※この作品は百合成分を含んでおります。
「魔理沙ってわからないわね」
「……私はお前の言動の方がわからないぜ」
何気ない日常会話。その中で急に投げつけられたそんな言葉に、思わずそう返した。
「なんだよ急に。私は何か変な事言ったか?」
「いえ、そういうわけではないんだけどね」
そう言って彼女は紅茶を一口飲む。そこで話題は終わりらしい。
こちらとしては全く意味がわからない。というかなにか気になる。
わからないってなんだ。いつも人の事単純バカみたいに言ってるくせに。
「私だってアリスがわからないぜ?」
「あら、私はこんなに素直でわかりやすいのに?」
「どの口がソレを言うんだ……」
「この口」
微笑みながら、アリスは人差し指で自分の唇を指す。
なにかすごく可愛いその仕草に何故かドキッとした。
「本当、わからない奴だぜ……」
「あら、素直に答えてるじゃない?失礼ね」
クスクスと笑いながら、また紅茶を一口。
絶対こいつ、人の事からかってやがる。
「で、なにがわからないんだ?親切素直にこの私が直々に答えてやるぜ」
「まあ別に大した事はないからいいわ。それより今日の紅茶、葉をかえてみたんだけどどう思う?」
「露骨に話題を変えるな。そして私は紅茶の違いなんてよくわからん」
「緑茶の違いはわかるのに?」
「それは好みの問題ってやつだな。で、何を考えているんだ?」
「あまりしつこい子は嫌われるわよ?」
「何でも秘密にしたがる奴も嫌われるぜ?」
「あら困ったわ。私魔理沙に嫌われたら生きていけないのに」
「……そういう事言って誤魔化そうとするのも反則だぜ?」
「だから本心よ。私は素直なの」
悔しいけれど、それ以上は言い返せなかった。
言い返そうにも言葉が出てこない。
なにより、こんな真っ赤になった顔で何を言っても、かわいいとか言われるだけなのが目に見えている。
「ねえ魔理沙。魔理沙は私の何処が好きなの?」
「……お前まだ私をからかうつもりなのか?」
「からかってないわ。私は心から疑問なの。どうして私なの?私なんかのどこを好きになったの?」
口調はなにもかわりない。いつもと変わりない、クールなアリスのままだ。何を考えているのかさっぱり見えてこない。
それなのに、なんとなく。
本当になんとなくだけれどもその声色はいつもと何かが違っていた。
「……全部、かな」
「あらそう。ありがとう」
そんな声色に騙された。
にっこり微笑んで礼を言ってきたこいつに、心の底からそう思った。
「でもそこがわからないわ。だってあなた、前は咲夜が好きだったでしょ?」
「なぁあっ?!」
「ちなみにその前は霊夢ね」
「ななななななっ?!!」
「何をそんなに動揺しているのかしら?そんなのちょっと見ていればすぐわかることよ。ちなみに初恋は霖之助さん」
「お、お前なあああっ!」
「落ち着きなさい。別に私は何とも思ってないから」
……それはそれでショックなんだが。
なにかどうでも良くなってきた。というかそう思わせて。
そうでも思わないとこいつとはやっていけない。そんな事とっくの昔にわかりきっているじゃないか自分。
そういえばと紅茶の葉を変えたとか言っていた事を思い出し、落ち着きを取り戻すつもりで一口啜ってみる。
……やっぱり紅茶の違いなんてよくわからなかった。
「まあそんなあなたがどうして私を好きなのか、わからない。と言うかあなたが好きになる人の基準がわからない。だって共通点が私には見つけられないわ。答えはソレだけよ」
そう言って、彼女はまた紅茶を飲む。
悔しいくらいに落ち着いている。私の動揺なんておかまいなしだ。
「一応質問に答えはくれたんだな。私をからかっているだけかと思ったぜ」
「あら、わたしは素直でわかりやすいと言っているでしょ?」
「……もう少しお手柔らかにしていただきたいんだが」
「無理よ。だってあなたはそんなわたしが好きなんでしょ?」
「……まあ、うん」
「で、私の疑問には答えをくれないのかしら?」
「もしかしてさっきの基準がどうこうってやつのことか?」
「それ以外何かあった?」
当然と言わんばかりに涼しげな顔でこちらを見るアリスの顔を、ただ見返す。
疑問も何も、至極簡単すぎる事じゃないか。
どうしてそんなに簡単な事がわからないのだろう?
「私にはお前がどうしてわからないのかと言う方が疑問だぜ。簡単なことだろう?」
「そうね、咲夜と霊夢、それに私の共通点といえば女であるところ?でも霖之助さんは違うわ。もしかして種族的なとこかしら?でもそうすれば私と霖之助さんがあてはまらない。優しいところ、とかいったら私と霊夢はきっと当てはまらないでしょ?」
「いや、一応弁解しておくが私が思うにお前や霊夢だって優しいところもあると思うぜ?」
「あら、ありがとう」
「どういたしまして……って何処に行くんだ?」
急に立ちあがったアリスにそう尋ねるが、答えは行動で示された。
隣に座ったかと思えば、急に抱きつかれる。
行為自体は嬉しいのだが意味がわからない。唐突すぎる。
優しいと言われた事がそんなに嬉しかった?いや、こいつはそれぐらいでこんな事をする奴じゃあないと私は思っている。
「あの、アリスさん?急にどうしたんだ?」
「出来ればその質問には答えたくないわね」
「……私にはお前の方が本当にわからないぜ」
「あら、あなたに対しての私の行動や言動は全部素直なのよ?」
「じゃあこの行動の意味も素直に教えてくれると嬉しいんだが。このままじゃ迂闊に抱きしめ返せないぜ?」
「それは……少し困るわね」
「じゃあ答えをプリーズ?」
「……だから、これは、その」
珍しく言い淀むアリスに、思わず首をかしげる
いつもならすぐに切り返してくるくせに。
ギュッと、アリスの腕の力が強くなる。
正直、ちょっと苦しかった。
「……さっきの言葉は撤回するわ。やっぱり気になるの。あなたが好きだった人と私は何処が一緒なのか。その一緒の部分がなくなったら、私達は終わってしまうのか。……魔理沙と別れるのは、嫌」
ギューっと、心が苦しくなった。
どうしようもない衝動に抗えなくなって、力いっぱいアリスを抱きしめる。
ああどうしよう。どうしようもなくこいつかわいい。
本当に、どうしようもなくなるくらい私はこいつが好きだ。
解り辛いけど妬きもちやきなところとか。
解り辛いけどこいつの言葉には本当に嘘がないところとか。
解り辛いけど本気で私を好きでいてくれているところとか。
解り辛いけど、本当はこうやっていっぱいいっぱい私の事を考えているところとか。
可愛くて、どうしようもなくなる。
どうしようもないくらい、愛しくなる。
わかっている。
素直じゃないのは私のほうだ。素直になれずにいつだってこうやってアリスを不安にさせる。
素直に答えてあげたいのに、恥ずかしくて彼女の言葉を素直に受け止め切れない。
本当はいっぱいいっぱい好きだと言って。
アリスの全部が好きだといっぱいっぱい言ってやって。
いっぱいいっぱい抱きしめて、愛してあげたいのに。
「なあ、アリス。さっきの質問の答えなんだけどさ」
「うん」
「すごく大切な共通点をお前だけに教えてやるぜ。特別だ」
「なんでそんなに偉そうなのかはすごく気になるんだけど、今はいいわ。教えて?」
「私が好きになったって共通点だ」
自信満々にそう答えれば、アリスはくつくつと笑い出す。
当然の答えを教えただけなのに、なにがそんなに面白いのか。
正直、私自身共通点なんてそれ以上、いや、それ以外のものなんて思い浮かばない。
好きになった人の好きなところなんてものは沢山ある。それこそ数え切れないくらいある。
嫌いなところさえも好きだと思えてしまうから、恋って偉大だ。
だが、それが皆に共通する好きなところなのかと問われれば、それは否だ。
だって、霊夢の優しさは霊夢だけの優しさだし、咲夜の優しさも咲夜だけのものだ。ついでに言えばこーりんの優しさもこーりんだけのもの。
その一部分が誰かと一緒だから、その人を好きだなんてありえないと私は思う。
だから私が考える共通点は、『私が好きになった人』以外何もないのだ。
「ねえ魔理沙」
「ん?」
「好きよ」
「ああ、私もアリスが大好きだ」
「あら、私大好きだなんていってないわよ?」
「だって大好きだろ?私の事」
くっついたまんま、二人でそんな事を囁きあう。
「ねえ、魔理沙」
「うん?」
「なにか急にキスがしたいわ」
「奇遇だな、私もそう思っていたところだ」
そんな詭弁にもならない言葉を囁き合ってから、どちらともなく唇を寄せ合った。
なんて滑稽で私達らしいのだろう。
口付けを交わしながら、ああ、と胸のどこかに引っ掛かっていた疑問の答えに気付く。
言ったこともないのに、あいつがどうして私が好きだった人を全員知っているのか。
ちょっと見ていればわかるだなんて言っていたけれど、それは嘘だ。
ちょっとなんかじゃない。それだけ、あいつは私の事を見ていてくれたんだ。
そんな事に気付いて、ますますアリスが愛しくなる。
全く、こいつはどこまで私を虜にすれば気がすむのだろうか?
「魔理沙ってわからないわね」
「……私はお前の言動の方がわからないぜ」
何気ない日常会話。その中で急に投げつけられたそんな言葉に、思わずそう返した。
「なんだよ急に。私は何か変な事言ったか?」
「いえ、そういうわけではないんだけどね」
そう言って彼女は紅茶を一口飲む。そこで話題は終わりらしい。
こちらとしては全く意味がわからない。というかなにか気になる。
わからないってなんだ。いつも人の事単純バカみたいに言ってるくせに。
「私だってアリスがわからないぜ?」
「あら、私はこんなに素直でわかりやすいのに?」
「どの口がソレを言うんだ……」
「この口」
微笑みながら、アリスは人差し指で自分の唇を指す。
なにかすごく可愛いその仕草に何故かドキッとした。
「本当、わからない奴だぜ……」
「あら、素直に答えてるじゃない?失礼ね」
クスクスと笑いながら、また紅茶を一口。
絶対こいつ、人の事からかってやがる。
「で、なにがわからないんだ?親切素直にこの私が直々に答えてやるぜ」
「まあ別に大した事はないからいいわ。それより今日の紅茶、葉をかえてみたんだけどどう思う?」
「露骨に話題を変えるな。そして私は紅茶の違いなんてよくわからん」
「緑茶の違いはわかるのに?」
「それは好みの問題ってやつだな。で、何を考えているんだ?」
「あまりしつこい子は嫌われるわよ?」
「何でも秘密にしたがる奴も嫌われるぜ?」
「あら困ったわ。私魔理沙に嫌われたら生きていけないのに」
「……そういう事言って誤魔化そうとするのも反則だぜ?」
「だから本心よ。私は素直なの」
悔しいけれど、それ以上は言い返せなかった。
言い返そうにも言葉が出てこない。
なにより、こんな真っ赤になった顔で何を言っても、かわいいとか言われるだけなのが目に見えている。
「ねえ魔理沙。魔理沙は私の何処が好きなの?」
「……お前まだ私をからかうつもりなのか?」
「からかってないわ。私は心から疑問なの。どうして私なの?私なんかのどこを好きになったの?」
口調はなにもかわりない。いつもと変わりない、クールなアリスのままだ。何を考えているのかさっぱり見えてこない。
それなのに、なんとなく。
本当になんとなくだけれどもその声色はいつもと何かが違っていた。
「……全部、かな」
「あらそう。ありがとう」
そんな声色に騙された。
にっこり微笑んで礼を言ってきたこいつに、心の底からそう思った。
「でもそこがわからないわ。だってあなた、前は咲夜が好きだったでしょ?」
「なぁあっ?!」
「ちなみにその前は霊夢ね」
「ななななななっ?!!」
「何をそんなに動揺しているのかしら?そんなのちょっと見ていればすぐわかることよ。ちなみに初恋は霖之助さん」
「お、お前なあああっ!」
「落ち着きなさい。別に私は何とも思ってないから」
……それはそれでショックなんだが。
なにかどうでも良くなってきた。というかそう思わせて。
そうでも思わないとこいつとはやっていけない。そんな事とっくの昔にわかりきっているじゃないか自分。
そういえばと紅茶の葉を変えたとか言っていた事を思い出し、落ち着きを取り戻すつもりで一口啜ってみる。
……やっぱり紅茶の違いなんてよくわからなかった。
「まあそんなあなたがどうして私を好きなのか、わからない。と言うかあなたが好きになる人の基準がわからない。だって共通点が私には見つけられないわ。答えはソレだけよ」
そう言って、彼女はまた紅茶を飲む。
悔しいくらいに落ち着いている。私の動揺なんておかまいなしだ。
「一応質問に答えはくれたんだな。私をからかっているだけかと思ったぜ」
「あら、わたしは素直でわかりやすいと言っているでしょ?」
「……もう少しお手柔らかにしていただきたいんだが」
「無理よ。だってあなたはそんなわたしが好きなんでしょ?」
「……まあ、うん」
「で、私の疑問には答えをくれないのかしら?」
「もしかしてさっきの基準がどうこうってやつのことか?」
「それ以外何かあった?」
当然と言わんばかりに涼しげな顔でこちらを見るアリスの顔を、ただ見返す。
疑問も何も、至極簡単すぎる事じゃないか。
どうしてそんなに簡単な事がわからないのだろう?
「私にはお前がどうしてわからないのかと言う方が疑問だぜ。簡単なことだろう?」
「そうね、咲夜と霊夢、それに私の共通点といえば女であるところ?でも霖之助さんは違うわ。もしかして種族的なとこかしら?でもそうすれば私と霖之助さんがあてはまらない。優しいところ、とかいったら私と霊夢はきっと当てはまらないでしょ?」
「いや、一応弁解しておくが私が思うにお前や霊夢だって優しいところもあると思うぜ?」
「あら、ありがとう」
「どういたしまして……って何処に行くんだ?」
急に立ちあがったアリスにそう尋ねるが、答えは行動で示された。
隣に座ったかと思えば、急に抱きつかれる。
行為自体は嬉しいのだが意味がわからない。唐突すぎる。
優しいと言われた事がそんなに嬉しかった?いや、こいつはそれぐらいでこんな事をする奴じゃあないと私は思っている。
「あの、アリスさん?急にどうしたんだ?」
「出来ればその質問には答えたくないわね」
「……私にはお前の方が本当にわからないぜ」
「あら、あなたに対しての私の行動や言動は全部素直なのよ?」
「じゃあこの行動の意味も素直に教えてくれると嬉しいんだが。このままじゃ迂闊に抱きしめ返せないぜ?」
「それは……少し困るわね」
「じゃあ答えをプリーズ?」
「……だから、これは、その」
珍しく言い淀むアリスに、思わず首をかしげる
いつもならすぐに切り返してくるくせに。
ギュッと、アリスの腕の力が強くなる。
正直、ちょっと苦しかった。
「……さっきの言葉は撤回するわ。やっぱり気になるの。あなたが好きだった人と私は何処が一緒なのか。その一緒の部分がなくなったら、私達は終わってしまうのか。……魔理沙と別れるのは、嫌」
ギューっと、心が苦しくなった。
どうしようもない衝動に抗えなくなって、力いっぱいアリスを抱きしめる。
ああどうしよう。どうしようもなくこいつかわいい。
本当に、どうしようもなくなるくらい私はこいつが好きだ。
解り辛いけど妬きもちやきなところとか。
解り辛いけどこいつの言葉には本当に嘘がないところとか。
解り辛いけど本気で私を好きでいてくれているところとか。
解り辛いけど、本当はこうやっていっぱいいっぱい私の事を考えているところとか。
可愛くて、どうしようもなくなる。
どうしようもないくらい、愛しくなる。
わかっている。
素直じゃないのは私のほうだ。素直になれずにいつだってこうやってアリスを不安にさせる。
素直に答えてあげたいのに、恥ずかしくて彼女の言葉を素直に受け止め切れない。
本当はいっぱいいっぱい好きだと言って。
アリスの全部が好きだといっぱいっぱい言ってやって。
いっぱいいっぱい抱きしめて、愛してあげたいのに。
「なあ、アリス。さっきの質問の答えなんだけどさ」
「うん」
「すごく大切な共通点をお前だけに教えてやるぜ。特別だ」
「なんでそんなに偉そうなのかはすごく気になるんだけど、今はいいわ。教えて?」
「私が好きになったって共通点だ」
自信満々にそう答えれば、アリスはくつくつと笑い出す。
当然の答えを教えただけなのに、なにがそんなに面白いのか。
正直、私自身共通点なんてそれ以上、いや、それ以外のものなんて思い浮かばない。
好きになった人の好きなところなんてものは沢山ある。それこそ数え切れないくらいある。
嫌いなところさえも好きだと思えてしまうから、恋って偉大だ。
だが、それが皆に共通する好きなところなのかと問われれば、それは否だ。
だって、霊夢の優しさは霊夢だけの優しさだし、咲夜の優しさも咲夜だけのものだ。ついでに言えばこーりんの優しさもこーりんだけのもの。
その一部分が誰かと一緒だから、その人を好きだなんてありえないと私は思う。
だから私が考える共通点は、『私が好きになった人』以外何もないのだ。
「ねえ魔理沙」
「ん?」
「好きよ」
「ああ、私もアリスが大好きだ」
「あら、私大好きだなんていってないわよ?」
「だって大好きだろ?私の事」
くっついたまんま、二人でそんな事を囁きあう。
「ねえ、魔理沙」
「うん?」
「なにか急にキスがしたいわ」
「奇遇だな、私もそう思っていたところだ」
そんな詭弁にもならない言葉を囁き合ってから、どちらともなく唇を寄せ合った。
なんて滑稽で私達らしいのだろう。
口付けを交わしながら、ああ、と胸のどこかに引っ掛かっていた疑問の答えに気付く。
言ったこともないのに、あいつがどうして私が好きだった人を全員知っているのか。
ちょっと見ていればわかるだなんて言っていたけれど、それは嘘だ。
ちょっとなんかじゃない。それだけ、あいつは私の事を見ていてくれたんだ。
そんな事に気付いて、ますますアリスが愛しくなる。
全く、こいつはどこまで私を虜にすれば気がすむのだろうか?
なんかすごく良い!
かわいい!すごく良い!
クールかはわからないけど、このアリス可愛い。すごく可愛い。
アリス可愛いぜアリス。
魔理沙愛されてるな。
これは惚れる。