滝は流れる姿のまま凍っている。あたりはしんとして、水かさの減った滝つぼに浸かった彼女の鼻歌だけが、朗々と流れていく。
「さすがは河童だね。寒くはないのかい」
栗鼠のように振り向いたにとりは、対岸の岩の上で瓢箪をかかげる小鬼の姿を見るや、ざぶん、とその場に尻餅をついた。
腰が抜けたのである。
「おいおい、とって食いやしないよ。何をやってるのかと思っただけだって」
冬枯れした苔を踏みしめて、萃香は歩いてくる。赤土を盛り上げた霜柱が崩れて、ぱりぱり音が立つ。
「……よりにもよって」
「ん?」
小声でつぶやいた悪態は、さいわい鬼の耳には届かなかった。「いいええ!」と手を振って立ち上がったにとりは、鹿毛のたわしで磨いていたそれを、一転得意げに指差した。
「これはエンジン、です」
「猿人?」
「そうそう」
かみ合っていないがお互い気づかない。にとりの前には、木の根が幾重にも巻きついた岩塊のようなものがある。赤黒くさび付いていたが、ところどころ金属の眩い鏡面が、雪の白い光を跳ね返していた。
「森の向こうのさびれた道には、よく外の物が落ちているんです。これもそこで見つけたんですよ」
「へえ。えんじんは外のものなのか」
瓢箪の栓を抜いて萃香は一口あおる。躊躇いがちだったにとりの口調は、聞き手を得て徐々に熱をおびてくる。
「エンジン、道具屋の店主の見立てでは、正確には『ぶいえいと・エンジン』というらしいです。力を生み出す用途があります。ほら見て、ここと、そしてここ。液体が抜けられるようになってるでしょ? だからたぶんこれは、水を通して使うものなんだ。こんな見かけだけれど、発生させる力は天狗十人分にも劣らないと、私はみているんだ!」
興奮してにとりは手を広げる。岸辺にじゃれつく水の指先を眺めていた萃香だったが、「天狗十人分」のあたりでにやりと、見かけに似つかわしくない老成した笑みを浮かべる。
「ほー。大したもんだ」
「そうでしょう、そうでしょう」
「で? その大層なシロモノを、なにに使うつもりだったんだい」
「え」
それは言えない。
明日の節分で使う、全自動広範囲・高速射出型豆まき機を作ろうとしていただなんて。
にとりはふたたび尻餅をつく。
「ああちょっと、どうしたのさ。まあどうだい一献」
震える手で、にとりは瓢箪をうけとり口をつける。味などわからない。立てたにとりの膝に器用に腰掛けた萃香は、いかめしい角の真ん中で、おだやかに目を細めた。
昔から鬼は、こうである。勧めた酒を断られないのが、なにより嬉しいらしい。
「……すみません」
「なに謝ってんのさ」
山から鬼が去って久しい。
ほとんど絶えていた節分の行事を、大々的に再開したのは、紅魔館の連中である。当初は夏のはじめに行ったりしていたが、近頃は立春のころと定めたようである。
里へとそれが広まる様子を、保守的な山のお偉方は静観していたが、守矢の社の働きかけもあり、今年ようやく執り行われることとなった。いまや幻想郷唯一の鬼といえる目の前の萃香が、どうやら山へは戻らないと見極めがついたせいでもある。
節分にも豆まきにもさほど興味がなかったにとりだったが、一度おこぼれにあずかった恵方巻きというやつには、ぞっこん惚れ込んでもいた。干瓢やしいたけと一緒に頬張る新鮮な胡瓜は、なんとも堪らない……。
「すみません、胡瓜だけは、胡瓜だけは!」
「だから落ち着きなって。胡瓜がどうしたのよ」
鬼に肩を揺さぶられて、うわごとのようにつぶやいていたと気づく。
梢を鳴らして、風が吹き下りてきた。エンジンとやらのでこぼこの背中を、朱塗りの高下駄がふわりと踏みつける。
「おや、これは萃香さん。ここは地獄の一丁目ですよ」
にとりはちょっと安堵した。羽団扇で口元を隠した文が、一瞬目配せして寄越す。並々ならぬ決意と緊張を、にとりはそこから感じ取る。
「山の入り口だろ?」
「ええ、そうともいいます。それで何の御用でしょうか。格別重要な用向きでなければ、お引取り願えませんでしょうか。さもなければ」
「ああ、わかってるっての。とっとと退散するさね」
「私の全力を持って――って、あれ?」
にとりから瓢箪を取り戻すと、ぶすっと頬をふくらませて萃香が浮き上がる。思わず文は、後を追った。
「なんだ。弾幕るつもり満々で準備してきましたのに」
ほうぼうの木の陰には白狼天狗も数名控えているのである。この一両日ばかりは、なんとしても鬼を山に入れるな。厳命されて文は出張ってきたのだった。
ちなみに、天魔とっておきの樽酒も用意している。荒事と交渉の二段構えなのである。
「だんまくる? いや、なんだか居心地が悪いからね。山でなにかあるんだろ。興味はないけどさ」
「なにか、って……」
文は戸惑った。余裕綽々でのんびり漂いながら、萃香がどこか上の空のように感じたのである。
「……機嫌がいいんですか?」
ためしに探りをいれると、ぎろりと睨み返される。ひええと静止した文を置き去りに、小鬼はふわふわと、山の斜面を下りていった。
合点がいかないが、帰ってくれれば都合がいい。肩をほぐしながら文が引き返すと、滝つぼの河童はすでに我関せずと、得体のしれない鉄の塊を水に沈めて、泡立つ水面を期待のこもった眼差しで、じっと眺めている。
湖の周囲には、たまに吃驚するくらいの雪が積もる。霧のせいだといわれているが、大図書館の魔女はまだ見ぬ妖怪の介在を主張している。それは雲よりも、山よりも大きく、幻想郷をめぐって雪を集めてくるのだという。
朝から門番が精を出して、門柱の両側にはうず高い雪の山が出来ている。赤い館の屋根も綿帽子をかぶったよう。よもや堅固な石造りはびくともしまいが、午後からは少し屋根の雪降ろしも頼もうかと、咲夜は門扉に手をかける。
買い物に出る前、美鈴は自室の扉も開けっぱなしで高いびきだった。わざわざ起こすのは、少しかわいそうかもしれない。
すると吐いた息が白くかがやいて、くるくると集まって膨れ上がる。すわ当の巨大妖怪でも出たかと、咲夜は門をくぐって身構える。
そして苦笑した。
「私が敵に背中を見せるだなんて。パチュリー様には余計なことを吹き込んでくれた責任をとって欲しいものですわね」
「敵なのかい、私は?」
集まった煙が人の形をとり、やがて小鬼は咲夜の前に降り立った。
「無断でこの敷地に入り込んだんだから、敵でしょう。しかし、ご安心を。今日のこの館は、貴女にとっては地獄の一丁目ですわよ」
得意げに咲夜の見せ付けるバスケットを覗き込んだ萃香は、「おお?」と口をすぼめて怪訝そうにした。
「こんなたくさんの豆、どうすんのさ。豆腐屋でも開くの?」
「え? いやいや」
拍子抜けした咲夜は、スカートを膝の裏にたたんで、萃香の目線にあわせてしゃがんだ。童女じみた風体の割りに長くととのった睫が風にふるえるのを観察していると、「あっ」とその目がきょろりと見開いた。
「あーあー。そっか。節分か」
やっと萃香は思い出したのである。
「そうよ。あなたがそんなのじゃ、張り合いがないじゃない」
だから山のやつらは……ともごもごつぶやきながら、萃香はむき出しの二の腕をさする。なにしろ、以前の節分の際には「鬼は外」の掛け声に腹を立てて天蓋を割ったとも伝えられたのだ。もちろん眉唾だと咲夜などは思っていたが、豪腕ぶりは疑っていない。なのに小さな肩を抱いているこの鬼はまるで、見かけどおりの子供みたいじゃないか。
甘酸っぱい感情が咲夜の胸に湧いたが、案外不器用な彼女は、どうすればいいのかわからない。里で幼子になつかれても、まごまごしながら頭を撫でるのが精一杯の咲夜なのである。
「出たわね、鬼」
そこへ、めずらしく魔女が庭へと姿をあらわす。玄関から音がしなかったから、バルコニーから直接降りてきたらしい。
「豆まきの前日に館へ襲来するとは、大胆ではあるけれど、迂闊が過ぎるわね! 飛んで火にいるなんとやら、よ。目に物見せてくれるわ!」
いつになくイキイキとしている。咲夜の知っている引き篭もり魔女ではない。どこか呆けている萃香に指つきつけると、おもむろに咲夜のさげているバスケットに手を突っ込んだ。
「あ、あれ? 咲夜。これまだ炒ってないじゃない」
「ええ。仕入れてきたばかりですから。これから恵方巻きづくりにあわせて、大鍋で火にかける予定ですわ」
「し、しまった……これでは効果がない。撒いたら芽が出る豆では駄目なのよ。うぐぐ、流石は古参の妖怪め。最大の弱点につけこむとは、なんと恐ろしい」
いちいち芝居がかっている。どうしてこんなに楽しそうなのだろう。そういえば、萃香が幻想郷にやってきて、宴会騒ぎを起こしたときにも、彼女は進んで館を出て解決にあたったような覚えがある。
「パチュリー様、あの」
「なによ咲夜。いいところなの、に……?」
拳を握りしめる魔女は、どうやら萃香の様子にはまるで気づいていなかったらしい。いつの間にかじっとうつむいて黙っている小鬼に、咲夜と顔を見合わせると、そろそろと擦り寄る。
「ちょっと、どうしたの……」
「あのさぁ」
「わっ」
いきなり顔をあげるから、大きくのけぞった魔女の細いあごギリギリに、長い角の先端が通り過ぎた。
瓢箪を肩にかついだ萃香は、屈託なくにこにこしている。
「頼みがあるんだ」
私? と唇に指をあてた咲夜に、そうだと頷く。
「時間があったらでいい、神社にいってやってくれないかな。巫女が風邪ひいて寝込んでいるから」
「霊夢が?」
「ん、そう。それだけ。邪魔したね」
そっけなく、小鬼が背をむける。とぼとぼ歩き出すのを、「待って」と咲夜は駆け寄った。
「なに?」
半開きの眠そうな眼差しが、咲夜をとらえる。
「聞きたいことがあるの。これが当たると」バスケットから豆をつまんで、萃香の頬にそっと押し当てた。「熱いのかしら、痛いのかしら? 火傷するって聞きますけれど」
面倒くさそうに横を向いた萃香は、大豆を歯でくわえ取ると、ばりばり音をたてて噛み砕いた。
「あんたの主人に聞けばいいだろう。誇りも角も足りないが、あれでも一応鬼なんだろう?」
「レミィがね。今年は自分にぶつけても怒らないから、って妖精メイドたちにお触れを出したのよ。いつも恵方巻きをかじるだけだったのに、仲間はずれが嫌だったのかしらね」
ゆっくり追いついたパチュリーが二人に並ぶ。三人のいる日溜りは光に満ちて、青い影と雪にまみれた館とは別世界のようだ。
「ふーん。自分一人を標的にしろ、といえないのかね。まあ、ぶつけてやればいいんじゃないの。別に死にはしないよ。不愉快だけどね」
やや並びの悪い鬼の歯がむき出しになる。
「そうよ咲夜。レミィ本人がそう言ってるんだから、遠慮しなくてもいいじゃない」
「だから、なのです」
魔女と小鬼が、そろって首をかしげた。
「ぶつけて欲しいのか、そうでないのか。試されているような気がして……。お嬢様がどちらを私にはお望みなのか、悩んでいるんですわ」
萃香の顔を右から左へと、ひととき駆け抜けた感情を、パチュリーはどこか懐かしい思いで見つめていた。幻想郷に来る前に、彼女の親友たる吸血鬼は、そんな表情をよく浮かべていた気がする。
紅茶と、甘いため息まじりに。
くくっと笑いを含んで小鬼は門をくぐった。
「あんたは優しいな」
そう言い残して。
あくびをしながら門番が庭に出てくる。そちらに手を振って、日の下では紺にもみえる魔女の後ろ髪を、咲夜は追いかけた。
「なんだか、変でしたね、彼女」
「鬼っていうのは。陰陽やら五行にもっとも忠実なタイプの妖怪だから、あの子の顔を見ると私、つい張り切ってしまうのだけれど」
ため息をついて、パチュリーは門前をちらりと振り返った。
「肝心の鬼があれでは、今年の節分はいまひとつ盛り上がらないかもね……。咲夜、あとで神社に行ってあげてみたら?」
「ええ、そうですね」
小さな珍客の姿は、もうどこにも見えない。
--------------------
――といったところで、節分と鬼については大体わかったな。意気地なしだから、鬼などになる。弱虫だから、角など生えるのだ。はい復唱、おーにーはーそーとー。
ということで……まて伊助、終わりだとは言っとらん。座れ。時間も余ったことだしそうだな、ひとつ昔話をしてやろう。おお、そうか、そんなに嬉しいか。
やはり節分にちなんで、鬼の話だ。
むかしむかし。……笑うな、定番だ。山に囲まれた小さな村があった。雨が多く土はやせ、民の暮らしは貧しかった。それなのに領主……つまり王様だ、その取立てはきびしく、わずかに実った米も根こそぎ持っていかれてしまう。
あるとき、村の長老たちが山神への人身御供の必要性を訴えた。あー……つまりは生け贄のことだな。気候が不順で凶作つづきなのは山にすむ神の祟りだから、誰か一人の命を犠牲にして、村全体を許してもらおうと、臆病な老人たちはそう考えたわけだな。山の神さまはそんなことしないって? 早紀、おまえ神に会ったことがあるのか。――ある。ほう。どうだった? ボインだった。ほほう。
村の長がこれまた小心者だった。年々重くなる年貢への不満が高まり、領主の言いなりの自分が非難されるのを恐れていたが、さりとて上に意見する度胸などまるでない。だから人身御供の話に、真っ先にとびついた。自分の一人娘を、生け贄にと申し出たのだ。悲劇の父親という評判が得られれば、村のため尊い犠牲を払った功労者として、誰も彼を責めなくなる。
むずかしいか。そうだな。まあ、ずるい男だったということさ。
村人も臆病だった。自分の家族を差し出さなくてもいいと、そのことで他の一切には目をつぶったのだ。
村長の妻も夫に逆らえない弱い女だった。いわれるままに娘を連れてゆき、深い山懐に置き去りにした。娘は、十一になったばかりだった。そう、おまえ達と同じくらいだね。
想像してごらん。山奥にひとり取り残されることを。怖い獣や妖怪も、いっぱいだ。食べるものだって簡単には手には入らない。おまえ達だって、あっという間に命を落としてしまうだろう。なに? 天狗のお姉さんが美人だからそれでもいいって? 洋二、おまえは宿題の書き取り一枚追加な。――静かに、静かに!
さて、それから村が平和だったかはわからん。十数年の月日が流れ、生け贄となった娘のことを覚えている者も少なくなった頃だ。生まれたばかりの赤ん坊がなにものかに連れ去られる事件が、相次いだ。山に入った猟師が、川べりに埋められた赤子の骨を見つけた。
もちろん、村は大騒ぎとなった。山に棲みついた鬼に子を喰われたと、誰もが怖れおののいた。みな家から出たがらず、猟師は山へ入りたがらない。これでは暮らしが立ち行かないと、臆病者の村長もやむなく腰をあげた。
男たちを率いて山へ入った村長はしかし、一人迷って取り残されてしまう。滝の裏に洞窟をみつけて、一夜の宿とすることにした。
いつしか寝入っていた彼は、夜更けに目を覚ます。異様な気配に気づくと、洞窟の入り口に巨大な影が立ち、自分を見おろしている。
それは、おそるべき姿の女だった。女とかろうじてわかったのは服を着ていなかったからだ。――こらこら、騒がない。女は身の丈七尺を越え、皮膚は赤銅色、針金のような髪は膝裏まで届き、金色の瞳は松明のように燃え盛っている。血のにおいがする唇は耳まで裂けて、そこから漏れてくる言葉は……『おとう』。
そうだ村長の娘だ。彼女は生きていた。そして父親のことを忘れていなかった。恨みなどせず、慕い続けていた。
父親もまた娘との再会をよろこんだ。自分で捨てたくせに、おかしなことだと思うだろう。妻には早々に先立たれ、二人の間には捨てた娘以来、子はできなかった。――そうだ。勝手な話なんだよ。
村から赤子を攫っていたのは村長の娘だった。ただし喰らっていたわけじゃない。年頃になった彼女は、わが子が欲しかったのだ。けれど子供の頃に人里から引き離されたから、どうすればいいのかわからない。そうして、ひそかに麓に下りて攫ってきたものの、育て方もわからないから結局死なせてしまう。その繰り返しだったわけだ。
村に戻った長は娘のことは秘密にして、ただ子供攫いはもう起きないだろうと、騒ぎを静めることに努めた。それから人目を忍んでせっせと、食べ物を持って山へと通った。娘には山を下りないよう約束させ、言葉をほとんど忘れていたから、辛抱強く教えた。とはいえまともに喋れたのは、父がやってくるとにこにこして言う、
『めし』
と、食い終わってにこにこして言う、
『うまかった』
ぐらいだった。
……そうだな亮太。おまえと大差ないなあ。
そんな父娘の関係が一年ばかり続いたある初春だ。いつものように娘に飯を食わせて、日の暮れる前にと、村長が帰り道の途中にある丸木橋を渡っていたときのことだ。
なんの前触れもなく、季節外れの雷がとどろいたのだ。
おどろいた村長は足を滑らせ、はるか下の渓流に落ち、そのまま溺れ死んでしまう。
娘も雷鳴を聞いていた。なにか胸騒ぎがした。父親は山を下りてはいけないと命じたが、心細くて仕方がない。
つまりはこの娘も弱虫だった。父と再会して、一緒にすごす時間を得たおかげで、それまで平気だったはずの山での孤独な暮らしに、耐え難くなっていたのだ。夜の闇すらも怖れるようになっていたのだ。
一方村では、夜になっても帰ってこない村長を案じて、捜索隊が組まれていた。山へ入ったらしいという証言も出て、松明を手にした男たちが村の広場へ集まったそのとき。
誰もがぎょっとして立ちすくんだ。人垣を割ってのっそり現れたのは、裸の大女だったのだから。
そうだ、あの娘は、山を下りてしまったのだ。
日はほとんど暮れていた。振り乱した娘の髪の中で、二つの目だけが輝いていた。村の男衆の誰よりも、彼女は背が高かった。村人の輪の中心まで進んで、彼女は持ってきた、父親が握り飯を包んできてくれた筵をそっと下に置いて、大きな口を釣り上げて笑い顔をつくった。
『おとう』
『めし』
『うまかった』
……どうなったと思う?
臆病な一人が悲鳴をあげて石を投げつけた。意気地なしの犬が吠えかかった。弱虫の猟師がやぐらから矢を射掛けた。
そうだ。村長はこの女に喰われてしまったのだと、誤解されたのだ。
たまらず、娘は逃げ出した。天にとどくばかりの叫びをあげ、猿のように屋根から木の枝に飛び移り、はるか山の奥の奥まで逃げ延びていった。
それ以来、その村では雪のとける頃になると、たとえどんなに晴れた日でも、娘の去ったような夕暮れには、どこからともなく遠雷が聞こえてくるようになったのだという。
話はこれで仕舞だ。
……さて、ここでみなにひとつ質問がある。
この話のどこに、鬼が出てきたのかな?
開け放した座敷に、雑木林を抜けた冷たい風が吹きよせる。
「ありふれた話だったねえ」
慧音は箒の手をとめて、天井を見上げた。寺子屋の黒く太い梁に、小鬼が跨って足をぶらぶらさせている。
「いつから、いた」
「知らないわけじゃないだろう。妖怪ってのはその名を出したとき、すでに身近に潜んでいるもんさ」
「なるほど、道理だな」
幼い歓声が風に乗ってくる。授業はもうないのだが、運動場代わりの広場か、裏の林に集まって遊んでいるのだろう。
慧音は膝を正してかしこまった。
「質問をかえよう。どこから聞いていた」
「おーにーはーそーとー、って合唱がね」
「すまん、悪気はなかったんだ! だから子供には手を出さないでくれ」
きちんと肘を折って、慧音はふかぶかと頭を下げる。顔をしかめて、萃香は文机の上に飛び降りてきた。
「そんな気もないくせにさ。別に気にしてないよ。子供は嫌いだから、好かれるよりマシさ」
机にまたがって瓢箪を傾ける。顔をあげた慧音は、せめて靴を脱ぐよう命じるべきか、小さく悩んだ。
「いっつも、あんなつまんない授業してるのかい? 退屈するだろ、子供はさあ」
「居眠りしたら、ゲンコツです」
箒をとりあげて慧音は畳掃きのつづきをはじめる。
「しかしまさか、雷が槍玉にあげられるとはね。村の長か、生け贄を言い出した長老あたりに集中するかと思っていたよ」
ごろごろ寝転がりながら萃香は縁側に向かう。慧音はため息をつき、靴から落ちた砂を掃いていく。
「ああ、誰が一番悪いか、って質問か。私も驚いたよ。社会構造やら衆愚体質やら、貧困が非難されるものかと思っていた」
「そりゃないよ。それはない。誰にむかって教えてるんだい。あんた、馬鹿だろ」
かかかと小鬼は喉を鳴らす。慧音は、首の後ろでくくっていた髪をほどいた。色の薄い髪が、風のかたちをなぞる。
「ここにいるのなら、大人しくしていろよ」
廊下を渡って彼女は奥へ這入っていく。残された萃香は立て膝にあごをのせて、庭を眺める。生垣には一輪、椿の花が咲いている。
寺子屋の建物を真ん中に、子供らの声は近くなり遠ざかり、ぐるぐると駆け回る。
(鬼さんこちら、手の鳴る方へ)
神社ではこうはいかない。きっと今も、布団で寝ているだろう巫女の耳に入るのは、葉の落ちた木々の枝がお互いをひっかく音だけだろう。
萃香は膝を抱きしめる。
朝起きるとすぐに、障子をあけて空気を入れ替えるのが、霊夢の習慣だ。どんなに寒くても、たいていめげずにやっている。真面目というより、そういうものだと思っているのだろう。
着替えて、天気がよければ座布団を縁側に並べて日にあてたりして、彼女は朝食をとる。頃合を見計らって顔を出すと、ぶつくさ言いながらもう一人分の飯をよそってくれる。
けれども今朝、霊夢の居室はぴったり締め切られたままだった。鳥居より日が高くなって、萃香が外から呼びかけると、ようやく雨戸の隙間にのぞいた顔は髪みだれ、息も荒い。具合が悪いのかと聞けば、そうだという。
――ただの風邪よ。寝てれば治るわ。
そっけなく引っ込もうとするから、萃香はあわてて言葉を探した。しばらく留守にしていた神社で、霊夢の顔が見たかっただけなのだ。
じゃあ茶を淹れてやるよ。たどたどしく申し出るともう淹れたという。そのくらいできるからと、霊夢は力なく笑った。
あとについて部屋へ上がろうとすると、やんわりと押し戻される。
――どうして?
――ひとりにして。
寝巻きから出た二の腕は青白い翳がさし、声もしわがれていたが、巫女の背中は巌のようにそびえている。
だから、萃香はわかったのだ。たとえ岩の壁だって、鬼にしてみれば破って入り込むことなど容易いのだから。
彼女は本気なのだと。
――萃香、あんたは悪いやつじゃないけど、妖怪だし。悪いやつじゃないけどさ。
――わかんないよ。
本当はわかっていた。振り向いた霊夢は流れる砂のようにとらえどころのない表情をしていたけれど、目の奥をかすかに横切った感情だけは、鬼の見慣れたものだったからだ。
それは怯えだ。
痛みで我にかえる。前歯の食い込んだ膝頭の肉が赤くなっている。
慧音が戻ってきて、何か言いたげに見おろしたが、黙って戸締りをはじめた。
ぎしぎしと桟がきしんで、しばらくしてことりと、湯気のたつ湯呑みが萃香のそばに置かれた。
「それを飲んだら、帰ってくれないか。もう今日は閉めるんでな」
「ああ、わかったよ」
大人しく茶をすする萃香を、半妖の教師はだまって見つめていた。
「なんだい?」
とげとげしい声が出てしまう。こうやって差し向かいで居るのははじめてなのだ。慧音はわざとらしく息をつき、立派な角だなあ、と言った。
「いや私もな。たまに角が生えるんだが……。そんな見事なものが出てきたためしがない。いや大したものだ」
睨みつけると、慧音はくしゃりと相好を崩し、すまんと頭を下げた。
「おまえがな。叱られた子供そっくりの背中をしているものだから……」
文句をつけてやろうとした萃香の耳に、乾いた足音がとどく。肩口で髪をそろえた娘が庭先に走りこんできた。二本角の鬼をちらりと見て、となりの先生にぺこりとお辞儀をし、またすぐ生垣をくぐって姿を消す。
「ああこら、志乃! いいかげん帰りなさい。家の手伝いだってあるでしょう」
先生のお叱りはとどかない。くすくす雛鳥みたいな笑いが、木陰から戻るばかりだ。
「帰る」
返された湯呑みを、慧音は正座した肉付きのいい腰の真ん中に据えて、浮き上がる萃香を見送っている。遠い夕映えがきちんと伸びた背筋を畳の上におそろしげな影にして、美しい彼女は、鬼などよりよっぽどあやしい存在に見えた。
「ああ、気をつけてな」
そんなことを言わなければ。
しかしこれが、この地というものなのだ。自分を怖がらなかった娘を、萃香は思い出している。
山の端に、とろりと夕陽が落ちていく。蜜柑の皮をしぼったような夕方の酸味が、空気に混じる。
子供らの唱歌が川の土手をゆく。掛け合いのように向こう岸から投げかけられるのは、それぞれの母親の呼ぶ、それぞれの名前だ。
萃香は高い空で耳をすませている。心細いような、不安のような、なじみのある感情がそろそろと心臓に忍び寄ってくる。
ああ、攫いたいな。
などと思う。泣き叫ぶ子供のぬくもりを腕(かいな)に感じて、どこまでも山を駆けていきたい。そして帰るんだ。帰るんだ。そうしたらきっと、追いかけてきてくれる――。
誰が?
ぞくりとして、身体がふるえた。
三日と開けぬ宴会を引き起こしてから、しばらく萃香は、お得意の能力で姿をかくし、幻想郷のあちこちを渡り歩いていた。自由だった。そして孤独だった。外の世界となんら変わりないとあきらめてもいた。
夏の入り口、なんとなく戻った神社の屋根裏に潜み、蝉の声を聞いていた。巫女は朝から出かけて留守だった。なぜかはわからないが、萃香にはこの神社が居心地がよかった。巫女は萃香がいるのをとくに気にしなかったし、萃香もまた彼女のことを、この心地いい建物の柱の一本みたいに思っていた。
そのつもりだった。
日が傾いて帰ってきた巫女は、井戸水を汲み、長い影を曳いて境内を掃き、水を撒いて、洗い物をとりこんでから、縁側に座って屋根を見上げた。
――ねえ、いるんでしょ。出ておいでよ。ちょっといいお酒があるのよ。でも暑いからまず西瓜を切るわね。貰ったの。
あーあんたもすいかか。共食いだわねー、と笑っていた。
飛び上がるほど嬉しかったのは、この数百年ではじめてかもしれない。
実際に飛び上がって柱に頭をぶつけ、走り出して壁に鼻をぶつけ、まっしぐらに目の前にやってきた萃香に、食い意地がはってるわねえと霊夢は顔をしかめ、持っていた手ぬぐいで頬をぬぐってくれた。
思い出せば頬が赤らんでだらしない口元になってしまうが、かまわないだろう。
空の上では、どうせ誰も見ていない。
--------------------
神社につづく杉木立は、深く差し込んだ西日で溶け出した雪からの水蒸気につつまれて、つくづく陰気な眺めだった。夜の訪れは願ってもないが、こういう湿度の高い風景は自分にはあわない。レミリアはいつもそう思う。
来る国を間違ったか?
周囲の幹が立て続けに木屑を撒き散らし、鑿でうがつような音が遅れてついてくる。顔面に迫った影をひらりとかわし、日傘を持ち直してレミリアは、ゆっくり向き直った。
「最近の鴉は、啄木鳥の真似事もするのかい? ブン屋」
「た、たたた助けて」
ぬかるんだ雪にまみれて杉の根元にころがった文は、日頃のふてぶてしい態度もどこへやら、髪も服も乱れてひどい有様だった。
しかし、ときに種族の体面よりも自身のプライドを重んじる彼女が、素直に助けをもとめるのはめずらしい。レミリアは首をかしげ、ふと横を見た。
巨大な炎の弾幕が、鼻の先にある。
「なにゃっ!?」
とっさに妙な声が出てしまい、声より先にレミリアは拳で炎を弾きとばした。
「助かりましたレミリアさん。あと、かわいいこと言いますね」
そそくさと背中にまわった文は、すでにいつもの余裕をとりもどしている。
「あんた、敵を増やしそうな性格してるわね」
「ええ、それについて今噛み締めているところです」
里からつづく参道は、玉砂利に草が生い茂っている。ゆらりと音もなく、鬼がそこへ降り立った。
太陽は地平線に這いつくばり、鬼の巨大な角が神社の階段に、突き刺さるような影を落としている。
「なあ、天狗。たまたま通りがかったおまえが、私の顔をみて思わず笑ったのはまあいいさ。別に見たものを忘れろなんて無茶なことも言わない。謝ってほしいとも思わない」
両手をだらりと前に垂らして近づいてくる萃香を見て、レミリアはおやと思う。追いかけてきた彼女の方が、追いかけられていたらしい天狗より、もっと憔悴して見えたからだ。いつも糸のように細めている目は見開かれ、手足に妙に力がこもっている。まるで駆け出そうとする意思を、彼女自身が引き止めているかのようだ。
「じゃ、じゃあどうすれば許していただけるんで?」
文がレミリアの肩をぐっと掴む。おや、この小鬼、唇が震えている――相当に怒っているのか、それとも。
不躾にじろじろ観察しても、萃香はまるでレミリアが視界に入っていないかのようだ。
「一発殴らせろ」
「いやだから、それはご勘弁をー!」
小さな豪腕がぶうんと風を切る。文が後ろで「ひゃっ!」と楽しげにも聞こえる悲鳴をあげる。にぎり固めた拳が迫るのを、レミリアは平然と目で追っていた。そのいとけない鼻先で、拳がぴたりと止まる。
「なんだい吸血鬼。邪魔するのかい」
荒い息とともに、萃香は乱杭歯を引っ込める。
「おまえ、さあ……」
レミリアは意識を自分の裡へとむける。ほんのひととき、天狗も鬼も自分がどこに立っているのかさえも忘れて、たなびく運命の奔流の縁で、自らをも傷つける言葉を探す。
「……心を覗かれたのか? 覗かれたと、思ったのか。そんなところか」
「なっ?」
萃香が髪を逆立てた。とっくに文は杉のてっぺんに飛び上がっている。レミリアは日傘を放り投げ、参道をすべるように距離をとった。
「弱い。弱いねえ。たしかに心は私らのよりどころ。臆病な私らの、最後の砦さ。人間みたいにむき出しには、できないよ。でも本当に? 本当に、自由になれないのかしら? こうでなくっちゃ鬼じゃない、って凝り固まっているんじゃないか? 角はあるのに翼はないから、自在に飛んじゃいけないって思ってるんじゃないか? それこそが弱さだよ。おまえの弱さだ。認めたくないだろう。認めるしかないんだよ。誰よりわかっているはずじゃないか? 結局私らは、人間のそばでしか生きられないんだよ。忘れたか? 節分の前だからって、心まで腰くだけになってしまったか?」
「少し黙れよ、紅い鬼!」
石畳に手をついて、一回転した萃香の身体がぐいと空中で力を溜めると、楔のようにとがった膝が猛烈なスピードで降ってくる。
「ふん!」
体をひらいて下がり、注連縄のはられた杉を蹴飛ばして、地上で見上げる萃香めがけ、レミリアは袈裟懸けに爪で切りつけた。
火花が散る。レミリアは吹っ飛ばされ、直接腕で弾いた萃香も大きく後ずさり、両者は大きく離れて立ち上がった。
「なんだよ。自分だって弱点ばっかりのくせにさ……」
けれども萃香の声に、もう戦意はない。
「そうよ」
レミリアの隣に立った咲夜が日傘をさしかけ、乱闘で落ちた主の帽子をそっと差し出した。
「だから咲夜は、私のそばにいてくれる」
帽子をかぶって従者に笑いかける吸血鬼を、萃香は呆然と見上げていた。ほとぼりが冷めたとみて、文がゆっくりと下りてくる。
「それで咲夜。巫女はどうだった?」
「それなんですが。追い出されました。平気だから帰れと」
「ああ……」
うつむいて吸血鬼がくすくす笑う。「だから言ったじゃない」と。
「ああ、見舞い、来てくれたんだ」
歩み寄る萃香に、ん、と咲夜はうなずいた。
「しゃくにさわったので、洗濯をして台所の掃除をして、ついでに野菜スープを作って余った恵方巻きを置いてきましたわ」
レミリアはもはや大笑いだ。長い階段をのんびり下りてきた黒白魔法使いが、そろっている面々に目を丸くする。
「なんだおまえら。咲夜だけじゃなかったのかよ」
「いや、霊夢が……」
萃香が階段の上を見上げると、魔理沙は咲夜と目をあわせ、気まずげに頬をかいた。
「ああ、うん。前にも一回あったんだけど、霊夢はさあ、こういうときだけ一人になろうとするのな。こういう……自分が病気になったりしたときに限ってな。いつもは誰が来てもウェルカム、のくせしてさ」
「あなたも、追い出されたクチ?」
文が首をかたむけると、魔理沙は箒の柄で自分の帽子をこづいて、たははとうなだれた。
「魔女の上に黒白なんて縁起が悪い、って酷い理由だよなあ」
「私なんて、メイドだから、ですよ。今度倒れたって、頼まれても来てあげないんだから」
やれやれと髪を撫で付けて、その頼んだ相手に咲夜は、片目をつぶってみせた。
「あなたに頼まれたって伝えたの。それで伝言ね。ごめんね、って霊夢」
「うん……」
日は山にかくれ本格的な夜が押し寄せてきたけれど、自分の中でどんどん膨らむ熱泉のような感情を、萃香は抑え切れなかった。いや、きっと抑える必要などないのだ。
「そっか」
わくわくと、膝が軽くなる。にわかに文の前に立つと、おっかなびっくり見おろしている彼女に、「すまん」と頭を下げた。
「当たっちゃってたみたいだ」
「いや、いいんですけれど。なにがなんだか……」
「それでさ。山の連中に伝えたいことがある。天狗の代表として聞いてくれ」
文の顔がたちまち引き締まる。威厳すら纏わせて、「伺いましょう」と目を細めた。
「明日の節分には、ちゃんと私を呼びな。鬼をのけ者にした豆まきなんて意味がないことぐらい、天魔もわかっているだろう」
「ええ。ですが……」
たくましく腕を組み、萃香はあははと、文をはげますように笑いかけた。
「わかってると思うけど、お山の頭領だの支配だのなんて、興味はないんだ。おとなしく、豆をぶつけられる役を演じきって、日が暮れたらサヨナラさ。酒の一本でもくれればいい。どうだい?」
「うーん。なにしろ明日ですからねえ。まあひとまず、伝えてみますよ」
そうだ。鬼のいない「鬼は外」になんの価値があるだろう。そして鬼は、のけ者にされることに臆病であってはいけないのだ。
萃香はうなずく。咲夜に傘を畳ませたレミリアが、「あーあ」と肩をまわした。
「明日は憂鬱ね。パチェなんてやる気満々だったし……居候のくせにさ。咲夜、背中は任せるわよ。守って頂戴ね」
「ええ」咲夜は目をしばたき、やがておだやかな顔をする。「ええ、命にかえましても。お嬢様」
「そんな大仰な話かい」
そして主従は退場しかけ、咲夜だけ立ち止まる。小鬼にむかってちょいちょい手で招いた。
「なんだい」
「霊夢からの伝言、つづきがありました。節分だから、明日は一緒にいましょうって」
「ホントに?」
萃香は小躍りする。神社の階段を駆け上がりかけ、思い出して後ろを見た。
「文! さっきの訂正。来年の節分からでいいや!」
「はあ」
立ち去りかけていた文はがくりと膝を落とし、それでも若干、ほっとしたようだった。なんとなく事情を察したらしい魔理沙が、箒にまたがりながらにやにや手を振った。
「霊夢、もうけっこう元気だったから。今近づくとぶっ飛ばされるかもしれないぜ?」
「平気さ」
鬼だもの。
かちゃかちゃと瓢箪や鎖を鳴らして萃香は駆けていく。見上げる夜空は河童の皿みたいに雲が晴れて、忙しく星がまたたいていた。
<了>
文章がきれいで、話もきれいで、引き込まれました。
読後感もよかったです。
って感じなんでしょうけど、それをこんな風にひととひとの関わりの中にある
情景として書けるのが凄いです。
ひとつひとつの文章がストーリーと直接結びつかなそうでありながら絶妙に絡んできて、
終わってみればとてもいい話。ああ小説を読んだなぁと思いました。
もしかしたら鬼に会えたかもしれない。
一つ一つの描写が綺麗でなんか溜め息が出ました
とても気持ちのよい小説です。読んでよかった
読んでいて泣きそうになってしまいました……。
萃香さんは、人懐っこくて情にもろい、ウェットなタチと言う部分。そこにわたくし全力で同意したいと思います。
それに出遅れた、なんてとんでもありませんよ。私などこのままのペースですと立夏の前日にry(泣)。
不器用な人たちが多いですが、その不器用な言動がなんとなく心地よかったり。
ところで、寺小屋の生徒がなんかとてもアレなガキで吹いた。
私は豆撒きの時に
「鬼は~外~。すいかとゆーぎは家きてー」
と言って撒いてました。
キャラが一人一人立っていて完璧。レミリアかっこいいわ
鬼もー内ー
これは子供にも読ませられるレベルw
かっこいい萃香やせくしー(汗)な萃香も、また機会あらば書いてみたいですね。
レミリアお嬢様の別の切り口でのキャラクターも、そうなのです。器用じゃないので、どこまで柔軟に幅を広げられるか、わかりませんけれども……。
それ以前にまだ書いたことのない・書いてみたいキャラも大勢いて、目標がつきないのはうれしいけれど、なかなか手が追いつきませんね。
お読みくださった方、コメントをくださった方。本当にありがとうございます。
毎度同じ返ししかできませんが、励みになっております……。
子供が出会った神様とは蛇と秋(妹)のどっちだろう…
ある種の悟りを開いたレミリアも非常にカッコ良かった。本編の物語も感動でした、素晴らしい。
慧音「この話のどこに、鬼が出てきたのかな?」⇒子供たち「雷」
の流れに思わずため息が出ました。
こういう感性を忘れずに培っていたかったです。
にしてもスイカだから共食いってw
不安定な萃香さん、いいなあ。
張りぼてみたいな強さに閉じこもって、中身は脆いんだから
なぜか文に心底むかついたので-20点。なんでだろう、自分でも不思議