レアメタルディテクターしちゃうの。なんてどうかしら?」
白蓮が満面の笑みで聞いてきた。どこか自信有り気に見えるのは何なのだろう。
とりあえず私は持てる全ての知恵を振り絞って問われた意味を必死で考える。そして出た結論は、
「………は?」
疑問である。当たり前だ。いきなり現れてこんな質問されたら誰だって疑問を返さずにはいられないだろう。
私は至極当然の返事をしたのだ。脳内ダウジングで探し続けたが検索結果は0件だった。
ここで、「わぁ!それすごくいいですね」なんて賛同する者などいるはずがない。もしいたとしたら、そいつの
個人情報調べ上げて私のサイト『チューちゃんねる』に書き込んでやる。
などと全うな考え方をしていたら、白蓮の笑顔が暗くなっていく。せっかく徹夜して考えた素敵なアイディアだったのに、
と言いたげな顔をしている。
「せっかく徹夜して考えた素敵なあいであだったのに…」
「本当に言ったよ、このひと!しかも横文字が言えてない!!私のスペカ名は言えてるのに!?」
「やっぱり、ゴールドディテクターの方が好かったかしら?」
「いや、一体何を言ってるのか私には全然さっぱりなんだが」
悪意を微塵も感じさせないでこんなこと出来るとは、さすがはご主人様が慕っているだけのことはある。
謎の感動を覚えてしまったが、一応聞いておかないといけないだろう。
「まずはきちんと説明をしてくれないかい?貴方は何を私に尋ねていたんだ?」
「だから、恋するナズーリンはせつな」
「それはいいから!ていうか声に出さないでくれ、いろいろ恥ずかしい!内容を教えてくれるだけでいい」
あーなるほど、と手をポンと叩いてやっと説明が始まる。
「これはね、作戦よ」
「作戦?」
「あのね、ナズちゃんは一輪ちゃんと水蜜ちゃん。二人に距離を置いているでしょう。いいえ、二人だけじゃない。
私達、命蓮寺にいる者から貴方はいつも一歩引いている。確かに貴方は私と星ちゃんにしか毘沙門天の部下
であると正体は明かしていない。星ちゃんの手下として振舞っている。昔はそれで良かったかもしれないけど、
今は昔とは違う。貴方もみんなと仲良くして欲しい、ただの居候としてではなく、家族の一員として一緒に笑いあえる
仲になりたいと私は思っているの」
その言葉にドキッとした、聖の言った事が当たっていたから。私は立場上、できるだけ距離をとるようにしていた。 親しくなると、
毘沙門天への報告の任務に支障をきたす恐れがあるかも知れないと考えたからだ。最初は別に仕事だと割り切って気にしない
でいられた。
しかし、聖を救出したときのみんなの一生懸命な姿、想いの強さを見てから自分の気持ちに変化がおきた。命蓮寺のみんなの
ことが気になってしまうのだ。楽しそうにしていると自分も交ぜて欲しいと羨ましくなる。
私だって本当はみんなと仲良くしたいと思っていた。だが今まで、ただの部下として偽り、過ごしてきたから今更仲間に入れて
もらえるわけが無いと思い込んできた。仲良くなる方法なんてどれだけ考えてもわからなくて、行動に移せないでいた。
この人は普段ぽやや~んとしている様に見えるが、実はしっかりと周りのことを見守っているのだ。私が悩んでいる事に気づいていくれた。
「そうか、気遣い感謝します。だがね、私もどうしたらいいのか判らないんだ。仲良くなる方法をサイトで探してもみたが、
結局そんなもの見つけられなかったよ」
ダウザー失格だな、と自分を皮肉ってみる。
「そんなことはないわ。私は嬉しい。ナズちゃんもみんなのことをちゃんと想っていてくれていたのね。一人でダメなら二人で、
私も力になりたい。だから昨日寝ないで仲良くなれる方法を考えてきたの」
なるほど、これで理由は納得できた。
私の為に寝る間も惜しんで考えてくれていたんだ。まさに聖母といえるべき優しさを持っている人、ご主人様達がべた褒めするのもわかる。
聖母(せいぼ)ではなく、聖母(ひじりママ)と呼ぶべきだ。感動で涙が出そうになる。でも、それを必死に押しとどめた。
もう一つだけ聞かないといけないことがあるからだ。
「で、なんでそれがタイトルと関係あるんだい?」
「たいとる?」
「だから、恋するナズー…って私に言わせないでくれ!狙ってやってるでしょう!」
「?、何を狙うのかわからないけど、私が考えたのはナズちゃんのいめーじあっぷ大作戦。いつもナズちゃんはくーるって言うの?
冷静で物静かにしているからみんなも話しかけづらいと思っているはず、ならそれを変えてみることで新しいナズちゃんの一面を
出せたらみんなも親しみやすくなれると思うの」
人差し指を立てながら聖が作戦とやらの詳細を話し始める。うぅむ、いい所を突いているな。さっきから横文字のとこだけ危なげだが…
「そう一輪ちゃんが持っていた本に書いていたわ」
「って本ですか!?徹夜して考えたって言ったじゃないか!」
「徹夜はしたわよ。レアメタルディテクターか、ゴールドディテクターで決めるのに随分苦労したわ。私としてはレアメタルディテクターの方が
いいかと思ったんだけどね。ナズちゃんの為だからゴールドディテクターにします」
作戦名を決めるための徹夜かよ!横文字がおかしいのも本で見て意味も分からず使っているのだろう。いや、作戦名自体にも意味はなさそうだ。
どう?かっこいいと思わない?と言いたげな顔を
「どう?かっこいいと思わない?」
あ、やっぱり言うんだ。しかも私はまだ認めていないのに勝手に決まってしまった。ダメだこの人、早く何とかしないと…
そう頭の中で思うが、これは私のことを想ってやってくれているのを思い出す。誰かと関わることを避けてた自分の為に。
この優しさに答えてあげないでどうする!私だって変わりたい、みんなと仲良くお喋りしたい。遊びたい。ならばやるしかないんだ!
輝かしい未来の為に。
「…わかったよ、聖。私はその作戦に賭けてみる。自分を変えてみせる!私は何をすればいいんだ?」
「おお!いつになくナズちゃんが燃えている。いいわ、一緒に仲良い家族の道に向かって突き進みましょう」
手と手を取り合いお互いに決意を秘めた顔になる。そして聖が私に耳打ちしてきた。
「ナズちゃんがやることは…ヒソヒソコショコショナムサンナムサン」
「え゛っ?!本気ですか!」
早くも決意したことを後悔しそうになる。でも聖は満面の笑みを浮かべて、
「うん、きっと成功するわ。これでナズちゃんも立派な家族になれます。これこそ名づけて!」
指を高々と天に伸ばし、高らかに叫ぶ。
「恋するナズーリンはせつなくてご主人様を想うとすぐペンデュラムガードしちゃうの!」
作戦名が変わっていた。
作戦1.一輪と水蜜の場合
「いきなりやりづらい二人じゃないか!」
「まあまあ、確かに難しいかもしれないけど、あの二人と仲良くなることが出来たらもうほぼ完璧でしょう。ほら、かの有名な妖怪も
言っていたわ。『当たって砕け、うらめしや~!』って、だから大丈夫」
「待て、それだとその後は当たって砕けることになるじゃないか」
頭の中に唐傘を持った少女を思い浮かべる。あの子の行動力とポジティブさは参考にしたい。ただ、彼女の場合は何も考えて
いないんだろうが。そう考えてるうちに、
「ほら、二人が帰って来たわ。教えた通りにがんばってね、ナズちゃん」
そう言って聖は物陰に隠れた。こっそりと見守るつもりなんだろう。私はというと焦っていた。一輪と水蜜、この二人は 聖救出のときも
ただの探し物役としてしか関わっていない。ネズミ呼ばわりされていたが別に気にしてはいなかった。だが聖を助けたとき、恥もプライドも
捨てて大泣きしている二人を見た。そんなものより慕っている人に会えた喜びの方が勝っていたのだろう。私はプライドを捨てて二人のように
泣くことが出来るだろうか?想像したが出来そうになかった。そのとき、初めて二人に興味を持った。話をしてみたいと。命蓮寺の中で
最も仲良くなりたいと思ったのが、この二人だった。
その二人が玄関から入ってくる。今日は博麗神社でイベントがあったらしく、朝早くから二人して出かけていたのだ。
「ただいま~。いやぁ疲れましたね。でも最高のイベントだったわ」
「ただいま戻りました。ええ、欲しい本も手に入りましたし。でもあのサークルの行列には驚きました。まさか一時間近くも掛かるとは。
ルート選択を間違えたかと冷や冷やしたものです」
「ああ~、サークル『こーま缶』のレミ×フラ本ね。あそこは人気あるから気をつけてって言ったじゃない。しっかし、一輪は本当に姉妹モノが
好きだよね。私は『卑挿天』の萃×天本が手に入ったのでホクホクです。さあ、これから戦利品を確認する作業に移りましょう!」
「イエッサー、キャプテン!!」
そんな楽しそうな声が聞こえてきた。心臓がバクバクしている。逃げてしまおうかと考えが頭をよぎるが必死で押しとどまる。やるしかない。
私も一緒にイベントに行ったり、カップリングについて朝まで語り明かしたいんだ。主従モノこそが至高だと説明したい!
スーハー、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。廊下の角から聖も熱い視線でエールを送ってくれる。
いざ、南無三―――!
「や、やあ、おかえり」
「あ、ナズーリン。え~と、ただいまです」
「留守番お疲れ様です。何か変わったことはありましたか?」
さっきまで楽しそうにしていた二人の態度に変化がおきる。水蜜は愛想笑いを浮かべ、一輪に至っては仕事モードに切り替わっている。
空気が乾いていくのが分かった。
ああ!ダメだ、これはまずい。早く作戦に移らなくては!
「そうだよ!みんなのナズーリンだよ☆変わったことなんてぜーんぜんなかったわ。いつもの平和で安全、みょーれんじ!」
きゃるん☆身振り手振りを加えて可愛らしく言ってみた。
「「………」」
「でも、いっちーとみなみなが居なくて、私とっても寂しかったの★…帰ってきてくれてとっても、とーっても嬉しいなぁ」
瞳を潤ませ、上目遣い。
「「……………」」
「えへへ~」
笑顔も加えてみる。
そう、聖が耳打ちしたことは、いつものクールな態度じゃなく、可愛いらしい、子供のような甘えっ子キャラで接してみるというものだった。
曰く、「これで気になるアノコも自分に胸きゅん間違いなし」らしい。
私は自分に出来る全てを出し切って甘えっ子を演じてみた。二人の反応は―――
「「…………………………………」」
反応は無かった。二人とも口をポカーンと開けて固まっている。信じられないものを見たかのような顔で。
あれれーおかしいな?と思いつつも、聖がもっと押せ!とサインを送っているのを感じた。
「疲れてるんでしょ。私が荷物運ぶのお手伝いしてあげる。ナズーリンにおまかせ☆」
そう言って荷物を持とうと手を伸ばしたら、
「い、いや大丈夫です!自分で運びます!」
「わ、私も疲れてなんていないので遠慮させて頂きます!ありがとうございましたー!」
ダバダバダバ~と二人とも勢いよく走り去ってしまった。私一人だけが取り残される。今度はこっちが固まってしまった。
そこに聖が恐る恐る寄ってくる。
「ナ、ナズちゃん…あ、あのね」
「う、うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!!引いてた、二人ともめちゃくちゃドン引きだったあぁぁぁぁぁ!!!」
頭を抱えて転げまわる。恥ずかしくて死にそうだった。
作戦2.ぬえの場合
「こ、今度はぬえちゃんだから比較的易しいはずよ。ナズちゃんと見た目も近いから親近感も沸きやすいと思うわ」
聖が励ますように作戦内容を説明する。さっきのは無理矢理すぎたから、今度は別の作戦になった。それは、
「プレゼント作戦よ!これで好きなアノコも自分にどっきどき間違いなし」
「あ、ああ、がんばるよ。ありがとう」
プレゼントを渡す。ただそれだけ。新しい一面を見せるのが目的だったはずだが、イメージアップには変わりないということで採用された。
もうなりふりかまってられねぇ。
次のターゲットは最近住み着いた正体不明の妖怪。新人の癖に私よりもみんなと仲がいい。パルパル。いたずら好きで見た目相応な
子供っぽいところがあるが、根は素直で、悪いと思ったらちゃんと謝ることのできる良い子。ある意味、私と正反対な性格をしている。
一緒にいると飽きなさそうな女の子だ。
さっそく彼女の部屋の前に来ている。プレゼントは聖が準備してくれた。ちゃんとぬえが欲しがっているものにしたということで期待が出来る。
今度こそ失敗は許されない。トントン、聖も後ろから肩を叩いて落ち着かせてくれる。もう一度深呼吸を行い、気合を入れる。トントン、
いざ、南無さ――トントン―ん!ってしつこいよ、聖!注意しようと後ろを振り向く。だがそこには、
「なにやってんの?ネズミ」
ぬえの顔があった。あれれれ~聖がいたはずなのに、どこに行ったのかな?そう思い目だけを四方に動かす。そして、見つけた。
突然だがここで1つ想像してほしい。美人で優しくおっとり系の天然お母さんキャラがいたとしよう。うん、完璧だ。これに心奪われない人など
いるわけが無い。しかし、その人が天井に必死でしがみついていたらどうだろう?萌えるだろうか?答えはNOだ。…というより、
「逆に怖いわーーー!!」
あまりの状況に、おもいっきり突っ込んでしまった。もちろん、目の前にいるのはぬえである。
「わあ?!な、なによ!ヒトの部屋の前に突っ立ってるから何か用かと思って声掛けただけなのに、怖いだなんて…酷いよ」
怒鳴られたと思ったぬえが泣きそうになる。私は慌てて弁解するように、
「違う違う!今のはぬえに言ったんじゃない。ちゃんと用があって来たんだよ!ぬえの為にプレゼントを持ってきたんだ。
ほら、確か今子供たちの間で流行ってるっていうコマのおもちゃ!」
「え!?ま、まさか『てゐブレード』!小傘たちが持ってて私だけ持ってなかったの。買ってきてくれたんだ!」
おや、これはかなりいい感触ではないか?ここまで喜んでくれるとは可愛い子だ。あの詐欺うさぎもたまにはいい物を作るじゃないか。
聖もナイスだ。このまま一気に攻めきるしかない!
「ははは、そうだよ。君の為に買ってきたんだ。さっそく開けてみるといい」
プレゼント袋を渡し、その言葉でぬえが嬉しそうに包みを開ける。が、急激に顔が曇っていくのが見て取れた。
袋から出てきたのはコマである。確かにコマではあったが……中国ゴマだった。ありがたいことに両面には『龍』と書かれている。
ありがたすきて涙が零れそうになる。聖、これ偽物だよ。放心しかけたが事態はそれどころじゃなかった。ぬえが泣きだした。
「や、やっぱり私のこと馬鹿にしているんだ。新人の癖に私がみんなと仲がいいから気に食わないんだ。パルパルしてるんだ。だから、
こんな意地悪するんだ。う、うぅ…」
「だから違う!馬鹿にするつもりなんてこれっぽちもない!まさかこんなものが出てくるとは思わなかったんだ!」
ちょっと当たってて後ろめたいが、必死で慰めようとする。だけど、ぬえは聞く耳を持たない。泣きたいのはこっちだった。
「もういい!ネズミなんて嫌いだ!せっかく友達になれると思っていたのに、一緒に遊べると思ったのに!」
うわあああああああああん!!!
バタンッ!泣きながら部屋に入りドアを閉められた。扉越しからでも泣き声が聞こえてくる。しかし、もう私の声は届かないだろう…
声を掛けるのを諦め、その場から離れる。誰もいない居間まで行き、手を頭に乗せる。そして、おもいっきり叫んだ。
「やっちまったーーーーーーー!!!!!!」
そのまま私は現実からフェードアウトしていった。あ、赤い髪の死神がお酒飲んでるよー。交ぜて欲しいなー。うふふふふ…
ふと、目が覚める。死神が飲酒運転で捕まってしまったから私は引き返す羽目になった。朦朧とした意識の中で暖かい感触を頭に感じる。
いつまでもこうしていたいと思わせるいい匂いもした。意識が戻ってくる。目の前にいたのは聖だった。私を膝枕して、頭を撫でてくれていた。
「気がついた?急にいなくなったので探してたら居間で貴方が倒れていたの、心配したわ」
迷惑をかけてしまったらしい。もう大丈夫だと起き上がろうとしたら、手で止められた。そして、聖はとても悲しそうな顔をして私に謝罪をしてきた。
「ごめんなさい。私の勝手な思いつきでナズちゃんを傷つけてしまった。貴方の考えを無視して無理矢理押し付けてしまった。
また、私は間違ってしまった…」
頭を撫で続けながら涙を浮かべる。
「本当にごめんなさい、昔から私はみんなに迷惑ばかりかけてしまっている。こんなんじゃあ、人間と妖怪の平等な世界なんて創れるわけがないわよね」
僧侶失格だわ、と自分を皮肉っている。
「そんなことないよ。私は嬉しかった。聖は私のことをちゃんと想ってやってくれた。最初に言ってただろ?『一人でダメなら二人で、
私も力になりたい』って、あれは嬉しかった。私にもできると思えた。無理だと諦めかけていた私を奮い立たせてくれたのは聖、貴方だよ」
これは私の本心だ。確かにいろいろずれたところもあったが、今日一日で今までに無い経験をさせて貰えたのは感謝すべきだろう。
多分、聖がいなかったら何もできない、これまでと変わらず寂しい距離をとる生活が続いていたはずだ。
「ただ私の努力が足りなかったんだ。やるといったのに全部聖任せで、実際私は何もしていなかった。それじゃあ仲良くなるなんて夢のまた夢だよ」
「…ナズちゃん。違うわ、やっぱり私が」
まだ謝ろうとする聖の口を手で塞ぐ。今度こそ置き上がって、背伸びをする。
「安心して、まだ諦めたわけじゃないよ。ちゃんとみんなに認めて貰えるまで努力し続けるさ。開いた距離を一歩ずつ近づけていくとしよう。
時間が掛かってもね。さあて、次は何をしようかな?」
命蓮寺にはいくつか決まりごとがある。聖がみんなで一緒にいる時間を大切にしたいと考えたことだ。晩御飯の時間もその一つで、
全員そろって食事するという決まりになっている。
そして今はその時間、いつもならみんな賑やかにご飯を食べているが今日は違っていた。いただきますはしたが誰一人として食事に手を
つけていない。みんなが私を変な目で見ているのがわかる。いつもは食べながら喋り続けるぬえさえも静かだった。聖はなにか言いかけるが
言葉を飲み込んだ。
とてつもなく気まずい空気が流れている。そんな中、
「いやー今日のご飯もおいしいですね!」
私のご主人様である星が空気を読まずにパクパクと夢中に食べている。
「とくにこの肉じゃがなんて絶品です!さあさあ、みんなも冷める前に早く食べたほうがいいですよ。こんなにおいしいもの食べなきゃ損です。
いらないなら私が全部食べちゃいますよ~。なんちゃって、あはは」
ご主人にせかされてやっと全員が箸を動かす。みんなで薦められた肉じゃがを一口食べる。
「あ、ホントだ。凄くおいしい」と水蜜が目を丸めた。
「確かに、ジャガイモも柔らかくて食べやすいです」と一輪が感想を述べる。
「メ、メシウマーー!!」ぬえが勢いよく食べ始める。
「今日の夕飯は誰が作ったのですか?この味付けは白蓮のものではありませんよね?」星が口をモグモグと動かしながら尋ねた。
「え、ええ、私は今夜のご飯を作っていないわ」聖が笑顔で否定する。
みんなで不思議がっている。貴方が作ったの?私じゃない!と応酬が行われる。聖がこっちに目を向けて、こくんと頷いている。作戦の合図。
おずおずと手を上げる。そしたらみんなが一斉にこちらを見た。恥ずかしい。だが、聖とあの後、ちゃんと話し合って最後の作戦を決めた。
私が晩御飯を作りたいと気持ちを伝えると笑顔でがんばってと言ってくれたのだ。
「きょ、今日は私が作ったんだ。みんなに迷惑かけたから、その謝罪の意味も込めて聖と代わってもらったんだ。少しでも美味しいと思ってくれたら
嬉しいよ。あと、今日はごめんなさい…」
頭を下げる。みんなが黙り込んだ。また失敗してしまったかと思ったとき、水蜜が言葉を発した。
「実はさっき、聖が私たちに今日のこと説明しに来てくれていたんです。私たちと仲良くしたかったんだよね?それであんなことしたと、帰ってきて
いきなりビックリさせられたけど、とても可愛かったわ。ナズーリン」
「私もそうとは知らず無礼な態度をとりました。謝罪をいたします…いいえ、堅苦しいのは抜きですね。ごめんなさい。ナズーリン」
一輪も続いて謝ってきた。ぬえも照れた顔で頭を掻きながら話す。
「わ、私も怒鳴ったりして悪かったと思っている。プレゼント貰ったのも初めてだったから本当は嬉しかったんだ。だから今度一緒に小傘たちと
中国ゴマで遊ぼうよ!」
「みんな………ありがとう」
少しだけ涙がでてきた。幸せなときでも涙がでてくるものだと初めて理解できた気がする。
この日、やっと命蓮寺が一つになった。円の外から見ているだけだった心が、円の中へついに入ってきたのだ。家族という素晴らしい円の中に。
「それじゃあ、ご飯を食べよう。おかわりする者はいるかい?まだたくさんあるから遠慮しないで言ってくれ」
そう言うと、おかわり!、それじゃあ私も。とみんなが皿を差し出す。自分の料理を気に入って貰えたようで嬉しかった。皿を受け取り立ち上がると、
隣でおいしそうに食べ続けている星の頬に米粒が付いてるのを発見した。やれやれ、困ったご主人様だと思い、取ってあげようと手を出そうとしたが
あいにく両手は皿で塞がっていた。
仕方なしに顔を近づけて、
パクッ
口で米粒を取る。ちなみにここまでほとんど無意識で行った。ハッと気づいたときにはみんなが顔を赤くしながらニヤニヤと笑っている。
「おお、あついあつい」
「クスッ、ナズ×星ですか。気にはなっていましたが、やはりそこまで進んでいるとは」
「メシマズ!!」
「う、うるさい!今のはご主人様がみっともないから直してあげようとしただけだ!もう、気をつけてよ、ご主人…あれ?」
星が固まっていた。頭から湯気が出ている。
「ふ、ふふ…」
「大丈夫かい?ご主人様」
「ふおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
ボンッ!と爆発した。ナズーリンが慌てている。それを他の者がキャーキャー茶化す。
騒がしい命蓮寺が戻ってきたと聖は思う。でもそれがいいと、これからもずっとこの素敵な家族と一緒にいられることを心から願う。
ねえ、ナズちゃん知ってる?
距離を縮めるとき、お互いが向き合って一歩ずつ進んでいけば、一人のときより早く相手にたどり着けるんだよ。
あとおすすめ本も売って下さい頼む!
それはさておき、やっぱりみんな仲良しが一番だと思いました。
不覚にも
ナズの可愛さもさることながら、不意打ちのようなナズ星が
星蓮船ファミリー最高
全面的に同意です。
なんて和ましくてうふふなみょーれんじ組・・・ッ!!
あと最初の方で
>自身→自信
しかしあれですな。なんというタイトルホイホイ。
あとひじりママは素晴らしい。
この毘沙門天はもうダメだwwww
にしてもひじりママ・・・
>死神が飲酒運転で捕まってしまったから
こまっちゃんなにしてんのw
普通にホラーw
「バールは友達、怖くない!!」www
怖いよw
>「メシマズ!!」
特にここで笑ってしまったw
お馬鹿で仲良しな命蓮寺組が新たなジャスティス
ナムサンの汎用性が高すぎるwww
>聖母(ひじりママ) あなた特許出願しましょう。
193の新作を楽しみにしています。先生頑張ってください!
次も楽しみにしてます
あと虎www何描いてるwwwwwwww
そしてひじりママに脱帽。求特許
悟りを開けました
今回さいしょからずっと白蓮ぶっ壊れ過ぎwwwwwwww
あんたナズーリンになにさせてんだwwwwwww
天井にしがみつくとかボケが進行した老人の奇行ってレベルじゃねえwwww
星蓮船組のギャグが増えて嬉しいかぎりよ。
寅の穴にも売ってないんですけどー!!