Coolier - 新生・東方創想話

万年置き傘にご注意を

2021/10/08 02:11:51
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私の名前は、多々良小傘。
幻想郷に住むから傘お化けの妖怪です。
私はもともと、外の世界で普通の「傘」として持ち主に使ってもらっていました。
今日はその持ち主の話をしようと思います。
私は、さっきも言った通り普通の傘でした。
ただ、紫色で少し目立つだけ。
持ち主は、外が雨の時いつも私を使ってくれていました。
雨の時じゃなくても、曇りの時でも使わなくとも持って行ってくれていました。
持ち主が外に出る時はずっとずっと一緒でした。
古くなっても、周りから「古いから買い替えたら?色も目立つし」って言われても、持ち主はずっとずうーっと私を使ってくれていました。
でも、ある日から変わってしまいました。
ある日、持ち主が私を持って行ってくれなくなりました。
でも私は、
(今日はたまたま忘れていっただけなのかな?)
と思い、あまり気にしていませんでした。
その日、持ち主が帰ってくると、持ち主は別の傘を持っていました。
最初は驚いたのですが、その後すぐ、ただ私を忘れたから急いで買ったのかな?と思いました。
でも、その日はずっと晴れでした。
持ち主が買ってきた新しい傘も、少し柄の入った仮で買ったようなものではありませんでした。
私は、(もし私が壊れた時や、忘れた時用に仕事場に置いて置く用のものかな?)とも思いました。
しかし、持ち主はその日から、私を使ってくれなくなりました。
雨の日も曇りの日も。
私には見向きもせず、新しい傘を持っていきました。
新しい傘を持って行く度に、(今日も私の気分じゃなかったのかな…)と思いました。
ある日、持ち主の家にある女性がやってきました。
その女性は、持ち主が持ってる新しい傘と同じ傘を持っていました。
そこで私は理解しました。
(持ち主はこの女性とお揃いの傘にしたかったんだ)と。
私は、(それならしょうがない)と受け入れ、次に使って貰える日を待ち望んでいました。
それか数日後、持ち主が私を持ってくれたのです。
私はその時とても嬉しかったです。
(久しぶりに使ってもらえる!)と。
でもその日は私を左手で持ち、新しい方の傘をさして歩いていました。
使って貰えなかったことは悔しかったけど、久しぶりにお外に出ることが出来ました。
持ち主は少し歩いて、ある狭い場所に私を置きました。
そして持ち主は、私を置いて家に帰ってしまいました…。
でも、私はただ単に持ち主が私を置いたことを忘れて帰ってしまったのだと信じ、持ち主を待ち続けました。
雨が降り、雪が降り、風が吹き、太陽が強く照りつけても。
私は持ち主を待ち続けました。
毎回、私の前を人が通る度に、「うわ!」っていう声を出しました。
特に私は驚かそうとしてないのに。
どんなことがあっても、私は持ち主を待ち続けました。
でも、どんなに待っても持ち主は取りに帰ってきません。
気づけば私が置かれている場所では必ずみんなが驚くので、私の近くに、「万年置き傘にご注意を」という張り紙がイタズラで貼られるようになりました。
そんな状況になって数年。
やっと私は
「捨てられたのだ」
と理解しました。
そして私の中身は空っぽになっていきました。
どんなに待っても、もう二度と持ち主が取りに帰ることは無いとわかったからです。
そして気がつけば、私は持ち主が持ってた頃に似た紫色の傘を持った、持ち主が好きだったと思われる女性に似た姿でここ、幻想郷に幻想入りしていました。
そして私は今でも、私を捨てた持ち主を、幻想郷で探しています。
「もう、あの私を捨てた元持ち主を許さない。復讐心に燃えた、万年置き傘に、ご注意を…」
ただ単にこういう話いいなと思い、妄想だけで書いたやつです。
けみ
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