紅魔館、地下、大図書館。
そこでパチュリーはいつものようにいつもの椅子に座り、いつものように本を広げ、いつものように読書に没頭していた。
幼い頃から何十年、何百年と続けてきた事である。パチュリーにとって、これが日常。午後の洒落たティータイムと、たまにくるスカーレット姉妹の相手以外、変わらぬ事の無い、日常。
しかしそれも最近、―――といっても数年前からだが、その日常が崩されてきていた。・・・あの、「普通の魔法使い」によって。
「よぉ。また来たぜ。」
噂をすれば・・・だ。パチュリーの日常を崩す張本人、霧雨魔理沙は、いつもの帽子、いつもの服装でパチュリーの前に立つ。
「・・・門番はどうしたの?」
「ん?・・・ああ、中国か?あんな奴はマスタースパークで一発だぜ」
「・・・・・」
今ごろは「説教」の名目上で咲夜のナイフの的にでもなってるのだろう。・・・御愁傷様。
ここ最近―――今度は数週間前の意義だ。パチュリーは本を借りる(強奪する)のを止めなくなった。どうせ止めても持って帰るし、戦うと書庫が崩れるし、この前なんかこの図書館自体を別の場所に移動したが、結局のこのこ現れて持って行ってしまった。・・・という事で、あきらめたのである。死んだら返すと言ってたし、じゃあ死んだら回収しましょう、と。・・・開き直った、とも言える。
「じゃあいつものように持ってくぜ」
「・・・勝手にすれば。」
「つれないなあ。もうちょっと止めるとかしてくれよ。」
「止めても持って行くんでしょう?」
「持ってくぜ。」
「戦っても持って行くんでしょう?」
「持ってくぜ。」
「・・・じゃあ意味が無いじゃない。」
ぷいっと顔を本に戻してしまうパチュリー。その後魔理沙が話しかけても、迷惑がるだけだった。魔理沙もあきらめ、すごすごと退散していった。
無論、本は持って行ったが。
「うーん。最近パチュリーが構ってくれないんだが、どうすればいいと思う?」
ところ変わって博麗神社。魔理沙はさっそく霊夢に相談した。
「簡単よ。あんたが盗みすぎね。本を。」
きっぱりと霊夢は言い切った。
「そうなのかなあ・・・。やっぱし。・・・ところで、この神社は来客者にお茶も出せないのか?」
そう言うと、とたんに霊夢の顔が険しくなる。
「ざ・い・せ・い・な・ん!」
「あぁ。すまなかったぜ。」
この正月、お盆と博麗神社には来客者も少なく、財政源であるはずの賽銭箱にもはいっている金額も少ない。とてもではないが、普通の来客者ならともかく、ただの厄介ものにお茶を出す余裕がある訳がない。
「あんた、一体何冊奪って来たのよ。」
「ここんとこ毎日行ってるからなぁ。一日数冊。一週間で三十、一ヶ月、一年・・・・・おぉ。たったの数百冊程度だぜ。」
「それは『たったの~程度』とは絶対に言わないわ。」
霊夢は魔理沙ににじり寄る。
「そうなのか?」
魔理沙はにじり寄る霊夢に戸惑いつつ言葉を返した。
「間違いなく、ね。たまには返しに行ってもいいんじゃない?」
ほらほら、と霊夢は魔理沙を促す。
「そうか・・・・・。」
「ほらパチュリー、本でも返しに来たぜ。」
「・・・・・珍しいわね。どういう風の吹き回し?」
翌日、魔理沙は家から適当に数十冊を風呂敷に包み、地下に持ってきた。門番やメイドは、主旨を伝えると、好奇の目で魔理沙を見つめ、おとがめ無しで通してくれた。
「やっぱり本を持ってると他の態度が違うね。これからはこうしたほうがいいのかもな。」
「そうしてもらうとこちらも有り難いわ。・・・とっても。」
すると魔理沙はまた本棚を見つめ始める。
「さて、今度は何を借りてくかな・・・と。」
その言葉にパチュリーは呆れた目で魔理沙を見る。
「・・・・・・。」
「・・・・・・何だ?」
パチュリーの呆れた目に気づき、魔理沙はパチュリーに聞いた。
「何冊借りてくつもりよ・・・。」
「あ?数十冊は借りてくぜ。返した分な。」
「・・・意味無いじゃない。」
「意味無いなぁ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
図書館に流れる沈黙。パチュリーは本に目を戻し、呟いた。
「・・・勝手にしなさいよ。まったく・・・」
「おう。じゃあ勝手にするぜ。」
魔理沙は適当に本を見繕うと、
「じゃあなパチュリー。また来るぜ。」
「・・・・・さよなら。」
箒に乗って窓から飛んで行った。
「・・・・・。ふぅ。」
パチュリーは窓を見つめてため息をついた。パチュリーは思う。魔理沙が来る事によってパチュリーの日常は崩された。しかし、部屋からあまり出ないパチュリーにとって、魔理沙の明るく元気な性格は新たな刺激となる。これが新たな日常か。こういうのも悪くはない。パチュリーは軽く微笑むと、また本に没頭し始めた。
だが、本は返してほしいと切実に願いつつ。
そこでパチュリーはいつものようにいつもの椅子に座り、いつものように本を広げ、いつものように読書に没頭していた。
幼い頃から何十年、何百年と続けてきた事である。パチュリーにとって、これが日常。午後の洒落たティータイムと、たまにくるスカーレット姉妹の相手以外、変わらぬ事の無い、日常。
しかしそれも最近、―――といっても数年前からだが、その日常が崩されてきていた。・・・あの、「普通の魔法使い」によって。
「よぉ。また来たぜ。」
噂をすれば・・・だ。パチュリーの日常を崩す張本人、霧雨魔理沙は、いつもの帽子、いつもの服装でパチュリーの前に立つ。
「・・・門番はどうしたの?」
「ん?・・・ああ、中国か?あんな奴はマスタースパークで一発だぜ」
「・・・・・」
今ごろは「説教」の名目上で咲夜のナイフの的にでもなってるのだろう。・・・御愁傷様。
ここ最近―――今度は数週間前の意義だ。パチュリーは本を借りる(強奪する)のを止めなくなった。どうせ止めても持って帰るし、戦うと書庫が崩れるし、この前なんかこの図書館自体を別の場所に移動したが、結局のこのこ現れて持って行ってしまった。・・・という事で、あきらめたのである。死んだら返すと言ってたし、じゃあ死んだら回収しましょう、と。・・・開き直った、とも言える。
「じゃあいつものように持ってくぜ」
「・・・勝手にすれば。」
「つれないなあ。もうちょっと止めるとかしてくれよ。」
「止めても持って行くんでしょう?」
「持ってくぜ。」
「戦っても持って行くんでしょう?」
「持ってくぜ。」
「・・・じゃあ意味が無いじゃない。」
ぷいっと顔を本に戻してしまうパチュリー。その後魔理沙が話しかけても、迷惑がるだけだった。魔理沙もあきらめ、すごすごと退散していった。
無論、本は持って行ったが。
「うーん。最近パチュリーが構ってくれないんだが、どうすればいいと思う?」
ところ変わって博麗神社。魔理沙はさっそく霊夢に相談した。
「簡単よ。あんたが盗みすぎね。本を。」
きっぱりと霊夢は言い切った。
「そうなのかなあ・・・。やっぱし。・・・ところで、この神社は来客者にお茶も出せないのか?」
そう言うと、とたんに霊夢の顔が険しくなる。
「ざ・い・せ・い・な・ん!」
「あぁ。すまなかったぜ。」
この正月、お盆と博麗神社には来客者も少なく、財政源であるはずの賽銭箱にもはいっている金額も少ない。とてもではないが、普通の来客者ならともかく、ただの厄介ものにお茶を出す余裕がある訳がない。
「あんた、一体何冊奪って来たのよ。」
「ここんとこ毎日行ってるからなぁ。一日数冊。一週間で三十、一ヶ月、一年・・・・・おぉ。たったの数百冊程度だぜ。」
「それは『たったの~程度』とは絶対に言わないわ。」
霊夢は魔理沙ににじり寄る。
「そうなのか?」
魔理沙はにじり寄る霊夢に戸惑いつつ言葉を返した。
「間違いなく、ね。たまには返しに行ってもいいんじゃない?」
ほらほら、と霊夢は魔理沙を促す。
「そうか・・・・・。」
「ほらパチュリー、本でも返しに来たぜ。」
「・・・・・珍しいわね。どういう風の吹き回し?」
翌日、魔理沙は家から適当に数十冊を風呂敷に包み、地下に持ってきた。門番やメイドは、主旨を伝えると、好奇の目で魔理沙を見つめ、おとがめ無しで通してくれた。
「やっぱり本を持ってると他の態度が違うね。これからはこうしたほうがいいのかもな。」
「そうしてもらうとこちらも有り難いわ。・・・とっても。」
すると魔理沙はまた本棚を見つめ始める。
「さて、今度は何を借りてくかな・・・と。」
その言葉にパチュリーは呆れた目で魔理沙を見る。
「・・・・・・。」
「・・・・・・何だ?」
パチュリーの呆れた目に気づき、魔理沙はパチュリーに聞いた。
「何冊借りてくつもりよ・・・。」
「あ?数十冊は借りてくぜ。返した分な。」
「・・・意味無いじゃない。」
「意味無いなぁ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
図書館に流れる沈黙。パチュリーは本に目を戻し、呟いた。
「・・・勝手にしなさいよ。まったく・・・」
「おう。じゃあ勝手にするぜ。」
魔理沙は適当に本を見繕うと、
「じゃあなパチュリー。また来るぜ。」
「・・・・・さよなら。」
箒に乗って窓から飛んで行った。
「・・・・・。ふぅ。」
パチュリーは窓を見つめてため息をついた。パチュリーは思う。魔理沙が来る事によってパチュリーの日常は崩された。しかし、部屋からあまり出ないパチュリーにとって、魔理沙の明るく元気な性格は新たな刺激となる。これが新たな日常か。こういうのも悪くはない。パチュリーは軽く微笑むと、また本に没頭し始めた。
だが、本は返してほしいと切実に願いつつ。
で、結局返した分と同じ量を持っていって意味無しと。w
ほんわかですね。この話に続きがあるなら是非読みたいです。