ちょっとフライングです
それではお楽しみください
今日も、相も変わらず暑さが続く
ただし、一概に暑さと言っても、じめじめとした蒸し暑さであったり
カラッとした心地よい暑さであったり・・・・・・
その中で人は、「涼」という物を求めるのである
団扇で扇ぐことによって、風による涼を感じたり、
縁側につるしてある風鈴の心地よい音に耳を傾けることで涼を感じたり・・・・・・
人、地域によって涼の感じ方、入手する方法は多種多様、十人十色というものである
しかし、涼におけて、最も顕著であるものといえば・・・・・・
「今夜は七夕ですね」
やはり七夕ではないだろうか
色とりどりの短冊が、大きな大きな竹に一つ一つ、その人の願いを込めて結ばれる
縁起を担ぐため、それ以外にも鮮やかな装飾を施したりする場合もあるが
竹に短冊、これは七夕の日を祝う地域、どこへ行っても固く結びついているはずである
例えるなら・・・・・・
「そうですね、今年はすっきりと晴れてくれました」
私と、彼女のような関係であると・・・・・・嬉しいな、なんて
今年の七夕の足音が近づいてきたのは、その一週間前だった
私は命蓮寺というお寺に住んでいる
愉快・・・・・・度が過ぎた愉快、つまり毎度毎度問題を起こすような奴も居るが
概ね楽しく過ごせている
命蓮寺は先程も言ってたようにお寺である
お寺はその周辺の住民から信仰される"べき"場所であるし、信仰が無いと生活は不可能なのである
その理由が、信仰と共にお寺へと納められる食物やお金、つまりは賽銭などがあるからである
信仰は寺に住む者の生活に繋がり、寺の者は、特に寺の宗教に精通した者は
信仰するものに施しを与えるのである
施しとは、無病息災だとか、安産祈願、家内安全だとか
その対象により様々だが、大方はさほどのことではない
無論、それはこの世界が"幻想郷"だからである
幻想郷は普通の世界、現代からはかけ離れた世界である
普通のことが普通でなくて、特殊なことが特殊でない・・・・・・端的に言って真逆、対極だ
そんな世界だからこそ、お寺への信仰も現代の比ではなくなるのである
命蓮寺も例外ではなく、多くの者から信仰されている
特に、命蓮寺の教祖、聖白蓮は信仰されている者の殆ど、どころか全ての者から慕われ尊敬されている
徳のある者には、勿論聖は徳に溢れているが、自然と何かが集まってくるものである
では、何故その事が七夕と関係していて、話題として触れたのか
「びゃくれんさまー!」
「こんにちはー!」
「お土産持ってきましたよー!」
「あらあら皆さん、これはどうも・・・・・・って、竹・・・・・・ですか?」
「「「そうです!」」」
命蓮寺を信仰する男衆が、七夕が近い故にわざわざ竹を切って命蓮寺へ持ってきたのだ
実はこの男ども、命蓮寺に住む"聖や私たち"の熱狂的信者なのだ
外の世界ではファンとか言うらしいが、こいつからは明らかに度が過ぎてる
命蓮寺に住む奴全員に信者会、外の世界で、ファンクラブと言うものがあるらしい
・・・・・・まぁどうでもいい話だが
その信者会が、何やら色々やってるらしい、寺に新聞を届けにきた天狗がそう言っていた
詳しくは分からないが、皆結構な頻度で何処かからの目線を感じるらしい
・・・・・・付け回してないことを祈るばかりだ
「竹だなんてわざわざどうも、折角ですし今年はうちで七夕を楽しみませんか?」
・・・・・・聖、それは禁句だよ
男衆の目が、待ってましたと言わんばかりにきらり、きらりと光る
聖へと詰め寄り、本当ですか!光栄です!などと口々に言っている
そんな男衆にも笑顔で対応している聖は大したものである
先程信者会の話をしたが、この男衆は間違いなくそのそれであろう
さっきまで居た者が数名居なくなっている、大方他の信者へこのことを伝えに行ったのであろう
・・・・・・さて、聖の一言で大変なことになってしまった
全くいい予感がしないけど、なんとかなるだろ・・・・・・うん、きっと・・・・・・どうにか
その後、聖に何度も確認をした男衆はみんな踊りながら帰っていった
「さて、合掌の前に少しお話があります」
命蓮寺の晩御飯の時間に、聖がこう切り出した
箸を既に右手に持って、皿へと伸ばそうとしていた奴やあろうことか既に食っている奴まで居た
ったく、どうしてこううちの奴らは食いしん坊が多いんだか
とりあえず皆、聖のほうを向いて静かになった
何を話すかなんて、私はもう分かってるのだが、一応聞く姿勢を取る
「皆さんも知っているかとは思いますが、来週は七夕です
そこで、今年はこの命蓮寺で七夕祭を大々的に開こうと思っています」
毎度毎度、立場を利用して勝手なことをする聖に皆もう大分慣れた
そしてそれが直ることは無いと諦めている
だが、今回は少し違った
いや、厳密には皆そう思っていることに違いは無いのだが、他の思っていることが違っていた
いつもなら、ロクでもないことであるから「そんなの誰がやるか」みたいなことを思うのだが
今回はお祭り、それも主催が命蓮寺である
お祭りと聞いただけで心躍るお子様・・・・・・ばかりだったな、ここは
まともな人間と言えば・・・・・・
「ちょっと待ってください姉さん、うちの寺の何処に、そんなお金があるんですか?」
雲居一輪、彼女くらいのものであろう
命蓮寺のお金をやり繰りする彼女は、幻想郷で見ても数少ない常識人である
そんな彼女であるから、たとえ信仰、お賽銭が集まるうちの寺であっても、お金にはうるさく、厳しい
まぁ、お祭りには莫大な費用がかかることくらい、誰にでも分かりそうなものだが
「えー、でももう村の皆さんと約束しちゃったのよ」
「何勝手にやってるんですか! もう、聖は仕方ないですね・・・・・・全く!」
「ご、ごめんね?一輪・・・・・・」
聖は一輪の隣に座って、手を握りながら
「許して・・・・・・くれる?」
などと、上目遣いで一輪に言ったのである
だがそんなもので許すほど甘くない一輪、かと思いきや
しょうがない、人ですね・・・・・・と顔を赤くしながら言ったのである
・・・・・・そんな奴だったかなぁ、一輪
「ひゃっほーい!祭りだ祭り!」
「準備しなきゃ、準備!」
「気が早い!ちゃんと仕事しなきゃ、お祭り行かせませんからね!」
お祭りお祭りと騒ぐ奴らを、一輪がピシャリと叱る
それにしてもお祭りかぁ・・・・・・どうせ酒飲んで、酔っ払って、酔いつぶれて、いつも通りなんだろうな
そう思うとやはり気分が沈んでしまう
何故かって?酔いつぶれた奴を運ぶのは誰だと思っているんだい?
「それでは、七夕祭の成功を祈りながら、今日は頂きましょう、合掌」
「いただきまーす!」
気が早いと言っていた一輪であったが
何故か次の日お昼過ぎ、大量の短冊を持ってきた
曰く、七夕を楽しむなら短冊を書かなきゃいけないし
お祭りに来る方々にも書いていただかないと、ということらしい
とりあえず軽く五十枚は超える束を渡された、配って来いという無言の合図である
まぁ五十枚くらいなら何とかなるかな・・・・・・さて、行くか
私達は人里へと繰り出し、短冊を配り始めた
出かける直前、留守を任される一輪に
「ついでに七夕に来てくれるように誘っておきなさい」と言われた
なんだかんだであの人もお祭りを楽しみしてるんだと思う
人里はやっぱり賑わっていた、七夕は前々から祝われていたから、今年もその影響であろうか
「短冊どぞー」
「あら、七夕の?」
「えぇ今年は命蓮寺で大きなお祭りとしてやろうと計画してるんです」
「それはいいわね!私にも何枚か頂戴、配ってくるわ」
「あ、短冊は七夕当日に持ってきてくださーい!」
と、いうような会話がなされたり
「短冊書いていただけませんか?」
「おぉ?儂にか?こんな爺さんに願いなどもう無いものだがのぅ、ははは」
「何を言われてるんですか、お年寄りは若者に知恵を授けてくれる大切な存在です
長生きしていただかないと」
「ははは、確かにそうだな、もっとシゴいてやらにゃあ!」
そんな会話がなされたりしながら、短冊の数と、太陽の大きさは減っていった
そして、太陽の大きさと、私の短冊の数はほぼ同時に無くなった
さて戻ろう、今度は私たちの番だ
「ただいまっと」
「あ、おかえりナズ、貴方の分も勿論あるわよ、はい」
帰ってきた途端短冊を渡された
ただ、たった一枚、きっと皆そうだろうが
書きすぎる奴への対策であろうか、まぁ基本一枚でも私はなんら問題は無いのだが
期限は七夕前日まで、と念を押された、まだまだ時間があるのだから、遅れることなんてないだろうに
悪く言えばお節介、よく言えば面倒見がいいのが一輪である
「さぁて、何を書くかなぁ・・・・・・」
貰ったはいいものの、やはり一枚しかないものだから、どうしても何を書くか迷ってしまう
人のを真似するわけにもいかないし、自分で考えなければならない
まぁ、何とかなるだろう、まだ時間もあるし
そう思い、私は部屋にある大切なものを入れる引き出しに、それをしまっておいた
そこまでは、よかった
その後、七夕についてはあまり触れられず、いつもの日常が流れていった
流れの中で、私の記憶の中からは七夕、そして短冊の存在は薄れていったのだ
そして、七夕当日の朝に、一輪から「今日はお祭りですよ」と言われたとき
引き出しにしまった短冊の存在を思い出したわけである
私としたことが、今回は失念していた
しかし、お祭りに必要な食材、お酒の買い出し、七夕の飾り付け、出店の準備の手伝い
その他色々仕事が立て込み、短冊を書く時間も、書く内容を考える暇すらなかった
「今夜は七夕ですね」
「そうですね、今年はすっきりと晴れてくれました」
そして、そのままついに七夕の夜を迎えてしまった
私は今、彼女と共に行動している
特に理由は無い、聖と一輪が一緒に行き
その他の奴も私たち以外のものと行動し、私たちは残ったもの同士である
一応服には短冊を忍ばせてあるが、全く何も書いていない
さて、どうしたものか・・・・・・
周りはもう既にどんちゃん騒ぎを繰り広げている
全くやかましい、七夕を何だと思ってる、と言いたいが
短冊を書いていない私が言うのも少し気が引ける
「少し、皆の書いた短冊を見に行きませんか?やはり気になるものですから・・・・・・」
彼女がそう提案してきた
どうしてこう、間の悪い・・・・・・という文句を彼女に言うのは筋違い、悪いのは全て私の責任だ
仕方ない、とりあえず行こう、彼女には適当な理由をつけて・・・・・・何とかしよう
私たちは寺の庭に置かれている大きな、そして絢爛豪華な装飾を施され
沢山の思いを乗せた短冊結んである竹の下へ、足を進めたのであった
「おぉ、立派になりましたね、やはり命蓮寺、ひいては聖への信仰はすごいものです」
「そ、そうですね、ここまでになるとは私も思っていませんでした・・・・・・」
本当に面食らった
まさかここまで綺麗で、たくさんの短冊が付いているなんて・・・・・・
皆の思いを乗せているのに、私のだけ無いというのが結構悲しいなぁ
なんて、思っていたが竹の周りを歩いていると、机に筆と硯、重ねられた短冊があった
そこにはこんな置き書きがあった
「まだ書いておられない方がいらっしゃいましたら、是非書いてください - 命蓮寺 雲居一輪」
こういう気配りができるところは、流石一輪と言わざるを得ないだろう
そして、私にとっての救世主であった
これで何とか書ける、まぁ彼女に見られてしまう可能性が超高確率ではあるが・・・・・・
「すみません、まだ書いてないので見る前に書かせてもらいますね」
「そうですか、じゃあ私は先に見てますね」
彼女は私の書くものよりも、他の人が書いた短冊が気になるのか、さっさと見に行ってしまった
もしかすると、私に気を遣ってくれたのかもしれないが・・・・・・
まぁ、それはそれでいい、これで気にせず書ける
中々考える時間も無く、書く内容も決まらなかったのが嘘のように
私の中には、何を書くかがすぐに決まった
そして、滑らかに筆を走らせる
書き終えたものを見て、私は少し笑ってしまった
あまりにも、私らしい短冊になってしまったから・・・・・・
「もう書き終わりましたよ」
「そうですか、では一緒に見て回りましょう」
見に行った方向からは反対から、彼女が顔を出した
私はゆっくりと、彼女の方へ向かい、隣についた
きっと、彼女の目的は同じ屋根の下に住む者たちの短冊であろう
その目的のものは、さっそく見つかった
「あ、これは・・・・・・小傘のですね」
「お?どれどれ」
「もっと皆を驚かせますように うらめしやー! 多々良小傘」
「ははは、全く、"らしい"なぁ」
「そうですね、本当に・・・・・・ふふふ」
まずは一人、本当にらしい短冊であった
きっと皆、その個人の特徴が顕著に表れた短冊であろう
「もっと一輪がお金をくれますように あと船沈めたい 村沙水蜜」
「みなともっと仲良くなれますように UFO」
「聖と・・・・・・もっと、もっと、仲良く・・・・・・ 雲居一輪」
「一輪の願いが叶えばそれで良い 雲山」
「人里と命蓮寺のますますの発展を願います 聖白蓮」
一部おかしなのも居たが、大方こんなところだった
皆それぞれの思いを持ち、それを短冊に乗せた
しかし、人の願いは容易く叶うものは殆ど無く、儚いものであるし、"それだからこそ"願う意味がある
叶う願いを願ってもいいのだが、叶わない願いを願うことこそ
七夕の、ひいては願い事の醍醐味でもあるのではないかと私は思っていたりする
・・・・・・私の場合も叶わない願いだと思っている
「そうだ、さっき貴方が書いた短冊はどこにあるんですか?」
彼女がそう問いかけていた
実はさっき、適当なところに結ぼうと思って探していたところ
ちょうど彼女の名前だけが見えた短冊を見つけたので
その近くに結んでおいたのだ
名前だけ見えたというのも変な話だが
まだ内容を見たくはなかったので、見ないようにしただけである
そのことを彼女へ伝えた、勿論彼女の返答は、見に行きましょう
「ここですね」
「えぇ、でもちょっと待たされたわけですし、先に見させてもらってもいいですか?」
「はぁ・・・・・・まぁいいですよ」
と、私は結んだところへと彼女を案内する
そして、手の上に短冊を載せ、彼女に見せる
私の書いた願い、それは・・・・・・
「私の愛する御方のドジなところが直りますように ナズーリン」
そんな願いであった
彼女はそれを見て、驚いた表情を浮かべた
まぁ、他人のことを願うなど、そうそうできることではない
書ける枚数が多い場合は例外であるが、今回は一枚である
そんな中、他人、しかも自分のことを書かれた彼女はさぞかし吃驚・・・・・・
「そう、ですか・・・・・・私のために・・・・・・」
したのは一瞬
彼女は笑った
少し、寂しそうに
その目はどこか
私を愛おしそうに
見つめていた
「ありがとうございます、ナズ」
「ご、ごしゅ・・・・・・じん」
「私は・・・・・・あはは、馬鹿みたいなお願いをしちゃいました」
彼女が手をこまねいて、こっち、と呼んでいる
私は複雑な心境で、そこへと向かった
こんなとき、普段の彼女のように、楽天的に居られたなら・・・・・・と、言っても無いものねだりか
もう、先ほどの彼女の顔を見てから、私は、彼女の短冊は見たくなくなっていた
ただし、内面では彼女の短冊に何が書いてあるかは大体理解していたし
見たいとも思っている、不思議なものだ
やはり、見なければならない、それが責任だ
彼女が、願ったこと、きっと、叶うはずもない、小さなお願い
「ナズーリンとずっと、ずっと、一緒に居られますように 寅丸星」
「ご主人・・・・・・」
「あはは、ナズーリンは、楽、したいですよね?
私がしっかりすれば・・・・・・ナズーリンは楽できますし
私に付かなくてもいいですしね、あはは・・・・・・」
彼女の頬には、一筋の雫が、流れていた
たった一粒、たった・・・・・・
その雫は小さくても、尊くて、私の心を動かすには十分だった
言うか、言うまいか迷っていた私の心、それを定めるだけの、たったそれだけの
「ご主人?それは違うよ」
「え?」
「私はご主人がドジだから、傍に居るわけじゃない、ご主人、ドジなところも全部、好きだからだよ」
「それじゃあ、短冊は・・・・・・?」
下を向いていたご主人が、顔をあげて、私を見た
ご主人の心はまだまだ純粋で、何色にも染まる
染めるなら、私みたいな灰色じゃなく、綺麗な色・・・・・・例えば、白とかがいい
だから、私は
「真っ赤な嘘だよ」
嘘をついた
ご主人が純粋なまま、精神的に成長してくれるように
優しい嘘を、黒く染まらないように、注意を払いながら
白に染めるというのは・・・・・・正直なところ、私流に染めるという感じである
「・・・・・・もう!ナズの、ナズのばかぁ・・・・・・」
ご主人は、私の胸に飛びついてきて、顔をうずめた
やはり、ご主人はご主人だ
反応がまだまだ子どもっぽくて、すぐ泣いて・・・・・・
ちょっと意地悪し過ぎた、と少し後悔したが
でも、いつも私はご主人のために頑張ってるし、たまにはこんなことも・・・・・・いいと思う
それに、これはきっとご主人との・・・・・・絆を深めるいい機会だ
私はご主人を抱きしめながら、言葉を続けた
「・・・・・・ご主人、願い事はね、叶わないものを願うからこそ願い事なんだ
私の願いごとはきっと叶わないし、ご主人の願い事だって、きっと叶わない」
「そんな・・・・・・」
「でもね、願い事に近いことは叶うかもしれないよ」
「・・・・・・」
私は一つ息を吐いてから、こう言葉を紡いだ
ご主人への思い、ご主人からの思い
きっとそれが同調したからこそ、私はこんな言葉を思いついたのだと確信している
なんてったって
私とご主人なんだから
「私はできる限り、いつでも、ご主人の傍に居ますよ」
「ナズ・・・・・・ありがとう、ございます」
「いいんだよ、ご主人は甘えていい
自分ができないことがあるなら、他を頼ればいい、ご主人にはそれだけの人脈があるし」
「私が、ついてる」
ご主人は、すごくドジで、早とちりして、ダメダメなご主人だ
でも、一生懸命で、一途で・・・・・・私は大好きだ
今までもそれは変わらないし、これからだって、ずっと、ずっと
そんなご主人に巡り合えた私は、すっごく幸せだと思う
「ナズー、縁側でお茶でも飲みませんかー?」
「いいですね、お菓子なんかあれば・・・・・・」
「ふふ、貴方のために買っておきましたよ」
「おや、気がきく上に、無くしてない」
「わ、私だってこのくらいできます!」
「ははは、これからも"ドジ"ることを期待してるよ、ご主人」
叶わない願いを掲げて生きることは、人を成長させる
少なくとも、私と彼女は、そうやって、成長できたのだから
星ちゃんのドジはいつか治るし、二人はいつまでも一緒にいられる。私はそう願います。