------1-------
「私のために死んでくれ!」
神社の境内で霊夢とお茶を飲んでいたら魔理沙に襲われた。
どっちに対して言ってるのかわからないけれど、いきなりスターダストレヴァリエ。
「ふざけるなっ!」
霊夢が二重結界を張り、夢想封印した。
それでも魔理沙はへこたれない。
「それならこれだ!いべんとほらい ずぐほっ」
とりあえず人形を背後に回させてアーティフルサクリファイスしておいた。
「何なのよ、物騒ね」
倒れた魔理沙の傍に寄ると、外の本が一冊無造作に投げ出されていた。
【慈光院茶室の中心で恋を叫ぶ】
「略して【ジコチュー】。外の世界で人気だった本らしいぜ」
復活した魔理沙が本についた砂を払いながら拾う。
「でも幻想郷にあるってことはもう廃れてるということね」
「というわけで、死んでくれ」
「わかったわ。とりあえずその理由をエスペラント語で話してくれる?」
迂闊だったわ。魔理沙がエスペラント語をしゃべれたとは。
「だいたい理由はわかったわ。でも幻想郷に慈光院茶室は無いから無理よ」
「いや、白玉楼が協賛してくれて、その屋敷の一部の名前を慈光院茶室に変えてくれたんだ」
なんてノリのいい亡霊の姫。藁人形を一体追加しておくわ。あ、二体か。
そして始まる弾幕ごっこ。
魔法使いの意地にかけて、あとこの前、私が拾おうとした外の世界のアイテムの恨みも込めて。
拮抗した勝負となり、いつの間にか争いの場は湖の上にまで移動していた。
何で箒のくせにあんなに機敏に動けるのかしら。
というよりも、あれ絶対に自分で飛んでるでしょう。あんな細い棒に重力に任せるままにまたがって乗ったらm
「それ以上は乙女の秘密だぜ!魔砲!ファイナルマスタースパーク!!」
「しまっ・・・!」
その衝撃は凄まじく浮遊する事も適わず湖に落下する。
くるくるきらきらした星の残骸と共に。
ブクブクと沈む。
澄んだ湖でも深く深く落ちれば闇に近くなる。
ブクブクとした泡は白から藍に変わる。
ゆらゆら揺れる太陽。
光る星は私とは共に墜ちず、光を失い消える。
人間以外の存在となった私は水の冷たさもろくに感じやしない。
この死に行く者の景色も人間なら美しいと感じたのだろうけれど。
美しく感じないのよ、残念だけれど。
だから私は生きるわ。
水槽の金魚よろしく水面に顔を出し、失われた酸素を求めて呼吸をする。
空には太陽を背に、魔理沙。瞼にかかった水のせいで、まるで真っ白な羽が生えたように見えた。
悔しいから負け惜しみでグランギニョル座の怪人をくれてやった。
ズタボロになった私たちは湖の中央にある小島に横たわる。
「と、とりあえずアリスを殺したぜ」
「死んでない!」
「まぁそれはさておき、慈光院茶室じゃないけれど、恋符!マスタースパーク!!」
天に向かっていつもの魔法。
満足げに魔理沙は後ろに倒れる。
「そんなんでいいの?」
「おう、感無量だ」
何だかよくわからないけれど。
まぁ、満足したみたいだし、いいか。
藁人形は結局三体になった。
------2------
澄んだ空気に響き渡る不穏な音。
木槌と釘がどうやら愛を叫んでいるらしい。
またか!
「そこまでよ、アリス!」
雨戸勢いよく開け、とりあえず挨拶代わりに封魔陣。
「何で起きてるのよ!」
怒声と共にアリスが身を翻し避けるが、頭にのせた蝋燭の蝋が垂れてかかったのか熱がっていた。
「私にそんな趣味はないわよ!」
火を消しながらアリスが叫ぶ。
「まだ何も言っていない」
一人盛り上がってるアリスがかわいそうだった。
大体こういう行為は盛り上がっちゃいけないでしょう。恨みを込めてカンカンやるべきよ。
それに最近この打ち付けた職人レベルの藁人形が話題を呼んで一部の里の人間が藁人形を盗みに来るのよ。
それくらいだったら私に寄贈してくれれば、売るわ。
「というわけで、手を組んで売らない?」
「手を組む理由がわからないわ。だったら自分で作って自分で売る」
今度永遠亭に行って妖怪兎に話術でも教わろうかしら。
そんな努力は惜しんでも仕方ないと思うの、背に腹ってやつよね。
「せっかく人に見られないようにしてたのに・・・これで二回目だわ」
ブツブツとアリスは藁人形を仕舞う。
せっかく綺麗な容姿をしているのに。
髪の毛なんて満月の光に解けそうだわ。
黙って座っていればきっと近寄りがたいほどの存在になれるんじゃないかしら。
無理だろうけれど。
人外の考える事は人間にはわからないから、何でアリスがうちの木に藁人形を打つのか興味がないけれど、
やっぱり似合わないわ。
「きっと私のほうが似合うわ」
「容姿だけならね」
呆れた顔をしてアリスは満月に消えて行った。
まぁそうよね、私は藁人形を作って五寸釘を打ち込もうなんて思わない。
ロマンチストではないのだ。
木槌と五寸釘の七夕のような恋を応援するような気にはなれない。
あぁ、待てよ?
「へぇ、霊夢。新しい商売を始めたのか」
「商売ってほどでもないけれどね」
「どれ・・・、御守り?何の効果があるんだ?」
「恋愛成就よ」
とりあえず売れ行きは上々。
当然よね、恋愛成就させてきたんだから。
今日もきっと成就させにアリスは来るわ。
だから売れ行きは上がる。
寝不足の目を擦りながら、夜まで昼寝をしようと思った。
------3------
まったく、霊夢も恋愛成就の御守りだなんて。
まるで乙女チックすぎるぜ。
「ぶつぶつ・・・。この前負けたから仕方ないけど、魔理沙の家の掃除は大変なのよ・・・。
あれ、これ魔理沙の日記じゃない?
ええと、[魅魔様に勝っちゃった。うふ、うふ、うふふ ぐっ」
「最近アリスを見ないんだけれどどこいったのかしらね」
「さぁな、魔界に里帰りしたんじゃないか?」
人には触れてはいけない歴史があるってことを学べたアリスがうらやましいぜ。
「私のために死んでくれ!」
神社の境内で霊夢とお茶を飲んでいたら魔理沙に襲われた。
どっちに対して言ってるのかわからないけれど、いきなりスターダストレヴァリエ。
「ふざけるなっ!」
霊夢が二重結界を張り、夢想封印した。
それでも魔理沙はへこたれない。
「それならこれだ!いべんとほらい ずぐほっ」
とりあえず人形を背後に回させてアーティフルサクリファイスしておいた。
「何なのよ、物騒ね」
倒れた魔理沙の傍に寄ると、外の本が一冊無造作に投げ出されていた。
【慈光院茶室の中心で恋を叫ぶ】
「略して【ジコチュー】。外の世界で人気だった本らしいぜ」
復活した魔理沙が本についた砂を払いながら拾う。
「でも幻想郷にあるってことはもう廃れてるということね」
「というわけで、死んでくれ」
「わかったわ。とりあえずその理由をエスペラント語で話してくれる?」
迂闊だったわ。魔理沙がエスペラント語をしゃべれたとは。
「だいたい理由はわかったわ。でも幻想郷に慈光院茶室は無いから無理よ」
「いや、白玉楼が協賛してくれて、その屋敷の一部の名前を慈光院茶室に変えてくれたんだ」
なんてノリのいい亡霊の姫。藁人形を一体追加しておくわ。あ、二体か。
そして始まる弾幕ごっこ。
魔法使いの意地にかけて、あとこの前、私が拾おうとした外の世界のアイテムの恨みも込めて。
拮抗した勝負となり、いつの間にか争いの場は湖の上にまで移動していた。
何で箒のくせにあんなに機敏に動けるのかしら。
というよりも、あれ絶対に自分で飛んでるでしょう。あんな細い棒に重力に任せるままにまたがって乗ったらm
「それ以上は乙女の秘密だぜ!魔砲!ファイナルマスタースパーク!!」
「しまっ・・・!」
その衝撃は凄まじく浮遊する事も適わず湖に落下する。
くるくるきらきらした星の残骸と共に。
ブクブクと沈む。
澄んだ湖でも深く深く落ちれば闇に近くなる。
ブクブクとした泡は白から藍に変わる。
ゆらゆら揺れる太陽。
光る星は私とは共に墜ちず、光を失い消える。
人間以外の存在となった私は水の冷たさもろくに感じやしない。
この死に行く者の景色も人間なら美しいと感じたのだろうけれど。
美しく感じないのよ、残念だけれど。
だから私は生きるわ。
水槽の金魚よろしく水面に顔を出し、失われた酸素を求めて呼吸をする。
空には太陽を背に、魔理沙。瞼にかかった水のせいで、まるで真っ白な羽が生えたように見えた。
悔しいから負け惜しみでグランギニョル座の怪人をくれてやった。
ズタボロになった私たちは湖の中央にある小島に横たわる。
「と、とりあえずアリスを殺したぜ」
「死んでない!」
「まぁそれはさておき、慈光院茶室じゃないけれど、恋符!マスタースパーク!!」
天に向かっていつもの魔法。
満足げに魔理沙は後ろに倒れる。
「そんなんでいいの?」
「おう、感無量だ」
何だかよくわからないけれど。
まぁ、満足したみたいだし、いいか。
藁人形は結局三体になった。
------2------
澄んだ空気に響き渡る不穏な音。
木槌と釘がどうやら愛を叫んでいるらしい。
またか!
「そこまでよ、アリス!」
雨戸勢いよく開け、とりあえず挨拶代わりに封魔陣。
「何で起きてるのよ!」
怒声と共にアリスが身を翻し避けるが、頭にのせた蝋燭の蝋が垂れてかかったのか熱がっていた。
「私にそんな趣味はないわよ!」
火を消しながらアリスが叫ぶ。
「まだ何も言っていない」
一人盛り上がってるアリスがかわいそうだった。
大体こういう行為は盛り上がっちゃいけないでしょう。恨みを込めてカンカンやるべきよ。
それに最近この打ち付けた職人レベルの藁人形が話題を呼んで一部の里の人間が藁人形を盗みに来るのよ。
それくらいだったら私に寄贈してくれれば、売るわ。
「というわけで、手を組んで売らない?」
「手を組む理由がわからないわ。だったら自分で作って自分で売る」
今度永遠亭に行って妖怪兎に話術でも教わろうかしら。
そんな努力は惜しんでも仕方ないと思うの、背に腹ってやつよね。
「せっかく人に見られないようにしてたのに・・・これで二回目だわ」
ブツブツとアリスは藁人形を仕舞う。
せっかく綺麗な容姿をしているのに。
髪の毛なんて満月の光に解けそうだわ。
黙って座っていればきっと近寄りがたいほどの存在になれるんじゃないかしら。
無理だろうけれど。
人外の考える事は人間にはわからないから、何でアリスがうちの木に藁人形を打つのか興味がないけれど、
やっぱり似合わないわ。
「きっと私のほうが似合うわ」
「容姿だけならね」
呆れた顔をしてアリスは満月に消えて行った。
まぁそうよね、私は藁人形を作って五寸釘を打ち込もうなんて思わない。
ロマンチストではないのだ。
木槌と五寸釘の七夕のような恋を応援するような気にはなれない。
あぁ、待てよ?
「へぇ、霊夢。新しい商売を始めたのか」
「商売ってほどでもないけれどね」
「どれ・・・、御守り?何の効果があるんだ?」
「恋愛成就よ」
とりあえず売れ行きは上々。
当然よね、恋愛成就させてきたんだから。
今日もきっと成就させにアリスは来るわ。
だから売れ行きは上がる。
寝不足の目を擦りながら、夜まで昼寝をしようと思った。
------3------
まったく、霊夢も恋愛成就の御守りだなんて。
まるで乙女チックすぎるぜ。
「ぶつぶつ・・・。この前負けたから仕方ないけど、魔理沙の家の掃除は大変なのよ・・・。
あれ、これ魔理沙の日記じゃない?
ええと、[魅魔様に勝っちゃった。うふ、うふ、うふふ ぐっ」
「最近アリスを見ないんだけれどどこいったのかしらね」
「さぁな、魔界に里帰りしたんじゃないか?」
人には触れてはいけない歴史があるってことを学べたアリスがうらやましいぜ。
これは若干のレイアリ成分を含んでいるのか、俺のフィルターがそう見せるだけなのか
笑い話の中ですら妖怪と人間について語られてる。
アリスがやたら綺麗に見えました。
>髪の毛なんて満月の光に解けそうだわ。
>黙って座っていればきっと近寄りがたいほどの存在になれるんじゃないかしら。
>無理だろうけれど。
>人外の考える事は人間にはわからないから、何でアリスがうちの木に藁人形を打つのか興味がないけれど、
>やっぱり似合わないわ。
>呆れた顔をしてアリスは満月に消えて行った。
どうみても霊夢はロマンチストです。本当にありがとうございまs