきた大通りを見遣って、そして一際慌ただしい二人を遠くに認める。
少し虚を突かれたものの、自然とそれが笑みに変わり、そんな彼女らと自分自身に苦笑しつつ、勇儀は椅子の上に代金を放って腰を上げた。
「おう、お二人さん。威勢のいいことだねえ」
前方の高い背丈を確認して、お燐は急ブレーキをかけた。
走りには自信があるものの、人型のままでがむしゃらに走ってきたせいか、勇儀の手前までくると額から汗が噴き出た。
膝に手を突っ張って息を吐くと、繋いだ右手が気の抜けたように力を失う。
「ちょっとお燐。あんたさとりを引っ張りすぎだって」
振り返ると慌てた勇儀の腕の中でさとり様がぜいぜいと荒い息を吐いていた。
「あはは、……いや、すみませんねぇ」
「まあいいや。とりあえず、私らの所にゃ席があるから、そこで一息吐くといい」
そこで区切って、勇儀は周りをゆっくりと見回した。
「私らは来るもの拒まずさ。歓迎するよ、さとり」
その不敵な笑顔に唖然とする者達に混じって、方々の鬼が苦笑いをして肩を竦めて見せた。
そんな勇儀を仰ぎ見て、さとり様は小さく頷いた。
風鈴が思い出したかのように揺れて、低い太鼓の音の中でその存在を主張している。
そんなことはお構いなしにざるそばを啜るお燐を見遣ってから、さとりは勇儀に向き直った。
「この度は私と、それから私のペットがご迷惑おかけしてすみませんでした」
隣でお燐の思考がとくんと跳ねた。
溜め息がして顔を上げると、勇儀は面倒臭いといった表情で頬杖をついた。
「この期に及んでまだ謝ろうってのかい? あんたの目はいつからそんなに盲目になっちゃったのさ?」
「貴方の考えは承知しています。けれども迷惑をかけてしまったのも確かですから」
「分かった。あんたは盲目なんかじゃない。馬鹿なんだ。自分の考えばかり押し付ける傲慢だね」
「そうでしょうか……」
目の前の鬼の方が自分の価値観を基準に物事を判断していて直情的に見える。
けれどもそう考えて皆の価値観を反映させようと躍起になることこそが、さとりを盲目たらしめているのだと言われれば、さとりには反論のしようがない。
「ま、どうでもいいけれど私はあんたの後ろめたさまで受け取る気はないよ」
そう言って勇儀はなみなみと注いだ杯に口を付ける。
さとりも思慮に沈んでいるうちに、つられてお茶を啜っていた。
僅かに空いた沈黙を破って、お燐が彷徨っている霊を手繰って軒先の風鈴を揺らした。
「しかしこうも霊が多いと、暑いんだか涼しいんだか分からないですねぇ。鈴虫の音が丁度いい塩梅になりそうですよ」
「いいこと言うじゃないか。確か、屋台の出店表で鈴虫を売る店が出ていたようだから、帰りに寄って行ってもいいね」
そう言って勇儀は腰を上げ、見上げる二人を流し見てにやりと笑う。
その目を見て隣でお燐が何か気付いてにやりと笑った。
「それじゃ、地上にでも行こうじゃないか」
太鼓の音が鼓動を変えた。
「あたいも手伝ったんですよ。ほら」
大通りの人込みを割って、大山車に据えられた巨大な船が姿を現した。
・月夜の帰り道
広場はひんやりとした霊達でごった返していて、それらが熱を奪って秋が一足先に来たかのような涼しさだった。
お燐は一足飛びに船へ飛び乗ると船首にそのまま腰かける。
「おいおい。まだ運んでいる途中だぜお譲ちゃん。一緒に手伝ってくれや」
綱を引いていた捻り鉢巻きの鬼が振り返って苦笑する。
お燐はその鬼に含み笑いを返して、
「あいよ。生憎あたい流に押させて貰うけどね」
そう言ってお燐は周囲の霊を見回す。
めぼしい霊を幾つか見繕うとお燐はそれらを手繰って一撫でし、船の後ろの方へと放った。
配下に置いた霊達はふらふらとしながらも船尾に取りついて船を後ろから押し始める。周りの霊達もつられる様にして幾らか群がっていった。
「普通の霊はあんまり上手く扱えないんだけど、なかなか役に立っているみたいじゃないか」
腰に手を当てて振り返ると鉢巻きの鬼は、あんたの力じゃねえだろと笑って頭を掻いた。
船が広場へ乗り込むのを見届けて、笛の吹き手が曲調を変えた。
それに呼応するようにして、広場に溜まった霊達が一斉に櫓を中心にして回り始める。
「さてと、いけるとは思うが上手く波に乗れるかどうかだね」
甲板を重く叩いて、勇儀がさとり様を抱えて船に乗り込んできた。
二人の間にわだかまりが出来たんじゃないかという心配も杞憂らしい。お燐はこの鬼の大らかさを改めて見直した。
「あたいも手伝うさ。……そういえば、舵取りは舟幽霊に言付けてはおいたけれど、来ているかい?」
「あぁ、あの後向こうから使いの者が旧都の方へ来てね。私らの方で連絡はやり取りしていたんだ。今は中の方に居る筈だよ」
船室の方をあごでしゃくって勇儀は懐から酒瓶を取り出し、甲板の上にそのまま腰を落ち着ける。
「注ぎましょうか」
「おぉ、さすがさとり。気が利くねぇ」
そんなやり取りでくつろぐ二人に破顔して、お燐は船室へと降りた。
「おや、貴方は。ご無沙汰しております」
「あたいこそ。急な用事というのに快く引き受けてくれて有難いよ」
「なんのその、善行を積むことも修行の一環。ましてや私を必要としてくれるのであれば、これ程幽霊冥利に尽きることはないわ」
操舵室の舟幽霊はそう言って微笑んだ。
幽霊とは言っても、妖怪となった幽霊だからなのだろうか。地上でよく見かける幽霊やここいらの地霊とはまた違った雰囲気にお燐は興味をそそられた。
「それはいいねぇ、頼もしい。あんたみたいな念縛霊がいるとは驚きだよ」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ。……私は聖の教えに近づけたのでしょうかね」
「あのお姐さんの考えは知らないけど、あんたが普通の幽霊ともここいらの怨霊とも違う事は確かだねぇ」
そう言ってお燐は懐から青白く揺らめく怨霊を取り出して見せた。
「あたいはそこいらの怨霊や幽霊と少し話せるのさ。櫓の笛が粗方幽霊たちの流れをまとめているけど、あたいも何か手伝えないかってね」
「そうなのですか。それは助かります。
……そう、申し遅れましたが、私は村紗と申します。以後よろしくお願いします」
そう言って差し出された手を握り返す。
「あたいはお燐。地霊殿の猫さ」
不意に外が騒がしくなった。
窓から覗くと、船首に居た鬼の一人が操舵室を見上げて短く、船出だ。と叫んだ。
続いて大山車に結えられていた綱が解かれていく。
「さあ、一仕事ですね。お手伝いお願いします」
「あいよ」
全ての綱が解かれると、船は沢山の霊達の流れに乗ってゆっくりと浮き始めた。
櫓を中心とした霊の流れに乗って、船は緩やかに広場を回る。
笛の吹き手の音色に合わせて、太鼓の音が一段と大きくなった。
「これから太鼓の音と一緒に櫓に火を掛けるんだよ。そうすると霊達が上の方へ流れていって旧都は綺麗さっぱりという寸法だねぇ」
お燐の見るそばから、太鼓の衆が順々に櫓から退いて行く。
「櫓の方へ引っ張られないように舵取りをしなければならないですね」
一言呟いてから後ろの方で村紗が舵を取る音が聞こえた。
青白く光る流れに流されるまま櫓の方へ進路を取っていた船が、村紗の意を受けて進路を変え、霊達の中を進み始めた。
―上げるぞっ!― ―ほいきたっ!―
掛け声とともに櫓に一斉に火が掛けられる。
ゆらりと上がった火の手に連れられて、霊達が作る渦の一端が緩やかに持ち上がる。
彼らは螺旋を描いて旧都の天蓋へと伸びていった。
「あたいらも急がないと乗り遅れちまうね」
お燐は配下に置いた霊達を船の側面へと誘導して張り付かせた。
彼らが流れを受け止めて、船は螺旋の先頭を目指して速度を速めた。
彼らは。ぽつりと吐かれた言葉に振り向くと、村紗は前を見据えたまま呟いた。
「……彼らは、上手く帰れるのでしょうかね」
「さあね。だけど切っ掛けさえあれば、戻れないなんてことはないんじゃないかい」
あんたみたいに。という言葉は胸に仕舞い込む。
それでも彼らと根を同じくする村紗に、この、霊達を使役する祭りがどう映るか良く分からない。
けれど変化を望んだ彼女と同じく、これも彼らにとって一つの変化になることは確かだろう。
「ええ、彼らの為になるかどうか分かりませんが、精一杯手伝わせて貰いますよ」
そう言って村紗は顔を綻ばせた。
突然、外で歓声が上がる。
見ると旧都の天蓋が迫っていた。
お燐は反射的に身構え、けれども思い直してすぐにその構えを解いた。
船首は天蓋に接すると、そのまま遮るものが何もないかのように岩盤へと吸い込まれる。そうして操舵室までも飲み込んで、お燐は辺りの空気が変化するのを感じた。
「ほうほう、話には聞いていましたが、この様な道になっているのですね」
「……あたいも道がある程度にしか聞いていなかったけれどねぇ」
密かに総毛立った全身を震わせて目を開けると、辺りは一面土気色の靄で覆われた様に霞んでぼんやりとしていて、船の形も覚束なかった。
けれども霊達の流れはその中で一際と明るく輝いて見え、不思議なことに人妖の姿もはっきりと分かった。
「よう、お燐。と、寺の船長だな」
いきなり開けられた扉から黒い尖り帽子が顔を覗かせる。
祭りの事は、お燐から直接言ってはいないから、にとりから聞き出したのだろう。
既に酔いが回っているらしい魔理沙はそのまま窓枠から身を乗り出して辺りをきょろきょろと見回した。
「しかし良く分からん場所だな。下の奴らに聞いてもただ単に道だとしか答えないんだが、一体なんなんだここは? なぜ船が地面にぶつからずに地中を素通りする?」
「あたいにも分からないね。幽霊がぶつからないんだからあたいらもぶつからないんじゃないのかい?」
「私は幽霊になった覚えはないぜ」
「あまり詳しくは思い出せないのですが、聖輦船を地上に出す際もこの様な感触だった気がしますね」
「つまり地底と地上との間には当たり判定はないってことなんだな」
そう言って魔理沙はひとしきり頷いた。
そうして何か口を動かそうとして、
空気が、変わった。
薄暗い靄が一気に晴れて、船全体が幽霊よりも一層青白い光に包まれる。
「おわ、地上に出た……のか?」
魔理沙のいぶかしむ声に外を見渡すと、ずいぶんと下の方に夜気を含んだ森が広がっていた。
けれどもその光景はやけにぼやけて見えて、まるで陽炎を挟んだ向こう側の様な景色だった。
「しかし月だけは本物の様ですね」
村紗が窓から半身を出して目を細める。
お燐も同じようにして顔を出すと、部屋とは比べ物にならないほどの光量に思わず目を伏せた。月の光が粒になって顔中に降り注ぐ、ともすれば痛みにさえ感じられるような感触にお燐は顔を引っ込めた。
「ほほう、……まあどれだけ高い場所にいようと月は月だな」
魔理沙は窓枠に腰掛けて、半身を外側へ傾ける様に投げ出して月を眺めていた。
「やっぱり月は明るいのか暗いのか良く分からないねぇ。目がしぱしぱするよ」
「そうですか、でも綺麗な景色ですよ」
「猫なのにか? いや、猫だから夜目が効き過ぎるのか」
ふんふんと一人合点すると、魔理沙はまた夜空を仰いだ。
細い首筋はすらりと伸びて、見入っていて気が付かないのか、少しだけ口が開いている。
普段動いてばかりいる魔理沙の放心している様は、白い肌が月の光を映しているからなのか、不思議と目が吸い寄せられた。
人間だか人形だか良く分からなくなってきた魔理沙を見つめていると、同じように窓から身を乗り出して眺めていた村紗が、目を瞬かせて頬杖をずらした。
「おや、着きましたね」
「あ?……あぁ、とりあえず終点と言った所だな」
外の騒がしさに視線を転じると、幽霊が作る道の少し先で緩やかに淵を作って、それから彼らは散り散りに散らばり始めていた。
「それにしても見ている分には綺麗だな、幽霊だが。まるで間欠泉みたいだ」
「間欠泉とは違って冷たいけどねぇ」
「なに、こんなに月夜な時は冷たい方がうってつけだろう」
「確かに涼しい晩の満月は、格別にお酒がおいしくなりそうで……?」
不意に部屋全体がギシギシと軋む。
ぼうっと見上げていた魔理沙も我に返って辺りを見回した。
「おいおい、月見だというのに屋根の下に引き篭もっていちゃ、台無しだろう?」
上ずった陽気と共に、屋根が悲鳴を上げて千切り取られた。
舞い散る木屑の向こうから勇儀が顔を出してニッと笑う。
「おい鬼。いくらなんでも景気が良過ぎるだろ」
「やあ人間。あんたの伝手に世話になったよ。寺のあんたもさ。だからほら、こんなに景気がいいんだ」
そう言って自分の杯よりは小振りな、と言っても升より大きいのだけども、そんな杯を取り出して零れるまで瓶を傾ける。
そうして踵を返そうとする魔理沙と村紗の肩をがっしりと掴んで微笑んだ。
「少し注ぎ過ぎたかもしれないわね」
そう言ってさとり様が部屋の内外に散らばった瓦礫を縫って来た。
良く見ると顔が火照っていて、言葉とは裏腹ににやけた顔をしている辺り、さとり様も十分に出来上がっているらしい。
「なによ、お燐。あなたは酔ってないくせにずるいわね。もっと注がれちゃいなさい」
そう言って小さな酒瓶を取り出す。
そのラベルは地霊殿の中庭の一角で、鬼やとある妖怪の依頼を受けて作っている酒気の強い、数寄者が好む様なお酒のものだった。
「こんなに強いものを注いでいたのですか」
「えぇ、皆にも注いできましたから。次はお燐の番ですよ」
そんなにも上気を零すさとり様を見遣って、お燐は腹を括って渡されたグラスに口をつける。
焼け付くような液体が喉の奥を通って行くと、不思議と視界が澄んでくるのが分かった。
「ほら、いい顔になったわね」
辛うじて残っていた屋根の下から出ると、さっきまでとは違って眩し過ぎない、ただどこまでも円い月が見下ろしていた。
そのままぺたりと腰を下ろすと、さとり様も隣へ来て腰を落ち着けた。
「綺麗ね、お燐」
「えぇ、満月をこんなにもはっきりと見るのは、あたいがまだ猫だった頃以来でしょうねぇ」
「私も月ですら」
そう言うとさとり様は自分のグラスを両手で包んで、少し口に含む。
辺りはいつの間にか幽霊の淵に到着したらしく、船の周りそこかしこからぼんやりとした青白い光が立ち昇って、そうして段々と小さくなっていった。
「……変わらないわね」
「そうですね」
さとり様も、まさか地霊殿を抜け出して縁日の大通りを駆け抜けた挙句、地上にまで出張って月見と洒落込んでいる自分自身に驚いているのかもしれない。
けれどもやっぱり勇儀姐さんや皆と一緒になって、そうして楽しんでいるさとり様を見られたので、お燐の無茶もあながち間違ったものではないのかもしれないと思う。
「無茶は無茶ですけどね」
「えへへ、すいません」
「だからもっと注がれちゃいなさい」
おとなしく、というよりはまんざらでもなく差し出すと、さとり様は顔を綻ばせて瓶を傾けた。
「ありがとうございます」
「私もよ、お燐。今日はありがとう」
一緒になって月を見上げると、さとり様の肩と触れ合った。
「そうそう。祭りなんだから、楽しんだ者勝ちってことだぁね」
振り返ると、いつの間にか勇儀が後ろの壁に寄り掛かって笑っていた。
視線が合うと、大股に歩み寄ってお燐の隣、さとり様とは反対側に腰を掛ける。その向こうで魔理沙が潰れかかっている村紗へ向かって、そんなことなどおかまいなしに談笑しているのが見えた。
「勇儀さんも、今日は本当にありがとうございました」
「はは、いいってことさ」
「あたいとしてはどうなることかとも思ったけれど、それも含めて上手くまとめてくれるのは、さすがは姐さんだよ」
「あんたが行動を起こしてくれたからこそさ、お燐。私は今まで通りを通しただけだね」
そう言って勇儀は手で煽った。
そうして仰ぐのにつられてお燐もまた月を見上げる。
「私も月を見るのは久しぶりだね。地上に未練はないけれど、それでも懐かしく思うよ」
勇儀がそう呟いて杯に口を付けようとした時、不意に操舵室の脇の小部屋で轟音が響いて、橙色の火が尾を引いて飛んで行った。そうして見るうちに月の傍らまで届くと、どーんという音とともに朱色の花を広げた。
「なんだ、河童が用意した信号弾とやら、要は花火じゃないか。気前のいいことだな」
突然の花火に部屋の外がやいのやいのと騒がしくなる。
花火は一発目に引き続いて次々に打ち上がっていき、その度に歓声が沸き起こった。
数発の後、最後の玉なのか一際大きい花火が打ち上がるのを見届けて、お燐は勇儀を小突いた。
振り返った勇儀に笑みを投げて頷く。
「それじゃまあ、乾杯と行こうじゃないか」
「お、乾杯か? 私も混ぜてくれよ」
聞き付けた魔理沙が顔を真っ赤に火照らせて、ふらつく村紗を引っ張ってにじり寄ってきた。
「ふふ、では注ぎましょうか」
「ははは、あの時とはやけに人数が増えてしまったが、これもまたいいってことかね」
「末広がりって奴かねぇ」
「それは、……何か違う気がします、ね」
それぞれの器に酒が満たされて、各々が杯を掲げる。
「それじゃあ祭りの成功に、乾杯」
―乾杯!―
グラスを通して映る月を目に焼きつけて、お燐は一息に呷った。
振り返ると勇儀がにやりと笑って杯を干した。
幽霊たちは相も変わらず後から後から湧き上がっては三々五々、幻想郷中に散らばっていく。そうやって在るべき場所に帰って行くのだろう。
そんな様子を眺めて、お燐は段々と意識が覚束なくなってくるのを感じた。
既にお燐の肩にもたれ掛かって寝息を立てているさとり様を起こさない様にして、お燐も勇儀に寄り掛かる。
勇儀が振り返ったか振り返らなかったかは良く分からないうちに、お燐の意識は気だるい霧の中に溶けて行った。
にとりの用意したブースターが活躍するのはまた別のお話。
不思議ですね、この作品。いいと思いますよ。
そして俺も意識がけだるいきりのな…(ry
お読みくださりありがとうございます。
私自身気だるい雰囲気が好きなので、このような作品に仕上がってなから気に入った作品になったと思います。
これからの展望として、気だるいながらも緩急を付けてハッとさせるような作品を目指すよう精進していきたいです。
この度は貴重な感想をいただき、本当にありがとうございました。
精霊船で月見酒なんざまったくもって粋でげすな。
お祭りの雰囲気も良く出ている。こう、心がわき立つような、それでいてちょっぴりしんみりするような。
キャラもまた良し。
勇儀姐さんは、らしいの一言。
さとり様、良かったね。幸せ者だ、貴女は。
にとり、椛、お空、水蜜、魔理沙。登場シーンは短いけれど、皆きっちりと存在を主張している。
そしてお燐。
この、自分の出来る範囲でゆるく頑張る姿がとってもグッド。
いいオンナだぜ、ホント。
遅ればせながら初投稿おめでとうございます。
素敵な作品をありがとうございました。
>つっけどんな言葉を吐いて、狗天狗は睨んでくる →突っ慳貪(つっけんどん)、かな
>「おぉ、さすがさとり。気が効くねぇ」 →気が利く、でしょうか
この度はお読みくださり本当にありがとうございます。
設定をお褒め頂き、只今画面の前でにへら顔を抑えるのに苦慮しております。
これからもこの様な風合いを更に鮮やかにするべく書いていきたいです。
誤字指摘についてもありがとうございました。
…実はずっと『つっけどん』という音だけで覚えていて辞書を引いていなかったので助かります。orz