Coolier - 新生・東方創想話

文の考察

2013/02/06 23:24:28
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「射命丸文は永江衣玖だったのです!」

衣玖を探していると鴉を見つけた。鬱陶しいやつがいたと思ったけど、仕方なく声をかけてみる。
予想以上にウザイ答えが返ってきただけだった。

「…って、意味がわかんないわよ!この妄想新聞記者!!」

まさに妄想。何言ってんだこいつ。話しかけるんじゃなかったわ。

「あやややや…妄想じゃないですよ。てるこさん」
「誰がてるこよ!せめて『てんこ』にしなさい!どこぞのニートと勘違いされちゃうでしょ。…大体、あんた竜宮の使いじゃなくて鴉天狗じゃない」
「それがそうでもないんですよ。私の能力知ってますか?」
「風を操る程度の能力でしょ。それが衣玖と何の関係があるのよ」

ふふん、と自慢するような、馬鹿にするような顔で話し始める文。非常に不愉快ね。

「風を操るということは、風を利用したこともできるのです。
例えば噂。風に乗ってやってくる噂話を聞きつけたり、噂を広めたりすることができるのです。なんせ記者ですから!」

なるほど。本当に出来るかどうかはわからないけど、風を操るから遠くの会話が聞こえたり、逆に風に乗せて噂話を広めたりできるということね。
でもそれが衣玖と何の関係があるのかしら。いまいち要領を得ないわね。
あと記者なら根も葉もない噂を広めるな。

「つまり私は風を読むことができるのです。風が吹く方向を読み取るだけでなく、風がもたらす噂話も読み取ることができる。
そう、私は空気が読める…つまり私は永江衣玖なのです!!」

「まてまてまて。今、話がブッ飛んだわよ!ものすごい方向に。
あんたの言う『空気』っていうのは大気を流れる気体であって、衣玖の『空気』は場の雰囲気のことでしょ。」

頭がおかしくなったのかしら。このカラスは。いや、おかしいのは元々だったわ。
危ないから要石でも刺しといて固定しておこう。
……よく考えたら、衣玖の『空気を読む程度の能力』ってその場の雰囲気もだけど天候とか気質を読むってのもあったわね。まあいいわ。

「あやややや!要石は困ります。私は自由で可愛くなおかつ美しい鴉天狗なんですから。購読者が悲しみます」
「いつのまに心も読めるようになったのよ。あと購読者なんてあんたの眼球の数しかいないでしょ。
それで?空気が読めるからってなんで文が衣玖なのよ」

やっぱり後で刺しとこう。緋想の剣で。

こいつどこでも突っ込んでいくから私と同じ属性だと思ったんだけどな。
まさか!…それ以上だというの!?なら緋想の剣とか突っ込「違いますから!一緒にしないでください!というか購読者どんだけ少ないと思ってるんですか!?」

くそぅ。さとりかこいつ。

「眼球じゃないなら指の数くらい?」
「ナ、ナニヲイッテルンデスカ。チガイマスヨ」

目が反復横跳びしてるわ。いいもの見れた。

「話を戻しますね。天子さん。三段論法というのをご存知ですか?」
「ええ。A=B。B=C。故にA=Cというようなことよね。…もしかして」
「そうです!射命丸文=空気が読める=永江衣玖
射命丸文=永江衣玖なのです!」
「なんでそうなるのよ!?」

論理的におかしい!いや論理的なのかもしれないけど、それ以前の問題よ。
大体、あんたら二人とも普段から空気なんて読まないじゃない!

決まった!とばかりに衣玖のいつものポーズを取る文。
キャーアヤサーンなんて言うと思ったか。
あんたには\射命丸/で十分よ。
いや、それ言うのも悔しいわね。


「\アヤサーン/」
「ありがとうございます!」


しまった。喜んじゃったわ。混ぜるんじゃなかった。
というか文のアホな話聞いてる場合じゃなかったんだ。

「それどころじゃなかったわ。衣玖よ!衣玖がいないのよ。知らない?」

文がこれだけ衣玖の話をしているなら本人にも言ってるかもしれない。
文は聞いているのかいないのか、いつもの笑顔で私を見ている。
でも…どこか困ったような、無理やり作った笑顔。

「うっ…!?」


突然だった。
さっきまで手を伸ばしても届かない距離にいたはずの文が私の目の前にいた。
文の冷たい手が私の首に添えられている。


「ええ~わからないのですか?早く気づいてくださいよ。総領娘様」

今、なんて言った?
首に力が加わる。
声が出せない。
文を見る。
ふと、今ここで私の思考は異常なほど冷静になった。

A=CならばC=Aでもある。
私のこの目の前にいる文は、

「やっとわかりました?天子さん」

目の前に文が二人いる。いや違う。一人は……

「そう。あなたが今まで話していたのは空気を読んで射命丸文になりきった永江衣玖よ。そしてあなたも空気を読んで衣玖さんを射命丸文だと思い込んでいた」

にやにやと、嫌な笑顔が並んでいる。
どう見ても射命丸文が二人いる。意味が悪い。

最初から私も空気を読んでいたって…一体何の?
それに、最初から衣玖を見て文だと思い込んでいたって…?

「どう…して…」
「ただ“空気を読んだ”だけですよ。
本当は気付いていたんでしょ?最初から。言ってるじゃない。私の考察だって。」

文の考察?
ここが文の妄想の中ってこと?
違う。



考察


こうさつ


コウサツ



「“空気を読んで”タイトル通りのオチにしないといけないでしょ。
そう気付いていたからあなたも最後まで会話を続けたのよ」

目の前に文が二人いる。
もう笑っていなかった。
でもその顔もあやふやになってゆく。

「物語の宿命よ。登場人物は物語には逆らえない。
私とあなたと衣玖さん。誰かが“空気を読まない”限り、私の考察は変わらない」

文が悲しそうな顔をしている。
でも何を言ったか、もう聞こえない。
そして、やっと、私の首を絞めている衣玖の姿がはっきりと見えた。




ずっと、

ずっと泣いていたんだ。




どうして気がつかなかったんだろう。

衣玖はずっと泣いていたのに。

ハンカチで拭いてあげるのが私の役目でしょう?



どうしてきがつかなかったんだろう。

きょうははんかちをもってきてたのに。

なみだをふくじゅんびはできていたのに。




首にさらに力が加わった。


私の意識は

消えてなくなった。




◆




「ぶぅえぇいっくしょぉぉん!!!」

寒い。
布団も掛けずに寝ていたなんて…ああ顔が鼻水だらけだわ。

何か…夢を見ていた。

うろ覚えだけど、夢の中で衣玖が泣いていた気がする。
そういえば衣玖はどこかしら?

顔をティッシュで拭いて完全なる美貌を取り戻した。

衣玖に会うなら、誰よりも綺麗でいないと。


身支度を整えて、ハンカチ持って、準備万端。
私は、外へ飛び出した。



衣玖を探しに。
そして最初にもどーる。

初めまして。人生初の小説を初投稿するという暴挙に出てみました。
生まれて初めて小説書いたらこんなことになってしまいました。反省はしてるんで生暖かい目で見てやってください。
こういう話はかぶってそうで怖いですね。
ああ、最初は幻想郷に文が大繁殖するオチを書くはずだったのに…
間違いや批評などありましたらよろしくお願いします。

追記
『…』に余計な点がついていたので修正しました。
コメントにありましたのでオチの説明をさせていただきます。(恥ずかしい!)
『文の考察』ということで三段論法という考察と、考察と絞殺という同音異義語でまとめてみました。
『文の考察』という題名から『文の絞殺』というオチが連想できた場合、物語はオチをつけるのが宿命であり、それまでの経緯がどうであれ登場人物の運命(オチ)は変わらない…ということを卒論の考察してたら思いついたもんで(∵)

本文中においての『空気を読む』は『物語に忠実な行動をとっている』ということです。(主に後半)
文と衣玖はこれがどこぞのアホが書いた物語だということを理解した上での物語に忠実な行動、天子は絞殺されるたびループするして衣玖を文だと思い込む運命の登場人物を、気づかぬ間に物語に忠実に演じている。以上のことを全部まとめたらこんな話になりました。(説明長い…)

題名でバレるかなと思ってたんですが…わかりづらい上に、詰め込みすぎました。申し訳ありません。
ぶぃーん
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コメント



0.360点簡易評価
4.80点名前が無い程度の能力削除
こんなぶっとんだ話がそうそう被る訳ねーよwwww…ないよね?
ギャグから理不尽物に走った所までは良かった、しかし首を締めねばならぬ理論がイマイチわからない、意識の強制シャットダウンで妄想を殺す系の話だと考えていいのかな
5.80点yosei削除
空気が読めることは、ステータスじゃないんだよ……?
6.80点奇声を発する程度の能力削除
色々と面白いお話でした
13.90点こーろぎ削除
読んでいて、あ、なるほどと思わされました。
ただやはり衣玖さんの泣いてる理由がほしかったです
14.70点3削除
考察、なるほど、絞殺ということかな。
とか書いてたらあとがきに書いてあったでござる。
15.90点絶望を司る程度の能力削除
え、あちょ、ふざけるなぁ!(以外すぎて驚いた時の感想なのでほめ言葉です)