~変わってしまった朝~
春の暖かい日差しが指すここ、守矢神社ではいつものように早苗が、
学校に行く準備をしていた。
鏡の前で着こなしをチェックし髪留めを付けていつも通りに出発するだけ……
だったのに今日からは少し違っていたのだった。
「か~な~こ~、私の服がないよ!!」
「あんた部屋の整理しないからわかんないんでしょうが!!」
「ひーどーいー!!」
「……」
そうだった。
今日からはこの二人もうちの学校の新しい教師として赴任するんだった……
しかも二人とも見事なまでに支度ができていない。
「洩矢様の服はそこのハンガーにかかっています!!」
「あ、ほんとだ ありがと早苗」
「礼を言われるほどのことでもありません」
「全く諏訪子は世話やかせなんだから」
「……それよりもですね」
一番突っ込まないといけないことがあった。
「八坂様!! 注連縄は外してください!!」
「ええ~!?」
「あたりまえです!! 神様ならともかく今日から一教師なんですから、
そんなもの付けてたらダメです!!」
全く……二人ともこの先が思いやられる……
~登校中は……~
今現在、早苗、神奈子、諏訪子は一緒に学校登校中。
ほんとは恥ずかしいから早苗は嫌なんだがこの二人を放っておいたら、
それこそなんか怖い気がするので一緒にいるのである。
「お二方はなぜこのようなことを?」
すると、神奈子が答える。
「一回私が学校にったでしょ? その時に結構いいところだったから言ってみたいなって」
「……それだけですか? もっと他になんか理由があるのでは?」
すると、今度は諏訪子が笑顔でこたえる。
「そうだね~、確かに興味もあったけど、私たちもそれだけじゃうごかないなぁ~」
「……何が狙いですか?」
すると今度は2人が口をそろえて言う。
「「信仰」」
「信仰ですか?」
諏訪子が笑顔のまま答える。
「そう、神奈子がこの前言った時凄く人気があったそうじゃない
ということは、少なからず神奈子や私を信仰してくれる子もいるんじゃない?」
「そんなこと……ふざけないでくださいよ~」
「ふざけてないわ」
神奈子が真剣な顔で答えた。
「私たちは真剣よ」
「八坂様……」
流石に神奈子の真剣な横顔は見とれてしまうものがあった。
しかし、早苗には一抹の不安があった。
諏訪子は意外とうまく職をこなせそうな気がするが、
神奈子は意外と天然だからである。
現に
「道こっちです」
「え?」
どうして人と一緒に歩いていて道を間違えるのだろうか……
~担任諏訪子~
「今日は自己紹介の時間だよ!!
私の名前は洩矢諏訪子、日本史の担当だよ、諏訪子先生って呼んでね
ところでそこの男子!!」
「え、あ、はい?」
「私って何歳ぐらいに見える?」
そう言ってあのポーズは……だっちゅーの(だっけ?)をする。
早苗も他のクラスメイトも色々とどうすればいいの分からなかったので、
あてられた男子Aは見たままの年齢を答えてしまった。
「じゅう……二さいぐらいですかね……」
すると、その瞬間周りが絶対零度に凍りついたような感じがした。
そして、何処からともなく聞こえる幻聴……
『祟り殺してやろうか?』
クラス中の全員の背筋がぞっとしたが、次の瞬間には諏訪子はすでに笑顔だった。
「みんなも冗談がうまいな、私は22歳だよ~」
みんなそれの方が冗談だろ!!っとツッコミながら
(早苗は下二桁ぐらいならそのぐらいかなと思いながら)その自己紹介を聞いた。
その授業の終了後、男子Aは腹痛を訴えて早退したとか……
~自己紹介神奈子~
先ほどの授業で多少ざわついていた教室は予鈴が鳴っても鎮まることはなかった。
早苗も頭を抱えていた。
信仰欲しさに学校に来て生徒に祟りを使うなよ……
しかし、そのざわつきも一瞬で風が吹きやむように静かになった。
教室の戸が開く音が聞こえると教室の中には少し赤みのかかった女物のスーツが、
とても決まっている神奈子が入ってきたからである。
神奈子は教壇に上ると
「級長 挨拶を」
と言った。
実は級長である早苗が挨拶を言う。
「起立、礼、着席」
その様子を見て神奈子がゆっくりほほ笑むと早苗は今にも心臓が飛び出そうになった。
その他、男女混合で何人もの生徒が見とれるように神奈子をみていた。
黒板に達筆に自分の名前を書くと神奈子はしゃべり始めた。
「はじめまして、みなさん 私が古文の担当をすることになった八坂神奈子です
新人でまだ至らないこと多いですがよろしくお願いるわ」
そういうと神奈子は一礼をした。
その様子にみんなもつられて一礼してしまったが、
どうして突っ込まないといけないことがった。
空気を呼んで早苗がいう。
「あの……先生?」
「どうしたの、早苗?」
「今、数学の時間なんですが……」
「え!?」
神奈子は予定表を確認した。
でも、古文って書いてある。
それに昨日は眠らずに時間割の確認をしたから間違っているはずがない。
「でも!!予定表には……」
「これ、去年のですね……(何処から持ってきたか知らんけど)」
「嘘!?」
「嘘じゃないと思いますけどね」
そう神奈子は後ろから誰かに言われた。
神奈子の後ろには早苗の1年の頃からの印象の薄い数学の男性教師がいた。
神奈子はその姿を確認すると急いで教室から出ようとした。
「失礼いたしました~!!」
すると、結構古い学校なので戸が低く、長身だった神奈子はものすごい勢いで頭を
打ったのであった。
おもわず、早苗は心配で神奈子のもとに行ってしまう。
すると、頭を打って痛いのと、恥ずかしいののダブルパンチで
顔を赤らめながら泣きそうになっている神奈子の顔が見えた。
さっきまでのかっこいい神奈子は何処へ行ったのやら、
神奈子はそのまま急いで教室を出て行ってしまった……
その後、この授業は何事もなかったかのように再開されたが、
その雰囲気はどこか、嵐の過ぎ去ったあとみたいだった。
そして、早苗は自分の頭の中の神奈子の画像フォルダに泣きそうな顔を
追加したとか……
~昼休みぐらい静かにしたい~
その後、授業は何事もなかったかのように終え、昼休みを迎えていた。
早苗はいつも通りに仲の良いA子たちと昼食を食べていたのだが……
よくまわりを見るとクラスメイト達に囲まれているのが分かった。
しかも、みんなかなり興奮した様子で……
「ねぇ!!東風谷さん!!」
「ど、どうかしたの?」
早苗はいったい自分が何をしたのか分からなかったが
興奮したクラスメイト達の話を聞くことにした。
「東風谷さんって、八坂先生と洩矢先生と一緒に登校してるってホント!?」
「そ、そうだけど」
「東風谷ってあの二人とどういう関係?」
「どういう関係って……」
神と巫女……とは言えないし……適当にごまかすしかないか?
「えっと……親戚の姉だよ?」
「そうなんだ」
「八坂先生って彼氏とかいるかな?」
「は!?」
「洩矢先生ってかわいいよね!!」
「まぁ……」
「私、八坂先生の妹になりた~い」
「あの……」
「なら、俺は洩矢先生の兄になりたいぜ」
「……」
どうやらお二方に対する質問ラッシュらしい。
そばにいたA子が話しかけてくる。
「大人気だね……あの二人」
「頼むからお昼ぐらい静かにさせて……」
心からそう思う早苗であった……
~ホームルーム(帰り)~
色々とドタバタした一日も終わりを迎えた帰りのホームルーム。
担任となっている諏訪子が教室にやってきた。
諏訪子はこの一日でかなりの注目の的となっていた。
確かに諏訪子は可愛い。
妹にしたいタイプ。
守ってあげたい。
そんな感じだが……
「それでは先生の方からお話を」
「うん」
すると諏訪子はおもむろに教卓の上に上ると……
「!! 何してるんですか!! 先生!!」
早苗は慌てて注意した。
しかし、諏訪子に降りる気配はない。
「私、こういうの初めてでなんか嬉しいから……」
「?」
「踊ります!!」
「は!?」
すると諏訪子は何処からかCDプレーヤーを取り出すと、
いきなり音楽をかけ始めた。
よく聞くとその曲は……
『プ○キュア プリ○キュア……♪』
思わず早苗はずっこけた。
なんでやねん。
心の中でそうツッコンだ。
しかし、一番腹が立つのは……
踊りが……うめぇ……
小さい体を大胆に使った振り付けは、指先の方までまるで流水……
そして、かなり激しいのに絶えない眩しい笑顔……
そして、彼女がそれを踊り切った時、
我が2-Aからは惜しみない拍手が送られるたであった……
流石は神ですね……そう思った瞬間であった……
~下校?告白?世界の敵?~
よく分からない疲れがどっと出てきた帰り道。
早苗は仕方なく神奈子と諏訪子を連れて校門から出て行こうとした時……
「あ、あの八坂先生!!」
「あ、洩矢先生!!」
そこには二人を出待ちしている連中がいた。
二人はすぐに人だかりに飲み込まれていってしまった。
みんなとワイワイとしゃべっている諏訪子の方は良さそうだが、
神奈子の方は多少困惑した様子だった。
なんというか……辛そう……
すると、諏訪子が早苗に近づいてきて言った。
「早苗」
「はい、何でしょう?」
「神奈子困ってみたいだから連れて行って」
「はい!?」
「だから、無理にでもいいからここから連れ去って」
「ええ!?」
「神奈子の困ってるとこ見たくはないでしょ?」
「そうですけど……」
「じゃ、がんばって!!」
それだけ言うと諏訪子は思いっきり早苗を神奈子の方に押し出した。
すると、早苗は神奈子のもとへ一直線。
そして、半ば神奈子に抱きつくような感じになってしまった。
早苗は彼女の胸に顔をうずめるような感じになっている……
そーっと早苗はあたりを見回すとそこには突き刺さるような視線と、
真っ赤になった神奈子の顔があった。
「さ……なえ?」
「……!!」
なんだかもう周りからいずらくなった早苗はとりあえず、
神奈子の手を引き自分たちの神社の方へと走った。
その様子を見た諏訪子がいう。
「がんばれ、白馬の王子様……」
そういうと諏訪子は再び生徒たちの相手をしだすのであった。
「はぁーはぁー……神社に着きましたよ 八坂様……」
「……ありがとう、早苗」
早苗と神奈子は神社まで全力で走って帰ってきたのであった。
もともと体力的に普通な早苗にとって神社から学校まで走ったのはきつかった。
呼吸を落ち着かせて周りを見るとそこには……
「!!」
目に涙を浮かべる神奈子の姿があった。
「ど、どうしたんですか!?八坂様!!」
「あら……早苗……ごめんなさい 私本当は人だかりが苦手で……」
「そうだったんですか……」
「いえ、苦手じゃないのかもしれないんだけど……
そういう事はすべて諏訪子に任せっぱなしで慣れてなくて……」
「はい……」
「それに、今日一日早苗に迷惑かけてばっかりで……
なんかとても私情けなくて……」
「……」
すると、神奈子は突如早苗を抱きしめた。
早苗はいきなりのことに驚いたが、
泣いている神奈子をみてなんだか胸が熱くなるのを感じた。
「私……神なのに……途方もない時間を生きてるのに……
こんなこともできないなんて……」
早苗は弱気にそういう神奈子に対し優しく髪をなでると
「そんなことないですよ八坂様 私は嬉しかったですよ?
いつもより長く八坂様と会えて……」
「早苗……」
「それに……」
「?」
言葉に詰まってしまった。
いつもはかっこよくて綺麗な八坂様が実は誰よりも恥ずかしがり屋で、
そして可愛いことが分かったのである。
そして、早苗は彼女のそんな面も含めて余計に、
神奈子のことを好きになってしまったのだ。
しかし、まだ言うことはできなかった……
「明日も学校はあります そこでがんばりましょう!!」
「ありがとう……早苗」
そういうと神奈子は再び早苗を強く抱きしめた。
なんだかその感触はとても気持ち良かった。
「お二人さん暑いね~ まだ春なのに」
突然の声に二人ともびっくりした。
そこには諏訪子の姿があった。
手には先月かった携帯を持っていた……
「ちょっと洩矢様!!」
「人目を気にしない方が悪いよ~」
せっかくの感動が台無しだった。
まさか一日の最後が鬼ごっこで終わるなんて思っていなかった……
その夜、神奈子は新しい時間割表を確認すると同時に、
抱きしめた早苗の感触を一人思い出していた……
次の日、早苗は周りからの視線がいたるところに突き刺さったらしい……
そして、その日の古文の授業の時……
教室の戸の前には気合いを入れる神奈子がいた。
早苗も中で期待して待っていた。
そして、授業の鐘が鳴ったので戸をあけ、神奈子は教室に入ろうとすると……
ゴンッ!!
ととてもいい音が響いた。
神奈子は思いっきり頭を戸の上にぶつけていたのだった。
その日、結局神奈子は顔を赤らめて授業するはめになったようだった……
「そういえば洩矢様」
「何?早苗?」
「帰り踊るのは禁止で」
「えー!?」
その怒りの矛先をなぜか向けられてた男子Aは再び腹痛で早退したようだ……
二次創作とはそういうものだ。
ていうか神奈子様が可愛いけりゃそれでいい。
天然ウハウハ。
余字報告
>整理しないからわかんないいん
>確かに興味もあったけど私たたちも
話そのものは自分好みで楽しく読めました、次も期待しています。
かなさなは我が神風
結構適当な面があるのですいません。
ただ、他の方のご指摘のとおり、誤字脱字などはちょっと多めなのが惜しいですね。
とりあえず誤字
>学校にったでしょ
学校に行ったでしょ
>言ってみたいなって
行ってみたいなって
>この前言った時
この前行った時
>お願いるわ
?
お願いするわ?(それまでと言い方が違うような気が
>送られるたであった
送られるのであった? 送られたのであった?